説明

情報記録媒体及びその製造方法

【課題】基板上に、光情報記録層、下地層及びプリンタブルレーベル層を少なくとも有する情報記録媒体及びその製造方法に関しており、詳しくは製造時に塗液のハンドリング性が良好であり、かつ非常に高い発色性を有しながら、情報記録及び再生時に悪影響を及ぼすことなく、傷つき難く、光沢性に優れ、印字後の耐水性にも優れた情報記録媒体及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】基板上に、光情報記録層、下地層及びプリンタブルレーベル層を少なくとも有する情報記録媒体であり、プリンタブルレーベル層が、主体としてアルミナまたはアルミナ水和物、一価の有機酸、ポリビニルアルコール及びほう素化合物を少なくとも含有するプリンタブルレーベル層塗布液を塗布、乾燥させてなることを特徴とする情報記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも基板上に光情報記録材料と下地層とプリンタブルレーベル層を有する情報記録媒体に関しており、詳しくは製造時に塗液のハンドリング性が良好であり、かつ非常に高い発色性を有しながら、情報記録及び再生時に悪影響を及ぼすことなく、印字後の耐水性にも優れた情報記録媒体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市場にて広く受け入れられている、光学的に情報を記録、読み込みが可能な光情報記録層を有する情報記録媒体としては、CD(コンパクトディスク)やDVD(デジタルバーサタイルディスク)がある。CD、DVDとも読み出し専用のCD−ROM、DVD−ROM、1回限りの情報記録が可能な追記型のCD−R、DVD−R、DVD+R、何回でも情報記録の書き換えが可能な書き換え可能型のCD−RW、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMがある。
【0003】
これらの情報記録媒体は、分類や保管を容易にするため、もしくはデータ内容を容易に確認できるようにするために、記録されたデータの内容をケース内のインデックスに記載されているが、同時にスクリーン印刷等の印刷方式により、ディスクそのものにレーベル印刷されている。
【0004】
しかしながら、このように既存の印刷方式によるレーベル印刷では、大量生産では問題ないが、少量生産では、印刷用刷版の作製が必要となるためコストアップになったり、印刷デザインの変更の場合に、その都度、刷版を交換し色合わせを行う必要がある等、作業性も悪化する問題等々があった。
【0005】
このような問題に対し、情報記録層に光によって記録・読み込みがなされる面の反対面にインクジェットプリンターや昇華型熱転写プリンターで印字可能となるようにプリンタブルレーベル層を塗設した情報記録媒体が開発され市販されている。インクジェットプリンター用としては、このような印字可能な情報記録媒体の他に、特開平5−182411号公報にあるように、ラベルに印字した後、情報記録媒体に貼り付ける方式に関しても開示されているが、ラベルの位置合わせ等が非常に煩雑である。昨今、情報記録媒体に直接印字できる安価な機種が数多く発売されており、作成が非常に簡便であることから、業務用だけでなく家庭用にもこのようなインクジェット印字可能な情報記録媒体は広く普及しつつある。
【0006】
このようなインクジェット印字可能な情報記録媒体のプリンタブルレーベル層としては、例えば特開2004−234764号、特開2004−30716号公報、特開2004−30769号公報、特表2004−503610号公報、特開2001−6225号公報、特開平8−279179号公報、特開平9−245380号公報等の様に主成分として紫外線硬化型樹脂や、紫外線硬化型樹脂とインク膨潤性樹脂を併用した混合処方が使用されている。しかしながら、これらプリンタブルレーベル層は、主にインク膨潤性樹脂の膨潤を利用してインク吸収させている(以下、膨潤タイプという)ため、近年の微細空隙の毛細管現象でインク吸収させている(以下、空隙タイプという)写真印字対応のインクジェット用記録材料と比較して、印字後指で印字部を触った場合に画像や指が汚れてしまったり、インデックスとともにケースに保管した場合にインデックスに貼り付いて使用不可能になったり、また業務用としての複製システムでは、数十枚から数百枚を連続して印字する場合があり、印字後トレイに重ねられた時にメディア同士がブロッキングしたりする、所謂インクの乾燥性が不十分であった。また、これらの問題を回避するため、例えば特開2004−30716号公報に例示されているように顔料粒子を多く使用した場合には、基板との接着性が悪化したり、発色性や光沢性が低下したりする等の問題点があった。またこれら紫外線硬化型樹脂は皮膚刺激性や異臭等の安全性や作業性の問題点があった。
【0007】
一方、このような紫外線硬化型樹脂からなるプリンタブルレーベル層の問題点を回避するため、例えば特開2005−44478号公報には、ポリビニルアルコールやポリビニルアセタールなどの親水性樹脂を主成分とし、インク定着剤としてカチオン性ポリマーを混合したプリンタブルレーベル層が提案されているが、親水性樹脂を主成分としているため、安全性や作業性の問題はないが、膨潤タイプのため乾燥性が不十分であった。また、特開2004−276298号(特許文献1)、特開2004−276299号公報、特開2005−96258号公報(特許文献2)、及び特開2005−116072号公報(特許文献3)には、少なくとも微粒子とポリビニルアルコールとほう素化合物と媒染剤を含むプリンタブルレーベル層が提案されており、微粒子として気相法シリカ、アルミナ及びアルミナ水和物が好適である記載がなされている。また、特開2006−260748号公報(特許文献4)には、気相法アルミナ等の気相法無機粉末を含有した樹脂膜からなる多孔質層を有する光情報記録媒体が、また特開2007−250143号公報(特許文献5)には、更に印字後の耐水性を向上させた光情報記録媒体がそれぞれ提案されている。気相法シリカやアルミナ及びアルミナ水和物を使用した場合、安全性や作業性の問題がなく、発色性、光沢性及び乾燥性も良好である。
【0008】
しかしながら、気相法シリカは一次粒子の三次元網目構造を持つことより、分散安定性が低く塗液の高濃度化が困難となり、所望のインク吸収性を得るためには多量のプリンタブルレーベル層塗液を塗布する必要があり乾燥負荷が非常に大きくなる。特に本情報記録媒体では、長時間熱風に曝されていると基板がカールして変形し、情報記録時及び再生時に悪影響を及ぼす問題があったり、例えばCD−RやCD−RWの場合には有機色素の相変化を記録原理としているので、耐熱性が60℃程度という制約の中でプリンタブルレーベル層塗液を乾燥しなければならないため生産効率的にも問題であった。また、アルミナまたはアルミナ水和物を使用した場合は、分散安定性が気相法シリカと比較して良好であるため高濃度化が可能であり乾燥負荷は低いが、塗層の空隙率が気相法シリカよりも低いためより多くの乾燥塗布量が必要であり、場合によっては情報記録時及び再生時に悪影響を及ぼす問題があったり、レーベルのプリンター印字時や実際のドライブ使用時に指や爪で傷つきやすいという問題があった。
【0009】
一方、例えば特許文献3には上記空隙タイプのプリンタブルレーベル層のインク吸収性を向上する手段としてほう素化合物を用いることが提案されているが、ほう素化合物のインク受容層塗液への添加時期を、インク受容層塗液が基材上に塗布されるのと同時かそれ以降にする必要があり、インク受容層塗液中に含有させることができておらず、ほう素化合物含有塗液を別途作製し塗布するなど、工程上煩雑であった。これは、ほう素化合物がポリビニルアルコールと急速に架橋反応を起こすために、塗液の粘度安定性が保てないためである。また、上記のように乾燥負荷を低減させるために高濃度化したアルミナまたはアルミナ水和物を主体に含有する塗液にほう素化合物を添加すると塗液の粘度が更に上昇してしまいハンドリング性が極めて著しく悪化するという問題がある。通常、塗液の温度を上昇させれば塗液の粘度はある程度低下するが、上記のように情報記録層の耐熱性の問題があり、その両立が極めて困難であった。更に、インク受容層塗液とほう素化合物含有液とを分けて塗布することは高濃度化という観点から、ほう素化合物の溶解度が高くはないため好ましくない。
【特許文献1】特開2004−276298号公報
【特許文献2】特開2005−96258号公報
【特許文献3】特開2005−116072号公報
【特許文献4】特開2006−260748号公報
【特許文献5】特開2007−250143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明の課題は、製造時に塗液のハンドリング性が良好であり、かつ非常に高い発色性を有しながら、情報記録及び再生時に悪影響を及ぼすことなく、光沢性に優れ、印字後の耐水性にも優れた情報記録媒体及びその製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の上記課題は以下の手段で解決された。
1.基板上に、光情報記録層、下地層及びプリンタブルレーベル層を少なくとも有する情報記録媒体であり、プリンタブルレーベル層が、主体としてアルミナまたはアルミナ水和物、一価の有機酸、ポリビニルアルコール及びほう素化合物を少なくとも含有するプリンタブルレーベル層塗布液を塗布、乾燥させてなることを特徴とする情報記録媒体。
2.上記アルミナまたはアルミナ水和物が一価の有機酸の存在下で平均二次粒子径500nm以下に分散されたことを特徴とする上記1に記載の情報記録媒体。
3.上記プリンタブルレーベル層が、水溶性多価金属を含有することを特徴とする上記1または2のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
4.前記プリンタブルレーベル層が、炭素数3〜5のアルカンジオールから選ばれる少なくとも1種以上の化合物を含有することを特徴とする上記1〜3のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
5.上記1〜4のいずれか1項に記載される情報記録媒体のプリンタブルレーベル層塗設時の乾燥水分量が120g/m2以下である情報記録媒体の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製造時に塗液のハンドリング性が良好であり、かつ非常に高い発色性を有しながら、情報記録及び再生時に悪影響を及ぼすことなく、印字後の耐水性にも優れた情報記録媒体及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の情報記録媒体の構成の一例を示す。図1は本発明の情報記録媒体の構成の一例を示した説明図である。本発明の情報記録媒体は、基板10とこの基板上にデータを記録する光情報記録層11、金属箔からなるレーザーを反射させる光反射層12、光反射層を保護するための保護層13、プリンタブルレーベル層との接着性を高めたり画像の発色性や光沢を向上させるための下地層14、更に最外層にプリンタブルレーベル層15を積層形成された構造を有している。
【0014】
記録及び再生時に照射されるレーザーは、プリンタブルレーベル層とは反対面の基板方向から入射される。また、インクジェット記録ヘッドを有するインクジェットプリンターによって、文字や画像がプリンタブルレーベル層上に記録される。この場合、レーザーは基板を通して光情報記録層11の記録及び再生を行うため、通称、基板面入射タイプと呼ばれる。また、基板の片側に光反射層、光情報記録層、保護層の順に設け、光情報記録層とは反対側の基板面に下地層、プリンタブルレーベル層を有する構成としてもよい。この場合、保護層側からレーザーを照射するため、通称、膜面入射タイプと呼ばれる。以下、基板面入射タイプに関して詳細に説明するが、いずれのタイプの層構成でも、本発明の効果が損なわれることはない。
【0015】
本発明者は、アルミナまたはアルミナ水和物の発色性、光沢性の高さ、塗液濃度を高くできる可能性に着目し、鋭意研究した結果、製造時に塗液のハンドリング性が良好であり、かつ非常に高い発色性を有しながら、情報記録及び再生時に悪影響を及ぼすことなく、光沢性に優れ、印字後の耐水性にも優れた情報記録媒体を提案するに至った。本発明のプリンタブルレーベル層は、上記のように、主体としてアルミナまたはアルミナ水和物から選ばれる無機微粒子、一価の有機酸、バインダー、ほう素化合物を少なくとも含有し、更に水溶性多価金属を含有していることが好ましく、また、各種添加剤などを含有していてもよい。ここで、主体に含有するとは、インク受容層の全固形分に対して前記アルミナまたはアルミナ水和物を50質量%以上含有することを意味し、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは65質量%以上含有することである。
【0016】
本発明のプリンタブルレーベル層に使用する一価の有機酸としては、乳酸、酢酸、蟻酸が好ましく用いられ、中でも乳酸、酢酸が特に好ましく用いられる。本発明の一般的な一価の有機酸の添加量はアルミナまたはアルミナ水和物に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、2種類以上の一価の有機酸をあわせて用いてもよい。一価の有機酸が添加されたアルミナまたはアルミナ水和物の分散液を使用することでほう素化合物を使用しても塗布液特性が良好であり、塗液のハンドリング性が良好となる結果、インク吸収性が良好となり、必要となる塗布量が比較的少なくてすむ。その結果、情報記録時及び再生時に悪影響を及ぼす問題を回避することができ、情報記録及び再生時に安定な情報記録媒体を提供できる。
【0017】
本発明のプリンタブルレーベル層に使用するアルミナとしては、結晶タイプとしてはγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶とγグループ結晶が好ましい。特に気相法により製造される気相法アルミナが好ましい。気相法アルミナは日本アエロジル(株)よりAEROXIDEタイプ、EVONIK社からAlu−CまたはAlu−3として入手することができる。
【0018】
本発明のプリンタブルレーベル層に使用するアルミナ水和物はAl23・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。アルミナ水和物はアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。
【0019】
本発明のプリンタブルレーベル層に使用するアルミナまたはアルミナ水和物は分散された状態で塗液に用いられる必要があり、該アルミナまたはアルミナ水和物を分散させる際には、分散液の濃縮化や分散液の安定性の面から、中でも、一価の有機酸の存在下で分散させることが特に好ましい。本発明に使用されるアルミナまたはアルミナ水和物の分散液の平均二次粒子径は500nm以下であることが好ましく、20〜300nmであることが特に好ましい。平均二次粒子径が500nmを越えた場合、発色性と光沢性が低下する場合がある。また、アルミナまたはアルミナ水和物の一次粒子の平均粒径とは、分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求めることができる。紡錘状粒子の平均粒径は長径と短径の平均で得られる。平板状アルミナ水和物の平均厚さは、アルミナ水和物をフィルム上に塗布したシートの断裁面の観察より得られ、アルミナ水和物のアスペクト比は平均厚みに対する平均粒径の比で得られる。平均二次粒子径は希薄分散液を散乱式粒度分布測定装置で測定して得られる。
【0020】
本発明における平均二次粒子径が500nm以下のアルミナまたはアルミナ水和物の分散液を得る具体的な方法の一例としては、まず、水を主体とする分散媒中(ここでいう主体とは分散媒に対して90%質量以上含有していることをいう)に、アルミナまたはアルミナ水和物を徐々に添加していく。アルミナまたはアルミナ水和物の添加の際には、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、またはローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも1つを用いることが好ましい。必要であれば更に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。更に平均二次粒子径を小さくしたい場合には、より強い機械的手段を与えてもよい。機械的手段としては公知の方法が採用でき、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機及び薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
【0021】
本発明のプリンタブルレーベル層に使用する一価の有機酸を添加するタイミングとしては、アルミナまたはアルミナ水和物とポリビニルアルコールとほう素化合物とが混合される前であることが好ましく、アルミナまたはアルミナ水和物を分散する前の分散媒中に添加することがより好ましい。
【0022】
本発明に設けるプリンタブルレーベル層には、透明性が高く発色性が良好で、比較的室温付近で膨潤性が低く、アルミナまたはアルミナ水和物との結着能力が高いためインク吸収性が良好で、更に基板との良好な接着性が得られるという観点からポリビニルアルコールが必須であり、特に制限はないが完全または部分鹸化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールが好ましく使用できる。その含有量は、プリンタブルレーベル層の全固形分質量に対して、5〜45質量%が好ましく、8〜40質量%が特に好ましい。
【0023】
カチオン変性ポリビニルアルコールとは、例えば特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
【0024】
ポリビニルアルコールの中でも、鹸化度が80%以上の部分鹸化または完全鹸化したものが好ましい。平均重合度200〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。
【0025】
また、本発明のプリンタブルレーベル層には、種々の目的で他の公知の水溶性樹脂バインダーをあわせて用いてもよい。これら水溶性バインダーとしては、カゼイン、デンプン、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。該他の水溶性樹脂バインダーとポリビニルアルコールを併用する場合には、該他の水溶性樹脂バインダーの含有量はポリビニルアルコールに対して70固形分質量%以下であることが好ましく、40固形分質量%以下であることが特に好ましい。
【0026】
本発明のプリンタブルレーベル層には、ポリビニルアルコールと共にほう素化合物を含有する。ほう素化合物としてはほう酸、ほう酸塩、及びほう砂等があり、これらを1種または2種以上組みあわせることもできる。ほう酸塩としては、オルトほう酸塩、メタほう酸塩、二ほう酸塩、四ほう酸塩、五ほう酸塩等が挙げられ、その好ましい使用量はポリビニルアルコールに対しては0.02〜50質量%であり、特に0.5〜35質量%が好ましい。
【0027】
本発明のプリンタブルレーベル層には、更なる塗層強度向上を目的として、他の架橋剤をあわせて使用することができる。これら架橋剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、N,N′−ビス(2−クロロエチル尿素)、2−ヒドロキシ−4,6―ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,635,718号明細書記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第3,103,437号明細書記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号明細書、米国特許第2,983,611号明細書記載の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシオキサンの如きジオキサン誘導体、クロムミョウバン、硫酸ジルコニウム、の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0028】
また本発明のプリンタブルレーベル層にはインク中の色材の定着性を上げ、発色性を更に向上させるために、カチオン性物質を含有させることが好ましい。カチオン性物質としては、例えばカチオン性ポリマーや水溶性多価金属化合物が挙げられるが、中でも水溶性多価金属化合物が特に好ましく用いられる。水溶性多価金属化合物としては、例えばカルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、蟻酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、蟻酸マンガン二水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、フェノールスルフォン酸ニッケル、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、フェノールスルフォン酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、リンタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストリン酸n水和物等が挙げられる。これらの中にはpHが不適当に低いものもあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。本発明において水溶性とは、常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを目安とする。
【0029】
本発明において、上記水溶性金属化合物のインク受容層中の含有量は、無機微粒子に対して0.1〜10質量%が好ましく、更に好ましくは1〜7質量%である。
【0030】
本発明のプリンタブルレーベル層に使用することができるカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号公報、特開昭59−33176号公報、特開昭59−33177号公報、特開昭59−155088号公報、特開昭60−11389号公報、特開昭60−49990号公報、特開昭60−83882号公報、特開昭60−109894号公報、特開昭62−198493号公報、特開昭63−49478号公報、特開昭63−115780号公報、特開昭63−280681号公報、特開平1−40371号公報、特開平6−234268号公報、特開平7−125411号公報、特開平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらカチオン性ポリマーの分子量は5000以上が好ましく、更に5000〜10万程度が好ましい。
【0031】
これらのカチオン性ポリマーの使用量は無機微粒子に対して1〜30質量%、好ましくは2〜25質量%である。
【0032】
本発明におけるプリンタブルレーベル層には、更なる品質向上の目的で炭素数3〜5のアルカンジオールから選ばれる少なくとも1種以上を含有することが好ましい。これらを含有することにより、プリンタブルレーベル層の発色性、光沢及び乾燥性を維持しつつ、プリンタブルレーベル層の乾燥収縮率や温度・湿度変動による塗層の収縮変動を抑えることで情報記録時及び再生時のエラーを更に回避できる。
【0033】
本発明の炭素数3〜5のアルカンジオールは常温では液体であり、吸湿性が高く、揮発性が低く、水溶性である。該化合物は、発色性の低下やひび割れを起こさずに、温度・湿度変動による塗層の収縮変動を抑えることで基板のカール変動を抑えることができ、情報記録媒体の安定した情報記録及び再生性能が得られる。
【0034】
炭素数3〜5のアルカンジオールとしては、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオールがあり、それらの異性体はいずれも含まれる。また、3−メチル−1,3−ブタンジオール等のような分岐のブタンジオールも含まれる。これらの中でも、炭素数が3〜4のプロパンジオールやブタンジオールが好ましく、特にプロパンジオールが好ましい。プロパンジオールとしてはプロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)とトリメチレングリコール(1,3−プロパンジオール)があり、特にプロピレングリコールが好ましい。該化合物の添加量は、アルミナまたはアルミナ水和物に対して0.1〜50固形分質量%が好ましく、1〜20固形分質量%が更に好ましい。
【0035】
本発明の情報記録媒体は、プリンタブルレーベル層の上にオーバーコート層があってもよい。オーバーコート層により、表面強度を更に向上させたり、画像の保存性を向上させたりすることができる。オーバーコート層は、インクを受容するか、あるいは速やかに透過させる性質を有する必要がある。オーバーコート層の層厚としては、0.01〜1000μmが好ましく、0.1〜100μmが更に好ましい。
【0036】
本発明において各層のインク受容層には更に、界面活性剤、着色染料、着色顔料、インク色剤の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0037】
本発明のプリンタブルレーベル層の塗設方法は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドリップ方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式、スクリーン印刷方式、スプレーコート、スピンコート、ディップコート方式等を適宜使用することができるが、スクリーン印刷方式やスピンコート方式により形成することが好ましい。
【0038】
本発明におけるプリンタブルレーベル層塗設時の乾燥水分量は120g/m2以下であることが好ましい。このような範囲の乾燥水分量に調整することにより、情報記録時及び再生時のエラーがない情報記録媒体が得られる。なお、本発明における乾燥水分量とは、塗布し乾燥するプリンタブルレーベル層中の単位面積当たりの水分量のことである。
【0039】
本発明におけるプリンタブルレーベル層の乾燥塗布量は12〜28g/m2であることが好ましく、より好ましくは12〜26g/m2であり、更に好ましくは14〜24g/m2である。乾燥塗布量が12g/m2未満であるとプリンターでの印字後の乾燥性が低下し、28g/m2を超えると、情報記録及び再生時のエラーが発生しやすくなる場合がある。
【0040】
本発明におけるプリンタレーベル層の乾燥温度は、好ましくは30〜60℃であり、更に好ましくは40〜60℃である。30℃未満であると乾燥時間が長くなり生産効率が悪化するため好ましくなく、60℃を超えると耐熱性の低い光情報記録層の品質が悪化し、情報記録時及び再生時のエラーが多発する場合がある。
【0041】
本発明においては、プリンタブルレーベル層15の下に、ISO白色度80%以上であり、かつ表面粗さRaが0.2μm以下である下地層14を設けることが、写真印画紙のような高い発色性と光沢を得ることができるため好ましい。また更にISO白色度90%以上であり、表面粗さRaは0.15μm以下であることが好ましい。
【0042】
本発明におけるISO白色度とは、ISO2470で規定される白色度であり、表面粗さRaとは、JIS−B0601:2001に規定されるRa(算術平均粗さ)である。Raは触針式表面粗さ計の測定値であり、基準長さが8mmで測定されたものである。Raを求める場合は、傷と見なされるような並外れた高い山や深い谷のない部分から基準長さを抜き取る。また、表面形状に方向性がある場合はRaが最も大きく現れる方向に測定する。
【0043】
このような下地層の形成手法は公知のどのような方法を用いても問わないが、生産性の観点から、公知の放射線硬化樹脂をスクリーン印刷により形成することが好ましい。放射線硬化樹脂は、紫外線、電子ビーム、X線、γ線、赤外線等の電磁波によって硬化する樹脂であり、放射線としては、中でも、紫外線、電子ビームが好ましい。
【0044】
放射線硬化樹脂をスクリーン印刷により形成させる場合、情報記録媒体の平滑性の観点より、印刷後の樹脂のレベリングのための時間が適宜必要である。
【0045】
下地層の膜厚としては、0.1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、3〜20μmが最も好ましい。
【0046】
基板10としては、従来の光記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。具体的には、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフィン、ポリエステル、アルミニウム等の金属等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。上記材料の中では、耐薬品性、寸法安定性、光透過性及び低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネートが好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。また、基板の厚さは、0.5〜1.2mmとすることが好ましく、0.6〜1.1mmとすることがより好ましい。また、基板には、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表す凹凸(プリグルーブ)が形成されている。プリグループのピッチ、深さ(溝深さ)、及び半値幅は情報記録媒体の種類により任意に設定できる。
【0047】
本発明の一例である基盤面入射タイプの情報記録媒体においては、前述したように基板と下地層との間に光情報記録層、光反射層及び保護層が設けられる。本発明においては、光情報記録層と光反射層は情報記録媒体として必須であるが、保護層に関しては、保護層と下地層の双方の機能を有した下地層があれば、必ずしも設ける必要はない。
【0048】
光情報記録層11は、基板10上に設けられ、レーザー光の照射によりデジタル情報が記録可能な材料により形成される。通常は、CD−RやDVD−Rに代表されるように有機色素からなる光情報記録層、またはCD−RWやDVD−RWに代表されるように無機物質からなる光情報記録層として形成される。
【0049】
有機色素からなる光情報記録層は、真空蒸着法、スパッタリング法等の乾式薄膜形成法や、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の湿式薄膜形成法を用いて設けられる。中でも量産性、コスト等によりスピンコート法が特に好ましい。具体的な方法としては、記録物質である有機色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液をスピンコート法により基板のプリグルーブが形成された面に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。スピンコート法を適用する際の温度は、生産性と色素の耐熱性の観点から25〜60℃が好ましく、更に30〜50℃が好ましい。
【0050】
該有機色素としては、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられ、中でも、耐光性や耐久性に優れることからフタロシアニン色素が好ましい。また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、特開平11−53758号公報、特開平11−334204号公報、特開平11−334205号公報、特開平11−334206号公報、特開平11−334207号公報、特開2000−43423号公報、特開2000−108513号公報、及び特開2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
【0051】
有機色素からなる光情報記録層塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、2−メトキシエチルアセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、メチルシクロヘキサン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。上記溶剤は使用する記録物質の溶解性を考慮して単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には更にバインダー、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0052】
該バインダーの例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等を挙げることができる。光情報記録層の材料としてバインダーを併用する場合に、バインダーの使用量は、一般に有機色素100部に対して0.01〜50固形分質量部の範囲にあり、好ましくは0.1〜5固形分質量部の範囲である。このようにして調製される塗布液中の有機色素の濃度は、一般に0.01〜10固形分質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5固形分質量%の範囲である。
【0053】
光情報記録層には、該光情報記録層の耐光性を向上させるために、一重項酸素クエンチャーに代表される種々の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、有機色素の量に対して、通常0.1〜50固形分質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45固形分質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40固形分質量%の範囲である。
【0054】
無機物質からなる光情報記録層は、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等を用いて形成される。中でも量産性、コスト等の観点よりスパッタリング法が特に好ましい。
【0055】
該無機物質としては、結晶状態と非晶状態の少なくとも2つの状態をとり得る少なくともAg、Al、Te、Sbからなる相変化型の光記録材料が好ましい。なお、該光情報記録層上には、必要に応じて、公知の誘電体層が形成される。
【0056】
本発明における光情報記録層は単層でも重層でもよく、その層厚は光情報記録層の種類によって異なるが一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは30〜300nmの範囲であり、より好ましくは50〜100nmの範囲である。
【0057】
光反射層12は、光情報記録層11上に設けられ、通常基板10側から照射されるレーザー光を基板側へ反射させるために設ける。光情報記録層形成後、該光情報記録層上に光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングして光反射層を形成する。光反射層の形成に際しては、通常マスクが使用され、これによって光反射層の形成領域を調節することができる。
【0058】
該光反射層には、レーザー光に対する反射率が十分高い光反射性物質が用いられる。当該反射率は、70%以上であることが好ましい。反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは2種以上の組み合わせで、または合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。コストと反射率の観点より、特に好ましくは、Au、Ag、Alあるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Agあるいはこれらの合金である。
【0059】
光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
【0060】
保護層13は、光反射層12上に、キャスト法、スピンコート法、スクリーン印刷法等により形成されるが、特にスピンコート法を適用することで、光情報記録層にダメージ(色素の溶解、色素と保護層材料との化学反応等)を与えることなく保護層を形成することができる。なお、保護層に放射線硬化樹脂(紫外線硬化樹脂)を使用した場合は、保護層を形成した後、該保護層上から紫外線照射ランプ(メタルハライドランプ)により紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂を硬化させる。また、形成する保護層の厚みムラを無くすため、樹脂を硬化させる前に一定時間放置する等の処理を適宜行ってもよい。
【0061】
保護層は、水分の侵入や傷の発生を防止する。保護層を構成する材料としては、放射線硬化樹脂、可視光硬化樹脂、熱硬化性樹脂、二酸化ケイ素等であることが好ましく、中でも放射線硬化樹脂であることが好ましい。該放射線硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業社製の「SD−640」等の各種紫外線硬化樹脂を使用することができる。
【0062】
保護層の厚さは、1〜200μmの範囲が好ましく、50〜150μmの範囲がより好ましい。
【0063】
以上のようにして、基板上に光情報記録層、光反射層、保護層、下地層、及びプリンタブルレーベル層が順次設けられた積層体からなる情報記録媒体が作製される。
なお、本発明の情報記録媒体は、基板に形成されるプリグルーブのトラックピッチや、光情報記録層を構成する材料等を適宜設定することで、従来のDVD等よりトラックピッチが狭く、使用されるレーザー光より小さい波長のレーザー光で情報の記録再生を行うことが可能な情報媒体にも適用することができる。
【実施例1】
【0064】
以下、本発明を更に具体的に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されず、特許請求の範囲において各種の応用ができるものである。なお、表記中で「部」及び「%」とは特に断らない限り実質成分質量部及び実質成分質量%である。
【0065】
−プリンタブルレーベル層塗設前情報記録媒体1の作製−
射出成形により、幅0.45μm、深さ155nmのプリグルーブを有した、厚さ1.2mmのポリカーボネート樹脂製基板を作製した。この基板上に、含金属アゾ系色素のアルコール溶液をスピンコートで塗布・乾燥し、厚さ70nmの光情報記録層を形成した。続いてこの光情報記録層上に銀をスパッタリングして厚さ60nm光反射層を形成した。続いて、この光反射層上に、紫外線硬化樹脂(商品名:SD318、大日本インキ化学工業(株)製)をスピンコートで塗布し、高圧水銀灯を用い紫外線を照射させることで硬化し、厚さ5μmの保護層を形成した。その後、紫外線硬化インク(商品名:SSD F27、大日本インキ化学工業(株)製)をスクリーン印刷で印刷し、20秒後、高圧水銀灯を用い紫外線を照射させることで硬化し、厚さ10μmの白色の下地層を形成した。以上の工程により、基板、光情報記録層、光反射層、保護層及び下地層からなるプリンタブルレーベル層塗設前情報記録媒体1を作製した。本プリンタブルレーベル層塗設前情報記録媒体1のISO白色度は92%であり、表面粗さRaは0.12μmであった。
【0066】
−情報記録媒体サンプル1の作製−
水に分散剤として酢酸(3.3部)を添加し均一になるように混合した後、アルミナ水和物として擬ベーマイト構造を有するSasol社のDisperal HP14を100部添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して固形分濃度30%の顔料分散液1を調整した。なお、平均二次粒子径は大塚電子(株)製動的光散乱計PAR−IIIを使用して測定し表1に示した。
【0067】
上記顔料分散液1を用いてプリンタブルレーベル層塗布液1を作製した。このときの塗布液の固形分濃度は20.0%にした。
<プリンタブルレーベル層塗布液1>
顔料分散液1 103.3部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
【0068】
その後、得られたプリンタブルレーベル層塗布液1を固形分塗布量が23g/m2になるように、上記プリンタブルレーベル層塗設前情報記録媒体1に25℃でロッドバー方式により塗布し、50℃の空気を吹き付けて乾燥して、情報記録媒体サンプル1を作製した。なお、この時のプリンタブルレーベル層塗布液1の乾燥水分量を表1に記した。
【0069】
−情報記録媒体サンプル2の作製−
上記顔料分散液1の作製において、分散剤を酢酸から硝酸(1.5部)に変更し、固形分濃度を32%に変更した以外は顔料分散液1と同様にして顔料分散液2を作製した。
【0070】
上記情報記録媒体サンプル1の作製においてプリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度22.0%のプリンタブルレーベル層塗布液2に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル2を作製した。
<プリンタブルレーベル層塗布液2>
顔料分散液2 101.5部
酢酸 5.0部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
【0071】
−情報記録媒体サンプル3の作製−
上記顔料分散液1の作製において、分散剤を酢酸からアミド硫酸(2.1部)に変更し、固形分濃度を25%に変更した以外は顔料分散液1と同様にして顔料分散液3を作製した。
【0072】
上記情報記録媒体サンプル1の作製においてプリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度18.0%のプリンタブルレーベル層塗布液3に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル3を作製した。
<プリンタブルレーベル層塗布液3>
顔料分散液3 102.1部
酢酸 5.0部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
【0073】
−情報記録媒体サンプル4の作製−
上記顔料分散液1の作製において、分散剤を酢酸から乳酸(3部)に変更し、固形分濃度を25%に変更した以外は顔料分散液1と同様にして顔料分散液4を作製した。
【0074】
上記情報記録媒体サンプル1の作製においてプリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度18.0%のプリンタブルレーベル層塗布液4に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル4を作製した。
<プリンタブルレーベル層塗布液4>
顔料分散液4 103部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
【0075】
−情報記録媒体サンプル5の作製−
上記顔料分散液1の作製において、分散剤を酢酸から硝酸(1.5部)と酢酸(5部)に変更し、固形分濃度を32%に変更した以外は顔料分散液1と同様にして顔料分散液5を作製した。
【0076】
上記情報記録媒体サンプル1の作製においてプリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度22.0%のプリンタブルレーベル層塗布液5に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル5を作製した。
<プリンタブルレーベル層塗布液5>
顔料分散液5 106.5部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製のPVA235(鹸化度88%平均重合度3500)水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
【0077】
−情報記録媒体サンプル6の作製−
上記情報記録媒体サンプル1の作製においてプリンタブルレーベル層塗布液1の固形分濃度を22.0%から14.0%に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル6を作製した。
【0078】
−情報記録媒体サンプル7の作製−
水に分散剤として酢酸(3.3部)を添加し均一になるように混合した後、気相法アルミナのEVONIK社Alu−C(以下Alu−C)を100部添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速30m/秒)を使用して固形分濃度20%の顔料分散液7を調整した。なお、平均二次粒子径は大塚電子(株)製動的光散乱計PAR−IIIを使用して測定した。
【0079】
上記顔料分散液7を用いてプリンタブルレーベル層塗布液7を作製した。このときの塗布液の固形分濃度は16.5%にした。
<プリンタブルレーベル層塗布液7>
顔料分散液7 103.3部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
【0080】
−情報記録媒体サンプル8の作製−
上記顔料分散液7の作製において、分散剤を酢酸から硝酸(1.6部)に変更し、固形分濃度を24%に変更した以外は顔料分散液7と同様にして顔料分散液8を作製した。
【0081】
上記情報記録媒体サンプル1の作製においてプリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度18.0%のプリンタブルレーベル層塗布液8に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル8を作製した。
<プリンタブルレーベル層塗布液8>
顔料分散液8 101.6部
酢酸 5.0部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
【0082】
−情報記録媒体サンプル9の作製−
上記顔料分散液7の作製において、気相法アルミナをAlu−Cから気相法アルミナのEVONIK社Alu−3を100部に変更し、固形分濃度を20%に変更した以外は顔料分散液7と同様にして顔料分散液9を作製した。
【0083】
上記情報記録媒体サンプル1の作製においてプリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度17.0%のプリンタブルレーベル層塗布液9に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル9を作製した。
<プリンタブルレーベル層塗布液9>
顔料分散液9 103.3部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 16.0部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
【0084】
−情報記録媒体サンプル10の作製−
上記情報記録媒体サンプル1の作製においてプリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度12.0%のプリンタブルレーベル層塗布液10に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル10を作製した。なお、プリンタブルレーベル層塗布液10は希釈して粘度を低下させる必要があった。
<プリンタブルレーベル層塗布液10>
顔料分散液2 101.5部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
【0085】
−情報記録媒体サンプル11の作製−
上記情報記録媒体サンプル1の作製においてプリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度10.0%のプリンタブルレーベル層塗布液11に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル11を作製した。なお、プリンタブルレーベル層塗布液11は希釈して粘度を低下させる必要があった。
<プリンタブルレーベル層塗布液11>
顔料分散液8 101.6部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
【0086】
−情報記録媒体サンプル12の作製−
上記情報記録媒体サンプル1の作製においてプリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度10.0%のプリンタブルレーベル層塗布液12に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル12を作製しようとした。しかしながらプリンタブルレーベル層塗布液12は凝集してしまい情報記録媒体サンプル12を作製することはできなかった。
<プリンタブルレーベル層塗布液12>
顔料分散液2 101.5部
D−りんご酸 5.0部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
【0087】
−情報記録媒体サンプル13の作製−
上記情報記録媒体サンプル1の作製においてプリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度10.0%のプリンタブルレーベル層塗布液13に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル13を作製しようとした。しかしながらプリンタブルレーベル層塗布液13は凝集してしまい情報記録媒体サンプル13を作製することはできなかった。
<プリンタブルレーベル層塗布液13>
顔料分散液2 101.5部
硫酸 1.0部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
【0088】
−情報記録媒体サンプル14の作製−
上記情報記録媒体サンプル1の作製においてプリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度10.0%のプリンタブルレーベル層塗布液14に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル14を作製しようとした。しかしながらプリンタブルレーベル層塗布液14は凝集してしまい情報記録媒体サンプル14を作製することはできなかった。
<プリンタブルレーベル層塗布液14>
顔料分散液2 101.5部
マロン酸 1.0部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
【0089】
−情報記録媒体サンプル15の作製−
上記情報記録媒体サンプル1の作製においてプリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度20.0%のプリンタブルレーベル層塗布液15に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル15を作製した。なお、得られた情報記録媒体サンプル15のプリンタブルレーベル層はひび割れていた。
<プリンタブルレーベル層塗布液15>
顔料分散液1 103.3部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
【0090】
−情報記録媒体サンプル16の作製−
上記情報記録媒体サンプル1の作製においてプリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度18.0%のプリンタブルレーベル層塗布液16に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル16を作製した。なお、得られた情報記録媒体サンプル16のプリンタブルレーベル層はひび割れていた。
<プリンタブルレーベル層塗布液16>
顔料分散液7 103.3部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
【0091】
−情報記録媒体サンプル17の作製−
上記情報記録媒体サンプル1の作製においてプリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度18.0%のプリンタブルレーベル層塗布液17に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル17を作製した。
<プリンタブルレーベル層塗布液17>
顔料分散液7 103.3部
ポリビニルアルコール 18.0部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
【0092】
得られた各々の情報記録媒体について下記の評価を行った。その結果を表2に示す。また、表1には情報記録媒体サンプル1〜17の組成、プリンタブルレーベル層に用いた顔料分散液の平均二次粒子径、プリンタブルレーベル層塗布液の固形分濃度及び乾燥時の乾燥水分量を記載した。
【0093】
<記録・再生時エラー>
市販のCD−Rドライブを用いて、48倍速で音楽CDのコピー記録及び再生をA(23℃、50%RH)及びB(40℃、15%RH)の環境下で各々100枚行った。その時の記録時のエラーの発生状況及び再生時のエラー発生状況を以下の基準で評価した。
◎:A,Bの環境下とも全くエラーは発生しなかった。
○:B環境下で1回のエラーが発生したが、A環境下ではエラーは全く発生せず、実使用上は問題なかった。
△:A環境下ではエラーは発生しなかったが、B環境下で少なくとも2回以上エラーが発生した。
×:A環境下で少なくとも1回以上エラーが発生した。
【0094】
<発色性A>
光ディスクレーベル印刷が可能な市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、PM−G800)にて、プリンタブルレーベル層面に人物及び風景画像を印字し、同画像を用いて作製した銀塩写真と比較し、下記の基準で発色性を目視評価した。
◎:銀塩写真より高い発色性を有する。
○:銀塩写真並の発色性を有する。
△:銀塩写真と比較してやや発色性が劣る。
×:銀塩写真と比較して明らかに発色性が劣る。
【0095】
<発色性B>
光ディスクレーベル印刷が可能な市販のレーベルプリンター(プリメーラ社製、BravoIIDVD)にて、プリンタブルレーベル層面に人物及び風景画像を印字し、上記<発色性A>と同様に以下の基準で評価した。
◎:銀塩写真より高い発色性を有する。
○:銀塩写真並の発色性を有する。
△:銀塩写真と比較してやや発色性が劣る。
×:銀塩写真と比較して明らかに発色性が劣る。
【0096】
<光沢性>
光ディスクレーベル印刷が可能な市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、PM−G800)にて、プリンタブルレーベル層面に人物及び風景画像を印字し、同画像を用いて作製した銀塩写真と比較し、下記の基準で光沢性を目視評価した。
◎:銀塩写真より高い光沢性を有する。
○:銀塩写真並の光沢性を有する。
△:銀塩写真と比較してやや光沢性が劣る。
×:銀塩写真と比較して明らかに光沢性が劣る。
【0097】
<耐水性>
光ディスクレーベル印刷が可能な市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、PM−G800)にて、プリンタブルレーベル層面に人物及び風景画像を印字し、画像部に蒸留水を滴下して、10秒後にティッシュで水滴を拭った後の画像を下記の基準で目視評価し耐水性を評価した。
◎:滴下した跡が全く確認できない。
○:やや滴下した跡が確認できるが問題のないレベル。
△:滴下した跡が確認可能であり問題となるレベル。
×:滴下した跡が非常に醜く明らかに問題となるレベル。
【0098】
<印字後乾燥性>
光ディスクレーベル印刷が可能な市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、PM−G800)にて、プリンタブルレーベル層面にレッド、ブルー、グリーン、ブラックのベタ印字を行い、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察した。下記の基準で総合で評価した。
◎:全く転写しない。
○:わずかに転写するが実用可。
△:転写し実使用困難。
×:大部分が転写し実使用不可。
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
表2の結果より、本発明によればほう素化合物を添加することにより、インク吸収性を向上させることができ、その結果印字後の乾燥性が良化することがわかる。またほう素化合物を用いるとバインダーであるポリビニルアルコールとの架橋反応によりひび割れを抑制するためのポリビニルアルコール添加量を減らすことができる。ただし、ほう素化合物を添加しただけでは塗液の粘度が著しく上昇してしまいゲル化してしまった。希釈によりこのゲル化を回避するためには、大幅に希釈する必要があり、塗布後の乾燥工程で情報記録媒体が長時間熱風に曝されていたために、生産効率が低下しただけでなく、基板がカールして変形し、情報記録時及び再生時に悪影響を及ぼした。また、該ゲル化の挙動を和らげる目的で二価の酸であるD−りんご酸や硫酸またはマロン酸を添加したが、アルミナ水和物分散液に添加した瞬間に凝集物が生じてしまった。つまり、本発明の通り、プリンタブルレーベル層が、主体としてアルミナまたはアルミナ水和物、一価の有機酸、ポリビニルアルコール及びほう素化合物を少なくとも含有する情報記録媒体によって所期の目的を達することができたことがわかる。
【実施例2】
【0102】
−情報記録媒体サンプル18の作製−
上記実施例1の情報記録媒体サンプル1の作製において、プリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度20.0%のプリンタブルレーベル層塗布液18に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル18を作製した。
<プリンタブルレーベル層塗布液18>
顔料分散液1 103.3部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 3.0部
((株)理研グリーン製ピュラケムWT)
【0103】
−情報記録媒体サンプル19の作製−
上記実施例1の情報記録媒体サンプル1の作製において、プリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度20.0%のプリンタブルレーベル層塗布液19に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル19を作製した。
<プリンタブルレーベル層塗布液19>
顔料分散液1 103.3部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
酢酸ジルコニウム 3.0部
(第一稀元素化学工業(株)製ジルコゾールZA−30)
【0104】
−情報記録媒体サンプル20の作製−
上記実施例1の情報記録媒体サンプル1の作製において、プリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度20.0%のプリンタブルレーベル層塗布液20に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル20を作製した。
<プリンタブルレーベル層塗布液20>
顔料分散液1 103.3部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 3.0部
((株)理研グリーン製ピュラケムWT)
プロピレングリコール 5.0部
【0105】
−情報記録媒体サンプル21の作製−
上記実施例1の情報記録媒体サンプル1の作製において、プリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度20.0%のプリンタブルレーベル層塗布液21に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル21を作製した。
<プリンタブルレーベル層塗布液21>
顔料分散液1 103.3部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
プロピレングリコール 5.0部
【0106】
−情報記録媒体サンプル22の作製−
上記実施例1の情報記録媒体サンプル1の作製において、プリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度20.0%のプリンタブルレーベル層塗布液22に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル22を作製した。
<プリンタブルレーベル層塗布液22>
顔料分散液2 106.5部
酢酸 5.0部
ほう酸 1.0部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 3.0部
((株)理研グリーン製ピュラケムWT)
プロピレングリコール 5.0部
【0107】
−情報記録媒体サンプル23の作製−
上記実施例1の情報記録媒体サンプル1の作製において、プリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度20.0%のプリンタブルレーベル層塗布液23に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル23を作製した。
<プリンタブルレーベル層塗布液23>
顔料分散液2 101.5部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
酢酸ジルコニウム 3.0部
(第一稀元素化学工業(株)製ジルコゾールZA−30)
【0108】
−情報記録媒体サンプル24の作製−
上記実施例1の情報記録媒体サンプル1の作製において、プリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度20.0%のプリンタブルレーベル層塗布液24に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル24を作製した。
<プリンタブルレーベル層塗布液24>
顔料分散液2 101.5部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 3.0部
((株)理研グリーン製ピュラケムWT)
【0109】
−情報記録媒体サンプル25の作製−
上記実施例1の情報記録媒体サンプル1の作製において、プリンタブルレーベル層塗布液1を下記固形分濃度20.0%のプリンタブルレーベル層塗布液25に変更した以外は情報記録媒体サンプル1と同様にして情報記録媒体サンプル25を作製した。
<プリンタブルレーベル層塗布液25>
顔料分散液8 101.6部
ポリビニルアルコール 9.5部
((株)クラレ製PVA235(鹸化度88%、平均重合度3500)の水溶液)
界面活性剤 0.3部
(旭硝子(株)製サーフロンS−131)
酢酸ジルコニウム 3.0部
(第一稀元素化学工業(株)製ジルコゾールZA−30)
【0110】
得られた各々の情報記録媒体について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表4に示す。また、比較のため実施例1において作製した情報記録媒体サンプル1の結果も表4にあわせて示した。また、表3には情報記録媒体サンプル1及び18〜25の組成、プリンタブルレーベル層に用いた顔料分散液の平均二次粒子径、プリンタブルレーベル層塗布液の固形分濃度及び乾燥時の乾燥水分量を記載した。
【0111】
【表3】

【0112】
【表4】

【0113】
表4の結果より、本発明のプリンタブルレーベル層に更に水溶性多価金属を使用することにより、更なる耐水性の向上を図ることができ、また、炭素数3〜5のアルカンジオールを使用することにより、耐水性の向上と印字後乾燥性の向上を図ることができることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】情報記録媒体の構成を示した説明図である。
【符号の説明】
【0115】
10 基板
11 光情報記録層
12 光反射層
13 保護層
14 下地層
15 プリンタブルレーベル層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、光情報記録層、下地層及びプリンタブルレーベル層を少なくとも有する情報記録媒体であり、プリンタブルレーベル層が、主体としてアルミナまたはアルミナ水和物、一価の有機酸、ポリビニルアルコール及びほう素化合物を少なくとも含有するプリンタブルレーベル層塗布液を塗布、乾燥させてなることを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
前記アルミナまたはアルミナ水和物が一価の有機酸の存在下で平均二次粒子径500nm以下に分散されたことを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
【請求項3】
前記プリンタブルレーベル層が、水溶性多価金属を含有することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
【請求項4】
前記プリンタブルレーベル層が、炭素数3〜5のアルカンジオールから選ばれる少なくとも1種以上の化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれか1項に記載される情報記録媒体のプリンタブルレーベル層塗設時の乾燥水分量が120g/m2以下である情報記録媒体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−163828(P2009−163828A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1169(P2008−1169)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】