説明

情報読取装置

【課題】読取性能や使用性等を向上し、低コスト化等を実現する。
【解決手段】情報記憶手段14と情報送信手段を有する固定部1と、情報読取手段300を保持し情報読取手段300と一体的に移動する移動部2と、移動部2の移動に基づき固定部1に対して直線状に突出又は収納移動する移動部2と一体的に構成されたガイド部31と、を有する。位置信号出力手段は、ガイド部31の固定部1に対する相対移動量を検出する手段により構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は媒体上の文字又はバーコード等の印刷情報を光学的に読み取る情報読取装置、特にハンディスキャナ機能を備え、媒体上に装置を置いて手動操作により媒体上の情報を読み取る情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なハンディスキャナ機能を備えた情報読取装置は、装置そのものを手動で媒体上を移動させて媒体上の情報を読み取る装置が主流である。その装置を用いて媒体上の所望の情報を正しく読み取るためには、装置をその読取対象に対して直線的に移動走査させる操作が要求されるが、操作者にとって使い易いとは言いがたいものであった。
【0003】
その問題を解決する従来技術として、特許文献1又は特許文献2にて提案されている。これは情報読取手段を固定部と情報読取手段を有する移動部に分離し、固定部から突出又は収納移動可能なガイド軸を移動部に一体的に構成するものである。固定部にてガイド軸の移動を支持することにより、読取走査時の移動部の移動を直線移動化することが可能となる。結果として、移動部に内蔵された情報読取手段を直線的に移動可能とする。
【0004】
図7は上述した従来技術の装置を説明するための図であり、図7(A)は読取開始前において、情報読取装置100を媒体150上の読取対象200に対し移動部102の走査方向を合わせて配置した状態を示している。また、図7(B)は移動部102を移動して、それに内蔵されている情報読取手段にて読取対象200に対する読取りを終了した後の状態を示している。
【0005】
即ち、図7(A)の状態にて固定部101を操作者の左手で媒体150側に押し付けつつ固定保持し、右手で移動部102を矢印104方向にスライド移動させる。すると、図7(A)の状態では固定部101内に収納され、移動部102と一体的に構成されたガイド軸103が、移動部102の移動に応じて固定部101から矢印104方向に突出移動する。そのガイド軸103が矢印104方向に直線的に移動するように、固定部101の開口部101a等にて支持することにより、移動部102に内蔵されている情報読取手段を、直線的に移動させることができる。
【0006】
また、情報読取手段を媒体上で移動走査して媒体上の情報を読み取るこの種の装置は、移動する情報読取手段の読取対象に対する位置、又は読取対象を有する媒体に対する位置を検知し、その位置信号を出力する手段を必要とする。従来の技術においては、媒体と接して走査方向に回転するローラを有し、そのローラの回転に応じて媒体上の走査方向の位置を検知して位置信号を出力する手段を採用している。
【0007】
図7に示した例においては、上述した位置信号を出力する手段を移動部102内に内蔵している。情報読取手段とその位置信号出力手段によって得られた情報を、固定部101内に配された情報記憶手段によって記憶させる。更に、その記憶された情報を送信する情報送信手段によって、ケーブル116を介してホスト情報処理装置に送信するようになっている。
【0008】
上述した位置信号を出力する手段を含む本例の内部構成を、図7(B)のX−X断面図である図8を用いて説明する。同図は移動部102を固定部101に対して、図中、右方向にやや移動した状態を示している。図において、300は光学光源と読取センサを内蔵した情報読取手段、105は媒体と接して走査方向に回転するローラを示す。また、107はローラ105の回転をエンコーダ板108に増速伝達するギア類である。110は回転するエンコーダ板108が有するスリット109を検知して、情報読取手段300の媒体150に対する位置信号を出力する位置検出用のセンサである。
【0009】
また、111は情報読取手段300とセンサ110からの信号を伝達するための信号配線である。この信号配線111はガイド軸103の中空部103aを介して、固定部101内の基板112上のコネクタ113に接続される。また、114は信号配線111を介して伝達された情報を記憶する記憶素子、115はケーブル116を接続するコネクタである。
【0010】
また、106は媒体150に対して移動する移動部102を補助するために媒体150と接して回転する小さな補助ローラを示す。以上の内部構成において、移動部102の移動に伴って情報読取手段300を移動させる。そして、媒体150と接して走査方向に回転するローラ105の回転をエンコーダ板108に増速伝達し、その回転を検出することによって媒体150に対する情報読取手段300の位置信号を出力している。
【0011】
【特許文献1】特開平5−145700号公報
【特許文献2】特開平7−58929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、図7及び図8を用いて説明した従来技術の装置においては、読取対象を有する媒体に対する位置を検知し、その位置信号を出力する手段を移動部102に設け、移動部102の移動走査と共に、その位置信号の出力手段が移動する構成となっている。そのため移動部102が内蔵する同手段の構成、即ちローラ105、エンコーダ板108等に対するスペースよって、移動部102は実際に情報を読み取る機能を有する情報読取手段300よりも大きくなってしまっている。即ち、図7において寸法Lで示した情報読取手段300の読取部と読取対象200の端部との間の距離が遠くなる。このことから派生して、情報読取手段300と読取対象200との位置合わせ精度の劣化といった問題が発生している。
【0013】
また、ローラ105は媒体150と接して正しく回転に対するために充分な摩擦力を得るために通常、その軸方向の長さを情報読取手段300よりも長くする。そのため移動部102の幅寸法は、情報読取手段300の読取幅よりも長くなってしまう。即ち、幅広の装置の狭い読取幅で位置合わせを行うため、位置合わせがやり難くなるという問題も有している。
【0014】
また、ギア類107が移動部102に搭載されていることから、回転する各ギアの嵌合部から発生する振動が移動部102を保持する操作者の手の近傍で発生する。その振動が操作者の手に伝わり、移動部102のスムースな移動走査に影響を与えている。
更に、移動部102側から固定部101側の基板112に信号を伝達するための信号配線111の配線本数が多くなる。このため信号配線111及びそれを接続するためのコネクタ113の部品コストが高くなるという問題も有している。
【0015】
本発明は以上説明した従来技術の装置が有する問題点を解決し、読取性能や使用性等を向上し、低コスト化等を実現する情報読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明は、媒体上を移動走査し該媒体上の情報を光学的に読み取る情報読取手段と、該情報読取手段の移動に基づく前記媒体上の走査位置を検知して位置信号を出力する位置信号出力手段と、前記情報読取手段と前記位置信号出力手段に基づいて得られた情報を記憶する情報記憶手段と、該情報記憶手段に記憶された情報をホスト情報処理装置に送信する情報送信手段と、前記情報記憶手段と前記情報送信手段を有する固定部と、前記情報読取手段を保持し該情報読取手段と一体的に移動する移動部と、前記移動部の移動に基づき前記固定部に対して直線状に突出又は収納移動する前記移動部と一体的に構成されたガイド部と、を有する情報読取装置であって、前記位置信号出力手段は、前記移動部の移動に応じて移動する前記ガイド部の前記固定部に対する相対移動量を検出する手段により構成されることを特徴とする情報読取装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、情報読取手段の移動に基づく媒体上の走査位置を検知して位置信号を出力する位置信号出力手段を固定部に設けている。これにより読取対象に対して位置合わせがし易く、且つその位置精度を向上させる小さな移動部を可能とする。
また、移動部がギア嵌合部からの振動を受けることがなくスムースに移動走査することができると共に、本数の少ない信号配線を実現して部品のコストを下げることが可能な情報読取装置を提供することができる。
更に、媒体と接して走査方向に回転するローラに正しい回転を与える摩擦を得るための移動部を、媒体方向に強く押し付けながらの走査を必要としないで済む。
また、ガイド部の移動範囲以上の読取対象に対しても読み取ることができる手段を有する装置を提供することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る情報読取装置を説明するための図である。図1(A)及び(B)において、1は固定部、2は情報読取手段300を内蔵保持する移動部である。また、6は移動部2の直線移動を補助する補助ローラ、31及び32は移動部2と一体的に構成されたガイド軸(ガイド部)である。そのガイド軸31の中空部31aを介して、情報読取手段300からの信号配線11を固定部内の基板12上のコネクタ13に接続している。
【0019】
また、ガイド軸31は固定部1の開口部1aによって、その軸方向に直線状に突出又は収納移動し得るように移動可能に支持される。また、本実施の形態においてはガイド軸31の左端部31bの上部を固定部1の筐体内側面でも支持し、その直線移動の補助を行っている。
【0020】
17はガイド軸31に一体的に構成され、後述するパターン検知手段により検知可能な認識パターンを有する帯状体、18は図1(B)に示すように固定部1内の基板12に配され、帯状体17の認識パターンを検知するパターン検知手段であるセンサである。これらは本発明の特徴の一つである。即ち、情報読取手段300と一体的に移動する移動部2の移動に応じて移動するガイド軸31の固定部1に対する相対移動量を検出する手段に基づく位置信号出力手段に関連する部品である。
【0021】
つまり本実施の形態において認識パターンを有する帯状体17は、情報読取手段300を有する移動部2と共に軸方向に直線的に移動するガイド軸31の移動に同期して移動する。よって、その認識パターンをセンサ18で検知することで、移動するガイド軸31、ひいては移動部2に保持された情報読取手段300の固定部1に対する相対移動量を検出することができる。
【0022】
以上説明した本実施の形態では、移動部2に内蔵されていた媒体150と接して回転するローラ105、エンコーダ板108及びセンサ110等(図8参照)を移動部2から排することができる。よって、移動部2のサイズは図8で示した従来技術の移動部102よりも小さくすることができる。そのため情報読取手段300と読取対象との距離が小さくなることにより、読取対象に対する情報読取手段300の位置合わせ精度が向上する。また、情報読取手段300の読取幅方向が小さくなることにより、読取対象に対する位置調整がやり易くなる。
【0023】
また、媒体150と接して回転するローラを排したことにより、操作者に依存した操作を排することができる。即ち、媒体150と接して走査方向に回転する情報読取手段300の走査方向の位置信号出力の起点となるために、該ローラに正しい回転を与える摩擦力を得る必要がある。かかる摩擦力を得るために、移動部2を媒体150方向に強く押し付けながら走査しなければならない。媒体150と接するローラを排したことで、もはやそのような操作者に依存する操作が必要なくなる。
【0024】
更に、移動部2からギア類を排したことにより、ギアの嵌合部から発生する振動を排することができる。即ち、移動部102のスムースな移動走査を損なう原因となるギアの嵌合部から発生する振動が、移動部102を保持する操作者の手に伝わらなくする。そして、位置信号出力手段を移動部2から固定部1側に移管したことにより、信号配線11の移動部2から固定部1への信号は、情報読取手段300からの情報だけとなる。よって、信号配線11の本数が少なくなるので、信号配線11及びそれを接続するコネクタ13の部品コストを下げることが可能となる。
【0025】
なお上記の場合、上述した手段で得られた位置信号と、その各位置に対応した読取情報は、基板12に搭載された記憶素子14(情報記憶手段)に記憶される。更にその記憶された情報を送信する情報送信手段によって、ケーブル116を介してホスト情報処理装置に送信される。図1においては、移動部2を移動して読取走査を行うと、認識パターンを有する帯状体17が外観に露出する構成となっている。この場合、帯状体17をサンドイッチ状に両側から挟み込むようなガイドリブをガイド軸31に設けてもよい。
【0026】
更に、そのガイドリブ下部に簾状部品を設け、固定部1側でその簾状部品を巻き取る機構を設けることができる。これにより移動部2の移動に伴う帯状体17の下側から露出を避ける等の方法により、その問題を解決できる。
【0027】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る情報読取装置を説明するための図である。同図を用いて、ガイド軸31と接して回転する回転部材の回転に応じて、ガイド軸31の固定部1に対する相対移動量を検出し、情報読取手段300(図示せず)の移動方向の位置信号を出力する手段を有する実施の形態について説明する。
【0028】
図2において、33はガイド軸31の外周面に接する回転部材であり、固定部1に支持されている。34は回転部材33の回転をエンコーダ板35に増速伝達するギア類、36はエンコーダ板35に設けられたスリット、37は回転するエンコーダ板35のスリット36を検知するセンサを示す。
【0029】
なお、回転部材33として例えば、ガイド軸31の外周面において長手方向に配置されたラックを有し、これに噛合するピニオンであってもよい。あるいは回転部材33としての円板部材が、ガイド軸31の外周面に滑りなく接触するように構成したものであってもよい。
【0030】
上記構成によって、移動部2の移動に伴うガイド軸31の移動を、その移動に伴って回転する回転部材33の回転運動に変換し、エンコードすることができる。そして、ガイド軸31の固定部1との相対移動量を検出することができる。即ち、この実施の形態においても、前述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0031】
(第3の実施の形態)
第1及び第2の実施の形態にて説明したように、情報読取手段300の走査方向の位置信号出力の起点となる媒体150と接して回転するローラを移動部2から排する。これによりローラを正しく回転させるために、移動部2を媒体150側へ強く押し付ける操作が不要となる。
【0032】
一方、第1及び第2の実施の形態では、情報読取手段300と媒体150との距離を、情報読取手段300が有する読取焦点距離に一致させる。このことを目的として移動部2を媒体150に密着させながら走査する操作は、例えガイド軸31及び32があっても必要としている。即ち、例えば左手で固定部1を媒体150に密着固定し、更に右手で移動部2を密着させながらスライド移動する。このような媒体150への密着操作が操作者の両手に要求されている。
【0033】
本発明の第3の実施の形態に係る情報読取装置は、移動部2が媒体150と密着可能とする装置として構成される。即ち、左手で固定部を媒体150に押し付けて密着させれば右手は移動部を横にスライド移動する操作のみで済む装置を実現する。以下、図3を用いて説明する。なお図3において、位置信号出力手段等の本実施の形態の主旨に直接関係ない構成については図示を省いている。
【0034】
図3(A)は、同装置を媒体150上に配置した直後の状態の断面図を示す。同図において、本実施の形態における固定部38によるガイド軸40に対する支持手段と、第1の実施の形態における固定部1によるガイド軸31に対する支持構成とは、次の点で相違する。即ち、固定部38の開口部38aにはガイド軸40の上下方向に一定の隙間を設け、ガイド軸40が固定部38に対して、その隙間分だけ上下方向に可動である点である。
【0035】
また、固定部38の開口部38aの近傍には、上下方向に圧縮可能な弾性部材41が設けられる。この弾性部材41は、ガイド軸40上面と固定部38の筐体内面に当接し、固定部38を持ち上げるように作用する。これにより固定部38は、左端下部40bを支点とし右端下部40cを媒体150から寸法42分だけ浮き上がらせ、媒体150に対して図中、右肩上がりに傾いていることである。
【0036】
また、固定部38の右肩上がりの傾きに伴い、開口部38aの下端部38a1のガイド軸40下面に対する持上げ作用により、ガイド軸40及びそれと一体的に構成された移動部2が媒体150と接する補助ローラ6を支点として左肩上がりに傾いている。なお第1の実施の形態においては、ガイド軸40の左端部40aは、固定部38の筐体内面で支持されていない。
【0037】
以上、図3(A)を用いて説明した媒体150上に配置した状態の装置に対し、読取りを開始するために固定部38を矢印39方向に押し付け、固定部38を右肩上がりの状態から媒体150に密着させた状態に移行した図を図3(B)に示す。同図において、ガイド軸40下面を支えていた開口部38aの下端部38a1の下降により、ガイド軸40は左肩上がりの状態から水平状態へ移行する。また、押付操作により付勢された弾性部材41の作用によって媒体150方向へ押し付けられ、更には開口部38の上端部38a2のガイド軸40の上面への当接により、同様にガイド軸40を媒体150側に押し付けて支えている。
【0038】
なお図3(B)に示したガイド軸40はほぼ水平状態となっているが、上記した弾性部材41と開口部38の上端部38a2による媒体150側への押付け作用により、移動部2を媒体側へ押し付けた状態となっている。これにより補助ローラ6を支点としたやや左肩下がりになる傾向となる。
【0039】
上述のように固定部38に対する媒体150方向への押付操作により、ガイド軸40、そしてそれと一体的に構成された移動部2を媒体150表面に押し付ける作用が働いている。よって、移動部2の移動走査時に、それを媒体150に密着させるための押付操作を必要とせず、単に移動部2を水平方向に移動する操作のみで、移動部2の媒体150との密着を維持した走査が可能となる。
【0040】
(第4の実施の形態)
図4乃至図6は、本発明の第4の実施の形態に係わる情報読取装置を説明するための図である。同実施の形態においては、媒体150上の読取対象201が装置の移動部44のガイド軸の移動範囲よりも長い場合にも読取可能な手段、具体的には固定部43から移動部44を分離して読み取る手段を有する。つまり、移動部44をガイド軸から着脱可能とし、ガイド軸から離脱した移動部44の移動に伴い、ガイド軸の中空部を介して信号配線を固定部43に対して突出又は収納移動可能とするものである。
【0041】
図4は、本装置が読取対象201に対して移動部44とそれと一体的に構成されたガイド軸47及び48の移動方向に沿って配置されており、操作者がガイド軸47及び48の長さよりも読取対象201の長さが長いことを把握した状態を示す。図5(A)は、図4で示した装置の移動部44近傍を拡大し、且つ本実施の形態に関する部分の内部構成を示す図である。図5(B)は、その図におけるガイド軸47の軸中心の面を切断面とした固定部43と移動部44の合せ面近傍部の断面図を示す。
【0042】
それらの図において、先ずロック釦46a及び46bを下降させて、それらをガイド軸47及び48と嵌合させ、ガイド軸47及び48を固定部1側で保持する構成について説明する。
ロック釦46a及び46bは、それらの下部に突起46a1及び46b1を有すると共に各々ガイド軸47及び48の上部に配置され、操作者の操作により下降可能に構成されている。ガイド軸47及び48は、それらの上面に配置される突起46a1及び46b1の下方に穴47a及び48aを有し、ロック釦46a及び46bが下降操作されると、それらの穴に突起46a1及び46b1が嵌合する構成となっている。
【0043】
次に、解除釦45a及び45bを操作し、移動部44をガイド軸47及び48から分離する作用に関する構成について説明する。
解除釦45a及び45bは、移動部44内において各々弾性部材53a及び53bに連結されている。弾性部材53a及び53bはリング形状部を有する。そのリング形状部を
ガイド軸47及び48に設けられた溝47b及び48b(図6)に嵌合してそれらを的確に保持し、ガイド軸47及び48を移動部44と一体的な構成としている。また、そのリング形状部は、解除釦45a及び45bを左右から押し付ける操作により内径が拡大する構成となっている。
【0044】
続いて、移動部44に内蔵された情報読取手段300の移動走査位置信号を出力する手段について説明する。
本実施の形態の装置は、移動部44が移動部44とガイド軸47及び48が一体的に移動して読取りを行った場合に、情報読取手段300の位置信号を出力する手段としての認識パターンを有する帯状体17及びそのパターンを検知するセンサ18を有する。
【0045】
また、後述するように移動部44が分離移動した場合の第2の位置信号出力手段を有している。その第2の位置信号出力手段は、情報読取手段300からの信号配線49を基板51に接続する前に、その信号配線49を巻き取る配線巻取手段52を有している。配線巻取手段52は具体的にはゼンマイ式機構を有し、ガイド軸47及び48よりも充分に長い長さを巻き取っている。そして、ある所定の巻取負荷を絶えず信号配線49にかける構成となっている。
【0046】
また、信号配線49を情報読取手段300近傍の移動部44内の保持部44a部にて保持し、信号配線49は保持部44aから配線巻取手段52間、プーリー54を介して撓みなくU字状を形成している。また、信号配線49は少なくともセンサ50近傍の位置から巻き取られている部分の範囲に認識パターン49aを有する。後述する移動部44の移動に伴う信号配線49の移動時に、センサ50によって認識パターン49aの読取りが可能な構成となっている。
【0047】
上述した構成において、ガイド軸47及び48よりも長い読取対象201に対する読取り操作方法を以下に説明する。
操作者は先ずロック釦46a及び46bを下降させ、それらの下部の突起46a1及び46b1を穴47a及び48aに挿入し、ガイド軸47及び48の突出移動を禁止する。その後、解除釦45a及び45bを互いの方向に押し付け合って、それらに連結された弾性部材53a及び53bのリング形状部の内径を拡大して、ガイド軸47及び48への保持を解除する。
【0048】
そして、片手で固定部43を媒体150上に保持しながら、解除釦45a及び45bを押し付け合った状態のまま移動部44を固定部43から離れる方向へ移動する。すると、移動部44はガイド軸47及び48から離れ、移動部44は独自の移動が可能になる。
【0049】
図5(A)及び(B)の状態から移動部44が僅かに単独移動をしている状態を、各々図6(A)及び(B)に示す。それらの図において、操作者は固定部43を一方の手で媒体150上に固定保持し、他方の手で移動部44をスライドして情報読取手段300による読取りを行う。この際、移動部44の保持部44aで保持されている信号配線49は、移動部44の移動によって撓みなく引っ張られ、配線巻取手段52から解放されていく。
【0050】
その信号配線49の解放移動距離をセンサ50による認識パターン49aの検知で検出し、それを信号配線49と同期的に移動している移動部44内の情報読取手段300の位置信号として出力する。なお、読取りが終了すると信号配線49は配線巻取手段52による所定の巻取負荷によって巻戻し作用が働くので、操作者が移動部44に対する保持を緩めると、その巻戻し作用により移動部44が固定部43側へ逆戻りする。
【0051】
最後に再び解除釦45a及び45bを押して弾性部材53aの内径を大きくすれば、再びそれをガイド軸47及び48の溝47b及び48bに嵌合させることができる。更にはロック釦46a及び46bを上昇させることによって、初期状態へ復帰する。
【0052】
なお、以上説明した第4の実施の形態においては、信号配線49上に認識パターン49aを設けた構成としたが、信号配線49とは別に認識パターンを有する帯状体を設け、それも信号配線と同様に巻き取る手段を設ける構成も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる情報読取装置を説明するそれぞれ断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係わる情報読取装置を説明する斜視部分透視図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係わる情報読取装置を説明するそれぞれ断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係わる情報読取装置を説明する斜視図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係わる情報読取装置を説明する斜視部分透視図及びその断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係わる情報読取装置の移動部を移動した状態を説明する斜視部分透視図及びその断面図である。
【図7】従来技術を説明するそれぞれ斜視図である。
【図8】従来技術を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1,38,43 固定部
2,44 移動部
11,49 信号配線
14 記憶素子
17 帯状体
18,37,50 センサ
31,32,40,47,48 ガイド軸
33 回転部材
35 エンコーダ板
41 弾性部材
45a,45b 解除釦
46a,46b ロック釦
52 配線巻取手段
53a,53b 弾性部材
54 プーリー
116 ケーブル
150 媒体
200,201 読取対象
300 情報読取手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体上を移動走査し該媒体上の情報を光学的に読み取る情報読取手段と、該情報読取手段の移動に基づく前記媒体上の走査位置を検知して位置信号を出力する位置信号出力手段と、前記情報読取手段と前記位置信号出力手段に基づいて得られた情報を記憶する情報記憶手段と、該情報記憶手段に記憶された情報をホスト情報処理装置に送信する情報送信手段と、前記情報記憶手段と前記情報送信手段を有する固定部と、前記情報読取手段を保持し該情報読取手段と一体的に移動する移動部と、前記移動部の移動に基づき前記固定部に対して直線状に突出又は収納移動する前記移動部と一体的に構成されたガイド部と、を有する情報読取装置であって、
前記位置信号出力手段は、前記移動部の移動に応じて移動する前記ガイド部の前記固定部に対する相対移動量を検出する手段により構成されることを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
前記ガイド部の前記固定部に対する相対移動量を検出する手段は、前記ガイド部に一体的に構成された認識パターンを有する帯状体と、前記ガイド部と共に移動する前記帯状体の認識パターンを検知するパターン検知手段と、該パターン検知手段に応じて前記情報読取手段の移動方向の位置信号を出力する手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記ガイド部の前記固定部に対する相対移動量を検出する手段は、前記ガイド部の移動に伴い回転する回転部材と、該回転部材の回転に応じて前記情報読取手段の移動方向の位置信号を出力する手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項4】
前記固定部に対する前記ガイド部の移動を支持する支持手段が、前記固定部を前記媒体側へ押し付ける作用に伴い、前記移動部を前記媒体側へ付勢する手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報読取装置。
【請求項5】
前記ガイド部は中空部を有し、前記移動部に保持された前記情報読取手段からの信号配線が前記中空部を介して、前記固定部内に配され前記情報記憶手段を搭載した基板に接続されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報読取装置。
【請求項6】
前記ガイド部の前記固定部からの突出移動を禁止する手段と、前記移動部を前記ガイド部から着脱可能とする手段と、前記ガイド部から離脱した前記移動部の移動に伴い、前記ガイド部の中空部を介して信号配線を前記固定部に対して突出又は収納移動可能とする手段と、前記ガイド部の突出移動に伴う前記信号配線の前記固定部に対する相対移動量を検出する手段と、該相対移動量を検出する手段の結果に基づき前記情報読取手段の前記媒体上の走査位置を検知して位置信号を出力する第2の位置信号出力手段と、前記信号配線を前記固定部内で巻き取る配線巻取手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−269081(P2008−269081A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108423(P2007−108423)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】