説明

感光材料処理装置

【課題】塗布欠陥が無く、長期間現像性が安定して使用可能な感光材料処理装置を提供することにある。
【解決手段】処理液供給部が下方に複数の吐出口が穿設された現像液供給管、その下端部に現像液を流下させるための複数の開口部を穿設した現像液受け部、及び現像液を拡散し塗布ローラに処理液を流下する拡散フィルムを少なくとも有し、かつ現像液受け部に感光材料の搬送方向と直交する幅方向中央部よりも幅方向端部の開口部の方が開口面積が大きい開口部を穿設したことを特徴とする感光材料処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光材料を処理する感光材料処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィルム、印画紙、印刷版等の感光材料は、画像が露光等の手段により記録された後に、現像液、定着液、安定化液、水洗水等の処理液によって処理される。このような処理を行う感光材料の処理装置としては、複数の搬送ローラ対等により構成される搬送手段により処理液を貯留した処理槽中に感光材料を搬送し、感光材料を処理液中に浸漬することにより処理を行う浸漬型の処理装置が知られている。
【0003】
このような浸漬型の処理装置においては、感光材料の処理に伴う処理疲労、或いは大気中の炭酸ガスや酸素による経時疲労等により処理液が劣化するため、処理液に補充液を補充することにより処理液の劣化を回復させている。このため、処理開始時の処理液の成分と、その後も処理を継続した場合の処理液の成分とは異なることになり、厳密に均一な処理を行うことは不可能である。また、このような浸漬型の処理装置は、処理液の廃液量が多く、また、装置のメンテナンス性が悪いという問題もある。
【0004】
このような問題点を解消するための感光材料処理装置として、感光材料を処理液中に浸漬するかわりに、感光材料の処理に必要な量の処理液を感光材料の感光面に塗布して処理を行う塗布方式の処理装置も知られている。例えば、特開昭62−237455号公報(特許文献1)においては、このような塗布方式の処理装置として、複数の処理液吐出口を有する処理液供給ノズルから、その表面に溝を形成すること等によりその表面を粗面化したローラ(以下「塗布ローラ」と呼称する)に処理液を吐出すると共に、この塗布ローラを感光材料と当接して回転させることにより、当該塗布ローラを介して感光材料に処理液を塗布する感光材料処理装置が開示されている。
【0005】
このような塗布方式の感光材料処理装置においては、感光材料に処理液を塗布するまでに、塗布ローラとバックアップローラとの間に十分な量の処理液の液溜めが形成されていない場合には、特に感光材料の先端部において、処理液が不足することに起因する処理むらが発生する。
【0006】
特に、感光材料として、現像の進行が速い銀錯塩拡散転写法(DTR法)を利用する平版印刷版を使用した場合には、上記の問題が特に顕著となるばかりではなく、平版印刷版特有の問題である印刷性能の低下、特に耐刷性が低下するという問題が生ずる。
【0007】
十分な量の処理液の液溜めを形成することにより、感光材料の処理むらを防止する方法は、特許第3421513号公報(特許文献2)に記載されるように、感光材料の先端部分が前記液溜めに到達するまでの塗布ローラへの処理液供給量を、感光材料に処理液を塗布する際の塗布ローラへの設定供給量より多くする方法が提案されている。この処理時の供給量変化は、感光材料の先端部が前記液溜めに到達するまでの処理液循環量を、感光材料が前記液溜め中を通過する際の処理液循環量より多くして、感光材料の先端部が前記液溜めに到達したら所定の処理液循環量に戻すことで実施される。
【0008】
しかし、図5の従来の一例を示す吐出口と開口部との関係を示す斜視図に示すように、感光材料Fの幅方向寸法が菊四裁を超える幅方向寸法、具体的には幅方向寸法が500mm以上になると、感光材料Fの先端部が前記液溜めに到達するまでの塗布ローラ85への処理液供給量を、感光材料Fに処理液を塗布する際の塗布ローラ85への処理液供給量より多くして、その直後から塗布ローラ85への処理液供給量を設定供給量に戻して供給して処理した場合、感光材料Fの幅方向中央部であって前記塗布ローラ85手前に液溜まり部Pを発生させてしまう。該液溜まり部Pは感光材料Fの後端部が前記塗布ローラ85を通過する前に、該後端部から塗布ローラ85手前のガイド91上面に垂れ落ち、塗布ローラ85手前のガイド91が汚れる。そしてその後の経時によりこの汚れCは乾燥固着結晶化して、次の処理を行う際に感光材料Fの先端部がこの汚れC即ち結晶を掬い上げ、その後塗布ローラ85により処理液が塗布されることで現像処理品質が低下するという問題が発生する。これにより現像処理後の感光材料Fに処理むらが発生する。この感光材料Fが印刷版である場合には印刷を行った場合に部分的にかつ筋状に耐刷力が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62−237455号公報
【特許文献2】特許第3421513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、塗布方式の感光材料処理装置において、塗布欠陥が無く、長期間現像性が安定して使用可能な感光材料処理装置を提供することにある。特に菊四裁幅以上の感光材料を塗布欠陥が生じること無く安定に処理できる感光材料処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、以下の感光材料処理装置によって達成された。
1.感光材料の感光面側に配設されその表面が粗面化された塗布ローラと、感光材料の感光面と反対側に配設され該塗布ローラに当接するバックアップローラと、該塗布ローラに処理液を供給する処理液供給部とを有する感光材料処理装置において、該処理液供給部が下方に複数の吐出口が穿設された現像液供給管、その下端部に現像液を流下させるための複数の開口部を穿設した現像液受け部、及び現像液を拡散し塗布ローラに処理液を流下する拡散フィルムを少なくとも有し、かつ現像液受け部に感光材料の搬送方向と直交する幅方向中央部よりも幅方向端部の開口部の方が開口面積が大きい開口部を穿設したことを特徴とする感光材料処理装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の感光材料処理装置により、塗布欠陥が無く、長期間安定した現像性が可能となる。特に菊四裁幅以上の感光材料を塗布欠陥が生じること無く長期間安定して現像処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の処理液供給部を備えた製版装置の概要図である。
【図2】本発明の処理液供給部を備えた現像液塗布機構を示す概要図である。
【図3】本発明の処理液供給部を備えた現像液塗布機構における吐出口と開口部との関係を示す斜視図である。
【図4】本発明の現像液受け部に穿設される複数の開口部の穿設パターンの例を示す概要図である。
【図5】従来の一例を示すポンプと吐出口と開口部との関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の感光材料処理装置は、後述の銀錯塩拡散転写法(DTR法)を利用した平版印刷版や、特開平7−20629号公報、特開2000−89452号公報、特開2001−272778号公報等に記載される重合性の感光層を有する平版印刷版、感光性ハロゲン化銀乳剤層を1層以上有してなる白黒印画紙、カラー印画紙等の公知のハロゲン化銀感光材料の現像処理に好適である。銀錯塩拡散転写法(DTR法)を用いた平版印刷版、特に、ハロゲン化銀乳剤層の上に物理現像核層を有する平版印刷版は、例えば、米国特許第3,728,114号明細書、米国特許第4,134,769号明細書、米国特許第4,160,670号明細書、米国特許第4,336,321号明細書、米国特許第4,501,811号明細書、米国特許第4,510,228号明細書、米国特許第4,621,041号明細書等に記載されている。露光されたハロゲン化銀はDTR現像により化学現像を生起し黒色の銀となり親水性の非画線部を形成し、一方、未露光のハロゲン化銀結晶は現像液中の銀塩錯化剤により銀錯体となって表面の物理現像核層まで拡散し、核の存在により物理現像を生起してインキ受容性の物理現像銀を主体とする画線部を形成する。このような銀錯塩拡散転写法(DTR法)を用いた平版印刷版は、上記重合性の感光層を有する平版印刷版や白黒印画紙等の感光材料と比べて特に現像初期の段階において銀錯体が移動しやすく、現像の進行が速いことから前述の汚れCの結晶化に伴う現像むらが生じやすいという特性を有するため、本発明の課題が顕著に表れる。
【0015】
本発明の感光材料処理装置が銀錯塩拡散転写法(DTR法)を利用する平版印刷版の現像処理に適用した例を挙げ、以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の処理液供給部を備えた製版装置の概要図である。図2は本発明の処理液供給部を備えた現像液塗布機構を示す概要図である。図3は本発明の処理液供給部を備えた現像液塗布機構における吐出口と開口部との関係を示す斜視図である。
【0016】
本発明の感光材料処理装置について説明する。図1において、露光装置7により画像を記録された平版印刷版Mの先端部が、導入ガイド10を通って感光材料処理装置9に進入し、一対の導入ローラ11、12によって搬送され、後述する現像液塗布機構5により、平版印刷版Mの現像処理に必要な量の現像液が塗布される。現像処理に必要な量の現像液が塗布された平版印刷版Mは、現像液塗布機構5から一対の絞りローラ15、16に至る空間現像部を搬送される間に、その感光面において現像処理が行われる。そして、平版印刷版Mに付着している現像処理に供された現像液は、一対の絞りローラ15、16により除去される。続いて、一対の導入ローラ17、18と安定槽23内の搬送ガイド24に沿って、平版印刷版Mを搬送させるガイドローラ19、22と一対の絞りローラ20、21を有する安定液が貯留された安定槽23において平版印刷版Mは安定液による浸漬処理が行われる。そして、安定処理の終了した平版印刷版Mは、乾燥部3に搬送され、ファン25及びヒータ26を有し平版印刷版Mに温風を吹き付けて乾燥する乾燥機構6により乾燥処理されて排出される。
【0017】
次に現像液塗布機構5を図1により説明する。現像液塗布機構5は、現像液を貯留する現像液タンク48とポンプ51が接続された配管54を介して接続されている。また、現像液塗布機構5の下方には回収トレイ40が設置されている。現像液タンク48内の現像液は配管54を介してポンプ51により現像液塗布機構5に圧送され、平版印刷版M上に供給される。そして、平版印刷版Mに塗布されなかった現像液は、回収トレイ40上に滴下する。この現像液は、再使用が可能なため、回収トレイ40の下端部に設けられた回収管44を介して現像液タンク48内に回収される。現像液タンク48には、パネルヒータ50が内蔵されており、現像液タンク48と現像液塗布機構5を含む現像液の循環路中を循環する現像液を所定の温度に維持するように構成されている。
【0018】
尚、図1に示す現像液を現像液タンク48から配管54を介して現像液塗布機構5へ圧送するポンプ51としては、例えばその駆動モータに印加するパルス電圧のパルス幅を変化させるか、駆動モータの回転速度を変更することにより、現像液の吐出量を変更することのできる吐出量可変型のポンプが使用されている。このようなポンプとしては、例えば、ペリスタルティックポンプやベローズポンプやダイヤフラムポンプ或いはオシレーティングポンプ等を使用することができる。
【0019】
一方、一対の絞りローラ15、16の下方には回収トレイ41が設置されている。一対の絞りローラ15、16によって平版印刷版Mから除去された疲労現像液は、回収トレイ41上に滴下する。そして、更にこの現像液は、再使用できないため、回収トレイ41の下端部に設けられた回収管45を介して排液タンク55に排出される。
【0020】
現像液塗布機構5は、図2に示すように、その下方に複数の吐出口101が穿設された現像液供給管102と、その下端部に現像液を流下させるための複数の開口部103を穿設した現像液受け部104と、現像液受け部104の開口部103から流下した現像液を平版印刷版Mと当接して回転する表面が粗面化された塗布ローラ105に案内するための拡散フィルム106で構成される処理液供給部111と、その表面に複数の溝を有し平版印刷版Mと当接して回転する表面が粗面化された塗布ローラ105と、表面が粗面化された塗布ローラ105に当接するバックアップローラ108とを有する。また表面が粗面化された塗布ローラ105に当接する逆流防止フィルム107aを追加することが好ましく、更に逆流防止フィルム107aには塗布ローラ105を清掃するブラシ107bが併設されていてもよい。図2の平版印刷版Mに示される矢印は、搬送方向を示している。塗布ローラ105とバックアップローラ108に示す矢印は、各々のローラの回転方向を示している。
【0021】
図3に示すように現像液供給管102は、図3において図示されない配管54から供給された現像液を幅方向に拡散させるための複数の吐出口101を有する。図3に示す吐出口101から流下する現像液は、現像液受け部104の下端部で一旦受け取られた後、幅方向に拡散されると共に、平版印刷版Mの搬送方向と直交する幅方向に穿設されている複数の開口部103から拡散フィルム106に向けて流下する。拡散フィルム106から流下した現像液は、塗布ローラ105と拡散フィルム106との当接部分に一旦貯留されて、平版印刷版Mの搬送方向と直交する幅方向に拡散される。
【0022】
そして、図2に示すように、現像液は、塗布ローラ105の回転に伴い、塗布ローラ105の溝による開口部を通過して塗布ローラ105とバックアップローラ108との当接部方向に移動し、そこに液溜め109を形成する。平版印刷版Mがこの液溜め109を通過するときに、平版印刷版Mの感光面に現像液が付着する。このとき、平版印刷版Mの感光面はバックアップローラ108により塗布ローラ105の表面に押しつけられていることから、平版印刷版Mの感光面に塗布された現像液は、塗布ローラ105の溝による開口部により一定量に計量され平版印刷版Mに塗布される。従って、バックアップローラ108と塗布ローラ105との当接部を通過した平版印刷版Mの感光面には、常に現像に必要な一定量の現像液が塗布されていることになる。
【0023】
感光材料が現像処理されていない場合は、図1に示す現像液タンク48から配管54を介してポンプ51により、図2に示す現像液供給機構5の現像液供給管102に供給された現像液は、図2に示す現像液受け部104、拡散フィルム106、塗布ローラ105及びバックアップローラ108を順次流下し、図1の回収トレイ40に滴下する。そして、この現像液は、図1に示す回収トレイ40の下端部に設けられた回収管44を介して現像液タンク48内に回収されることにより循環供給される。従って本発明において、処理液の塗布ローラへの処理液供給量はポンプ51により、この循環供給量を調整することにより行われる。また、このときパネルヒータ50により現像液は所定の温度まで昇温されている。
【0024】
次に本発明の特徴である図3に示す塗布ローラに処理液を供給する処理液供給部の現像液受け部104を具体的に説明する。図3の平版印刷版Mを現像処理できる感光材料処理装置において、現像液受け部104は感光材料の搬送方向と直交する幅方向に均等に開口部103が10箇所穿設されている。開口部103の1箇所あたりの形状は、矩形形状に穿設されている。中央部2箇所の開口面積は16mm、それらを挟む2箇所が中央部側から順に17mm、18mm、19mm、両端部の2箇所が20.5mmである。1箇所あたりの開口面積は10〜30mmとすることが好ましく、より好ましくは16〜25mmである。中央部よりも端部の開口部の面積の方が大きい開口部を穿設させる条件は、前記開口面積の範囲であれば、特に限定されるものではない。また開口部103を穿設する数としては現像処理する平版印刷版Mの幅方向寸法に合わせ適宜設定すればよいが、現像液供給管102の下方に穿設される吐出口101の数の2倍となる少なくとも6箇所以上有していることが好ましく、更には8箇所以上有していることが好ましい。特に平版印刷版Mの幅方向寸法が500mm以上の場合は10箇所以上とすることが好ましい。中央部(複数、例えば中央部を2箇所としてもよい)よりも端部の開口部の方が大きい面積の開口部を持つことにより、平版印刷版の幅方向中央部の前記塗布ローラ手前に起こる現像液の過剰な液溜まり部Pの発生を解消できる。
【0025】
また、図3では開口部103の形状として矩形形状を用いているが、開口部103の形状は矩形に限らず円形、他の形状でも構わない。図4のa〜dは複数の開口部の穿設パターンの例を示す概要図である。図4においてパターンaは正方形、bは長方形、cは円形、dは小判形と一般的に加工しやすい穿設パターンの例を示したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、またこれらを適宜組み合わせてもよい。
現像液受け部104の材質は特に限定されるものではないが、耐薬品性、特にアルカリ性に耐久性のあるステンレス鋼、または塩化ビニル、ポリアセタール、ポリスルフォン、ポリスチレン等のプラスチック類で構成されることが望ましい。
【0026】
更に、上述した実施の形態はいずれも、感光材料として銀錯塩拡散転写法(DTR法)を用いた平版印刷版Mを使用した場合について説明したが、本発明は、その他の各種の感光材料を使用する感光材料処理装置にも適用することが可能である。
【0027】
以下、この発明の銀錯塩拡散転写法(DTR法)を利用した平版印刷版に適用した場合の実施例について説明する。本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0028】
平版印刷版Mは、特開平9−304944号公報の実施例に従い、ゼラチンによる下引き処理したポリエステルフィルム支持体上の片面に平均粒子サイズ5μmのシリカ粒子を含有するマット化層を設け、反対側の面にカーボンブラックを含み、写真用ゼラチンに対して20質量%の平均粒径3.5μmのシリカ粉末を含むハレーション防止用下塗層(pH4に調整)と、平均粒径3.5μmのシリカ粉末を写真用ゼラチンに対して5質量%含む高感度塩化銀乳剤層(pH4に調整)とをフィルム支持体上にこの順に設けた。尚マット化層の塗布量はゼラチンが5.0g/mとなるように塗布し、下塗層はゼラチンが3.5g/mとなるよう塗布した。乳剤層はゼラチンが0.8g/m、硝酸銀に換算したハロゲン化銀量は1.0g/mとなるよう塗布した。またこの下塗層と乳剤層とは硬膜剤としてホルマリンをゼラチン1gに対して5.0mg含んでいる。乾燥後40℃で10日間加熱した後、乳剤層の上に特開昭54−103104号公報実施例2のプレートNo.31の記載に従い物理現像核塗液を塗布、乾燥して平版印刷版Mを作製した。現像液及び安定液は下記を用いた。
【0029】
現像液
水酸化カリウム 15g
水酸化ナトリウム 10g
亜硫酸ナトリウム 35g
N−(アミノエチル)エタノールアミン 10g
2−メルカプト−5−n−ヘプチルオキサジアゾール 0.2g
四級塩ポリマー 6g
水を加えて1lとする。液pHは13.4である。
【0030】
安定液
燐酸1カリウム 36g
亜硫酸ナトリウム 2g
EDTA−Na 6.25g
水を加えて1lとする。
【0031】
処理1(本発明1)
本発明に従って上記処理液を用いて図1に記載の最大775mm幅の平版印刷版Mを現像処理できる感光材料処理装置にて、幅775mm、長さ680mmの平版印刷版Mを使用して、1日25m処理し、処理日2日に対して1日の割合で未処理日を設け、これを3ヶ月間総処理量1500mの処理を行った。図3に示す塗布ローラ105に現像液を供給する処理液供給部の現像液受け部104に1箇所あたりの開口部103の形状が矩形形状であって開口部103を幅方向に均等に配置するように10箇所穿設した。開口面積は中央部の2箇所が16mm、それらを挟む2箇所が中央部側から順に17mm、18mm、19mm、両端部の2箇所が20mmとした。尚、感光材料処理装置を温度23℃、湿度30%に調整した室内環境で処理を行った。
【0032】
処理2(本発明2)
本発明に従って上記処理液を用いて図1に記載の最大775mm幅の平版印刷版Mを現像処理できる感光材料処理装置にて、幅775mm、長さ680mmの平版印刷版Mを使用して、1日25m処理し、処理日2日に対して1日の割合で未処理日を設け、これを3ヶ月間総処理量1500mの処理を行った。図3に示す塗布ローラ105に現像液を供給する処理液供給部の現像液受け部104に1箇所あたりの開口部103の形状が矩形形状であって開口部103を幅方向に均等に配置するように10箇所穿設した。開口面積は中央部の2箇所が16mm、それらを挟む2箇所が中央部側から順に18mm、20mm、23mm、両端部の2箇所が25mmとした。尚、感光材料処理装置を温度23℃、湿度30%に調整した室内環境で処理を行った。
【0033】
処理3(本発明3)
本発明に従って上記処理液を用いて図1に記載の最大775mm幅の平版印刷版Mを現像処理できる感光材料処理装置にて、幅775mm、長さ680mmの平版印刷版Mを使用して、1日25m処理し、処理日2日に対して1日の割合で未処理日を設け、これを3ヶ月間総処理量1500mの処理を行った。図3に示す塗布ローラ105に現像液を供給する処理液供給部の現像液受け部104に1箇所あたりの開口部103の形状が矩形形状であって開口部103を幅方向に均等に配置するように10箇所穿設した。開口面積は中央部の2箇所が18mm、それらを挟む2箇所が中央部側から順に21mm、22mm、23mm、両端部の2箇所が25mmとした。尚、感光材料処理装置を温度23℃、湿度30%に調整した室内環境で処理を行った。
【0034】
処理4(比較例1)
比較例として上記処理1〜3と同様の処理液を用いて図1に記載の最大775mm幅の平版印刷版Mを現像処理できる感光材料処理装置にて、現像液受け部に開口部が幅方向に均等に10箇所配置され、かついずれも同じ開口面積20mmで穿設された現像液受け部104を用いて、幅775mm、長さ680mmの平版印刷版Mを使用して、1日25m処理し、処理日2日に対して1日の割合で未処理日を設け、これを3ヶ月間総処理量1500mの処理を行った。尚、感光材料処理装置を温度23℃、湿度30%に調整した室内環境で処理を行った。
【0035】
上記のような処理1〜4において、3ヶ月間で1500m処理した後に現像処理した平版印刷版Mを用いて、液溜まり発生有無、処理むら、印刷性を評価した。尚、液溜まりは処理時に目視確認した。処理むらは1500m処理後の印刷版を目視確認した。印刷性は1500m処理後の印刷版をハイデルベルグTOKオフセット印刷機に装着し、エッチング液を版面にくまなく与え、インキは大日本インキ化学工業製ニューチャンピオン墨H、給湿液はDTR平版印刷給湿液を用いて印刷し、100μmの細線画像の印刷性能(耐刷力)を評価した。処理むらは1500m処理後の印刷版を目視確認した。液溜まりは処理時に目視確認した。
液溜まり ○ : 発生無し
△ : 僅かに発生
× : 液溜まり発生
処理むら ◎ : むら無し
○ : 殆どむら無し
△ : 部分的にむら
印刷性(耐刷力) ◎ : 20,000枚以上
○ : 15,000〜20,000枚未満
△○: 10,000〜15,000枚未満
△ : 5,000〜10,000枚未満
× : 5,000枚未満
上記の結果を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
表1より本発明の処理液供給部における現像液受け部の複数の穿設した開口部が感光材料の搬送方向と直交する幅方向中央部よりも幅方向端部の開口部の方が開口面積が大きい開口部を穿設した処理装置は、本発明の目的を明確に達成している。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の現像処理方法は、銀錯塩拡散転写法(DTR法)以外にもネガ型平版印刷版、ハロゲン化銀感光材料等の塗布現像型感光材料処理装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 現像部
2 安定部
3 乾燥部
5 現像液塗布機構
6 乾燥機構
7 露光装置
9 感光材料処理装置
10 導入ガイド
11 導入ローラ
15 絞りローラ
23 安定槽
40 回収トレイ
48 現像液タンク
49 水洗水タンク
51 ポンプ
54 配管
55 排液タンク
56 抵抗部材
100 取付板
101 吐出口
102 現像液供給管
103 開口部
104 現像液受け部
105 塗布ローラ
106 拡散フィルム
108 バックアップローラ
111 処理液供給部
M 平版印刷版

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光材料の感光面側に配設されその表面が粗面化された塗布ローラと、感光材料の感光面と反対側に配設され該塗布ローラに当接するバックアップローラと、該塗布ローラに処理液を供給する処理液供給部とを有する感光材料処理装置において、該処理液供給部が下方に複数の吐出口が穿設された現像液供給管、その下端部に現像液を流下させるための複数の開口部を穿設した現像液受け部、及び現像液を拡散し塗布ローラに処理液を流下する拡散フィルムを少なくとも有し、かつ現像液受け部に感光材料の搬送方向と直交する幅方向中央部よりも幅方向端部の開口部の方が開口面積が大きい開口部を穿設したことを特徴とする感光材料処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−13530(P2011−13530A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158593(P2009−158593)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】