説明

情報選択装置

【課題】情報の表示、選択性に優れ、特に情報の選択から項目の選択決定が直感的に分かり易く操作可能な情報選択装置を提供する。
【解決手段】操作入力部としての3次元入力デバイス100と、3次元入力デバイス100の操作により、対象モデル200、及び、対象モデル200に付されるメニュー項目210を、回転、移動、又は、ズーム操作して表示装置としての表示モニタ300に表示する表示制御部410と、表示制御部410により表示モニタ300に表示されたメニュー項目210が選択されたことを判断する選択判断部420と、を有して構成し、メニュー項目がズーム操作により所定の大きさ以上に拡大された場合にメニュー項目が選択されたと判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報選択装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3次元的に表示した情報選択用のGUIにおいて、押下げをすることで方向操作し、操作部材を回転させることで奥行き方向の操作を行う情報選択装置がある。この情報選択装置は、3次元的に表示する複数の選択候補となるオブジェクトをオブジェクト記憶部に記憶し、押下及び回動自在な操作入力部から入力された回転操作に従って、オブジェクトの奥行き方向の表示位置を変更した表示画像を生成しディスプレイに表示する3次元表示制御部を有し、回転操作を奥行きの移動、押し下げ操作を画面縦横方向の移動に割り当てることで、3次元に配置したコンテンツ選択操作を行うものである(特許文献1参照)。
【0003】
この情報選択装置によれば、回転操作を奥行きの移動、押し下げ操作を画面縦横方向の移動に割り当てることで、3次元に配置したコンテンツ選択操作を容易に行うことができる。また、回転スピードが高速な場合、奥行き方向に複数のコンテンツをまとめて移動することで高速に飛ばして検索しながらも視覚的な変化を抑えられ、視認性を高めることが出来るとされている。
【特許文献1】特開2006−107170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の情報選択装置は、奥行きの移動を回転操作すると共に、画面縦横方向の移動を押し下げ操作で行なうので、連続的な移動操作性には改善の余地があり、また、選択候補が選択された後の最終的な項目決定等は示されておらず、別途押し下げ操作等の選択決定操作が必要となるという問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、情報の表示、選択性に優れ、特に情報の選択から項目の選択決定が直感的に分かり易く操作可能な情報選択装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明は、上記目的を達成するため、操作入力部と、前記操作入力部の操作により、対象モデル、及び、前記対象モデルに付されるメニュー項目を、回転、移動、又は、ズーム操作して表示装置に表示する表示制御部と、前記表示制御部により前記表示装置に表示された前記メニュー項目のうち所定のメニュー項目が選択されたことを判断する選択判断部と、を有し、前記選択判断部は、前記メニュー項目が前記ズーム操作により所定の大きさ以上に拡大された場合に前記メニュー項目が選択されたと判断することを特徴とする情報選択装置を提供する。
【0007】
[2]前記操作入力部は、前記対象モデルを前記表示装置上で2次元移動させる2次元操作部と、前記対象モデルを前記表示装置上で奥行き方向に移動させるズーム操作部とを有することを特徴とする上記[1]に記載の情報選択装置であってもよい。
【0008】
[3]また、前記対象モデルは車両であり、前記メニュー項目は前記車両の操作対象項目であることを特徴とする上記[1]に記載の情報選択装置であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、情報の表示、選択性に優れ、特に情報の選択から項目の選択決定が直感的に分かり易く操作可能な情報選択装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[本発明の実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る情報選択装置の構成ブロック図である。図2は、本発明の実施の形態に係る情報選択装置が車両に適用された状態を示す斜視図である。図3は、本発明の実施の形態に係る情報選択装置の構成要素である3次元入力デバイスの外観斜視図である。図4は、本発明の実施の形態に係る情報選択装置において、対象モデルが表示されるメニュー域の大小関係を概念的に示す模式図である。図5は、本発明の実施の形態に係る情報選択装置の表示及び選択決定のためのフローを示すフローチャートである。図6A、B、Cは、フローチャートに従って表示された対象モデル、メニュー項目を段階的に示す画面表示図である。
【0011】
(情報選択装置1の構成)
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る情報選択装置1は、操作入力部としての3次元入力デバイス100と、3次元入力デバイス100の操作により、対象モデル200、及び、対象モデル200に付されるメニュー項目210を、回転、移動、又は、ズーム操作して表示装置としての表示モニタ300に表示する表示制御部410と、表示制御部410により表示モニタ300に表示されたメニュー項目210が選択されたことを判断する選択判断部420と、を有して構成されている。
【0012】
(3次元入力デバイス100)
3次元入力デバイス100は、図2に示すように、例えば、車両10のインスツルメントパネル20の運転者あるいは搭乗者が操作可能な位置に装着されている。また、3次元入力デバイス100で操作した表示画像は表示モニタ300に表示される。
【0013】
図3に示すように、3次元入力デバイス100は、互いに直交するX、Y方向に2次元操作可能なトラックボール110と、θ方向に回転可能な回転ホイール120を備えている。トラックボール110または回転ホイール120の動きは、公知の各種検出デバイスが使用可能であり、例えば、ポテンショメータ、光エンコーダによる移動量、回転角検出、MR素子等の磁気検出センサ等が使用できる。
【0014】
(ECU400)
ECU(Electric Control Unit)400は、表示制御部410、選択判断部420を有するCPUからなり、制御フローを実行するためのプログラムが格納されたROM430が接続されると共に、処理作業領域としてのRAM440が接続されている。また、表示モニタ300に表示する対象モデル200、例えば、特定の車種の外観データとこれに対応したメニュー項目210を記憶した記憶部450が接続されている。記憶部450として、半導体メモリー、CD−ROM等を使用することにより、車種毎にデータ交換が容易に可能である。
【0015】
ECU400には、入力として3次元入力デバイス100からの信号(X、Y、θ)が入力されると共に、表示制御部410から表示モニタ300に画像信号が出力される。
【0016】
図4は、表示モニタ300のモニタ画面310上に表示される対象モデル200、及び、対象モデル200に付されるメニュー項目210の大小関係(モニタ画面310上の拡大率)、及び、メニュー項目210の詳細関係を概念的に示している。情報選択装置1の初期画面は、大分類メニュー域510によりモニタ画面310上に大まかに分類されたメニュー項目210が表示され、対象モデル200は車両全体が視認されるように全体画像が表示される。詳細メニュー域520は、大分類メニュー域510に比較して詳しいメニュー項目210が表示され、これに対応して対象モデル200は拡大されて表示される。決定メニュー域530は、詳細メニュー域520に比較してさらに詳しいメニュー項目210が表示され、これに対応して対象モデル200はさらに拡大されて表示される。
【0017】
上記の大分類メニュー域510、詳細メニュー域520、決定メニュー域530に対応したメニュー項目210、および、対象モデル200は、それぞれの拡大率に応じた画像データ、メニュー文字データ等が記憶部450にライブラリとして記憶されており、必要に応じてECU400から参照される。尚、上記示した大分類メニュー域510、詳細メニュー域520、決定メニュー域530は一例であって、さらに多くのメニュー域を設けることも可能である。
【0018】
(情報選択装置1の動作)
図5のフローチャートに従って情報選択装置1の動作を説明する。情報選択装置1の動作がスタートすると、まず、図6A(a)に示すような初期画面が表示モニタ300のモニタ画面310上に表示される(Step1)。この初期画面は、大分類メニュー域510に対応した対象モデル200及びメニュー項目210である。対象モデル200は車両全体が表示され、車両の操作対象部位にメニュー項目210が付されて表示される。
【0019】
3次元入力デバイス100のトラックボール110をX、Y方向に2次元操作して、モニタ画面310上で対象モデル200を横方向(X方向)回転または移動させる。また、縦方向(Y方向)に移動させて、図6A(b)に示すように項目選択したいメニュー項目210を画面中央付近にもってくる(Step2)。以下では、例えば、ミラー(サイドミラー)を格納するための操作として説明する。
【0020】
3次元入力デバイス100の回転ホイール120をθ方向に回転させて、図6B(c)に示すようにモニタ画面310上で対象モデル200をズーム(拡大)させる(Step3)。これにより、詳細メニュー域520に対応した拡大された対象モデル200と詳しいメニュー項目210が表示される(Step4)。
【0021】
次に、Step2と同様に、3次元入力デバイス100のトラックボール110をX、Y方向に2次元操作して項目選択したいメニュー項目210を画面中央付近にもってくる(Step5)。この詳細メニュー域520では、例えば、ミラーに関するメニュー項目は、図6B(c)に示すように、ミラーヒータの操作、ミラー鏡面調整、ミラー格納、ミラー復帰、ミラーオート電格の複数のサブメニューが表示される。従って、ここでのトラックボール110の操作は、目的とする「ミラー格納」を画面中央付近にもってくる。但し、このサブメニュー「ミラー格納」が既に画面中央にある場合は、この操作は不要である。
【0022】
次に、Step3と同様に、3次元入力デバイス100の回転ホイール120をθ方向に回転させて、図6B(d)に示すようにモニタ画面310上で対象モデル200をさらに拡大させる(Step6)。これにより、決定メニュー域530に対応したさらに拡大された対象モデル200とさらに詳しいメニュー項目210が表示される(Step7)。
【0023】
次に、Step2、5と同様に、3次元入力デバイス100のトラックボール110をX、Y方向に2次元操作して、図6B(d)に示された決定メニュー域530での画面上で、最終的に選択したい、「ミラー格納」の「Yes」を画面中央にもってくる(Step8)。但し、このサブメニュー「Yes」が既に画面中央にある場合は、この操作は不要である。
【0024】
ミラー格納を行なう場合は、「ミラー格納」の「Yes」を選択する。この選択は、3次元入力デバイス100の回転ホイール120をさらにθ方向に回転させて、図6C(e)に示すようにサブメニュー「Yes」をさらに拡大させる(Step9)。
【0025】
3次元入力デバイス100の回転ホイール120操作により、サブメニュー「Yes」の拡大を続けると、例えば、図6C(f)に示すように、サブメニュー「Yes」が所定の大きさ以上に拡大される。このとき、選択判断部420は、「ミラー格納」の「Yes」が所定値を超えたかどうか判断し(Step10)、所定値を超えた場合は「Yes」が選択されたと判断し、メニュー項目が決定される(Step11)。この拡大表示は、メニュー項目を完全に突き抜ける感覚が得られるまで拡大して表示することが可能である。尚、「ミラー格納」の「Yes」が選択されるまでは、Step8、9に戻り、トラックボール110のX、Y操作、及び、回転ホイール120の操作が可能である。
【0026】
メニュー項目が決定されると、ECU400は、車両10のミラーを格納制御するよう制御信号を出力する等の車載機器の制御を行ない(Step12)、一連のフローが終了する。尚、一連のフロー終了後は、設定により、大分類メニュー域510の表示、詳細メニュー域520の表示、あるいは、直近表示の決定メニュー域530の表示に戻るようにしてもよい。
【0027】
(本発明の実施の形態の効果)
上記示した本発明の実施の形態によれば以下のような効果を有する。
(1)初期画面である大分類メニュー域510から詳細メニュー域520、決定メニュー域530にメニュー項目210を拡大させながらメニューの選択、決定ができるので、直感的に分かり易く、素早い操作ができ、操作性の向上が可能となる。
(2)決定メニュー域530において、回転ホイール120を操作してズーム(拡大)操作をするだけで、メニューの選択、決定ができるので、別途ボタンの押し下げ操作等の選択決定操作が不要である。これにより、メニューの選択から決定までが連続的に行なわれるので、操作性が飛躍的に向上する。
(3)表示モニタ300のモニタ画面310内を、大分類メニュー域510から詳細メニュー域520、決定メニュー域530まで空間内を移動するような感覚で操作でき、決定メニュー域530でのズーム(拡大)操作により、メニュー項目を突き抜ける感覚でメニューの決定がなされる。これにより、従来にない操作感覚を有する情報選択装置1が可能となる。
(4)本発明の実施の形態では、画面表示を、大分類メニュー域510から詳細メニュー域520、決定メニュー域530の3段階としたが、さらに、細かい段数で表示を行なうことにより、シームレスに空間内を移動しながらメニューの選択、決定を行なうシステムとすることが可能である。
【0028】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る情報選択装置の構成ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る情報選択装置が車両に適用された状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る情報選択装置の構成要素である3次元入力デバイスの外観斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る情報選択装置において、対象モデルが表示されるメニュー域の大小関係を概念的に示す模式図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る情報選択装置の表示及び選択決定のためのフローを示すフローチャートである。
【図6A】図6A(a)、(b)は、フローチャートに従って表示された対象モデル、メニュー項目を段階的に示す画面表示図である。
【図6B】図6B(c)、(d)は、フローチャートに従って表示された対象モデル、メニュー項目を段階的に示す画面表示図である。
【図6C】図6C(e)、(f)は、フローチャートに従って表示された対象モデル、メニュー項目を段階的に示す画面表示図である。
【符号の説明】
【0030】
1…情報選択装置、10…車両、20…インスツルメントパネル、100…3次元入力デバイス、110…トラックボール、120…回転ホイール、200…対象モデル、210…メニュー項目、300…表示モニタ、310…モニタ画面、400…ECU、410…表示制御部、420…選択判断部、430…ROM、440…RAM、450…記憶部、510…大分類メニュー域、520…詳細メニュー域、530…決定メニュー域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作入力部と、
前記操作入力部の操作により、対象モデル、及び、前記対象モデルに付されるメニュー項目を、回転、移動、又は、ズーム操作して表示装置に表示する表示制御部と、
前記表示制御部により前記表示装置に表示された前記メニュー項目のうち所定のメニュー項目が選択されたことを判断する選択判断部と、を有し、
前記選択判断部は、前記メニュー項目が前記ズーム操作により所定の大きさ以上に拡大された場合に前記メニュー項目が選択されたと判断することを特徴とする情報選択装置。
【請求項2】
前記操作入力部は、前記対象モデルを前記表示装置上で2次元移動させる2次元操作部と、前記対象モデルを前記表示装置上で奥行き方向に移動させるズーム操作部とを有することを特徴とする請求項1に記載の情報選択装置。
【請求項3】
前記対象モデルは車両であり、前記メニュー項目は前記車両の操作対象項目であることを特徴とする請求項1に記載の情報選択装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2010−55166(P2010−55166A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216603(P2008−216603)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】