説明

情報記録装置、情報記録方法

【課題】少なくとも最低画質の画像に対して高速にアクセスすること。
【解決手段】画質方向にスケーラビリティーを有する符号化方式で符号化された画像の符号化データを、内周側の領域(特別領域)、外周側の領域(一般領域)を有するディスク状の記憶媒体に記録する際に、画像の符号化データのうち、所定の画質の画像を構成するために必要なデータを、記憶媒体の特別領域に記録する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画質方向にスケーラビリティーを有する符号化方式で符号化された画像の符号化データを、内周側の領域、外周側の領域を有するディスク状の記憶媒体に記録する情報記録装置、情報記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
記憶媒体の種類によっては、高速にアクセス可能な領域とそうでない領域が存在する。例えば、光ディスクはディスクの内周部の方が外周部に比べて高速にアクセスができることが知られている。また、特に記憶媒体がディスクである場合は、複数のデータをまとめて読み出す時、データの記録位置が近いほどシーク時間が短くなり、高速にアクセスできる。ディスク上に記録された複数のデータを高速にアクセスする方法として、読み出し指定されたデータをディスクの記録順に読み出すことでシーク時間を短縮する方法が考えられる。
【0003】
JPEG2000ファイルは、ファイルの先頭から途中までのデータを読み込むだけで、読み込んだデータから復元できる範囲内で画像をデコードできる。また、JPEG2000ファイルは、解像度やS/N比に応じた記録順でデータを記録できるので、S/N比の低い順にデータを記録し、先頭から一定サイズのデータを読み込むだけで低画質の画像を取得する機能を実現できる。S/N比に応じた順で記録する方式を、Layer level−Resolution−component−position progressionと呼んでいる。
【0004】
JPEG2000ファイルの上記のような利点を生かして、ファイルの先頭に必要なデータを配置し必要な部分だけを読み込むことで、必要とされるデータを速やかに読み込み、表示などに利用できる。
【0005】
このような状況において、必要なデータだけを特定の領域に記録することで必要なデータに高速にアクセスすることを特徴とする方法は、従来から様々な方法が提案されており、例えば特開平03−053381号公報、特開平07−123346号公報、特開平08−077325号公報などが挙げられる。
【0006】
特開平03−053381号公報「画像情報高速検索方式」は、ディスクに格納されたディジタル画像情報を高速に検索する画像情報高速検索方式について開示しており、より詳細には画像情報を複数のステージに階層化し、階層化されたステージのうち1ステージ分の画像情報をディスク内の高速ランダムアクセスが可能な領域に格納し、他のステージをこの領域以外に格納する方式について開示している。
【0007】
この方式によれば、高頻度で発生する検索要求が入力された場合には、高速ランダムアクセス可能領域に格納されている1ステージ分の画像情報のみを用いて高速に検索を行い、検索要求の停止または検索要求の発生頻度の低下に応じて、他のステージの画像情報をも用いて検索表示を行うことができる。
【0008】
特開平07−123346号公報「画像記録再生方法及び装置」は、アクセス速度は速いが容量の小さい第1の記録媒体と、アクセス速度は遅いが大容量の第2の記録媒体を併用し、第2の記録媒体に記録されたデータのうち、利用頻度の高いデータを第1の記録媒体に記録することを特徴とする発明である。この方式によれば、画像データのうち利用頻度の高い部分のみを高速アクセス可能な媒体に記録するので、必要なデータには高速にアクセスすることが可能になる。
【0009】
特開平08−077325号公報「静止画像データの記録装置」は、複数解像度の静止画データをそれぞれ固定長符号化して解像度ごとに用意された領域に分けて記録することを特徴とする発明である。この方式によれば、必要な解像度のデータをまとめて読み込む場合の読み込み速度を向上させつつ、記録領域の空き領域の検索速度の向上を実現することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
データを分けて記録することによる高速化方式は上述の通り既にいくつかの方法が発明されている。しかし、これらの方法には、それぞれ以下のような問題点がある。
【0011】
まず、特開平03−053381号公報「画像情報高速検索方式」による方式では、高速ランダムアクセス領域に記録されるデータのデータ長が可変長になる可能性があり、高速ランダムアクセス可能領域に記録可能な画像データ数が予測不能である。また、画像の新規追加や削除操作を頻繁に行う場合、高速ランダムアクセス可能領域にフラグメンテーションが生じ、高速ランダムアクセス可能領域の利用効率が低下してしまうという問題がある。逆に、必ず固定長符号化するという場合には、符号化長の設定値によって圧縮効率、もしくは記録するデータの画質に制限が加わってしまうという問題がある。また、高速ランダムアクセス領域に記録されるデータは、それ自体で必ず完結しなくてはならない。
【0012】
次に、特開平07−123346号公報「画像記録再生方法及び装置」による方式を用いた場合、第1の記録媒体と第2の記録媒体に記録されるデータは重複してしまい、記録媒体の利用効率が著しく低下してしまうという問題があった。
【0013】
最後に、特開平08−077325号公報「静止画像データの記録装置」による方式を用いるためには、予め定められた解像度のデータを必ず固定長符号化しなくてはならず、可変長符号化を行う圧縮方式で圧縮された画像データを扱えないという問題があった。
【0014】
本発明は以上の問題に鑑みてなされたものであり、少なくとも最低画質の画像を記憶媒体においてより高速にアクセス可能な領域に記録する情報記録装置、情報記録方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的を達成するために、例えば本発明の情報記録装置は以下の構成を備える。
【0016】
すなわち、画質方向にスケーラビリティーを有する符号化方式で符号化された画像の符号化データを、内周側の領域、外周側の領域を有するディスク状の記憶媒体に記録する情報記録装置であって、
前記画像の符号化データのうち、所定の画質の画像を構成するために必要なデータを、前記記憶媒体の内周側の領域に記録する記録手段を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の目的を達成するために、例えば本発明の情報記録方法は以下の構成を備える。
【0018】
すなわち、画質方向にスケーラビリティーを有する符号化方式で符号化された画像の符号化データを、内周側の領域、外周側の領域を有するディスク状の記憶媒体に記録する情報記録方法であって、
前記画像の符号化データのうち、所定の画質の画像を構成するために必要なデータを、前記記憶媒体の内周側の領域に記録する記録工程を備えることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して、本発明を好適な実施形態に従って詳細に説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は本実施形態に係る情報記録装置の基本構成を示す図である。CPU101は装置全体の動作を制御すると共に、一次記憶装置102に格納されたプログラムの実行などを行う。一次記憶装置102はRAMに代表される読み書き可能なメモリとして機能し、CPU101により二次記憶装置103から読み出されたプログラムやデータなどを格納する。
【0021】
二次記憶装置103はハードディスクに代表される大容量記憶装置として機能し、その記憶容量は一般的には一次記憶装置102のそれよりも大きい。よって、一次記憶装置102に格納しきれないプログラムやデータなどは二次記憶装置103に格納される。また、長時間記憶しなくてはならないデータなども二次記憶装置103に格納される。一般にはプログラムを二次記憶装置103に格納しておき、CPU101がプログラムを実行する際には二次記憶装置103から一次記憶装置102にこのプログラムをロードする。
【0022】
入力デバイス104はマウスやキーボードなどのポインティングデバイスや音声入力装置などにより構成されており、CPU101に対して各種の指示を入力するために用いられる。出力デバイス105はモニタやプリンタなどにより構成されている。データ入出力装置106は、プログラムやデータの読み書き可能な記憶媒体107に対してプログラムやデータの読み書きを行う装置であって、例えば記憶媒体107がCD−RWである場合、データ入出力装置106はCD−ROMドライブである。
【0023】
次に、以上の構成を備える情報記録装置が、二次記憶装置103に格納されているデータをデータ入出力装置106により記憶媒体107に書き込む処理について以下説明する。本実施形態では書き込むデータはJPEG2000に従った画像の符号化データであるとする。
【0024】
図2はLayer−resolution level−component−position progression(以下、LRCPと記す)に従ったJPEG2000の符号化データのデータ構成を示す図である。LRCPに準じたJPEG2000の符号化データは、Layer/Resolution/Component/Positionの順にデータが配置された構成を備える。なお、同図ではヘッダ部分は説明上、省略している。
【0025】
JPEG2000の符号化データは大まかにはLayer毎のデータに分けることができる。各Layerのデータはすなわち公知のビットプレーン符号化による各ビットプレーンの符号化データで、MSB側のビットプレーン(Layer0)から順にLSBのビットプレーン(LayerL)までが配置される。Layer番号は復元する画像の原画に対するS/N比に対応し、Layer番号が小さいほどS/N比が悪く(低く)なる。すなわち、同図のJPEG2000のデータは、S/Nの悪い順に各Layerのデータが配置されていることになる。
【0026】
更に各Layerのデータは各Resolutionのデータにより構成されている。各Resolutionのデータは解像度(画像のサイズ)に応じたResolution番号に従った順序で配置されている。解像度とResolution番号との関係を図3に示す。最も小さい解像度の画像のResolution番号を0とし、Resolution番号が一つ増加するごとに画像の幅と高さが倍になっていく。各Layer内は、Resolution番号の小さい順にデータが格納されている。
【0027】
また各Resolutionのデータは各Componentのデータにより構成されている。各Componentのデータは画像の各色データに対応しており、例えば画像がRGBの各データにより構成されている場合には、Component0のデータはR成分のデータ、Component1のデータはG成分のデータ、Component2のデータはB成分のデータである、すなわち、Component数は画像の色空間の次元数に一致する。
【0028】
一つのJPEG2000ファイル内でのResolution番号とLayer番号、Component番号の最大値は、エンコーダによって予め設定されており、この最大値を示すデータは図2に示すデータに添付されている不図示のヘッダに含まれているものとする。
図4は、上記記憶媒体107の情報記憶部分を示す図である。本実施形態では記憶媒体107はCD−RW等のデータの読み書き可能な光ディスクであるとする。一般にディスクに記録された情報を読み取る装置(例えばCD−ROMドライブ装置)は光ディスクの内周側の領域(例えば全セクタ数の30%に相当する内側の数セクタ)と外周側の領域(内側の領域以外の領域に含まれるセクタ)とでは内周側の領域程、より高速にアクセスすることができる。以下ではこの内周側の領域を特別領域と呼称する。また外周側の領域を一般領域と呼称する。
【0029】
また本実施形態ではディスク(記憶媒体107)の論理フォーマットをUDFとする。UDFのフォーマットを用いると、一つのファイルを分割して記憶媒体107の複数の位置に書き込むことができる。分割された各データは分割数と等しい数のUDFエントリを用いて記憶媒体107に記録される。
【0030】
次に、二次記憶装置103に記憶されているJPEG2000のデータをデータ入出力装置106により記憶媒体107に書き込む処理について、同処理のフローチャートを示す図5を用いて説明する。
【0031】
まずCPU101は二次記憶装置103に格納されている符号化データを一次記憶装置102に読み出すと共に、ヘッダを参照し、上記最大Layer番号、最大Resolution番号、Component番号、予め定められた画像サイズに相当するResolution番号、ストリームの記録方法を取得する(ステップS501)。
【0032】
次にCPU101はストリーム(図2に示した符号化データ)の記録方法がLRCPであるか否かを判断し(ステップS502)、LRCPでない場合には符号化データをLRCPに従って図2に示す構成に再構成(パケットの並び替え)すると共に、ヘッダ部分に記録されているストリームの記録方法をLRCPに修正する(ステップS503)。
【0033】
次に、特別領域に書き込むべきデータのデータ長d_lengthを入力する(ステップS504)。本実施形態ではこのデータ長d_lengthは予め定められた長さとして、二次記憶装置103に記憶されており、本ステップにおいてCPU101による制御により一次記憶装置102に読み出されるものとするが、他にも例えば入力デバイス104を用いて入力し、同様に一次記憶装置102に記憶させても良い。ここでデータ長d_lengthは少なくとも最も低いS/N比の画像を構成するために必要なデータ、例えばLayer0に含まれる全てのデータのバイト数を設定すれば良い。本実施形態ではデータ長d_lengthは最も低いS/N比の画像、即ち最低画質画像を構成するために必要なデータのバイト数を示すものとする。
【0034】
次に、CPU101はデータ入出力装置106を制御し、データ入出力装置106は上記UDFの機能を利用して符号化データの先頭からd_length分を記憶媒体107の特別領域に書き込み(ステップS505)、残りの部分(符号化データの先頭からd_lengthのバイト数分以降のデータ)を記憶媒体107の一般領域に書き込む(ステップS506)。
【0035】
以上の処理により、より高速にアクセスすることが可能な領域に最低画質画像を記録することができる。例えば記憶媒体107に複数の画像の符号化データを記録し、夫々の画像を一覧表示したい場合、夫々の画像のサムネイル画像として少なくとも最低画質の画像を表示装置としての出力デバイス105の表示画面上に表示すればよいのであるが、以上の処理により、記憶媒体107の情報記憶領域を問わずに符号化データを記録した場合よりもより高速にサムネイル画像を読み出すことができる。
【0036】
次に、上記方法により符号化データを記録した記憶媒体107から、この符号化データを読み出す方法について説明する。図6は特別領域に記録されたデータ、すなわち最低画質の画像のデータのみを読み出す処理のフローチャートである。
【0037】
まずCPU101はデータ入出力装置106を指示し、データ入出力装置106は記憶媒体107をシークして、読み出す対象となる符号化データを記録するのに用いたエントリを取得する(ステップS601)。次にCPU101は取得したエントリのうち、特別領域を示すエントリのみを選択する(ステップS602)。そしてCPU101はデータ入出力装置106に指示し、データ入出力装置106は選択したエントリを用いて記録されたデータを一次記憶装置102に読み出す(ステップS603)。そしてCPU101は一次記憶装置102に読み出されたデータをデコードする(ステップS604)。なお、デコードするためのプログラムは二次記憶装置103に格納されており、必要に応じて一次記憶装置102に読み出される。
【0038】
図7は特別領域、一般領域に記録されたデータ、すなわち、1つの符号化データを読み出す処理のフローチャートである。まずCPU101はデータ入出力装置106を指示し、データ入出力装置106は記憶媒体107をシークして、読み出す対象となる符号化データを記録するのに用いたエントリを取得する(ステップS701)。次にCPU101はデータ入出力装置106に指示し、データ入出力装置106は取得したエントリを用いて記録されたデータを一次記憶装置102に読み出す(ステップS702)。そしてCPU101は一次記憶装置102に読み出されたデータをデコードする(ステップS703)。なお、デコードするためのプログラムは二次記憶装置103に格納されており、必要に応じて一次記憶装置102に読み出される。
【0039】
以上の説明により、本実施形態に係る情報記録装置によって、より高速にアクセス可能な記憶媒体の領域に符号化された画像の内容を大まかに理解できるようにするためのデータ部分を記録することができるので、記憶媒体に複数の符号化データが記録されても、従来よりもより高速に記憶媒体に記録された画像の概略部分のデータを閲覧することができる。
【0040】
また本実施形態に係る情報記録装置は、標準化されたJPEG2000というフォーマットとの完全互換を保ちつつ、可変長符号化されたデータのうち予め定められた部分のデータを特別領域に記録することで上記特開平03−053381号公報による問題を解決することができる。さらに、JPEG2000形式のデータは、先頭から任意の位置でデータを切っても問題なく再生できるので、特別領域に記録するデータが完結しているかどうかを判定する必要がないという利点がある。
【0041】
また本実施形態に係る情報記録装置は、アクセス速度の高い領域とアクセス速度の低い領域のそれぞれに記録されるデータに重複する部分を無くし、記憶媒体の利用効率の向上を図ることが可能になるので、上記特開平07−123346号公報による問題を解決することができる。
【0042】
また本実施形態に係る情報記録装置は、固定長符号化された画像データのみならず可変長符号化された画像データに対しても同様の効果を得ることが可能になるので、上記特開平08−077325号公報による問題を解決することができる。
【0043】
なお、本実施形態では特別領域に記録したデータは最低画質画像であったが、これに限定されるものではなく、上述の通り、少なくとも最も低いS/N比の画像であればよく、例えばLayer0のデータとLayer1のデータを特別領域に記録し、それ以降のデータは一般領域に記録しても良い。
【0044】
また本実施形態では特別領域に記録するデータは予め定められたサイズの固定長であったが、ヘッダ情報を読み込み、必要な解像度で必要なS/N比のResolution番号とLayer番号を取得し、特別領域に記録するデータのデータ長を決定しても良いことは言うまでもない。
【0045】
[第2の実施形態]
第1の実施形態に係る情報記録装置は、JPEG2000に従って既にエンコードされた符号化データを記憶媒体に記録する装置であった。本実施形態に係る情報記録装置はエンコーダを備え、エンコードされていない元画像を入力し、JPEG2000に従ってエンコードした後、第1の実施形態で説明したように、エンコード後の符号化データを記憶媒体に記録する。
【0046】
以下、本実施形態に係る情報記録装置について説明する。図8は本実施形態に係る情報記録装置の概略機能構成と、本装置への入力対象となる元画像を示す図である。
【0047】
画像801は情報記録装置に入力され、JPEG2000に従って符号化される対象となる画像である。パラメータ設定部802は後述のJPEG2000エンコーダ803の動作を制御するためのパラメータを設定する。設定するパラメータとしては、エンコードする際の解像度スケーラビリティResolutionの最大値、S/N比スケーラビリティLayerの最大値、色空間の次元数Componentなどである。ここでComponent数は、入力される原画像801の色成分数である。パラメータの設定は例えばキーボードやマウスなどを用いて設定してもよく、その場合はパラメータ設定部802は上記入力デバイス104として機能することになる。
【0048】
JPEG2000エンコーダ803は、パラメータ設定部802により入力されたパラメータに従って、入力された画像801に対してJPEG2000に従った符号化を行う。JPEG2000に従った符号化については公知の技術であるので、ここでの説明を省略する。
【0049】
出力処理部804は、記憶媒体に符号化データを記録する処理を行い、上記データ入出力装置106として機能する。出力処理部804が行う処理のフローチャートを図9に示す。まずJPEG2000エンコーダ803により生成された符号化データのヘッダを参照して、特別領域に記録すべきデータのデータ長(例えば4kb)を設定する(ステップS901)。これは例えば、ヘッダを参照し、予め定められた必要な解像度で必要なS/N比のResolution番号とLayer番号を取得し、特別領域に記録するデータのデータ長を決定する。
【0050】
そして決定したデータ長が予め定められた閾値を越えているか否かを判断し(ステップS902)、越えていない場合には、符号化データの先頭から決定したデータ長分だけのデータを記憶媒体の特別領域に記録し(ステップS903)、残りのデータを一般領域に記録する(ステップS904)。
【0051】
[第3の実施形態]
第1,2の実施形態では記憶媒体に記録するデータとしてJPEG2000に従った符号化データとした。これは符号化方式が画質方向にスケーラビリティーを有するものであるからである。JPEG2000以外にProgressive JPEGの符号化方式もまた画質方向にスケーラビリティーを有する符号化方式であり、分割記録することができる。
【0052】
図10に入力された画像に対して設定されたパラメータに従ってProgressive JPEGに従った符号化を行い、生成された符号化データを記憶媒体に分割記録する情報記録装置の概略機能構成と、入力対象の画像を示す。画像1001はProgressive JPEGの符号化対象となる画像である。パラメータ設定部1002はJPEG Progressiveエンコーダ1003の動作を制御するためのパラメータを設定するためのものであり、上記パラメータ設定部802と同じ機能を有するものであるが設定するものが異なる。すなわちパラメータ設定部1002はエンコードする際のスキャン数をパラメータとして設定する。
【0053】
JPEG Progressiveエンコーダ1003はProgressive JPEGに従った符号化方式で画像1001に対して符号化を行う。Progressive JPEGに従った符号化方式については公知の技術であるので、その説明を省略する。出力処理部1004は出力処理部804と同じであるので、その説明を省略する。
【0054】
以上の構成により、Progrssive JPEGに従った符号化データでも、JPEG2000に従った符号化データと同様に分割記録を行うことが可能になる。
【0055】
[その他の実施の形態]
さらに、本発明は上記実施形態を実現するための装置及び方法のみに限定されるものではなく、上記システム又は装置内のコンピュータ(CPUあるいはMPU)に、上記実施形態を実現するためのソフトウエアのプログラムコードを供給し、このプログラムコードに従って上記システムあるいは装置のコンピュータが上記各種デバイスを動作させることにより上記実施形態を実現する場合も本発明の範疇に含まれる。
【0056】
またこの場合、前記ソフトウエアのプログラムコード自体が上記実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、具体的には上記プログラムコードを格納した記憶媒体は本発明の範疇に含まれる。
【0057】
この様なプログラムコードを格納する記憶媒体としては、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0058】
また、上記コンピュータが、供給されたプログラムコードのみに従って各種デバイスを制御することにより、上記実施形態の機能が実現される場合だけではなく、上記プログラムコードがコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)、あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して上記実施形態が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の範疇に含まれる。
【0059】
更に、この供給されたプログラムコードが、コンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後、そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能格納ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上記実施形態が実現される場合も本発明の範疇に含まれる。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明により、本発明によって、少なくとも最低画質の画像に対して高速にアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報記録装置の基本構成を示す図である。
【図2】Layer−resolution level−component−position progressionに従ったJPEG2000の符号化データのデータ構成を示す図である。
【図3】解像度とResolution番号との関係を示す図である。
【図4】記憶媒体107の情報記憶部分を示す図である。
【図5】二次記憶装置103に記憶されているJPEG2000のデータをデータ入出力装置106により記憶媒体107に書き込む処理のフローチャートを示である。
【図6】特別領域に記録されたデータ、すなわち最低画質の画像のデータのみを読み出す処理のフローチャートである。
【図7】特別領域、一般領域に記録されたデータ、すなわち、1つの符号化データを読み出す処理のフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る情報記録装置の概略機能構成と、本装置への入力対象となる元画像を示す図である。
【図9】出力処理部804が行う処理のフローチャートである。
【図10】入力された画像に対して設定されたパラメータに従ってProgressive JPEGに従った符号化を行い、生成された符号化データを記憶媒体に分割記録する情報記録装置の概略機能構成と、入力対象の画像を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画質方向にスケーラビリティーを有する符号化方式で符号化された画像の符号化データを、内周側の領域、外周側の領域を有するディスク状の記憶媒体に記録する情報記録装置であって、
前記画像の符号化データのうち、所定の画質の画像を構成するために必要なデータを、前記記憶媒体の内周側の領域に記録する記録手段を備えることを特徴とする情報記録装置。
【請求項2】
前記記録手段は更に、前記画像の符号化データのうち、所定の画質の画像を構成するために必要なデータ以外のデータを、前記記憶媒体の外周側の領域に記録することを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項3】
前記記録手段は更に、所定の画質の画像を構成するために必要なデータのデータ長を指示する指示手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録装置。
【請求項4】
更に、画像を前記符号化方式で符号化する符号化手段を備え、
前記記録手段は、当該符号化手段による符号化データを前記記憶媒体に記録することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報記録装置。
【請求項5】
前記符号化方式は、JPEG2000であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報記録装置。
【請求項6】
前記符号化方式は、Progressive JPEGであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報記録装置。
【請求項7】
画質方向にスケーラビリティーを有する符号化方式で符号化された画像の符号化データを、内周側の領域、外周側の領域を有するディスク状の記憶媒体に記録する情報記録方法であって、
前記画像の符号化データのうち、所定の画質の画像を構成するために必要なデータを、前記記憶媒体の内周側の領域に記録する記録工程を備えることを特徴とする情報記録方法。
【請求項8】
コンピュータを請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報記録装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
コンピュータに請求項7に記載の情報記録方法を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
image rotate



【図2】
image rotate



【図3】
image rotate



【図4】
image rotate



【図5】
image rotate



【図6】
image rotate



【図7】
image rotate



【図8】
image rotate



【図9】
image rotate



【図10】
image rotate


【公開番号】特開2004−79029(P2004−79029A)
【公開日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−234727(P2002−234727)
【出願日】平成14年8月12日(2002.8.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】