説明

情報配信システム

【課題】 駅構内における場所に応じて利用者に必要な情報を提供することのできる情報配信システムを提供する。
【解決手段】 所定の情報を表示する少なくとも1つの表示装置8a,8b,8cと、中央システム1の運行情報サーバ2およびコマーシャルサーバ3と、駅システム4の運行管理サーバ5とからそれぞれ送られる各種情報に基づいて、駅固有の情報に加工した情報を表示装置8a,8b,8cに表示させる駅配信サーバ7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報配信システムに係り、特に、駅や空港などの利用者に対して必要な情報を表示させることを可能とした情報配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、列車の運行状況を把握するシステムとして、列車運行状況表示装置が知られている。この列車運行状況表示装置は、列車集中制御装置センターに集約された列車位置情報や列車の遅れなどの各種の列車運行状況情報に基づいて、列車運行状況表示中央装置で列車運行表示情報を作成し、その作成された列車運行表示情報を専用の通信回線を介して主要駅に設置されている列車運行状況表示端末機に送信するように構成されている。
【0003】
そして、この列車運行状況表示端末機により、例えば、列車の遅れなどの情報を表示させることにより、利用者に案内するようになっている。
【0004】
しかしながら、このようなシステムにおいては、専用回線を布設した主要駅のみで受信可能であり、しかも、その情報は、駅係員用であるため、一般旅客の案内は、駅係員を介して行われるので案内が遅れたり、あるいは、正確な情報が伝わらないという問題があった。
【0005】
そのため、従来から、列車運行情報生成手段により信号情報等の所定の情報に基づいて生成された列車運行情報に基づいて、コンテンツコントローラにより、旅客用、駅係員用、あるいは保守要員用等の各利用者向けや所定の項目毎の列車情報を作成し、作成された列車情報を通信回線を介して端末器に配信し、最新の列車情報をリアルタイムで提供するようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−308101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術においては、列車運行情報に基づいて利用者に合わせた列車情報を提供するものであるが、中央における画一的な情報を提供するものであり、各駅における固有の情報を提供するものではなく、必ずしも利用者に合わせた情報を提供していないという問題を有している。
【0008】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、その場に応じて利用者に必要な情報を提供することのできる情報配信システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1の発明に係る情報配信システムは、所定の情報を表示する少なくとも1つの表示装置と、前記表示装置の設置場所に応じて必要な情報を前記表示装置に表示させる配信サーバと、を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記配信サーバは、駅に設置される駅配信サーバであり、前記駅配信サーバは、中央システムの運行情報サーバおよびコマーシャルサーバと、駅システムの運行管理サーバとからそれぞれ送られる各種情報に基づいて、駅固有の情報に加工した情報を前記表示装置に表示させるものであることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1において、前記配信サーバは、空港に設置される空港配信サーバであり、前記空港配信サーバは、フライト情報管理サーバと、動画配信サーバとからそれぞれ送られる各種情報を前記表示装置の設置場所に応じて表示させるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、配信サーバにより、表示装置の設置場所に応じて必要な情報を表示装置に表示させるようにしているので、利用者の要求に合わせた情報の表示を行うことができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、配信サーバを駅に設置される駅配信サーバとし、駅配信サーバにより、中央システムの運行情報サーバおよびコマーシャルサーバと、駅システムの運行管理サーバとからそれぞれ送られる各種情報に基づいて、駅固有の情報に加工した情報を表示装置に表示させるようにしているので、利用者の要求に合わせた情報の表示を行うことができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、配信サーバを空港に設置される空港配信サーバとし、空港配信サーバにより、フライト情報管理サーバと、動画配信サーバとからそれぞれ送られる各種情報を表示装置の設置場所に応じて表示させるようにしているので、利用者の要求に合わせた情報の表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る情報配信システムの第1実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明に係る情報配信システムが設置される駅構内の例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る情報配信システムに用いられる券売機の例を示す概略図である。
【図4】本発明に係る情報配信システムの案内表示装置による列車遅延情報の表示例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る情報配信システムの案内表示装置による天気情報情報の表示例を示す説明図である。
【図6】本発明に係る情報配信システムの券売機表示装置による緊急情報の表示例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る情報配信システムの案内表示装置による緊急情報の表示例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る情報配信システムの第1実施形態による動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る情報配信システムの第2実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は本発明に係る情報配信システムの第1実施形態を示す概略図である。本実施形態においては、情報配信システムを列車の駅における情報配信に適用した場合を示している。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の情報配信システムは、列車の運行を集中的に管理する所定の中央の管理センターに設けられ列車の路線の各駅に情報を送信するための中央システム1は、運行情報サーバ2、コマーシャルサーバ3を備えている。また、路線の各駅に設置される駅システム4は、運行管理サーバ5、案内制御装置6および駅配信サーバ7を備えている。なお、中央システム1と駅システム4とはLANなどの通信回線19によって接続されている。
【0019】
運行情報サーバ2は、列車が走行する路線におけるダイヤの乱れ情報、運転停止情報や運休情報などの運行情報を生成して駅配信サーバ7に送信するように構成されており、コマーシャルサーバ3は、列車の行き先案内情報、観光案内情報、天気予報も含む天気情報、緊急地震警報等の緊急情報やイベント情報などの案内情報を駅配信サーバ7に送信するように構成されている。
【0020】
また、駅システム4の運行管理サーバ5は、当該駅の列車発車時刻や発車番線情報などの駅運行情報を案内制御装置6に送信するように構成されており、駅配信サーバ7は、運行情報サーバ2から送られる運行情報、コマーシャルサーバ3から送られる案内情報および案内制御装置6から送られる駅運行情報を入力して、これら各情報を必要に応じて駅固有の情報に加工して所定の表示装置8に表示させるように構成されている。
【0021】
例えば、図2に示すように、駅構内に複数の券売機17が設置されており、駅通路を挟んで駅改札18が設置されている場合、表示装置8としては、例えば、図3に示すように、券売機17に設けられた券売機表示装置8a、改札18付近や駅通路内などに設置される液晶パネルなどからなる案内表示装置8bの他、例えば、駅構内のレストランに設置されるレストラン表示装置8cや駅に隣接する駐車場などに設置される表示装置(図示せず)などが考えられる。
【0022】
また、案内制御装置6は、運行管理サーバ5からのダイヤ情報に基づいて駅のプラットホームに設置されたLED掲示板9にダイヤ情報を表示させるように構成されている。
【0023】
そして、案内表示装置8による表示としては、例えば、平常運行時には、通常のダイヤ情報を表示装置8a,8b,8cに表示させるとともに、例えば、ターミナル駅においては、駅配信サーバ7により乗り換え列車の発車時刻や乗り換え案内など駅固有の情報に加工して表示装置8a,8b,8cに表示させるものであり、また、コマーシャルサーバ3から送られる行き先案内や行き先に応じた広告などを駅配信サーバ7により表示装置8a,8b,8cに表示させるように構成されている。
【0024】
また、例えば、運行情報サーバ2により運行の遅れ情報が送られた場合には、図4に示すように、案内表示装置に、運行の遅れがあった旨を表示させるとともに、運行管理サーバ5から送られるダイヤ情報に基づいて、駅配信サーバ7が駅への列車の到着予定時刻に加工して表示させるように構成されている。また、運行情報サーバ2により列車の運休あるいは停止情報が送られてバスによる振替輸送を行うことになった場合には、駅配信サーバ7によりその旨を表示装置8に表示させるとともに、振替輸送のバス発着場の案内情報を表示させるように構成されている。さらに、例えば、運行情報サーバ2により地震などの緊急情報が送られた場合には、駅配信サーバ7により地震情報を表示させるように構成されている。
【0025】
また、これら各種情報の表示は、例えば、各種情報が必要とされる箇所の表示装置8a,8b,8cに表示されるものである。例えば、列車の遅延情報や運休情報などは、券売機17の券売機表示装置8a、駅改札に設置される案内表示装置8bあるいはレストランに設置されるレストラン表示装置8cに表示にさせたり、乗り換え案内情報などは、駅の乗り換え通路に設置された案内表示装置8bに表示させたり、あるいは、振替輸送案内情報などは、改札の出口付近に設置される案内表示装置8bに表示させるものである。このように本実施形態においては、各種情報を必要に応じて駅固有の情報に加工し、また同じ駅内でも表示装置の固有の機能、配置場所等に応じた情報に加工して任意の表示装置8a,8b,8cに表示させることができるように構成されている。
【0026】
さらに、具体的に説明すると、例えば、駅配信サーバ7から駅近辺の天気情報(例えば、現在、雨である場合)を各表示装置8a,8b,8cに表示させる場合に、図5に示すように、例えば、階段や出入口近辺の案内表示装置8bには「雨のため、階段や出入口が大変滑りやすくなっています。足元にご注意下さい。」という表示をしたり、駅売店近くの表示装置8bには「現在、駅近辺は雨です。駅売店では傘を○○円で販売しています。」と表示させるように、各表示装置8a,8b,8cの配置場所等に応じて駅配信サーバ7で天気情報を加工して表示させるものである。また、駅配信サーバ7から駅近辺の緊急情報(例えば、図2に示す駅構内において、地震による避難情報が出ており、A1出口から外に避難させなければいけない場合)を各表示装置8a,8b,8cに表示させる場合に、図6および図7に示すように、例えば、券売機17の券売機表示装置8aでは、乗車券を買うための表示を停止するとともに、「右手○○m先のA1出口から外に避難してください」という案内を表示し、改札付近に設置された案内表示装置8bには、「左手○○m先のA1出口から外に避難してください」、「直進○○m先のA1出口から外に避難してください」などと表示させるように、各表示装置8a,8b,8cの配置場所等に応じて駅配信サーバ7で緊急案内を加工して表示させるものである。
【0027】
その他、イベント情報を表示するとともに表示装置8a,8b,8cの場所に応じて「○○センターへは右手○○m先のB2出口が近いです」等を表示することもできる。さらに、当該駅ロータリーに停車するタクシーの混雑情報、バスの運行情報を取り込む別のサーバを、インターネットなどの通信回線を介して駅配信サーバ7に接続することにより、駅構内の表示装置にタクシーの混雑情報、バスの運行情報を表示することもできる。
【0028】
なお、列車の行き先案内情報(観光案内等)、天気予報も含む天気情報、緊急地震警報等の緊急情報やイベント情報などの案内情報は、コマーシャルサーバ3から配信されるようになっているが、コマーシャルサーバ3の代わりに、ローカルなサーバ(各駅に設置したサーバや複数の駅で共有されたサーバ)をインターネットなどの通信回線を介して駅配信サーバ7に接続し、このローカルなサーバから各種情報が配信されるように構築してもよい。
【0029】
次に、本実施形態の作用について図8に示すフローチャートを参照して説明する。
【0030】
本実施形態においては、駅配信サーバ7に、運行情報サーバ2、コマーシャルサーバ3または運行管理サーバ5から各種情報が送られると(ST1)、駅配信サーバ7は、駅固有の情報に加工する必要があるか否かを判断し(ST2)、加工する必要がない情報の場合は、あらかじめ定められた表示装置8に表示させる(ST4)。一方、各種情報を駅固有の情報に加工する必要がある場合は、駅配信サーバ7により、各種情報を加工し(ST3)、表示装置8a,8b,8cに表示させるものである(ST4)。
【0031】
以上述べたように、本実施形態においては、駅配信サーバ7により、運行情報サーバ2、コマーシャルサーバ3または運行管理サーバ5から送られる各種情報を駅固有の情報に加工して、所望の表示装置8a,8b,8cに表示させるようにしているので、利用者の要求に合わせた情報の表示が可能となる。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0033】
本実施形態においては、情報配信システムを空港における情報配信に適用した場合を示している。
【0034】
図9に示すように、本実施形態における本実施形態の情報配信システムは、空港のフライトを管理する所定の空港システム10に設けられたフライト情報管理サーバ11と、空港の案内情報を配信する空港配信サーバ12とを備えており、フライト情報管理サーバ11は、空港の出発時刻情報、航空ダイヤの乱れ情報、あるいはフライト欠航情報などの各種フライト情報を空港配信サーバ12に送信するように構成されている。
【0035】
また、本実施形態においては、空港の中央システム13は、動画による各種広告情報が記録された動画配信サーバ14を備えており、この動画配信サーバ14の広告情報は、例えば、インターネットなどの通信回線17を介して空港配信サーバ12に送られるように構成されている。この動画配信サーバ14は、例えば、全国に1つ設けておき、各空港の空港配信サーバ12にそれぞれ広告情報を配信するようになっている。
【0036】
空港配信サーバ12は、フライト情報管理サーバ11から送られるフライト情報および動画配信サーバ14から送られる広告情報を入力して、これら各情報を所定の表示装置15に表示させるように構成されている。表示装置15としては、空港の出発ロビー、到着ロビー、待合いロビー、展望デッキあるいは手荷物受取所などに設置される表示装置15が考えられる。そして、空港配信サーバ12は、例えば、出発ロビーに設置された表示装置15に、出発する行き先の広告情報を表示させたり、到着ロビーに設置された表示装置15に、空港周辺などの広告情報を表示させるように構成されている。このように本実施形態においては、各種情報を必要に応じて必要な表示装置15に表示させることができるように構成されている。
【0037】
本実施形態においては、空港配信サーバ12に、フライト情報管理サーバ11または動画配信サーバ14から各種情報が送られると、空港配信サーバ12は、各情報に応じて所定の表示装置15に表示させるものである。
【0038】
以上述べたように、本実施形態においても、空港配信サーバ12により、フライト情報管理サーバ11または動画配信サーバ14から送られる各種情報を所定の表示装置15に表示させるようにしているので、利用者の要求に合わせた情報の表示が可能となる。また、空港配信サーバ12が、1つの動画配信サーバ14からインターネットを介して広告情報を取得するようにしているので、広告情報を一括して管理することができる。
【0039】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 中央システム
2 運行情報サーバ
3 コマーシャルサーバ
4 駅システム
5 運行管理サーバ
6 案内制御装置
7 駅配信サーバ
8a,8b,8c 表示装置
9 LED掲示板
10 空港システム
11 フライト情報管理サーバ
12 空港配信サーバ
13 中央システム
14 動画配信サーバ
15 表示装置
17 券売機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報を表示する少なくとも1つの表示装置と、
前記表示装置の設置場所に応じて必要な情報を前記表示装置に表示させる配信サーバと、
を備えていることを特徴とする情報配信システム。
【請求項2】
前記配信サーバは、駅に設置される駅配信サーバであり、前記駅配信サーバは、中央システムの運行情報サーバおよびコマーシャルサーバと、駅システムの運行管理サーバとからそれぞれ送られる各種情報に基づいて、駅固有の情報に加工した情報を前記表示装置に表示させるものであることを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項3】
前記配信サーバは、空港に設置される空港配信サーバであり、前記空港配信サーバは、フライト情報管理サーバと、動画配信サーバとからそれぞれ送られる各種情報を前記表示装置の設置場所に応じて表示させるものであることを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−128832(P2011−128832A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285978(P2009−285978)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】