説明

感圧接着テープの光学部品の接着への使用

接着テープによる光学部品の接着方法において、
前記接着テープが、重量平均分子量Mが200000≦M≦1000000g/molの範囲にあるポリアクリラート系の感圧接着剤の少なくとも1層を有し、前記ポリアクリラートが、少なくとも下記に列挙する成分:
(a)55〜92重量%の1種または複数種の、
一般式CH=CH−COOR
のアクリルモノマー、
ここに、Rは、C4〜C14の炭化水素残基を意味し、
(b)5〜30重量%の1種または複数種の共重合性モノマー、
ここに、成分(b)のモノマーのホモポリマーのガラス転移温度TG,bHが、0℃以上であり、
(c)3〜15重量%の1種または複数種の共重合性の、ポリアクリラートの架橋反応を促進するモノマー、
のラジカル共重合によって得られ、
ここに、前記ポリアクリラートが、架橋されており、
ここに、前記架橋ポリアクリラートが、損失係数(tanδ値)が0.2〜0.4であることを特徴とし、
ここに、前記架橋ポリアクリラートが、ミクロ剪断移動量試験での最大変位xmaxが200〜600μmであることを特徴とする剪断強度を有し、
ここに、前記架橋ポリアクリラートが、ポリアクリラート中の弾性的成分が少なくとも60%であることを特徴とする、
ことを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特に末端消費者用電子機器の領域においても、さらに工業また他の領域において電子的データ表示は、重要な地位を占めている。表示モジュールを、外部からの例えば衝撃といった機械的作用による何らかの損傷に対して防護するため、また光管理に対し、また熱管理に対し、電気的機能を備えるため、また他の任務のために、そうした表示システムには、通常、表示モジュールの外面を覆う透明な保護窓が設けられる。
【背景技術】
【0002】
光学的目的に使用され、または光学装置に使用される部品または基材の接着に使用される接着テープは、しばしば光反射性、光吸収性、高度に透明、および/または耐光性でなければならない。さらに、空気を排除するのも重要であり得る。これは、空気から例えばガラス製の光学媒体への移行により生じる反射を減少させる利点がある。例えば、表示装置、パネルまたは同等物用のガラスや合成樹脂窓の接着において、気泡がわずかでも封入されると、画像表示に悪影響を及ぼし得る。
【0003】
光学部品を感圧接着剤で接着するのに、基材および接着剤の表面性状が極めて重要である。欠陥のない光学部品を得るには、これも平滑な光学基材を完璧に積層することが不可欠であるので、光学部品の接着には、特に平滑な感圧接着剤表面が必要とされる。接着剤は、接着テープ中の剥離フィルムの表面性状を受け継ぐので(剥離フィルムの形状が、接着剤表面に押圧され、接着剤が剥離フィルム表面の陰型を受け継ぐ)、従来、使用される剥離フィルムの表面性状が、つねに接着剤の表面性状に決定的な影響を有していた。良好な接着強度のためには、しばしば感圧接着剤の凝集力が高いことが必要である。特に、非常に凝集力のある接着剤においては、剥離フィルムを除去して長時間がたっても剥離フィルム表面の安定した印象が残ってしまう。国際公開特許第2008/149890号A(特許文献1)においては、剥離フィルムの表面粗さが、生じてくる感圧接着剤の表面の表面粗さに大きな影響のあることが、指摘されている。
【0004】
使用される(感圧)接着剤の凝集力が大きいことが、とりわけ高温で、生成構成物の耐性のあるためにしばしば要求される。凝集力が小さいことは、剥離フィルムの除去後の(感圧)接着剤の流れを促進し、それにより接着剤表面を平滑化するであろうが、そのようにして得られた接着テープは、通常、要求性能をもはや満たすことができないであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開特許第2008/149890号A
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】T.G. Fox、「Bull. Am. Phys. Soc.」、1、(1956)、p. 123
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、光学部品の接着に、この応用領域での高い性能要求を満足し、従来技術の欠点を少なくとも大幅に克服して、極めて好適に使用できる感圧接着剤を提供することを目的とする。有利には、非常に平滑な表面の層を形成するのに適した、凝集力のある感圧接着剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的は、重量平均分子量Mが200000≦M≦1000000g/molの範囲にあるポリアクリラート系の感圧接着剤の少なくとも1層を有する接着テープであって、前記ポリアクリラートが、少なくとも下記に列挙する成分:
(a)55〜92重量%の1種または複数種の、一般式
CH=CH−COOR
のアクリルモノマー、
ここに、Rは、C4〜C14の炭化水素残基を意味し、
ここに、特に有利には、分岐および/または分岐していない、飽和および/または不飽和の炭化水素残基が用いられ、
ここにさらに、成分(a)が1種のモノマーのみを含むときは、成分(a)のモノマーのホモポリマーのガラス転移温度TG,aH[DIN 53765:1994−03によるガラス転移温度値Tとして定義される(2.2.1項参照)]が、−20℃以下であり、
あるいは、成分(a)が1種より多いモノマーを含むときは、成分(a)のモノマーのコポリマーのFox式によるガラス転移温度TG,aCが、−20℃以下であり、このとき算定には成分(a)の各モノマーのホモポリマーのDIN 53765:1994−03(2.2.1項参照)によるガラス転移温度値TがFox式に用いられ;
(b)5〜30重量%の1種または複数種の共重合性モノマー、
ここに、成分(b)が1種のモノマーのみを含むときは、成分(b)のモノマーのホモポリマーのガラス転移温度TG,bH[DIN 53765:1994−03によるガラス転移温度値Tとして定義される(2.2.1項参照)]が、0℃以上であり、
あるいは、成分(b)が1種より多いモノマーを含むときは、成分(b)のモノマーのコポリマーのFox式によるガラス転移温度TG,bCが、0℃以上であり、このとき算定には成分(b)の各モノマーのホモポリマーのDIN 53765:1994−03(2.2.1項参照)によるガラス転移温度値TがFox式に用いられ;
(c)3〜15重量%の1種または複数種の共重合性の、ポリアクリラートの架橋反応を促進するモノマー;
の重合生成物であり、
ここに、前記ポリアクリラートが、架橋されており、
また、ここに、前記架橋ポリアクリラートが、損失係数(tanδ値)が0.2〜0.4であることを特徴とし、
ここに、前記架橋ポリアクリラートが、マイクロ剪断移動量試験での最大変位xmaxが200〜600μmであることを特徴とする剪断強度を有し、
ここに、前記架橋ポリアクリラートが、マイクロ剪断移動量試験で求められるポリアクリラート中の弾性成分が少なくとも60%であることを特徴とする、接着テープにより卓越して達成される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
驚くべきことには、請求項に詳細に特徴づけられているように、適切な弾性および粘性の挙動の感圧接着剤において、非常に平滑な層表面を得ることができることが、明らかとなった。
【0010】
これらの剤は、しかもなお、例えば打ち抜き性を確保し、あるいは光学部品の垂直運用においてもスリップすることが無いように、光学分野での接着に対して要求される十分に高い凝集力を保持する。
【0011】
弾性および粘性の成分の度合い、ならびに両成分の比率の正確な記述と定量のためには、動的機械分析(DMA)で求められる量である貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)ならびに損失係数tanδと呼ばれる商G”/G’を、用いることができる。G’は、物質の弾性成分の尺度、G”は、粘性成分の尺度である。両方の量とも、変形周波数および温度に依存する。
【0012】
損失係数tanδは、被験物質の弾性および流動性の尺度である。
【0013】
これらの量は、レオメータを用いて測定できる。被験材料は、その際、例えばプレート・プレート機構によって正弦波振動の剪断負荷をかけられる。ずり応力を制御した機器において、時間の関数としての変形と、これら変形γの入力されるずり応力τに対する時間的偏差が測定される。この時間的偏差(ずり応力および変形の両ベクトル間の位相変位)を位相角δと呼ぶ。
貯蔵弾性率G’ G’=τ/γ・cos(δ)
損失弾性率G” G”=τ/γ・sin(δ)
損失係数tanδ tanδ=G’/G”
【0014】
本明細書における前述のパラメータの記載値は、プレート・プレート配置のレオメータによる、サンプル直径8mm、サンプル厚さ1mmの円形サンプルに対する測定に基づいている。測定条件は温度25℃、その他は標準条件で、剪断負荷の振動周波数は0.1rad/秒。
【0015】
最大剪断移動量ならびに弾性成分に関する記載値は、剪断移動量測定の結果に基づいている。最大剪断移動量(=最大変位xmax)は、剪断強度の定量的記述であり、弾性成分は、被験サンプルの回復力を記述する定量的尺度である。測定原理が、模式的に図1(図1a:測定機構の全体図、図1b:測定機構の側面図)に示される。
【0016】
検査するポリアクリラートから、厚さ50μmの層が製作され架橋される。前記ポリアクリラート層は、安定化のためのフィルム、例えばPETフィルムに貼り付けられる。この複合体から、試験サンプル[長さ(L)50mm、幅(B)10mm]を切り出す。
【0017】
ポリアクリラート層(1)および安定化フィルム(2)の複合体は、あらかじめアセトンで清浄にした鋼板(3)の上に、鋼板(3)が接着テープの左右に突出し、接着テープ(1)が鋼板を上縁で距離(a)が2mmだけ突出するようにポリアクリラート層側を貼り付ける。鋼板(3)上のポリアクリラート層(1)の接着面は、高さ(H)x幅(B)=13mmx10mmである。接着箇所は、続いて2kgの鋼製ロールで6回転圧して、強固に接着させる。
【0018】
複合ストリップ(1、2)は、上縁でフィルム側に面一に、例えば板紙といった、しっかりした強化テープ(4)を設け、この上に移動量測定センサ(変位センサ)(5)を置く。このサンプルを鋼板により垂直に吊るす。
【0019】
測定条件は、温度が40℃で、その他は標準状態が選ばれる。測定する試験サンプルは、下端にクランプ(7)(クランプの自重6.3g)で500gの重り(6)をかけ(全負荷506.3g)、15分の時間(Δt)負荷をかける(図1c参照)。ポリアクリラート層(1)が、鋼板(3)および安定化フィルム(2)に強固に接着しているので、ポリアクリラート層に剪断力が働く。一定温度下で所定の時間経過後のポリアクリラート層の剪断距離(移動量測定センサの最大変位:負荷剪断距離xmax)が結果として与えられる([xmax]=μm).
【0020】
負荷時間(Δt)の経過後、重り(6)およびクランプ(7)が外されると、緩和によりポリアクリラート層(1)の逆方向運動が生じる(図1d参照)。同様に15分間の負荷解放時間(Δt)後、あらためてポリアクリラート層の剪断距離(移動量測定センサ残留変位:無負荷剪断距離xmin)が測られる([xmin]=μm)。
【0021】
ポリアクリラートの弾性成分Aelastは、次式でパーセントで与えられる。
【0022】
【数1】

【0023】
重量平均分子量Mの記載値は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)での測定に依っている。溶離剤には、0.1体積%のトリフルオロ酢酸の入ったTHFが使用された。測定は25℃で行った。プレカラムには、PSS−SDV、5μ、103Å、ID8.0mmx50mmが使用された。分離には、カラムPSS−SDV、5μ、103ならびに10および10、それぞれID8.0mmx300mmが使用された。サンプル濃度は4g/L、流量は1.0mL/分であった。標準PMMAに対して測定した(μ=μm、1Å=10−10m)。
【0024】
本明細書において、パラメータが2つの限界の間で規定された範囲で記述される場合、記述された限界値は、これに反するよう記述されていない限り、パラメータ範囲内に属する。
【0025】
本発明の目的は、さらに前述の接着テープの光学部品の接着への使用である、すなわち、接着テープによる光学部品の接着方法であって、
ここに前記接着テープが、重量平均分子量Mが200000≦M≦1000000g/molの範囲にあるポリアクリラート系の感圧接着剤の少なくとも1層を有し、前記ポリアクリラートが、少なくとも下記に列挙する成分:
(a)55〜92重量%の1種または複数種の一般式
CH=CH−COOR
のアクリルモノマー、
ここに、Rは、C4〜C14の炭化水素残基を意味し、
ここに、特に有利には、分岐および/または分岐していない、飽和および/または不飽和の炭化水素残基が用いられ、
ここにさらに、成分(a)が1種のモノマーのみを含むときは、成分(a)のモノマーのホモポリマーのガラス転移温度TG,aH[DIN 53765:1994−03によるガラス転移温度値Tとして定義される(2.2.1項参照)]が、−20℃以下であり、
あるいは、成分(a)が1種より多いモノマーを含むときは、成分(a)のモノマーのコポリマーのFox式によるガラス転移温度TG,aCが、−20℃以下であり、このとき算定には成分(a)の各モノマーのホモポリマーのDIN 53765:1994−03(2.2.1項参照)によるガラス転移温度値TがFox式に用いられ;
(b)5〜30重量%の1種または複数種の共重合性モノマー、
ここに、成分(b)が1種のモノマーのみを含むときは、成分(b)のモノマーのホモポリマーのガラス転移温度TG,bH[DIN 53765:1994−03によるガラス転移温度値Tとして定義される(2.2.1項参照)]が、0℃以上であり、
あるいは、成分(b)が1種より多いモノマーを含むときは、成分(b)のモノマーのコポリマーのFox式によるガラス転移温度TG,bCが、0℃以上であり、このとき算定には成分(b)の各モノマーのホモポリマーのDIN 53765:1994−03(2.2.1項参照)によるガラス転移温度値TがFox式に用いられ;
(c)3〜15重量%の1種または複数種の共重合性の、ポリアクリラートの架橋反応を促進するモノマー;
のラジカル共重合によって得られ、
ここに、前記ポリアクリラートが、架橋され、
またここに、前記ポリアクリラートが、光学部品を接着する前に損失係数(tanδ値)が0.2〜0.4であることを特徴とし、
ここに、前記ポリアクリラートが、マイクロ剪断移動量試験での最大変位xmaxが200〜600μmであることを特徴とする剪断強度を有し、
またここに、前記架橋ポリアクリラートが、マイクロ剪断移動量試験で求められるポリアクリラート中の弾性成分が少なくとも60%であることを特徴とする、方法である。
【0026】
「光学部品の接着用」なる表現は、本発明の文脈において、光学的目的に適う全ての接着、とりわけ接着された基材に関連する光管理に基づき感圧接着剤に対して厳しい要求を課す接着を意味する。
【0027】
特に本願による用途に含まれる使用目的の例としては、本発明の接着テープの、偏光フィルム、位相差フィルム、ライトエンハンスメント・フィルム、導光フィルム、反射防止フィルム、アンチグレア・フィルム、飛散防止フィルムのLCDモジュールへの、上記フィルムの1つと相互にまたは構造的機能を有する透明基材への積層;さらに光学的データ表示(液晶表示装置LCD)、OLED表示装置(有機発光ダイオード表示装置)、その他の表示装置、いわゆるタッチパネル、スクリーン(モニタ画面)その他の製造に際してのガラス、合成樹脂フィルム、合成樹脂窓および同等物の接着、への使用がある。
【0028】
上述の用途はとりわけ、電子機器分野、例えばテレビ、コンピュータ・モニタ、レーダ装置、オシロスコープ、携帯用コンピュータ(ノートPC)、PDA(ハンドヘルド、オーガナイザ)、携帯電話、デジタルカメラ、キャムコーダ、ナビゲーション装置、時計、貯蔵容器の充填量表示器、その他同等物、にも関連する。
【0029】
装飾的要素の接着も、特に要求の厳しい接着に関連して、本願による用途に含まれる。
【0030】
接着テープの光学目的への使用において、追加的効果として、さらに、フィルター効果、機械的保護、熱管理への適性(例えば熱放射制御)、および/または電気的管理への適性(電気的または電子的機能の付与)ならびに場合によりさらなる使命の達成を、有利に実現することもできる。
【0031】
有利には、本発明の接着テープおよび本発明により使用される接着テープのポリアクリラートの弾性成分(マイクロ剪断移動量試験)は、70%〜95%の範囲になるように調整する。
【0032】
ポリアクリラートの重合はとりわけ、使用されるコモノマーをそれ自体既知の重合方法でフリーラジカル重合により行う。
【0033】
コポリマーのガラス転移温度を求めるのには、Fox式を援用できるが(T.G. Fox、「Bull. Am. Phys. Soc.」、1、(1956)、p. 123(非特許文献1)参照)、これによれば、コポリマーのガラス転移温度の逆数は、使用されるコモノマーの重量割合とコモノマーの対応するホモポリマーのガラス転移温度から算出される:
【0034】
【数2】

ここにwおよびwは、モノマー1および2のそれぞれの質量割合(重量%)、またTG,1およびTG,2は、それぞれ、それぞれのモノマー1もしくは2からのホモポリマーのガラス転移温度(単位K:ケルビン)を表わす。
【0035】
前記式は、コモノマーが2種超の場合は次式に一般化される。
【0036】
【数3】

一般化式中、nは使用されるモノマーに対する連番、wはそれぞれモノマーnの質量割合(重量%)、またTG,nはそれぞれのモノマーnからのホモポリマーのそれぞれのガラス転移温度(単位K:ケルビン)を表わす。
【0037】
対応したホモポリマーのガラス転移温度の値は、関連する参考文献からも知ることができる。
【0038】
成分(a)用のアクリルモノマーの炭化水素残基は、特に分岐したまたは分岐していないアルキル基またはアルケニル基でよい。特に有利には、C4〜C10の炭化水素残基である。
【0039】
成分(a)として使用できるアクリルモノマーの有利な例としては、n−ブチルアクリラート、n−ペンチルアクリラート、n−ヘキシルアクリラート、n−ヘプチルアクリラート、n−オクチルアクリラート、n−ノニルアクリラート、ラウリルアクリラート、ステアリルアクリラート、ベヘニルアクリラート、およびそれらの分岐異性体、例えば、イソブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、イソオクチルアクリラートが挙げられる。
【0040】
成分(b)に対しては、好ましい手順においては、少なくとも部分的に、一般式CH=C(R)−COORの、1種または複数種のアクリルおよび/またはメタクリルモノマーが使用され、ここにR=HまたはR=CHで、ここに、さらにRはとりわけC1〜C30の炭化水素残基を意味し、またここに、成分(b)に対して記述したガラス温度に関する前提を満たす。
【0041】
成分(b)用のそれぞれのアクリルモノマーの炭化水素残基は、分岐していても分岐していなくても、飽和でも不飽和でも、脂肪族でも芳香族でも、置換されていても無置換でもよい。
【0042】
成分(b)として有利なモノマーとしては、例えばメチルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルアクリラート、n−ブチルメタクリラート、n−オクチルメタクリラート、2−エチルヘキシルメタクリラート、イソオクチルメタクリラートが、使用される
【0043】
成分(b)用に有利なさらなるモノマーは、少なくともC6の架橋シクロアルキルアルコールのモノ官能性アクリラートおよび/またはメタクリラートがある。前記シクロアルキルアルコールは、例えばC1〜C6アルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基により、置換されていてもよい。そうしたモノマーの好適な例には、シクロヘキシルメタクリラート、イソボルニルアクリラート、イソボルニルメタクリラート、および3,5−ジメチルアダマンチルアクリラートがある。
【0044】
成分(b)用に有利なさらなるモノマーには、成分(b)用の単独のモノマーとして、あるいは、特に既述の成分(b)用のコモノマーと組み合わせて、高い静的ガラス転移温度(特にT≧0℃)を有する非アクリル系モノマーが使用できる。好適な例には、スチレンといった芳香族ビニル化合物があり、このとき芳香族核は、好ましくは構成員としてC4〜C18でなり、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0045】
特に好ましい例には、4−ビニルピリジン、N−ビニルフタルイミド、メチルスチレン、3,4−ジメトキシスチレン、4−ビニル安息香酸がある。
【0046】
成分(b)には、芳香族残基を有するアクリルモノマー、例えば、ベンジルアクリラート、ベンジルメタクリラート、フェニルアクリラート、フェニルメタクリラート、t−ブチルフェニルアクリラート、t−ブチルフェニルメタクリラート、4−ビフェニルアクリラートおよびメタクリラート、2−ナフチルアクリラートおよびメタクリラート、もまた有利に使用できる。
【0047】
特に、ポリアクリラートの架橋を可能にする、および/または、促進するために、成分(c)の化合物をコモノマーとして加える。ポリアクリラートの架橋は、熱架橋および/または化学架橋および/または、活性放射線(特にUV光線または電子線)により実施できる。請求項に記載されるパラメータの調整は、特に、意図的な架橋の実施によって達成できる。架橋は、損失係数(tanδ値)が0.2〜0.4、マイクロ剪断移動量が200〜600μm、ならびに、ポリアクリラート中の弾性成分が少なくとも60%で特徴づけられる架橋度まで遂行する。そうした架橋度の調整は、当業者、とりわけ接着剤や粘着剤領域の専門家にとっては一般的な専門知識に含まれ、当業者によりこれら専門知識を用いて容易に実施できる。
【0048】
成分(c)用に、有利には単独で、もしくは少なくとも部分的に、後者では特に有利には共重合性光開始剤と組み合わせて、とりわけ以下に記載するように、1種または複数種の一般式CH=C(R)−COORのアクリルおよび/またはメタクリルモノマーが使用でき、ここに、R=HまたはR=CHであり、またここにR=HまたはRは架橋反応が可能または促進する官能基を有するアルキル基を意味する。
【0049】
上述した官能基としては、例えば、カルボニル基、酸基、ヒドロキシ基、エポキシ基、アミン基、イソシアナート基を選ぶことができる。
【0050】
本発明の好ましい実施形態として、成分(c)は、成分(a)のモノマーの物質の量n(単位mol)と、成分(c)の官能基の物質の量n(単位mol)の比率が1≦n/n≦20、好ましくは5≦n/n≦16、特に好ましくは6≦n/n≦11となるような量だけ用いられる。
【0051】
必須ではないが、特に有利には、成分(c)がただ1種のアクリルまたはメタクリルモノマーを含むときには、成分(c)のアクリルまたはメタクリルモノマーのホモポリマーのガラス転移温度TG,cH[DIN 53765:1994−03によるガラス転移温度値Tとして定義される(2.2.1項参照)]が0℃以上であり、場合によって、成分(c)が複数種のアクリルおよび/またはメタクリルモノマーを含むときには、成分(c)のアクリルおよび/またはメタクリルモノマーでなるコポリマーのFox式によるガラス転移温度TG,cCが0℃以上であり、このとき算定には成分(c)の各モノマーのホモポリマーのDIN 53765:1994−03(2.2.1項参照)によるガラス転移温度値TがFox式に用いられる。
【0052】
成分(c)として対応した官能化された(メタ)アクリルモノマーの有利な例には、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシプロピルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラート、ヒドロキシプロピルメタクリラート、アリルアルコール、無水マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸、グリシジルメタクリラート、フェノキシエチルアクリラート、フェノキシエチルメタクリラート、2−ブトキシエチルメタクリラート、2−ブトキシエチルアクリラート、シアノエチルメタクリラート、シアノエチルアクリラート、グリセリルメタクリラート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリラート、ビニル酢酸、テトラヒドロフルフリルアクリラート、β−アクリロイルオキシプロピオン酸、トリクロロアクリル酸、フマル酸、クロトン酸s、アコニット酸が挙げられる。
【0053】
成分(c)として有利には、単独で、あるいは部分的に、特に後者の場合上述した成分(c)としての化合物を組み合わせて、共重合性光開始剤が使用される。
【0054】
共重合性光開始剤としてNorrish(ノリッシュ)−I型光開始剤(光化学的に分裂する、特にα開裂光開始剤)およびNorrish−II型光開始剤(光化学的に励起された水素を引抜く光開始剤)が適している。共重合性光開始剤の有利な例として、ベンゾインアクリラートおよびアクリル化ベンゾフェノン、例えば商業的に入手可能なUCB社の製品Ebecryl P 36(登録商標)が挙げられる。原理的には、共重合性であり(特に、重合性の二重結合がある)、ポリマーをUV照射によりラジカル機構で架橋することのできる、当業者に知られた全ての光開始剤が使用できる。
【0055】
ポリアクリラートに対して架橋反応用に、架橋剤および促進剤を加えることができる。特に、重合反応に影響のない(非反応性の)架橋剤および/または促進剤は、選択ですでに重合前に、あるいは最中に添加できる。電子線架橋およびUV架橋に適した架橋剤は、例えば二あるいは多官能性アクリラート、二あるいは多官能性イソシアナート(ブロック状も可)、または二あるいは多官能性エポキシが挙げられる。さらに、熱活性化架橋剤、例えばルイス酸、金属キレートまたは多官能性イソシアナート、が加えられる。
【0056】
場合により実施されるUV光線による架橋のために、感圧接着剤に、共重合性光開始剤の代りに、あるいはこれに加えて、非共重合性のUV吸収性光開始剤を加えることができる。非常に好適に使用される有用な光開始剤には、ベンゾインエーテル、例えば、ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテル、置換アセトフェノン、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン(Irgacure 651(登録商標)としてCiba Geigy社から入手可能)、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−1−フェニルエタノン、ジメトキシヒドロキシアセトフェノン、置換α−ケトール、例えば、2−メトキシ−2−ヒドロキシプロピオフェノン、芳香族塩化スルホニル、例えば、2−ナフチルスルホニルクロリド,および光活性オキシム、例えば、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシムがある。
【0057】
上述した、および/またはさらなる、有利に使用できる非共重合性光開始剤、特にNorrish−I型またはNorrish−II型のものは、特に有利に以下の残基を含有できる:ベンゾフェノン残基、アセトフェノン残基、ベンジル残基、ベンゾイン残基、ヒドロキシアルキルフェノン残基、フェニルシクロヘキシルケトン残基、アントラキノン残基、トリメチルベンゾイルホスフィノキシド残基、メチルチオフェニルモルホリンケトン残基、アミノケトン残基、アゾベンゾイン残基、チオキサントン残基、ヘキサリルビスイミダゾール残基、トリアジン残基、またはフルオレノン残基、ここに、各残基は、追加的に、1種または複数種のハロゲン原子、および/または1種または複数種のアルキルオキシ基、および/または1種または複数種のアミノ基またはヒドロキシ基で置換されていてよい。これら残基の列挙は、有利に使用できる化合物の単なる例示であって、制限的に捉えてはならない。
【0058】
重合するコモノマー混合物や、重合中に存在する重合生成物および/または重合の終了しているポリアクリラートに、有利には架橋反応前に、とりわけ所望の製品特性の調整の支援のために、さらなる成分および/または添加物、とりわけポリマー中に組み込まれず、および/または架橋反応に加わらない添加物を加えることができる。
【0059】
特に光学領域での使用のための、接着テープのポリアクリラート用に有利な添加物として、例えば光防止剤および老化防止剤が挙げられる。
【0060】
本発明の接着テープあるいは本発明により使用される接着テープ用に用いられる感圧接着剤は、接着樹脂および可塑剤の使用を止めることができるので、本発明の接着テープあるいは本発明により使用される接着テープの優れた変形実施形態においては、それぞれ、感圧接着剤に樹脂および/または可塑剤を加えていない、特に有利には樹脂も可塑剤も全く加えていない感圧接着剤層(単層で、支持材のない接着テープ)によって特に実現される感圧接着剤層を有する。上述の添加は、光学的接着への応用においてしばしば不利な作用を有する。従来技術によりアクリラート感圧接着剤用の接着樹脂として使用される樹脂は、通常ポリアクリラート・マトリックスとの親和性を実現するため極性である。このため、多くの場合芳香族の接着樹脂が用いられ、長期間の貯蔵において光作用により黄色に変色する。
【0061】
上述のようにして得られ、また場合によっては、添加剤を加えたポリアクリラートは、感圧接着剤層を製造するのに支持材の片側または両側に塗工されるが、ここに接着テープ構造中に使用中も残存する恒久的支持材が使用可能ある。とりわけ好適に、支持材のない特に単層の接着テープが作られ、これは非常に優れた実施形態において、使用において感圧接着剤層のみでなり(いわゆる転写式接着テープ)、それ以前の取り扱い、仕上げ加工および市場での販売のため片側または両側に一時的支持材を備え、特にロールに巻き上げられている。
【0062】
そうした転写式接着テープを製造するには、上述のように得られるポリアクリラートを、有利には一時的支持材(特に非接着性のおよび/または非接着性に装備された材料(いわゆる被覆材、分離材、剥離材または(剥離)ライナ))、例えばシリコーン処理紙、フィルムまたは同等物、の上に所望の層厚で塗工する。原理的には、全てのポリアクリラート・感圧接着剤に適した剥離材を使用できる。
【0063】
異なる種類の2層の(感圧)接着剤層が付き、そのうち少なくとも1層が本明細書に記載された(本発明の)感圧接着剤層である接着テープもまた製造できる。前記感圧接着剤層は、互いに直接重なっていても(2層接着テープ)、2層の感圧接着剤層の間に、選択で1ないし複数のさらなる層、例えば支持体層あるいは同等物があってもよい(多層構造)。
【0064】
ポリアクリラートの架橋は、好ましくは支持体材上の層内で行われる。感圧接着剤は、好ましくは記述された使用目的に感圧接着剤を使用するのに適した感圧接着性であるように調整される。これは、本発明においては、好ましくは、ポリアクリラートの架橋度を適切に選ぶことにより行われる。ポリアクリラートは、ここで、指定されたパラメータの実現に必要な架橋度まで架橋する。これにより特に感圧接着剤の凝集性および接着性、ならびにその流れ特性が制御できる。
【0065】
非常に好ましい手順によれば、ポリアクリラートの架橋を熱的に(すなわち熱エネルギーを加えて)行うことができ、ここに非常に好ましい場合は、架橋温度を最高90℃、非常に好ましくは最高60℃とし、またこのとき特に、この温度で、滞留時間を最長2分、非常に好ましくは最長1分に制限する。このとき、とりわけ、90℃の最高架橋温度と、1分の最長架橋時間を、あるいはまた有利に60℃の最高架橋温度と、2分の最長架橋時間を組み合わせることができる。
【0066】
熱架橋のために、本発明の感圧接着テープは、好ましくは乾燥用トンネル中に通される。前記乾燥用トンネルは、2つの機能を果たす。一つには、アクリラート感圧接着剤を溶媒により塗工した場合に、溶媒を除去する。これは通常、乾燥気泡を避けるため段階的に加熱して行う。もう一つには、ある乾燥度に達したなら、熱を用いて熱架橋を開始する。必要な熱投入量は、架橋剤システムに依存する。例えば、金属キレート架橋は、90℃という非常に低い温度でも、非常に好ましくは60℃、かつ特に乾燥用トンネル中での短い接触時間(好適には最長2分、好ましくは最長1分)で実施できる。
【0067】
これに対しエポキシ架橋では、より長い架橋時間および100℃あるいはそれ以上の温度が、乾燥用トンネル中で効率的な架橋を実現するのに必要である。さらに、熱投入量は、乾燥用トンネル長さ、ならびにウェブ速度により制御される。
【0068】
架橋剤として、もっぱらまたは部分的にアルミニウム・キレート化合物が使用されると、光学的接着に使用するのに極めて適性のある本発明の接着テープが製造できることが明らかにされた。この化合物は、他の架橋剤と対照的に、黄変の傾向が無く、したがって非常に清澄な製品となる。アルミニウム・キレートにより架橋されたポリアクリラートは、時間が経っても(例えば長期貯蔵においても)、後架橋や老化の傾向が無いので、製品特性が非常に長い期間保たれる。加えて、アルミニウム・キレートによる架橋反応には、非常に温和な温度が活性化に必要であるので(上記参照)、支持体、ライナ等の接着テープ構成要素に不利な影響を与える危険性がない(温度がさらに高いと、例えば支持体および/またはライナに、例えば収縮や歪み等の損傷を与え得る)。したがって、品質的に非常に高価値な、均質な(特に高い光学的品質を有する)製品が製造できる。
【0069】
原則的には、本発明の接着テープは、UV照射による架橋によっても得ることができるが、この架橋は、他の架橋法への代替法としても追加法としても実施することができる。
【0070】
UV架橋は、使用されるUV光開始剤に応じて、波長領域200〜400nmでの短波長の紫外線照射によって、特に高圧または中圧水銀ランプを出力80〜400W/cmで用いてなされる。照射強度は、UV光開始剤のそれぞれの量子収率、および調整する架橋度に合わされる。照射条件(特に照射の種類、強度、線量および時間)は、架橋するポリアクリラートのそれぞれの化学組成に合わせ、とりわけ架橋されたポリアクリラートの必要なパラメータ値が達成され、ポリアクリラートが所望の用途に要求される適性を示すようにする。以下の記載値は、制御することが有利であるパラメータ領域の指針値として有効である。
【0071】
UV−Cの線量は、有利には50〜200mJ/cm2、好ましくは75〜150mJ/cm2が照射される。この線量は、Eltosch社のUV線量計で測定された。線量は、一つにはUV照射器の出力により変えられ、あるいは照射時間により、これはまたウェブ速度により制御される。本発明においては、好ましくは低い照射強度(200mJ/cm2未満のUV−C)が、照射される。これにより、感圧接着剤表面の固化が避けられ、照射された領域で、本発明の効果に必要な弾性が維持される。低すぎる照射線量は、反対に感圧接着剤の架橋不足を生じる。UV架橋用のウェブ速度は、好ましくはUV照射器の照射強度に応じて、1から50m/minの間である。
【0072】
正しいUV線量に調節するのには、照射器出力をウェブ速度および/または感圧接着テープの種類に適合させるのが適切である。
【0073】
UV架橋された接着剤の架橋反応を制御するために、300nm未満の波長領域の硬いUV−C光線に限定するのが好まれる。硬いUV−C光線を主に使用することにより、感圧接着剤表面上での高い架橋収率が得られる。深い感圧接着剤層は、短波長の照射により架橋が弱くしかなされない。したがって、本発明の方法に対しては、UV照射は、UV−C光線の他、非常に好ましくはUV−AおよびUV−B光線部分をも含む。
【0074】
さらに、空気中の酸素を遮断して照射ができる。このためには、感圧接着テープがUV照射前に被覆されるか、照射トンネルに不活性ガス、例えば窒素が流される。
【0075】
適したUV照射機器は、例えばEltosch社、Fusion社およびIST社により製造されている。さらに、ドープしたガラスを、特定の光線領域をフィルターで除去するために使用できる。
【0076】
とりわけ上述の方法により、および格別に熱架橋により、非常に平滑な接着テープを製造することに成功した。本発明の接着テープならびに本発明により使用される接着テープは、基材および剥離材表面品質とほとんど関係なく、光学的欠陥を発生させることなく、容易かつ欠陥のない加工することができる。
【0077】
流動性が良いので、接着する基材の表面に極めてよくなじむことができる。しかしながら、凝集力が十分に高いので、良好な接着強度が確保される。ポリアクリラートの弾性成分Aelastは、少なくとも60%である(剪断移動量測定)。
【0078】
好ましくは、取り付けられた剥離材を除去したとき露出した、本発明の接着テープならびに本発明により使用される接着テープの接着層の表面は、取り付けられた剥離材の除去後10秒の時間内に、平均粗さRa,10sが、接着剤層に取り付けられた剥離材の表面の平均粗さRa,0の70%以下、好ましくは60%以下である;ここで、剥離材を除去して露出した接着層の時間0の平均粗さRa,0(剥離材除去直後:初期値)は、接着剤層に取り付けた剥離材の表面の粗さと同じであることを前提としている。
【0079】
本発明の接着テープおよび本発明により使用される接着剤は、露出している感圧接着剤層の表面粗さが、剥離フィルムの除去後24時間の間に、初期値の、最高でも55%、好ましくは最高でも50%、さらに好ましくは最高でも45%、さらにまた好ましくは最高でも40%である平均粗さRa,24hの値に減少するのが特に好ましい。
【0080】
好ましい接着剤は、示された時間経過で上述の2状態を取ることができる。
【0081】
本発明の接着テープならびに本発明により使用される接着テープは、例えば保存するため、あるいは市場に出すために、好ましくは片面あるいは両面を剥離材で被覆されるが、その平均粗さRの値は、350nm、好ましくは300nm、さらに好ましくは150nmを超えない。これにより、接着剤層は、使用時に光学的使用に対して十分な平滑性を有することが保証される。平均粗さRが1nmまで、あるいはそれより小さい非常に平滑な剥離材を使用することで、接着フィルムの平滑度を最適化できる。
【0082】
特に光学的応用に対しては、感圧接着剤は、好ましくは、250μmの層厚まで、好ましくは300μmの層厚まで、透過性(入射光強度に対する出射光強度、単位%)が少なくとも95%(空気/接着剤および接着剤/空気の境界面移行での反射損失をあらかじめ除去した値)あるいは少なくとも89%(絶対的入射光強度に対する出射光強度;入射光強度から空気/接着剤および接着剤/空気の境界面移行で反射した成分を減じていない;CIE標準13.3−1995による白色光C)に調整された層である。さらに有利には、前記感圧接着剤は、ヘイズ値(ASTM D 1003)が最高でも5%あるいはそれ以下である。
【0083】
本発明の接着テープは、とりわけ恒久的接着、すなわち接着結合が長期間持続しなくてはいけない接着に非常に適している。接着はまた大面積で行われてもよく、大きな重量をかけることもできる。このことは、接着対象あるいは基材はしばしば大重量であるので、多くの用途、例えばガラス板の接着、に対して有利である。さらに、本発明の接着テープは、高温での良好な耐性を示す。本発明の接着テープは、接着面が水平平面状に位置せず、例えばLCDテレビやプラズマテレビのガラスやガラス板の接着用に、例えば垂直平面状に向けられる用途への使用にも適している。特に、このとき、こうした機器は垂直な形で使用され、長期間40℃およびそれ以上の温度にも昇温する可能性があるので、十分に大きな凝集力も必要となる。
【0084】
本発明の接着テープならびに本発明により使用される接着テープの架橋ポリアクリラートは、損失係数(tanδ値)が0.2〜0.4であることを特徴とする弾性、さらに、マイクロ剪断移動量試験での最大変位xmaxが、200〜600μmであることを特徴とする剪断強度、またマイクロ剪断移動量試験で求められるポリアクリラート中の弾性成分が少なくとも60%であることを特徴とする回復力を示す。
【0085】
高い凝集力および高い流動性を有し、驚くべきことに、剥離材を重ねることで生じる表面粗さの陰型効果を埋め合わせることのできる本発明の感圧接着剤およびこれにより製造された接着テープを提供することができる。これらの製品はこのため、光学領域においての優れた接着、ならびに非常に良好なラミネーションを可能にする。
【実施例】
【0086】
実験の部
ポリアクリラートの重合
例1(本発明による)
ラジカル重合用従来型の200L反応器に、4900gのアクリル酸、51kgの2−エチルヘキシルアクリラート、14kgのメチルアクリラートおよび53.3kgのアセトン/ベンジン/イソプロパノール(48.5:48.5:3)を充填した。窒素ガスを撹拌下で45分間通気した後、反応器を58℃まで昇温し、40gの2,2’−アゾイソブチロニトリル(AIBN)を加えた。続いて外部熱浴を75℃まで加熱し、反応をこの一定の外部温度で実施した。1時間の反応時間後、再度40gのAIBNを加えた。5時間後および10時間後、それぞれ15kgのアセトン/イソプロパノール(90:10)で希釈した。6および8時間後、それぞれ100gのペルオキシ二炭酸ジシクロヘキシル(Perkadox16(登録商標)、Akzo Nobel社)をそれぞれ800gのアセトンに溶解して加えた。反応は24時間の反応時間後終結して、室温まで冷却した。GPC分析の結果は、M507000g/molを示した。
【0087】
例2(本発明による)
ラジカル重合用従来型の200L反応器に、4900gのアクリル酸、51kgの2−エチルヘキシルアクリラート、14kgのメチルアクリラートおよび53.3kgのアセトン/ベンジン/イソプロパノール(48.5:48.5:2)を充填した。窒素ガスを撹拌下で45分間通気した後、反応器を58℃まで昇温し、40gの2,2’−アゾイソブチロニトリル(AIBN)を加えた。続いて外部熱浴を75℃まで加熱し、反応をこの一定の外部温度で実施した。1時間の反応時間後、再度40gのAIBNを加えた。5時間後および10時間後、それぞれ15kgのアセトン/イソプロパノール(90:10)で希釈した。6および8時間後、それぞれ100gのペルオキシ二炭酸ジシクロヘキシル(Perkadox16(登録商標)、Akzo Nobel社)をそれぞれ800gのアセトンに溶解して加えた。反応は24時間の反応時間後終結して、室温まで冷却した。GPC分析の結果は、M812000g/molを示した。
【0088】
例3(本発明による)
本発明の例2と同様に行われた。
【0089】
例4(本発明による)
本発明の例2と同様に行われた。
【0090】
例5(本発明による)
本発明の例2と同様に行われた。
【0091】
例6(本発明による)
ラジカル重合用従来型の200L反応器に、2.4kgのアクリル酸、38.8kgの2−エチルヘキシルアクリラート、38.8kgのn−ブチルアクリラートおよび60kgのアセトン/イソプロパノール(99:4)を充填した。窒素ガスを撹拌下で45分間通気した後、反応器を58℃まで昇温し、20gの2,2’−アゾイソブチロニトリル(AIBN)を加えた。続いて外部熱浴を75℃まで加熱し、反応をこの一定の外部温度で実施した。1時間の反応時間後、再度20gのAIBNを加えた。反応を72時間後に終結し、室温まで冷却した。GPC試験法によれば、分子量MW=780000g/molであった。
【0092】
例7(本発明による)
ラジカル重合用従来型の200L反応器に、9.6kgのアクリル酸、45.4kgの2−エチルヘキシルアクリラート、25.0kgのn−ブチルアクリラートおよび60kgのアセトン/イソプロパノール(99:4)を充填した。窒素ガスを撹拌下で45分間通気した後、反応器を58℃まで昇温し、20gの2,2’−アゾイソブチロニトリル(AIBN)を加えた。続いて外部熱浴を75℃まで加熱し、反応をこの一定の外部温度で実施した。1時間の反応時間後、再度20gのAIBNを加えた。反応を72時間後に終結し、室温まで冷却した。GPC試験法によれば、分子量MW=786000g/molであった。
【0093】
参照例1
ラジカル重合用従来型の200L反応器に、3.2kgのアクリル酸、38.4kgの2−エチルヘキシルアクリラート、38.4kgのn−ブチルアクリラートおよび60kgのアセトン/イソプロパノール(99:1)を充填した。窒素ガスを撹拌下で45分間通気した後、反応器を58℃まで昇温し、20gの2,2’−アゾイソブチロニトリル(AIBN)を加えた。続いて外部熱浴を75℃まで加熱し、反応をこの一定の外部温度で実施した。1時間の反応時間後、再度20gのAIBNを加えた。反応を72時間後に終結し、室温まで冷却した。GPC試験法によれば、分子量MW=1625000g/molであった。
【0094】
参照例2
ラジカル重合用従来型の200L反応器に、9.6kgのアクリル酸、35.2kgの2−エチルヘキシルアクリラート、35.2kgのn−ブチルアクリラートおよび60kgのアセトン/イソプロパノール(99:1)を充填した。窒素ガスを撹拌下で45分間通気した後、反応器を58℃まで昇温し、20gの2,2’−アゾイソブチロニトリル(AIBN)を加えた。続いて外部熱浴を75℃まで加熱し、反応をこの一定の外部温度で実施した。1時間の反応時間後、再度20gのAIBNを加えた。反応を72時間後に終結し、室温まで冷却した。GPC試験法によれば、分子量MW=1710000g/molであった。
【0095】
参照例3
ラジカル重合用従来型の200L反応器に、5.6kgのアクリル酸、16kgのメチルアクリラート、および58.4kgの2−エチルヘキシルアクリラート、および60kgのアセトン/イソプロパノール(90:10)を充填した。窒素ガスを撹拌下で45分間通気した後、反応器を58℃まで昇温し、40gの2,2’−アゾイソブチロニトリル(AIBN)を加えた。続いて外部熱浴を75℃まで加熱し、反応をこの一定の外部温度で実施した。1時間の反応時間後、再度40gのAIBNを加えた。反応を12時間後に終結し、室温まで冷却した。GPC試験法によれば、分子量MW=188000g/molであった。
【0096】
参照例4
ラジカル重合用従来型の200L反応器に、5.6kgのアクリル酸、16kgのメチルアクリラート、および58.4kgの2−エチルヘキシルアクリラート、および60kgのアセトン/イソプロパノール(98:2)を充填した。窒素ガスを撹拌下で45分間通気した後、反応器を58℃まで昇温し、20gの2,2’−アゾイソブチロニトリル(AIBN)を加えた。続いて外部熱浴を75℃まで加熱し、反応をこの一定の外部温度で実施した。1時間の反応時間後、再度20gのAIBNを加えた。反応を72時間後に終結し、室温まで冷却した。GPC試験法によれば、分子量MW=1580000g/molであった。
【0097】
参照例5
ラジカル重合用従来型の200L反応器に、2800gのアクリル酸、10.5kgのシクロヘキシルメタクリラート、56.7kgのブチルアクリラート、および53.3kgのアセトン/ベンジン/イソプロパノール(48.5:48.5:2)を充填した。窒素ガスを撹拌下で45分間通気した後、反応器を58℃まで昇温し、40gの2,2’−アゾイソブチロニトリル(AIBN)を加えた。続いて外部熱浴を75℃まで加熱し、反応をこの一定の外部温度で実施した。1時間の反応時間後、再度40gのAIBNを加えた。5時間後および10時間後、それぞれ15kgのアセトン/イソプロパノール(90:10)で希釈した。6および8時間後、それぞれ100gのペルオキシ二炭酸ジシクロヘキシル(Perkadox16(登録商標)、Akzo Nobel社)をそれぞれ800gのアセトンに溶解して加えた。反応は24時間の反応時間後終結して、室温まで冷却した。GPC分析の結果は、M1230000g/molを示した。
【0098】
参照例6
ラジカル重合用従来型の200L反応器に、1400gのアクリル酸、58,8kgの2−エチルヘキシルアクリラート、9,8kgのイソボルニルアクリラート、および53.3kgのアセトン/ベンジン/イソプロパノール(49.5:49.5:1)を充填した。窒素ガスを撹拌下で45分間通気した後、反応器を58℃まで昇温し、40gの2,2’−アゾイソブチロニトリル(AIBN)を加えた。続いて外部熱浴を75℃まで加熱し、反応をこの一定の外部温度で実施した。1時間の反応時間後、再度40gのAIBNを加えた。5時間後および10時間後、それぞれ15kgのアセトン/イソプロパノール(90:10)で希釈した。6および8時間後、それぞれ100gのペルオキシ二炭酸ジシクロヘキシル(Perkadox16(登録商標)、Akzo Nobel社)をそれぞれ800gのアセトンに溶解して加えた。反応は24時間の反応時間後終結して、室温まで冷却した。GPC分析の結果は、M1840000g/molを示した。
【0099】
試験サンプル用接着フィルムの製造
ポリアクリラート含有溶液に、それぞれ以下に示す量(重量部)の架橋剤(トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III) = アルミニウム−(III)−アセチルアセトナート)を、それぞれポリアクリラート(固体)100重量部に対して加えた(架橋剤はイソプロパノール中の3%溶液で使用)。続いてイソプロパノールで、固体含量30%に希釈した。
【0100】
そうして得られた各々のポリマー溶液をシリコーン処理した50μm厚さのポリエステルフィルムに塗布した。溶媒を室温で蒸散させた後、以下の条件下で乾燥炉中で乾燥したところ、架橋が生じた。
【0101】
【表1】

【0102】
接着剤の層厚は、乾燥後でそれぞれ50μmであった。ポリアクリラート層の開放面にシリコーン処理した50μm厚さのポリエステルフィルムを貼り合せた。
【0103】
最初のシリコーン処理ポリエステルフィルムに接している表面を、ポリアクリラート層のB面と呼び、第2のシリコーン処理ポリエステルフィルムが貼られている表面を、ポリアクリラート層のA面と呼ぶ。
【0104】
本発明の例の検査のために、上述したように接着テープの各面に2枚の異なるフィルムの付いたサンプルが製造された(各例ごとにフィルムA1およびB1の付いたサンプルと、フィルムA2およびB2の付いたサンプル):
接着剤A面の剥離フィルムのRa(nm)
剥離フィルムA1:R=10.4nm;
剥離フィルムA2:R=28.7nm
接着剤B面の剥離フィルムのRa(nm)
剥離フィルムB1:R=13.6nm
剥離フィルムB2:R=31.3nm
【0105】
分析方法
A.剪断移動量
被験接着フィルムから試験サンプル(長さ50mm、幅10mm)を切り出す。この試験サンプルから、シリコーン処理したポリエステルフィルムを剥がす。
【0106】
前記試験サンプルは、あらかじめアセトンで清浄にした鋼板の上に、鋼板が接着テープの左右に突出し、接着テープが鋼板を上縁で距離が2mmだけ突出するように、開放されたポリアクリラート層側を貼り付ける。鋼板上のポリアクリラート層の接着面は、高さx幅=13mmx10mmである。接着箇所は、続いて2kgの鋼製ロールで6回転圧して、強固に接着させる。
【0107】
試験サンプルは、上縁でフィルム側に面一に、板紙製のしっかりした強化テープを設け、この上に移動量測定センサ(変位センサ)を置く。このサンプルを鋼板により垂直に吊るす。
【0108】
測定条件は、温度が40℃で、その他は標準状態が選ばれる。測定する試験サンプルは、下端にクランプ(クランプの自重6.3g)で500gの重りをかけ(全負荷506.3g)、15分の時間Δt負荷をかける。ポリアクリラート層が、鋼板および安定化フィルムに強固に接着しているので、ポリアクリラート層に剪断力が働く。一定温度下の所定の時間後の移動量測定センサの最大変位xmaxが結果として単位μmで示される。
【0109】
負荷時間Δtの経過後、重りおよびクランプが外されると、緩和によりポリアクリラート層の逆方向運動が生じる。同様に15分間の負荷解放時間Δt後、移動量測定センサ残留変位xminが測られる。
【0110】
ポリアクリラートの弾性成分Aelastは、次式でパーセントで与えられる。
【0111】
【数4】

【0112】
B.レオメータ測定
測定は、Rheometrics Dynamic Systems社のレオメータのモデル「RDA II」で、プレート・プレート構成によって実施した。サンプル直径8mm、サンプル厚さ1mmの円形サンプルを測定した。前記サンプルは、上述のように製造された接着フィルムの20層からそれぞれの支持体材をこのために取り除いて、上下に貼り合わせて、支持体のない1mm厚の接着フィルムを得て、これから円形サンプルを打ち出して得ることができた。
【0113】
測定条件:温度は25℃、それ以外は標準状態、剪断負荷の振動周波数は0.1rad/秒。
【0114】
C.光学的評価
被験接着フィルムのA面からシリコーン処理した剥離フィルムを除去した。175μm厚のポリメチルメタクリラートフィルム(PMMAフィルム)を接着フィルムの開放された面に貼り合せた。つぎに、第2のシリコーン処理した剥離フィルムを接着フィルムのB面から剥がして、第2の175μm厚のPMMAフィルム(Plexiglas Superclear(登録商標))を、こちらの面にも貼り合せた。
【0115】
そのように調製されたポリアクリラート層およびPMMAフィルムでなる複合体から、25枚の正方形の試験サンプル(各辺長さ20cm)を切り出して、視覚的に(肉眼で)それぞれの上面と下面の光学的欠陥を検査した。全ての知覚された異常は記録し、計数された。25枚の試験サンプルの結果から平均欠陥数(上面および下面の計数された欠陥の合計の算術平均)を求め、平方メートルあたりの欠陥の数に規格化した(規格化平均欠陥数n*)。フローマーク、空気封入、窪み、細溝、その他ヒトの眼でまだ知覚できる全ての異常を欠陥とした。
【0116】
D.分子量測定
重量平均分子量Mを、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した。溶離剤には、0.1体積%のトリフルオロ酢酸の入ったTHFを使用した。測定は25℃で行った。プレカラムには、PSS−SDV、5μ、103Å、ID8.0mmx50mmを使用した。分離には、カラムPSS−SDV、5μ、103ならびに10および10それぞれID8.0mmx300mmを使用した。サンプル濃度は4g/L、流量は1.0mL/分であった。標準PMMAに対して測定した(μ=μm、1Å=10−10m)。
【0117】
E.表面粗さ
試験する接着フィルム表面から剥離材を除去し、サンプルは、場合により長期の測定用に、指定された時間の間、開放された面を上に向けて平らに開放したまま保存した(クリーンルーム環境中、標準状態下)。
【0118】
320μmx320μmの面の対角線について、対象区画として共焦点顕微鏡(Nanofocus μscanモデル)を用いて表面形状を測定し、これから表面粗さを特徴づける平均粗さRを求めた。
【0119】
平均粗さRは、表面上の測定点と中心線の平均距離を示す。前記中心線は、対象区画内において、中心線に対しての輪郭の偏移の合計が最小になり、これがしたがって中心線からのあらゆる偏移の算術平均に対応するように実際の輪郭と交わる。
【0120】
平均粗さRは、時間tが10秒後、ならびに保存時間tが24時間後(それぞれ剥離材除去後の時間)に測定した。時間t後の相対粗さR*a,tは、剥離フィルムの粗さと同じである、被覆された状態の平均粗さRa,0(時間t=0)に対する、時間t後の測定平均粗さRa,tにあたる。
【0121】
【数5】

【0122】
平均粗さの経時変化ΔRは、下記のように定義される。
【0123】
【数6】

【0124】
結果
次表に、前記分析方法による結果がまとめられている。
【0125】
【表2】

【0126】
本発明の接着テープは、重量平均分子量は低いが、凝集力は高い。参照例では、なべて分子量が非常に高い(>1000000g/mol)ので、凝集力も比較的高い。このため、マイクロ剪断試験における剪断強度も十分高いが、表面粗さは非常に高いままである。高い分子量により、弾性成分も同様に60%を超える。比較例3は例外であり、分子量が非常に低く(<200,000g/mol)、このため凝集力の水準も非常に低い。その際、高い流動性のため弾性成分は、求められなかった。
【0127】
PMMAを貼り合せた試験サンプルの光学的評価の結果、本発明の接着テープは欠陥数が10欠陥/m程度と非常に少なかった。この判定は、質的にかなり大雑把であるとはいえ、測定結果から、参照サンプルの欠陥数は有意に異なっており、とりわけ少なくとも2倍多いことが明確に見て取れる。またその結果からアルミニウム・キレート架橋が非常に低い温度でも行うのが可能であることが汲み取れる。マイクロ剪断試験での凝集力の水準は、実質的に変動せず、弾性成分も60%超で比較的に一定である。さらに、温和な熱架橋によると、さらに良い結果が得られることが分かる。特に例3、4および5では、欠陥数/mが非常に小さい(<10欠陥/m)。
【0128】
以下の表は、本発明の例に対する接着剤表面粗さの経時変化の検査(分析方法E)の測定値を示す。
【0129】
【表3】

【0130】
【表4】

【0131】
表から、全ての本発明の例で表面粗さ(平均粗さR)が明瞭に減少しているのが明らかとなる。剥離フィルムの除去直後の値(10秒値)は、60%以下である。24時間待つと、値は既に50%以下に低下する。続く表中の参照例では、剥離フィルムをすぐに除去した後、あるいは24時間後の値は、これに反し、全て明らかに高くなっている。参照例3でのみ、本発明の例の目標値に達している。これは、この参照例の低い粘度で説明できる。既述した剪断強度測定は、しかしながら、参照例3では、非常に良好で安定した光学的接着を行うには低すぎる凝集力が測定されたことも示した。
【図1a−1d】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着テープによる光学部品の接着方法において、
前記接着テープが、重量平均分子量Mが200000≦M≦1000000g/molの範囲にあるポリアクリラート系の感圧接着剤の少なくとも1層を有し、前記ポリアクリラートが、少なくとも下記に列挙する成分:
(a)55〜92重量%の1種または複数種の、
一般式CH=CH−COOR
のアクリルモノマー、
ここに、Rは、C4〜C14の炭化水素残基を意味し、とりわけ、
ここに、さらに、成分(a)のモノマーのホモポリマーのガラス転移温度TG,aH(DIN 53765:1994−03によるガラス転移温度値Tとして定義される)が、−20℃以下であり、
あるいは、ここに、成分(a)のモノマーのコポリマーのFox式によるガラス転移温度TG,aCが、−20℃以下である、
(b)5〜30重量%の1種または複数種の共重合性モノマー、
ここに、成分(b)のモノマーのホモポリマーのガラス転移温度TG,bH(DIN 53765:1994−03によるガラス転移温度値Tとして定義される)が、0℃以上であり、
あるいは、ここに、成分(b)のモノマーのコポリマーのFox式によるガラス転移温度TG,bCが、0℃以上である、
(c)3〜15重量%の1種または複数種の共重合性の、ポリアクリラートの架橋反応を促進するモノマー、
のラジカル共重合によって得られ、
ここに、前記ポリアクリラートが、架橋されており、
ここに、前記架橋ポリアクリラートが、損失係数(tanδ値)が0.2〜0.4であることを特徴とし、
ここに、前記架橋ポリアクリラートが、ミクロ剪断移動量試験での最大変位xmaxが200〜600μmであることを特徴とする剪断強度を有し、
ここに、前記架橋ポリアクリラートが、ミクロ剪断移動量試験で求められるポリアクリラート中の弾性成分が少なくとも60%であることを特徴とする、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
成分(b)として、少なくとも部分的に1種または複数種の、
一般式CH=C(R)−COOR
のアクリルおよび/またはメタクリルモノマーが使用され、ここにR=HまたはR=CHであり、またRは、少なくともC6の炭化水素残基を意味し、これらモノマーに対し、成分(b)に対して述べたガラス温度に関する前提が満たされている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接着テープには支持体が無いことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記接着テープが前記感圧接着剤層で形成されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
成分(c)として、少なくとも部分的に1種または複数種の、
一般式CH=C(R)−COOR
のアクリルおよび/またはメタクリルモノマーが使用され、ここに、R=HまたはR=CHであり、またここに、R=Hであるか、Rが、ポリアクリラートの架橋反応を可能にする、および/または、これを促進する官能基を有するアルキル基を意味することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
成分(c)のモノマーのホモポリマーのガラス転移温度TG,cH(DIN 53765:1994−03によるガラス転移温度値Tとして定義される)が、0℃以上であり、
あるいは、ここに、成分(c)のモノマーのコポリマーのFox式によるガラス転移温度TG,cCが、0℃以上である、
ことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
架橋が熱的に開始されて実施されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
架橋開始剤としてアルミニウム・キレートが加えられることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
架橋時の温度が90℃、好ましくは60℃を超えないことを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
成分(c)として、少なくとも部分的に1種または複数種の共重合性光開始剤が使用されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
重量平均分子量Mが200000≦M≦1000000g/molの範囲にあるポリアクリラート系の感圧接着剤の少なくとも1層を有する接着テープであって、
ここに前記ポリアクリラートが、少なくとも下記に列挙する成分:
(a)55〜92重量%の1種または複数種の、
一般式CH=CH−COOR
のアクリルモノマー、
ここに、Rは、C4〜C14の炭化水素残基を意味し、
ここにさらに、成分(a)が1種のモノマーのみを含むときは、成分(a)のモノマーのホモポリマーのガラス転移温度TG,aH[DIN 53765:1994−03によるガラス転移温度値Tとして定義される(2.2.1項参照)]が、−20℃以下であり、
あるいは、成分(a)が1種より多いモノマーを含むときは、成分(a)のモノマーのコポリマーのFox式によるガラス転移温度TG,aCが、−20℃以下であり、このとき算定には成分(a)の各モノマーのホモポリマーのDIN 53765:1994−03(2.2.1項参照)によるガラス転移温度値TがFox式に用いられ;
(b)5〜30重量%の1種または複数種の共重合性モノマー、
ここに、成分(b)が1種のモノマーのみを含むときは、成分(b)のモノマーのホモポリマーのガラス転移温度TG,bH[DIN 53765:1994−03によるガラス転移温度値Tとして定義される(2.2.1項参照)]が、0℃以上であり、
あるいは、成分(b)のモノマーのコポリマーのFox式によるガラス転移温度TG,bCが、0℃以上であり、このとき算定には成分(b)の各モノマーのホモポリマーのDIN 53765:1994−03(2.2.1項参照)によるガラス転移温度値TがFox式に用いられ;
(c)3〜15重量%の1種または複数種の共重合性の、ポリアクリラートの架橋反応を促進するモノマー;
の重合生成物であり、
ここに、前記ポリアクリラートが、架橋されており、
ここに、前記架橋ポリアクリラートが、損失係数(tanδ値)が0.2〜0.4である特徴を有し、
ここに、前記架橋ポリアクリラートが、ミクロ剪断移動量試験での最大変位xmaxが200〜600μmであることを特徴とする剪断強度を有し、
またここに、前記架橋ポリアクリラートが、ミクロ剪断移動量試験で求められるポリアクリラート中の弾性成分が少なくとも60%であることを特徴とする、接着テープ。

【公表番号】特表2012−531498(P2012−531498A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518064(P2012−518064)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058607
【国際公開番号】WO2011/000716
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(509120403)テーザ・ソシエタス・ヨーロピア (118)
【Fターム(参考)】