説明

情報記録装置

【課題】主たる記録手段に異常が生じて記録ができなくなった場合に、主たる記録手段による情報の記録動作が停止している期間の記録すべき情報の喪失を防ぐとともに、比較的短時間で、主たる記録手段を正常に復帰させることが可能な情報記録装置を提供する。
【解決手段】情報記録再生装置本体2の電源とは別に、HDD31の専用電源32を設けて、HDD31を情報記録再生装置本体2とは独立して起動可能に構成する。情報記録再生装置1は、HDD31に異常が発生すると、HDD31による記録動作から不揮発性メモリ23による記録動作に切換えて、外部のカメラ11などから入力される情報を不揮発性メモリ23に記録する。そして、不揮発性メモリ23で情報の記録を継続しながら、CPU20によってHDD31の専用電源32のスイッチング態様を切換えて、HDD31を再起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から入力される映像などの情報を記録可能な情報記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報記録装置におけるデータのバックアップ処理に関する技術が、たとえば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される外部記憶装置は、ホストコンピュータと、履歴保存用ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive;略称:HDD)装置と、複数のデータ保存用HDD装置とを含んで構成される。この外部記憶装置では、FCAL(Fibre Channel Arbitrated Loop)プロトコルのバケツリレー方式のデータ転送を利用して、ホストコンピュータの直下に、データの更新履歴保存専用の履歴保存用HDD装置を配置する。履歴保存用HDD装置は、下流にあるデータ保存用HDD装置に送信された全ての書き込みコマンドおよびデータを監視して、自身の記録媒体に、ホストコンピュータの介在なしに記録して保存する。外部記憶装置に故障が発生した場合、定期的に取得されていたバックアップから一旦データを復元した後、履歴保存用HDD装置に保存された更新履歴情報を使用して、故障発生直前のデータを復元する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−362111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の特許文献1に開示される外部記憶装置では、更新履歴情報を使用して、故障発生直前のデータを復元するので、比較的高精度にデータを復元することができるが、履歴保存用HDD装置およびデータ保存用HDD装置などのHDDを多数必要とする。HDDは、不揮発性メモリなどの他の記録媒体に比べて高価であり、また電力消費量が多い。特許文献1に開示される外部記憶装置のように多数のHDDを設けると、装置が高価になり、また電力消費量が多くなるという問題がある。
【0005】
また記録媒体としてHDDを用いた情報記録装置において、HDDへの記録動作中に異常が発生した場合、HDDの電源および接続を一旦切断して、HDDを再起動することによって正常に復帰することがある。この場合、情報記録装置本体の電源も一旦切断する必要があるので、情報記録装置全体が正常に復帰するまでに長時間を要するという問題がある。
【0006】
また監視用途の情報記録装置では、映像データを記録することが第一の目的であるので、主たる記録媒体の異常時またはその復旧作業のときにも記録動作が継続されるように、何らかのバックアップ対策を講じることが必要な場合がある。
【0007】
前述の特許文献1に開示される外部記憶装置では、HDDの電源が切断されているときに、他の記録媒体でバックアップとしての記録を行うことについては考慮されていないので、電源が切断されている間のデータが喪失するという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、主たる記録手段に異常が生じて記録ができなくなった場合に、主たる記録手段による情報の記録動作が停止している期間の記録すべき情報の喪失を防ぐとともに、比較的短時間で、主たる記録手段を正常に復帰させることが可能な情報記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報記録装置は、外部から入力される情報を記録可能な情報記録装置であって、情報記録装置本体と、前記情報記録装置本体とは独立して起動可能に構成され、前記情報を記録する主記録手段とを備え、前記情報記録装置本体は、前記主記録手段の異常を検知する検知手段と、前記検知手段によって、前記主記録手段に異常が発生したことが検知されたとき、前記情報を記録する補助記録手段と、前記検知手段によって、前記主記録手段に異常が発生したことが検知されると、前記主記録手段による前記情報の記録動作から前記補助記録手段による前記情報の記録動作に切換えるとともに、前記主記録手段を再起動する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の情報記録装置によれば、情報記録装置本体と主記録手段とを備えて情報記録装置が構成され、検知手段と補助記録手段と制御手段とを備えて情報記録装置本体が構成される。主記録手段に異常が発生していないとき、外部から入力された情報は主記録手段に記録される。主記録手段に異常が発生したことが検知手段によって検知されると、制御手段によって、主記録手段による情報の記録動作から補助記録手段による情報の記録動作に切換えられるとともに、主記録手段が再起動される。主記録手段は、補助記録手段を備える情報記録装置本体とは独立して起動可能であるので、補助記録手段によって情報の記録を継続しながら、主記録手段を個別に再起動することができる。したがって、主記録手段に異常が生じて主記録手段による情報の記録動作が停止している期間の記録すべき情報の喪失を防ぐとともに、比較的短時間で、主記録手段を正常に復帰させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態である情報記録再生装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の情報記録再生装置1におけるデータの記録処理に関するCPU20の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態の情報記録再生装置1におけるデータの記録処理に関するCPU20の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態の情報記録再生装置におけるデータの記録処理に関するCPU20の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態の情報記録再生装置におけるデータの記録処理に関するCPU20の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態である情報記録再生装置1の構成を示すブロック図である。情報記録再生装置1は、入力された情報を記録可能に、かつ記録した情報を再生可能に構成される。したがって情報記録再生装置1は、入力された情報を記録可能な情報記録装置としての機能を有する。本実施の形態の情報記録再生装置1は、監視用途に用いられる。情報記録再生装置1は、情報記録再生装置本体2および主記録装置3を備えて構成される。情報記録再生装置本体2は、情報記録装置本体に相当する。
【0013】
情報記録再生装置本体2は、入力端子12、ビデオデコーダ13、マルチプレクサ14、出力インターフェース15、ビデオエンコーダ16、出力端子17、圧縮器18、伸張器19、中央演算処理装置(Central Processing Unit;略称:CPU)20、メモリ21、記録媒体インターフェース22、不揮発性メモリ23、外部インターフェース24および通信インターフェース25を備える。主記録装置3は、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive;略称:HDD)31および専用電源32を備える。情報記録再生装置本体2の記録媒体インターフェース22は、主記録装置3のHDD31と接続されている。
【0014】
情報記録再生装置1には、入力端子12を介して、外部から情報(以下「データ」という場合がある)が入力される。本実施の形態では、入力端子12には、カメラ11が接続される。カメラ11は、撮影した映像(以下「カメラ映像」という場合がある)を表すデータとして、アナログの映像信号を出力する。カメラ11から出力された映像信号は、入力端子12を介してビデオデコーダ13に与えられる。
【0015】
ビデオデコーダ13は、入力端子12を介してカメラ11から与えられた映像信号をデジタル映像信号に変換し、マルチプレクサ14に与える。マルチプレクサ14は、ビデオデコーダ13から与えられたデジタル映像信号の画素サイズを必要に応じて変更する。マルチプレクサ14は、ビデオデコーダ13から与えられたデジタル映像信号を記録する場合は、そのデジタル映像信号の画素サイズを、予め設定された画素サイズに変更し、変更後のデジタル映像信号を圧縮器18に与える。マルチプレクサ14は、ビデオデコーダ13から与えられたデジタル映像信号をそのまま出力する場合は、画素サイズを変更せずに、ビデオデコーダ13から与えられたデジタル映像信号をそのまま出力インターフェース15に与える。
【0016】
圧縮器18は、マルチプレクサ14から与えられた情報、具体的にはデジタル映像信号の情報量を調整して、メモリ21に与える。さらに具体的には、圧縮器18は、マルチプレクサ14から与えられたデジタル映像信号を圧縮して、予め設定された画像圧縮率に変換し、メモリ21に与える。マルチプレクサ14および圧縮器18は、情報量調整手段に相当する。メモリ21は、圧縮器18から与えられた圧縮後のデジタル映像信号を一時的に記憶する。メモリ21に一時的に記憶されたデジタル映像信号は、記録媒体インターフェース22を介して主記録装置3のHDD31に与えられる。
【0017】
HDD31は、記録媒体インターフェース22を介して与えられた情報、具体的にはデジタル映像信号を記録する。HDD31は、主として情報が記録される記録媒体(以下「主記録媒体」という場合がある)であり、主記録手段に相当する。HDD31は、専用電源32と接続されている。専用電源32は、情報記録再生装置本体2のCPU20と接続されている。専用電源32は、CPU20から与えられる所定の制御信号に基づいて、スイッチング態様が変化する。
【0018】
専用電源32は、CPU20から、HDD31に電力を供給することを表す制御信号(以下「オン信号」という)が与えられると、スイッチング態様がオン(ON)状態となる。専用電源32は、スイッチング態様がオン(ON)状態にされると、HDD31に電力を供給する。また専用電源32は、CPU20から、HDD31への電力の供給を停止することを表す制御信号(以下「オフ信号」という)が与えられると、スイッチング態様がオフ(OFF)状態となる。専用電源32は、スイッチング態様がオフ(OFF)状態にされると、HDD31への電力の供給を停止する。このようにHDD31は、情報記録再生装置本体2の電源とは別に設けられる専用電源32から電力の供給を受ける。したがってHDD31は、情報記録再生装置本体2とは独立して起動可能である。
【0019】
HDD31に記録されたデジタル映像信号に基づく映像を再生するときには、HDD31に記録されたデジタル映像信号は、記録媒体インターフェース22を介してメモリ21に与えられ、一時的に記憶される。その後、メモリ21に一時的に記憶されたデジタル映像信号は、伸張器19に与えられる。伸張器19は、メモリ21から与えられたデジタル映像信号を、マルチプレクサ14によって変換される前の画素サイズおよび圧縮器18によって圧縮される前の画像圧縮率のデジタル映像信号に伸張し、出力インターフェース15に与える。
【0020】
出力インターフェース15は、マルチプレクサ14または伸張器19から与えられたデジタル映像信号をビデオエンコーダ16に与える。ビデオエンコーダ16は、出力インターフェース15から与えられたデジタル映像信号を元の映像信号であるアナログ映像信号に復元する。ビデオエンコーダ16によって復元された映像信号は、出力端子17から出力される。出力端子17から出力された映像信号は、たとえば、出力端子17に接続される液晶ディスプレイなどの表示装置に与えられ、映像信号に基づく映像が表示装置によって表示される。
【0021】
CPU20は、情報記録再生装置本体2を構成するビデオデコーダ13、マルチプレクサ14、出力インターフェース15、ビデオエンコーダ16、圧縮器18、伸張器19、メモリ21、記録媒体インターフェース22、外部インターフェース24および通信インターフェース25と、主記録装置3を構成する専用電源32とを含むハードウェア資源に接続されている。CPU20は、予め不揮発性メモリ23に記憶された制御プログラムに従って、CPU20に接続されている前述のハードウェア資源を統括的に制御する。具体的には、CPU20は、情報記録再生装置1の一連の処理、たとえば入力端子12から入力された映像信号などの情報を記録する処理、およびHDD31などの記録媒体に記録された映像信号などの情報を再生する処理を制御する。またCPU20は、HDD31の状態が正常であるか否かを判断することによって、HDD31の異常を検知する。CPU20は、検知手段および制御手段に相当する。
【0022】
不揮発性メモリ23は、前述の制御プログラムを記憶する。また不揮発性メモリ23は、たとえば、HDD31に異常が発生して、入力端子12を介してカメラ11から与えられた映像信号などの情報をHDD31に記録することができないなどの不具合が生じたときに、記録媒体インターフェース22を介して与えられる映像信号を記録する。不揮発性メモリ23は、HDD31に情報が記録できない場合に補助的に情報が記録される記録媒体であり、補助記録手段に相当する。不揮発性メモリ23は、フラッシュメモリによって構成される。不揮発性メモリ23は、情報記録再生装置本体2に固定して設けられる。
【0023】
外部インターフェース24には、情報記録再生装置本体2に情報を入力するための入力手段として機能するマウスおよびリモートコントローラ(略称:リモコン)が接続される。ユーザインターフェースとしては、グラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface;略称:GUI)が用いられる。GUIでは、情報の記録および再生の処理を実行するために、外部インターフェース24を介して入力された情報に基づいて、設定メニューなどの画面表示情報を生成し、生成した画面表示情報をビデオエンコーダ16に与えることによって、画面表示情報を映像信号に重畳させて出力端子17から出力する。
【0024】
通信インターフェース25には、不図示の通信回線、たとえばローカルエリアネットワーク(Local Area Network;略称:LAN)が接続されており、LANを介したデータ通信を行うことが可能である。たとえばHDD31に異常が発生した場合、通信インターフェース25を介して、LANで接続される外部の監視センタに備えられる通信装置(以下「監視センタ用通信装置」という)などに、HDD31に異常が発生したことを表す異常発生情報(以下「エラー情報」という場合がある)を報知することができる。監視センタは、たとえば情報記録再生装置1の設置場所から離れた場所に設けられる。監視センタの設置場所は、情報記録再生装置1の設置場所から遠く離れた遠隔地でもよいし、情報記録再生装置1の設置場所と同じビル内などの比較的近い場所であってもよい。通信インターフェース25は、送信手段および報知手段に相当する。
【0025】
図2および図3は、本発明の第1の実施の形態の情報記録再生装置1におけるデータの記録処理に関するCPU20の処理手順を示すフローチャートである。図2および図3に示すフローチャートの処理は、利用者によって情報記録再生装置1の電源が投入、すなわちオンされ、情報記録再生装置1に電力が供給されると開始され、ステップa1に移行する。情報記録再生装置1に電力が供給されると、CPU20によって主記録装置3の専用電源32にオン信号が与えられ、専用電源32からHDD31への電力の供給が開始され、HDD31が起動する。
【0026】
ステップa1では、CPU20は、入力端子12から入力されるデータを、HDD用に予め設定された画素サイズおよび画像圧縮率でHDD31に記録させて、ステップa2に移行する。本実施の形態では、データとして、カメラ映像のデジタル映像信号が記録される。具体的には、CPU20は、マルチプレクサ14によって、デジタル映像信号のデータサイズ、具体的には画素サイズを、HDD用に予め設定された画素サイズに変換させる。またCPU20は、圧縮器18によってデジタル映像信号を圧縮させて、デジタル映像信号の画像圧縮率を、HDD用に予め設定された画像圧縮率に変換させる。そして、CPU20は、メモリ21に記憶された変換後のデジタル映像信号を、記録媒体インターフェース22を介してHDD31に与えて記録させる。
【0027】
ステップa2では、CPU20は、HDD31の状態が正常であるか否かを判断する。CPU20は、HDD31の状態を確認するための確認信号をHDD31に与え、その確認信号に対するHDD31からの応答の有無および種類に基づいて、HDD31の状態が正常であるか否かを判断する。CPU20は、HDD31から確認信号に対する応答を受取り、かつ、その応答が、エラーが発生していることを表すエラー応答でない場合、HDD31の状態が正常であると判断する。CPU20は、HDD31から確認信号に対する応答が受取れない場合、およびHDD31から受取った応答がエラー応答である場合、HDD31の状態が正常ではないと判断する。ステップa2において、HDD31の状態が正常であると判断した場合は、ステップa3に移行し、HDD31の状態が正常ではない、つまり異常であると判断した場合は、ステップa4に移行する。
【0028】
ステップa3では、CPU20は、HDD31に記録すべきデータがメモリ21に残っているか否かに基づいて、データの記録動作を終了するか否かを判断する。CPU20は、HDD31に記録すべきデータがメモリ21に残っている場合は、データの記録動作を終了しないと判断し、HDD31に記録すべきデータがメモリ21に残っていない場合は、データの記録動作を終了すると判断する。ステップa3において、データの記録動作を終了すると判断した場合は、全ての処理手順を終了する。ステップa3において、データの記録動作を終了しない、すなわち記録動作を継続すると判断した場合は、ステップa1に戻る。
【0029】
ステップa4では、CPU20は、主記録装置3のHDD31から、HDD31に異常が発生したことを表す異常発生情報として、エラー応答を受取ったか否かを判断する。エラー応答には、たとえばエラーの内容が含まれる。ステップa4において、HDD31からエラー応答を受取ったと判断した場合は、ステップa5に移行し、HDD31からエラー応答を受取っていないと判断した場合は、ステップa6に移行する。
【0030】
ステップa5では、CPU20は、受取ったエラー応答に関するログデータをメモリ21に記憶させる。ログデータとしては、たとえばエラー応答を受取った日時およびエラー応答に含まれるエラーの内容などが記憶される。ステップa5の処理の終了後は、ステップa1に戻る。
【0031】
ステップa6では、CPU20は、データを記録させる記録媒体を、HDD31から不揮発性メモリ23に切換える。より詳細には、CPU20は、記録媒体インターフェース22に対して、与えられたデータの出力先をHDD31から不揮発性メモリ23に切換えるように指示する。記録媒体が不揮発性メモリ23に切換えられると、ステップa7に移行する。
【0032】
ステップa7では、CPU20は、不揮発性メモリ23にデータを記録させる。不揮発性メモリ23は、HDD31よりも記録容量が比較的小さいので、CPU20は、マルチプレクサ14および圧縮器18によって、記録すべきデータの情報量であるデータ量を、HDD用に予め設定された値よりも小さく変更した上で、不揮発性メモリ23にデータを記録させる。本実施の形態では、CPU20は、記録すべきデータである映像信号を、画素サイズが、HDD用に予め設定された画素サイズよりも小さくなり、かつ画像圧縮率が、HDD用に予め設定された画像圧縮率よりも高くなるように変更した上で、不揮発性メモリ23に記録させる。不揮発性メモリ23にデータが記録されると、ステップa8に移行する。
【0033】
ステップa8では、CPU20は、HDD31を再起動させる。より詳細には、CPU20は、まず主記録装置3の専用電源32にオフ信号を与える。専用電源32は、CPU20から与えられるオフ信号に基づいて、HDD31への電力の供給を停止する。次いでCPU20は、主記録装置3の専用電源32にオン信号を与える。専用電源32は、CPU20から与えられるオン信号に基づいて、HDD31に電力を供給する。これによって、HDD31が再起動される。HDD31が再起動すると、図3のステップa9に移行する。
【0034】
図3のステップa9では、CPU20は、ステップa2と同様にして、HDD31の状態が正常であるか否かを判断する。ステップa9において、HDD31の状態が正常であると判断した場合は、ステップa10に移行し、HDD31の状態が正常ではない、つまり異常であると判断した場合は、ステップa13に移行する。
【0035】
ステップa10では、CPU20は、データを記録させる記録媒体を、不揮発性メモリ23からHDD31に切換える。より詳細には、CPU20は、記録媒体インターフェース22に対して、与えられたデータの出力先を不揮発性メモリ23からHDD31に切換えるように指示する。ステップa10において記録媒体がHDD31に切換えられると、ステップa11に移行する。
【0036】
ステップa11では、CPU20は、HDD31が再起動されたことを表す情報(以下「再起動情報」という)を、通信インターフェース25を介して、LANで接続されている監視センタ用通信装置に送信する。再起動情報が送信されると、ステップa12に移行する。
【0037】
ステップa12では、CPU20は、HDD31の再起動に関するログデータをメモリ21に記憶させる。ログデータとしては、たとえば再起動情報およびその再起動情報が監視センタ用通信装置に送信された日時などが記憶される。ステップa12の処理の終了後は、ステップa3に戻る。ステップa12からステップa3に戻って、データの記録動作を終了しないと判断されてステップa1に戻った場合、ステップa1において、CPU20は、ステップa7で変更された画素サイズおよび画像圧縮率をそれぞれ、HDD用に予め設定された画素サイズおよび画像圧縮率に戻して、データをHDD31に記録させる。
【0038】
ステップa9からステップa13に移行した場合、ステップa13では、CPU20は、異常発生情報として、データを記録させる記録媒体をHDD31から不揮発性メモリ23に切換えたことを表す切換情報を、通信インターフェース25を介して、監視センタ用通信装置に送信する。切換情報を送信すると、ステップa14に移行する。
【0039】
監視センタ用通信装置は、情報記録再生装置1から送信された異常発生情報、具体的には切換情報を受信すると、異常発生情報を受信したことを表す受信情報を、たとえば表示手段に表示して、監視センタの保守員に報知する。これを受けて、監視センタの保守員は、HDD31に異常が発生している情報記録再生装置1が設けられている場所に出向き、情報記録再生装置1のうち、異常が発生したHDD31のみを取り外して、正常な、すなわち記録動作が可能なHDD31に取換える。
【0040】
そして保守員は、HDD31に対してデータの記録動作を実行する運用に修復させる作業を行う。このとき、保守員は、メモリ21に記録されたログデータを確認し、HDD31に異常が発生してから正常なHDD31に取換えられるまでの間に不揮発性メモリ23に画像データとして映像信号が記録されているか否かを判断する。保守員は、元のHDD31に異常が発生してから正常なHDD31に取換えられるまでの間に画像データが記録されている場合には、その間の画像データを不揮発性メモリ23から取出すことができる。
【0041】
ステップa14では、CPU20は、ステップa3と同様にして、データの記録動作を終了するか否かを判断する。ステップa14において、データの記録動作を終了すると判断した場合は、全ての処理手順を終了する。ステップa14において、データの記録動作を終了しない、すなわち記録動作を継続すると判断した場合は、ステップa15に移行する。
【0042】
ステップa15では、CPU20は、ステップa7と同様にして、不揮発性メモリ23にデータを記録させる。具体的に述べると、CPU20は、記録すべきデータである映像信号の画素サイズおよび画像圧縮率をそれぞれ、HDD用に予め設定された画素サイズよりも小さく、かつHDD用に予め設定された画像圧縮率よりも高くなるように変更した上で、不揮発性メモリ23にデータを記録させる。不揮発性メモリ23にデータが記録されると、ステップa8に戻る。
【0043】
以上のように本実施の形態の情報記録再生装置1によれば、図2のステップa2において、HDD31に異常が発生したことがCPU20によって検知されると、ステップa6において、記録媒体がHDD31から不揮発性メモリ23に切換えられる。これによって、外部から入力されるデータの記録動作が、HDD31による記録動作から、不揮発性メモリ23による記録動作に切換えられる。そして、ステップa8において、HDD31が再起動される。
【0044】
HDD31は1回の再起動にて復帰した場合でもデータの喪失が発生するが、その再起動によって復帰するまでの間であっても、本実施の形態では、不揮発性メモリ23がデータを記録するので、データの喪失は生じない。これは、情報記録再生装置本体2とHDD31とを、電源を含めてシステムとして別体構造としたこと、すなわちHDD31およびその電源である専用電源32と、情報記録再生装置本体2およびその電源とを別体構造としたことで実現されたものである。
【0045】
つまり本実施の形態では、HDD31の専用電源32は、情報記録再生装置本体2とは別体構造であり、かつ、CPU20から制御可能であるので、図2のステップa8では、不揮発性メモリ23を備える情報記録再生装置本体2とは独立して起動可能である。これによって、不揮発性メモリ23によって情報の記録を継続しながら、HDD31を個別に再起動することができる。したがって、HDD31に異常が生じてHDD31による情報の記録動作が停止している期間の記録すべき情報の喪失を防ぐとともに、比較的短時間で、主記録手段であるHDD31を正常に復帰させることが可能である。
【0046】
また本実施の形態では、図2のステップa7または図3のステップa15において、外部のカメラ11から入力された映像信号を不揮発性メモリ23に記録するときには、マルチプレクサ14および圧縮器18によって、記録すべき映像信号のデータ量が調整される。具体的には、記録すべき映像信号の画素サイズおよび画像圧縮率が、不揮発性メモリ23に応じた画素サイズおよび画像圧縮率に変更される。画素サイズおよび画像圧縮率としては、HDD31に異常が発生してから、保守員が駆けつけてHDD31が修復されるまでの最大時間を想定し、その間のデータロスを不揮発性メモリ23の容量分でバックアップできるように、不揮発性メモリ23の記録容量を考慮した画素サイズおよび画像圧縮率が設定される。
【0047】
このようにHDD31と不揮発性メモリ23とで、記録させるデータのデータ量を変更することによって、不揮発性メモリ23の記録容量を節約することができる。つまり、本実施の形態では、不揮発性メモリ23の記録容量に応じた情報量で、不揮発性メモリ23に映像信号を記録することができるので、不揮発性メモリ23の残量が不足して記録できなくなってしまうことを可及的に回避することができる。したがって、HDD31による記録ができない場合に、不揮発性メモリ23による記録を、より確実に実現することができる。
【0048】
また本実施の形態の情報記録再生装置1は、主記録手段としてHDD31を備える。HDDは、不揮発性メモリに比べて、記録容量が大きい。したがって本実施の形態のように主記録手段としてHDD31を用いることによって、不揮発性メモリなどを用いる場合に比べて、より大きいデータ量のデータを記録することが可能であるので、比較的データ量が大きい高品質の映像を記録することが可能である。
【0049】
また本実施の形態の情報記録再生装置1は、補助記録手段として不揮発性メモリ23を備える。不揮発性メモリは、HDDに比べて安価であり、また電力消費量が少ない。したがって本実施の形態のように補助記録手段として不揮発性メモリ23を備えることによって、主記録手段であるHDD31による記録ができない場合に、補助記録手段による記録を、安価に、かつ可及的に低い電力消費量で実現することができる。
【0050】
また本実施の形態の情報記録再生装置1では、図3のステップa15において、不揮発性メモリ23へのデータの記録を実行しているときであっても、ステップa9において、定期的にHDD31の状態を監視している。これによって、HDD31が一過性の異常状態から復帰して記録動作が可能になった場合には、図2のステップa1に戻って、予め設定された画素サイズおよび画像圧縮率で、HDD31へのデータの記録動作を再開することができる。
【0051】
また図3に示すフローチャートのステップa13では、HDD31に異常が発生したことを表す異常発生情報の一つとして、記録媒体をHDD31から不揮発性メモリ23に切換えたことを表す切換情報を、通信インターフェース25を介して監視センタ用通信装置に送信している。これによって、監視センタの保守員に対して修復作業を行うように促すことができるので、HDD31による記録動作を早期に再開させることが可能である。
【0052】
不揮発性メモリ23へのデータの記録動作が継続している状態で、監視センタから保守員が来ない場合、不揮発性メモリ23の記録容量の残量が無くなり、データの記録動作を継続できなくなることが考えられる。この場合、図3のステップa13の監視センタへの切換情報の送信が繰返し行われることになるので、切換情報の送信が繰返し行われる場合には、ステップa15において、不揮発性メモリ23の記録容量の残量値に応じて、さらにデータ量を小さくして不揮発性メモリ23に記録するなどの対応をとる。具体的には、不揮発性メモリ23の記録容量の残量値に応じて、マルチプレクサ14によって画素サイズをさらに小さくするとともに、圧縮器18によって画像圧縮率をさらに高くするなどの対応をとる。
【0053】
<第2の実施の形態>
次に本発明の第2の実施の形態である情報記録再生装置について説明する。本実施の形態の情報記録再生装置のハードウェア構成は、前述の第1の実施の形態の情報記録再生装置1のハードウェア構成と同一であるので、図示および第1の実施の形態と共通する説明を省略する。
【0054】
図4および図5は、本発明の第2の実施の形態の情報記録再生装置におけるデータの記録処理に関するCPU20の処理手順を示すフローチャートである。図4および図5に示すフローチャートの処理は、利用者によって情報記録再生装置の電源が投入、すなわちオンされ、情報記録再生装置に電力が供給されると開始され、ステップb1に移行する。
【0055】
図4に示すフローチャートのステップb1〜ステップb8の各処理は、図2に示すフローチャートのステップa1〜ステップa8の各処理と同様であるので、説明を省略する。また図5に示すフローチャートのステップb9〜b10、ステップb12〜ステップb16の各処理は、図3に示すフローチャートのステップa9〜ステップa15の各処理と同様であるので、説明を省略する。
【0056】
本実施の形態では、ステップb10において、記録媒体がHDD31に切換えられると、ステップb11に移行する。ステップb11では、CPU20は、不揮発性メモリ23からHDD31へデータをコピーさせる。より詳細には、CPU20は、HDD31に異常が発生してデータの記録動作が停止している期間に、不揮発性メモリ23に記録されたデータを、HDD31にコピーして記録させる。不揮発性メモリ23からHDD31にデータをコピーさせると、ステップb12に移行する。
【0057】
このように本実施の形態では、不揮発性メモリ23に一旦、バックアップとしてデータの記録が行われた後に、HDD31が正常動作に復帰した場合、CPU20は、記録媒体インターフェース22を介して、不揮発性メモリ23に記録されたデータをHDD31に書き戻す動作を行う。このとき、HDD31内の記録データを時系列的に連続するように書き戻す。この動作によって、HDD31に異常が発生してデータの記録動作が停止している期間でも、記録されるべきデータを失うことなく、連続してデータをHDD31に記録することが可能となる。
【0058】
以上に述べた第1および第2の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば、記録すべきデータの画素サイズおよび画像圧縮率は、不揮発性メモリ23にデータを記録するときの値として予め設定される値に固定されていなくてもよく、記録するときの不揮発性メモリ23の記録容量の残量に応じて調整されてもよい。
【0059】
また第1および第2の実施の形態では、情報記録再生装置本体2の通信インターフェース25には、外部のバックアップデバイスが接続されていてもよい。外部のバックアップデバイスを接続することによって、不揮発性メモリ23に異常が発生した場合および記録容量の残量が無くなった場合のように、不揮発性メモリ23への記録が不可能になった場合に、通信インターフェース25を介して、情報記録再生装置1の外部のバックアップデバイスにデータを送信して記録させることができる。これによって、HDD31および不揮発性メモリ23のいずれの記録手段でもデータの記録ができない場合であっても、バックアップデバイスにデータを記録することができる。したがって、情報記録再生装置1は必要最小限の構成で、充分なバックアップ機能を実現することができる。
【0060】
バックアップデバイスとしては、バックアップとしての記録動作が実行可能な記録媒体であればよく、たとえばHDDによって構成されてもよいし、DVD−ROM(Digital Versatile Disk-Read Only Memory)、DVD−R(Digital Versatile Disk-Recordable)、DVD−RW(Digital Versatile Disk-ReWritable)、BD(Blu-ray Disc)、HD−DVD(High Definition-Digital Versatile Disk)などの光記録媒体によって構成されてもよい。
【0061】
また前述の第1および第2の実施の形態では、不揮発性メモリ23は、情報記録再生装置本体2に固定して設けられているが、本発明の他の実施の形態では、取外し可能に設けられてもよい。
【0062】
不揮発性メモリ23が情報記録再生装置本体2に固定して設けられる場合、情報記録再生装置本体2の構成を簡略化することができる。したがって、前述のようにHDD31に異常が発生した場合の情報の喪失を防ぎ、かつ比較的短時間でHDD31を正常に復帰させることのできる情報記録再生装置1を、安価に実現することができる。
【0063】
不揮発性メモリ23が情報記録再生装置本体2から取外し可能に設けられる場合、HDD31に異常が発生してから正常なHDD31に取換えられるまでの間に不揮発性メモリ23に記録されたデータを容易に外部に取出すことができる。したがって、監視センタの保守員は、HDD31に異常が発生してから正常なHDD31に取換えられるまでの間に不揮発性メモリ23に記録されたデータを容易に収集することができる。また、データが記録された不揮発性メモリ23を、新しい不揮発性メモリ23と取換えることによって、HDD31による記録動作を早期に再開させることが可能である。
【0064】
また前述の第1および第2の実施の形態では、主記録手段である主記録媒体は、HDD31によって構成されているが、これに限定されず、HDD以外の他の記録媒体によって構成されてもよい。また補助記録手段である不揮発性メモリ23は、フラッシュメモリによって構成されているが、HDD31へのデータの記録動作ができないときに、いわゆるバックアップとしての記録動作が実行可能な記録媒体であればよく、たとえばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)によって構成されてもよい。
【0065】
また前述の第1および第2の実施の形態の情報記録再生装置1は、監視用途に用いられるが、これに限定されず、他の用途に用いられてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 情報記録再生装置、2 情報記録再生装置本体、3 主記録装置、11 カメラ、12 入力端子、13 ビデオデコーダ、14 マルチプレクサ、15 出力インターフェース、16 ビデオエンコーダ、17 出力端子、18 圧縮器、19 伸張器、20 CPU、21 メモリ、22 記録媒体インターフェース、23 不揮発性メモリ、24 外部インターフェース、25 通信インターフェース、31 HDD、32 専用電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される情報を記録可能な情報記録装置であって、
情報記録装置本体と、
前記情報記録装置本体とは独立して起動可能に構成され、前記情報を記録する主記録手段とを備え、
前記情報記録装置本体は、
前記主記録手段の異常を検知する検知手段と、
前記検知手段によって、前記主記録手段に異常が発生したことが検知されたとき、前記情報を記録する補助記録手段と、
前記検知手段によって、前記主記録手段に異常が発生したことが検知されると、前記主記録手段による前記情報の記録動作から前記補助記録手段による前記情報の記録動作に切換えるとともに、前記主記録手段を再起動する制御手段とを備えることを特徴とする情報記録装置。
【請求項2】
前記情報記録装置本体は、前記主記録手段および前記補助記録手段に記録される前記情報の情報量を調整する情報量調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項3】
前記情報記録装置本体は、通信回線を介して前記情報を外部の記録手段に送信可能な送信手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記補助記録手段が前記情報を記録できないとき、前記情報を前記外部の記録手段に送信するように前記送信手段を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録装置。
【請求項4】
前記情報記録装置本体は、前記主記録手段に異常が発生したことを表す異常発生情報を外部に報知する報知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記検知手段によって、前記主記録手段に異常が発生したことが検知されると、前記異常発生情報を外部に報知するように前記報知手段を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の情報記録装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記検知手段によって、前記主記録手段に異常が発生したことが検知された後、前記異常が解消したことが検知されると、前記補助記録手段による前記情報の記録動作から前記主記録手段による前記情報の記録動作に切換えるとともに、前記異常が発生して前記主記録手段による情報の記録動作が停止している期間に前記補助記録手段に記録された情報を前記主記録手段に記録させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の情報記録装置。
【請求項6】
前記主記録手段は、ハードディスクドライブであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の情報記録装置。
【請求項7】
前記補助記録手段は、不揮発性メモリであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の情報記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−76662(P2011−76662A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226040(P2009−226040)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】