感圧接着剤の適用のための両親媒性シリコーンコポリマー
両親媒性コポリマーを含むシリコーン感圧接着剤組成物。上記両親媒性コポリマーは、ポリジメチル水素シロキサンまたはポリジメチルシロキサンベースのマクロイニシエーターに基づく。上記感圧接着剤組成物を含む医療装置であって、上記装置をヒトの皮膚または組織に固定するための医療装置。本発明は、ポリ(ジメチルシロキサン)−ポリ(無水マレイン酸−ビニルエチルエーテル)(PDMS/MA/VEE)の1つまたはそれより多くの両親媒性コポリマーおよび一緒にブレンドされるシリコーンゲル接着剤を含む感圧接着剤を含む。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
シリコーン感圧接着剤は、経皮的な薬剤送達、創傷包帯剤、瘢痕包帯剤、および他の健康管理の適用において広く使用される。これらの接着剤は、一般に、シリケート樹脂とポリジメチルシロキサン(PDMS)流体との縮合産物、またはビニルおよび水素化物含有PDMSとヒドロシリル化反応によって硬化したシリケート樹脂との反応性ブレンドである(非特許文献1)。これらの接着剤は、生体適合性で皮膚にやさしく、そして環境が乾燥しているときに医療装置を身体にしっかりと接着させる。しかしながら、皮膚の発汗中のような湿潤条件下では、疎水性シリコーン接着剤は、皮膚に対するその粘着性を失い、そのことは、包帯剤が時期尚早に身体からはずれることをもたらし得る。
【0002】
水分の存在下での皮膚に対するこれらの接着剤の粘着性を改善する必要性がある。慣習的に、皮膚接着剤における湿潤環境下での粘着性は、感圧接着剤に水を吸収する充填剤(filler)(例えば、ヒドロコロイド)を添加することにより達成されている。ヒドロコロイド充填剤は、水分を吸収し、軟化し、湿潤粘着力(wet tack)を提供し、それにより皮膚に対する粘着性をより長く改善する。しかしながら、このアプローチの不利な点は、硬い充填剤の存在に起因する接着剤の乾燥剥離強度(dry peel strength)および粘着力特性における低減である。さらに、上記充填剤の水に対する親和性に起因して、充填剤は溶解し、接着剤から浸出し、包帯剤の除去後に粘液性の残留物を皮膚上に残し得る。
【0003】
湿潤環境下でのシリコーン接着剤の粘着性を改善、および以前のアプローチの欠点を克服するために、本アプローチは、適切な両親媒性シリコーンコポリマーをシリコーン感圧接着剤に添加することである。このような適用に適した理想的な両親媒性シリコーンコポリマーは、高い凝集力、高い透湿度(MVTR)、表面に対する高い感圧粘着性を有し、湿潤条件下であっても粘着性を維持するべきであり、構成要素を浸出すべきでもなく、残留物を残すべきでもない。市販の両親媒性シリコーンコポリマーは、一般に、グラフトポリ(エチレングリコール)に基づく。これらのコポリマーは、一般に、界面活性剤または消泡剤(defoamer)として使用される低分子量液体である。このような低分子量コポリマーの添加は、湿潤条件下での表面移動に起因して接着剤性能に影響し得、粘着性の低減をもたらし得る。
【0004】
いくつかの両親媒性シリコーンコポリマーは、文献に報告されている。最近、G.EdrodiおよびJ.P.Kennedyは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)とポリジメチルシロキサン(PDMS)との両親媒性コネットワークの合成を公開した(非特許文献2)。両親媒性コネットワークは、水およびヘキサン中での膨張を示し、両連続(bi−continuous)相を示した。
【0005】
Yildizらは、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリ(ジメチルシロキサン)−ポリ(ビニルピロリドン)のブロックコポリマーを合成した(非特許文献3)。彼らは、ジイソシアネート末端PDMSを調製し、これは次に、過酸化t−ブチルでエンドキャップされた。これは、N−ビニルピロリドン重合のためのマクロイニシエーターとして使用された。結果として生じるコポリマーは、ホモポリマーであるポリ(ビニルピロリドン)よりも低いガラス転移温度(Tg)を示した。
【0006】
Graiverらは、銅レドックス系の存在下でのビニル共重合のために反応部位としてアルデヒド官能性シリコーンを使用した(非特許文献4)。ポリメタクリル酸およびポリアクリル酸を含むいくつかのグラフトコポリマーおよびブロックコポリマーは、シリコーンポリマーに組み込まれた。これらの極性セグメントは、t−ブチルエステルで置換されたポリアクリレートセグメントの熱分解によって形成された。
【0007】
Yilgorらは、ポリカプロラクトン−PDMSのトリブロックコポリマー、およびポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)−PDMSを合成した(非特許文献5)。カプロラクトンに対してヒドロキシル末端PDMSがマクロイニシエーターとして使用され、オキサゾリンコポリマーに対して塩化ベンジル末端PDMSが使用された。約30%〜約50%のシリコーン含有量を有する、結果として生じるコポリマーは、プラスチック(例えば、PET、PMMA、およびポリウレタン)の表面張力を低減することが示された。
【0008】
Yildizらは、ジアクリレート末端PDMSを架橋剤として用いてポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)ヒドロゲルを合成した(非特許文献6)。結果として生じるヒドロゲルは、従来の架橋剤であるN,N’−メチレンビス−アクリルアミドと比較して、より高い圧縮弾性率を有することが見出された。これは、ネットワークにおけるPDMSセグメント間の疎水性相互作用によるものであった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Dow Corning Literature, Silicone Pressure Sensitive Adhesives (2002)
【非特許文献2】G.Edrodi and J.P.Kennedy,J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.,43,4954−4963(2005)
【非特許文献3】J.C.Kim,M.Song,S.Park,E.Lee,M.Rang,and H.Ahn,J.Appl.Polym.Sci.,85,2244−2253(2002)
【非特許文献4】D.Graiver,G.T.Decker,Y.Kim,F.J.Hamilton,and H.J.Harwood,Silicon Chemistry,1,107−120(2002)
【非特許文献5】I.Yilgor,W.P.Steckle,E.Yilgor,R.G.Freelin,and J.S.Riffle,J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.,27,3673−3690(1989)
【非特許文献6】Y.Yildiz,N.Uyanik,and C.Erbil,J.Macromol.Sci.,Part A:Pure and Applied Chemistry,43,1091−1106(2006)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の説明
本発明は、ポリジメチルシロキサンの1つまたはそれより多くの両親媒性コポリマーを含む感圧接着剤に関し、ここで上記コポリマーは、ポリジメチルシロキサンマクロイニシエーターまたはポリメチル水素シロキサンマクロイニシエーターと、少なくとも1つの反応性の親水性または両親媒性のモノマー、オリゴマー、マクロマー、およびそれらの組み合わせを用いて調製される。上記反応性の親水性または両親媒性のモノマーは、N−ビニルカプロラクタム、ビニルエステル、ビニルエーテル、不飽和の酸または無水物およびそれらの塩、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、シアン酸エステル、ヒドロキシアルキルアクリルアミド、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、アリルモノマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0011】
上記反応性の親水性または両親媒性のオリゴマーおよびマクロマーは、ビニル、エポキシ、アリル、およびそれらの組み合わせから選択される反応性の基を有する、ポリアルキレンオキシド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、多糖類、ポリペプチド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミドからなる群から選択される。
【0012】
スキーム1は、PDMSマクロイニシエーターを用いた両親媒性シリコーンブロックコポリマーについての合成スキームを示す。
【0013】
スキーム2は、PDMSマクロイニシエーターを用いた両親媒性シリコーングラフトコポリマーについての合成スキームを示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、PDMS/MA/VEE(2/1/1)ターポリマーの1H NMRスペクトルを示す。
【図2】図2は、PDMS/MA/VEE(2/2/2)ターポリマーの1H NMRスペクトルを示す。
【図3】図3は、0.14ppmで一致するPDMSシグナルを有すると判断されたPDMS/MA/VEE(2/1/1)(栗色)、DMS/MA/VEE(2/2/2)(シアン色)の1H NMRスペクトルを示す。
【図4】図4は、PDMS前駆体、PDMS/MA/VEE(2/1/1)ターポリマーおよびPDMS/MA/VEE(2/2/2)ターポリマーのTGAを示す。
【図5】図5は、GantrezTMAN−169(MA/VMEコポリマー)のTGAを示す。
【図6】図6は、α,ω−水素化物末端PDMS前駆体(Gelest Inc.からのDMS−H25)のDSCを示す。
【図7】図7は、PDMS/MA/VEE(2/1/1)のDSCを示す。
【図8】図8は、PDMS/MA/VEE(2/2/2)のDSCを示す。
【図9】図9は、GantrezTMAN−169のDSCを示す。
【図10】図10は、PDMS/MA/VEEターポリマーおよびPDMS開始物質のFTIRを示す。
【図11】図11は、MA/VMEコポリマー(GantrezTMAN−169)の参照FTIRを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
マクロイニシエーターは、重合反応を開始することが可能な化合物であって、ここで上記化合物の分子量は、少なくとも200g/molである。
【0016】
従って、本発明は、ポリ(ジメチルシロキサン)−ポリ(無水マレイン酸−ビニルエチルエーテル)(PDMS/MA/VEE)の1つまたはそれより多くの両親媒性コポリマーおよび一緒にブレンドされるシリコーンゲル接着剤を含む感圧接着剤を含む。
【0017】
本発明は、ポリジメチルシロキサンの1つまたはそれより多くの両親媒性コポリマーを含む感圧接着剤を有する医療装置をさらに含み、ここで上記コポリマーは、ポリジメチルシロキサンマクロイニシエーターまたはポリメチル水素シロキサンマクロイニシエーター、および少なくとも1つの反応性の親水性または両親媒性のモノマーまたはオリゴマーまたはマクロマーを用いて調製される。このような接着剤が応用可能である医療装置の例としては、ストーマ装置、創傷管理装置、皮膚ケアおよび失禁ケア、ならびに注入装置が挙げられる。
【実施例】
【0018】
ポリジメチルシロキサン−ポリ(無水マレイン酸−alt−ビニルエチルエーテル)(PDMS/MA/VEE)の合成:
ターポリマーの合成は、Crivelloら(J.V.Crivello,D.A.Conlon,and J.L.Lee,J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.,24,1197−1215(1986))によって記載される手順に従って、PDMSマクロイニシエーターを用いる、無水マレイン酸とビニルエチルエーテルとの共重合(PDMS/MA/VEE)に基づいた(スキーム1)。本発明の独特さは、親水性の基をシロキサンポリマーへと組み込むことを含み、このシロキサンポリマーは、驚くべきことに、望ましい引きはがし粘着力、水分管理、および生体適合性を有する感圧接着剤に適しているポリマー添加剤をもたらす。
【0019】
Gelest,Inc.からの反応性シリコーンであるα,ω−水素化物末端ポリジメチルシロキサン(DMS−H25)を前駆体として使用し、マクロイニシエーターを調製した。このポリマーは、17,200g/molの分子量および約0.01mol%のSi−H基を有することが記載されている。
【0020】
手短に言えば、Karstedt触媒の存在下で、ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゾピナコレートをα,ω−水素化物末端PDMS前駆体と反応させることによって上記マクロイニシエーターを調製した。ターポリマー合成については、パドルスターラー(paddle stirrer)、還流凝縮器および窒素入口を備えた250mLのフラスコにおいて、約2.0gのポリジメチルシロキサンマクロイニシエーターを、150mLの乾燥トルエン中の等モル比の無水マレイン酸およびビニルエチルエーテルと混合した。合成された上記マクロイニシエーター対コモノマーのモル比(PDMS/MA/VEE)は、2/1/1および2/2/2であった。温度を80℃まで上げることによって重合を開始し、5時間反応を続けた。反応の終わりに、メタノールを用いてターポリマーを沈殿させ、減圧下で室温にて乾燥させた。重合収率は、両方の組成物において約95%であった。スキーム1にはトリブロック構造を示すが、混合物中にジブロックおよびマルチブロックも存在することが予想されることに注意すべきである。
【0021】
スキーム1 シリコーンブロックコポリマー合成
参考文献:J.V.Crivello,D.A.Conlon,and J.L.Lee,J.Polym.Sci.Part A:Polym Chem.,1197−1215(1986)
【0022】
【化1】
スキームII シリコーングラフトコポリマー合成
PDMS−水素化物を、シクロヘキセンオキシド(ここで例として示す)、グリシジルメチルエーテルなどのようなオキシラン含有化合物と反応させて、両親媒性PDMSコポリマーを合成する。
【0023】
【化2】
スキームIを用いた実施例
PDMS/MA/VEEターポリマーの特徴づけ
溶解性調査を、重水素化メタノール、2−プロパノール、およびトルエンにおいて実施した。2−プロパノール、および重水素化メタノール中では、ターポリマーは部分的な溶解性を示したが、主に懸濁物として残留し、トルエン中では、ターポリマーは不溶性であった。しかし、トルエン/2−プロパノール(1:1の比)混合物中で、ターポリマーは完全に溶解し、ターポリマーにおける極性鎖セグメントおよび非極性鎖セグメントの両方の存在を示した。ターポリマーサンプルは、希釈したアルカリ溶液に浸されたときにいくらかの膨張を示した。
【0024】
サンプルPDMS/MA/VEE(2/1/1)およびPDMS/MA/VEE(2/2/2)を1H NMRによって分析した。ターポリマーを、分析のために、重水素化していない2−プロパノールおよびトルエン−d8の50:50v/v混合物中の混合物中に溶解させた。
【0025】
熱重量分析(TGA)をコポリマーサンプルおよびα,ω−水素化物末端PDMS前駆体(DMS−H25)に対して実施した。あらゆる揮発性画分の存在、ならびにターポリマー系の分解挙動を分析した。全てのサンプルを、2mg〜12mgの範囲のサンプル重量を用いて、大気中で10℃/分にて30℃〜900℃まで行った。
【0026】
示差走査熱分析(DSC)−PDMS/MA/VEEサンプルを、試験の前に減圧オーブンにおいて一晩乾燥させた。実施されるDSCの温度範囲におけるこれらのサンプルで、TGAにて観測された4%〜10%の重量減少に起因して、これを行った。サンプルを、ハーメチックパンにおいて、デュアルヒート(dual heat)DSCによって、10℃/分にて90℃から200℃まで分析した。
【0027】
上記サンプルを、減衰全反射(ATR)モードでのフーリエ変換赤外(FTIR)分光法によって試験した。
【0028】
スキームIIを用いた実施例
ポリ(メチル水素シロキサン)−コ−PDMS−g−ポリ(シクロヘキセンオキシド)(PMDS−g−CHO)およびポリ(メチル水素シロキサン)−コ−PDMS−g−ポリ(グリシジルメチルエーテル)(PMDS−g−CHO)の合成
ポリ(メチル水素シロキサン)上へのシクロヘキセンオキシドのグラフト重合
ポリ(メチルシロキサン)上へのシクロヘキセンオキシドまたはグリシジルメチルエーテルのグラフト重合をトルエン中で実施した。モノマーおよび溶媒の両方を、水素化カルシウムで乾燥させた。マグネチックスターラーおよび還流凝縮器を備えた乾燥した250mLのフラスコに、50mLの乾燥トルエン、12g(0.12mol)のシクロヘキセンオキシドまたはグリシジルメチルエーテル、および8.0gのメチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(GelestからのHMS−064;分子量55000〜65000、Si−H:5mol%〜7mol%)を窒素雰囲気下で導入した。溶解後、0.627gのAshby触媒を添加した。反応物を25℃にて約12時間静置した。この時間の終わりに、グラフトコポリマーを、メタノールで沈殿させ、減圧下で室温にて乾燥させた。
【0029】
表1は、反応スキームIIによって合成されたPDMSブロックコポリマーおよびPDMSグラフトコポリマーの特徴づけの結果を示す。粘着性であるように思われるPDMS/GMEグラフトコポリマーを除き、全ての他のコポリマーは、非粘着性であった。
【0030】
【表1】
PDMS/VEE/MAターポリマーの特徴づけ
図1および2は、ターポリマーについてのNMRスペクトルを示す。2つのターポリマーサンプルは、同様のシグナルを示した。4.89ppm、3.92ppm、および1.13ppmでの大きいシグナルは、2−プロパノール溶媒に起因する。7.08ppm、6.98ppm、および2.12ppmでのシグナルは、トルエン−d8溶媒に起因する。0.14ppmでの鋭いシグナルは、サンプル材料からのPDMSに起因する。無水マレイン酸およびビニルエチルエーテルの交互コポリマーのソフトウェア予測は、1.1ppm、1.6ppmでのシグナル、および3.3ppmと3.4ppmとの間の3つのシグナルを予測している。1.1ppmに存在するあらゆるシグナルは、より極めて大きな2−プロパノールのシグナルによって不明瞭である。1.6ppmで予測されたシグナルもまた観測されず、それが予測より高磁場へシフトしている場合は溶媒によって不明瞭であり得る。シグナルは3.62ppmおよび3.50ppmで観測され、MA/VEE単位に対応するようである。3番目のシグナル、およびことによると4番目のシグナルを表す3.2ppm周辺にブロードシグナルがある。図3は、2つのスペクトルを重ね合わせたもの(overlay)を示し、サンプルPDMSシグナル強度が等価であると判断される。この図において、3.62ppmと3.2ppmとの間のシグナルが、PDMS/MA/VEE(2/2/2)ターポリマーよりもPDMS/MA/VEE(2/1/1)ターポリマーにおいて高いことがはっきりと示され、このことは、決められたターポリマー比に基づく予想と一致する。これらのサンプルにおけるMA/VEEが、無水マレイン酸およびビニルエチルエーテルの交互コポリマーであると仮定する場合、3.62ppm、3.50ppm、および3.2ppmでの3つのシグナルは、コポリマー由来の5個のプロトンと一致し、MA/VEE対PDMSの比が計算され得る。これらの計算の結果を表2に示す。
【0031】
【化3】
図1 PDMS/MA/VEE(2/1/1)ターポリマーの1H NMRスペクトル
【0032】
【化4】
図2 PDMS/MA/VEE(2/2/2)ターポリマーの1H NMRスペクトル
【0033】
【化5】
図3 0.14ppmで一致するPDMSシグナルを有すると判断されたPDMS/MA/VEE(2/1/1)(栗色)、DMS/MA/VEE(2/2/2)(シアン色)の1H NMRスペクトル
【0034】
【表2−1】
α,ω−水素化物末端PDMS前駆体のTGAを、コポリマーサンプルと一緒に図4に示す。前駆体については、オリゴマー中の残留モノマーまたは残留溶媒におそらく起因する、約3%を占める低温重量減少がある。およそ330℃に始まる主要な重量減少は、シリコーンポリマー骨格の分解に起因する。PDMSからかなりの量の炭が残され、3回のTGAの実施に関して平均して約38%である。ターポリマー(2/1/1および2/2/2モル比)の両方は、4つのはっきりとした領域を示す−1つ目は50℃まで、2つ目は140℃〜250℃、3つ目は250℃〜325℃、そして4つ目は325℃〜550℃である。最初の2つの領域は、おそらく、残留溶媒および残留モノマーに起因する。2つ目の重量減少の性質は、さほど明らかではないが、110℃の沸点を有する(合成に使用された)残留トルエン、175℃の沸点を有する残留オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、または202℃の沸点を有する残留無水マレイン酸に起因し得た。3つ目および4つ目の領域は、ターポリマー分解による。ターポリマー組成物は、約7%の炭が残留することを示し、これは、ニートのPDMS前駆体と比較して低レベルのPDMSに起因することが予想される。
【0035】
【化6】
図4 PDMS前駆体、PDMS/MA/VEE(2/1/1)ターポリマーおよびPDMS/MA/VEE(2/2/2)ターポリマーのTGA
ポリジメチルシロキサンは、シリカの形成に起因して、大気中で炭をもたらすことが知られている。ほとんどの炭化水素ベースの化合物は、大気中で完全に酸化し、一切の残留物を残さない。これを実証するために、無水マレイン酸/ビニルメチルエーテルの市販のコポリマーであるGantrezTM AN−169(ISP Corporation)を、同じ条件を使って分析した(図5を参照のこと)。予想されたように、このコポリマーは、一切の炭を示さなかった。コポリマーの分解プロフィールは、4つのはっきりとした領域を有するターポリマーのより低温の分解プロフィールと一致する。これは、ターポリマー系におけるビニルエーテルおよび無水マレイン酸のコモノマーの存在を示す。ターポリマー系の炭化水素部分の予想される炭化はないので、残留物の量は、ターポリマー中のPDMSの量に関連すると仮定される。ターポリマー中のPDMSの量を、ターポリマーとニートの前駆体との間の炭重量の比を得ることによって計算した。これらの計算に基づいてターポリマー中のPDMSの重量パーセントを計算すると、20%未満であった(表2)。これは、反応器への初期投入量およびNMR分析から基づいて予想されたものよりもずいぶん低い。これらの相違は、炭化水素コモノマーの存在下でのシロキサン鎖の変えられた炭化メカニズムに起因し得る。
【0036】
【化7】
図5 同様のコポリマーであるGantrezTMAN−169(MA/VMEコポリマー)のTGA
【0037】
【表2−2】
1回目および2回目の実施からのPDMS前駆体(GelestからのDMS−H25)についてのDSCデータを図6に示す。このデータは、1回目および2回目の加熱の両方において、PDMSの融解温度による、およそ−40℃での著しい吸熱を示す。図7および8は、2つのターポリマーPDMS/MA/VEE(2/1/1および2/2/2モル比)のDSCスキャンである。同じ領域(−40℃)での吸熱は、ターポリマーにおいて見られ得、このことは、これらのターポリマー中のPDMS晶子の存在を示す。各ターポリマー系はまた、1回目の加熱において、2回目の加熱において存在しない高温吸熱を示し、このことはDSCにおける冷却サイクルの間に結晶化が起きていないことを示す。この吸熱は、前駆体において存在しないのでターポリマーのMA/VEEセグメント由来であるが、Gantrez AN−169(図9)においても見られる。両方のターポリマーサンプルは、135℃と145℃との間の弱いガラス転移の温度Tgを示し、これは、ポリ(MA−alt−VEE)(8)について報告された146℃のTgよりも低い。これは、ターポリマーにおける少なくとも2つのはっきりとした相(PDMS相、および有機相)の存在を示す。図9は、供給業者の文献(ISP corporation)によると154℃のTgを有することが報告される、Gantrez AN−169の1回目および2回目の加熱をそれぞれ示す。
【0038】
【化8】
図6 α,ω−水素化物末端PDMS前駆体(Gelest Inc.からのDMS−H25)のDSC
【0039】
【化9】
図7 PDMS/MA/VEE(2/1/1)のDSC
【0040】
【化10】
図8 PDMS/MA/VEE(2/2/2)のDSC
【0041】
【化11】
図9 GantrezTMAN−169のDSC
図10は、PDMS前駆体(一番下の曲線)と重ね合わせたPDMS/MA/VEEターポリマーについてのFTIRスペクトルを示す。前駆体は、1258cm−1(Si−CH3)、1067cm−1および1013cm−1(Si−O−Si伸縮振動)、ならびに793cm−1(Si−C伸縮およびCH3横揺れ)でのPDMSについてのフィンガープリントバンドを示す。ターポリマーは、1856cm−1および1781cm−1でのはっきりとしたバンドを示し、これは無水物基によるものであり得る。図11に提供される無水マレイン酸/ビニルメチルエーテル(ISP corporationからのGantrezTMAN−169)の参照スペクトルは、図10におけるターポリマーサンプルに対して高い一致を示す。これは、コポリマーにおけるPDMS部分およびMA/VEE部分の存在を確かにする。
【0042】
【化12】
図10 PDMS/MA/VEEターポリマーおよびPDMS開始物質のFTIR
【0043】
【化13】
図11 MA/VMEコポリマー(GantrezTMAN−169)の参照FTIR
両親媒性シリコーンPSAの特性:粘着性および透湿度(MVTR)
20wt%の充填レベルでPDMS/MA/VEEターポリマーを従来のシリコーンゲル接着剤へと、ゲルを硬化する前にブレンドすることによって両親媒性シリコーン感圧接着剤を調製した。反応性ブレンドを、次に、Werner−Mathisコーターを用いてポリウレタンフィルム上にコーティングし、150℃で3分間硬化させた。コーティングの厚みは約10ミルであった。接着剤の透湿度(MVTR)を、直立カップ法(upright cup method)ASTM E96−00を用いて測定した。表3は、ニートのシリコーンゲル接着剤と比較した、粘着性および透湿度の変化(%)の概要を示す。両親媒性コポリマー添加剤を有する組成物は、触ると粘着性であるので、依然として感圧接着剤であり、そしてMVTRは、ニートのシリコーンゲルと比較して約800%の増加を示した。
【0044】
【表3】
ポリマー骨格において熱分解性(thermolyzable)ビス(シリルピナコレート)基を含有するポリジメチルシロキサンマクロイニシエーターに基づいて両親媒性シリコーンターポリマーを合成した。上記ターポリマーは、トルエン/2−プロパノール混合物中での溶解性を示したが、個々の溶媒では溶解性を示さず、このことは、共有結合性の疎水性および親水性のセグメントの存在を示した。さらに、アルカリ溶液中でのサンプルの穏やかな膨張は、さらに疎水性および親水性のドメインの存在を支持する。PDMS構成要素およびMA/VEE構成要素の両方の存在を、NMR、TGA、DSC、およびFTIRによって確かめた。これらの両親媒性ターポリマーをシリコーン感圧ゲル接着剤にブレンドすることは、透湿度の増加をもたらしたが、剥離強度もまた著しく低減した。湿潤条件下での粘着性は、接着剤除去の際に残留物を伴わない著しい改善を示し、このことは、ターポリマーが水分中で可溶化されないことを示した。
【0045】
これは、両親媒性シリコーンターポリマーが、透湿度(MVTR)の実証された増加を伴って、感圧接着剤の適用のために合成された初めてのことであると発明者らは考える。疎水性ポリマーにブレンドすることにより、当業者はMVTRの同様の増加を達成し得るが、現在のアプローチは、2つの理由で優れている:1)低充填レベルの、接着剤中の両親媒性コポリマーで、MVTRの相当な増加を達成することが可能であり、そして;2)両親媒性コポリマーが、水分の存在下で接着剤から浸出しない。さらに、加水分解性モノマー(例えば、無水マレイン酸)の選択は、湿潤条件下での皮膚への粘着性を改善する。
【背景技術】
【0001】
発明の背景
シリコーン感圧接着剤は、経皮的な薬剤送達、創傷包帯剤、瘢痕包帯剤、および他の健康管理の適用において広く使用される。これらの接着剤は、一般に、シリケート樹脂とポリジメチルシロキサン(PDMS)流体との縮合産物、またはビニルおよび水素化物含有PDMSとヒドロシリル化反応によって硬化したシリケート樹脂との反応性ブレンドである(非特許文献1)。これらの接着剤は、生体適合性で皮膚にやさしく、そして環境が乾燥しているときに医療装置を身体にしっかりと接着させる。しかしながら、皮膚の発汗中のような湿潤条件下では、疎水性シリコーン接着剤は、皮膚に対するその粘着性を失い、そのことは、包帯剤が時期尚早に身体からはずれることをもたらし得る。
【0002】
水分の存在下での皮膚に対するこれらの接着剤の粘着性を改善する必要性がある。慣習的に、皮膚接着剤における湿潤環境下での粘着性は、感圧接着剤に水を吸収する充填剤(filler)(例えば、ヒドロコロイド)を添加することにより達成されている。ヒドロコロイド充填剤は、水分を吸収し、軟化し、湿潤粘着力(wet tack)を提供し、それにより皮膚に対する粘着性をより長く改善する。しかしながら、このアプローチの不利な点は、硬い充填剤の存在に起因する接着剤の乾燥剥離強度(dry peel strength)および粘着力特性における低減である。さらに、上記充填剤の水に対する親和性に起因して、充填剤は溶解し、接着剤から浸出し、包帯剤の除去後に粘液性の残留物を皮膚上に残し得る。
【0003】
湿潤環境下でのシリコーン接着剤の粘着性を改善、および以前のアプローチの欠点を克服するために、本アプローチは、適切な両親媒性シリコーンコポリマーをシリコーン感圧接着剤に添加することである。このような適用に適した理想的な両親媒性シリコーンコポリマーは、高い凝集力、高い透湿度(MVTR)、表面に対する高い感圧粘着性を有し、湿潤条件下であっても粘着性を維持するべきであり、構成要素を浸出すべきでもなく、残留物を残すべきでもない。市販の両親媒性シリコーンコポリマーは、一般に、グラフトポリ(エチレングリコール)に基づく。これらのコポリマーは、一般に、界面活性剤または消泡剤(defoamer)として使用される低分子量液体である。このような低分子量コポリマーの添加は、湿潤条件下での表面移動に起因して接着剤性能に影響し得、粘着性の低減をもたらし得る。
【0004】
いくつかの両親媒性シリコーンコポリマーは、文献に報告されている。最近、G.EdrodiおよびJ.P.Kennedyは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)とポリジメチルシロキサン(PDMS)との両親媒性コネットワークの合成を公開した(非特許文献2)。両親媒性コネットワークは、水およびヘキサン中での膨張を示し、両連続(bi−continuous)相を示した。
【0005】
Yildizらは、ポリ(ビニルピロリドン)−ポリ(ジメチルシロキサン)−ポリ(ビニルピロリドン)のブロックコポリマーを合成した(非特許文献3)。彼らは、ジイソシアネート末端PDMSを調製し、これは次に、過酸化t−ブチルでエンドキャップされた。これは、N−ビニルピロリドン重合のためのマクロイニシエーターとして使用された。結果として生じるコポリマーは、ホモポリマーであるポリ(ビニルピロリドン)よりも低いガラス転移温度(Tg)を示した。
【0006】
Graiverらは、銅レドックス系の存在下でのビニル共重合のために反応部位としてアルデヒド官能性シリコーンを使用した(非特許文献4)。ポリメタクリル酸およびポリアクリル酸を含むいくつかのグラフトコポリマーおよびブロックコポリマーは、シリコーンポリマーに組み込まれた。これらの極性セグメントは、t−ブチルエステルで置換されたポリアクリレートセグメントの熱分解によって形成された。
【0007】
Yilgorらは、ポリカプロラクトン−PDMSのトリブロックコポリマー、およびポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)−PDMSを合成した(非特許文献5)。カプロラクトンに対してヒドロキシル末端PDMSがマクロイニシエーターとして使用され、オキサゾリンコポリマーに対して塩化ベンジル末端PDMSが使用された。約30%〜約50%のシリコーン含有量を有する、結果として生じるコポリマーは、プラスチック(例えば、PET、PMMA、およびポリウレタン)の表面張力を低減することが示された。
【0008】
Yildizらは、ジアクリレート末端PDMSを架橋剤として用いてポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)ヒドロゲルを合成した(非特許文献6)。結果として生じるヒドロゲルは、従来の架橋剤であるN,N’−メチレンビス−アクリルアミドと比較して、より高い圧縮弾性率を有することが見出された。これは、ネットワークにおけるPDMSセグメント間の疎水性相互作用によるものであった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Dow Corning Literature, Silicone Pressure Sensitive Adhesives (2002)
【非特許文献2】G.Edrodi and J.P.Kennedy,J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.,43,4954−4963(2005)
【非特許文献3】J.C.Kim,M.Song,S.Park,E.Lee,M.Rang,and H.Ahn,J.Appl.Polym.Sci.,85,2244−2253(2002)
【非特許文献4】D.Graiver,G.T.Decker,Y.Kim,F.J.Hamilton,and H.J.Harwood,Silicon Chemistry,1,107−120(2002)
【非特許文献5】I.Yilgor,W.P.Steckle,E.Yilgor,R.G.Freelin,and J.S.Riffle,J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.,27,3673−3690(1989)
【非特許文献6】Y.Yildiz,N.Uyanik,and C.Erbil,J.Macromol.Sci.,Part A:Pure and Applied Chemistry,43,1091−1106(2006)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の説明
本発明は、ポリジメチルシロキサンの1つまたはそれより多くの両親媒性コポリマーを含む感圧接着剤に関し、ここで上記コポリマーは、ポリジメチルシロキサンマクロイニシエーターまたはポリメチル水素シロキサンマクロイニシエーターと、少なくとも1つの反応性の親水性または両親媒性のモノマー、オリゴマー、マクロマー、およびそれらの組み合わせを用いて調製される。上記反応性の親水性または両親媒性のモノマーは、N−ビニルカプロラクタム、ビニルエステル、ビニルエーテル、不飽和の酸または無水物およびそれらの塩、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、シアン酸エステル、ヒドロキシアルキルアクリルアミド、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、アリルモノマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0011】
上記反応性の親水性または両親媒性のオリゴマーおよびマクロマーは、ビニル、エポキシ、アリル、およびそれらの組み合わせから選択される反応性の基を有する、ポリアルキレンオキシド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、多糖類、ポリペプチド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミドからなる群から選択される。
【0012】
スキーム1は、PDMSマクロイニシエーターを用いた両親媒性シリコーンブロックコポリマーについての合成スキームを示す。
【0013】
スキーム2は、PDMSマクロイニシエーターを用いた両親媒性シリコーングラフトコポリマーについての合成スキームを示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、PDMS/MA/VEE(2/1/1)ターポリマーの1H NMRスペクトルを示す。
【図2】図2は、PDMS/MA/VEE(2/2/2)ターポリマーの1H NMRスペクトルを示す。
【図3】図3は、0.14ppmで一致するPDMSシグナルを有すると判断されたPDMS/MA/VEE(2/1/1)(栗色)、DMS/MA/VEE(2/2/2)(シアン色)の1H NMRスペクトルを示す。
【図4】図4は、PDMS前駆体、PDMS/MA/VEE(2/1/1)ターポリマーおよびPDMS/MA/VEE(2/2/2)ターポリマーのTGAを示す。
【図5】図5は、GantrezTMAN−169(MA/VMEコポリマー)のTGAを示す。
【図6】図6は、α,ω−水素化物末端PDMS前駆体(Gelest Inc.からのDMS−H25)のDSCを示す。
【図7】図7は、PDMS/MA/VEE(2/1/1)のDSCを示す。
【図8】図8は、PDMS/MA/VEE(2/2/2)のDSCを示す。
【図9】図9は、GantrezTMAN−169のDSCを示す。
【図10】図10は、PDMS/MA/VEEターポリマーおよびPDMS開始物質のFTIRを示す。
【図11】図11は、MA/VMEコポリマー(GantrezTMAN−169)の参照FTIRを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
マクロイニシエーターは、重合反応を開始することが可能な化合物であって、ここで上記化合物の分子量は、少なくとも200g/molである。
【0016】
従って、本発明は、ポリ(ジメチルシロキサン)−ポリ(無水マレイン酸−ビニルエチルエーテル)(PDMS/MA/VEE)の1つまたはそれより多くの両親媒性コポリマーおよび一緒にブレンドされるシリコーンゲル接着剤を含む感圧接着剤を含む。
【0017】
本発明は、ポリジメチルシロキサンの1つまたはそれより多くの両親媒性コポリマーを含む感圧接着剤を有する医療装置をさらに含み、ここで上記コポリマーは、ポリジメチルシロキサンマクロイニシエーターまたはポリメチル水素シロキサンマクロイニシエーター、および少なくとも1つの反応性の親水性または両親媒性のモノマーまたはオリゴマーまたはマクロマーを用いて調製される。このような接着剤が応用可能である医療装置の例としては、ストーマ装置、創傷管理装置、皮膚ケアおよび失禁ケア、ならびに注入装置が挙げられる。
【実施例】
【0018】
ポリジメチルシロキサン−ポリ(無水マレイン酸−alt−ビニルエチルエーテル)(PDMS/MA/VEE)の合成:
ターポリマーの合成は、Crivelloら(J.V.Crivello,D.A.Conlon,and J.L.Lee,J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.,24,1197−1215(1986))によって記載される手順に従って、PDMSマクロイニシエーターを用いる、無水マレイン酸とビニルエチルエーテルとの共重合(PDMS/MA/VEE)に基づいた(スキーム1)。本発明の独特さは、親水性の基をシロキサンポリマーへと組み込むことを含み、このシロキサンポリマーは、驚くべきことに、望ましい引きはがし粘着力、水分管理、および生体適合性を有する感圧接着剤に適しているポリマー添加剤をもたらす。
【0019】
Gelest,Inc.からの反応性シリコーンであるα,ω−水素化物末端ポリジメチルシロキサン(DMS−H25)を前駆体として使用し、マクロイニシエーターを調製した。このポリマーは、17,200g/molの分子量および約0.01mol%のSi−H基を有することが記載されている。
【0020】
手短に言えば、Karstedt触媒の存在下で、ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゾピナコレートをα,ω−水素化物末端PDMS前駆体と反応させることによって上記マクロイニシエーターを調製した。ターポリマー合成については、パドルスターラー(paddle stirrer)、還流凝縮器および窒素入口を備えた250mLのフラスコにおいて、約2.0gのポリジメチルシロキサンマクロイニシエーターを、150mLの乾燥トルエン中の等モル比の無水マレイン酸およびビニルエチルエーテルと混合した。合成された上記マクロイニシエーター対コモノマーのモル比(PDMS/MA/VEE)は、2/1/1および2/2/2であった。温度を80℃まで上げることによって重合を開始し、5時間反応を続けた。反応の終わりに、メタノールを用いてターポリマーを沈殿させ、減圧下で室温にて乾燥させた。重合収率は、両方の組成物において約95%であった。スキーム1にはトリブロック構造を示すが、混合物中にジブロックおよびマルチブロックも存在することが予想されることに注意すべきである。
【0021】
スキーム1 シリコーンブロックコポリマー合成
参考文献:J.V.Crivello,D.A.Conlon,and J.L.Lee,J.Polym.Sci.Part A:Polym Chem.,1197−1215(1986)
【0022】
【化1】
スキームII シリコーングラフトコポリマー合成
PDMS−水素化物を、シクロヘキセンオキシド(ここで例として示す)、グリシジルメチルエーテルなどのようなオキシラン含有化合物と反応させて、両親媒性PDMSコポリマーを合成する。
【0023】
【化2】
スキームIを用いた実施例
PDMS/MA/VEEターポリマーの特徴づけ
溶解性調査を、重水素化メタノール、2−プロパノール、およびトルエンにおいて実施した。2−プロパノール、および重水素化メタノール中では、ターポリマーは部分的な溶解性を示したが、主に懸濁物として残留し、トルエン中では、ターポリマーは不溶性であった。しかし、トルエン/2−プロパノール(1:1の比)混合物中で、ターポリマーは完全に溶解し、ターポリマーにおける極性鎖セグメントおよび非極性鎖セグメントの両方の存在を示した。ターポリマーサンプルは、希釈したアルカリ溶液に浸されたときにいくらかの膨張を示した。
【0024】
サンプルPDMS/MA/VEE(2/1/1)およびPDMS/MA/VEE(2/2/2)を1H NMRによって分析した。ターポリマーを、分析のために、重水素化していない2−プロパノールおよびトルエン−d8の50:50v/v混合物中の混合物中に溶解させた。
【0025】
熱重量分析(TGA)をコポリマーサンプルおよびα,ω−水素化物末端PDMS前駆体(DMS−H25)に対して実施した。あらゆる揮発性画分の存在、ならびにターポリマー系の分解挙動を分析した。全てのサンプルを、2mg〜12mgの範囲のサンプル重量を用いて、大気中で10℃/分にて30℃〜900℃まで行った。
【0026】
示差走査熱分析(DSC)−PDMS/MA/VEEサンプルを、試験の前に減圧オーブンにおいて一晩乾燥させた。実施されるDSCの温度範囲におけるこれらのサンプルで、TGAにて観測された4%〜10%の重量減少に起因して、これを行った。サンプルを、ハーメチックパンにおいて、デュアルヒート(dual heat)DSCによって、10℃/分にて90℃から200℃まで分析した。
【0027】
上記サンプルを、減衰全反射(ATR)モードでのフーリエ変換赤外(FTIR)分光法によって試験した。
【0028】
スキームIIを用いた実施例
ポリ(メチル水素シロキサン)−コ−PDMS−g−ポリ(シクロヘキセンオキシド)(PMDS−g−CHO)およびポリ(メチル水素シロキサン)−コ−PDMS−g−ポリ(グリシジルメチルエーテル)(PMDS−g−CHO)の合成
ポリ(メチル水素シロキサン)上へのシクロヘキセンオキシドのグラフト重合
ポリ(メチルシロキサン)上へのシクロヘキセンオキシドまたはグリシジルメチルエーテルのグラフト重合をトルエン中で実施した。モノマーおよび溶媒の両方を、水素化カルシウムで乾燥させた。マグネチックスターラーおよび還流凝縮器を備えた乾燥した250mLのフラスコに、50mLの乾燥トルエン、12g(0.12mol)のシクロヘキセンオキシドまたはグリシジルメチルエーテル、および8.0gのメチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(GelestからのHMS−064;分子量55000〜65000、Si−H:5mol%〜7mol%)を窒素雰囲気下で導入した。溶解後、0.627gのAshby触媒を添加した。反応物を25℃にて約12時間静置した。この時間の終わりに、グラフトコポリマーを、メタノールで沈殿させ、減圧下で室温にて乾燥させた。
【0029】
表1は、反応スキームIIによって合成されたPDMSブロックコポリマーおよびPDMSグラフトコポリマーの特徴づけの結果を示す。粘着性であるように思われるPDMS/GMEグラフトコポリマーを除き、全ての他のコポリマーは、非粘着性であった。
【0030】
【表1】
PDMS/VEE/MAターポリマーの特徴づけ
図1および2は、ターポリマーについてのNMRスペクトルを示す。2つのターポリマーサンプルは、同様のシグナルを示した。4.89ppm、3.92ppm、および1.13ppmでの大きいシグナルは、2−プロパノール溶媒に起因する。7.08ppm、6.98ppm、および2.12ppmでのシグナルは、トルエン−d8溶媒に起因する。0.14ppmでの鋭いシグナルは、サンプル材料からのPDMSに起因する。無水マレイン酸およびビニルエチルエーテルの交互コポリマーのソフトウェア予測は、1.1ppm、1.6ppmでのシグナル、および3.3ppmと3.4ppmとの間の3つのシグナルを予測している。1.1ppmに存在するあらゆるシグナルは、より極めて大きな2−プロパノールのシグナルによって不明瞭である。1.6ppmで予測されたシグナルもまた観測されず、それが予測より高磁場へシフトしている場合は溶媒によって不明瞭であり得る。シグナルは3.62ppmおよび3.50ppmで観測され、MA/VEE単位に対応するようである。3番目のシグナル、およびことによると4番目のシグナルを表す3.2ppm周辺にブロードシグナルがある。図3は、2つのスペクトルを重ね合わせたもの(overlay)を示し、サンプルPDMSシグナル強度が等価であると判断される。この図において、3.62ppmと3.2ppmとの間のシグナルが、PDMS/MA/VEE(2/2/2)ターポリマーよりもPDMS/MA/VEE(2/1/1)ターポリマーにおいて高いことがはっきりと示され、このことは、決められたターポリマー比に基づく予想と一致する。これらのサンプルにおけるMA/VEEが、無水マレイン酸およびビニルエチルエーテルの交互コポリマーであると仮定する場合、3.62ppm、3.50ppm、および3.2ppmでの3つのシグナルは、コポリマー由来の5個のプロトンと一致し、MA/VEE対PDMSの比が計算され得る。これらの計算の結果を表2に示す。
【0031】
【化3】
図1 PDMS/MA/VEE(2/1/1)ターポリマーの1H NMRスペクトル
【0032】
【化4】
図2 PDMS/MA/VEE(2/2/2)ターポリマーの1H NMRスペクトル
【0033】
【化5】
図3 0.14ppmで一致するPDMSシグナルを有すると判断されたPDMS/MA/VEE(2/1/1)(栗色)、DMS/MA/VEE(2/2/2)(シアン色)の1H NMRスペクトル
【0034】
【表2−1】
α,ω−水素化物末端PDMS前駆体のTGAを、コポリマーサンプルと一緒に図4に示す。前駆体については、オリゴマー中の残留モノマーまたは残留溶媒におそらく起因する、約3%を占める低温重量減少がある。およそ330℃に始まる主要な重量減少は、シリコーンポリマー骨格の分解に起因する。PDMSからかなりの量の炭が残され、3回のTGAの実施に関して平均して約38%である。ターポリマー(2/1/1および2/2/2モル比)の両方は、4つのはっきりとした領域を示す−1つ目は50℃まで、2つ目は140℃〜250℃、3つ目は250℃〜325℃、そして4つ目は325℃〜550℃である。最初の2つの領域は、おそらく、残留溶媒および残留モノマーに起因する。2つ目の重量減少の性質は、さほど明らかではないが、110℃の沸点を有する(合成に使用された)残留トルエン、175℃の沸点を有する残留オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、または202℃の沸点を有する残留無水マレイン酸に起因し得た。3つ目および4つ目の領域は、ターポリマー分解による。ターポリマー組成物は、約7%の炭が残留することを示し、これは、ニートのPDMS前駆体と比較して低レベルのPDMSに起因することが予想される。
【0035】
【化6】
図4 PDMS前駆体、PDMS/MA/VEE(2/1/1)ターポリマーおよびPDMS/MA/VEE(2/2/2)ターポリマーのTGA
ポリジメチルシロキサンは、シリカの形成に起因して、大気中で炭をもたらすことが知られている。ほとんどの炭化水素ベースの化合物は、大気中で完全に酸化し、一切の残留物を残さない。これを実証するために、無水マレイン酸/ビニルメチルエーテルの市販のコポリマーであるGantrezTM AN−169(ISP Corporation)を、同じ条件を使って分析した(図5を参照のこと)。予想されたように、このコポリマーは、一切の炭を示さなかった。コポリマーの分解プロフィールは、4つのはっきりとした領域を有するターポリマーのより低温の分解プロフィールと一致する。これは、ターポリマー系におけるビニルエーテルおよび無水マレイン酸のコモノマーの存在を示す。ターポリマー系の炭化水素部分の予想される炭化はないので、残留物の量は、ターポリマー中のPDMSの量に関連すると仮定される。ターポリマー中のPDMSの量を、ターポリマーとニートの前駆体との間の炭重量の比を得ることによって計算した。これらの計算に基づいてターポリマー中のPDMSの重量パーセントを計算すると、20%未満であった(表2)。これは、反応器への初期投入量およびNMR分析から基づいて予想されたものよりもずいぶん低い。これらの相違は、炭化水素コモノマーの存在下でのシロキサン鎖の変えられた炭化メカニズムに起因し得る。
【0036】
【化7】
図5 同様のコポリマーであるGantrezTMAN−169(MA/VMEコポリマー)のTGA
【0037】
【表2−2】
1回目および2回目の実施からのPDMS前駆体(GelestからのDMS−H25)についてのDSCデータを図6に示す。このデータは、1回目および2回目の加熱の両方において、PDMSの融解温度による、およそ−40℃での著しい吸熱を示す。図7および8は、2つのターポリマーPDMS/MA/VEE(2/1/1および2/2/2モル比)のDSCスキャンである。同じ領域(−40℃)での吸熱は、ターポリマーにおいて見られ得、このことは、これらのターポリマー中のPDMS晶子の存在を示す。各ターポリマー系はまた、1回目の加熱において、2回目の加熱において存在しない高温吸熱を示し、このことはDSCにおける冷却サイクルの間に結晶化が起きていないことを示す。この吸熱は、前駆体において存在しないのでターポリマーのMA/VEEセグメント由来であるが、Gantrez AN−169(図9)においても見られる。両方のターポリマーサンプルは、135℃と145℃との間の弱いガラス転移の温度Tgを示し、これは、ポリ(MA−alt−VEE)(8)について報告された146℃のTgよりも低い。これは、ターポリマーにおける少なくとも2つのはっきりとした相(PDMS相、および有機相)の存在を示す。図9は、供給業者の文献(ISP corporation)によると154℃のTgを有することが報告される、Gantrez AN−169の1回目および2回目の加熱をそれぞれ示す。
【0038】
【化8】
図6 α,ω−水素化物末端PDMS前駆体(Gelest Inc.からのDMS−H25)のDSC
【0039】
【化9】
図7 PDMS/MA/VEE(2/1/1)のDSC
【0040】
【化10】
図8 PDMS/MA/VEE(2/2/2)のDSC
【0041】
【化11】
図9 GantrezTMAN−169のDSC
図10は、PDMS前駆体(一番下の曲線)と重ね合わせたPDMS/MA/VEEターポリマーについてのFTIRスペクトルを示す。前駆体は、1258cm−1(Si−CH3)、1067cm−1および1013cm−1(Si−O−Si伸縮振動)、ならびに793cm−1(Si−C伸縮およびCH3横揺れ)でのPDMSについてのフィンガープリントバンドを示す。ターポリマーは、1856cm−1および1781cm−1でのはっきりとしたバンドを示し、これは無水物基によるものであり得る。図11に提供される無水マレイン酸/ビニルメチルエーテル(ISP corporationからのGantrezTMAN−169)の参照スペクトルは、図10におけるターポリマーサンプルに対して高い一致を示す。これは、コポリマーにおけるPDMS部分およびMA/VEE部分の存在を確かにする。
【0042】
【化12】
図10 PDMS/MA/VEEターポリマーおよびPDMS開始物質のFTIR
【0043】
【化13】
図11 MA/VMEコポリマー(GantrezTMAN−169)の参照FTIR
両親媒性シリコーンPSAの特性:粘着性および透湿度(MVTR)
20wt%の充填レベルでPDMS/MA/VEEターポリマーを従来のシリコーンゲル接着剤へと、ゲルを硬化する前にブレンドすることによって両親媒性シリコーン感圧接着剤を調製した。反応性ブレンドを、次に、Werner−Mathisコーターを用いてポリウレタンフィルム上にコーティングし、150℃で3分間硬化させた。コーティングの厚みは約10ミルであった。接着剤の透湿度(MVTR)を、直立カップ法(upright cup method)ASTM E96−00を用いて測定した。表3は、ニートのシリコーンゲル接着剤と比較した、粘着性および透湿度の変化(%)の概要を示す。両親媒性コポリマー添加剤を有する組成物は、触ると粘着性であるので、依然として感圧接着剤であり、そしてMVTRは、ニートのシリコーンゲルと比較して約800%の増加を示した。
【0044】
【表3】
ポリマー骨格において熱分解性(thermolyzable)ビス(シリルピナコレート)基を含有するポリジメチルシロキサンマクロイニシエーターに基づいて両親媒性シリコーンターポリマーを合成した。上記ターポリマーは、トルエン/2−プロパノール混合物中での溶解性を示したが、個々の溶媒では溶解性を示さず、このことは、共有結合性の疎水性および親水性のセグメントの存在を示した。さらに、アルカリ溶液中でのサンプルの穏やかな膨張は、さらに疎水性および親水性のドメインの存在を支持する。PDMS構成要素およびMA/VEE構成要素の両方の存在を、NMR、TGA、DSC、およびFTIRによって確かめた。これらの両親媒性ターポリマーをシリコーン感圧ゲル接着剤にブレンドすることは、透湿度の増加をもたらしたが、剥離強度もまた著しく低減した。湿潤条件下での粘着性は、接着剤除去の際に残留物を伴わない著しい改善を示し、このことは、ターポリマーが水分中で可溶化されないことを示した。
【0045】
これは、両親媒性シリコーンターポリマーが、透湿度(MVTR)の実証された増加を伴って、感圧接着剤の適用のために合成された初めてのことであると発明者らは考える。疎水性ポリマーにブレンドすることにより、当業者はMVTRの同様の増加を達成し得るが、現在のアプローチは、2つの理由で優れている:1)低充填レベルの、接着剤中の両親媒性コポリマーで、MVTRの相当な増加を達成することが可能であり、そして;2)両親媒性コポリマーが、水分の存在下で接着剤から浸出しない。さらに、加水分解性モノマー(例えば、無水マレイン酸)の選択は、湿潤条件下での皮膚への粘着性を改善する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリジメチルシロキサンの1つまたはそれより多くの両親媒性コポリマーを含む感圧接着剤であって、ここで該コポリマーは、ポリジメチルシロキサンマクロイニシエーターまたはポリメチル水素シロキサンマクロイニシエーターと、少なくとも1つの反応性の親水性または両親媒性のモノマー、オリゴマー、マクロマー、およびそれらの組み合わせを用いて調製される、感圧接着剤。
【請求項2】
前記反応性の親水性または両親媒性のモノマーが、N−ビニルカプロラクタム、ビニルエステル、ビニルエーテル、不飽和の酸または無水物およびそれらの塩、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、シアン酸エステル、ヒドロキシアルキルアクリルアミド、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、アリルモノマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の感圧接着剤。
【請求項3】
前記反応性の親水性または両親媒性のオリゴマーおよびマクロマーが、ビニル、エポキシ、アリル、およびそれらの組み合わせから選択される反応性の基を有する、ポリアルキレンオキシド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、多糖類、ポリペプチド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミドからなる群から選択される、請求項1に記載の感圧接着剤。
【請求項4】
ポリ(ジメチルシロキサン)−ポリ(無水マレイン酸−ビニルエチルエーテル)(PDMS/MA/VEE)の1つまたはそれより多くの両親媒性コポリマーおよび一緒にブレンドされるシリコーンゲル接着剤を含む、請求項1に記載の感圧接着剤。
【請求項5】
ポリジメチルシロキサンの1つまたはそれより多くの両親媒性コポリマーを含む感圧接着剤を含む医療装置であって、ここで該コポリマーは、ポリジメチルシロキサンマクロイニシエーターまたはポリメチル水素シロキサンマクロイニシエーター、および少なくとも1つの反応性の親水性または両親媒性のモノマーまたはオリゴマーまたはマクロマーを用いて調製される、医療装置。
【請求項1】
ポリジメチルシロキサンの1つまたはそれより多くの両親媒性コポリマーを含む感圧接着剤であって、ここで該コポリマーは、ポリジメチルシロキサンマクロイニシエーターまたはポリメチル水素シロキサンマクロイニシエーターと、少なくとも1つの反応性の親水性または両親媒性のモノマー、オリゴマー、マクロマー、およびそれらの組み合わせを用いて調製される、感圧接着剤。
【請求項2】
前記反応性の親水性または両親媒性のモノマーが、N−ビニルカプロラクタム、ビニルエステル、ビニルエーテル、不飽和の酸または無水物およびそれらの塩、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、シアン酸エステル、ヒドロキシアルキルアクリルアミド、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、アリルモノマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の感圧接着剤。
【請求項3】
前記反応性の親水性または両親媒性のオリゴマーおよびマクロマーが、ビニル、エポキシ、アリル、およびそれらの組み合わせから選択される反応性の基を有する、ポリアルキレンオキシド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、多糖類、ポリペプチド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミドからなる群から選択される、請求項1に記載の感圧接着剤。
【請求項4】
ポリ(ジメチルシロキサン)−ポリ(無水マレイン酸−ビニルエチルエーテル)(PDMS/MA/VEE)の1つまたはそれより多くの両親媒性コポリマーおよび一緒にブレンドされるシリコーンゲル接着剤を含む、請求項1に記載の感圧接着剤。
【請求項5】
ポリジメチルシロキサンの1つまたはそれより多くの両親媒性コポリマーを含む感圧接着剤を含む医療装置であって、ここで該コポリマーは、ポリジメチルシロキサンマクロイニシエーターまたはポリメチル水素シロキサンマクロイニシエーター、および少なくとも1つの反応性の親水性または両親媒性のモノマーまたはオリゴマーまたはマクロマーを用いて調製される、医療装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−532960(P2012−532960A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519696(P2012−519696)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/041191
【国際公開番号】WO2011/005846
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(510264626)コンバテック テクノロジーズ インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/041191
【国際公開番号】WO2011/005846
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(510264626)コンバテック テクノロジーズ インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】
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