説明

情報配信装置およびプログラム

【課題】移動体端末が或る領域から離れたことを契機として情報を配信する。
【解決手段】情報配信サーバ装置において、判定部511は、移動体端末から送られてきた位置登録要求を受け付け、位置管理データベース522に記述された在圏端末IDの中から、位置登録要求に含まれる自端末IDを検索し、この自端末IDを見つけた場合に、これに対応付けられている基地局IDを、離圏基地局IDとして特定する。特定した離圏基地局IDが、狭域基地局IDとして、情報テーブル521に記述されている場合には、判定部511は、その離圏基地局IDに対応付けられている配信情報を配信部513に引き渡す。配信部513は、配信情報を引き渡されると、位置登録要求に含まれている在圏基地局IDの無線基地局を介して位置登録要求を発した移動体端末1に対し、配信情報を配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体端末に対して行う情報配信の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の移動体端末を収容するセルラー型の移動通信網においては、地域を複数のセルに分割して、各セルを形成する基地局を介して通信を行う。これらのセルは半径数百mから数Kmの範囲に亘ることが一般的であるが、山間や屋内、人口密集地帯等における通信を想定した半径数十m程度の局所的なものも利用されている。
【0003】
或る移動体端末が或るセルに在圏したときに、その移動体端末に対してそのセルが含まれる地域に関連する情報を提供することができれば、地域に密着した情報提供が可能となるので便利である。例えば、広告等の場合、地域に密着した情報提供を行うことで、広告効果の向上が見込まれる。特許文献1では、地域コードと位置関連情報とを対応付けたリクエスト信号を受信すると、地域コードに対応する基地局を特定し、その基地局を介してその基地局の無線ゾーンに在圏する移動局に上記の位置関連情報を配信するゲートウェイサーバ装置を備えた移動情報配信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−84564号公報(段落0070〜0074)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の特許文献1では、或る移動体端末が或るセルに在圏しているときにそのセルを形成する基地局を介して情報の配信を行っている。しかし、或る移動体端末が或るセルから離れたときには、上記の基地局を介して情報の配信を行うことができない。その基地局が形成するセルから既にその移動体端末が離れているからである。
【0006】
本発明の目的は、移動体端末が或る領域から離れたことを契機として情報を配信することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明に係る情報配信装置は、離圏時配信情報を複数の無線基地局のいずれかに対応付けて記憶する記憶手段と、移動体端末が第1の無線基地局により形成される通信エリアから離圏したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記移動体端末が離圏したと判定されると、当該離圏後に当該移動体端末が在圏している通信エリアを形成する第2の無線基地局を特定し、当該第2の無線基地局を介して、前記第1の無線基地局に対応付けて記憶された前記離圏時配信情報を当該移動体端末に配信する配信手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
好ましくは、或る離圏時配信情報を前記複数の無線基地局のいずれかに対応付けて記憶する旨の要求を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けられた要求に応じて、前記記憶手段の記憶内容を更新する更新手段とを具備するとよい。
【0009】
また、本発明に係る情報配信装置は、離圏時配信情報を、複数の無線基地局のいずれかと複数の移動体端末のいずれかとの組に対応付けて記憶する記憶手段と、移動体端末が第1の無線基地局により形成される通信エリアから離圏したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記移動体端末が離圏したと判定されると、当該離圏後に当該移動体端末が在圏している通信エリアを形成する第2の無線基地局を特定し、当該第2の無線基地局を介して、前記第1の無線基地局と当該移動体端末との組に対応付けて記憶された前記離圏時配信情報を当該移動体端末に配信する配信手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
好ましくは、或る離圏時配信情報を前記複数の無線基地局のいずれかと前記複数の移動体端末のいずれかとの組に対応付けて記憶する旨の要求を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けられた要求に応じて、前記記憶手段の記憶内容を更新する更新手段とを具備するとよい。
【0011】
また、好ましくは、前記受付手段は、前記要求に係る離圏時配信情報が配信される移動体端末から当該要求を受け付けるとよい。
【0012】
また、好ましくは、前記記憶手段は、前記離圏時配信情報に加えて在圏時配信情報を前記複数の無線基地局のいずれかと対応付けて記憶し、前記判定手段は、離圏したか否かの前記判定に加え、前記第2の無線基地局が形成する通信エリアに前記移動体端末が在圏したか否かを判定し、前記配信手段は、前記判定手段により前記移動体端末が在圏したと判定されると、当該第2の無線基地局を介して、当該第2の無線基地局に対応付けて記憶された在圏時配信情報を当該移動体端末に配信するとよい。
【0013】
また、好ましくは、前記記憶手段は、複数の前記離圏時配信情報を前記複数の無線基地局のいずれかと対応付けて記憶し、前記配信手段は、前記判定手段による判定の後、前記複数の離圏時配信情報のそれぞれについて予め定められた期間が経過したときに、当該離圏時配信情報を配信するとよい。
【0014】
また、好ましくは、前記配信手段は、前記判定手段による判定の後、予め定められた期間が経過したときに前記離圏時配信情報または前記在圏時配信情報を配信するとよい。
【0015】
また、好ましくは、前記期間は、前記離圏時配信情報および前記在圏時配信情報のそれぞれに対応付けて定められており、前記離圏時配信情報に対応付けて定められた期間は、前記在圏時配信情報に対応付けて定められた期間よりも短いとよい。
【0016】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータに、離圏時配信情報を複数の無線基地局のいずれかに対応付けて記憶手段に記憶させる記憶ステップと、移動体端末が第1の無線基地局により形成される通信エリアから離圏したか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより前記移動体端末が離圏したと判定されると、当該離圏後に当該移動体端末が在圏している通信エリアを形成する第2の無線基地局を特定し、当該第2の無線基地局を介して、前記第1の無線基地局に対応付けて記憶された前記離圏時配信情報を当該移動体端末に配信する配信ステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、移動体端末が或る領域から離れたことを契機として情報を配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る情報配信システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】移動体端末の構成を示す図である。
【図3】情報配信サーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】情報テーブルの一例を示す図である。
【図5】位置管理データベースの一例を示す図である。
【図6】情報配信サーバ装置の制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【図7】本実施形態の動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
1.構成
1−1.全体構成
図1は、本実施形態に係る情報配信システム9の全体構成を示す概略図である。
移動体通信網4は、例えばIMT−2000に準拠し、通信方式としてW−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)を用いる通信網である。移動体通信網4は、携帯電話機等の移動体端末1a,1b,1c,・・・(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「移動体端末1」と記す)と無線通信を行う複数の無線基地局や、図示せぬ交換機などを有している。この無線基地局として、広域基地局2a,2b,2c,・・・(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「広域基地局2」と記す)と狭域基地局3a,3b,3c,・・・(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「狭域基地局3」と記す)という、2種類のものがある。
【0020】
無線基地局から電波が到達する範囲を無線ゾーンという。複数の無線基地局の配置によっては、2つ以上の無線基地局から電波が到達する範囲が存在し得る。移動体端末1は、自身が受け取る電波のうち最も強い電波を検知して、その電波を発する無線基地局を介して通信を行う。したがって、以下の説明において、或る無線基地局を介して移動体端末1が通信を行うことが可能な範囲、すなわちその無線基地局がカバーする範囲を「通信エリア」と呼ぶとすると、この通信エリアは、上述した無線ゾーンのうち、他のどの無線基地局よりもその無線基地局の電波が強い範囲である。以下の説明において、或る移動体端末1が或る通信エリアの中に在ることを、その通信エリアに「在圏」する、といい、或る移動体端末1が或る通信エリアの外に出ることを、その通信エリアから「離圏」する、という。
【0021】
広域基地局2は、マクロセルと呼ばれる半径数百mから数Kmの範囲に亘る通信エリアを有する。狭域基地局3は、広域基地局2と比較して狭い、フェムトセルと呼ばれる通信エリアを有する。このフェムトセルの大きさは、例えば半径数mから数十mの範囲である。
【0022】
情報配信サーバ装置5は、移動体通信網4およびインターネット等のネットワーク6に接続されている。情報配信サーバ装置5は、移動体通信網4を介して情報を配信する装置である。情報配信依頼端末7a,7b,7c,・・・(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「情報配信依頼端末7」と記す)は、ネットワーク6にそれぞれ接続されており、ネットワーク6を介して情報配信サーバ装置5に対して情報配信を依頼する。具体的には、情報配信依頼端末7は、特定の移動体端末1が特定の狭域基地局3のフェムトセルから離圏したときにその移動体端末1に向けて配信する情報(以下、配信情報という)を、この特定の移動体端末1の識別情報、およびこの特定の狭域基地局3の識別情報と対応付けて記憶している。そして、情報配信依頼端末7は、例えば情報配信依頼端末7の図示しない操作部をその利用者が操作したとき等に、上記の移動体端末1の識別情報、狭域基地局3の識別情報、およびこれらに対応付けられた配信情報の組を“情報配信依頼要求”として情報配信サーバ装置5へ送信する。
【0023】
1−2.移動体端末の構成
以下、情報配信システム9に含まれる移動体端末1の構成について説明する。
図2は、この移動体端末1の構成を示す図である。CPU(Central Processing Unit)を備えた制御部11は、例えば、記憶部12に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより移動体端末1の各部を制御する。
【0024】
記憶部12はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性の記憶手段であり、制御部11に読み込まれるコンピュータプログラムを記憶する。また、記憶部12は、移動体端末1自身(以下、自端末という)を識別する識別情報(以下、自端末ID(Identification)という)を記憶する領域である自端末ID記憶領域121と、自端末が在圏している通信エリアを形成する無線基地局(以下、在圏基地局という)のID(以下、在圏基地局IDという)を記憶する領域である在圏基地局ID記憶領域122とを有する。
制御部11は、記憶部12に記憶された自端末IDと在圏基地局IDとを利用して、自端末が在圏している通信エリアを登録するための位置登録要求を、第1通信部53を介して情報配信サーバ装置5に送信する。この位置登録要求は、自端末IDと在圏基地局IDとの対を含む情報である。
【0025】
なお、自端末が在圏している通信エリアとは、自端末が受け取る電波のうち最も強い電波を発する無線基地局の通信エリアを意味する。また、記憶部12は、外付けの不揮発性メモリなどの記録媒体であってもよい。この場合、図示しない接続インターフェイスなどを介して記憶部12が自端末に接続されている。
【0026】
操作部13は、各種の指示を入力するためのタッチパネルや操作ボタン等を備えており、ユーザによる操作を受け付けてその操作内容に応じた信号を制御部11に供給する。表示部14は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、制御部11の制御により、表示画面141に画像を表示する。表示画面141に表示される画像は、操作に応じた表示やメニュー表示、および情報配信サーバ装置5から配信される文書や写真等といった種々の情報を表す画像である。
【0027】
音声処理部15は、マイクロフォン、スピーカ、およびDSP(Digital Signal Processor)などの音声処理回路を有し、マイクロフォンによる収音内容を示す収音信号を音声処理回路により生成して出力するとともに、制御部11の制御により入力される音声信号に対し音声処理回路により音声処理を行って、その音声信号に応じた音をスピーカから出力させる。
【0028】
通信部16は、制御部11の制御に応じて、自端末が在圏している通信エリアを形成する無線基地局と無線通信を行い、移動体通信網4を介して自端末以外の他の移動体端末1(以下、他端末という)と通信を行う。自端末と他端末とが行う通信とは、例えば音声による通信である「通話」や、文字による通信である「電子メール」、「ショートメッセージサービス(SMS:Short Message Service)」または「チャット」等がある。
また、通信部16は、移動体通信網4と、自端末が在圏している通信エリアを形成する無線基地局とを介して情報配信サーバ装置5から配信される各種情報の配信を受ける。この無線基地局は広域基地局2の場合と狭域基地局3の場合とがある。
【0029】
1−3.情報配信サーバ装置の構成
図3は、情報配信サーバ装置5の構成を示すブロック図である。情報配信サーバ装置5は、制御部51、記憶部52、第1通信部53、および第2通信部54を有し、これらはバスを介して互いに接続されている。
【0030】
制御部51は、CPU、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、およびタイマを有する。CPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMにロードして実行することにより、情報配信サーバ装置5の各部について、バスを介して制御する。また、RAMは、CPUが各データの加工などを行う際のワークエリアとして機能する。タイマは、水晶振動子を有する発振回路を備えており、その発振回路から出力される発振信号に基づいて時間を計測し、現在時刻を算出する。算出された現在時刻を示す情報は、CPUにより利用される。
【0031】
第1通信部53は、移動体通信網4と通信するための通信手段である。また、第2通信部54は、ネットワーク6と通信するための通信手段である。第1通信部53および第2通信部54は、例えば各種のモデムやUSB(Universal Serial Bus)規格に準拠したシリアルインタフェース等の通信インターフェイスなどである。
記憶部52は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの大容量記憶手段であって、情報テーブル521および位置管理データベース522を記憶している。
【0032】
次に記憶部52に記憶される各種情報の構成を説明する。
1−4.情報テーブルの構成
図4は、情報テーブル521の一例を示す図である。情報テーブル521は、移動体端末1の識別情報である移動体端末IDと、狭域基地局3の識別情報である狭域基地局ID、および移動体端末1に配信する情報である配信情報が対応付けられて書き込まれている。配信情報は、この配信情報に対応付けられている移動体端末IDにより識別される移動体端末1が、この配信情報に対応付けられている狭域基地局IDにより識別される狭域基地局3のフェムトセル内から離圏したときに、この移動体端末1に配信される。すなわち、情報テーブル521を記憶する記憶部52は、配信情報を複数の無線基地局のいずれかに対応付けて記憶する記憶手段の一例である。
【0033】
例えば、図4に示す情報テーブル521において、移動体端末IDである「1001」と狭域基地局IDである「3001」とが対応付けられており、これらに対応付けられている配信情報は「○×スーパーA地域店にて、お惣菜セール開催中!」という情報である。この配信情報は、移動体端末IDが「1001」の移動体端末1が、狭域基地局IDが「3001」の狭域基地局3のフェムトセルに在圏した後、他の通信エリアに移動したとき、すなわち、上記の狭域基地局3のフェムトセルから離圏したときに、上記の移動体端末1に配信される。制御部11は、第2通信部54を介して情報配信依頼端末7から情報配信依頼要求を受け取ると、この情報配信依頼要求に含まれる移動体端末ID、狭域基地局ID、および配信情報を1つの対応付けられたレコードとして情報テーブル521に追加する。
【0034】
1−5.位置管理データベースの構成
図5は、位置管理データベース522の一例を示す図である。位置管理データベース522においては、無線基地局の識別情報である「基地局ID」と、その基地局IDにより識別される無線基地局の通信エリアに在圏している移動体端末1の識別情報である「在圏端末ID」とが対応付けられて記述されている。例えば、図5に示す例において、基地局IDが「2001」の広域基地局2のマクロセルには、在圏端末IDが「1001」の移動体端末1が在圏していることがわかる。
【0035】
1−6.制御部の機能
図6は、上述した情報配信サーバ装置の各構成に加えて、制御部51の機能的構成を示すブロック図である。判定部511は、第1通信部53を介して移動体端末1から送られてきた位置登録要求を受け付ける。そして、位置登録要求を受け付けた判定部511は、位置管理データベース522に記述された在圏端末IDの中から、位置登録要求に含まれる自端末IDを検索し、この自端末IDを見つけた場合に、これに対応付けられている基地局IDを特定する。ここで特定された基地局IDは、すなわち自端末IDで示される移動体端末1が過去に在圏していた通信エリアを形成する無線基地局の識別情報である。すなわち、この位置登録要求を受けたことから、位置登録要求を発した移動体端末1が離圏した通信エリアを形成する無線基地局の識別情報(以下、離圏基地局IDという)が特定される。そして、判定部511は、特定した離圏基地局IDが、狭域基地局IDとして、情報テーブル521に記述されているか否か判定し、離圏基地局IDが情報テーブル521に記述されていると判定した場合には、その離圏基地局IDに対応付けられている配信情報を配信部513に引き渡す。また、判定部511は、特定した離圏基地局IDと、受け付けた位置登録要求を登録部512に引き渡す。
【0036】
登録部512は、記憶部52の位置管理データベース522において、特定した離圏基地局IDに対応付けられて記述されている自端末IDを削除する。そして、登録部512は、記憶部52の位置管理データベース522の中から、位置登録要求に含まれる在圏基地局IDを検索し、基地局IDとして上記の在圏基地局IDが書き込まれたレコードを見つけると、このレコードの在圏端末IDに、上記の位置登録要求に含まれる自端末IDを上書きするか、または追加する。これにより、登録部512は、移動体端末1の位置を登録する。
【0037】
配信部513は、配信情報を引き渡されると、第1通信部53を介して上述した位置登録要求に含まれている在圏基地局IDにより識別される無線基地局を特定する。そして、配信部513は、その無線基地局を介して上記の位置登録要求を発した移動体端末1に対し、上記の配信情報を配信する。
【0038】
更新部514は、第2通信部54を介して情報配信依頼端末7から配信情報を受け取ると、これを情報テーブル521に追加する。具体的には、更新部514は、情報配信依頼要求に含まれる“特定の移動体端末1の識別情報”および“特定の狭域基地局3の識別情報”を、それぞれ移動体端末IDと狭域基地局IDとして対応付けたレコードを情報テーブル521から見つけるか、見つからない場合には新たなレコードとして追加する。そして、更新部514は、このレコードの配信情報に、上述の情報配信依頼要求に含まれる配信情報を上書きするか、または追加する。
登録部512、判定部511、配信部513、および更新部514は、制御部51がプログラムを実行することでにより実現される。すなわち、判定部511を実現する制御部51は、移動体端末が無線基地局により形成される通信エリアから離圏したか否かを判定する判定手段の一例である。また、配信部513を実現する制御部51は、判定手段により移動体端末が離圏したと判定されると、当該離圏後に当該移動体端末が在圏している通信エリアを形成する無線基地局を特定し、この無線基地局を介して、移動体端末が離圏した無線基地局に対応付けて記憶された離圏時配信情報を当該移動体端末に配信する配信手段の一例である。
【0039】
2.動作
図7は、本実施形態の動作を示すシーケンス図である。同図の初期において、情報配信サーバ装置5の記憶部52に記憶された情報テーブル521は、図4に示す状態となっているとする。また、位置管理データベース522は、図5に示す状態となっているとする。以下の説明において、移動体端末1bの自端末IDが「1002」であり、広域基地局2bの基地局IDが「2002」であり、狭域基地局3bの基地局IDが「3002」であるとする。この場合、図7における初期において、この移動体端末1bは、広域基地局2bのマクロセルに在圏している。
【0040】
広域基地局2bは、自局の基地局IDである「2002」を表す信号を含んだ電波を周期的に発信する(ステップS101)。移動体端末1bの通信部16は、無線基地局から発信されている電波を受け取り、この電波が一つである場合にはその電波を特定し、この電波が複数ある場合にはこれら複数の電波のうち最も強い電波を特定する。そして、通信部16は、特定した電波から基地局IDを取得する。この場合、移動体端末1bは、広域基地局2bのマクロセルに在圏しているので、移動体端末1bの通信部16は、広域基地局2bが発信した電波を特定し、この電波から上述の信号を抽出して、これに含まれる基地局ID「2002」を取得する。通信部16は、取得した基地局ID「2002」を移動体端末1bの制御部11に送る。
【0041】
移動体端末1bの制御部11は、通信部16から送られた基地局ID「2002」と、在圏基地局ID記憶領域122に記憶されている在圏基地局IDとを比較して両者が一致しているか否かを判定する(ステップS102)。このとき、在圏基地局ID記憶領域122には在圏基地局IDとして「2002」が記憶されているので、制御部11は、上記の両者が一致していると判定する。この場合には、移動体端末1bは、記憶部12の書き換えや位置登録要求の送信等を行わない。したがって、移動体端末1bの記憶部12において、在圏基地局ID記憶領域122には在圏基地局IDとして「2002」が記憶されたままとなる。また、図5に示すように、情報配信サーバ装置5の記憶部52において位置管理データベース522には、基地局ID「2002」と在圏端末ID「1002」とが対応付けて記述された状態となる。
【0042】
その後、利用者が移動体端末1bを持って移動し、移動体端末1bは、狭域基地局3bのフェムトセル内に入ったと仮定する。狭域基地局3bは、広域基地局2bと同様に、自局の基地局IDである「3002」を表す信号を含んだ電波を周期的に発信しているので(ステップS201)、狭域基地局3bのフェムトセル内に入った移動体端末1bの通信部16はこの電波を受信し、基地局ID「3002」を取得して、制御部11に送る。移動体端末1bの制御部11は、この基地局ID「3002」と、在圏基地局ID記憶領域122に記憶されている在圏基地局IDとを比較して両者が一致しているか否かを判定する(ステップS202)。このとき、在圏基地局ID記憶領域122には在圏基地局IDとして「2002」が記憶されているので、制御部11は、上記の両者が一致していないと判定する。そして、制御部11は、位置情報信号から特定したこの基地局ID「3002」を新たな在圏基地局IDとして、在圏基地局ID記憶領域122に書き込む(ステップS203)。また、制御部11は、情報配信サーバ装置5に対し、自端末IDである「1002」と、在圏基地局IDである「3002」とを含む位置登録要求を通信部16から送信する。この位置登録要求は、狭域基地局3bおよび移動体通信網4を介して情報配信サーバ装置5に受信される(ステップS204)。
【0043】
上述した位置登録要求を受信した情報配信サーバ装置5の制御部51は、記憶部52の位置管理データベース522に記述された在圏端末IDの中から、位置登録要求に含まれる自端末IDである「1002」を検索し、これに対応して記述されている基地局IDを特定する(ステップS205)。図5に示すように位置管理データベース522には、在圏端末IDである「1002」に、基地局IDである「2002」が記述されているので、制御部51は、基地局IDである「2002」を特定する。この「2002」は、上述した離圏基地局IDである。そして、制御部51は、位置登録要求に含まれる自端末IDである「1002」と、特定した離圏基地局IDである「2002」との組が、情報テーブル521に含まれているか否かを判定する(ステップS206)。情報テーブル521には狭域基地局IDのみが記述されているので、広域基地局2bの識別情報である「2002」は記述されていないから、制御部51は、情報テーブル521に上記の組が含まれていないと判定する。そして、制御部51は、位置管理データベース522に、移動体端末1bの位置を登録する(ステップS207)。
【0044】
具体的には、制御部51は、まず、記憶部52の位置管理データベース522において、在圏端末IDのフィールド中から、位置登録要求に含まれる自端末ID「1002」を検索して削除する。この結果、図5にしめす位置管理データベース522において、基地局IDである「2002」と移動体端末IDである「1002」との対応関係は解消される。次に、制御部51は、位置管理データベース522を検索して、上記の位置登録要求に含まれる在圏基地局ID「3002」が基地局IDとして書き込まれたレコードを見つける。そして、このレコードの在圏端末IDに、上記の位置登録要求に含まれる自端末ID「1002」を上書きするか、または追加する。
【0045】
そしてさらにその後、移動体端末1bの利用者が移動体端末1bを持って移動し、移動体端末1bは、広域基地局2bのマクロセル内に入ったと仮定する。ここでは、上述したステップS202→S203→S204と同様に、ステップS302→S303→S304が行われる。したがって、ステップS302→S303→S304については、説明を省略する。ステップS304によって、移動体端末1bの制御部11は、情報配信サーバ装置5に対し、自端末IDである「1002」と、在圏基地局IDである「2002」とを含む位置登録要求を送信する。この位置登録要求は、広域基地局2bおよび移動体通信網4を介して情報配信サーバ装置5に受信される。情報配信サーバ装置5の制御部51は、記憶部52の位置管理データベース522に記述された在圏端末IDの中から、位置登録要求に含まれる自端末IDである「1002」を検索し、これに対応して記述されている基地局IDを特定する(ステップS305)。上述したステップS207において、位置管理データベース522には移動体端末1bの位置が登録されたため、在圏端末IDである「1002」に、基地局IDである「3002」が対応付けて記述されている。したがって、制御部51は、基地局IDである「3002」を離圏基地局IDとして特定する。
【0046】
そして、制御部51は、位置登録要求に含まれる自端末IDである「1002」と、特定した離圏基地局IDである「3002」とを含む組が、情報テーブル521に含まれているか否かを判定する(ステップS306)。情報テーブル521には狭域基地局3bの狭域基地局IDとして「3002」が記述されており、これに対応付けて移動体端末IDである「1002」が記述されている。したがって、制御部51は、記憶部52により上記の自端末IDと離圏基地局IDとを含む組が記憶されていると判定する。
【0047】
このように、上記の自端末IDと離圏基地局IDとを含む組が記憶部52により記憶されていると判定すると、制御部51は、上記の組に含まれた配信情報を情報テーブル521から抽出する(ステップS307)。そして、制御部51は、位置登録要求を発信した移動体端末1bに向けて抽出した配信情報を配信する(ステップS308)。
例えば、図4に示す情報テーブル521において、自端末IDである「1002」と離圏基地局IDである「3002」とを含む組に含まれた配信情報は、「△□クリーニングB地域店にて、ワイシャツ10%OFF!」という内容であり、この配信情報は、移動体通信網4と、移動体端末1bのこの時点における在圏基地局である広域基地局2bとを介して移動体端末1bに配信される。配信されたこの配信情報は、移動体端末1bの通信部16を介して制御部11に受け取られ、制御部11の制御の下、表示部14の表示画面141に表示される(ステップS309)。
【0048】
そして、制御部51は、位置管理データベース522に、移動体端末1bの位置を登録する(ステップS310)。これにより、位置管理データベース522において、基地局IDである「3002」と移動体端末IDである「1002」との対応関係は解消され、基地局ID「2002」に対応する在圏端末IDとして移動体端末IDである「1002」が書き込まれる。
【0049】
情報配信システム9に含まれる各構成が、以上の処理をそれぞれ行うことにより、予め定められた移動体端末1が、予め定められたフェムトセルから離圏したことを契機として、その移動体端末1に対して予め定められた配信情報が配信される。
【0050】
3.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
(1)変形例1
上述した実施形態において、情報テーブル521には、移動体端末IDと、狭域基地局IDと、配信情報との組が対応付けられて書き込まれていたが、情報テーブル521には、この配信情報(以下、離圏時配信情報ともいう)に加えて、この移動体端末IDにより識別される移動体端末1が、この狭域基地局IDにより識別される狭域基地局3のフェムトセルに在圏したときに、この移動体端末1に配信する配信情報(以下、在圏時配信情報という)が書き込まれていてもよい。この場合、制御部51は、位置登録要求に含まれる自端末IDと、位置登録要求に含まれる在圏基地局IDとを含む組が、情報テーブル512に含まれているか否かを判定する。そして、この組が情報テーブル521に含まれていると判定したときに、制御部51は、その組に含まれた配信情報を情報テーブル521から抽出し、位置登録要求を発信した移動体端末1に向けて抽出したこの配信情報を配信すればよい。
【0051】
(2)変形例2
上述した実施形態において、情報配信依頼端末7が、移動体端末1の識別情報、狭域基地局3の識別情報、およびこれらに対応付けられた配信情報の組を情報配信依頼要求として情報配信サーバ装置5へ送信していたが、情報配信依頼要求を情報配信サーバ装置5へ送信する端末は、情報配信依頼端末7に限られない。例えば、移動体端末1や移動体通信網4に接続された通信端末等が、移動体通信網4を介して情報配信依頼要求を情報配信サーバ装置5へ送信してもよい。この場合、制御部11は、第1通信部53を介して移動体端末1等から情報配信依頼要求を受け取ると、この情報配信依頼要求に含まれる移動体端末ID、狭域基地局ID、および配信情報を1つの対応付けられたレコードとして情報テーブル521に追加すればよい。このように、移動体端末1から情報配信サーバ装置5に情報配信依頼要求を送信可能となっていることにより、例えば移動体端末1の利用者が、出かけるときに忘れずに所持すべき物のリストが書かれた備忘録を、自宅に備え付けた狭域基地局3と対応付けて情報配信サーバ装置5の情報テーブル521に記憶させておけば、移動体端末1がこの狭域基地局3が形成するフェムトセルから離圏したとき、すなわち移動体端末1が自宅近辺から離れたときに、移動体端末1は、上記の備忘録の配信を受ける。したがって、利用者は出かけるときに忘れ物が無いか確認することができる。
【0052】
(3)変形例3
上述した実施形態において、位置登録要求に含まれる自端末IDと離圏基地局IDとを含む組が記憶部52により記憶されていると判定すると、制御部51は、その組に含まれた配信情報を情報テーブル521から抽出し、位置登録要求を発信した移動体端末1に向けて配信していたが、制御部51が、移動体端末1に向けて、上記の配信情報を配信するタイミングは、これに限られない。例えば、制御部51は、上記の位置登録要求を受け付けた時点や上記の判定をした時点等から一定の時間が経過したタイミングで配信情報を移動体端末1に向けて配信してもよい。具体的には、制御部51は、位置登録要求を受け付けた時刻を示す受付時刻情報を、制御部51のタイマにより取得して記憶部52やRAMに記憶する。そして、制御部51がタイマから取得する現在時刻を示す現在時刻情報と、記憶した上記の受付時刻情報との差、すなわち経過時間を周期的に算出する。そして、記憶部52に予め記憶されている閾値と、周期的に算出した上記の経過時間とを比較し、この経過時間が閾値を超えているときに、上記の配信情報を配信してもよい。
【0053】
例えば、情報テーブル521において、或る在圏時配信情報が或る閾値と対応付けられていると仮定する。この場合、制御部51は、位置登録要求を受け付けるとこの位置登録要求に含まれる自端末IDと在圏基地局IDとを含む組が、情報テーブル512に含まれているか否かを判定する。そして、この組が情報テーブル521に含まれていると判定したときに、制御部51は、位置登録要求を受け付けてからの経過時間を周期的に閾値と比較し、経過時間が閾値を超えたときに、上記の組に含まれる配信情報を、位置登録要求を発した移動体端末1に配信する。
なお、経過時間が閾値を超えた時点で更に移動体端末1が別の通信エリアに移動している場合がある。この場合であっても、経過時間が閾値を超えたときに、制御部51が位置管理データベースを参照して、そのタイミングにおいて上記の移動体端末1が在圏している通信エリアを形成する無線基地局を特定すればよい。
【0054】
このように、制御部51が位置登録要求を受け付けた時刻等から経過した時間が閾値を超えた時点で配信を行うことにより、例えば、移動体端末1がフェムトセルに入ったときまたは出た時点ですぐに配信する情報と、これらの時点から一定の時間が経過した時点に配信する情報とを区別することができる。具体的には、狭域基地局3を自宅に設置している利用者が、移動体端末1を持って自宅に帰宅したと仮定すると、帰宅直後には利用者は夕食を食べていないことが予想されるので、在圏時配信情報としてケータリングサービス等の広告を配信することが効果的である。一方、帰宅後1〜2時間が経過した時点では、利用者は夕食を済ませてくつろいでいることが予想される。そこで、帰宅後1〜2時間が経過した時点では、テレビ番組や通信対戦ゲーム等の広告を配信することが効果的である。このように、在圏・離圏の直後と、一定時間が経過した後では配信すべき情報も異なる場合があるから、上述したように、経過時間と閾値とを比較して配信情報を配信する時点を制御することにより、これらの情報を区別して、よりきめ細かい情報の配信を行うことができる。
【0055】
なお、経過時間と比較する閾値は、情報テーブル521に1つだけ定められていてもよいし、情報テーブル521のレコードごとに定められていてもよい。また、この閾値は、情報テーブル521において、配信情報(在圏時配信情報、離圏時配信情報)ごとに定められていてもよい。また、情報テーブル521の各レコードには、複数の閾値とそのそれぞれに対応する配信情報が記述されていてもよい。また、配信情報について、閾値を設けるものと設けないものをそれぞれ登録してもよい。
【0056】
上述した備忘録の配信は、利用者が忘れ物に気づいてすぐに自宅に引き返さなければならない場合もあるので、移動体端末1が自宅をカバーするフェムトセルからあまり離れていない時点で行われることが望ましい。また、この備忘録の配信は、移動体端末1がこのフェムトセルから離圏した可能性が少しでもある場合に行われてもよい。例えば、自宅の中で、狭域基地局3がベランダをカバーしていないといった場合には、ベランダに出るだけで備忘録が配信されることがある。この場合であっても、その後に外出するときに備えて、利用者は持ち物を確認することができる。
【0057】
一方、自宅近辺の商店街やスーパーの広告が配信されるといった場合には、利用者は外出したからこそ、これらの広告を買い物の参考にすることができるのであるから、例えば上述したようにベランダに出る度にこれらの広告が配信されても利用者にとっては有用でないことが多い。したがって、これらの広告は利用者が確実に外出しているときに配信されることが望ましい。確実に外出しているときに配信を行うため、これらの広告のような離圏時配信情報には経過時間と比較する閾値を設定し、例えば上記のフェムトセルから離圏してから10分が経過したことを判定したときに、この離圏時配信情報を配信することが望ましい。また、複数の配信情報がある場合には、それらの内容に応じて、10分、1時間、2時間というように在圏時や離圏時から配信までの経過時間を定めた個別の閾値が設定されていてもよい。
【0058】
(4)変形例4
上述した変形例2において、さらに、在圏時配信情報を配信するタイミングを規定する閾値は、離圏時配信情報を配信するタイミングを規定する閾値よりも長く設定されていてもよい。或る移動体端末1が、狭域基地局3の形成するフェムトセルに在圏したことを検知した後は、その移動体端末1は、しばらくの間そのフェムトセルに在圏し続けることが予想される。したがって、その移動体端末1へ配信する在圏時配信情報は特に緊急を要しない場合が多い。したがって、例えば、自宅に固定された通信端末によって閲覧されるウェブサイトや通信対戦ゲーム等の広告の場合、利用者の帰宅直後に知らせる必要はなく、自宅でくつろいでいる時間帯であれば、いつ配信してもよい。
【0059】
一方、或る移動体端末1が、狭域基地局3の形成するフェムトセルから離圏したことを検知した後は、その移動体端末1は刻一刻とそのフェムトセルから離れていくことが予想される。したがって、そのフェムトセルの位置と密接に関係している離圏時配信情報を配信する場合には、その移動体端末1へ配信する離圏時配信情報は、緊急を要する場合が多い。例えば、外出時に持参するべき持ち物リストを利用者が移動体端末1等によって情報配信依頼要求をしていた場合には、この持ち物リストは移動体端末1が上記のフェムトセルから離圏したらすぐに配信すべきである。つまり、この変形例3の情報配信システム9によれば、離圏時と在圏時とで移動体端末1に配信すべきタイミングを的確に設定することができる。
【0060】
(5)変形例5
上述した実施形態において、移動体端末1を一意に識別する自端末IDが予め記憶部12の自端末ID記憶領域121に格納されている場合について説明した。しかしながら、移動体端末1は、上記の自端末IDを予め記憶しているSIM(Subscriber Identity Module)やUIM(User Identity Module)を着脱自在に装着可能であり、自端末に装着しているUIMに記憶されている端末識別子を用いるとしても良いことは勿論である。
【0061】
(6)変形例6
上述した実施形態において、自端末が在圏している通信エリアとは、自端末が受け取る電波のうち最も強い電波を発する無線基地局の通信エリアを意味していたが、通信が許可されている無線基地局のうち、最も強い電波を発する無線基地局の通信エリアを、自端末が在圏している通信エリアとしてもよい。
【0062】
(7)変形例7
上述した実施形態において、情報テーブル521は、移動体端末IDと、狭域基地局ID、および配信情報が対応付けられて書き込まれていたが、狭域基地局IDと配信情報とが対応付けられて書き込まれていてもよい。すなわち、この場合、情報テーブル521には、移動体端末IDは書き込まれておらず、狭域基地局IDで識別される狭域基地局3により形成されるフェムトセルから離圏した全ての移動体端末1に対して、上記の配信情報が配信される。
【0063】
例えば、不特定多数の人が集まるような百貨店、公園、スタジアム、ホール等では、回線のチャネル数を十分に確保するために狭域基地局3を設ける場合がある。このような狭域基地局3は、公衆利用されるものであって、特定の移動体端末1にだけ通信を行わせるものでないことが多い。したがって、このような狭域基地局3が形成するフェムトセルに在圏した移動体端末1や、このフェムトセルから離圏した移動体端末1に対して配信情報を配信する場合には、移動体端末IDと狭域基地局IDとの組ではなく、狭域基地局IDにのみ、その配信情報が対応付けて書き込まれていればよい。
【0064】
(8)変形例8
上述した実施形態において、位置管理データベース522には、無線基地局の基地局IDごとに、その無線基地局に在圏している移動体端末1の識別情報である在圏端末IDが記述されていたが、複数の無線基地局を有するグループに割り当てられた通信エリアごとに在圏端末IDが記述されていてもよい。この場合、移動体端末1に対する通信や配信情報の配信は、情報配信サーバ装置5の制御部51が、その移動体端末1の識別情報が在圏端末IDとして記述されている通信エリアを特定し、この通信エリアに属する全ての無線基地局に対して移動体端末1を一括呼び出しすることによって行われる。
【0065】
(9)変形例9
情報配信サーバ装置5へ送信される情報配信依頼要求に含まれる狭域基地局3の識別情報と、その情報配信依頼要求を送信する情報配信依頼端末7とは予め関連付けられていてもよい。すなわち、情報テーブル521において或る狭域基地局3に係るレコードを、情報配信依頼要求を送信することによって、情報配信サーバ装置5に書き換させることができる情報配信依頼端末7は限定されていてもよい。例えば、各情報配信依頼端末7は、関連する地域を示す地域コードが、情報配信サーバ装置5によって予め記憶されている。また、各狭域基地局3が形成するフェムトセルの地域を示す地域コードも情報配信サーバ装置5によって予め記憶されている。情報配信サーバ装置5は、情報配信依頼端末7から情報配信依頼要求を受け取ると、これに含まれる狭域基地局3の識別情報を抽出し、この狭域基地局3の地域コードを特定するとともに、受け取った情報配信依頼要求を送信した情報配信依頼端末7の地域コードを特定し、両者を照合する。例えば、この両者の距離が或る閾値(2km等)を超える場合には処理を行わず、その距離がその閾値以内である場合に、上述の情報配信依頼要求に応じて情報テーブル521の上記の狭域基地局3に係るレコードを書き換えるようにしてもよい。これにより、或る地域の店舗に係る広告の配信を依頼する広告主にとっては、その店舗のある地域を示す地域コードを情報配信サーバ装置5に参照させることで、複数の狭域基地局3のうちから、その店舗に近い、すなわちその店舗からの距離が予め定めた閾値以内である狭域基地局3を選択して、広告を配信することができる。
【0066】
(10)変形例10
自端末の制御部51によって実行される各プログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードさせることも可能である。なお、上記の制御部51によって例示した制御手段としてはCPU以外にも種々の装置を適用することができ、例えば、専用のプロセッサなどを用いてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1(1a,1b,1c)…移動体端末、11…制御部、12…記憶部、121…自端末ID記憶領域、122…在圏基地局ID記憶領域、13…操作部、14…表示部、141…表示画面、15…音声処理部、16…通信部、2(2a,2b,2c)…広域基地局、3(3a,3b,3c)…狭域基地局、4…移動体通信網、5…情報配信サーバ装置、51…制御部、511…判定部、512…登録部、513…配信部、514…更新部、52…記憶部、521…情報テーブル、522…位置管理データベース、53…第1通信部、54…第2通信部、6…ネットワーク、7…情報配信依頼端末、9…情報配信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離圏時配信情報を複数の無線基地局のいずれかに対応付けて記憶する記憶手段と、
移動体端末が第1の無線基地局により形成される通信エリアから離圏したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記移動体端末が離圏したと判定されると、当該離圏後に当該移動体端末が在圏している通信エリアを形成する第2の無線基地局を特定し、当該第2の無線基地局を介して、前記第1の無線基地局に対応付けて記憶された前記離圏時配信情報を当該移動体端末に配信する配信手段と
を具備することを特徴とする情報配信装置。
【請求項2】
或る離圏時配信情報を前記複数の無線基地局のいずれかに対応付けて記憶する旨の要求を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた要求に応じて、前記記憶手段の記憶内容を更新する更新手段と
を具備することを特徴とする請求項1に記載の情報配信装置。
【請求項3】
離圏時配信情報を、複数の無線基地局のいずれかと複数の移動体端末のいずれかとの組に対応付けて記憶する記憶手段と、
移動体端末が第1の無線基地局により形成される通信エリアから離圏したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記移動体端末が離圏したと判定されると、当該離圏後に当該移動体端末が在圏している通信エリアを形成する第2の無線基地局を特定し、当該第2の無線基地局を介して、前記第1の無線基地局と当該移動体端末との組に対応付けて記憶された前記離圏時配信情報を当該移動体端末に配信する配信手段と
を具備することを特徴とする情報配信装置。
【請求項4】
或る離圏時配信情報を前記複数の無線基地局のいずれかと前記複数の移動体端末のいずれかとの組に対応付けて記憶する旨の要求を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた要求に応じて、前記記憶手段の記憶内容を更新する更新手段と
を具備することを特徴とする請求項3に記載の情報配信装置。
【請求項5】
前記受付手段は、前記要求に係る離圏時配信情報が配信される移動体端末から当該要求を受け付ける
ことを特徴とする請求項2または4に記載の情報配信装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記離圏時配信情報に加えて在圏時配信情報を前記複数の無線基地局のいずれかと対応付けて記憶し、
前記判定手段は、離圏したか否かの前記判定に加え、前記第2の無線基地局が形成する通信エリアに前記移動体端末が在圏したか否かを判定し、
前記配信手段は、前記判定手段により前記移動体端末が在圏したと判定されると、当該第2の無線基地局を介して、当該第2の無線基地局に対応付けて記憶された在圏時配信情報を当該移動体端末に配信する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の情報配信装置。
【請求項7】
前記記憶手段は、複数の前記離圏時配信情報を前記複数の無線基地局のいずれかと対応付けて記憶し、
前記配信手段は、前記判定手段による判定の後、前記複数の離圏時配信情報のそれぞれについて予め定められた期間が経過したときに、当該離圏時配信情報を配信する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報配信装置。
【請求項8】
前記配信手段は、前記判定手段による判定の後、予め定められた期間が経過したときに前記離圏時配信情報または前記在圏時配信情報を配信する
ことを特徴とする請求項6に記載の情報配信装置。
【請求項9】
前記期間は、前記離圏時配信情報および前記在圏時配信情報のそれぞれに対応付けて定められており、前記離圏時配信情報に対応付けて定められた期間は、前記在圏時配信情報に対応付けて定められた期間よりも短い
ことを特徴とする請求項8に記載の情報配信装置。
【請求項10】
コンピュータに、
離圏時配信情報を複数の無線基地局のいずれかに対応付けて記憶手段に記憶させる記憶ステップと、
移動体端末が第1の無線基地局により形成される通信エリアから離圏したか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記移動体端末が離圏したと判定されると、当該離圏後に当該移動体端末が在圏している通信エリアを形成する第2の無線基地局を特定し、当該第2の無線基地局を介して、前記第1の無線基地局に対応付けて記憶された前記離圏時配信情報を当該移動体端末に配信する配信ステップと
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−216990(P2011−216990A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80858(P2010−80858)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】