説明

感光性樹脂組成物、タッチパネル用材料、タッチパネル保護膜、タッチパネル絶縁膜、タッチパネル

【課題】フォトリソグラフィー法によるパターン加工性を有し、透明性に優れ、熱処理や薬品処理後、高温高湿条件下等においても無機材料表面との接着性に優れ、高硬度である硬化膜を得ることができる感光性樹脂組成物の提供。
【解決手段】(A)光重合性モノマー、(B)透明樹脂、(C)光重合開始剤及び(D)溶剤を含有する感光性組成物であって、前記(B)透明樹脂に、不飽和二重結合及びアルコキシシランを有する化合物とアルコキシシランを有しない不飽和二重結合を有する化合物との共重合体Aと、不飽和二重結合及びカルボン酸を有する化合物とカルボン酸を有しない不飽和二重結合を有する化合物との共重合体Bとの混合物を用いることを特徴とする感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感光性樹脂組成物とそれを含むタッチパネル用材料、該感光性樹脂組成物を硬化させてなるタッチパネル保護膜及びタッチパネル絶縁膜、並びに該タッチパネル保護膜又はタッチパネル絶縁膜の少なくともいずれか一方を用いて作製したタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、表示画面上の透明な面を操作者が指またはペンでタッチすることにより、接触した位置を検出してデータ入力できる入力装置の構成要素となるものであって、キー入力より直接的、かつ直感的な入力を可能とすることから、近年、多用されるようになってきた。
【0003】
タッチパネルの検出方式には、抵抗膜式、静電容量式、超音波式、光学式などがあり、これまでは、製造コストの点で比較的優れていた抵抗膜式が主流であった。しかし、2枚の透明導電膜の間に空気層を設ける構造を有する抵抗膜式タッチパネルは、光学特性(透過率)が低く、耐久性や動作温度特性においても充分とは言えない。
【0004】
一方、可動部分を有しない静電容量式タッチパネルは、光学特性(透過率)が高く、耐久性や動作温度特性においても抵抗膜式より優れているため、採用するメーカーが増えてきている。
【0005】
しかしながら、静電容量式タッチパネルでは、基板上に導電膜、例えばITO(Indium Tin Oxide)膜等が形成されるため、その導電膜を保護するため表面保護膜を形成する必要がある。そして、静電容量式タッチパネルでは、上層に表面保護層を設けた後に導電膜に対して回路接続を目的としたパターン加工を行う必要があるため、表面保護膜には、感光性に加えて、熱処理や薬品処理におけるより高い接着性が求められる。
【0006】
これに対して、静電容量式タッチパネルとして、例えば、ITO膜付きガラスを基板に用い、高硬度な無機系のSiO2、SiNxや透明樹脂等で形成された保護膜を有するものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、無機系保護膜は、SiO2やSiNxをCVD法やスパッタリング法などにより形成するために、エネルギー消費量が増加する。また、ガラス基板が大型化すると成膜に長時間が必要となり、生産効率を低下させる。さらに、前記無機系保護膜は感光性を有しないため、回路接続を目的とした保護膜加工を別途行う必要があり、これによりプロセス数が増加するなど、製造コストが高くなる課題があった。
【0007】
一方、有機系保護膜材料として、重合性基含有オリゴマー、モノマー、光重合開始剤およびその他添加剤を含有するUV硬化型コーティング組成物が知られている。(例えば、特許文献2参照)これらの組成物からなる膜はパターン加工性を有し、且つ、これらの組成物を用いた場合、高い硬度と透明性を有する硬化膜を得ることができる。しかしながら、特許文献2に記載されたような組成物は有機成分を多く含むため、無機系保護膜に比べ、製造中の熱処理や薬品処理後、製造後の高温高湿条件下等において、ガラス基板表面や導電膜等の無機材料層表面と十分な接着性が得られないという課題を有していた。
【0008】
上記状況から、タッチパネル保護膜およびタッチパネル絶縁膜としてフォトリソグラフィー法によるパターン加工性を有し、透明性に優れ、熱処理や薬品処理後、高温高湿条件下等においても無機材料表面との接着性に優れ、高硬度である感光性樹脂組成物の開発が望まれていた。
【0009】
また、タッチパネルにおいては、ガラス基板やフィルム基板上の導電膜からなる電極上や電極間に絶縁膜が必要となる構成があり、同様に導電膜を形成する無機材料表面と十分な接着性が得られる感光性樹脂組成物が望まれていた。なお、電極間に絶縁膜が必要となる構成としては、例えば、静電容量式タッチパネルの投影型が挙げられ、該投影型ではセンサー部にX軸方向及びY軸方向の2層の透明電極間に絶縁膜が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−279819号公報
【特許文献2】特開2010−027033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記タッチパネル保護膜およびタッチパネル絶縁膜をフォトリソグラフィー法でパターン加工する過程において、感光性樹脂組成物に紫外線を照射して所望のパターンを形成する際に、低熱膨張性でパターンの位置精度が良いことや、低紫外線吸収性のため効率良く紫外線照射できる点で、マスク材質には従来石英ガラスが広く用いられているが、近年の低価格化の要求から、使用するマスクの材質が、石英ガラスからより安価なソーダ石灰ガラスに置き換わる傾向にある。
【0012】
しかしながら、ソーダ石灰ガラスは石英ガラスよりもUV透過性能が劣るため、上記タッチパネル保護膜およびタッチパネル絶縁膜を形成するための感光性樹脂組成物をより高感度化する必要がある。高感度化のためには、感光性樹脂組成物に光重合開始剤を多く用いるなどの所作を行わなければならず、その結果として感光性樹脂組成物が着色してしまい、透過性に優れたなタッチパネル保護膜およびタッチパネル絶縁膜を提供できない課題があった。
【0013】
本発明の目的は、フォトリソグラフィー法によるパターン加工性を有し、透明性に優れ、熱処理や薬品処理後、高温高湿条件下等においても無機材料表面との接着性に優れ、高硬度である硬化膜を得ることができる感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0014】
また本発明の他の目的は、マスク材質に安価なソーダ石灰ガラスを使用しても、感光性や透過性を損なうことのない感光性樹脂組成物を提供することにある。さらに本発明は、保存安定性に優れ、且つ、パターン形成時の膜減りが低減された感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の感光性樹脂組成物は(A)光重合性モノマー、(B)透明樹脂、(C)光重合開始剤及び(D)溶剤を含有する感光性組成物であって、前記(B)透明樹脂に、不飽和二重結合及びアルコキシシランを有する化合物とアルコキシシランを有しない不飽和二重結合を有する化合物との共重合体Aと、不飽和二重結合及びカルボン酸を有する化合物とカルボン酸を有しない不飽和二重結合を有する化合物との共重合体Bとの混合物を用いることを有することを特徴とする。
【0016】
前記(A)光重合性モノマーが、分子内に2つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物を少なくとも1つは含有することが好ましい。
【0017】
さらに、前記(A)光重合性モノマーが、ビスフェノールA骨格を含むことが望ましい。
【0018】
さらに、前記共重合体Aを構成するアルコキシシランを有しない不飽和二重結合を有する化合物がカルボン酸を有し、且つ前記共重合体Bを構成するカルボン酸を有しない不飽和二重結合を有する化合物がエポキシ基を有することが好ましい。
【0019】
さらに、前記共重合体Aを構成するアルコキシシランを有しない不飽和二重結合を有する化合物が共重合体Aのうち60〜10w%(質量%)であり、且つ、前記共重合体Bを構成するカルボン酸を有しない不飽和二重結合を有する化合物が共重合体のうち95〜65w%であることが望ましい。
【0020】
さらに、前記(C)光重合性開始剤が、オキシムエステル化合物であることが好ましい。
【0021】
さらに、前記(C)光重合性開始剤が、2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノンであることが好ましい。
【0022】
さらに、本発明は、前記感光性樹脂組成物を含むタッチパネル用材料、前記感光性樹脂組成物を硬化させてなるタッチパネル保護膜、前記感光性樹脂組成物を硬化させてなるタッチパネル絶縁膜、並びに該タッチパネル保護膜又は該タッチパネル絶縁膜の少なくともいずれか一方を用いて作製したタッチパネルを提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の感光性樹脂組成物によれば、フォトリソグラフィー法によるパターン加工性を有し、透明性に優れ、熱処理や薬品処理後、高温高湿条件下等においても無機材料表面との接着性に優れ、高硬度である硬化膜を得ることができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物によれば、マスク材質に安価なソーダ石灰ガラスを使用しても、感光性や透過性を損なうことがない。さらに本発明の感光性樹脂組成物は、保存安定性に優れ、且つ、パターン形成時の膜減りが低減されたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る一例のタッチパネルの要部を示す断面図である。
【図2】本発明に係る一例のタッチパネルの要部を、保護膜を透視して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の感光性樹脂組成物は(A)光重合性モノマー、(B)透明樹脂、(C)光重合開始剤及び(D)溶剤を含有する感光性組成物であって、前記(B)透明樹脂が、不飽和二重結合及びアルコキシシランを有する化合物とアルコキシシランを有しない不飽和二重結合を有する化合物との共重合体Aと、不飽和二重結合及びカルボン酸を有する化合物とカルボン酸を有しない不飽和二重結合を有する化合物との共重合体Bとの混合物であることを有することを特徴とする。
【0026】
前記(A)光重合性モノマーは、光による架橋型の重合が可能なものであれば特に限定されるものではなく、一般的な感光性樹脂組成物において用いられる光重合性モノマーを使用することができる。本発明の感光性樹脂組成物は、(A)光重合性モノマーと、後述する(C)光重合開始剤とを含有することによって、光照射後に組成物中で(A)光重合性モノマー同士、又は(A)光重合性モノマーと後述する(B)透明樹脂とが重合することで、組成物からなる膜等を良好に硬化させることができる。また、光の照射をマスクを介して行うことにより、光が照射された部分(露光部)と光が照射されなかった部分(未露光部)との物性や現像液に対する溶解性が異なるものとなることにより、良好にパターンを得ることができる。
なお、本発明において「光」とは、可視光のみならず、赤外線、紫外線、各種放射線(X線、γ線、電子線等)も含む概念であって、本発明の(A)光重合性モノマーは、後述する各種の光線によって良好に重合するものであることが好ましい。
【0027】
(A)光重合性モノマーとして具体的には、1,9−ノナンジオールジアクリレート、EO(エチレンオキサイド)変性ビスフェノールAジアクリレート、PO(プロピレンオキサイド)変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、ECH(エピクロルヒドリン)変性フタル酸ジアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物のペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールのエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、本発明における(A)光重合性モノマーとしては、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物のペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のペンタ(メタ)アクリレートが好ましく、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0028】
また、(A)光重合性モノマーとして分子内に2つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する以下の化合物もより好適に用いられる。
2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコール#200ジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ポリエチレングリコール#1000ジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジアクリレート、ポリプロピレングリコール(#700)ジアクリレート、ポリテトラメチレングリコール#650ジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサンジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノ−ルF4モルエチレンオキサイド付加体ジアクリレート等がある。
この中でも、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサンジアクリレートとして「R−604」(日本化薬(株)製)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレートとして「FM−400」(日本化薬(株)製)、ビスフェノ−ルF4モルエチレンオキサイド付加体ジアクリレートとして「R−712」(日本化薬(株)製)が好適に用いられる。
【0029】
分子内に2つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性モノマーを用いることで、光重合反応が直鎖状に進みやすくなり、得られた膜が、三次元網目構造を有する硬化膜と比較して柔軟性に優れ、外部からの応力緩和に優れた膜となっているために、基板界面と硬化膜との密着性が向上する。
【0030】
また、ビスフェノールA骨格を有する前記(A)光重合性モノマーとして、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA EO付加物ジアクリレート等を用いることができる。
より好適に用いられるのはビスフェノールA EO付加物ジアクリレートであり、製品名としては、「V#700」(大阪有機化学工業(株)製)である。
【0031】
ビスフェノールA骨格を有する光重合モノマーを用いることで、さらに外部からの応力緩和に優れ、かつ高硬度な硬化膜を作製できる。また、ビスフェノールA骨格を有する光重合モノマーを用いることで、ポストベークなどの加熱焼成工程での膜減りを低減させることが可能となり、所望する厚みの硬化膜を得る際に使用する感光性樹脂組成物の量を低減できるため、より安価にタッチパネル保護膜およびタッチパネル絶縁膜を形成することができる。
ビスフェノールA骨格を有し、かつ分子内に2つ以上の重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー(例えば、上記ビスフェノールA EO付加物ジアクリレート)は、光重合反応が直鎖状に進みやすいことによる柔軟性と、ビスフェノールA骨格の剛直性との良好なバランスを有するために、適度な密着性と膜硬度を両立できる。また、ビスフェノールA骨格の剛直性により、ポストベークなどの加熱焼成工程での膜減りが低減できる。
【0032】
(A)光重合性モノマーは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明の感光性樹脂組成物における(A)光重合性モノマーの含有割合は特に限定されるものではないが、(B)透明樹脂100質量部に対して、(A)光重合性モノマーが30〜150質量部であることが好ましく、30〜100質量部であることがより好ましく、40〜80質量部であることがさらに好ましい。30質量部以上とすることにより、パターン加工時の現像性及び感度を特に向上させることができ、150質量部以下とすることにより、無機材料表面との接着性を特に良好とすることができる。
【0033】
前記(B)透明樹脂を構成する、共重合体Aは、不飽和二重結合及びアルコキシシランを有する化合物とアルコキシシランを有しない不飽和二重結合を有する化合物から構成される。共重合体Aは、アルコキシシランを有する化合物から誘導される単位を含有することにより、該アルコキシシラン中のSi原子が金属や無機物で構成される無機材料表面(基板表面)の原子と相互作用し、接着性が向上すると考えられる。また、Si原子を含有することにより、感光性樹脂組成物を硬化させて得られる膜の硬度が高いものとなる。また、共重合体Aは、アルコキシシランを有しない化合物から誘導される単位を含有することにより、硬度と接着性のバランスを制御し易くなると考えられる。
【0034】
共重合体Aにおいて、不飽和二重結合及びアルコキシシランを有する化合物としては、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、不飽和二重結合及びアルコキシシランを有する化合物としては、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが好ましく、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。不飽和二重結合及びアルコキシシランを有する化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
また、共重合体Aにおいて、アルコキシシランを有しない不飽和二重結合を有する化合物としては、o−、m−、p−ビニル安息香酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、クロトン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノテトラヒドロフタレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノヘキサヒドロフタレート、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物などのカルボキシル基含有モノマー;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチロール(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等のアルキルアクリレートが挙げられる。なお、本発明において「(メタ)アクリル酸」及び「(メタ)アクリレート」とは、アクリル酸とメタクリル酸との両方を総称していう。これらの中でも(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルエチルモノフタレート、(メタ)アクリロイルエチルモノヘキサヒドロフタレート、(メタ)アクリロイルエチルモノテトラヒドロフタレート、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物などのカルボキシル基含有モノマー、などのカルボキシル基含有モノマーを共重合に用いることが好ましい。カルボキシル基等の極性基を有するモノマーは、アルカリ現像液等の現像液に対して比較的高い溶解性を有する。そのため、アルコキシシランを有しない不飽和二重結合を有する化合物としてカルボキシル基を含有するモノマーを用いることにより、アルカリ現像液に対する溶解性が比較的高い共重合体Aを得ることができる。このような共重合体Aを用いて、マスクを介した露光後にアルカリ現像を行うことによって、光が照射されて光重合により溶解性が低下した部分と、光が照射されておらず高い溶解性を有する部分との間で、より良好なパターンを形成することが可能となる。アルコキシシランを有しない不飽和二重結合を有する化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
共重合体Aにおいて、不飽和二重結合及びアルコキシシランを有する化合物から誘導される単位と、アルコキシシランを有しない不飽和二重結合を有する化合物から誘導される単位との含有割合は特に限定されるものではないが、該共重合体A中、不飽和二重結合及びアルコキシシランを有する化合物から誘導される単位が40〜90w%、より好ましくは50〜80w%であり、アルコキシシランを有しない不飽和二重結合を有する化合物から誘導される単位が60〜10w%、より好ましくは50〜20w%であることが好ましい。
【0037】
本発明における共重合体Aは、上記不飽和二重結合及びアルコキシシランを有する化合物と、アルコキシシランを有しない不飽和二重結合を有する化合物とを共重合することにより製造することができる。これら化合物の共重合の方法は特に限定されるものではなく、例えばAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)等の公知のラジカル重合開始剤を用いたラジカル重合等により行うことができる。
【0038】
前記(B)透明樹脂を構成する、共重合体Bは、不飽和二重結合とカルボン酸を有する化合物とカルボン酸を有しない不飽和二重結合を有する化合物から構成される。共重合体Bがカルボン酸を有する化合物から誘導される単位を含有することにより、上述した共重合体A中のカルボキシル基を有するモノマーと同様の理由により、本発明の感光性樹脂組成物を用いて良好なパターンを形成することが可能となる。また、共重合体Bは、カルボン酸を有しない化合物から誘導される単位を含有することにより、現像性と耐薬品性の制御をし易くなると考えられる。
【0039】
共重合体Bにおいて、不飽和二重結合とカルボン酸を有する化合物としては、o−、m−、p−ビニル安息香酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、クロトン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノテトラヒドロフタレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノヘキサヒドロフタレート、 (メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物などのカルボキシル基含有モノマーなどが挙げられる。これらの中でも、不飽和二重結合及びカルボン酸を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン付加物などのカルボキシル基含有モノマーが好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。不飽和二重結合及びカルボン酸を有する化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
また、共重合体Bにおいて、カルボン酸を有しない不飽和二重結合を有する化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチロール(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等のアルキルアクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどの脂環基を有する脂環基含有(メタ)アクリレート;ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートなどのアリール基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−グリシドキシブチル(メタ)アクリレート等のエポキシ含有(メタ)アクリレート;スチレン、メチルスチレンなどのスチレン誘導体;シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、ベンジルマレイミド等のマレイミド類が挙げられる。これらの中でも、グリシジル(メタ)アクリレート、2-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-グリシドキシブチル(メタ)アクリレート等のエポキシ含有(メタ)アクリレートを共重合に用いることが好ましい。エポキシ含有(メタ)アクリレートを用いることにより、後工程での加熱によりエポキシ基を開環反応させ、(B)透明樹脂を架橋することができるため、硬化性及びパターン加工性を特に良好とすることができる。カルボン酸を有しない不飽和二重結合を有する化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
また、スチレン、メチルスチレンなどのスチレン誘導体などの芳香環を含有する化合物を用いることで、より密着性に優れた硬化膜を作製できる。
【0042】
共重合体Bにおいて、不飽和二重結合及びカルボン酸を有する化合物から誘導される単位と、カルボン酸を有しない不飽和二重結合を有する化合物から誘導される単位との含有割合は特に限定されるものではないが、該共重合体B中、不飽和二重結合及びカルボン酸を有する化合物から誘導される単位が5〜35w%、より好ましくは8〜25w%であり、カルボン酸を有しない不飽和二重結合を有する化合物から誘導される単位が95〜50w%、より好ましくは95〜65w%、さらに好ましくは92〜65w%、より好ましくは92〜75w%であることが好ましい。
【0043】
本発明における共重合体Bは、上記不飽和二重結合及びカルボン酸を有する化合物と、カルボン酸を有しない不飽和二重結合を有する化合物とを共重合することにより製造することができる。これら化合物の共重合の方法は特に限定されるものではなく、例えばAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)等の公知のラジカル重合開始剤を用いたラジカル重合等により行うことができる。
【0044】
本発明の(B)透明樹脂における、共重合体Aと共重合体Bとの含有割合は特に限定されるものではないが、共重合体A:共重合体Bが、90:10〜10:90(質量比)であることが好ましく、25:75〜75:25(質量比)であることが特に好ましい。共重合体Aの割合を25以上とすることにより、耐高温・高湿性及び密着性を良好とすることができ、共重合体Bの割合を25以上とすることにより、耐アルカリ性及び密着性を良好とすることができる。
【0045】
前記(C)光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2−イソプロピルチオキサンソン等の硫黄化合物;ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等のアルキルフェノン類;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノン等のオキシムエステル類(オキシムエステル化合物);2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシフェニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシナフチル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン類等が挙げられる。
【0046】
なかでも、好適に用いられる前記(C)光重合開始剤として、高感度なオキシムエステル化合物がある。本発明においてオキシムエステル化合物とは、オキシムエステル基を構造内に有する化合物であって、具体的には2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノンがある。製品名としては、「OXE01」(BASFジャパン(株)製)が挙げられる。
光重合開始剤として、高感度且つ光透過性に優れる2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノンを用いることで、例えばソーダ石灰ガラス製のフォトマスクの使用に際して光重合開始剤を比較的多量用いる場合においても、硬化膜の透過率を向上させられる。
【0047】
(C)光重合開始剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明の感光性樹脂組成物における(C)光重合開始剤の含有割合は特に限定されるものではないが、(B)透明樹脂100質量部に対して、(C)光重合開始剤が5〜20質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることがより好ましく、5〜10質量部であることがさらに好ましく、8〜10質量部であることが特に好ましい。5質量部以上とすることにより、パターン加工時の感度を特に向上させることができ、20質量部以下とすることにより、透明性を特に良好とすることができる。
【0048】
前記(D)溶剤としては、メタノール、エタノール、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、ジグライム、シクロヘキサノン、エチルベンゼン、キシレン、酢酸イソアミル、酢酸n−アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコール、トリエチリングリコールモノメチルエーテル、トリエチリングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、液体ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エステル、メチルメトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネートなどが挙げられる。
【0049】
(D)溶剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物における(D)溶剤の含有割合は特に限定されるものではないが、全感光性樹脂組成物における固形分割合が20〜30質量%となるように用いることが好ましい。固形分割合を上記範囲内とすることにより、感光性樹脂組成物の粘度を適度なものとすることができ、無機材料(基板)上に塗布して膜を形成する際の塗工性が特に向上する。
【0050】
上述した本発明の感光性樹脂組成物は、タッチパネル用材料として用いることができる。具体的には、本発明の感光性樹脂組成物を含むタッチパネル用材料を基材上に塗布し、光を照射して硬化させることで、本発明の感光性樹脂組成物を含む膜を形成することができる。また、マスクを介して光を照射し、現像した後、必要に応じて加熱処理することにより、本発明の感光性樹脂組成物を含む膜をパターン加工することも可能である。
【0051】
本発明の感光性樹脂組成物を硬化させてなる膜は透明性に優れるため、タッチパネル用の膜として好適に用いることができる。タッチパネルにおける用途は特に限定されるものではないが、中でもタッチパネル用の保護膜又は絶縁膜として用いることが好ましく、タッチパネル保護膜として用いられることが特に好ましい。本発明の感光性樹脂組成物を硬化させてなる膜は、透明性に優れるため、タッチパネル用途に好適に用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物を硬化させてなるタッチパネル保護膜及びタッチパネル絶縁膜は、無機材料層表面と良好に接着するため、下層となる無機材料層表面にタッチパネル保護膜やタッチパネル絶縁膜を形成した際の、機械的強度を高めることができる。また、本発明のタッチパネル保護膜及びタッパネル絶縁膜は、熱及び薬品耐性、並びに高温高湿条件下における耐性を有するため、これらの膜がタッチパネル製造工程において熱や薬品に晒された場合や、製造後のタッチパネルが高温高湿下に置かれた場合であっても、良好に機能することが可能となる。さらに、本発明のタッチパネル保護膜及びタッチパネル絶縁膜は、パターン加工性を有するため、所望のパターンを有する保護膜や絶縁膜を製造することができる。
【0052】
本発明の感光性樹脂組成物を用いるタッチパネルの種類は特に限定されるものではないが、静電容量式のタッチパネルであることが好ましく、静電容量式且つ投影型のタッチパネルであることが特に好ましい。
【0053】
本発明の感光性樹脂組成物を用いた静電容量式(投影型)タッチパネルの一構成について以下に詳細に説明する。なお、本発明のタッチパネルはその要旨を超えない限り以下の構成に限定されるものではない。
【0054】
図1は、本発明の一例のタッチパネルの要部を示す断面図であり、図2は本発明のタッチパネルの要部を、保護膜を透視して示す平面図である。本発明のタッチパネルは基板1上に透明電極2、金属配線3、絶縁膜4および透明電極2にて導通しているパターンと直交する配列を接続するための透明電極あるいは金属電極5を有する。絶縁膜4は透明電極2にて形成された導通パターンと直交する配列のパターンを接続する際に両パターンの導通を防止するために配設されている。また、本発明のタッチパネルはさらに、保護膜6を有することもできる。
【0055】
基板1としては、特に限定されるものではないが、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などからなるプラスチック板、プラスチックフィルムが用いられる。
【0056】
透明電極2としては、基板1表面に配設することができるものであれば特に限定されるものではないが、ITO(酸化インジウムスズ)、ZnO(酸化亜鉛)などの無機導電材料、PEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸)、ポリアニリン、ポリピロールなどの有機導電材料を用いることができる。これら材料は1種のみで用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、透明電極2としては、ITOを用いることが好ましい。金属配線3としては、Mo(モリブデン)、Al(アルミニウム)、Ag(銀)、Pd(パラジウム)などの金属材料を用いることができ、Mo及びAlのいずれか一方以上を用いることが好ましい。透明電極あるいは金属電極5としては、透明電極2の材料や金属配線3の材料と同様のものを用いることができる。
【0057】
本発明のタッチパネルにおいて、絶縁膜4又は保護膜6の少なくともいずれか一方は、本発明の感光性樹脂組成物を含むタッチパネル用材料を硬化させてなるものである。いずれか他方は、従来絶縁膜や保護膜に用いられていた公知の材料を用いて形成されてもよいが、絶縁膜4及び保護膜6の両方が本発明のタッチパネル用材料を硬化させてなるものであることが好ましい。本発明のタッチパネル用材料を静電容量式且つ投影型のタッチパネルに用いることにより、上述したような効果を有するタッチパネルを得ることができる。
【0058】
静電容量式且つ投影型のタッチパネルにおいて、本発明のタッチパネル用材料からなる膜を形成する方法は特に限定されるものではないが、例えば、下層(例えば、絶縁膜4であれば、基材1及び透明電極2であり、保護膜6であれば、透明電極2、金属配線3及び金属電極5)上にスプレーコートやスピンコート、スリットダイコート、ロールコート、バーコート等の塗布方法により、保護膜であれば乾燥膜厚が0.5〜20μm、より好ましくは1.0〜10μmとなるように、絶縁膜であれば乾燥膜厚が0.2〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmとなるように、上記感光性樹脂組成物を塗布する。必要により乾燥された膜には、必要に応じてこの膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して露光を行う。露光の際の光線の種類は特に限定されるものではなく、可視光線、紫外線、遠赤外線、電子線、X線等が挙げられ、中でも紫外線が好ましい。光線の照度は特に限定されるものではないが、365nmにおいて5〜150mW/cm2 であることが好ましく、15〜35mW/cm2 であることが特に好ましい。その後、必要に応じて炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウム等の水性アルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成する。さらに、感光性組成物の重合を促進して硬膜するため、それぞれ必要に応じて加熱(ポストベーキング)を施す。
【実施例】
【0059】
以下に、本発明に係る実施例を示す。なお、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0060】
<合成例1>
撹拌機を備えたフラスコに2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)4質量部およびシクロヘキサノン200質量部を仕込み、引き続きメタクリル酸25質量部、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン75質量部を仕込んで窒素置換したのち、ゆるやかに撹拌して、反応溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を8時間保持し、反応させた。次いで、反応溶液の温度を室温まで下げて、共重合体(A)を含む重合体溶液(固形分濃度=20.0質量%)を得た。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによればこの共重合体の分子量は10,000であった。この共重合体を「共重合体(A)」とする。
【0061】
<合成例2>
撹拌機を備えたフラスコに2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)4質量部およびシクロヘキサノン200質量部を仕込み、引き続きメタクリル酸25質量部、グリシジル(メタ)アクリレート25質量部、シクロヘキシルマレイミド50質量部を仕込んで窒素置換したのち、ゆるやかに撹拌して、反応溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を8時間保持し、反応させた。次いで、反応溶液の温度を室温まで下げて、共重合体(B)を含む重合体溶液(固形分濃度=30.0質量%)を得た。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによればこの共重合体の分子量は5,000であった。この共重合体を「共重合体(B)」とする。
【0062】
<合成例3>
撹拌機を備えたフラスコに2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)4質量部およびシクロヘキサノン200質量部を仕込み、引き続きγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン30質量部、メタクリル酸25質量部、グリシジル(メタ)アクリレート15質量部、シクロヘキシルマレイミド30質量部を仕込んで窒素置換したのち、ゆるやかに撹拌して、反応溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を8時間保持し、反応させた。次いで、反応溶液の温度を室温まで下げて、共重合体(C)を含む重合体溶液(固形分濃度=30.0質量%)を得た。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによればこの共重合体の分子量は5,000であった。この共重合体を「共重合体(C)」とする。
【0063】
<合成例4>
撹拌機を備えたフラスコに2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)4質量部およびシクロヘキサノン200質量部を仕込み、引き続きメタクリル酸25質量部、グリシジル(メタ)アクリレート25質量部、ベンジルマレイミド50質量部を仕込んで窒素置換したのち、ゆるやかに撹拌して、反応溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を8時間保持し、反応させた。次いで、反応溶液の温度を室温まで下げて、共重合体(B)を含む重合体溶液(固形分濃度=30.0質量%)を得た。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによればこの共重合体の分子量は5,000であった。この共重合体を「共重合体(D)」とする。
【0064】
<実施例1>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部、(B)透明樹脂として共重合体Aと共重合体Bとの75/25(質量比)混合物を固形分で100質量部、(C)光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン10質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0065】
<実施例2>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部、(B)透明樹脂として共重合体Aと共重合体Bとの25/75(質量比)混合物を固形分で100質量部、(C)光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン10質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0066】
<比較例1>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部、(B)透明樹脂として共重合体Aを固形分で100質量部、(C)光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン10質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0067】
<比較例2>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部、(B)透明樹脂として共重合体Bを固形分で100質量部、(C)光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン10質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0068】
<比較例3>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部、(B)透明樹脂として共重合体Cを固形分で100質量部、(C)光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン10質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0069】
(1)透明性評価
上記感光性樹脂組成物をスピンコート法によりソーダ石灰ガラス基板上に塗布し、90℃のホットプレート上で2分間プレベークして塗膜を形成し、超高圧水銀灯の光を150mJ/cm照射した(365nmにおける照度:30mW/cm)。その後アルカリ現像液により60秒現像を行い、235℃で20分間加熱することにより、膜厚2.0μmの塗膜を得た。
上記のようにして作製した塗膜を有する基板について、分光光度計(U−4000((株)日立ハイテクノロジーズ製))を用いて400〜800nmの分光透過率を測定した。400nmにおける透過率を表に示している。400nmにおける透過率が96%以上の場合に塗膜の透明性は良好と言える。
【0070】
(2)鉛筆硬度評価
上記(1)透明性評価と同様に塗膜を有する基板を作製し、JIS K5600−5−4のひっかき硬度(鉛筆法)により鉛筆硬度を評価した。傷跡を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を表1に示す。
【0071】
(3)密着性評価
基板にソーダ石灰ガラス基板、ITO膜を有した基板、モリブデン膜を有した基板の3種類を使用して上記(1)透明性評価と同様の方法にて塗膜を有する基板を作製した。このようにして作製した塗膜を形成した基板を用いて、JIS K5600−5−6のクロスカット法により塗膜の密着性を評価した。碁盤目100個中、残った塗膜の面積の割合を示した。この値を表1に示す。
【0072】
(4)耐アルカリ密着性評価
上記(3)密着性評価と同様に塗膜を有する基板を作製し、その後基板を40℃の5wt%KOH水溶液へ10分間浸漬した。浸漬後の基板を水洗、乾燥させた後、JIS K5600−5−6のクロスカット法により塗膜の密着性を評価した。碁盤目100個中、残った塗膜の面積の割合を示した。この値を表1に示す。
【0073】
(5)耐高温高湿密着性評価
上記(3)密着性評価と同様に塗膜を有する基板を作製し、その後基板を60℃90%RHの恒温恒湿槽に100時間静置した。その後取り出した基板について、JIS K5600−5−6のクロスカット法により塗膜の密着性を評価した。碁盤目100個中、残った塗膜の面積の割合を示した。この値を表1に示す
【0074】
(6)パターン加工性評価
実施例1〜2および比較例1〜3の感光性樹脂組成物をスピンコート法によりソーダ石灰ガラス基板上に塗布し、90℃のホットプレート上で2分間プレベークして塗膜を形成し、寸法の異なるパターンを有するフォトマスクを介して超高圧水銀灯の光を150mJ/cm照射した(365nmにおける照度:30mW/cm)。その後アルカリ現像液により60秒現像を行い未露光部を除去し、235℃で20分間加熱することにより、膜厚2.0μmの塗膜を得た。上記のようにして作製したパターンを有する塗膜のマスク開口5〜100μm(ライン&スペース)の部分の顕微鏡観察を行い、解像された最小パターン寸法(最小解像寸法)を表1に示す。
上記パターン加工性評価に用いられたフォトマスクは石英ガラスである。
【0075】
【表1】

【0076】
上記(6)パターン加工性評価を、ソーダ石灰ガラス製フォトマスクを用いて行った。結果を表2に示す。
【0077】
(7)パターン残膜率評価
実施例1〜2および比較例1〜3の感光性樹脂組成物をスピンコート法によりソーダ石灰ガラス基板上に塗布し、90℃のホットプレート上で2分間プレベークして塗膜を形成し、材質がソーダ石灰ガラスであるフォトマスクを介して超高圧水銀灯の光を150mJ/cm照射した(365nmにおける照度:30mW/cm)。フォトマスクは、130μm×5.5cmの長方形光透過部が、ギャップ500μmで120本並んだものを使用した。
その後アルカリ現像液により60秒現像を行い未露光部を除去し、235℃で20分間加熱することにより、膜厚2.0μmの塗膜を得た。
上記のようにして作製したパターンを有する塗膜の、コート膜厚に対する残膜率を表2に示す。
【0078】
(8)耐強アルカリ密着性評価
上記(3)密着性評価と同様に塗膜を有する基板を作製し、その後基板を、40℃のPH14のKOH水溶液へ10分間浸漬した。作製に用いたフォトマスクの材質はソーダ石灰ガラスである。浸漬後の基板を水洗、乾燥させた後、JIS K5600−5−6のクロスカット法により塗膜の密着性を評価した。碁盤目100個中、残った塗膜の面積の割合を示した。この値を表2に示す。残った塗膜の面積が50以上であれば、密着性は良好であるといえる。
【0079】
(9)経時安定性評価
実施例1〜2および比較例1〜3の感光性樹脂組成物を空隙率10%となるようにガラス製サンプル瓶に取り分け、40℃で7日間放置した。加温前後で粘度を評価し、増粘率を算出した。結果を表2に示す。(増粘率0〜5%:○、5〜10%:△、10%以上:×)
【0080】
【表2】

【0081】
<評価結果>
表1の結果から、実施例1および実施例2においてソーダ石灰ガラス基板、ITO膜を有した基板、モリブデン膜を有した基板のいずれとも密着性良好であり、鉛筆硬度、透過率、耐アルカリ性、耐高温高湿性、パターン加工性に優れている塗膜を得ることができた。
また、表2の結果から、実施例1および実施例2において、パターン加工性、パターン残膜率、耐強アルカリ性に優れている塗膜、及び経時安定性に優れている感光性樹脂組成物を得ることができた。
【0082】
<実施例3>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部、(B)透明樹脂として共重合体Aと共重合体Dとの25/75(質量比)混合物を固形分で100質量部、(C)光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン10質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0083】
<実施例4>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性モノマーとしてビスフェノールA EO付加物ジアクリレートとして「V#700」(大阪有機化学工業(株)製)を50質量部(B)透明樹脂として共重合体Aと共重合体Dとの25/75(質量比)混合物を固形分で100質量部、(C)光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン10質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0084】
<実施例5>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性化合物として5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサンジアクリレートとして「R−604」(日本化薬(株)製)を50質量部、(B)透明樹脂として共重合体Aと共重合体Dとの25/75(重量比)混合物100質量部、(C)光重合性開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン10質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0085】
<実施例6>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性化合物としてヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレートとして「FM−400」(日本化薬(株)製)を50質量部、(B)透明樹脂として共重合体Aと共重合体Dとの25/75(重量比)混合物100質量部、(C)光重合性開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン10質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0086】
<実施例7>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性化合物としてビスフェノ−ルF4モルエチレンオキサイド付加体ジアクリレートとして「R−712」(日本化薬(株)製)を50質量部、(B)透明樹脂として共重合体Aと共重合体Dとの25/75(重量比)混合物100質量部、(C)光重合性開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン10質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0087】
<実施例8>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性化合物としてビスフェノールA EO付加物ジアクリレートとして「V#700」(大阪有機化学工業(株)製)を50質量部、(B)透明樹脂として共重合体Aと共重合体Dとの25/75(重量比)混合物100質量部、(C)光重合性開始剤として2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノンとして「OXE01」(BASFジャパン(株)製)を8質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0088】
<実施例9>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性化合物としてビスフェノールA EO付加物ジアクリレートとして「V#700」(大阪有機化学工業(株)製)を50質量部、(B)透明樹脂として共重合体Aと共重合体Dとの50/50(重量比)混合物100質量部、(C)光重合性開始剤として2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノンとして「OXE01」(BASFジャパン(株)製)を8質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0089】
<実施例10>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性化合物としてビスフェノールA EO付加物ジアクリレートとして「V#700」(大阪有機化学工業(株)製)を50質量部、(B)透明樹脂として共重合体Aと共重合体Dとの75/25(重量比)混合物100質量部、(C)光重合性開始剤として2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノンとして「OXE01」(BASFジャパン(株)製)を8質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0090】
<実施例11>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性化合物としてビスフェノールA EO付加物ジアクリレートとして「V#700」(大阪有機化学工業(株)製)を30質量部、(B)透明樹脂として共重合体Aと共重合体Dとの25/75(重量比)混合物100質量部、(C)光重合性開始剤として2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノンとして「OXE01」(BASFジャパン(株)製)を8質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0091】
<実施例12>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性化合物としてビスフェノールA EO付加物ジアクリレートとして「V#700」(大阪有機化学工業(株)製)を50質量部、(B)透明樹脂として共重合体Aと共重合体Dとの25/75(重量比)混合物100質量部、(C)光重合性開始剤として2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノンとして「OXE01」(BASFジャパン(株)製)を10質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0092】
<実施例13>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性化合物としてビスフェノールA EO付加物ジアクリレートとして「V#700」(大阪有機化学工業(株)製)を50質量部、(B)透明樹脂として共重合体Aと共重合体Dとの25/75(重量比)混合物100質量部、(C)光重合性開始剤として2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノンとして「OXE01」(BASFジャパン(株)製)を5質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0093】
<比較例4>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性化合物としてビスフェノールA EO付加物ジアクリレートとして「V#700」(大阪有機化学工業(株)製)を50質量部、(B)透明樹脂と共重合体A100質量部、(C)光重合性開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン10質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0094】
<比較例5>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性化合物としてビスフェノールA EO付加物ジアクリレートとして「V#700」(大阪有機化学工業(株)製)を50質量部、(B)透明樹脂として共重合体B100質量部、(C)光重合性開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン10質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0095】
<比較例6>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性化合物としてビスフェノールA EO付加物ジアクリレートとして「V#700」(大阪有機化学工業(株)製)を50質量部、(B)透明樹脂として共重合体C100質量部、(C)光重合性開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン10質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0096】
<比較例7>
<感光性樹脂組成物の調製>
(A)光重合性化合物としてビスフェノールA EO付加物ジアクリレートとして「V#700」(大阪有機化学工業(株)製)を50質量部、(B)透明樹脂として共重合体D100質量部、(C)光重合性開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン10質量部、(D)溶剤としてシクロヘキサノン450質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部を混合して、感光性樹脂組成物を調整した。
【0097】
実施例3〜13および比較例4〜7の感光性樹脂組成物を用い、且つ材質が石英ガラスのフォトマスクに替えて、材質がソーダ石灰ガラスのフォトマスクを用いた以外は前記同様にして、(1)透明性評価、(2)鉛筆硬度評価、(3)密着性評価、(4)耐アルカリ密着性評価、(5)耐高温高湿密着性評価、(6)パターン加工性評価、(7)耐強アルカリ性評価、(8)パターン残膜率評価、(9)経時安定性評価を行った。評価結果を表3〜4に示す。
【0098】
【表3】

【0099】
【表4】

【0100】
<評価結果>
実施例3〜13においてソーダ石灰ガラス基板、ITO膜を有した基板、モリブデン膜を有した基板のいずれとも密着性が良好であり、鉛筆硬度、透過率、耐アルカリ性、耐高温高湿性、パターン加工性、パターン残膜率、経時安定性が良好であった。また耐強アルカリ密着性については実施例4、実施例8〜13において優れた硬化膜を得ることができた。
さらに、実施例8〜11、13においては開始剤の種類を「OXE01」にすることにより、透過率がより優れた硬化膜を得ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)光重合性モノマー、(B)透明樹脂、(C)光重合開始剤及び(D)溶剤を含有する感光性組成物であって、前記(B)透明樹脂に、不飽和二重結合及びアルコキシシランを有する化合物とアルコキシシランを有しない不飽和二重結合を有する化合物との共重合体Aと、不飽和二重結合及びカルボン酸を有する化合物とカルボン酸を有しない不飽和二重結合を有する化合物との共重合体Bとの混合物を用いることを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)光重合性モノマーが、分子内に2つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物を少なくとも1つ含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)光重合性モノマーが、ビスフェノールA骨格を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記共重合体Aを構成するアルコキシシランを有しない不飽和二重結合を有する化合物がカルボン酸を有し、且つ前記共重合体Bを構成するカルボン酸を有しない不飽和二重結合を有する化合物がエポキシ基を有することを必須とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記共重合体Aを構成するアルコキシシランを有しない不飽和二重結合を有する化合物が共重合体Aのうち60〜10w%であり、且つ前記共重合体Bを構成するカルボン酸を有しない不飽和二重結合を有する化合物が共重合体Bのうち95〜65w%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(C)光重合性開始剤が、オキシムエステル化合物である請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(C)光重合性開始剤が、2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノンである請求項6に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を含むタッチパネル用材料。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を硬化させてなるタッチパネル保護膜。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を硬化させてなるタッチパネル絶縁膜。
【請求項11】
請求項9に記載のタッチパネル保護膜又は請求項10に記載のタッチパネル絶縁膜の少なくともいずれか一方を用いて作製したタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−64973(P2013−64973A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−19014(P2012−19014)
【出願日】平成24年1月31日(2012.1.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000205638)大阪有機化学工業株式会社 (101)
【Fターム(参考)】