説明

感光性樹脂組成物

【課題】印刷配線板、リードフレーム、半導体パッケージ等の製造、金属の精密加工等の分野において、エッチングレジスト又はめっきレジスト等のレジスト材料として優れた高解像性を有する光重合性樹脂組成物の提供。
【解決手段】(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5千〜50万のバインダー用樹脂:20〜90質量%、(b)光重合可能な不飽和基含有化合物:3〜70質量%、及び(c)光重合開始剤:0.1〜20質量%を含有する感光性樹脂組成物であって、前記(b)光重合可能な不飽和基含有化合物としてシルセスキオキサン化合物を含有することを特徴とする前記感光性樹脂組成物。前記シルセスキオキサン化合物は、好ましくはかご状シルセスキオキサンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、及び感光性樹脂積層体に関し、更に詳しくはプリント回路板、リードフレーム、半導体パッケージ等製造に適したアルカリ現像可能な感光性樹脂組成物、及び感光性樹脂積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコンや携帯電話等に用いられる電子機器の軽薄短小化が加速し、これに搭載されるプリント配線板やリードフレーム、BGA、CSP等のパッケージには狭ピッチのパターンが要求されている。印刷配線板、リードフレーム、半導体パッケージ等の製造、金属の精密加工等の分野において、エッチングレジスト又はめっきレジスト等のレジスト材料として光重合性樹脂組成物、及びそれを用いたドライフィルムレジストを使用することが知られている。ドライフィルムレジストは、一般に支持体上に光重合性樹脂組成物層を積層し、さらに該光重合性樹脂組成物層上に必要により保護層を積層することにより調製される。ここで用いられる光重合性樹脂組成物層としては、現在、現像液として弱アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像型のものが一般的である。
【0003】
ドライフィルムレジスト用積層体を用いて印刷配線板を作成するには、まず保護層を剥離した後、銅張積層板やフレキシブル基板等の永久回路作成用基板上にラミネーター等を用いドライフィルムレジストを積層し、配線パターンマスクフィルム等を通し露光を行う。次に必要に応じて支持体を剥離し、現像液により未露光部分の光重合性樹脂層を溶解又は分散除去し、基板上にレジストパターンを形成させる。
【0004】
レジストパターン形成後、回路を形成させるプロセスは大きく2つの方法に分かれる。
第一の方法は、レジストパターンによって覆われていない銅張り積層板等の銅面をエッチング除去した後、レジストパターン部分を現像液よりも強いアルカリ水溶液で除去する方法である。この場合、工程の簡便さから、貫通孔(スルーホール)を硬化膜で覆いその後エッチングする方法(テンティング法)が多用されている。
第二の方法は同上の銅面上に銅めっき処理を施し、必要であれば更に半田、ニッケル、錫等のめっき処理を行った後、同様にレジストパターン部分の除去、さらに現れた銅張り積層板等の銅面をエッチングする方法(めっき法)である。エッチングには塩化第二銅、塩化第二鉄、銅アンモニア錯体溶液、硫酸/過酸化水素水溶液等の酸性エッチング液が用いられる。
いずれの方法を使用する場合においても、狭ピッチのパターンを歩留り良く製造する為に、ドライフィルムレジスト用積層体には高解像性が要求されてきた。
【0005】
レジストの解像性に関しては、例えば特定のカルボキシル基含有バインダー成分(以下、特許文献1参照)を含有する方法が提案されているが、特に高度な解像度が要求される半導体パッケージ等の製造分野での使用には検討の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−110008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上記問題点を克服し、印刷配線板、リードフレーム、半導体パッケージ等の製造、金属の精密加工等の分野において、エッチングレジスト又はめっきレジスト等のレジスト材料として特に優れた高解像性と高密着性を有し、更にレジスト剥離性にも優れた光重合性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討し、実験を重ねた結果、予想外に、(b)光重合可能な不飽和化合物としてシルセスキオキサン化合物を使用すると、解像性が大幅に向上することを発見し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1](a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5千〜50万のバインダー用樹脂:20〜90質量%、(b)光重合可能な不飽和基含有化合物:3〜70質量%、及び(c)光重合開始剤:0.1〜20質量%を含有する感光性樹脂組成物であって、前記(b)光重合可能な不飽和基含有化合物としてシルセスキオキサン化合物を含有することを特徴とする前記感光性樹脂組成物。
【0010】
[2]前記シルセスキオキサン化合物が、かご状シルセスキオキサンである、前記[1]に記載の感光性樹脂組成物。
【0011】
[3]前記シルセスキオキサン化合物の不飽和基が、(メタ)アクリロイル基である、前記[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
【0012】
[4]前記(b)光重合可能な不飽和基含有化合物として、下記一般式(1):
【化1】

{式中、R1、及びR2は、互いに独立に、H又はCH3 であり、Aは、C24であり 、Bは、C36であり、n1 +n2 は、2〜30の整数であり、n3 +n4 は、0〜30の整数であり、n1 、及びn2 は、1〜29の整数であり、n3 、及びn4 は、0〜29の整数であり、そして−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。}で表される化合物を含有する、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【0013】
[5]前記(c)光重合開始剤が、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【0014】
[6]支持体上に前記[1]〜[5]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる層を設けた感光性樹脂積層体。
【0015】
[7]前記[6]に記載の感光性樹脂積層体を用いて基板上に感光性樹脂層を形成する工程、該感光性樹脂層を露光する工程、及び露光した感光性樹脂層を現像する工程を含むレジストパターンの形成方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光重合性樹脂組成物は、印刷配線板、リードフレーム、半導体パッケージ等の製造、金属の精密加工等の分野においてエッチングレジスト又はめっきレジスト等のレジスト材料として優れた高解像性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(b)光重合可能な不飽和基含有化合物としてシルセスキオキサン化合物を含有することを特徴とする。シルセスキオキサン化合物を含有することにより、解像力が極めて優れた感光性樹脂を得ることができる。
【0018】
本発明におけるシルセスキオキサン化合物とは、構造中に(RSiO2/3なる部分構造Aを持つ化合物をいう。ここで、nは自然数をあらわす。Rは、炭素数1以上30以下の官能基、水素原子、ハロゲン原子であり、互いに同じであっても、異なっていてもよい。本発明における炭素数1以上30以下の官能基には、脂肪族飽和炭化水素基、脂肪族不飽和炭化水素基、環状構造を含む官能基、オルガノシロキサン基、それらを組み合わせた基などが挙げられる。本発明において、該炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基等のヘテロ原子、シラノール基等の金属原子を含む官能基を有していてもよい。
【0019】
上記脂肪族飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの第一級炭化水素基、イソブチル基、イソペンチル基などの第二級炭化水素基、t−ブチル基などの第三級炭化水素基などが挙げられる。
上記脂肪族不飽和炭化水素基としては、アクリロイル基、ビニル基、アリル基などの二重結合を含む炭化水素基、エチニル基などの三重結合を含む炭化水素基などが挙げられる。
【0020】
上記環状構造を含む官能基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロデシル基、シクロオクチル基などの単環式官能基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの多環式官能基、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、テトラヒドロフラン、ジオキサン構造を有する複素環式官能基、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環構造を含む芳香族炭化水素基などが挙げられる。
【0021】
上記炭素数1以上30以下の官能基は、ハロゲン原子、ヘテロ原子、金属原子を含むことができる。本発明におけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。また、本発明におけるヘテロ原子としては、酸素、硫黄、窒素、リンが挙げられる。また、本発明における金属原子としては、ケイ素やチタンが挙げられる。
【0022】
本発明におけるシルセスキオキサン化合物の構造中に上記部分構造Aの占める割合は、10質量%以上100質量%以下が好ましく、50質量%以上100質量%以下がより好ましい。
本発明に用いるシルセスキオキサン化合物の重量平均分子量は500以上500,000以下が好ましい。重量平均分子量が500,000を超える場合は、解像度が低下する傾向がある。
【0023】
本発明の感光性樹脂組成物中のシルセスキオキサン化合物の含有量は、解像度の観点から、1質量%〜50質量%であることが好ましく、2質量%〜30質量%がより好ましく、また、現像時間の観点から、2質量%〜15質量%がさらに好ましい。
【0024】
本発明におけるシルセスキオキサン化合物は、光重合可能な不飽和基を含有する。該不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリロイル基が、感度の観点から特に好ましい。該不飽和基の数としては、珪素原子16個に対して、不飽和基1個であることが好ましい。
【0025】
本発明におけるシルセスキオキサン化合物の構造としては、かご型シルセスキオキサン、不定形シルセスキオキサン、グラフト型シルセスキオキサンなどが挙げられる。該不定形シルセスキオキサンとは、前記部分構造Aが規則構造をもたず、不規則に成長した構造をいう。例えば、(RSiO1/2・(RSiO)・(SiO・(RSiO3/2のようにいわゆるM構造、D構造、Q構造と共重合した不定形構造も本発明におけるシルセスキオキサン化合物の一例として挙げられる(ここでx、y、及びzは、ゼロ以上の整数を表すわす)。また、該グラフト型シルセスキオキサン化合物とは、直鎖状又は分岐状の主鎖に側鎖として部分構造Aをグラフトした構造をいう。
【0026】
本発明におけるシルセスキオキサン化合物としては、解像度の観点から、かご状シルセスキオキサン化合物が好ましい。
本発明におけるかご状シルセスキオキサン化合物とは、下記一般式(2):
(RSiO3/2 ...(2)
{式中、Rは、炭素数1以上30以下の官能基、水素原子又はハロゲン原子であり、互いに同じであっても異なっていてもよく、そしてnは、6以上の整数である。}で表されるかご状シルセスキオキサン、及び/又は下記一般式(3):
(RSiO3/2(RXSiO) ...(3)
{式中、Rは、炭素数1以上30以下の官能基、水素原子又はハロゲン原子であり、互いに同じであっても異なっていてもよく、Xは、R、OR、OH、及びハロゲンから成る群から選ばれる基であり、複数のXは、同じであっても異なっていてもよく又は互いに連結して連結構造を形成してもよく、lは、2以上12以下の整数であり、そしてkは、2又は3である。}で表されるかご状シルセスキオキサンの部分開裂構造体をいう。
【0027】
上記一般式(2)で表されるかご状シルセスキオキサンとしては、n=6の場合、下記一般式(4):
【化2】

で表される構造、n=8の場合、下記一般式(5):
【化3】

で表される構造、n=10の場合、下記一般式(6):
【化4】

で表される構造、n=12の場合、下記一般式(7):
【化5】

で表される構造、n=14の場合、下記一般式(8):
【化6】

で表される構造が挙げられる。これら構造において、Rは、上記式(2)と同意である。
【0028】
また、上記一般式(3)で表されるかご状シルセスキオキサンとしては、l=4かつk=3の場合、下記一般式(9):
【化7】

で表される構造、l=6かつk=2の場合、下記一般式(10):
【化8】

で表される構造又は下記一般式(11):
【化9】

で表される構造、l=4かつk=4の場合、下記一般式(12):
【化10】

で表される構造が挙げられる。
【0029】
本発明において、(b)光重合可能な不飽和基含有化合物として、シルセスキオキサン化合物に加えて、下記一般式(1)、及び(13)〜(15)で表される化合物を使用することができる。
【0030】
本発明において、(b)光重合可能な不飽和基含有化合物として、下記一般式(1):
【化11】

{式中、R1、及びR2は、互いに独立に、H又はCH3 であり、Aは、C24であり 、Bは、C36であり、n1 +n2 は、2〜30の整数であり、n3 +n4 は、0〜30の整数であり、n1 、及びn2 は、1〜29の整数であり、n3 、及びn4 は、0〜29の整数であり、そして−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。}で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の光重合可能な不飽和化合物を含有することは、解像度の観点から本発明の好ましい実施態様である。
【0031】
本発明に用いられる上記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モルのプロピレンオキサイドと平均6モルのエチレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジメタクリレートや、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均5モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルBPE−500)がある。解像度の観点から、感光性樹脂組成物中の上記一般式(1)で表される化合物の含有量は1質量%〜50質量%であることが好ましい。
【0032】
【化12】

{式中、R3 及びR4は、H又はCH3 であり、これらは同一であっても相違してもよく、そしてn5 、n6及びn7は、3〜20の整数である。}。
上記一般式(13)で表される化合物は、式中、n5 、n6及びn7が3よりも小さいと当該化合物の沸点が低下して、レジストの臭気が強くなり、使用が困難になり、一方、n5 、n6及びn7が20を超えると単位重量あたりの光活性部位の濃度が低くなるため、実用的感度が得られない。
【0033】
本発明に用いられる上記一般式(13)で表される化合物の具体例としては、例えば、平均12モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキサイドをさらに両端にそれぞれ平均3モル付加したグリコールのジメタクリレートが挙げられる。
【0034】
【化13】

{式中、R5は、炭素数4〜12のジイソシアナート残基であり、R6及びR7は、H又はCH3 であり、これらは同一であっても相違してもよく、そしてm、m、m及びmは、0〜15の整数であり、−(OCm1−(OCm3−及び−(OCm2−(OCm4−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよく、ブロックの場合、どちらがアクリロイル基側であってもよい。}。
【0035】
上記一般式(14)で表される化合物は、m、m、m及びmが、15を超えると十分な感度が得られない。
本発明に用いられる上記一般式(14)で表される化合物の具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、一分子中にヒドロキシル基と(メタ)アクリル基を有する化合物(2−ヒドロキシプロピルアクリレート、オリゴプロピレングリコールモノメタクリレート、オリゴエチレングリコールモノメタクリレート、オリゴエチレンプロピレングリコールモノメタクリレート等)とのウレタン化合物等が挙げられる。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPP1000)との反応物、ヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPE−200)との反応物、ヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴエチレンプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマー70PEP−350B)との反応物がある。ここで、ジイソシアナート残基とは、原料となるジイソシアナート化合物に由来するウレタン結合を含む。
【0036】
【化14】

{式中、R8は、H又はCH3であり、R9は、水素原子又は炭素数1〜14のアルキル基であり、A’は、C24であり 、B’は、C36であり 、m5 は、1〜12であり、m6 は、0〜12であり、m7 は、1〜3の整数であり、−(A’−O)−及び−(B’−O)−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。}。
【0037】
上記一般式(15)で表される化合物は、m5 及びm6 が、12を超えると充分な感度が得られず、一方、m7 が、14を超えても十分な感度が得られない。
【0038】
本発明に用いられる一般式(15)で表される化合物の具体例としては、例えば、平均2モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールと平均7モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールをノニルフェノールに付加した化合物のアクリレートである4−ノルマルノニルフェノキシヘプタエチレングリコールジプロピレングリコールアクリレートが挙げられる。平均8モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールをノニルフェノールに付加した化合物のアクリレートである4−ノルマルノニルフェノキシオクタエチレングリコールアクリレート(東亞合成(株)製、M−114)も挙げられる。
【0039】
本発明に用いられる(b)光重合可能な不飽和化合物として、上記以外に下記に示される光重合可能な不飽和化合物を同時に併用することもできる。例えば、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1、4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、またポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート及び、β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルキシ)プロピルフタレート等が挙げられる。
【0040】
(b)光重合可能な不飽和化合物の、感光性樹脂組成物全体に対する割合は、3〜70質量%の範囲である。この割合が、3質量%未満では感度の点で十分ではなく、一方、70質量%を越えると保存時の光重合性層のはみ出しが著しくなるため好ましくない。好ましくは10〜60質量%、より好ましくは15〜55質量%である。
【0041】
次に(a)バインダー用樹脂について説明する。
本発明に用いられる(a)バインダー用樹脂に含まれるカルボキシル基の量は、酸当量で100〜600である必要があり、好ましくは300〜400である。酸当量とは、その中に1当量のカルボキシル基を有する重合体の質量をいう。
【0042】
重合体中のカルボキシル基は、感光性樹脂層にアルカリ水溶液に対する現像性や剥離性を与えるために必要である。酸当量が100未満では、現像耐性が低下し、解像性及び密着性に悪影響を及ぼし、一方、600を超えると、現像性及び剥離性が低下する。酸当量の測定は、平沼産業(株)製平沼自動滴定装置(COM−555)を使用し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムを用いて電位差滴定法により行われる。
【0043】
本発明に用いられる(a)バインダー用樹脂の重量平均分子量は、5千〜50万である必要がある。重量平均分子量が、50万を超えると現像性が低下し、一方、5千未満ではテンティング膜強度が低下し、エッジフューズが著しくなる。プロジェクション露光機を使用してi線単色露光した際の解像度が向上するという点から、重量平均分子量は1万〜4万が好ましい。
【0044】
重量平均分子量は、日本分光(株)製ゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプルによる検量線使用)により重量平均分子量(ポリスチレン換算)として求められる。
【0045】
本発明に用いられる(a)バインダー用樹脂は、下記の2種類の単量体の中より、各々一種又はそれ以上の単量体を共重合させることにより得られる。
第一の単量体は、分子中に重合性不飽和基を一個有するカルボン酸又は酸無水物である。例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル等が挙げられる。
【0046】
第二の単量体は、非酸性で、分子中に重合性不飽和基を一個有し、感光性樹脂層の現像性、エッチング及びめっき工程での耐性、硬化膜の可とう性等の種々の特性を保持するように選ばれる。このようなものとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。また、高解像度の点でフェニル基を有するビニル化合物(例えば、スチレン)を用いることは本発明の好ましい実施態様である。
【0047】
本発明に用いられる(a)バインダー用樹脂は、上記単量体の混合物を、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、過熱攪拌することにより合成を行うことが好ましい。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成を行う場合もある。反応終了後、さらに溶剤を加えて、所望の濃度に調整する場合もある。合成手段としては、溶液重合以外に、塊状重合、懸濁重合及び乳化重合を用いてもよい。
【0048】
本発明に用いられる(a)バインダー用樹脂の感光性樹脂組成物全体に対する割合は、20〜90質量%の範囲であり、好ましくは30〜70質量%である。
(a)バインダー用樹脂の割合が、20質量%未満である場合と90質量%を超える場合には、露光、現像によって形成されるレジストパターンが、レジストとしての特性、例えば、テンティング、エッチング及び各種めっき工程において十分な耐性等を有しない。
【0049】
次に(c)光重合開始剤について説明する。
本発明において、(c)光重合開始剤として、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含むことは高解像度の観点から好ましい実施態様である。前記トリイミダゾール二量体としては、下記一般式(16):
【化15】

{式中、X、Y及びZは、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン基のいずれかを表し、そしてp、q及びrは、それぞれ独立に、1〜5の整数である。}で表される化合物及び下記一般式(17):
【化16】

{式中、X、Y及びZは、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン基のいずれかを表し、そしてp、q及びrは、それぞれ独立に、1〜5の整数である。}で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体が特に好ましい。
【0050】
2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体には、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス−(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(p−メトシキフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等があるが、特に、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体が好ましい。
【0051】
本発明に用いられる(c)光重合開始剤として、一般式(17)及び/又は(18)で表される2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体とベンゾフェノン及び/又はベンゾフェノン誘導体を併用する系が好ましい。このようなベンゾフェノン誘導体としては、感度の観点からp−アミノフェニルケトンが特に好ましい。p−アミノフェニルケトンとしては、例えば、p−アミノベンゾフェノン、p−ブチルアミノフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p’−ビス(エチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、p,p’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0052】
また、上記で示された化合物以外に、他の光重合開始剤との併用も可能である。ここでの光重合開始剤とは、各種の活性光線、例えば紫外線等により活性化され、重合を開始する公知の化合物である。
【0053】
他の光重合開始剤としては、例えば、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン等のキノン類、ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル類、9−フェニルアクリジン等のアクリジン化合物、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。例えば、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類と、ジメチルアミノ安息香酸アルキルエステル化合物等の三級アミン化合物との組み合わせも挙げられる。
【0054】
また、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類等も挙げられる。さらに、N−アリール−α−アミノ酸化合物も用いることも可能であり、これらの中では、N−フェニルグリシンが特に好ましい。
【0055】
本発明において、光重合開始剤(c)の割合は、0.1質量%〜20質量%である必要がある。この割合が0.1質量%未満であると十分な感度が得られず、一方、この割合が20質量%を超えると、露光時にフォトマスクを通した光の回折によるかぶりが発生しやすくなり、その結果として解像性が悪化する。
【0056】
本発明の感光性樹脂組成物には、染料、顔料等の着色物質を含有させることもできる。用いられる着色物質としては、例えば、フクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、カルコキシドグリーンS,パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン(保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブルー20、ダイアモンドグリーン(保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)等が挙げられる。
【0057】
本発明の感光性樹脂組成物には、光照射により発色する発色系染料を含有させることもできる。用いられる発色系染料としては、例えば、ロイコ染料又はフルオラン染料と、ハロゲン化合物の組み合わせがある。
ロイコ染料としては、例えば、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコマラカイトグリーン]等が挙げられる。
【0058】
ハロゲン化合物としては、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2、3−ジブロモプロピル)ホスフェ−ト、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1、1、1−トリクロロ−2、2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン、トリアジン化合物等が挙げられる。
【0059】
トリアジン化合物としては、2、4、6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンが挙げられる。
このような発色系染料の中でも、トリブロモメチルフェニルスルフォンとロイコ染料との組み合わせや、トリアジン化合物とロイコ染料との組み合わせが有用である。
【0060】
本発明の感光性樹脂組成物の熱安定性、保存安定性を向上させるために、感光性樹脂組成物にラジカル重合禁止剤を含有させることは好ましいことである。
このようなラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2、2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2、2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。
【0061】
また、本発明の感光性組成物に、必要に応じて可塑剤等の添加剤を含有させることもできる。そのような添加剤としては、例えば、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル類やp−トルエンスルホンアミド、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
【0062】
ドライフィルム型の感光性樹脂積層体とする場合には、上記感光性樹脂組成物を支持層上に塗工する。ここで用いられる支持層としては、活性光を透過する透明なものが望ましい。活性光を透過する支持層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合体フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。
【0063】
支持層のヘーズは5.0以下であるものが好ましい。厚みは薄い方が画像形成性、経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要から、10〜30μmのものが一般的である。
支持体層と積層した感光性樹脂層の反対側の表面に、必要に応じて保護層を積層する。支持層よりも保護層の方が感光性樹脂層との密着力が十分に小さく、容易に剥離できることがこの保護層としての重要な特性である。このような保護層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
【0064】
感光性樹脂層の厚みは、用途において異なるが、プリント回路板作製用には5〜100μm、好ましくは5〜50μmであり、感光性樹脂層が薄い程解像力は向上し、一方、感光性樹脂層が厚い程膜強度が向上する。
【0065】
この感光性樹脂積層体を用いたプリント回路板の作成工程は、公知の技術により行われるが、以下に簡単に述べる。
保護層がある場合は、まず保護層を剥離した後、感光性樹脂層を基板、すなわち、プリント回路板用基板の金属表面に加熱圧着し積層する。この時の加熱温度は、一般的に、40〜160℃である。
次に、必要ならば支持層を剥離しマスクフィルムを通して活性光により画像露光する。
次いで、感光性樹脂層上に支持層がある場合には、必要に応じてこれを除き、続いてアルカリ水溶液を用いて感光性樹脂層の未露光部を現像除去する。アルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液を用いることができる。これらのアルカリ水溶液は感光性樹脂層の特性に合わせて選択されるが、一般的に0.5〜3質量%の炭酸ナトリウム水溶液が用いられる。
【0066】
次に、現像により露出した金属面に既知のエッチング法又はめっき法のいずれかの方法を行うことにより、金属の画像パターンを形成する。
その後、一般的に現像で用いたアルカリ水溶液よりも更に強いアルカリ性の水溶液により硬化レジストパターンを剥離する。剥離用のアルカリ水溶液についても特に制限はないが、1〜5質量%の水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液が一般的に用いられる。また、セミアディティブ工法等めっき工程を設けた場合には、レジストパターンを剥離後に、レジストパターンの下に現れた銅面をエッチングする場合もある。
【0067】
本発明のドライフィルムを用いてリードフレームを製造する場合、前記の銅張り積層板やフレキシブル基板等の代わりに、銅、銅合金、鉄系合金等の金属板の片面又は両面に感光性樹脂層をラミネートし、露光、現像を行った後、エッチングする。最終的に硬化レジストの剥離を行い、所望のリードフレームを得る。
また、本発明のドライフィルムレジストを用いて半導体パッケージを製造する場合、LSIとしての回路形成が終了したウェハに光重合性樹脂層をラミネートし、露光、現像を行った後、開口部に銅、はんだ等の柱状のめっきを施す。次に硬化レジストの剥離を行い、柱状めっき以外の部分の薄い金属層をエッチングにより除去することにより、所望の半導体パッケージを得る。
【実施例】
【0068】
以下、本発明の実施形態の例を具体的に説明する。
(実施例1〜4、比較例1)
<光重合性樹脂組成物>
実施例及び比較例において用いた光重合性樹脂組成物の組成を以下の表1に示す。ここで、Methacryl POSS(登録商標) Cage Mixture(Hybrid Plastics社製)は上記一般式(4)、(5)、(6)で表される構造を有し、Rが下記(18):
【化17】

である化合物の混合物である。
AcryloIsobutyl POSS(登録商標)は上記一般式(4)、(5)、(6)で表される構造を有し、Rが下記(19):
【化18】

である化合物の混合物である。
以下、実施例及び比較例の評価用サンプルの作製方法並びに得られたサンプルについての評価方法及び評価結果について示す。
【0069】
1.評価用サンプルの作製
実施例及び比較例における光重合性樹脂積層体は次の様にして作製した。
<カルボキシル基含有バインダーの作製>
まず、下記に示すバインダーを準備した。
(合成例)
窒素導入口、攪拌羽根、ジムロート及び温度計を備えた1000ccの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下でメチルエチルケトン300gを入れ、湯浴の温度を80℃に上げた。次いでメタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレートをそれぞれ30/20/50(質量比)の組成比で合計400gの溶液を調製した。この調製液に、アゾビスイソブチロ二トリル3gを30gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を作製し、攪拌しながら2時間かけて滴下した。その後6時間重合した(一次重合)。その後アゾビスイソブチロ二トリル6gを30gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を4時間置きに3回に分けて滴下した後、5時間加熱攪拌した(二次重合)。次いでメチルエチルケトン240gを添加して重合反応物をフラスコから取り出して、バインダー溶液を得た。この時の重量平均分子量は5.5万、分散度は1.8、酸当量は290であった。得られたバインダー溶液中のメチルエチルケトンを十分に除去し測定した樹脂固形分は、41%であった。
【0070】
<光重合性樹脂積層体の作製>
表1に示す組成の光重合性樹脂組成物をよく攪拌、混合し、支持体として19μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で4分間乾燥して光重合性樹脂層を形成した。光重合性樹脂層の厚みは25μmであった。
次いで、光重合性樹脂層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない表面上に、保護層として23μm厚のポリエチレンフィルムを張り合わせて光重合性樹脂積層体を得た。
【0071】
<基板整面>
解像度、密着性、めっき液耐性及び剥離性評価用基板として、35μm圧延銅箔を積層した1.6mm厚の銅張積層板表面をスプレー圧0.20MPaでジェットスクラブ研磨(日本カーリット(株)製、サクランダムR(登録商標)#220)したものを使用した。
【0072】
<ラミネート>
光重合性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、整面して60℃に予熱した銅張積層板にホットロールラミネーター(旭化成(株)社製、AL−70)により、ロール温度105℃でラミネートした。エアー圧力は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
【0073】
<露光>
プロジェクション露光機((株)ウシオ電機製UX2003 SM−MS04、i線バンドパスフィルタ使用))により200mJ/cm2 の露光量で露光した。
【0074】
<現像>
ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、30℃の1質量%Na2 CO3 水溶液を所定時間スプレーし、光重合性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。この際、未露光部分の光重合性樹脂層が完全に溶解するのに要する最も少ない時間を最小現像時間とした。
【0075】
2.解像度評価方法
ラミネート後15分経過した解像度評価用基板を、露光部と未露光部の幅が1:1の比率のラインパターンマスクを通して露光した。最小現像時間の2倍の現像時間で現像し、硬化レジストラインが正常に形成されている最小マスク幅を解像度の値とした。
【0076】
3.評価結果
実施例及び比較例の評価結果を以下の表1に示す。
【0077】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、エッチングレジスト又はめっきレジスト等のレジスト材料として特に優れた高解像性を有する光重合性樹脂組成物であるので、印刷配線板、リードフレーム、半導体パッケージ等の製造、金属の精密加工等の分野において好適に利用されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5千〜50万のバインダー用樹脂:20〜90質量%、(b)光重合可能な不飽和基含有化合物:3〜70質量%、及び(c)光重合開始剤:0.1〜20質量%を含有する感光性樹脂組成物であって、前記(b)光重合可能な不飽和基含有化合物としてシルセスキオキサン化合物を含有することを特徴とする前記感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記シルセスキオキサン化合物が、かご状シルセスキオキサンである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記シルセスキオキサン化合物の不飽和基が、(メタ)アクリロイル基である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(b)光重合可能な不飽和基含有化合物として、下記一般式(1):
【化1】

{式中、R1、及びR2は、互いに独立に、H又はCH3 であり、Aは、C24であり 、Bは、C36であり、n1 +n2 は、2〜30の整数であり、n3 +n4 は、0〜30の整数であり、n1 、及びn2 は、1〜29の整数であり、n3 、及びn4 は、0〜29の整数であり、そして−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。}で表される化合物を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(c)光重合開始剤が、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
支持体上に請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物からなる層を設けた感光性樹脂積層体。
【請求項7】
請求項6に記載の感光性樹脂積層体を用いて基板上に感光性樹脂層を形成する工程、該感光性樹脂層を露光する工程、及び露光した感光性樹脂層を現像する工程を含むレジストパターンの形成方法。

【公開番号】特開2010−286796(P2010−286796A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142753(P2009−142753)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】