説明

感光性樹脂組成物、これを用いた硬化物、ワニスおよびドライフィルム

【課題】液晶性を利用して高い防湿性と金属や樹脂などとの密着性を兼ね備えた感光性樹脂組成物、及びそれを用いたワニス、フィルム、硬化物を提供する。
【解決手段】 ブロック共重合体(I)、重合性官能基を有するモノマー(II)及び光ラジカル重合開始剤(III)を含む感光性樹脂組成物であって、
前記ブロック共重合体(I)が、液晶性ポリエステルセグメント(A)10〜90質量%と架橋官能基を有する非晶質のビニル重合体セグメント(B)90〜10質量%とからなるブロック共重合体であり、
前記ブロック共重合体(I)の割合は、ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量に対して10〜90質量%であり、
前記光ラジカル重合開始剤(III)の割合は、ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量に対して0.5〜15質量%であり、
前記感光性樹脂組成物中、ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量が、70.0〜99.5質量%であることを特徴とする感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、これを用いた硬化物、ワニスおよびドライフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル、特に全芳香族ポリエステルや液晶性ポリエステル等は、優れた特性を有する樹脂として近年注目を集めている。その中でも特に液晶性ポリエステルは、液晶構造に起因して極めて高い防湿性を有するため、湿気が忌避される半導体分野や電子材料分野への応用が盛んである。
【0003】
しかし上市されている液晶性ポリエステルは、金属や他の樹脂などに対する密着性が低い、化学的変性が難しい、溶媒に対する溶解性が悪いなどの問題点を有するため、液晶性ポリエステルをそのまま防湿材料として用いるのは難しいという欠点を有する。さらに上市されている液晶性ポリエステルは、アクリル樹脂やスチレン樹脂などといった汎用樹脂、アクリルモノマーやメタクリルモノマー等のビニル系モノマーには相溶できないため、たとえば半導体分野において有効な露光・現像プロセスに用いることはできないという欠点を有する。
【0004】
一方、アクリル樹脂に代表されるビニル系樹脂は、金属や他の樹脂に対して高い密着性を有し、また感光性の付与が可能であることから、半導体分野において露光・現像プロセスが必要な場面で多用される材料であるが、アクリル樹脂は概して防湿性が低いという問題を有する。
【0005】
そこで液晶性ポリエステルとビニル系樹脂の両方の特性を有する新しい素材として、ビニル系樹脂とポリエステルとをブロック共重合化する検討が行なわれ、例えば、特許文献1ではポリスチレンとポリエステルとからなるブロック共重合体が提案されているが、かかるブロック共重合体の用途は相溶化剤が中心であり、ブロック共重合体の光硬化性などは一切議論されていない。
【特許文献1】特開平5−097988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ビニル系樹脂と液晶性ポリエステルとからなるブロック共重合体が、硬化性を有していないと、選択的に比較的柔軟なビニル系樹脂成分の部分が湿気を透過してしまい、防湿性を得ることができない。本発明者らは、液晶性ポリエステルとビニル系重合体の両方の特性を兼ね備え、露光・現像プロセスなどにも適用可能な感光性樹脂組成物を鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明の課題は、高い防湿性と金属や樹脂などとの密着性を兼ね備えた感光性樹脂組成物、これを用いた硬化物、ワニスおよびドライフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ブロック共重合体(I)、重合性官能基を有するモノマー(II)及び光ラジカル重合開始剤(III)を含む感光性樹脂組成物であって、
前記ブロック共重合体(I)が、液晶性ポリエステルセグメント(A)10〜90質量%と架橋官能基を有する非晶質のビニル重合体セグメント(B)90〜10質量%とからなるブロック共重合体であり、
前記ブロック共重合体(I)の割合は、ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量に対して10〜90質量%であり、
前記光ラジカル重合開始剤(III)の割合は、ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量に対して0.5〜15質量%であり、
前記感光性樹脂組成物中、ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量が、70.0〜99.5質量%であることを特徴とする感光性樹脂組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、(2)前記架橋官能基が、ビニル基、メタクリル基、アクリル基、グリシジル基、アリル基から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)記載の感光性樹脂組成物に関する。
【0010】
また、本発明は、(3)前記架橋官能基が、ブロック共重合体(I)中に0.1mmol/g〜5.0mmol/g含まれていることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の感光性樹脂組成物に関する。
【0011】
また、本発明は、(4)前記ブロック共重合体(I)が、溶液又は溶融状態、或いは双方において液晶性を示すことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、(5)前記重合性官能基が、メタクリル基、アクリル基、グリシジル基、アリル基、ビニル基から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、(6)前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物に光を照射して得られる硬化物に関する。
【0014】
また、本発明は、(7)前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物から得られるワニスに関する。
【0015】
また、本発明は、(8)前記(7)記載のワニスから得られるドライフィルムに関する。
【0016】
また、本発明は、(9)前記(8)に記載のドライフィルムに光を照射して得られるフィルム状硬化物に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、液晶性を利用して高い防湿性と密着性を兼ね備えた感光性樹脂組成物、及びそれを用いた硬化物、ワニス及びドライフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明の感光性樹脂組成物は、ブロック共重合体(I)、重合性官能基を有するモノマー(II)及び光ラジカル重合開始剤(III)を含む感光性樹脂組成物であって、
前記ブロック共重合体(I)が、液晶性ポリエステルセグメント(A)10〜90質量%と架橋官能基を有する非晶質のビニル重合体セグメント(B)90〜10質量%とからなるブロック共重合体であり、
前記ブロック共重合体(I)の割合は、ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量に対して10〜90質量%であり、
前記光ラジカル重合開始剤(III)の割合は、ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量に対して0.5〜15質量%であり、
前記感光性樹脂組成物中、ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量が、70.0〜99.5質量%であることを特徴とする。
【0020】
本発明の感光性樹脂組成物は、ブロック共重合体(I)、重合性官能基を有するモノマー(II)及び光ラシカル発生剤(III)を含む組成物である。
ブロック共重合体(I)
本発明におけるブロック共重合体(I)は、液晶性ポリエステルセグメント(A)と非晶質のビニル重合体セグメント(B)とを有するブロック共重合体である。
【0021】
本発明における液晶性ポリエステルセグメント(A)は、ジカルボン酸類とジオール類との組み合わせからなるもの、ヒドロキシカルボン酸類からなるもの、ジカルボン酸類、ジオール類及びヒドロキシカルボン酸類との組み合わせからなるものであり、既知の方法で合成可能である。かかる液晶性ポリエステルセグメント(A)は、例えば下記一般式(1)〜(3)から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有する。
【化1】

【化2】

【化3】

【0022】
前記一般式(1)〜(3)のR〜Rはそれぞれ同じでも異なっていても構わない。またx,y,nは1以上の整数を表す。a,bはモル分率を表し、0≦a≦1、0≦b≦1、a+b=1.0である。またR及びRは原材料のジカルボン酸類に起因する骨格であり、R及びRはジオール類に起因する骨格であり、R及びRはヒドロキシカルボン酸類に起因する骨格である。ここでR〜Rは特に制限はないが、例えばその一部を例示するのであれば、構造はそれぞれ、下記一般式(4)〜(21)で表される。
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【0023】
(ここでm、pは2〜18の整数であることを表す)
前記一般式(4)のR及び一般式(5)のRは、それぞれ下記一般式(22)〜(28)のいずれかであることが好ましい。またRとRは同じでも異なっていてもかまわない。
【化8】

【0024】
(ここでqは1〜18の整数であることを表す)
前記一般式(10)のR、(15)のR10は、それぞれ下記一般式(29)〜(33)のいずれかであることが好ましい。またRとR10は同じでも異なっていてもかまわない。
【化9】

【0025】
本発明では液晶性ポリエステルセグメント(A)の繰り返し単位中に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環から選ばれる少なくとも1種を含むことが望ましい。液晶性ポリエステルセグメント(A)がこのような骨格を有することでブロック共重合体(I)の耐熱性や液晶性をより向上することが可能になる。
【0026】
液晶性ポリエステルは通常、ジオール類及びとジカルボン酸類とによる重縮合反応、又はヒドロキシカルボン酸類による重縮合反応、又はジオール類、ジカルボン酸類及びヒドロキシカルボン酸類とによる重縮合反応により合成される。
【0027】
ジオール類は、一分子中にヒドロキシル基を二つ有するものであれば特に制限はなく、例えば、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール等の脂肪族ジオール;1,2−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等の脂環式ジオール;ピロカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシテルフェニル、2,6−ナフタレンジオール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等の芳香族ジオール;またはクロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等の芳香族ジオールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体やこれらの誘導体、これらのジアセテート類、ジベンゾエート類などが挙げられる。これらのなかでも、芳香族ジオールが好ましい。
【0028】
ジカルボン酸類は、一分子中にカルボキシル基を二つ有するものであれば特に制限はなく、例えば、テレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−テルフェニルジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4’−ジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3’−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;またはクロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ジクロロイソフタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、エトキシテレフタル酸等で代表される上記芳香族ジカルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体;ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ジグリコール酸等の脂肪族ジカルボン酸;又はそれらのジアルキルエステル類、ジフェニルエステル類、塩化物、アルキル金属塩;等が挙げられる。これらのなかでも、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
【0029】
ヒドロキシカルボン酸類は、一分子中に一つのカルボキシル基と一つのヒドロキシル基を有するものであれば特に制限はなく、例えば、グリコール酸、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸;または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドキシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−ジクロロ−2−ナフトエ酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、これらの誘導体が挙げられる。これらのなかでも、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が好ましい。
【0030】
液晶性ポリエステルの合成は既知の手法で可能であるが、例えば溶液重合法、界面重縮合法、溶融重縮合法などが利用できる。またこの際、各成分の仕込みモル比を調整することで、両末端にカルボキシル基及びその誘導体、ヒドロキシル基及びその誘導体を導入することが可能である。
【0031】
一方、非晶質のビニル重合体セグメント(B)は、ビニル系化合物、ビニリデン系化合物、メタクリル酸系化合物、アクリル酸系化合物から選ばれる少なくとも1種を重合して得られるものであることが好ましい。これらの単量体を用いると、分子末端の構造を制御しやすく、様々な官能基を側鎖に導入することが可能となる。ビニル系化合物、ビニリデン系化合物、メタクリル酸系化合物、アクリル酸系化合物としては、例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド(ここで、(メタ)アクリルとは、メタクリル及びアクリルであることを表す、以下同様)、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−メチルマレイミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、3−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクロイルモルホリンなどの(メタ)アクリルアミド系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−クロロスチレン、4−ブロモスチレン、4−フルオロスチレン、4−メトキシスチレン、4−アミノスチレン、4−ニトロスチレン、4−ビニルフェノール、ビニルナフタレン等に代表されるビニル芳香族系単量体;(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メトキシ)コポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等に代表される(メタ)アクリレート系単量体;γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等に代表される(メタ)アクリロキシシラン系単量体;メタクリロニトリル、アクリロニトリルに代表されるシアノビニル系化合物;酢酸ビニル、塩化ビニル、弗化ビニル等に代表されるビニル系単量体;スチレンスルホン酸アルカリ金属塩、ビニルスルホン酸アルカリ金属塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸アルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸−3−スルホプロピルアルカリ金属塩、末端スルホン酸塩変性ポリエチレングリコールモノ(メタ)クリレート等の金属塩型単量体;などが挙げられ、これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、スチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸及び、(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。非晶質のビニル重合体を得る重合方法は一般に既知の重合方法、すなわち溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が利用でき、重合反応としてはラジカル重合、イオン重合、配位重合等が利用できる。
【0032】
本発明のブロック共重合体(I)は、液晶性ポリエステルセグメント(A)と、ビニル系化合物、ビニリデン系化合物、メタクリル酸系化合物、アクリル酸系化合物から選ばれる少なくとも1種を重合して得られる非晶質のビニル重合体セグメント(B)とが結合したものである。かかるブロック共重合体(I)の合成法は特に制限はなく、既知の手法を用いて合成可能である。例えば、片末端又は両末端に官能基を有する液晶性ポリエステルと、片末端又は両末端に官能基を有する非晶質のビニル重合体を別途合成し、これらを末端間で反応させる方法(以下、手法1と記す)や、液晶性ポリエステルに重合性官能基を導入し、これをマクロイニシエーターとして、非晶質のビニル重合体の構成単量体であるビニル系化合物、ビニリデン系化合物、メタクリル酸系化合物又はアクリル酸系化合物を重合する手法(以下、手法2と記す)などが挙げられる。いずれの手法においてもブロック共重合体(I)は合成可能であり、手法1ではAB型や(AB)x型、ABA型、BAB型のブロック共重合体が得られ、手法2では主にABA型ブロック共重合体が得られる。
【0033】
以下にブロック共重合体(I)の各合成手法について詳細を述べる。
【0034】
手法1は、まず、末端に官能基を有する液晶性ポリエステルと末端に官能基を有する非晶質のビニル重合体とをそれぞれ合成する。液晶性ポリエステルの末端に官能基を導入する方法としては、ポリエステルを得る一般的な重合法を行うことでポリエステルの両末端にカルボキシル基又はその誘導体、ヒドロキシル基又はその誘導体を導入することが可能であるが、非晶質のビニル重合体との反応性を高めるために末端カルボキシル基を塩化チオニル等を用いて酸クロリド化してもよいし、あるいはジイソシアナート類を用いてイソシアネート化してもよいし、ジアミン化合物を用いてアミノ化してもよい。非晶質のビニル重合体の末端に官能基を導入する方法としては、一般に既知の手法が利用可能である。例えば、特公平5−062125号公報記載の方法のように、官能基を有する連鎖移動剤、例えばメルカプトプロピオン酸を用いてエチレン性不飽和単量体をラジカル重合することによりカルボキシル基を片末端に有する重合体を合成することができる。また、停止剤を用いたリビングラジカル重合法(上垣外ら、Polymer Preprints,Japan ,48(7),1999)も利用できる。また特開平5−155995号公報記載の方法のように、カルボキシル基を有するラジカル重合開始剤を用いて単量体を重合することによりカルボキシル基を有する重合体を合成することができる。カルボキシル基以外の例えば水酸基などの官能基を有するラジカル重合開始剤は、和光純薬工業株式会社より市販されており、これらを用いて上記方法を行うことにより簡便に官能基を導入できる。更にこれら方法の組み合わせ、すなわち官能基を有する重合開始剤と官能基を有する連鎖移動剤の組み合わせにより両末端に官能基が導入された非晶質のビニル重合体も容易に得ることが可能である。
【0035】
末端に官能基を有する液晶性ポリエステルと末端に官能基を有する非晶質のビニル重合体とを末端間で反応させる方法としては制限はなく、溶融重合、溶液重合、界面重縮合等が利用できる。この際、必要に応じて熱安定剤や縮合触媒、脱水剤、脱ハロゲン化水素剤等を用いても良い。
【0036】
末端間の反応で形成される結合形式は特に制限はなく、既知の二分子間反応で形成される結合形式である。例えば、縮合反応系で形成されるエステル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、尿素結合、エーテル結合などの他、Diels−Alder反応、マイケル付加反応、カップリング反応等の一般的に既知の二分子間反応で形成される結合形式などが挙げられる。手法2においては、まず液晶性ポリエステルを合成する。この際、液晶性ポリエステルの末端、分子内のいずれか又は双方に重合性官能基を導入し、これをマクロイニシエーターとして用いて、非晶質のビニル重合体の構成単量体であるビニル系化合物、ビニリデン系化合物、メタクリル酸系化合物又はアクリル酸系化合物を重合することでブロック共重合体(I)が得られる。ここで重合性官能基とは、ビニル系化合物、ビニリデン系化合物、メタクリル酸系化合物又はアクリル酸系化合物を重合しうる官能基であれば特に制限はないが、例えば、アゾ基、パーオキシル基、パーエステル基、チオール基、ジスルフィド基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化フェニル基などが挙げられる。これらのなかでも、アゾ基を有するマクロイニシエーターを用いることが好ましい。
【0037】
液晶性ポリエステルへ重合性官能基を導入する方法としては様々な方法が挙げられるが、例えば、液晶性ポリエステルを合成する際に重合性官能基を有するジオール類またはその誘導体、重合性官能基を有するジカルボン酸類またはその誘導体を共重合してもよいし、または液晶性ポリエステルの末端に重合性官能基を有するアルコール類及びその誘導体、フェノール類及びその誘導体、カルボン酸類及びその誘導体等を用いて導入しても良い。
【0038】
このようにして得られたマクロイニシエーターを用いて非晶質のビニル重合体の構成単量体であるビニル系化合物、ビニリデン系化合物、メタクリル酸系化合物又はアクリル酸系化合物を重合することで、簡便にブロック共重合体(I)を合成することができる。この際用いる手法に制限はなく、溶液重合や懸濁重合、乳化重合、塊状重合等が利用できる。
【0039】
本発明のブロック共重合体(I)は、非晶質のビニル重合体セグメント(B)が架橋官能基を有することに特徴がある。かかる架橋官能基は架橋性を有する官能基であれば特に限定されず、ビニル基、メタクリル基、アクリル基、グリシジル基、アリル基から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。これらのなかでも、メタクリル基、グリシジル基がより望ましい。本発明では、非晶質のビニル重合体セグメント(B)に架橋官能基を導入することにより、ブロック共重合体(I)を容易に硬化することが可能となる。非晶質のビニル重合体セグメント(B)が架橋官能基を有しない場合は、ドライフィルムの硬化性が低下し、フィルム状硬化物は防湿性に劣ってしまう。
【0040】
非晶質のビニル重合体セグメント(B)に架橋官能基を導入する方法は特に制限されず、例えば前述の手法1を用いる場合は、非晶質のビニル重合体の合成時に架橋官能基を有する単量体を共重合してもよく、手法2を用いる場合は、マクロイニシエーターに作用させる非晶質のビニル重合体の構成単量体として架橋官能基を有する単量体を重合してもよい。また、手法1または手法2などの方法によりブロック共重合体(I)を合成後に高分子反応を用いて架橋官能基を導入してもよい。前記架橋官能基の導入に適する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、グリシジル(メタ)アクリレート、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、2−イソシアニルエチル(メタ)アクリレート、ビニルフェノール、アリル(メタ)アクリレート、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、p−ヨードスチレンなどが挙げられ、これらのなかでも(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、が賞用され、特に(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−イソシアニルエチル(メタ)アクリレートは、架橋官能基の導入しやすさ、価格などを考慮すると好ましい。これらは単独で用いても、二種類以上を併用しても良い。
【0041】
本発明では、前記架橋官能基が、ブロック共重合体中に0.1mmol/g〜5.0mmol/g含まれていることが好ましく、1.0mmol/g〜3.0mmol/g含まれていることがより好ましい。0.1mmol/g未満ではブロック共重合体が十分に硬化できない可能性がある。一方、5.0mmol/g超ではブロック共重合体の合成が困難となる傾向にある。
【0042】
本発明におけるブロック共重合体(I)は、液晶性ポリエステルセグメント(A)10〜90質量%と架橋官能基を有する非晶質のビニル重合体セグメント(B)90〜10質量%とからなるブロック共重合体であり、好ましくは、液晶性ポリエステルセグメント(A)30〜70質量%と架橋官能基を有する非晶質のビニル重合体セグメント(B)70〜30質量%とからなるブロック共重合体である。前記液晶性ポリエステルセグメント(A)の質量割合を10〜90質量%の範囲にすることで液晶性を保持しつつ、硬化反応が可能で加工性に優れたブロック共重合体(I)を得ることができる。液晶性ポリエステルセグメント(A)の質量割合が10質量%未満である場合はブロック共重合体(I)の液晶性が低下する結果、ドライフィルムの液晶性が低下し、フィルム状硬化物の防湿性も低下し、逆に90質量%超である場合はドライフィルムの硬化性が低下し、フィルム状硬化物の密着性も低下する。
【0043】
本発明におけるブロック共重合体(I)は、溶融状態、溶液状態のいずれか、または両方の状態において、液晶性を示すことが好ましい。液晶性を示すことで、特異的な特徴、例えば、低吸水性や防湿性などを発現させることが可能となる。ブロック共重合体(I)は例えば、スメクティック液晶、ネマティック液晶、ディスコティック液晶、コレステリック液晶などの液晶構造を有することにより液晶性を発現する。液晶構造が存在するか否かの判断は、通常は偏光顕微鏡による観察や広角X線回折スペクトル、DSC(示差走査熱量計)などで容易に判定可能である。
【0044】
重合性官能基を有するモノマー(II)
本発明おける重合性官能基を有するモノマー(II)は、光重合可能な重合性官能基を一分子中に少なくとも一つ有するモノマー(II)であれば特に制限なく、例えば分子中にビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基、グリシジル基などの重合性官能基を一分子中に少なくとも一つ有するモノマーが挙げられる。このようなモノマーとしては、例えばN−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−2−メチル−2−プロピルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−2−ペンチルマレイミド、N−3−ペンチルマレイミド、N−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−2−メチル−2−ブチルマレイミド、N−3−メチル−1−ブチルマレイミド、N−3−メチル−2−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−2−ヘキシルマレイミド、N−3−ヘキシルマレイミド、N−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−3−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−4−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−4−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2,2−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−3,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−3,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−2,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−2,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−ヒドロキシメチルマレイミド、N−1−ヒドロキシエチルマレイミド、N−2−ヒドロキシエチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−3―ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−プロピルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−ブチルマレイミド、N−2−メチル−3−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−2−メチル−3−ヒドロキシ−2−プロピルマレイミド、N−2−メチル−2−ヒドロキシ−1−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−5−ヒドロキシ−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−5−ヒドロキシ−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−3−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−2−メチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−プロピルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−プロピルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−1−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−5−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−6−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−1−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−5−ヘキシルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−6−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−1−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−4−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−5−ヘキシルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−6−ヘキシルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−4−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−2−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−4−メチル、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−3−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−4−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−メチル−5−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンチルマレイミド、N−3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ペンチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3−エチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3−エチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2−エチル−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−1−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−2−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−3−ブチルマレイミド、N−4−ヒドロキシ−3−エチル−4−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−3−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−3−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−4−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−1−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−2−ブチルマレイミド、N−1−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−4−ブチルマレイミドなどのアルキルマレイミド;N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミド、N−2−メチルシクロヘキシルマレイミド、N−2−エチルシクロヘキシルマレイミド、N−2−クロロシクロヘキシルマレイミドなどのシクロアルキルマレイミド;N−フェニルマレイミド、N−2−メチルフェニルマレイミド、N−2−エチルフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミドなどのアリールマレイミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロフタレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレ
ート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(1−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;2−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−N−カルバゾールなどの複素環式(メタ)アクリレート、これらのカプロラクトン変性体、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)フタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)イソフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)テレフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロイソフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロテレフタレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、α−ブチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、α−エチル−6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルなどのエチレン性不飽和基とエポキシ基を有する化合物;(2−エチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−メチル−2−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、3−(2−エチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(2−メチル−2−オキセタニル)プロピル(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和基とオキセタニル基を有する化合物;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのエチレン性不飽和基とイソシアネート基を有する化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和基とヒドロキシル基を有する化合物;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、2−フタロイルエチル(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレート、2−ヘキサヒドロフタロイルエチル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化2−メチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;エトキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレートなどの複素環式(メタ)アクリレート;これらのカプロラクトン変性体;ネオペンチルグリコール型エポキシ(メタ)アクリレートなどの脂肪族エポキシ(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレートなどの脂環式エポキシ(メタ)アクリレート;レゾルシノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAF型エポキシ(メタ)アクリレート、フルオレン型エポキシ(メタ)アクリレートなどの芳香族エポキシ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートなどの複素環式(メタ)アクリレート;これらのカプロラクトン変性体;フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなどの芳香族エポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0045】
これら重合性官能基を有するモノマーのなかでも、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレートや、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレートなどは、耐湿性に優れ、かつ強固なフィルム状硬化物が得られるため好ましい。
【0046】
これら重合性官能基を有するモノマー(II)は1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
【0047】
光ラジカル重合開始剤(III)
本発明における光ラジカル重合開始剤(III)は、200〜600nmの光を照射することでラジカルを発生する化合物であれば特に制限はなく、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどのベンゾインケタール類;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンなどのα−ヒドロキシケトン類;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどのα−アミノケトン類;1−[(4−フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタジオン−2−(ベンゾイル)オキシムなどのオキシムエステル類;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体などの2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノンなどのキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインエーテル類;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタールなどのベンジル化合物;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニルヘプタン)などのアクリジン化合物:N−フェニルグリシン、クマリンなどが挙げられる。また、前記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つのトリアリールイミダゾール部位のアリール基の置換基は、同一で対称な化合物を与えてもよく、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また。ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン化合物と3級アミンとを組み合わせてもよい。これら光ラジカル重合開始剤(III)は1種または2種類以上を混合して用いることができる。
【0048】
本発明の感光性樹脂組成物中、ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量は70.0〜99.5質量%であり、好ましくは72.0〜99.5質量%、より好ましくは87.0〜99.5質量%である。この範囲を満たす場合において、フィルムの強靭性や安定性等を付与するために、熱可塑性エラストマー、架橋ゴム微粒子、有機フィラー、無機フィラー、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤などを添加することができる。前記ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量が70.0質量%未満では、透明性が損なわれる結果、光硬化が不十分となり、フィルム状硬化物を得ることが出来ず、99.5質量%を超えると光ラジカル発生剤を十分に配合できなくなるため光硬化が不十分となり、フィルム状硬化物を得ることが出来ない。
【0049】
前記ブロック共重合体(I)の割合は、ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量に対して10〜90質量%であり、好ましくは30〜70質量%である。前記ブロック共重合体(I)の割合が10質量%未満ではフィルム状硬化物の防湿性に劣り、90質量%を越えるとドライフィルムの硬化性及びフィルム状硬化物の防湿性に劣ってしまう。
【0050】
前記光ラジカル重合開始剤(III)の割合は、ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量に対して0.5〜15質量%であり、好ましくは1.0〜10.0質量%である。前記光ラジカル重合開始剤(III)の割合が0.5質量%未満では光照射により十分硬化しないためフィルム状硬化物を得ることが出来ず、15質量%を超えると臭気や光ラジカル重合開始剤(III)の分解生成物の影響でフィルム状硬化物の防湿性が劣ってしまう。
本発明の感光性樹脂組成物は様々なプロセスを用いて使用することができる。例えば感光性樹脂組成物を有機溶媒に溶解してワニスを作成し、そのワニスを用いて目的の部材に対してスプレー法、又はディップ法、又はスピンコート法などを用いてコーティングしたり、ワニスを塗工してドライフィルムを作成し、それを用いて目的の部材を封止することもできる。その後光を照射して感光性樹脂組成物を硬化すれば、目的の部材に対して防湿性を付与することが可能になる。このようにして得られた部材は、湿度に対して強くなるため、たとえば長期信頼性などにおいて湿度による性能低下を防ぐことが可能になる。
【0051】
本発明の感光性組成物を用いてワニスを作成する際に用いる有機溶媒は、前記ブロック共重合体(I)を溶解し易いもので、常圧又は減圧下で揮発可能な溶媒であれば特に制限はなく、例えば、フェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ペンタフルオロフェノール、テトラフルオロフェノールなどのハロゲン化ベンゼン、m−クロロフェノール、o−クロロフェノール、p−クロロフェノール、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、トリフルオロ酢酸、ヘキサフルオロイソプロパノール、クロロナフタレン、p−クロロビフェニル、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチル尿素、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが利用できる。
【0052】
本発明の感光性組成物を用いてワニスを作成する方法は特に制限されず、感光性樹脂組成物を有機溶媒に溶解する方法でも良いが、ブロック共重合体(I)を先ず有機溶媒に溶解し、次いで重合性官能基を有するモノマー(II)及び光ラジカル重合開始剤(III)を添加する方法が好ましい。有機溶媒の使用量は適宜選択されるが、通常、感光性樹脂組成物の全量を100質量部として、25〜1900質量部である。
【0053】
本発明のドライフィルムは感光性樹脂組成物含有量が5〜80質量%に調整された感光性樹脂組成物のワニスをフィルム上に塗工し乾燥することにより得られる。フィルムとしては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネイト、ポリアリレート、エチレン/シクロデセン共重合体等を用いることができる。感光性樹脂組成物をフィルム上に塗布する方法は、リバースロールコーター、グラビアロールコーター、コンマコーター、カーテンコーター等を用いる公知の方法で行うことができる。塗膜の乾燥は、熱風乾燥や遠赤外線、近赤外線を用いた乾燥機を用い、温度20〜200℃で行われる。
【0054】
ドライフィルムの膜厚は、特に制限はなく、通常は1〜1000μmの厚みにすることで、対象部材に防湿性を付与することが可能である。
【0055】
本発明の感光性樹脂組成物は光を照射することで硬化し硬化物が得られる。その際、感光性樹脂組成物をドライフィルムに成形したものに光照射すればフィルム状硬化物を得ることができる。露光量は、感光性樹脂組成物の組成等により異なるが、通常、10〜10000mJ/cmである。この時使用される活性光線としては、例えば電子線、紫外線、X線等が挙げられるが、好ましくは紫外線である。光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ等を使用することができる。露光後は、通常、30〜200℃でベークを行なう。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例を用いて更に具体的に説明する。なお、本発明の範囲はこれらに制限されるものではない。また実施例で用いた材料、各種物性の測定法、評価法は以下の通りである。なお使用した材料は断りのない限り、試薬を使用した。
【0057】
[ドライフィルムの硬化性]
フィルム状硬化物のゲル分率から、硬化性を3段階で評価した。フィルム状の硬化物1gをm−クレゾール20g中に分散し、120℃で2時間加熱した。その後、残存固形分を分離した。この固形分をアセトンで洗浄し、100℃で一晩真空乾燥を実施した。その後、残存固形分の量から下記式を用いてゲル分率を算出した。
【0058】
(ゲル分率)=(残存固形分量)/(仕込み固形分量)×100%
このゲル分率が80質量%以上のものを◎、50質量%以上80質量%未満のものを○、50質量%未満のものを△とした。◎がもっとも好ましく、実用上は○以上であれば問題ない。△では硬化性が足りないため好ましくない。
【0059】
[ドライフィルムの液晶性の評価方法]
液晶性の評価は、株式会社リガク製、X線回折装置 ATX−Gを用いた。測定試料にはピリジン溶液からキャスト法を用いて得たドライフィルム(厚さ0.5mm、大きさ20mm×20mm)を用いた。Cu−Kα線を用い、出力電圧50kV、S1:1mm×10mm、S2:1mm×10mm、RS:なし、YD:0.5mm×10mmの各スリットを用い、1〜60°まで2°/minにて2ω/Θスキャンを実施した。2Θ=20°付近に観察されるベンゼン環の配列に起因するピークの明瞭さから、液晶性を以下の3段階で評価した。◎がもっとも優れており、実用上は○以上であることが望ましい。
【0060】
◎:ピークが明瞭でベースラインから孤立しており、良好な液晶性を示す。
【0061】
○:やや不明瞭なピークが確認でき、液晶性を確認できる。
【0062】
×:明瞭なピークが全く確認されず、液晶性を確認できない。
【0063】
[重量平均分子量の測定]
ポンプに東ソー株式会社製 DP8020、検出器に示差屈折計RI8020、カラムに日立化成工業株式会社製 GPCカラムGLA150Sを2本用い、カラム温度25℃、溶離液にテトラヒドロフラン、又はN,N−ジメチルホルムアミドを用い、流速1.0ml/minにて実施した。重量平均分子量の算出はポリスチレン標準を用いた。
【0064】
[ブロック共重合体中の架橋官能基の含有量]
ブルカー・バイオスピン株式会社製多核NMR測定装置、AV300Mを用いた。重溶媒にはブロックピリジンd−5を用い、積算回数1064回にてH−NMR測定を行い、メタクリル基に起因するシグナルと全芳香族に起因するシグナルの積分比から求めた。
【0065】
[ブロック共重合体中の液晶性ポリエステルセグメントの質量割合]
ブルカー・バイオスピン株式会社製多核NMR測定装置、AV300Mを用いた。重溶媒にはブロックピリジンd−5を用い、積算回数1064回にてH−NMR測定を行い、ビニル成分に起因するシグナルと、全芳香族に起因するシグナルの積分比から求めた。
【0066】
[フィルム状硬化物の密着性の評価方法]
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗工されたドライフィルムをPETフィルムごと1cm角に切断した。ドライフィルムの樹脂層とシリコンウエハ面とを加熱ロールラミネータを用いて温度50℃、圧力0.4MPaにて圧着した。その後PETフィルム層より紫外線露光機(大日本スクリーン株式会社製MAP−1200−L)を用い、紫外線(波長365nm)を2000mJ/cm照射後、カバーしたPETフィルムを除去し、80℃で1時間ベークした。
【0067】
シリコンウエハ状に接着されたフィルム状硬化物を、テフロン製ピンセットでこじ剥がし、そのときの様子から以下の3段階で評価した。実用上、○以上であれば問題なく、◎であるのが好ましい。
【0068】
◎:全くはがれず、接着している。
【0069】
○:力を加えることで、なんとか剥離する。
【0070】
×:密着せず、わずかな力で容易に剥離する。
【0071】
[フィルム状硬化物の防湿性の評価方法]
フィルム状硬化物を用い、防湿性の指標として透湿性を測定した。JIS―Z0208(カップ法)を用い、透過面積7cm、透過条件40℃、95%RHにて10日間試験した。その結果から、以下の3段階で評価した。実用上、○以上であれば問題なく、◎であるのが好ましい。
【0072】
◎:透湿率が20g/m・d以下であり、実用上優れた防湿性を有する。
【0073】
○:透湿率が20g/m・dより高く50g/m・d以下であり、実用上問題ない防湿性を有する。
【0074】
×:透湿率が50g/m・dより高く、十分な防湿性を有しない。
【0075】
[ブロック共重合体の合成(合成例1〜8)]
(合成例1)
(1−1)両末端ヒドロキシ化アクリルポリマー(ポリマーB1)の合成
200mlの三口フラスコにスリーワンモーター、フッ素樹脂製攪拌翼、ジムロート、滴下漏斗を取り付けた。別に、200mlビーカーを用意し、これに2−エチルヘキシルメタクリレートを35.0g、メタクリル酸を15.0g、ジチオエタノールを10.0g及び2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド](和光純薬工業株式会社製、VA−086)を2.5g配合し、均一になるまで良く撹拌した。これを滴下漏斗に入れ、110〜120℃にて1時間かけてフラスコに滴下した。滴下後、更に3時間加熱撹拌し、非常に粘調なポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をガラス板上にキャストし、100℃で2時間乾燥させたところ、外観は透明であり、また直交ニコル法による観察を行ったところ、全く偏光は確認されなかったことから、このポリマーは非晶質であることが確認された。前記ポリマー溶液を大量のメタノール・水混合溶液(メタノール:水=2:1vol比)にて沈澱させ、再度メタノール・水混合溶液にて洗浄したあと、80℃真空にて乾燥した。得られたポリマーの収率は77.5質量%、GPCより算出した分子量は1.1万であった。得られたポリマーを以下、ポリマーB1と記載する。
【0076】
(1−2)末端カルボキシル化ポリエステル(ポリマーA1)の合成
100ml三口フラスコにスリーワンモーター、三方コック付きジムロートを取り付け、これに4,4’−ジヒドロキシビフェニルを3.385g及び9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンを4.052g仕込み、フラスコ内を窒素置換した。これにジオキサン28.0mlとピリジン12.0mlを加え、材料を溶解した。次にN−メチルー2−ピロリドン21.0mlにテレフタル酸ジクロリド3.179g及びイソフタル酸ジクロリド3.244gを溶解した溶液を一気にフラスコへ加え、室温(25℃)にて1時間反応させ、末端がカルボキシル化ポリエステル(ポリマーA1)の重合溶液を得た。得られたポリマーA1の重量平均分子量は8,000であった。この重合溶液をそのまま用いた。
【0077】
(1−3)ブロック共重合体(ポリマーC1)の合成
100ml二口フラスコにラバーセプタム、スターラーチップを取り付け、これに前記ポリマーB1を10.0g入れ窒素置換を実施した。これにN−メチル−2−ピロリドンを27.0ml加え、60℃で加熱しつつ溶解した。この溶液を上述のポリマーA1の入っている三口フラスコへ一気に添加後、120℃に加熱し、24時間撹拌した。得られたポリマー溶液は薄白濁で液晶状態を呈していた。ポリマー溶液を大量の水中に入れてポリマーを析出させた後、メタノールで2回洗浄し、100℃にて真空乾燥してブロック共重合体(ポリマーC1)を得た。収率は92.5%であった。ポリマーC1はポリマーA1及びポリマーB1からなる2元ブロック共重合体であった。
【0078】
(1−4)架橋官能基を導入したブロック共重合体(ポリマーD1)の合成
100mlの三口フラスコにスリーワンモーター、フッ素樹脂製撹拌翼、三方コック付きジムロート及びラバーセプタムを取り付け、これに前記ポリマーCを110.0を入れ、窒素置換を実施した。これにN−メチル−2−ピロリドンを90ml加えて120℃で溶解後、70℃に冷却した。その後、2−メタクリロキシエチルイソシアネート(昭和電工株式会社製、カレンズMOI)を13.485g加え、70℃で3時間撹拌した。反応後、反応溶液を大量のメタノール中に入れてポリマーを析出させた後、メタノールで2回洗浄後、40℃で真空乾燥してメタクリル基が導入したブロック共重合体(ポリマーD1)を得た。
【0079】
ポリマーD1の収率は108.5%、ポリマーD1中のメタクリル基の導入量は1.75mmol/g、でまた、ポリマーD1中のポリマーA1の質量割合は50質量%であった。
【0080】
(合成例2)
前記実施例1で得たポリマーA1とポリマーB1を用いた。ポリマーB1の量を4.0gに変えること以外は前記(1−3)と同様に操作してポリマーC2を合成した。次いで、2−メタクリロキシエチルイソシアネートの量を5.394gに変えること以外は前記(1−4)と同様に操作してブロック共重合体(ポリマーD2)を得た。ポリマーD2の収率は104.2%、ポリマーD2中のメタクリル基の導入量は1.05mmol/g、また、ポリマーD2中のポリマーA1の質量割合は70質量%であった。
【0081】
(合成例3)
前記実施例1で得たポリマーA1とポリマーB1を用いた。ポリマーB1の量を2.0gに変えること以外は前記(1−3)と同様に操作してポリマーC3を合成した。次いで、2−メタクリロキシエチルイソシアネートの量を2.697gに変えること以外は前記(1−4)と同様に操作してブロック共重合体(ポリマーD3)を得た。ポリマーD3の収率は102.2%、ポリマーD3中のメタクリル基の導入量は0.35mmol/g、また、ポリマーD3中のポリマーA1の質量割合は90質量%であった。
【0082】
(合成例4)
前記実施例1で得たポリマーA1とポリマーB1を用いた。ポリマーB1の量を27.0gに変えること以外は前記(1−3)と同様に操作してポリマーC4を合成した。次いで、2−メタクリロキシエチルイソシアネートの量を18.20gに変えること以外は前記(1−4)と同様に操作してブロック共重合体(ポリマーD4)を得た。ポリマーD4の収率は116.2%、ポリマーD4中のメタクリル基の導入量は2.44mmol/g、また、ポリマーD4中のポリマーA1の質量割合は30質量%であった。
【0083】
(合成例5)
前記実施例1で得たポリマーA1とポリマーB1を用いた。ポリマーB1の量を88.0gに変えること以外は前記(1−3)と同様に操作してポリマーC5を合成した。次いで、2−メタクリロキシエチルイソシアネートの量を5.394gに変えること以外は前記(1−4)と同様に操作してブロック共重合体(ポリマーD5)を得た。ポリマーD5の収率は136.2%、ポリマーD5中のメタクリル基の導入量は3.14mmol/g、また、ポリマーD5中のポリマーA1の質量割合は10質量%であった。
【0084】
(合成例6)
前記実施例1で得たポリマーA1とポリマーB1を用いた。ポリマーB1の量を1.0gに変えること以外は前記(1−3)と同様に操作してポリマーC6を合成した。次いで、2−メタクリロキシエチルイソシアネートの量を1.348gに変えること以外は前記(1−4)と同様に操作してブロック共重合体(ポリマーD6)を得た。ポリマーD6の収率は96.5%、ポリマーD6中のメタクリル基の導入量は0.175mmol/g、また、ポリマーD6中のポリマーA1の質量割合は95質量%であった。
【0085】
(合成例7)
前記実施例1で得たポリマーA1とポリマーB1を用いた。ポリマーB1の量を121.5gに変えること以外は前記(1−3)と同様に操作してポリマーC7を合成した。次いで、2−メタクリロキシエチルイソシアネートの量を36.4gに変えること以外は前記(1−4)と同様に操作してブロック共重合体(ポリマーD7)を得た。ポリマーD7の収率は140.1%、ポリマーD7中のメタクリル基の導入量は3.32mmol/g、また、ポリマーD7中のポリマーA1の質量割合は5質量%であった。
【0086】
(合成例8)
(8−1)両末端ヒドロキシ化アクリルポリマー(ポリマーB2)の合成
200mlの三口フラスコにスリーワンモーター、フッ素樹脂製攪拌翼、ジムロート、滴下漏斗を取り付けた。別に、200mlビーカーを用意し、これに2−エチルヘキシルメタクリレートを50.0g、ジチオエタノールを10.0g及び2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]2.5g(和光純薬工業株式会社製、VA−086)を配合し、均一になるまで良く撹拌した。これを滴下漏斗に入れ、110〜120℃にて1時間かけてフラスコに滴下した。滴下後、更に3時間加熱撹拌し、非常に粘調なポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をガラス板上にキャストし、100℃で2時間乾燥させたところ、外観は透明であり、また直交ニコル法による観察を行ったところ、全く偏光は確認されなかったことから、このポリマーは非晶質であることが確認された。前記ポリマー溶液を大量のメタノール・水混合溶液(メタノール:水=2:1vol比)にて沈澱させ、再度メタノール・水混合溶液にて洗浄したあと、80℃真空にて乾燥した。得られたポリマーの収率は89.5質量%、GPCより算出した分子量は1.4万であった。得られたポリマーを以下、ポリマーB2と記載する。
【0087】
(8−2)末端カルボキシル化ポリエステル(ポリマーA1)の合成
前記(1−2)と同様に操作してポリマーA1を合成した。
【0088】
(8−3)ブロック共重合体(ポリマーC8)の合成
100ml二口フラスコにラバーセプタム、スターラーチップを取り付け、これに前記ポリマーB2を10.0g入れ、窒素置換を実施した。これにN−メチル−2−ピロリドンを27.0ml加え、60℃で加熱しつつ溶解した。この溶液を上述のポリマーA1の入っている三口フラスコへ一気に添加後、120℃に加熱し、24時間撹拌した。得られたポリマー溶液は薄白濁で液晶状態を呈していた。ポリマー溶液を大量の水中に入れてポリマーを析出させた後、メタノールで2回洗浄し、100℃にて真空乾燥してブロック共重合体(ポリマーC8)を得た。収率は96.2%であった。ポリマーC8はポリマーA1及びポリマーB1からなる2元ブロック共重合体であった。またポリマーC8中のメタクリル基の導入量は0mmol/g、また、ポリマーC8中のポリマーA1の質量割合は50質量%であった。
【0089】
(実施例1)
ブロック共重合体(I)として合成例1で得られたブロック共重合体(ポリマーD1)を10.0g採取し、30mlのピリジンに溶解した。これに重合性官能基を有するモノマー(II)として、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学株式会社性、A−BPE−6)を5.0g及びエトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−9300)を5.0g、光ラジカル重合開始剤(III)として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)を0.5g及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)を0.5g加え、均一になるまで攪拌した。
【0090】
この溶液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、ギャップが100μmとなるように塗工し、80℃で1時間乾燥し、膜厚50μmのドライフィルムを作成した。その後、加熱ロールを用いてPETフィルム(厚さ17μm)をカバーした。これに紫外線露光機(大日本スクリーン株式会社製MAP−1200−L)を用い、紫外線(波長365nm)を2000mJ/cm照射後、カバーしたPETフィルムを除去し、80℃で1時間ベークしてフィルム状硬化物を得た。
【0091】
得られた感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物をPETフィルムから剥離し、硬化性、防湿性、密着性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0092】
(実施例2)
ブロック共重合体(ポリマーD1)に変えて合成例2で得られたブロック共重合体(ポリマーD2)を用いること以外は、実施例1と同様に操作して感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物を得、評価した。結果を表1に示す。
【0093】
(実施例3)
ブロック共重合体(ポリマーD1)に変えて合成例3で得られたブロック共重合体(ポリマーD3)を用いること以外は、実施例1と同様に操作して感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物を得、評価した。結果を表1に示す。
【0094】
(実施例4)
ブロック共重合体(ポリマーD1)に変えて合成例4で得られたブロック共重合体(ポリマーD4)を用いること以外は、実施例1と同様に操作して感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物を得、評価した。結果を表1に示す。
【0095】
(実施例5)
ブロック共重合体(ポリマーD1)に変えて合成例5で得られたブロック共重合体(ポリマーD5)を用いること以外は、実施例1と同様に操作して感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物を得、評価した。結果を表1に示す。
【0096】
(実施例6)
合成例1で得られたブロック共重合体(ポリマーD1)を2.0g採取し、6mlのピリジンに溶解した。これにエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学株式会社性、A−BPE−6)を9.0g、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−9300)を9.0g、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)を0.5g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)を0.5g加え、均一になるまで攪拌した。この溶液を用いて実施例1と同様に操作し、感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物を得、評価した。結果を表1に示す。
【0097】
(実施例7)
合成例1で得られたブロック共重合体(ポリマーD1)を6.0g採取し、18mlのピリジンに溶解した。これにエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学株式会社性、A−BPE−6)を7.0g、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−9300)を7.0g、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)を0.5g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)を0.5g加え、均一になるまで攪拌した。この溶液を用いて実施例1と同様に操作し、感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物を得、評価した。結果を表1に示す。
【0098】
(実施例8)
合成例1で得られたブロック共重合体(ポリマーD1)を14.0g採取し、42mlのピリジンに溶解した。これにエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学株式会社性、A−BPE−6)を3.0g、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−9300)を3.0g、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)を0.5g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)を0.5g加え、均一になるまで攪拌した。この溶液を用いて実施例1と同様に操作し、感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物を得、評価した。結果を表1に示す。
【0099】
(実施例9)
合成例1で得られたブロック共重合体(ポリマーD1)を18.0g採取し、56mlのピリジンに溶解した。これにエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学株式会社性、A−BPE−6)を1.0g、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−9300)を1.0g、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)を0.5g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)を0.5g加え、均一になるまで攪拌した。この溶液を用いて実施例1と同様に操作し、感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物を得、評価した。結果を表1に示す。
【0100】
(実施例10)
合成例1で得られたブロック共重合体(ポリマーD1)を10.0g採取し、30mlのピリジンに溶解した。これにエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学株式会社性、A−BPE−6)を5.0g、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−9300)を5.0g、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)を1.0g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)を1.0g加え、均一になるまで攪拌した。この溶液を用いて実施例1と同様に操作し、感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物を得、評価した。結果を表1に示す。
【0101】
(実施例11)
合成例1で得られたブロック共重合体(ポリマーD1)を10.0g採取し、30mlのピリジンに溶解した。これにエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学株式会社性、A−BPE−6)を5.0g、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−9300)を5.0g、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)を1.5g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)を1.5g加え、均一になるまで攪拌した。この溶液を用いて実施例1と同様に操作し、感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物を得、評価した。結果を表1に示す。
【0102】
(実施例12)
合成例1で得られたブロック共重合体(ポリマーD1)を10.0g採取し、30mlのピリジンに溶解した。これにエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学株式会社性、A−BPE−6)を5.0g、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−9300)を5.0g、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)を0.05g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)を0.05g加え、均一になるまで攪拌した。
【0103】
この溶液をPETフィルム上に、ギャップが100μmとなるように塗工し、80℃で1時間乾燥し、膜厚50μmのドライフィルムを作成した。その後、加熱ロールを用いてPETフィルム(厚さ17μm)をカバーした。これに紫外線露光機(大日本スクリーン株式会社製MAP−1200−L)を用い、紫外線(波長365nm)を10000mJ/cm照射後、カバーしたPETペットフィルムを除去し、100℃で1時間ベークしてフィルム状硬化物を得た。
【0104】
得られた感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物をPETフィルムから剥離し、硬化性、防湿性、密着性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0105】
(実施例13)
合成例1で得られたブロック共重合体(ポリマーD1)を10.0g採取し、30mlのピリジンに溶解した。これにエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学株式会社性、A−BPE−6)を4.0g、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−9300)を4.0g、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)を1.0g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)を1.0g、コア−シェル型架橋アクリルゴム粒子(ガンツ化成株式会社製スタフィロイドAC−3355)を5.0g加え、均一になるまで攪拌した。
【0106】
この溶液をPETフィルム上に、ギャップが100μmとなるように塗工し、80℃で1時間乾燥し、膜厚50μmのドライフィルムを作成した。その後、加熱ロールを用いてPETフィルム(厚さ17μm)をカバーした。これに紫外線露光機(大日本スクリーン株式会社製MAP−1200−L)を用い、紫外線(波長365nm)を2000mJ/cm照射後、カバーしたPETペットフィルムを除去し、80℃で1時間ベークしてフィルム状硬化物を得た。
【0107】
得られた感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物をPETフィルムから剥離し、硬化性、防湿性、密着性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0108】
(比較例1)
ブロック共重合体(ポリマーD1)に変えて合成例6で得られたブロック共重合体(ポリマーD6)を用いること以外は、実施例1と同様に操作して感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物を得、評価した。結果を表2に示す。
【0109】
(比較例2)
ブロック共重合体(ポリマーD1)に変えて合成例7で得られたブロック共重合体(ポリマーD7)を用いること以外は、実施例1と同様に操作して感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物を得、評価した。結果を表2に示す。
【0110】
(比較例3)
ブロック共重合体(ポリマーD1)に変えて合成例8で得られたブロック共重合体(ポリマーD8)を用いること以外は、実施例1と同様に操作して感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物を得、評価した。結果を表2に示す。
【0111】
(比較例4)
合成例1で得られたブロック共重合体(ポリマーD1)を1.0g採取し、3mlのピリジンに溶解した。これにエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学株式会社性、A−BPE−6)を9.5g、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−9300)を9.5g、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)を0.5g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)を0.5g加え、均一になるまで攪拌した。この溶液を用いて実施例1と同様に操作し、感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物を得、評価した。結果を表2に示す。
【0112】
(比較例5)
合成例1で得られたブロック共重合体(ポリマーD1)19.0gを採取し、54mlのピリジンに溶解した。これにエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学株式会社性、A−BPE−6)を0.5g、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−9300)を0.5g、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)を0.5g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)を0.5g加え、均一になるまで攪拌した。この溶液を用いて実施例1と同様に操作し、感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物を得、評価した。結果を表2に示す。
【0113】
(比較例6)
合成例1で得られたブロック共重合体(ポリマーD1)10.0gを採取し、30mlのピリジンに溶解した。これにエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学株式会社性、A−BPE−6)を5.0g、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−9300)を5.0g、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)を2.0g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)を2.0g加え、均一になるまで攪拌した。この溶液を用いて実施例1と同様に操作し、感光性樹脂組成物のフィルム状硬化物を得、評価した。結果を表2に示す。
【0114】
(比較例7)
合成例1で得られたブロック共重合体(ポリマーD1)を10.0g採取し、30mlのピリジンに溶解した。これにエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学株式会社性、A−BPE−6)を5.0g、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−9300)を5.0g、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)を0.01g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)を0.01g加え、均一になるまで攪拌した。
【0115】
この溶液をPETフィルム上に、ギャップが100μmとなるように塗工し、80℃で1時間乾燥し、膜厚50μmのドライフィルムを作成した。その後、加熱ロールを用いてPETフィルム(厚さ17μm)をカバーした。これに紫外線露光機(大日本スクリーン株式会社製MAP−1200−L)を用い、紫外線(波長365nm)を10000mJ/cm照射後、カバーしたPETフィルムを除去し、100℃で1時間ベークした。
【0116】
しかし得られたドライフィルムはほとんど硬化せず、フィルム形状を保持できなかったため一切の評価が出来なかった。
【0117】
(比較例8)
合成例1で得られたブロック共重合体(ポリマーD1)を10.0g採取し、30mlのピリジンに溶解した。これにエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学株式会社性、A−BPE−6)を4.0g、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−9300)を4.0g、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア2959)を1.0g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製イルガキュア819)を1.0g、コア−シェル型架橋アクリルゴム粒子(ガンツ化成株式会社製スタフィロイドAC−3355)を10.0g加え、均一になるまで攪拌した。
【0118】
この溶液をPETフィルム上に、ギャップが100μmとなるように塗工し、80℃で1時間乾燥し、膜厚50μmのドライフィルムを作成した。得られたフィルムは完全に白濁しており、不透明であった。その後、加熱ロールを用いてPETフィルム(厚さ17μm)をカバーした。これに紫外線露光機(大日本スクリーン株式会社製MAP−1200−L)を用い、紫外線(波長365nm)を2000mJ/cm照射後、カバーしたPETペットフィルムを除去し、80℃で1時間ベークしたが、フィルム状硬化物は得られなかった。
【表1】

【表2】

【0119】
本発明の感光性樹脂組成物を用いると、硬化性、密着性及び防湿性に優れた感光性組成物のフィルム状硬化物を得ることができた。これに対し、ブロック共重合体(I)中の液晶性ポリエステルセグメント(A)の含有量が多い感光性樹脂組成物を用いた比較例1では、硬化性が低下した。ブロック共重合体(I)中の液晶性ポリエステルセグメント(A)の含有量が少ない感光性樹脂組成物を用いた比較例2では、防湿性が低下した。ブロック共重合体(I)中に架橋官能基を有さない感光性樹脂組成物を用いた比較例3では、硬化性が悪く、防湿性が低下した。ブロック共重合体(I)の配合割合が少ない感光性樹脂組成物を用いた比較例4では、防湿性が低下した。重合性官能基を有するモノマー(II)の配合割合が少ない感光性樹脂組成物を用いた比較例5では、硬化性が悪く、防湿性が低下した。光ラジカル重合開始剤(III)の配合割合が多い感光性樹脂組成物を用いた比較例6では、光ラジカル重合開始剤の分解生成物の影響で防湿性が低下した。光ラジカル重合開始剤(III)の配合割合が少ない感光性樹脂組成物を用いた比較例7では、硬化不足によりフィルム状硬化物が得られなかった。感光性樹脂組成物中、ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量が少ない感光性樹脂組成物を用いた比較例8では、硬化不足によりフィルム状硬化物が得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック共重合体(I)、重合性官能基を有するモノマー(II)及び光ラジカル重合開始剤(III)を含む感光性樹脂組成物であって、
前記ブロック共重合体(I)が、液晶性ポリエステルセグメント(A)10〜90質量%と架橋官能基を有する非晶質のビニル重合体セグメント(B)90〜10質量%とからなるブロック共重合体であり、
前記ブロック共重合体(I)の割合は、ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量に対して10〜90質量%であり、
前記光ラジカル重合開始剤(III)の割合は、ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量に対して0.5〜15質量%であり、
前記感光性樹脂組成物中、ブロック共重合体(I)と重合性官能基を有するモノマー(II)の総量が、70.0〜99.5質量%であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記架橋官能基が、ビニル基、メタクリル基、アクリル基、グリシジル基、アリル基から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記架橋官能基が、ブロック共重合体(I)中に0.1mmol/g〜5.0mmol/g含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記ブロック共重合体(I)が、溶液又は溶融状態、或いは双方において液晶性を示すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記重合性官能基が、メタクリル基、アクリル基、グリシジル基、アリル基、ビニル基から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物に光を照射して得られる硬化物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物から得られるワニス。
【請求項8】
請求項7のワニスから得られるドライフィルム。
【請求項9】
請求項8に記載のドライフィルムに光を照射して得られるフィルム状硬化物。

【公開番号】特開2009−108289(P2009−108289A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327438(P2007−327438)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】