説明

情報表示装置

【課題】 通常の鏡に自画像と各種の情報を重ね表示する情報表示装置を提供する。
【解決手段】 鏡10の周囲に配置されるカメラ部20とプロジェクタ部30と、このプロジェクタ部30に投影する情報150を提供する制御装置44とを備え、この制御装置44は、鏡10に正対する利用者100をカメラ部20で撮影させ、この撮影した利用者の顔画像から利用者100の顔110と目120の位置を算出して投影画像170を生成し、前記算出された目120以外の顔110をスクリーンとして、各種の情報をプロジェクタ部30を介して投影するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡に自画像と各種の情報を表示する情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、利用者の自画像と各種の情報を重ね合わせて表示装置に表示し、この表示装置を鏡のように利用することで、あたかも利用者が鏡を見るように自画像と各種の情報を合わせて取得できる技術が多数提案されている。
【0003】
例えば、正面にハーフミラーを設け、このハーフミラーの後方にカメラを配置するとともに、このカメラで撮った顔画像を映し出す表示装置を設け、この表示装置に打ちし出された顔画像をハーフミラーを介して反射させて見ることができる電子鏡の技術が提案されている。この技術によれば近視の人がレンズが嵌っていないメガネフレームを掛けて自分に似合うものを間違うことなく選択することができる。しかも、この技術では、ハーフミラーの後方にカメラを設けることにより、目線とカメラ光軸を合わせて、鏡のような自画像を撮影して表示することができる。
【0004】
この他、目線のずれた画像となるが、カメラを表示装置の周囲の近傍に設けて、このカメラで撮影した利用者の画像を表示装置に表示する技術は、テレビ電話などで多数提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−195198号の公報
【特許文献2】特開2004−320236号の公報
【特許文献3】特開2003−153739号の公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来から広く提案されている技術では、表示装置の周囲にカメラを設け、このカメラで表示装置に正対する利用者を撮影して、表示装置にカメラで撮影した画像を表示することで、あたかも表示装置を鏡を見るように利用することができる。そして、この技術によれば、利用者の自画像に各種の情報を重ね表示することができる。しかし、この技術では、利用者の正面からカメラで撮影できないので、表示装置に表示する利用者の目線が正対する利用者の目線とずれてしまう課題がある。
【0007】
この課題を解決する技術として、前記したハーフミラーを使う技術が提案されているが、装置が大型化する課題がある。また、ハーフミラーに映る顔とハーフミラー背後の表示とは、利用者からの視距離が約2倍ほども異なるため、両方を同時に見ることは困難である。
【0008】
そこで、この発明の目的は、通常の鏡に自画像と各種の情報を重ね表示する情報表示装置提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成する点に、本発明に係る情報表示装置では、鏡の周囲に配置されるカメラ部とプロジェクタ部と、前記プロジェクタ部に投影する情報を提供する情報処理装置とを備え、前記制御装置は、前記鏡に正対する利用者をカメラ部で撮影させ、この撮影した利用者の顔画像から利用者の顔と目の位置を算出して投影画像を生成し、前記プロジェクタ部を介して算出された目以外の顔に各種の情報を投影するようにする。この際、プロジェクタから投影する画像情報は、算出された目の位置に暗調子の映像を常に表示するようにする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用者は、自分の顔に投影された情報を、自画像とともに鏡でみることとなるので、視線のずれや焦点距離を合わせるわずらわしさが解消される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施例に係る情報表示装置の概略構造を示す説明図である。
【図2】第1実施例に係る投影画像の合成の説明図である。
【図3】第1実施例に係る情報表示装置の動作フロー図である。
【図4】第2実施例に係る情報表示装置の概略構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明に係る情報表示装置を図1から図4を参照して具体的に説明する。ここで、図1から図3は第1の実施例に係る情報表示装置であり、図4は第2実施例に係る情報表示装置である。なお、同様な部位や矢印などは同一符号をもって示し、重複した説明は省略する。
(第1実施例)
先ず、図1を参照して、この第1実施例に係る情報表示装置の概略構造を説明する。図1は、情報表示装置の概略構造を示す説明図である。図1において、符号1で総括的に示す情報表示装置は、鏡10と、この鏡10の周囲に配置されるカメラ部20とプロジェクタ部30と、このカメラ部20及びプロジェクタ30と接続される情報処理装置40とから構成される。
【0013】
この実施例で採用する鏡10は、極一般的な鏡である。そして、カメラ部20とプロジェクタ30は、互いの光軸P1とP2が平行となり、かつ、互いの視野角Q1と投影角Q2が略一致するように鏡10の周囲に配置される。
【0014】
また、情報処理装置40は、情報処理装置本体41と表示装置42と入力装置43とを含んで構成される。情報処理装置本体41は、情報処理装置40を統括的に制御する制御装置44と、各種の情報やプログラムを格納する記憶装置45を備えている。また、入力装置43は、キーボードやマウスなどを含んで構成される。この実施例では、極一般的なパーソナルコンピュータを、この情報処理装置40として採用することができる。更に、この情報処理装置40は、ネットワークを介して他のサーバから各種の情報を取得することができる。
【0015】
そして、この実施例に係る情報表示装置1の大きな特徴の1つは、鏡10の周囲にカメラ部20とプロジェクタ30を備え、鏡10に正対する利用者100をカメラ部20で撮影して、この撮影した利用者100の顔画像から利用者の顔110の位置を算出し、プロジェクタ30を介して算出された顔110をスクリーンとして各種の情報を投影するようにした点である。
【0016】
即ち、多くの人は毎日鏡10に向かう。例えば、多くの人は、出勤や通学前の朝決まった時間帯に、一定時間鏡10を見る習慣がある。この鏡10を見る時間は、一日の行動のための情報取得に最適なタイミングということができる。しかし、従来から、この鏡10を見る機会を利用して各種の情報を効率よく利用者に提供できるものは提案されていない。
【0017】
また、鏡の一部、あるいはハーフミラーに情報を表示させるといったアイデアもある。しかし、鏡またはその周辺に情報を表示しても、鏡に映る自画像を見る視距離と鏡面までの視距離が違うことから焦点がずれてしまうため、意識的に見ようとしなければならない。つまり、図1に示すように、鏡10に映る自画像111を見る利用者100は、利用者100と鏡10の距離Lの2倍の焦点距離2Lで自画像111を見ている。このため、鏡10またはその周囲に情報を表示した場合、利用者は、焦点距離Lに焦点を合わせなければならない。同様に、利用者の後方の壁面に情報を表示しても、焦点が長くなってしまうため、この情報を識別することができない。しかも、この鏡10に映る情報は反転して映ってしまう。このため、鏡10やその周囲に情報を表示しても、見過ごしてしまったり、一々焦点を合わせなければならない煩わしさがある。
【0018】
そこで、本発明者らは、鏡10付近に置いたプロジェクタ部30から自分の顔110をスクリーンとして情報を表示することによりこれらの問題を解決し、時刻、天気予報、ニュースなどの情報150を自画像111とともに見ることができる情報表示装置1を創出した。
【0019】
また、この実施例に係る情報表示装置1の他の特徴の1つは、前記特徴を実現するために、カメラ部20とプロジェクタ部30の光軸P1、P2をほぼ平行となるように鏡10の周囲に配置するとともに、カメラ部20とプロジェクタ部30の視野角Q1と投影角Q2もほぼ一致するシステム構成を採用した点にある。
【0020】
即ち、この実施例では、カメラ部20とプロジェクタ部30とをユニット化して、このユニットを鏡10の周囲に設置する。カメラ部20とプロジェクタ30の視野角Q1、投影角Q2の範囲は、鏡10に顔110を写す位置に自然に立ったときに、顔全体を撮影・投影できる範囲に設置する。最適な位置は、左右方向は鏡10の中心で、鏡10の上下方向のどちらか近い場所に設置するようにする。
【0021】
また、この実施例に係る情報表示装置1の他の特徴の1つは、カメラ部20で撮影した利用者100の撮影情報から利用者の顔110と目120の位置を算出し、プロジェクタ部30を介して算出された目120以外の顔110に各種の情報を投影するようにした点である。
【0022】
この実施例に係る制御装置44は、カメラ部20で撮影した画像から逐一顔の存在を認識し、位置と角度を取得する。そして、目120と口の位置、目120の幅、口の幅、などを計測する。そして、目120の位置には常にマスク情報151が表示されるように、プロジェクタ部30から投影される投影画像を生成する。この利用者100に向けられて投影する画像は、目120の付近にマスク情報151が表示されているため、目120に入る光を小さくすることができるから、プロジェクタ部30から投影される画像(光)が利用者100の目120に入って、目120がまぶしくならないようにしている。
【0023】
特に、顔位置の推定誤差が少ない場合はよいが、推定誤差が増えてくると目120に光が入る可能性が生じる。そこで、この実施例の制御装置44は、顔位置の推定誤差がある一定以上になると情報表示を消す。
【0024】
なお、顔位置の推定誤差がある一定以上になった場合は、目120の周りのマスク情報151の表示を大きくするようにしてもよい。また、顔位置の移動速度を常に計算し、速度が一定以上になると表示を消すようにしてもよい。
【0025】
また、この実施例に係る情報表示装置1の他の特徴の1つは、情報処理装置40を介して、各種の情報を利用者に提供することができる。
【0026】
例えば、便利情報として、時刻、最寄り駅の次の電車やバスの発車時間、今日のスケジュール、ニュースなどをテロップまたは映像として表示することができる。また、鏡の前でお出かけの準備をするサポートする情報として、紫外線予報(日焼け止め)、湿度予想(スキンケア保湿)などがある。また、忘れ物をしないサポートとして、天気予報(傘)、紫外線予報(日傘)、花粉予想(マスク)などがある。また、行動が変わる情報として、天気予報・洗濯指数(洗濯干し)、今日の運勢、ラッキーナンバーなどがある。更に、自分の顔110にまつわる情報として、スキンケア(ダメージの視覚化、保湿度の視覚化)、化粧シミュレーションなどの情報がある。これらは、情報処理装置40の入力装置43を介して自由に設定することができる。
【0027】
また、この実施例に係る情報表示装置の他の特徴の1つは、予め家族の顔情報を情報処理装置40の記憶装置45に記憶しておき、この格納された顔情報と、カメラ部20で撮影された画像とが一致する場合は、利用者100毎に予め設定された情報150を表示することができる。
【0028】
なお、この実施例では、カメラ部20またはプロジェクタ部30の近傍に人体を検知するセンサ50を備えて、利用者100が鏡100の所定の位置に近づくことで、プロジェクタ部30から投影画像を投影するようにしている。
【0029】
次に、図2と図3を参照して、この情報表示装置1の動作を説明する。ここで、図2は、投影画像の合成の説明図であり(a)図は鏡に映る利用者の実像を示し、(b)図は制御装置が生成する投影画像を示し、(c)図は利用者が認識する鏡面の実像を示している。図3は、情報表示装置の動作フロー図である。
【0030】
図2において、利用者100は、この情報表示装置1がOFF状態であれば、(a)図のように利用者100は鏡10に映る自画像111のみをみることができる。しかし、この情報表示装置1が動作状態にあると(c)図に示すように、自画像111に黒情報155と情報150が重ねあわされた情報を利用者はみることができる。
【0031】
この動作を図3の動作フローにしたがって説明する。図3において、情報処理装置40の制御装置44は、センサー50の検知情報を監視している(ステップ201)。制御装置44は、センサー50が人を検知すると、カメラ部20をON状態として利用者100を撮影し(ステップ202)、その画像を分析する(ステップ203)。そして、分析結果から顔情報を判定し(ステップ204)、該当する顔110(利用者100)に関連する情報150を記憶装置45から取得する(205)。
【0032】
この実施例では、利用者100、例えば、家族の顔110の情報をデータベースとして記憶装置45に格納している。そして、この識別される利用者に対応して、情報150を選択的に表示することができる。
【0033】
制御装置44は、利用者100の情報150を取得すると、図2に示す、投影画像170を生成する(206)。図2において、この投影画像170は、利用者100の計測した目120の位置に表示されるマスク情報151と、記憶装置45から取得される情報150とから構成される。ここで、情報150は、鏡10に映ったときに識別可能なように反転表示される。このように、この情報表示装置1がON状態であれば、利用者100は、(a)図の利用者の実像と、(b)図の投影画像170が重ねあわされた(c)図の画像を見ることとなる。
【0034】
図3に戻り、制御装置44は、投影画像170を生成すると、プロジェクタ部30を電源ONして、この生成された投影画像170を利用者100の顔110に投影する(ステップ207)。そして、制御装置44は、利用者100の顔110の位置が予め設定された範囲以上に大きく移動したか(ステップ208)、あるいは、利用者100の顔110の位置が予め設定された範囲以内で移動したか(ステップ209)、あるいはセンサ50の範囲から外れたか(ステップ210)を監視している。
【0035】
ステップ208において、利用者100の顔110が大きく移動したと判定すると、プロジェクタ部をOFF状態として(ステップ212)、予め設定された所定時間を経過すると(ステップ203)ステップ206に移行させる。これにより、利用者100が大きく移動した際に利用者100の目120に投影した日が入らないようにしている。
【0036】
また、ステップ209において、利用者100が小幅な移動であると判定した場合は(ステップ203)ステップ206に移行させる。これにより、利用者100の目120に対応する位置に、常にマスク情報151が表示されるようにしている。
【0037】
また、ステップ210において、センサ50の範囲から利用者100が外れると、プロジェクタ部30とカメラ部20の電源をOFFにする。
(第2実施例)
次に図4を参照して、第2実施例に係る情報表示装置2を説明する。ここで、図4は、情報表示装置の概略構造を示す説明図である。図4において、この第2実施例では、鏡10をハーフミラー11に代えて使用する。そして、このハーフミラー11の場合は、カメラ部20のハーフミラー11の後方に配置する。これにより、顔110の測定や認識精度を向上することができる。また、この実施例では、視野角Q1と投影角Q2が一致しないため、予め設定される利用者100の顔110の大きさと、撮影される顔の大きさからその距離を判定し、この距離にあった投影画像を生成するようにする。
【0038】
なお、センサ50を判定結果を利用して、プロジェクタ部30の投影のON、OFFを行うようにしてもよい。
【0039】
このように、この発明に係る情報表示装置は、鏡の周囲に配置されるカメラ部及びプロジェクタ部と、このプロジェクタ部に投影する情報を提供する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記鏡に正対する利用者をカメラ部で撮影させ、この撮影した利用者の顔画像から利用者の顔と目の位置を算出して投影画像を生成し、前記算出された目以外の顔の位置に各種の情報をプロジェクタ部を介して投影させるものである。
【0040】
この場合、投影画像は、算出された前記利用者の目の位置に配置される投影光を軽減させるマスク情報と、このマスク情報以外の位置に配置される各種の情報を備えるようにする。また、カメラ部とプロジェクタ部は、その光軸をほぼ平行とする位置に設置するようにするとよい。同様に、カメラ部とプロジェクタ部の視野角と投影角をほぼ一致するように設定するとよい。更に、鏡はハーフミラーであって、このハーフミラーの後方にカメラ部を設置する構造であっても良い。
【符号の説明】
【0041】
1…情報表示装置、10…鏡、11…ハーフミラー、20…カメラ部、30…プロジェクタ部、40…情報処理装置、41…情報処理装置本体、42…表示装置、43…入力装置、44…制御装置、45…記憶装置、センサ50…、100…利用者、110…顔、111…自画像、120…目、150…情報、151…マスク情報、170…投影画像、P1、P2…光軸、Q1…視野角、Q2…投影角、L…距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡の周囲に配置されるカメラ部及びプロジェクタ部と、このプロジェクタ部に投影する情報を提供する制御装置とを備えた情報表示装置であって、
前記制御装置は、前記鏡に正対する利用者をカメラ部で撮影させ、この撮影した利用者の顔画像から利用者の顔と目の位置を算出して投影画像を生成し、前記算出された目以外の顔の位置に各種の情報をプロジェクタ部を介して投影させる
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記請求項1記載の情報表示装置において、
前記投影画像は、算出された前記利用者の目の位置に配置される投影光を軽減させるマスク情報と、このマスク情報以外の位置に配置される各種の情報を備えている
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項3】
前記請求項1または2記載の情報表示装置において、
前記カメラ部と前記プロジェクタ部は、その光軸をほぼ平行とする位置に設置される
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項4】
前記請求項1から3記載の何れかの情報表示装置において、
前記カメラ部と前記プロジェクタ部は、その視野角と投影角をほぼ一致するように設定されている
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項5】
前記請求項1または2記載の情報表示装置において、
前記鏡はハーフミラーであって、このハーフミラーの後方に前記カメラ部を設けた
ことを特徴とする情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−77747(P2011−77747A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225865(P2009−225865)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】