説明

感染性物質を輸送するための二次包装用の包装袋

【課題】感染性物質の輸送に使用する二次包装用の包装袋において、内圧が高くなっても出し入れ口が開放しない包装袋の提供。
【解決手段】プラスチックシートまたはフィルムからなる表面材2と裏面材3の両側面と底面をヒートシール10して袋体とし、表面材2と裏面材3との開口部12内側にそれぞれプラスチックシートまたはフィルムからなる仕切材4、5を上面及び両側面でヒートシール6してポケット部を形成し、裏面材3の上部外側に封緘材を11設け、包装袋1の内圧が上昇したときにポケット部のいずれかでその内圧を受ける構成にしたことにより、外気温度の影響によって包装袋の内圧が、感染症法などで規定する基準値95kPa以上になっても、その内圧をポケット部のいずれかで受けるので、開口部12は開放せず、また包装袋のヒートシール部分が剥れたりしない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病原体などの感染性物質(「検体」と称する場合もある)を収納した容器を安全に包装して輸送するための二次包装用の包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
感染性物質を輸送(空輸)するためには、その感染性物質の種類により航空危険物規則でカテゴリーAとカテゴリーBとに分類されているが、いずれも感染症法などに規定する基準に従って三重に包装して輸送することが義務付けされている。一次包装としては、例えば、試験管や採血管またはカップなどの栓材で密閉できる容器が採用され、二次包装としては、前記一次包装容器をクッション材で包み、例えば、袋状で密閉性と防水性を備え、且つ、感染症法などに規定する基準、即ち、温度が−40〜55℃の範囲で内圧が95kPa以上の圧力差に耐えられる樹脂製の袋体(パウチ)などが採用され、三次包装としては、前記二次包装したものを収納する外装容器であり、例えば、耐水性や耐衝撃性及び断熱性を有する比較的頑丈な構造を有するものである。
【0003】
この種の包装容器としての公知例は、例えば、感染性物質を容器に入れて包装し、この包装物を収納して輸送する輸送用容器であって、外装容器と、この容器内に適合して出し入れ可能に収容され、前記包装物を収容する断熱容器とを備え、前記外装容器は、段ボールその他の厚紙材で形成され、所望の大きさの四角形断面に形成されている筒状本体と、この本体の一端に折り曲げ自在に連接したフラップで形成される底蓋部と、前記本体の他端に折り曲げ自在に連接したフラップで形成される上蓋部とを有し、前記断熱容器は、両端開口の筒状胴部と、この胴部の一端の開口部を閉塞する底蓋部と、前記胴部の他端の開口部を閉塞する上蓋部とを備え、前記筒状胴部は、発砲紙で形成され、所定の幅及び長さを有し、かつ、所望の肉厚を有する長方形の板材を備え、この板材の所定部位に幅方向に向けて平行に設けた折り曲げ部に沿って折り曲げると共に前記板材の両端を当接して四角形断面に形成するように構成され、前記底部材は、断熱性及び緩衝性を有する素材で形成され、前記胴部の前記一端の開口部の端面と合致する大きさに形成した四角形の底板と、この底板を前記胴部の前記開口部に係脱自在に係合する係合手段とを有し、前記上蓋部は、断熱性および干渉性を有する素材で形成され、前記胴部の前記他端の開口部の端面と合致する大きさに形成した四角形の天板と、この天板を前記胴部の前記開口部に係脱自在に係合する係合手段とを有してなる感染性物質の輸送用容器がある(特許文献1参照)。
【0004】
この輸送用容器は、三次包装の外装容器であって、断熱容器内へ収容した内容物(包装された感染性物質)を所定温度に保冷する等、温度管理をしながら輸送することができる。断熱容器の筒状胴部を形成する板材は、積み重ねて保管できるので、保管スペースを小にすることができる。また、底蓋部及び上蓋部も積み重ねて保管することができる。さらに、外装容器も折りたたんで扁平状に形成できるので、上記と同様に積み重ねて保管できる。そして、所要時に組み立ててしようできる。緩衝作用(衝撃吸収作用)を備えているので、物理的な損傷等、外部の影響から収容物(内容物)を防護することができるというものである。
【0005】
この公知例において、二次包装の容器の一例が開示されている。その一例の容器は、プラスチック製の袋(パウチ/pouch)を採用しており、該プラスチック製のパウチは、二枚のプラスチックシートを重合し、上下左右の周縁をヒートシール等により気密に接着して構成され、例えば、一つの面のプラスチックシートの上端部近くに両側面まで至らない範囲で切り込みを設けて出し入れ口を形成し、該出し入れ口の内側にファスナーを取り付けて開閉できるようにし、該ファスナーは樹脂製の凸状の係合片と、凹状の係合片とで構成され、シート上から圧接することにより、前記凸状と凹状の係合片が係合して密着し、シートを引き離すように力を加えることにより両係合片の係合が離脱するように構成されている。そして、前記凸状と凹状の係合片が係合して密着した状態で出し入れ口に片面粘着テープを貼って密閉されるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3153217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記公知例における二次包装のプラスチックシート製のパウチは、一つの面におけるプラスチックシートに両側面にまで至らない範囲で切り込みを設けて出し入れ口を形成し、しかも、その内側に樹脂製ファスナーを取り付けてあるので、出し入れ口が狭くて被包装物を出し入れし難いという取り扱い並びに作業性に支障を来たすという問題点を有するばかりでなく、実際の使用において、出し入れ口を樹脂製ファスナーの凸状と凹状の係合片による係合力と、片面粘着テープによる接着力とで密閉状態を維持しているが、温度変化によって内部の空気が膨張して内圧が基準の95kPa以上の圧力になったときに、その圧力がファスナーを通して粘着テープに直接作用し、また、パウチの膨らみによってプラスチックシートが全体的に伸びるようになり、それらの直接の圧力作用と伸び作用とによって粘着テープが剥がれ、続いてファスナーの係合片が離脱して出し入れ口が開放してしまい、実質的に感染症法などで規定する基準の設定した圧力差に耐えることができなくなるという問題点を有する。
【0008】
従って、前記公知例の二次包装のプラスチックシートまたはフィルム製のパウチは、ファスナーの係合力と粘着テープの接着力とによる二重の密閉状態であるが、温度変化でパウチ内部の空気が膨張して高圧になった圧力と、パウチの膨らみによる伸び作用とが粘着テープに直接掛かることにより、粘着テープが剥がれてファスナーの係合片が離脱し密閉維持ができない構成であるため、感染性物質の輸送に使用するには信憑性に欠けるのである。
【0009】
本発明の主たる目的は、感染症法などで規定する基準の内圧が95kPa以上の圧力になっても出し入れ口が開放しない二次包装用の包装袋を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、被包装物の出し入れする開口部(出し入れ口)を容器(パウチ)の1つの側面(上面)全体が開くように構成して取り扱い並びに出し入れの作業性を容易にした二次包装用の包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記課題を解決する具体的手段として、感染性物質を一次包装、二次包装及び三次包装して輸送するための輸送用容器であり、該輸送用容器の内の二次包装用の包装袋であって、該包装袋は、プラスチックシートまたはフィルムからなる表面材と裏面材とを重ねあわせ、上面を開口部として除き両側面と底面とを一連にヒートシールして袋体に形成し、前記開口部となる表面材と裏面材との上面内側にそれぞれプラスチックシートまたはフィルムからなる所要大きさの仕切材を配設して上面及び両側面をヒートシールして表面材と裏面材とに仕切材をそれぞれ取り付けてポケット部を形成し、前記裏面材の上部外側に前記開口部が開かないように接着手段で貼着する封緘材を設け、前記包装袋の内圧が上昇したときに前記仕切材同士の面接触が維持されて前記ポケット部のいずれかでその内圧を受ける構成にしたことを特徴とする二次包装用の包装袋を提供するものである。
【0012】
本発明において、前記表面材と裏面材とを所要長さ折り返した底部材で連続する1枚のプラスチックシートまたはフィルムで形成し、該底部材を所要長さ折り返した側面部分をそれぞれ表面材と裏面材とにヒートシールして底面が船底形に広がる構成にしたこと;前記仕切材の面接触側は、材料同士の馴染性が高い材料で形成されていること;前記仕切材は、包装袋における開口部の長さの1/4〜1/2の長さ(幅)にしたこと;及び、前記プラスチックシートまたはフィルムは、ナイロンを芯材として両面にポリエチレンを一体的にラミネートした三層構造であること;を付加的な要件として含むものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る二次包装用の包装袋によれば、輸送中において外気温度の影響によって包装袋の内圧が、感染症法などで規定する基準値95kPa以上の圧力になっても、その内圧を開口部側に設けたポケット部で受けるので、開口部、即ち、出し入れ口は開放せず、また、包装袋のヒートシール部分が剥れたりしないので、感染性物質を安全に輸送できるという優れた効果を奏する。
【0014】
さらに、包装袋の一側面、即ち、上面に設けた開口部が全面的に開放できるので、感染性物質等の被包装物を出し入れする作業や取り扱いが容易にできるという優れた効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る二次包装用の包装袋を示した平面図である。
【図2】同実施の形態に係る包装袋の構成部材であるプラスチックシートまたはフィルムを分離して示した斜視図である。
【図3】同実施の形態に係る包装袋の構造を理解するために示した略示的な縦断面図である。
【図4】同実施の形態に係る包装袋に収納する感染性物質の包装形態を略示的に示した説明図である。
【図5】同実施の形態に係る包装袋に、包装した感染性物質を収納する状況を示す要部の斜視図である。
【図6】同実施の形態に係る包装袋に、包装した感染性物質を収納した状態の平面図である。
【図7】図6のA−A線に沿う断面図である。
【図8】図7の包装状態において、外気温度により包装袋の内部空気が膨張して内圧が上昇した状態を略示的に示した説明図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る二次包装用の包装袋を示した平面図である。
【図10】同実施の形態に係る包装袋の構成部材であるプラスチックシートまたはフィルムを分離して示した斜視図である。
【図11】同実施の形態に係る包装袋の使用状況を略示的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。図1〜図3において、第1の実施の形態に係る二次包装用の包装袋1は、同一大きさの2枚の長方形状のプラスチックシートまたはフィルムからなる表面材2と裏面材3とを重ね合わせ、三方の側縁をヒートシールして袋体に形成したものである。この場合に、表面材2と裏面材3とは、図2に示したように、袋体として開口部となる上端部側には、プラスチックシートまたはフィルムからなる所要大きさの仕切材4、5をそれぞれ重ね合わせて上面側と両側面側とを一連にヒートシール6、7して、それぞれポケット部4a、5aを形成する。
【0017】
そして、これら仕切材4、5側を向かい合わせて表面材2と裏面材3とをを重ね合わせ、ポケット部4a、5aが形成されている両側面の位置は段差が生じているので、その部分の段差をなくす目的で両側面の位置をそれぞれヒートシール8、9して或る程度平坦にしてから、上面側を除く両側面側と底面側とを一連にヒートシール10して袋体、即ち、包装袋1を形成するのであり、仕切材4、5の袋体内への入り込み長さ(幅)は概ね包装袋1の開口部における長さの1/4〜1/2の範囲であり、袋体の高さの少なくとも1/3程度に及ぶのである。
【0018】
このように形成した包装袋1の裏面材3の上面外側に、プラスチックシートまたはフィルムからなる所要大きさの長方形に形成した封緘材11を接着剤などにより一体的に取り付ける。この封緘材11は、包装袋1の内部に被包装物である感染性物質を収納した後に、包装袋1の上面開口部12を全面的に覆うように折り畳み、表面材2に適宜の接着手段を介して貼着させて開口部12が開かないように押さえるものである。
【0019】
この場合の接着手段の一例としては、例えば、封緘材11の自由端部側に所要幅の接着剤層13をプリントして形成し、該接着剤層13に剥離性のある保護フィルムを取り付けておくか、または、接着剤層13と剥離紙とからなる両面接着テープを貼着させておき、使用時に封緘材11を表面材2側に折り畳むと共に、保護フィルムまたは剥離紙を剥がし接着剤層13を表面材2に貼着させて封緘材11を定着させることにより、包装袋1の上面開口部12が開かないように封緘材11で押さえるようにするのである。
【0020】
この第1の実施の形態に係る二次包装用の包装袋1に収納される感染性物質は、図4に示したように、一次包装された包装物14として包装袋1に収納される。この一次包装の包装物14は、例えば、感染性物質を試験管15に入れて蓋部材16により密閉状態にし、クッション性と吸液性とを有する包装材料17により全体を安全に包装するものであり、従来例とほぼ同じ手段で一次包装される。
【0021】
このように一次包装された感染性物質の包装物14は、図5に示したように、包装袋1の開口部12を開き、該開口部12から余裕をもって包装物14を収納すると、図6に示したように、仕切材4、5を通り抜けて包装袋1のほぼ2/3を占める底部側の収納部まで押し込んで位置させ、包装袋1内の空気を或る程度排除した状態にして、封緘材11を表面材2側に折り畳み、保護フィルムまたは剥離紙を剥がして接着剤層13を表面材2に貼着させ、開口部12が開かないように抑制または定着させることにより、図7に示したように、二次包装が終了する。そして、二次包装された感染性物質は、従来例と同様に、所要の強度を有する三次包装容器(外装容器)に収容されて輸送されるのである。
【0022】
そこで、輸送中において外気温度の変化、特に、熱帯地方において外気温度が上昇し、二次包装の包装袋1内の空気が膨張して内圧が感染症法などで規定する基準値95kPa以上の圧力になった状況について、図8を参照して説明する。
【0023】
包装袋1内の空気が膨張した場合には、包装袋1の全体が膨らむのであり、その膨らみによって、ヒートシール10部を形成した側面が全体的に内側に接近する。その接近によって内側に設けられている仕切材4、5は面接触状態を維持して、表面材2または裏面材3のいずれかに面接触したままの状態で変形する。つまり、仕切材4、5は包装袋1における開口部12の長さの1/4〜1/2の長さ(幅)程度、即ち、包装袋1の高さのほぼ1/3程度まで至る程度に長くまたは広く形成されているので、両者は常に面接触状態にあり、内部圧力が上昇することによって両者の面接触の密着状態(密着圧)が益々上昇するのであり、しかも、図示したように、一方の裏面材3側に強く押し付けられるようになり、両者の密着度が高まるだけであり、封緘材11には内部圧力の作用はほとんど掛からないし、出し入れ口、即ち、開口部12を押し広げるような作用は働かないので開放しないのであり、包装袋1内の上昇した内部圧力は必然的に仕切材4のポケット部4aで受け止められ、各ヒートシール部の接着力が強いので包装袋1として破裂するする恐れもないのである。
【0024】
次に、第2の実施の形態に係る二次包装用の包装袋21ついて、図9〜図11を参照して説明する。この包装袋21は大容量の感染性物質(試験管の場合は50〜150本)を収納できるものであり、袋体の底部が船底状に開くパウチ形状に形成したのものである。なお、底部のパウチ形状を除く他の基本的な構成部分については、実質的に前記第1の実施の形態と同一であるので同一符号を付して説明する。
【0025】
包装袋21は、図9に示したように、全体が横方向に長く高さ方向を短くしたもので、例えば、横×高さ×底部開き寸法が550mm×350mm×230mm程度であるが、この寸法については適宜変更して実施できることはいうまでもないのである。
【0026】
そして、図10に示したように、表面材2と裏面材3とは所要長さ折り返した底面材22を介して1枚のプラスチックシートまたはフィルム材により一連に形成したものである。この場合の所要長さ折り返した底面材22は、表面材2と裏面材3との間で内側に折り返して連続するものであり、その折り返した長さは包装袋21の高さの略1/3程度であり、底面材22はそれぞれ表面材2及び裏面材3と個別にヒートシール23、24すると共に、表面材2と裏面材3の下端部はそれぞれ個別にヒートシール25、26する。このヒートシール25、26は底面材22との境界における折り返し部分の強度を向上させるためである。
【0027】
次に、包装袋21の上面開口部12となる部分の表面材2と裏面材3との内側にそれぞれ仕切材4、5を配設し、前記第1の実施の形態と同様に、上面と両側面とを一連にヒートシール6,7してそれぞれポケット部4a、5aを形成する。
【0028】
そして、これら仕切材4、5側を向かい合わせて表面材2と裏面材3とをを重ね合わせ、ポケット部4a、5aが形成されている両側面の位置、及び底面材22のヒートシール23、24の境界位置にも段差が生じているので、それらの部分の段差をなくす目的で両側面の位置をそれぞれスポット状にヒートシール8、9、27、28して或る程度平坦にしてから、上面側と底面側とヒートシール23、24とを除く両側面側をヒートシール10して袋体、即ち、包装袋21を形成するのである。なお、仕切材4、5の大きさまたは広さは、前記第1の実施の形態と同様に包装袋1の長さの1/4〜1/2程度の長さ(幅)に形成され、包装袋1の高さ方向の約1/3程度に及ぶのである。
【0029】
このように形成した包装袋21の裏面材3の上面外側に、プラスチックシートまたはフィルムからなる所要大きさの長方形に形成した封緘材11を接着剤などにより一体的に取り付ける。この封緘材11には、予め所要幅の接着剤層13をプリントして形成し、該接着剤層13に剥離性の保護フィルムで保護しておくか、または、接着剤層13と剥離紙とからなる両面接着テープを貼着させておき、使用時において、包装袋21の内部に被包装物である感染性物質を収納した後に、包装袋21の上面開口部12を全面的に覆うように折り畳み、保護フィルムまたは剥離紙を剥がして接着剤層13を表面材2に貼着させて開口部12が開かないように押さえるものである。
【0030】
本発明で使用されるプラスチックシートまたはフィルムについては、株式会社タマポリ社製の「シーラントPEフィルム」、品名「SB−5」、「SB−7」、「SB−10」が好ましい。これらの商品は、ナイロンを芯材として両面にポリエチレンを一体的にラミネートした3層構造であり、厚さが30〜150μmの範囲まで使用可能であり、伸びが少なく強靭で柔軟性があり低温シール性に優れているのである。また、表面材2と裏面材3に使用されるものは、PET20/NY20/LLDPE70が好ましく、仕切材4、5には、LLDPE30/NY20/LLDPE70が使用可能であり、特に、面接触側となるLDPE30にはEVAを3〜10%の範囲で含有させることにより面接触性がより一層好ましくなった。なお、封緘材11としては、単に、開口部12の閉じ状態を維持するものであるので、PP60のフィルムを使用したが、これには限定されないのである。
【0031】
このように使用材料を選択することによっても、包装袋1、21としての特性、特に、強靭で伸び率を少なくすること、ヒートシール強度が高くて剥がれないこと、温度変化によって開口部12が開かないように閉塞維持機能が高いこと、などである。さらに、例えば、仕切材4、5として使用するシートまたはフィルムの表面層にLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン層)が存在することによって、両者の面接触の馴染み性が良好であるが、さらに、面接触側のLLDPEに材料同士の馴染性が高い材料であるEVAを3〜10%の範囲で含有させることで、内圧が高くなったときに両者の面接触の密着度がさらに高くなり、開口部12の開きが防止されるのである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る二次包装用の包装袋は、袋体を構成する表面材と裏面材とにより開口部を形成する内側に、それぞれ仕切材を設けてポケット部を形成したことにより、余計なファスナーなどを取り付けなくても、温度変化による包装袋の内圧が、感染症法などで規定する基準値95kPa以上の圧力になっても、その内圧を開口部側に設けたポケット部で全面的に受けるので、開口部が開いたり包装袋が破裂したりすることなく、収納物を安全に輸送することができるのであって、特に、感染性物質を温度変化の激しい地域または領域へ航空輸送する際に広く利用できるのである。
【符号の説明】
【0033】
1、21 二次包装用の包装袋
2 表面材
3 裏面材
4、5 仕切材
4a、5a ポケット部
6、7、10、23、24、25、26 ヒートシール
8、9、27、28 スポット状のヒートシール
11 封緘材
12 開口部(出し入れ口)
13 接着剤層(接着手段)
14 包装物
15 試験管
16 蓋部材
17 包装材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感染性物質を一次包装、二次包装及び三次包装して輸送するための輸送用容器であり、該輸送用容器の内の二次包装用の包装袋であって、
該包装袋は、プラスチックシートまたはフィルムからなる表面材と裏面材とを重ねあわせ、上面を開口部として除き両側面と底面とを一連にヒートシールして袋体に形成し、
前記開口部となる表面材と裏面材との上面内側にそれぞれプラスチックシートまたはフィルムからなる所要大きさの仕切材を配設して上面及び両側面をヒートシールして表面材と裏面材とに仕切材をそれぞれ取り付けてポケット部を形成し、
前記裏面材の上部外側に前記開口部が開かないように接着手段で貼着する封緘材を設け、
前記包装袋の内圧が上昇したときに前記仕切材同士の面接触が維持されて前記ポケット部のいずれかでその内圧を受ける構成にしたこと
を特徴とする二次包装用の包装袋。
【請求項2】
前記表面材と裏面材とを所要長さ折り返した底部材で連続する1枚のプラスチックシートまたはフィルムで形成し、該底部材を所要長さ折り返した側面部分をそれぞれ表面材と裏面材とにヒートシールして底面が船底形に広がる構成にしたこと
を特徴とする請求項1に記載の二次包装用の包装袋。
【請求項3】
前記仕切材の面接触側は、材料同士の馴染性が高い材料で形成されていること
を特徴とする請求項1に記載の二次包装用の包装袋。
【請求項4】
前記仕切材は包装袋における開口部の長さの1/4〜1/2の長さ(幅)にしたこと
を特徴とする請求項1または3に記載の二次包装用の包装袋。
【請求項5】
前記プラスチックシートまたはフィルムは、ナイロンを芯材として両面にポリエチレンを一体的にラミネートした三層構造であること
を特徴とする請求項1または2に記載の二次包装用の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−6637(P2012−6637A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144815(P2010−144815)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【特許番号】特許第4590024号(P4590024)
【特許公報発行日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(598039242)株式会社 スギヤマゲン (4)
【出願人】(310014735)
【Fターム(参考)】