説明

意思確認システムおよび方法

【課題】電子商取引に係る規約や約款について購入者あるいは利用者の同意が得られたこととより確実に判断できる意思確認システムおよび方法を提供する。
【解決手段】ユーザの確認を得るべき文書を格納する格納部と、前記文書を表示する表示部と、表示された文書に対するユーザの操作を検出する入力部と、検出された操作により前記文書の確認が得られたか否かを判断する意思確認処理部とを備え、前記入力部は、表示された前記文書に触れられたことおよび触れられた位置を検出し、前記意思確認処理部は、前記格納部に格納された文書を前記表示部に表示させ、かつ、その文書に触れられた位置の変化に基づき前記文書の全体または所定の部分がなぞられたと判断したときに前記文書の確認が得られたものとすることを特徴とする意思確認システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子商取引のシステムにおいて、規約や約款等について購入者あるいは利用者の同意を得る意思確認システムおよび意思確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウェブショッピングやネット保険など、販売者と購入者、あるいは、サービス提供者と利用者が直接対面することなく電子機器を用いて取引や契約を行う電子商取引が頻繁に利用されている。このような電子商取引システムにおいて、規約や約款について購入者あるいは利用者(以下、ユーザ)の同意を得る際には、ユーザが操作する電子機器の画面に規約や約款の内容を表示させ、さらに、その画面に確認ボタンを配置する。ユーザが画面の確認ボタンを押下することで、同意が得られたものとみなしている。規約や約款の内容が長文におよぶ場合は、その内容が表示される部分をスクロール方式にし、最後まで画面をスクロールさせたときにはじめて確認ボタンを有効にしている。
【0003】
あるいは、ユーザに確認してもらいたい事項ごとにチェックボックスを表示させ、ユーザによってそれらのチェックボックスにすべてチェックが入れられたことを検出し、同意が得られたと判断している(例えば、特許文献1および2参照)。
前記特許文献1および2では、確認事項ごとにチェックボックスを設けて、チェック漏れがないことを確認した後に、次のステップに進むものが記載されている(特許文献1の図13、特許文献2の図5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−92382号公報
【特許文献2】特開2008−107931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画面に表示された内容を読んで確認するという行為と画面をスクロールさせる行為は、直接的な関連性が薄い。ユーザは、長文におよぶ規約や約款の内容を読まずに画面だけをスクロールさせることもできる。同様に、チェックボックスにチェックを入れるという操作は、画面に表示された事項を読んで確認するという行為と直接的な関連性が薄い。そのため、確認の操作が形骸化しており、ユーザが表示された項目の内容をよく読まずにチェックを入れてしまう可能性が残っている。
【0006】
そして、その規約や約款の内容、あるいは同意を得るプロセスに関して、取引や契約の当事者間で後日トラブルが生ずることがある。
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、電子商取引に係る規約や約款について購入者あるいは利用者の同意が得られたこととより確実に判断することによって、当事者間のトラブルを予防する意思確認システムおよび方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するため、この発明は、表示部に表示された文書がなぞられたことを検出し、文書の内容がユーザに確認されたか否かを判断する。
即ち、この発明は、ユーザの確認を得るべき文書を格納する格納部と、前記文書を表示する表示部と、表示された文書に対するユーザの操作を検出する入力部と、検出された操作により前記文書の確認が得られたか否かを判断する意思確認処理部とを備え、前記入力部は、表示された前記文書に触れられたことおよび触れられた位置を検出し、前記意思確認処理部は、前記格納部に格納された文書を前記表示部に表示させ、かつ、その文書に触れられた位置の変化に基づき前記文書の全体または所定の部分がなぞられたと判断したときに前記文書の確認が得られたものとすることを特徴とする意思確認システムを提供する。
【0008】
また、異なる観点から、この発明は、コンピュータが、表示部を用いて、ユーザの確認を得るべき文書を表示部に表示させるステップと、入力部を用いて、表示された文書に対するユーザの操作を検出する操作検出ステップと、検出された操作により前記文書の確認が得られたか否かを判断する意思確認ステップとを備え、前記操作検出ステップは、表示された前記文書に触れられたことおよび触れられた位置を検出し、前記意思確認ステップは、格納部に予め格納された文書のデータを前記表示部に表示させ、かつ、その文書に触れられた位置の変化に基づき前記文書の全体または所定の部分がなぞられたと判断したときに前記文書の確認が得られたものとすることを特徴とする意思確認方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
この発明の意思確認システムにおいて、前記意思確認処理部は、その文書に触れられた位置の変化に基づき前記文書の全体または所定の部分がなぞられたと判断したときに前記文書の確認が得られたものとするので、ボタン操作がされたことや文書がスクロールされたことに基づいて確認が得られたと判断する従来の手法に比べて、前記文書をユーザが確認したことをより確実に判定することができる。
【0010】
即ち、電子商取引等、ユーザが端末を用いて行う意思確認のプロセスを確実に履行することができる。よって、確認が不十分なために事後に当事者間でトラブルが発生するといった事態をより確実に防止することができる。
【0011】
この発明において、入力部は、ユーザの確認を得るべき文書が表示部に表示された状態で、その文書が表示された位置に対するユーザの操作を検出するものである。その具体的な態様としては、例えば、表示部の表面に配置されたタッチパネル・センサが挙げられる。ただし、これに限定されず、表示部にユーザが触れたことおよび触れた位置を検出するものであれば構造、動作原理を問わず適用可能である。尚、ここでの触れるとは、マウスによるポインティングデバイス入力による指定をも含む。前記入力部は、好ましくは前記文書の隣り合う文字の位置の差異を検出するのに十分な分解能を有している。そして、前記文書のどの文字に触れられたかを検出し、時間の経過に伴って触れられた文字が変化することを検出する。
【0012】
前記意思確認処理部は、触れられた文字の変化に基づいて、どの文字がなぞられたかを判断する。意思確認処理部の機能は、CPUが格納部等の不揮発性記憶手段に予め格納された処理プログラムを実行することによって実現される。
この発明の意思確認システムにおいて、表示部および入力部は、ユーザが操作する端末に配置される。それら以外の格納部、意思確認処理部は、その端末内に存在する必要はなく、通信を介してデータをやりとりするウェブサーバ等の装置内に配置されてもよい。
後述する実施形態において、入力部と表示部は端末に配置されており、格納部と意思確認処理部はウェブサーバに配置されている。ウェブサーバは端末と通信し、端末の表示部に表示するウェブページの内容を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の第1実施形態で、ユーザが使用する端末の表示部に表示される確認事項と確認手順を示す説明図である。
【図2】この発明の第2実施形態で、ユーザが使用する端末の表示部に表示される確認事項と確認手順を示す説明図である。
【図3】この発明の意思確認システムの構成を示すブロック図である。
【図4】この発明に係る意思確認処理部のタスクの第2実施形態に係る第1のフローチャートである。
【図5】この発明に係る意思確認処理部のタスクの第2実施形態に係る第2のフローチャートである。
【図6】この発明に係る意思確認処理部のタスクの第2実施形態に係る第3のフローチャートである。
【図7】この発明に係る説明文データの具体的な内容を示す説明図である。
【図8】この発明に係る重要事項データの具体的な内容を示す説明図である。
【図9】この発明に係る意思確認処理部のタスクの第2実施形態に係る第1のフローチャートである。
【図10】この発明に係る意思確認処理部のタスクの第2実施形態に係る第2のフローチャートである。
【図11】この発明に係る意思確認処理部のタスクの第2実施形態に係る第3のフローチャートである。
【図12】この発明に係る確認強度判定サーバが実行するタスクのフローチャートである。
【図13】この発明に係るデフォルト判定条件の具体的な内容を示す説明図である。
【図14】この発明に係る確認入力時間履歴の具体的な内容を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の好ましい態様について説明する。
前記格納部は、前記文書および確認を得るべき箇所がその文書の全体かあるいは一部のどの箇所かを示す確認箇所を予め格納し、前記意思確認処理部は、前記確認箇所がなぞられたと判断したときに、前記文書の確認が得られたものとしてもよい。
このようにすれば、文書と確認箇所とを対応付けて格納部に確認しておくことができる。後述する実施形態における重要事項データは、この発明の確認箇所に該当する。
【0015】
さらに、前記意思確認処理部は、前記確認箇所のうち、先頭部のみが表示され後続部分が表示されないように前記文書を前記表示部に表示させた後、表示されていない部分がなぞられたときなぞられた部分の文書を前記表示部に表示させてもよい。
このようにすれば、確認箇所の先頭部のみがまず表示されるので、ユーザはどの箇所からなぞり始めるべきかを容易に認識することができる。さらに、非表示の部分をなぞっていくことで、確認箇所をもれなくなぞることができる。さらに、確認箇所のうちなぞられた箇所と未だなぞられていない箇所とが表示と非表示で明確に区別されるので、ユーザはどの箇所をなぞっていくべきかを容易に認識することができる。
【0016】
また、前記意思確認処理部は、前記確認箇所が前記文書の一部であるとき、その確認箇所と確認箇所以外の部分との前記文書の表示態様を異ならせるようにしてもよい。
このようにすれば、ユーザは文書のうちどの箇所をなぞるべきかを容易に認識することができる。
【0017】
前記意思確認処理部は、前記文書がなぞられ始めてからなぞられ終えるまでの時間が第1基準時間以上のときに前記文書の確認が得られたものとし、第1基準時間に満たないときは確認のやり直しを促す表示を表示部に表示させてもよい。このようにすれば、ユーザが文書の内容をよく確認せず形式的に確認箇所をなぞった可能性が高い場合に確認のやり直しを求め、ユーザに文書の内容を確実に確認させることができる。
【0018】
前記第1基準時間は、予め定められた値を有していてもよい。後述する実施形態におけるデフォルト判定条件は、この発明の第1基準時間を格納している。
あるいは、前記文書がなぞられ始めてからなぞられ終えるまでの操作がこれまでになされたときその操作に要した時間を履歴として格納する第1履歴格納部をさらに備え、前記第1基準時間は、前記第1履歴格納部に格納された履歴に基づいて決定されてもよい。
【0019】
このようにすれば、過去の操作に基づいた基準に照らして操作に要した時間が妥当か否かを判断することができる。なお、前記第1履歴格納部は、同じ端末における操作の履歴のみを格納してもよいが、他の端末における操作を格納することが好ましい。このようにすれば、多数のユーザの操作に基づいて第1基準時間を定めることができる。これを実現するために、第1履歴格納部が前記意思確認処理部と別のサーバに配置し、各端末における操作の履歴が前記サーバに送信され、前記サーバの第1履歴格納部に格納されるように構成してもよい。後述する実施形態における確認入力時間履歴の一部は、この発明の第1履歴格納部に該当する。
【0020】
また、前記意思確認処理部は、確認完了の操作を受付けるための表示要素を前記表示部に表示させ、前記文書がなぞり終えられてから前記表示要素が操作されるまでの時間を計測し、その時間が第2基準時間より短いときに前記文書の確認が得られたものとし、第2基準時間以上のときは確認のやり直しを促す表示を前記表示部に表示させてもよい。このようにすれば、確認箇所をなぞり終えられた後、確認完了の操作がされないまま放置された場合に確認のやり直しを求め、ユーザに文書の内容を確実に確認させることができる。
【0021】
また、音声データを再生する音声再生部をさらに備え、前記格納部は、前記文書に対応する音声データを予め格納し、前記意思確認処理部は、前記文書がなぞられたときに、前記格納部に格納された音声データを前記音声再生部に再生させてもよい。このようにすれば、前記文書に対応する音声データを再生してユーザに聴かせることにより、文書の内容を確実に確認させることができる。
【0022】
前記第2基準時間は、予め定められた値を有していてもよい。後述する実施形態におけるデフォルト判定条件は、この発明の第2基準時間を格納している。
あるいは、前記文書がなぞり終えられてから前記表示要素が操作されるまでの操作がこれまでになされたときその操作に要した時間を履歴として格納する第2履歴格納部をさらに備え、前記第2基準時間は、前記第2履歴格納部に格納された履歴に基づいて決定されてもよい。このようにすれば、過去の操作に基づいた基準に照らして操作に要した時間が妥当か否かを判断することができる。なお、前記第2履歴格納部は、同じ端末における操作の履歴のみを格納してもよいが、他の端末における操作を格納することが好ましい。
【0023】
このようにすれば、多数のユーザの操作に基づいて第2基準時間を定めることができる。これを実現するために、各端末における操作の履歴が前記サーバに送信され、前記サーバの第2履歴格納部に格納されるように構成してもよい。後述する実施形態における確認入力時間履歴の一部は、この発明の第2履歴格納部に該当する。
この発明の好ましい態様は、ここで示した複数の態様のうち何れかを組み合わせたものも含む。
【0024】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
≪事象の説明≫
1.第1の実施形態
まず、事象面から第1の実施形態を説明する。第1の実施形態は、重要事項を予め表示し、そこをなぞらせるというものである。
【0025】
図1は、この発明の第1実施形態で、ユーザが使用する端末の表示部に表示される確認事項と確認手順を示す説明図である。ユーザからウェブショッピングで商品の注文がなされると、図1(a)に示すように、端末11は、表示部15に、取引に関する注意事項を表示する。その中でも、重要事項はアンダーラインで表示する。また、確認ボタンを表示部15に表示するが、この時点で確認ボタンを押しても反応しない(無効な状態)。灰色に表示された確認ボタンは、無効な状態をユーザに示している。さらに、端末11は、表示部15に「重要事項(下線部分)を指でなぞってください。なぞった部分は文字の色が変わります。」というメッセージを表示する。
【0026】
図1(b)に示すように、そのメッセージを見たユーザが重要事項の部分を指でなぞると、端末11はユーザの指が触れた位置を検出する。そして、端末11は、指でなぞられた個所について文字の背景の色を変え、および/または、文字色を変える。
重要事項の部分がすべてなぞられたら、端末11は、前記メッセージに代えて「確認ボタンを押すとお客様が重要事項を確認され同意されたものとみなします。」のメッセージを表示する。また、端末11は、確認ボタンの表示色を灰色から例えば緑色に変える。緑色に表示されたボタンは、ボタンの部分に触れられたら端末11が表示部15の表示内容を次のものに更新する状態(有効な状態)であることを示す。
さらに、この段階で、端末11が音声読み上げのアプリケーションを起動し、重要事項に関連づけられた音声データを読み上げるようにしてもよい。変形例として、重要事項の部分がなぞり終えられてからではなく、なぞられている間に音声データを読み上げるようにしてもよい。
【0027】
なお、ユーザが重要部分確認したことをより適切に認識するため、端末11は、ユーザの指が重要事項のタッチを開始したときから全ての重要事項をなぞり終えたときまでの期間(T1)を記憶する。さらに、ユーザの指が重要事項をなぞり終えたときから確認ボタンを押したときまでの期間(T2)を記憶する。そして、各期間が所定の範囲にない場合、確認をやりなおすようにユーザを促すメッセージを表示部15に表示した後、図1(a)の画面に戻り、再度確認を受付ける。
【0028】
2.第2の実施形態
続いて、事象面から第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は、重要事項の先頭部だけを最初に表示し、指でなぞられた部分を順次表示していくというものである。
【0029】
図2は、この発明の第2実施形態で、ユーザが使用する端末の表示部に表示される確認事項と確認手順を示す説明図である。ユーザからウェブショッピングで商品の注文がなされると、図2(a)に示すように、端末11は、表示部15に、取引に関する注意事項を表示する。最初の段階で、重要事項は先頭の部分のみを表示しその先頭部以外は表示しない。また、確認ボタンを表示部15に表示するが、この時点で確認ボタンを押しても反応しない(無効な状態)。さらに、端末11は、表示部15に「重要事項(下線部分)を指でなぞってください。なぞった部分を表示しますので、内容をご確認ください。」というメッセージを表示する。
【0030】
図2(b)に示すように、そのメッセージを見たユーザが重要事項の部分を指でなぞると、端末11はユーザの指が触れた位置を検出する。そして、端末11は、指でなぞられた個所に表示されるべき内容を順次表示していく。
重要事項の部分がすべてなぞられたら、端末11は、前記メッセージに代えて「確認ボタンを押すとお客様が重要事項を確認され同意されたものとみなします。」のメッセージを表示する。また、端末11は、確認ボタンの表示色を灰色から例えば緑色に変えて、確認ボタンが有効な状態であることを示す。
【0031】
さらに、この段階で、端末11が音声読み上げのアプリケーションを起動し、重要事項を読み上げるようにしてもよい。
なお、ユーザが重要部分確認したことをより適切に認識するため、端末11は、重要事項がユーザの指によってタッチされ始めたときから重要事項がなぞり終えられたときまでの期間(T1)を記憶する。さらに、ユーザの指で重要事項がなぞり終えられたときから確認ボタンが押されたときまでの期間(T2)を記憶する。そして、期間T1およびT2がそれぞれ所定の範囲にない場合、確認をやりなおすようにユーザを促すメッセージを表示部15に表示した後、図2(a)の画面に戻り、再度確認を受付ける。
【0032】
T1が短すぎたときは形式的に指でなぞられたにすぎない疑いがあるので、確認のやり直しを求める。T1が長すぎたときは指でなぞられる途中で放置されて別人が続きの操作をした疑いがあるので、この場合も確認のやり直しを求めるようにしてもよい。T2が長すぎたときは、指でなぞられた後に放置されて別人が確認ボタンを操作した疑いがあるので確認のやり直しを求める。
【0033】
≪システム構成≫
次に、この発明の意思確認システムの構成について説明する。
図3は、この発明の意思確認システムの構成を示すブロック図である。図3に示すように、前記システムは、端末11およびウェブサーバ31を備えてなる。さらに、確認強度判定サーバ51を備えていてもよい。
【0034】
端末11は、パソコンやタブレット型の携帯情報端末など、入力装置と表示装置を備えたものである。ユーザの指が画面に触れたことを検出するタッチパネル・センサ等を備えたものが好ましい。ただし、その態様に限定されず、例えば、画面内の位置を示すポインタをユーザの操作に応じて移動させかつ画面に表示されたオブジェクトのユーザによる選択を受付けるマウス等の操作手段もタッチパネル・センサの代替機能を有するものとして態様この発明に含まれる。
【0035】
端末11は入力部13、表示部15、端末CPU17、ネットワーク通信部19および音声再生部21を備える。入力部13は、ユーザが表示部15に表示された要素に対する操作を行ったことおよび操作の位置を検出する。入力部13の具体的態様は、前述のタッチパネル・センサである。あるいはそれに代わるマウスおよびキーボードである。表示部15の具体的態様としては、液晶パネルや有機ELパネルを用いた表示装置である。ネットワーク通信部19は、有線、無線を問わずウェブサーバ31と通信を行うための機能を提供する通信装置である。具体的な態様として、無線LANの通信インターフェイスや、W−CDMA方式の通信インターフェイスである。音声再生部21は、音声データを再生するものである。その具体的な態様は、音声合成回路、増幅器およびスピーカーからなる音声再生ユニットである。
【0036】
端末11は、ユーザの操作に応答してこの発明に係る意思確認システムのウェブサーバ31にアクセスし、ウェブサーバが提供するウェブページの内容、例えば、電子商取引等の画面を表示部15に表示する。図1、2のような意志確認の画面は、ウェブサーバ31が提供するウェブページの内容の一部である。
【0037】
ウェブサーバ31は、通信を介して端末11にウェブページのデータを提供するサーバである。また、そのウェブページに対してユーザが行った操作を端末11から受領し、ウェブページの表示を更新したり所定の処理を行ったりする。その所定の処理には、意思確認を行う処理が含まれる。ウェブページの表示を更新する処理には、図1、2に示す意思確認の画面を更新する処理が含まれる。
【0038】
ウェブサーバ31は、ウェブページ処理部33、意思確認処理部35、ユーザ入力取得部37、格納部39およびサーバ通信部41を含んでなる。
ウェブページ処理部33は、端末11にウェブページの内容を提供する機能を提供する。その機能(タスク)は、ウェブサーバ31のCPUが格納部39に格納された(図示せず)処理プログラムを実行することによって実現される。さらに、ウェブページ処理部33は、端末11と通信する機能を提供する。その機能(タスク)は、ネットワーク通信部19に対応する通信インターフェイスで実現される。
【0039】
意思確認処理部35は、ウェブページの所定の画面でユーザに規約や約款等への同意の意思確認を求める機能を提供する。意思確認の画面はウェブページの表示の一部であり、意思確認処理部35の機能は、ウェブページ処理部33に含まれるとも考えられる。しかし、意思確認に関する処理はこの発明の特徴的な部分であるので、その他のウェブページの処理を担うウェブページ処理部33と分けて、意思確認処理部35を設けている。意思確認処理部35の機能(タスク)は、ウェブサーバ31のCPUが格納部39に格納された(図示せず)処理プログラムを実行することによって実現される。
【0040】
意思確認処理部35は、ユーザの意志確認を求める画面を作成する。さらに、ユーザが重要事項の表示を指でなぞる操作を行ったかどうかを判断し、その操作に応じて重要事項の表示を更新する。さらに、重要事項が指でなぞり終えられたとき、ユーザが指でなぞる操作および確認ボタンに触れる操作に要した時間が妥当な範囲にあるか否かについて確認強度判定サーバ51に問い合わせを行う。その問合せに対して確認強度判定サーバ51から返ってきた確認結果に問題がなければ、次のページの表示に進む。
【0041】
ユーザ入力取得部37は、意思確認の画面で入力部13が検出したユーザによる操作を端末11から取得し、意思確認処理部35に提供する。ユーザ入力取得部37の機能(タスク)は、ウェブサーバ31のCPUが格納部39に格納された(図示せず)処理プログラムを実行することによって実現される。
【0042】
格納部39は、ウェブページ処理部33および意思確認処理部35の処理に使用するデータを格納する不揮発性のメモリである。また、図示していないがウェブサーバ31のCPUが実行する処理プログラムを格納する。その処理プログラムは、ウェブページ処理部33および意思確認処理部35としての機能を実現する内容を含む。
【0043】
格納部39は、ウェブページデータ39A、説明文データ39Bおよび重要事項データ39Cを少なくとも格納する。ウェブページデータ39Aは、ウェブページの内容であって、ウェブページ処理部33によって参照され、端末11に提供される。
【0044】
説明文データ39Bは、ユーザの意思確認を求める画面に表示する説明文のデータである。重要事項データ39Cは、説明文データのうち、重要事項の部分を特定するデータである。この実施形態においては、説明文データ39Bの何文字目から何文字目までが重要事項かを示すデータである。説明文データ39Bと重要事項データ39Cとは、意思確認処理部35によって参照され、端末11に提供される。
【0045】
サーバ通信部41は、外部の確認強度判定サーバ51と通信するための通信インターフェイスである。図3で、ウェブサーバ31は、端末11と別のネットワークで認強度判定サーバ51と通信する態様を示している。例えば、端末11とは無線LANで通信し、確認強度判定サーバ51とは有線で通信する態様である。別の態様として、ウェブサーバ31は、共通のネットワークおよび通信方式を用いて端末11および確認強度判定サーバ51の何れとも通信するように構成してもよい。
【0046】
確認強度判定サーバ51は、サーバ通信部53、確認強度判定部55および格納部57を備える。
サーバ通信部53は、ウェブサーバ31のサーバ通信部41に対応する通信インターフェイスである。
【0047】
確認強度判定部55は、ウェブサーバ31からの問合せを受けると、前述の期間T1およびT2をデフォルト判定条件57及び確認入力時間履歴を元に確認強度を算出し、その結果を意思確認システムに返す。
格納部57は、デフォルト判定条件59および確認入力時間履歴61を少なくとも格納する不揮発性メモリである。また、確認強度判定サーバ51の図示しないCPUが実行する処理プログラムを格納する。その処理プログラムは、前記CPUに確認強度判定部55としてのタスク処理を実行させるプログラムを含む。
【0048】
≪処理の流れ−第1の実施形態≫
ウェブサーバ31のCPUが実行する処理のうち、意思確認処理部35としてのタスク処理を説明する。まず、前述の第1の実施形態に係る処理を説明する。即ち、図1のように、重要事項を予め表示し、そこをなぞらせる態様についてである。
図4〜図6は、この発明に係るウェブサーバ31のCPUが実行する意思確認処理部35としてのタスクを示すフローチャートである。図4〜図6に沿って説明をする。
【0049】
前記CPUは、図1(a)のように無効化された確認ボタンを表示部15に表示させるよう、表示内容を端末11に送る(ステップS11)。さらに、説明文データ39Bを参照し、説明文のテキストおよび説明文を表示すべき位置を端末11へ送り、表示部15の所定位置に表示文を表示させる(ステップS13)。
【0050】
図7は、説明文データ39Bの具体的な内容を示す説明図である。図7に示すように、説明文データ39Bは、説明文ID、各説明文のテキストデータおよび確認強度閾値が対応づけられたデータである。説明文IDは、重要事項データとの対応付けを示し、さらに、複数の説明文があるときは各説明文を識別するための識別子である。なお、説明文の表示位置は、意思確認処理部35用の処理プログラムと一体であるいは別体で格納部39に格納されている。確認強度閾値がどのように使用されるかについては、後述する。
ここで、前記CPUは、重要事項データ39Cを参照し、前述の説明文のテキストのうちで重要事項の位置を取得し、重要事項をアンダーライン表示するように属性を加えたうえで端末11に説明文のテキストを送る(ステップS15)。
【0051】
図8は、重要事項データ39Cの具体的な内容を示す説明図である。図8に示すように、重要事項データ39Cは、(1)重要事項データを説明文と対応付けるための説明文ID、(2)各説明文における重要事項の開始位置と終了位置および(3)各説明文に音声データが関連づけられているか否か、関連づけられている場合はその内容が対応付けられたデータである。図8で、説明文IDが1の音声データは重要事項の文書と同一でなく、「他へコピーできません」と要点を簡潔にまとめたものである。説明文IDが2の説明文には音声データが関連づけられていないことを示している。
【0052】
さらに前記CPUは、重要事項の各文字を表示部15に表示させる位置を、説明文IDに関連づけて格納部39に格納しておく(ステップS17)。この実施形態では、重要事項の何文字目かを示す引数をnとするとき、n文字目に対応する矩形の表示領域を2次元の構造体データPos[][]として格納している。
Pos[n][X1]:n文字目の左端x座標
Pos[n][Y1]:n文字目の上端y座標
Pos[n][X2]:n文字目の右端x座標
Pos[n][Y2]:n文字目の下端y座標
第1次元は、何文字目かを示す引数、第2次元は矩形用域の上下左右いずれの座標値かを示す引数である。x座標は表示部15の左右方向の座標、y座標は上下方向の座標である。
【0053】
続いて前記CPUは、重要事項の1文字目から順番に、各文字に対応する矩形領域に指で触れられたか否かを判定していく。まず、判定の対象を1文字目とするため、一時変数nを1とする(ステップS19)。
【0054】
そして、ユーザが表示部15に触れたことをユーザ入力取得部37が知らせるのを待つ(ステップS21)。入力部13は、ユーザが表示部15に触れるとその位置を検出し、端末CPU17はその事象と位置を示すデータをウェブサーバ31に送信する。ウェブサーバ31の前記CPUは、ユーザ入力取得部37としてタスクでそのデータを受領すると、意思確認処理部35としてのタスクに通知する。
【0055】
意思確認処理部35として前記CPUは、その通知を受けると(ステップS21のYes)、判定の対象としているn文字目に対応する領域が触れられたのか否かを判断する(ステップS23)。この判断にあたって、前記ステップS17で格納部39に格納した構造体を用いる。前記領域以外であれば(ステップS23のNo)、ルーチンはステップS21へ戻り、別の位置が触れられるのを待つ。
【0056】
一方、n文字目に対応する領域が触れられた場合(ステップS23のYes)、前記CPUは、n文字目の色を変えて表示するように端末11に指示を送り(ステップS25)、判定対象が1文字目の場合は(ステップS31)、現在の時刻を変数t1に記録する(ステップS33)。なお、現在時刻を取得するために、ウェブサーバ31は図示しないリアルタイムクロックを備えている。また、変数t1は、格納部39に記憶領域が設けられた変数である。
【0057】
続いて、判定の対象が、重要事項の最後の文字か否かを調べ(ステップS35)、最後の文字まで至っていなければ、現在の判定対象とされている文字の次を新たな判定対象とすべく一時変数nを1増加させる(ステップS37)。そして、ルーチンは前述のステップS21へ戻り、ユーザが表示部15の別の位置に触れるのを待つ。
【0058】
一方、判定の対象が最後の文字の場合(ステップS35のYes)、前記CPUは、現在の時刻を変数t2に記録する(ステップS39)。変数t2は、格納部39に記憶領域が設けられた変数である。
【0059】
以上のステップS21〜S37のループ処理により、重要項目の1文字目から最後の文字まで順次なぞられたか否かを判定する。各文字についての判定は、各文字に対応する矩形領域の何れかの位置が触れられたかによる。その領域が触れられたと判断したら、その文字の色を変える。
【0060】
なお、1文字目から最後の文字まで順次判定している途中で、画面に触れられなくなったり、別の位置が触れられたりした場合、フローチャートから分かるように、触れられたと判断された文字までが色を変えたままの状態になり、次の文字(現在の判定対象)は文字色が変わらないまま待つ。やがて、現在の判定対象の文字が触れられたら、その文字以降の判定処理が続行される。
【0061】
また、前記CPUは、重要事項に音声データが関連づけられているか否かを確認し(ステップS41)、関連づけられている場合はその音声データを端末11へ送信し、音声再生部21で再生するように端末11に指示する(ステップS43)。なお、前記ステップS23で使用する構造体は、説明文IDと関連づけられており、その説明文IDを用いて重要事項データ39Cを参照することによって、前記CPUは、重要事項に音声データが関連づけられているか否かを判断する。
【0062】
その後、前記CPUは、確認ボタンの表示色を変えて有効化したことを示すように端末11に指示する(ステップS45)。そして、確認ボタンが押されるのを待つ(ステップS47)。
確認ボタンが押された旨の通知がユーザ入力取得部からあったら、意思確認処理部としての前記CPUは、現在の時刻を変数t3に記憶する(ステップS49)。変数t3は、格納部39に記憶領域が設けられた変数である。このように、ステップS47およびS49では、確認ボタンが押されたかどうかを確認し、重要事項をなぞり終えてからボタンが押されるまでの時間を取得する。
【0063】
続いて、前記CPUは、ユーザが意思確認の表示をきっちりと読んで確認の操作を行ったか否かについて、その確からしさの判定を行う。この明細書では、その確からしさの判定を確認強度とよんでいる。
【0064】
確認強度を判定するため、前記CPUは、確認強度判定サーバ51に以下の2つの期間データT1およびT2を送信する(ステップS51)。このとき、T1およびT2に説明文IDを付加して送信する。
第1は、重要事項がなぞられるのに要した時間T1である。T1は、次のように算出される。
T1=t2−t1
ここで、t1およびt2は、前述のごとく、ステップS33およびS39の処理がそれぞれ行われた時刻を格納する変数である。
【0065】
第2は、重要事項がなぞり終えられてから確認ボタンが押されるまでに要した時間である。T2は次のように算出される。
T2(=t3−t2)
ここで、t2およびt3は、前述のごとく、ステップS39およびS49の処理がそれぞれ行われた時刻を格納する変数である。
【0066】
そして、前記CPUは、ステップS51で送信したデータに対する確認強度判定サーバ51からの応答を待つ(ステップS61)。
確認強度判定サーバ51は、受領したデータT1およびT2を基準の値と比較してユーザがしっかりと確認を行ったか否かを示す確認強度をウェブサーバ31に返す。前記基準は、例えば、過去の別のユーザについてT1、T2に相当する時間を統計的に処理したものである。確認強度判定サーバ51の処理については後述する。
【0067】
確認強度判定サーバ51からの応答があったら(ステップS61のYes)、前記CPUは、確認強度判定サーバ51から受領した確認強度を予め定められた閾値と比較する(ステップS63)。この閾値は、確認強度閾値として説明文データ39Bに予め格納されているものである。
受領した確認強度が閾値以上であれば、前記CPUは、意思確認がしっかり行われたと判断して(ステップS63のYes)、ウェブページの次の表示内容へ進むようにウェブページ処理部33としてのタスクに通知し(ステップS65)、意思確認処理部35としてのタスクを終了する。
【0068】
一方、受領した確認強度が閾値に満たなければ、前記CPUは、意思確認がしっかり行われていないと判断し(ステップS63のNo)、確認をやり直すべき旨のメッセージを表示部15に表示させるように、端末11に指示する(ステップS67)。例えば、「確認が不十分である可能性があります。もう一度、重要事項(下線部分)を指でなぞってください。」といったメッセージである。
その後、ルーチンはステップS11へ戻り、意思確認の処理を繰り返す。
【0069】
≪処理の流れ−第2の実施形態≫
次に、意思確認処理部35の第2の実施形態に係る処理を説明する。即ち、図2のように、重要事項の先頭部だけを最初に表示し、指でなぞられた部分を順次表示していく態様についてである。
図9〜図11は、この発明に係るウェブサーバ31のCPUが実行する意思確認処理部35としてのタスクの第2実施形態に係るフローチャートである。図9〜図11は、図4〜図6にそれぞれ対応する部分が多いため、以下では差異点に絞って説明をする。
【0070】
図9で、ステップS111、S113は図4のステップS11およびS13と同様であるので、説明を省略する。
続くステップS115で、前記CPUは、重要事項データ39Cを参照し、前述の説明文のテキストのうちで重要事項の位置を取得し、重要事項をアンダーライン表示するように属性を加える。さらに、重要事項の先頭部分のみを表示し、それ以降の部分の重要事項は非表示にするように属性を加えたうえで端末11に説明文のテキストを送る(ステップS115)。
【0071】
さらに前記CPUは、重要事項の各文字を表示部15に表示させるべき位置を、説明文IDに関連づけて格納部39に格納しておく(ステップS117)非表示の文字についてもその文字を表示させるべき位置をこの段階で格納しておく。構造体データPos[][]の構成は、図4のステップS17と同様である。
続くステップS119〜S123は、図4のステップS19〜S23と同様である。
【0072】
n文字目に対応する領域が触れられた場合(ステップS123のYes)、前記CPUは、n文字目が重要事項の先頭部分として表示されているなら文字の色を変更し、先頭部分でなく非表示であれば、文字を表示するように端末11に指示を送る(ステップS125)。
以降のステップS131〜S167の処理は、図5および6のステップS31〜S67と同様である。
【0073】
ステップS121〜S137のループ処理により、重要項目の1文字目から最後の文字まで順次なぞられたか否かを判定する。各文字についての判定は、各文字に対応する矩形領域の何れかの位置が触れられたかによる。その領域が触れられたと判断したら、その文字の色を変える。
【0074】
なお、1文字目から最後の文字まで順次判定している途中で、画面に触れられなくなったり、別の位置が触れられたりした場合、フローチャートから分かるように、触れられたと判断された文字までが色を変えたままの状態になり、次の文字(現在の判定対象)は文字色が変わらないまま待つ。やがて、現在の判定対象の文字が触れられたら、その文字以降の判定処理が続行される。
以上が第2の実施形態に係る処理の説明である。
【0075】
≪処理の流れ−確認強度≫
次に、確認強度を算出する処理を説明する。確認強度は、ユーザが意思確認の表示をきっちりと読んで確認したかどうか、その確からしさの指標である。
この実施態様では、確認強度の算出は、ウェブサーバ31と別の確認強度判定サーバ51が行う。変形例として、ウェブサーバ31内で確認強度を算出する態様も考えられる。
【0076】
図12は、確認強度判定サーバ51のCPUが実行するタスクのフローチャートである。図12に沿って処理の流れを説明する。
前記CPUは、ウェブサーバ31から確認強度の問合せを受けるのを待つ(ステップS201)。この問合せは、図5のステップS51および図10のステップS151でウェブサーバから期間データT1およびT2並びに説明文IDが付加されて送信される。T1は、重要事項がなぞり始められてからなぞり終えられるまでの期間であり、T2は、重要事項がなぞり終えられてから確認ボタンが押されるまでの期間である。
【0077】
問合せを受けると(ステップS201のYes)、前記CPUは、まず受領したT1を基準値(T1の最低確認時間)と比較する(ステップS203)。最低確認時間は、デフォルト判定条件59に予め格納された値である。T1の値が最低確認時間より大きければ、前記CPUは、確認強度を表す変数Kに所定の第1の値を格納する。変数Kは、格納部57に記憶領域が設けられた変数である。第1の値の一例は、25である。これは、確認強度をゼロ乃至100の範囲で表した値であり、その値が大きいほど確度が大きい(確からしい)ことを示す。
【0078】
一方、前記ステップS203の判定で、T1の値が最低確認時間以下の場合、前記CPUは、確認強度を表す変数Kに所定の第2の値を格納する(ステップS207)。第2の値の一例はゼロである。即ち、第1の値に比べて確度が低いことを示している。
【0079】
続いて前記CPUは、受領したT2を第2の基準値(T2の最大確認時間)と比較する(ステップS203)。最大確認時間は、デフォルト判定条件59に予め格納された値である。T2の値が最大確認時間より大きければ、前記CPUは、変数Kに所定の第3の値を加算する。第3の値の一例は、25である。
一方、前記ステップS209の判定で、T2の値が最大確認時間以下の場合、前記CPUは、変数Kへの加算を何も行わず、ルーチンは次のステップS213に進む。
【0080】
ここで、デフォルト判定条件59について説明しておく。
図13は、この発明に係るデフォルト判定条件59の具体的な内容を示す説明図である。図13に示すように、デフォルト判定条件59は、説明文IDと、最低確認時間および最大確認時間が対応付けられたデータである。
【0081】
処理の説明に戻る。ステップS213で、前記CPUは、確認入力時間履歴61にこれまでに同一の説明文IDについて確認強度の問合せを受け、その履歴データが格納されているか否かを確認する(ステップS213)。ここで、確認入力時間履歴61は、各説明文がこれまで多数のユーザにより確認されたとき、その確認操作に要した時間を格納したものである。
【0082】
図14は、この発明に係る確認入力時間履歴61の具体的な内容を示す説明図である。図14に示すように、確認入力時間履歴61は、履歴ID、説明文ID、期間T1およびT2が対応付けられたデータである。
説明文IDは、確認の対象とされた説明文を識別する識別子である。説明文データ39Bおよび重要事項データ39Cの説明文IDに対応するデータである。
【0083】
履歴IDは、同一の説明文IDに係る複数のデータを識別するためのIDである。期間T1およびT2は、これまでに受領した確認強度の問合せに付された期間T1およびT2のデータである。後述するステップS221で、前記CPUは、受領したT1およびT2ならびに説明文IDを確認入力時間履歴61の各項目に格納する。
【0084】
タスク処理の説明を続ける。前記ステップS201で受領した問合せと同一の説明文IDに係るデータが確認入力時間履歴61に格納されている場合(ステップS213のYes)、前記CPUは、格納されたデータを用いて確認強度Kの値に以下の計算を行う(ステップS215)。
K=K+50×(履歴データの数+2−T1の履歴データの中の順位)÷(履歴データの数+1)
そして、ルーチンはステップS219へ進む。
この計算により、T1の履歴データ中の順位に応じて確認強度Kに最大50%が加算される。
【0085】
例えば、履歴データが9個ある場合で、T1の順位が1位、6位および最下位の場合を例に、上記計算を示す。
まず、T1の順位が1位の場合、上記計算は、
K=K+50×(9+2−1)/(9+1)=K+50×10/10=K+50
となり、Kに50%が加算される。
次に、T1の順位が6位の場合、上記計算は、
K=K+50×(9+2−6)/(9+1)=K+50×5/10=K+25
となり、Kに加算される値は25%に留まる。
さらに、T1の順位が最下位の場合、上記計算は、
K=K+50×(9+2−10)/(9+1)=K+50×1/10=K+5
となり、Kに加算される値は5%に留まる。
【0086】
以上のように、この実施形態において、確認強度KはT1の前記最低確認時間に対する大小関係に応じて最大25%の値をとる(前記ステップS205参照)。さらにT2の前記最大確認時間に対する大小関係に応じて最大25%が加算される(前記ステップS211参照)。ここまでで、確認強度Kは最大50%の値をとる。
さらに、T1の履歴データ中の順位に応じて最大50%が加算されるので、それらをあわせて確認強度Kは最大で100%の値をとる。
【0087】
一方、前記ステップS201で受領した問合せと同一の説明文IDに係るデータが確認入力時間履歴61に格納されてない場合(ステップS213のNo)、前記CPUは、確認強度Kの値に次の計算を行う(ステップS217)。
K=K×2
そして、ルーチンはステップS219へ進む。
【0088】
即ち、この実施形態において、確認強度KはステップS205で最大25%の値をとり、さらにステップS211で最大25%が加算される。しかし、履歴データがない場合は前述のステップS215のようなT1の順位による計算ができない。よって、この場合確認強度Kが取り得る最大50%の値を100%に換算するために、ステップS217において、所定の換算係数、即ち「2」を乗じるのである。ここで、ステップS205で確認強度Kがとる最大値「25%」およびステップS211における確認強度Kの最大の増分「25%」はいずれも一つの数値例である。よって、それらの数値が異なる態様では換算係数、即ち、Kの最大値を100%とするために乗じる係数の値は、図12のステップS217における「2」と異なる。
【0089】
前記CPUは、処理された確認強度Kをウェブサーバ31に送信する(ステップS219)。送信されたデータは、図5のステップS63および図10のステップS163でウェブサーバ31に受領される。
【0090】
そして、T1、T2および説明文IDを確認入力時間履歴61に格納する(ステップS221)。既に同一の説明文IDのデータが格納されているときは、それらのデータに付された履歴IDより1つ大きな値を格納すべきデータの履歴IDとする。同一の説明文IDのデータが格納されていなければ、履歴IDを1とする。
その後、ルーチンはステップS201へ戻り、ウェブサーバ31からの新たな問合せを待つ。
【0091】
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0092】
11:端末
13:入力部
15:表示部
17:端末CPU
19:ネットワーク通信部
21:音声再生部
31:ウェブサーバ
33:ウェブページ処理部
35:意思確認処理部
37:ユーザ入力取得部
39:格納部
39A:ウェブページデータ
39B:説明文データ
39C:重要事項データ
41:サーバ通信部
51:確認強度判定サーバ
53:サーバ通信部
55:確認強度判定部
57:格納部
59:デフォルト判定条件
61:確認入力時間履歴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの確認を得るべき文書を格納する格納部と、
前記文書を表示する表示部と、
表示された文書に対するユーザの操作を検出する入力部と、
検出された操作により前記文書の確認が得られたか否かを判断する意思確認処理部とを備え、
前記入力部は、表示された前記文書に触れられたことおよび触れられた位置を検出し、
前記意思確認処理部は、前記格納部に格納された文書を前記表示部に表示させ、かつ、その文書に触れられた位置の変化に基づき前記文書の全体または所定の部分がなぞられたと判断したときに前記文書の確認が得られたものとすることを特徴とする意思確認システム。
【請求項2】
前記格納部は、前記文書および確認を得るべき箇所がその文書の全体かあるいは一部のどの箇所かを示す確認箇所を予め格納し、
前記意思確認処理部は、前記確認箇所がなぞられたと判断したときに、前記文書の確認が得られたものとする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記意思確認処理部は、前記確認箇所のうち、先頭部のみが表示され後続部分が表示されないように前記文書を前記表示部に表示させた後、表示されていない部分がなぞられたときなぞられた部分の文書を前記表示部に表示させる請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記意思確認処理部は、前記確認箇所が前記文書の一部であるとき、その確認箇所と確認箇所以外の部分との前記文書の表示態様を異ならせる請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記意思確認処理部は、前記文書がなぞられ始めてからなぞられ終えるまでの時間が第1基準時間以上のときに前記文書の確認が得られたものとし、第1基準時間に満たないときは確認のやり直しを促す表示を表示部に表示させる請求項1〜4の何れか一つに記載のシステム。
【請求項6】
前記第1基準時間は、予め定められた値を有する請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記文書がなぞられ始めてからなぞられ終えるまでの操作がこれまでになされたときその操作に要した時間を履歴として格納する第1履歴格納部をさらに備え、
前記第1基準時間は、前記第1履歴格納部に格納された履歴に基づいて決定される請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記意思確認処理部は、確認完了の操作を受付けるための表示要素を前記表示部に表示させ、前記文書がなぞり終えられてから前記表示要素が操作されるまでの時間を計測し、その時間が第2基準時間より短いときに前記文書の確認が得られたものとし、第2基準時間以上のときは確認のやり直しを促す表示を前記表示部に表示させる請求項1〜7の何れか一つに記載のシステム。
【請求項9】
前記第2基準時間は、予め定められた値を有する請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記文書がなぞり終えられてから前記表示要素が操作されるまでの操作がこれまでになされたときその操作に要した時間を履歴として格納する第2履歴格納部をさらに備え、
前記第2基準時間は、前記第2履歴格納部に格納された履歴に基づいて決定される請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
音声データを再生する音声再生部をさらに備え、
前記格納部は、前記文書に対応する音声データを予め格納し、
前記意思確認処理部は、前記文書がなぞられたときに、前記格納部に格納された音声データを前記音声再生部に再生させる請求項1〜10の何れか一つに記載のシステム。
【請求項12】
コンピュータが、
表示部を用いて、ユーザの確認を得るべき文書を表示部に表示させるステップと、
入力部を用いて、表示された文書に対するユーザの操作を検出する操作検出ステップと、
検出された操作により前記文書の確認が得られたか否かを判断する意思確認ステップとを備え、
前記操作検出ステップは、表示された前記文書に触れられたことおよび触れられた位置を検出し、
前記意思確認ステップは、格納部に予め格納された文書のデータを前記表示部に表示させ、かつ、その文書に触れられた位置の変化に基づき前記文書の全体または所定の部分がなぞられたと判断したときに前記文書の確認が得られたものとすることを特徴とする意思確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−220991(P2012−220991A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82903(P2011−82903)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】