説明

情報記録装置及び情報記録方法

【課題】複数の情報記憶媒体の連結により形成された情報記憶領域に対するデータ記録時の電力消費量を低減することが可能な情報記録方法を提供すること。
【解決手段】情報記録方法は、n個(n:自然数、n≧2)の情報記憶媒体の連結により形成された情報記憶領域に含まれた1又は複数の空き領域を管理し、記録データのサイズに基づき、前記1又は複数の空き領域に対して、前記記録データを記録するための1又は複数のデータ記憶領域を設定し、前記n個の情報記憶媒体のうちのm個(m:自然数、n≧m≧2)のデータ記憶領域設定媒体の前記複数の空き領域に対する前記複数のデータ記憶領域の設定に基づき、これら複数のデータ記憶領域を含む前記m個のデータ記憶領域設定媒体に対する前記記録データの記録順序を制御するとともに、この記録順序に基づき各データ記憶領域設定媒体のドライブに対する起動開始命令の出力タイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複数のHDD(情報記憶媒体)の連結により形成された情報記憶領域に対して、映像コンテンツ等の記録データを記録する情報記録装置及び情報記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の再生環境の向上に伴い、取得可能な映像コンテンツの数は増加傾向にあり、また映像の高画質化に伴い、映像コンテンツのデータサイズも増大傾向にある。このようなデータサイズの大きい多数の映像コンテンツを録画するための録画装置が普及している。例えば、記憶容量の大きいHDDを内蔵した録画装置が登場している。或いは、複数のHDDと同時接続可能な録画装置が登場している(特許文献1参照)。
【0003】
後者の録画装置は、複数のHDDに対して継続してデータを記録する場合、複数のHDDの各々に対応する複数の再生手順情報を生成し、複数の再生手順情報のリンク情報を一つの再生管理情報に設定する。再生時には、再生管理情報に基づいて、各HDDに対応する再生手順情報を取得し、データが再生される。
【0004】
後者の録画装置は、多数のHDDを接続することにより大容量記憶領域を確保することができる。しかしならが、多数のHDDの接続により、消費電力が大きくなってしまう。例えば、8台のHDDを接続し大容量記憶領域を確保した場合、常時、8台のHDDが稼動し、消費電力は決して小さいものではない。ところが、このような8台のHDDが接続された状態で、つまり8台のHDDが稼動した状態で、1台のHDDだけに記憶された映像コンテンツだけが再生されることがあり、非常にエネルギー効率が悪い。
【0005】
そこで、アクセスが終了したハードディスクの回転を停止したり、アクセスが終了したハードディスクに対する電源供給をオフにしたりして、省エネルギーを実現するための技術が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−146019
【特許文献2】特開2005−63591
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示された技術は、複数のHDDを利用したデータ記録技術に過ぎない。つまり、上記特許文献1に開示された技術により、上記したようなエネルギー効率の悪化が改善されるわけではない。
【0007】
近年、省エネルギーに対する要求は高い。上記特許文献2に開示された技術は、データ再生時の省エネルギーを実現するための技術に過ぎず、上記特許文献に開示された技術により、データ記録時の省エネルギーを実現するのは難しい。データ再生時には、予めデータ再生領域を検出することができるため、比較的簡単に、上記したようなハードディスクの制御が可能となる。しかしながら、データ記録時には、複数の空き領域が順番に使用されるわけではなく、省エネルギーのためのハードディスクの制御は容易ではない。
【0008】
本発明の目的は、複数の情報記憶媒体の連結により形成された情報記憶領域に対するデータ記録時の電力消費量を低減することが可能な情報記録装置及び情報記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の一実施形態に係る情報記録装置は、n個(n:自然数、n≧2)の情報記憶媒体の連結により形成された情報記憶領域に含まれた1又は複数の空き領域を管理する管理手段と、記録データのサイズ及び前記1又は複数の空き領域の各サイズに基づき、前記1又は複数の空き領域に対して、前記記録データを記録するための1又は複数のデータ記憶領域を設定する設定手段と、前記n個の情報記憶媒体のうちのm個(m:自然数、n≧m≧2、)のデータ記憶領域設定媒体の前記複数の空き領域に対する前記複数のデータ記憶領域の設定に基づき、これら複数のデータ記憶領域を含む前記m個のデータ記憶領域設定媒体に対する前記記録データの記録順序を制御するとともに、この記録順序に基づき各データ記憶領域設定媒体のドライブに対する起動開始命令の出力タイミングを制御し、この起動開始命令を受けて記録可能状態となったドライブの前記データ記憶領域設定媒体の前記データ記憶領域に対して前記記録データを記録する記録手段と、を備えている。
【0010】
この発明の一実施形態に係る情報記録方法は、n個(n:自然数、n≧2)の情報記憶媒体の連結により形成された情報記憶領域に含まれた1又は複数の空き領域を管理し、記録データのサイズに基づき、前記1又は複数の空き領域に対して、前記記録データを記録するための1又は複数のデータ記憶領域を設定し、前記n個の情報記憶媒体のうちのm個(m:自然数、n≧m≧2、)のデータ記憶領域設定媒体の前記複数の空き領域に対する前記複数のデータ記憶領域の設定に基づき、これら複数のデータ記憶領域を含む前記m個のデータ記憶領域設定媒体に対する前記記録データの記録順序を制御するとともに、この記録順序に基づき各データ記憶領域設定媒体のドライブに対する起動開始命令の出力タイミングを制御し、この起動開始命令を受けて記録可能状態となったドライブの前記データ記憶領域設定媒体の前記データ記憶領域に対して前記記録データを記録する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の情報記憶媒体の連結により形成された情報記憶領域に対するデータ記録時の電力消費量を低減することが可能な情報記録装置及び情報記録方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図9は、本発明の一実施形態に係る情報記録再生装置(ホームサーバ)の概略構成を示す図である。図9に示すように、情報記録再生装置は、記録再生制御モジュール1、設定モジュール2、管理モジュール3、及びデータ入出力制御モジュール4を備えている。
【0014】
情報記録再生装置は、例えば、複数のHDD(ハードディスクドライブ)と接続し、複数のHDDの各記録メディアの連結により形成された大容量記憶領域(図3に示す記録領域3−3)に対して記録データ(映像コンテンツ)を記録したり、大容量記憶領域に対して記録された記録データを再生したりすることができる。即ち、記録再生制御モジュール1は、複数のHDDの各記録メディアの連結により形成された大容量記憶領域に対する記録データの記録を制御したり、大容量記憶領域に記録された記録データの再生を制御したりする。
【0015】
管理モジュール3は、複数のHDDと接続し、これら複数のHDDの各記録メディアの連結により形成された大容量記憶領域のスタート位置及びレングス(或いはサイズ)を管理し、また、大容量記憶領域中の1又は複数の空き領域(リザーブエクステント)のスタート位置及びレングス(或いはサイズ)を管理する。さらに、管理モジュール3は、大容量記憶領域中の1又は複数のデータ記録済み領域のスタート位置及びレングス(或いはサイズ)を管理する。つまり、管理モジュール3は、各記録データ(各タイトル)の記録場所を管理することができる。
【0016】
設定モジュール2は、記録データのサイズ及び1又は複数の空き領域の各サイズに基づき、1又は複数の空き領域に対して、記録データを記録するための1又は複数のデータ記憶領域(記録用リザーブエクステント)を設定する。記録再生制御モジュール1による記録制御により、設定された1又は複数のデータ記憶領域に対して記録データが記録される。
【0017】
データ入出力制御モジュール4は、記録再生制御モジュール1の記録制御に基づき、外部から提供される記録データを管理モジュール3へ入力したり、記録再生制御モジュール1の再生制御に基づき、管理モジュール3から提供される記録データを外部へ出力したりする。
【0018】
図1は、図9に示す情報記録再生装置による省電力記録処理の概要を示すフローチャートである。
【0019】
情報記録再生装置の起動時に、管理モジュール3は、各HDD(各記録メディア)の中の1又は複数の空き領域(1又は複数のリザーブエクステント)を抽出し、これら複数のHDDの各記録メディアの連結により形成された大容量記憶領域の中の1又は複数の空き領域(1又は複数のリザーブエクステント)を管理する(ST1−2、ST1−4)。
【0020】
例えば、管理モジュール3は、図2に示すビットマップテーブル2−2に基づき、所定のHDDの記録メディアの1又は複数の空き領域(1又は複数のリザーブエクステント)を抽出する。ビットマップテーブル2−2は、所定のHDDの記録メディアの記録領域2−1に対応し、記録領域2−1の最小アクセス単位(ロジカルブロック(LB))の使用状態を管理するものである。例えば、使用済み(データ記録済み)のLBに対してビット1が設定され、未使用(データ未記録)のLBに対してビット0が設定される。さらに、所定のHDDの記録メディアの1又は複数の空き領域(1又は複数のリザーブエクステント)は、リザーブエクステント管理情報2−3により管理される。リザーブエクステント管理情報2−3は、各空き領域の先頭位置及びサイズ情報を含み、空き領域(リザーブエクステント)をアドレス順に管理する。
【0021】
また、図3に示すように、各HDDの記録メディア3−1は単純連結されており、これにより記録領域3−3が形成されている。記録領域3−3は、各HDDの記録メディア3−1により形成された領域であり、ロジカルブロックナンバー(LB)により一元管理される。記録メディア管理情報3−2は、記録メディア3−1の数及び各記録メディア3−1のサイズを管理する。また、リザーブエクステント管理情報3−4は、記録領域3−3の中の空き領域の先頭位置及びサイズ情報を含む。つまり、リザーブエクステント管理情報3−4により、記録領域3−3の中の空き領域が正確に管理される。
【0022】
一方、設定モジュール2は、映像コンテンツ(記録データ)のサイズに基づき、この映像コンテンツを記録するために必要なサイズを算出する(ST1−1)。なお、設定モジュール2は、映像コンテンツの明確なサイズが分からない場合には、映像コンテンツの平均データレート及び記録時間に基づき、映像コンテンツのサイズを推測する。さらに、設定モジュール2は、算出されたサイズ(又は推測されたサイズ)及び記録領域3−3の中の1又は複数のリザーブエクステントの各サイズに基づき、1又は複数のリザーブエクステントに対して、映像コンテンツを記録するための1又は複数の記録用リザーブエクステントを設定する(ST1−3)。つまり、設定モジュール2は、1又は複数のリザーブエクステント内に、算出されたサイズ(又は推測されたサイズ)の記録用リザーブエクステントを確保する。なお、記録用リザーブエクステントは、記録用リザーブエクステント管理情報3−5により管理される。
【0023】
管理モジュール3は、映像コンテンツを記録するための1又は複数の記録用リザーブエクステントを含まない1又は複数のHDDをスタンバイ状態(省電力状態)に制御する(ST1−7)。なお、各HDDは、記録可能状態において第1のパワーを消費し、スタンバイ状態において第1のパワーより小さい第2のパワーを消費する。即ち、映像コンテンツが記録されない1又は複数のHDD(記録メディア)をスタンバイ状態(省電力状態)に制御することにより、電力消費量を抑制することができる。
【0024】
一方、記録再生制御モジュール1は、例えば複数の記録用リザーブエクステントの設定に基づき、これら複数の記録用リザーブエクステントを含む各HDDに対する映像コンテンツの記録順序を制御するとともに、この記録順序に基づき各HDDに対する起動開始命令の出力タイミングを制御し、この起動開始命令を受けて記録可能状態となったHDDの記録用リザーブエクステントに対して映像コンテンツを記録する(ST1−5)。
【0025】
例えば、記録領域3−3は、ロジカルブロックナンバーにより一元管理されている。つまり、各記録用リザーブエクステントも、ロジカルブロックナンバーにより管理されており、各記録用リザーブエクステントのロジカルブロックナンバーにより、各記録用リザーブエクステントの使用順を決めることができる。例えば、第1番目に使用される記録用リザーブエクステントと第2番目に使用される記録用リザーブエクステントとが第1のHDDに含まれ、第3番目に使用される記録用リザーブエクステントが第2のHDDに含まれ、第4番目に使用される記録用リザーブエクステントが第3のHDDに含まれていると仮定する。このケースでは、記録再生制御モジュール1は、次のように記録順序を制御する。つまり、記録再生制御モジュール1は、映像コンテンツを、第1のHDD(第1番目に使用される記録用リザーブエクステントと第2番目に使用される記録用リザーブエクステント)に記録し、次に第2のHDD(第3番目に使用される記録用リザーブエクステント)に記録し、次に第3のHDD(第4番目に使用される記録用リザーブエクステント)に記録する。
【0026】
また、記録再生モジュール1は、最初に映像コンテンツを記録するためのHDD(上記のケースでは第1のHDD)が起動されていなければ、このHDDに対して直ちに起動開始命令を出力する。また、記録再生制御モジュール1は、映像コンテンツの記録を終えたHDDに対しては起動停止命令を出力し、このHDDをスタンバイ状態に制御する。
【0027】
なお、管理モジュール3は、各HDDがスタンバイ状態から記録可能状態になるまでに要する起動時間を管理し、記録再生制御モジュール1は、記録順序及び各デHDDの起動時間に基づき、各HDDに対する起動開始命令の出力タイミングを制御し、この起動開始命令を受けて記録可能状態となったHDDの記録用リザーブエクステントに対して映像コンテンツを記録する。
【0028】
例えば、管理モジュール3は、第1のHDDに対して映像コンテンツを記録した後、第2のHDDに対する映像コンテンツの記録準備完了までに要する記録準備時間を管理する(ST1−6)。また、記録再生制御モジュール1は、第2のHDDの起動時間と前記記録準備時間との差分時間に基づき、第2のHDDに対する起動開始命令の出力タイミングを制御し、第1のHDDに対して映像コンテンツを記録した後、起動開始命令を受けて記録可能状態となった第2のHDDのデータ記憶領域に対して映像コンテンツを記録する。つまり、記録再生制御モジュール1は、第2のHDDの起動時間が前記記録準備時間より長い場合、第1のHDDに対する映像コンテンツの記録終了時間より前記差分時間以上早いタイミングで、第2のHDDに対して起動開始命令を出力する(ST1−8)。これにより、第2のHDDにおける消費電力の浪費を防ぐとともに、第2のHDDの起動遅れも防止することができる。
【0029】
図5は、図9に示す情報記録再生装置による省電力記録処理の詳細を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、基本的に、図1に示すフローチャートと同じであるが、省電力記録処理の流れをより詳細に示したものである。
【0030】
最初に、設定モジュール2は、映像コンテンツデータサイズAを算出する(ST5−1)。映像コンテンツデータサイズが明確であれば、特に問題はない。映像コンテンツデータサイズが不明確であっても、最大データレート及び記録時間が検出できたり、推測できたりする場合は、下記のように映像コンテンツデータサイズAを算出することができる。
【0031】
映像コンテンツデータサイズA=映像コンテンツ記録時間Tt*データレートの最大値Rdmax
設定モジュール2は、リザーブエクステント管理情報3−4に基づき、サイズAの映像コンテンツデータを記録するための1又は複数の記録用リザーブエクステントを確保する(ST5−2)。つまり、リザーブエクステント管理情報3−4に基づき、記録用リザーブエクステント管理情報3−5が生成される。なお、リザーブエクステント管理情報3−4により管理されたリザーブエクステントのうち、記録用リザーブエクステントとして使用される部分は、リザーブエクステント管理情報3−4から除外される。なお、サイズAと1又は複数の記録用リザーブエクステントのサイズとの関係は以下の通りである。
【0032】
サイズA≦1又は複数の記録用リザーブエクステントのサイズ
以下、映像コンテンツの記録が完了するまで(ST5−3、YES)、ST5−4〜ST5−10の処理が継続され、映像コンテンツの記録が完了すると(ST5−3、NO)、記録終了処理が実行される(ST5−11)。記録終了処理では、管理情報が保存され、各HDDがスタンバイ状態(省電力状態)に制御される。
【0033】
映像コンテンツの記録が完了していない場合(ST5−3、YES)、図7に示すように、カレントな記録メディアに含まれる残りの記録用リザーブエクステントの合計Sが算出される(ST5−4)。サイズSと閾値Cが比較され(ST5−5)、図4の状態4−1に示すように、まだ、サイズSが閾値C以上であれば(ST5−5、NO)、カレントな記録メディアに含まれる記録用リザーブエクステントに対する映像コンテンツの記録が継続される(ST5−7)。図4の状態4−2に示すように、サイズSが閾値Cよりも小さくなると(ST5−5、YES)、カレントな記録メディアの次の記録メディアのドライブが起動状態に制御される(ST5−6)。なお、次の記録メディアとは、カレントな記録メディアの最後の記録用リザーブエクステントの次の記録用リザーブエクステントを有する記録メディアである。
【0034】
また、閾値Cは、下記のように計算することが可能である。
【0035】
閾値C=記録メディアの起動時間T*記録するデータレートの最大値Rdmax
記録メディアの起動時間T:起動開始命令を受けてから記録可能状態になるまでの時間
続いて、映像コンテンツが所定単位で記録され(ST5−7)、ファイルポインタ位置が確認され(ST5−8)、ファイルポインタ位置に基づき記録メディアの切り替わりが判断される(ST5−9)。図4の状態4−3に示すように、第1の記録メディアから第2の記録メディアへの切り替わりが判明すると、つまり第1の記録メディアに対してデータが記録されていた状態から、第2の記録メディア(カレントな記録メディア)に対してデータが記録されている状態への切り替わりが判明すると、第1の記録メディアがスタンバイ状態(省電力状態)に制御される(ST5−10)。
【0036】
図8は、記録メディアの切り替わり判断の一例を示すフローチャートである。図8に示すように、最初に、必要な変数が初期化され(ST9−1)、記録用ファイルのファイルポインタFpが、記録用リザーブエクステント管理情報3−5により管理された複数の記録用リザーブエクステントのうちの何番目に含まれているか検出される(ST9−2、ST9−3、ST9−4)。つまり、ファイルポインタFpと、0から順次増加する記録用リザーブエクステントのサイズSrとが比較され、記録用ファイルのファイルポインタFpが、複数の記録用リザーブエクステントのうちの何番目に含まれているか検出される。
【0037】
続いて、ファイルポインタFpが、記録メディアアレイの先頭からの位置を示すファイルポインタApに変換され(ST9−5)、ファイルポインタApが、記録メディア管理情報3−2により管理された複数の記録メディアのうちの何番目の記録メディアに含まれているか検出される(ST9−6、ST9−7、ST9−8)。
【0038】
ファイルポインタApが、i番目の記録メディアに含まれていることが検出されると、記録メディア番号iとカレントな記録メディア番号Mcとが比較され(ST9−9)、記録メディア番号iとカレントな記録メディア番号Mcとが一致する場合(ST9−9、NO)、記録メディアの切り替わりは無いものと判断される。記録メディア番号iとカレントな記録メディア番号Mcとが一致しない場合(ST9−9、YES)、記録メディアの切り替わりが有ると判断され、カレントな記録メディア番号Mcがiへ更新される(ST9−10)。
【0039】
図6は、記録メディア毎に閾値C(k)を求める処理の一例を示すフローチャートである。
【0040】
図6に示すように、管理モジュール3は、記録メディア毎(記録メディアのドライブ毎)に、スタンバイ状態(省電力状態)から記録可能状態になるまでに要する起動時間Tを測定し、各記録メディアの起動時間Tを記憶する(ST6−1)。例えば、システム起動時に測定するのが有効である。
【0041】
さらに、管理モジュール3は、前回の測定により得られ登録された起動時間Tと、今回の測定により得られた起動時間Tとを比較し、今回の測定により得られた起動時間Tが登録された起動時間Tより大きい場合に、登録されている起動時間Tを今回の測定により得られた起動時間Tへ更新する(ST6−2、ST6−3)。さらに、管理モジュール3は、最新の起動時間Tに基づき、閾値Cを算出し記憶する(ST6−4)。
【0042】
これにより、記録メディア毎に起動時間のばらつきがあっても、各記録メディアの起動時間に応じた閾値Cが設定されるため、各記録メディアの起動時間に応じた最適なタイミングでの起動制御が可能となる。また、記録メディアの起動時間が変動するような場合、例えば記録メディアの使用に応じて記録メディアの起動時間が遅くなるような場合でも、記録メディアの変動起動時間に応じた最適なタイミングでの起動制御が可能となる。
【0043】
上記説明した記録制御により、以下の作用効果を得ることができる。
【0044】
(1)情報記録再生装置は、映像コンテンツの記録でリアルタイムに使用しない記録メディアをスタンバイ状態(省電力状態)に制御する。これにより、電力消費量を削減することができる。
【0045】
(2)また、情報記録再生装置は、リアルタイムに使用しない記録メディアであっても、スタンバイ状態から記録可能状態になるまでに要する時間を考慮し、所定のタイミングで、事前に、リアルタイムに使用しない記録メディアのスタンバイ状態を解除する。これにより、電力消費量の削減と、記録遅延の防止とを両立することができる。
【0046】
(3)さらに、情報記録再生装置は、記録の終了した記録メディアをスタンバイ状態に制御する。これにより、電力消費量を削減することができる。
【0047】
なお、上記説明では、情報記録再生装置の記録制御による省電力の実現について説明したが、情報記録再生装置の再生制御による省電力を実現することもできる。
【0048】
つまり、管理モジュール3は、映像コンテンツ再生時に、この映像コンテンツの記録済みエクステントを含まない記録メディアを省電力状態に制御する。
【0049】
また、複数の記録メディアが、再生対象の映像コンテンツが記録された記録済みエクステントを含む場合、記録再生制御モジュール1は、第1の記録メディアに記録された映像コンテンツの未再生データが閾値以上であれば、第1の記録メディアの次に再生される第2の記録メディアをスタンバイ状態に制御し、第1の記録メディアに記録された映像コンテンツの未再生データが閾値未満になると、第2の記録メディアに対して起動開始命令を出力する。最適な閾値の設定により、第2の記録メディアにおける消費電力の浪費を防ぐとともに、第2の記録メディアの起動遅れも防止することができる。
【0050】
また、管理モジュール3は、再生が終了した記録メディアをスタンバイ状態(省電力状態)に制御する。これにより、消費電力の浪費を防ぐことができる。
【0051】
また、管理モジュール3は、トリックプレイモード実行時(2倍速再生、3倍速再生などの実行時)には、再生対象の映像コンテンツが記録されている全ての記録メディアを再生可能状態に制御する。
【0052】
さらに、情報記録再生装置の記録制御と再生制御とが並行して実行されている場合の省電力を実現することもできる。
【0053】
例えば、記録制御と再生制御とが並行して実行されている場合、記録対象の記録メディアを記録可能状態に制御しつつ再生対象の記録メディアを再生可能状態に制御する。また、記録対象の第1の記録メディアの記録用リザーブエクステントが閾値未満になると、第1の記録メディアの次に記録対象となる第2の記録メディアに対して起動開始命令を出力し、また、再生対象の第3の記録メディアの未再生データが閾値未満になると、第3の記録メディアの次に記録対象となる第4の記録メディアに対して起動開始命令を出力する。これにより、記録制御と再生制御とが並行して実行されている場合でも、消費電力の浪費を防ぐとともに、各記録メディアの起動遅れも防止することができる。
【0054】
また、記録メディア毎に、記録可能状態になるまでに要した時間と、再生可能状態になるまでに要した時間とを測定し、測定結果に基づき各記録メディア用の閾値を設定することにより、より高精度な消費電力の浪費抑制及びより高精度な起動遅延防止制御が可能となる。
【0055】
なお、上記したモジュールとは、ハードウェアで実現するものであっても良いし、CPU等を使ってソフトウェアで実現するものであってもよい。
【0056】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】情報記録再生装置による省電力記録処理の概要を示すフローチャートである。
【図2】ビットマップテーブル及びリザーブエクステント管理情報を説明するための図である。
【図3】各HDDの記録メディアの単純連結により形成される記録領域を説明するための図である。
【図4】記録状態の遷移を示す図である。
【図5】情報記録再生装置による省電力記録処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】記録メディア毎に閾値を求める処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】記録メディアに含まれる記録用リザーブエクステントの残量を説明するための図である。
【図8】記録メディアの切り替わり判断の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係る情報記録再生装置(ホームサーバ)の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1…記録再生制御モジュール、2…設定モジュール、3…管理モジュール、4…データ入出力制御モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
n個(n:自然数、n≧2)の情報記憶媒体の連結により形成された情報記憶領域に含まれた1又は複数の空き領域を管理する管理手段と、
記録データのサイズ及び前記1又は複数の空き領域の各サイズに基づき、前記1又は複数の空き領域に対して、前記記録データを記録するための1又は複数のデータ記憶領域を設定する設定手段と、
前記n個の情報記憶媒体のうちのm個(m:自然数、n≧m≧2)のデータ記憶領域設定媒体の前記複数の空き領域に対する前記複数のデータ記憶領域の設定に基づき、これら複数のデータ記憶領域を含む前記m個のデータ記憶領域設定媒体に対する前記記録データの記録順序を制御するとともに、この記録順序に基づき各データ記憶領域設定媒体のドライブに対する起動開始命令の出力タイミングを制御し、この起動開始命令を受けて記録可能状態となったドライブの前記データ記憶領域設定媒体の前記データ記憶領域に対して前記記録データを記録する記録手段と、
を備えたことを特徴とする情報記録装置。
【請求項2】
各情報記憶媒体のドライブは、前記記録可能状態において第1のパワーを消費し、スタンバイ状態において前記第1のパワーより小さい第2のパワーを消費し、
前記記録手段は、前記複数のデータ記憶領域を含まない1又は複数の情報記憶媒体のドライブを前記スタンバイ状態に制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項3】
前記記録手段は、前記記録データの記録を終えた前記データ記憶領域設定媒体のドライブに対して起動停止命令を出力し、前記記録データの記録を終えた前記データ記憶領域設定媒体のドライブをスタンバイ状態に制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報記録装置。
【請求項4】
前記管理手段は、各データ記憶領域設定媒体のドライブが前記スタンバイ状態から前記記録可能状態になるまでに要する起動時間を管理し、
前記記録手段は、前記記録順序及び各データ記憶領域設定媒体のドライブの起動時間に基づき、各データ記憶領域設定媒体のドライブに対する起動開始命令の出力タイミングを制御し、この起動開始命令を受けて記録可能状態となったドライブの前記データ記憶領域設定媒体の前記データ記憶領域に対して前記記録データを記録する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項5】
前記管理手段は、第1のデータ記憶領域設定媒体に対して前記記録データを記録した後、第2のデータ記憶領域設定媒体に対する前記記録データの記録準備完了までに要する記録準備時間を管理し、
前記記録手段は、前記第2のデータ記憶領域設定媒体のドライブの起動時間と前記記録準備時間との差分時間に基づき、前記第2のデータ記憶領域設定媒体のドライブに対する起動開始命令の出力タイミングを制御し、前記第1のデータ記憶領域設定媒体に対して前記記録データを記録した後、前記起動開始命令を受けて記録可能状態となったドライブの前記第2のデータ記憶領域設定媒体の前記データ記憶領域に対して前記記録データを記録する、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報記録装置。
【請求項6】
前記記録手段は、前記第2のデータ記憶領域設定媒体のドライブの起動時間が前記記録準備時間より長い場合、前記第1のデータ記憶領域設定媒体に対する前記記録データの記録終了時間より前記差分時間以上早いタイミングで、前記第2のデータ記憶領域設定媒体のドライブに対して起動開始命令を出力する、
ことを特徴とする請求項5に記載の情報記録装置。
【請求項7】
n個(n:自然数、n≧2)の情報記憶媒体の連結により形成された情報記憶領域に含まれた1又は複数の空き領域を管理し、
記録データのサイズに基づき、前記1又は複数の空き領域に対して、前記記録データを記録するための1又は複数のデータ記憶領域を設定し、
前記n個の情報記憶媒体のうちのm個(m:自然数、n≧m≧2)のデータ記憶領域設定媒体の前記複数の空き領域に対する前記複数のデータ記憶領域の設定に基づき、これら複数のデータ記憶領域を含む前記m個のデータ記憶領域設定媒体に対する前記記録データの記録順序を制御するとともに、この記録順序に基づき各データ記憶領域設定媒体のドライブに対する起動開始命令の出力タイミングを制御し、この起動開始命令を受けて記録可能状態となったドライブの前記データ記憶領域設定媒体の前記データ記憶領域に対して前記記録データを記録する、
ことを特徴とする情報記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−108247(P2010−108247A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279666(P2008−279666)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】