説明

感染症の治療

本発明は、感染性障害の治療または予防、およびトナベルサットまたは式(1)の類似体、および前記治療で使用されるトナベルサットまたは式(1)の類似体を含む組成物に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感染性障害、さらに詳しくは感染症または感染因子を有する感染に伴う、またはそれらから生じる症状の治療に使用される、トナベルサットおよびその類似体、およびトナベルサットまたはその類似体を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第95/34545号パンフレットには、神経細胞のギャップ結合遮断薬と呼ばれる薬のクラスのメンバーであり、かつ片頭痛、癲癇、鬱病および他の神経症状を含む、ある範囲の症状に関して現在研究されている、別名シス−6−アセチル−4−(S)−(3−クロロ−4−フルオロベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2,2−ジメチル−2H−1−ベンゾピラン−3−(S)−オールとして知られるトナベルサットなど、一連の具体的な指定の化合物が開示されている。
【0003】
米国特許第5948811号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)には、片頭痛、精神病、癲癇および他の神経症状などの中枢神経系および末梢神経系内の疾患の予防および治療に使用することができる化合物のクラス(「式Iの類似体」)が記述されている。

式中、YはC−Rであり;
はアセチルであり;
は、水素、C3−8シクロアルキル、任意選択により酸素がその間に挟まれている、またはヒドロキシで置換されているC1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは置換アミノカルボニル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルオキシ、C1−6アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロ、トリフルオロメチル、またはCFS;またはCF−A−基(Aは、−CF−、−CO−、−CH−、CH(OH)、SO、SO、CH−O、またはCONHである);またはCFH−A’−基(A’は、酸素、硫黄、SO、SO、CFまたはCFHである);トリフルオロメトキシ、C1−6アルキルスルフィニル、パーフルオロC2−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルコキシスルフィニル、C1−6アルコキシスルホニル、アリール、ヘテロアリール、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ホスホノ、アリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールカルボニルオキシ、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アリールスルホニル、またはヘテロアリールスルホニル(いずれかの芳香族部位が任意選択により置換されている)、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、C1−6アルキル−チオカルボニル、C1−6アルコキシ−チオカルボニル、C1−6アルキル−チオカルボニルオキシ、1−メルカプトC2−7アルキル、ホルミル、またはアミノスルフィニル、アミノスルホニルまたはアミノカルボニル(いずれかのアミノ部位が、1または2個のC1−6アルキル基で任意選択により置換されている)、またはC1−6アルキルスルフィニルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、C1−6アルコキシスルフィニルアミノまたはC1−6アルコキシスルホニルアミノ、またはC1−6アルキルカルボニル、ニトロまたはシアノ、または−C(C1−6アルキル)NOHまたは−C(C1−6アルキル)NNHで末端が置換されているエチレニル;または1または2個のC1−6アルキルによって、またはC2−7アルカノイルによって任意選択により置換されているアミノであり;RおよびRのうちの1つが水素またはC1−4アルキルであり、もう1つがC1−4アルキル、CFまたはCHであり、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードであり、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ、C1−4アルキルカルボニルオキシ、−S−C1−4アルキル、ニトロ、1または2個のアルキル基で任意選択により置換されているアミノ、シアノまたはC1−4アルコキシカルボニルであり;またはRおよびRは共に、C1−4アルキルで任意選択により置換されているC2−5ポリメチレンであり;
は、C1−6アルキルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ、ONO、ベンジルオキシ、フェニルオキシまたはC1−6アルコキシであり、
およびRは水素であるか、またはRはヒドロキシであり、Rは水素またはC1−2アルキルであり、Rは水素であり;
は、ヘテロアリールまたはフェニルであり、その両方が、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ニトロ、C1−4アルキルによって1回または2回任意選択により置換されているアミノ、シアノ、アジド、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシおよびトリフルオロメチルから選択される基または原子で独立して1回または複数回任意選択により置換されており;
は、水素、C1−6アルキル、OR11またはNHCOR10であり、R11は、水素、C1−6アルキル、ホルミル、C1−6アルカノイル、アロイルまたはアリールC1−6アルキルであり、R10は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、モノまたはジC1−6アルキルアミノ、アミノ、アミノC1−6アルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C1−6アシルオキシ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシカルボニル−C1−6−アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;R−N−CO−R基はR基に対してシス位にあり;Xは、酸素またはNR12であり、R12は水素またはC1−6アルキルである。
【0004】
感染症は、病原性ウイルス、病原性細菌、真菌、原生動物、多細胞寄生虫およびプリオンとして知られる異常タンパク質などの病原体の存在から生じる臨床的に顕性の疾患である。プリオンは、ミスフォールドされたタンパク質を伝達する感染病原体である。プリオン関連疾患としては、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ウシ海綿状脳症(BSE)スクレイピー障害、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー症候群(GSS)、致死性家族性不眠症(sFI)およびクールー病が挙げられる。総称して、これらの疾患は、伝染性海綿状脳症(TSE)として知られる。感染症は感染と同義ではなく、重要な臨床症状を引き起こさないかもしれないし、あるいは宿主の機能を損なわないかもしれない。しかしながら、感染症は、特定の感染因子に応じて異なる多様な範囲の症状を示し、感染病原体の存在から、または感染病原体によって生じる損傷から直接的または間接的に起こり得る、幅広い障害が起こる。
【0005】
感染症とは対照的に感染性障害とは、CJDを引き起こし得るプリオンタンパク質またはHIV神経痛を発症させ得るヒト免疫不全ウイルス、または髄膜炎を起こし得る肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)などの感染病原体の存在から直接的に生じる障害であるか、あるいは現在または以前の感染または感染症から間接的に生じる障害であるか、または帯状疱疹後神経痛を発症し得る水痘帯状疱疹ウイルスなどの感染病原体によって起こる損傷から生じる障害である。感染性障害は、感染病原体の存在によって誘発される炎症反応の結果である場合が多い。
【0006】
抗ウイルス、抗細菌、抗真菌治療などの感染症に利用可能な多くの治療がある。これらの治療は感染病原体を攻撃し、そうすることで最終的には、そして願わくは、感染症を根絶またはコントロールする。しかしながら、感染症を治療するための、安全な、代替の、かつ改善された方法および組成物が極めて必要とされている。
【0007】
第1の態様において、本発明は、感染症の治療で使用される、トナベルサット、または式Iの類似体

(式中、YはC−Rであり;
はアセチルであり;
は、水素、C3−8シクロアルキル、任意選択により酸素がその間に挟まれている、またはヒドロキシで置換されているC1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは置換アミノカルボニル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルオキシ、C1−6アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロ、トリフルオロメチル、またはCFS;またはCF−A−基(Aは、−CF−、−CO−、−CH−、CH(OH)、SO、SO、CH−O、またはCONHである);またはCFH−A’−基(A’は、酸素、硫黄、SO、SO、CFまたはCFHである);トリフルオロメトキシ、C1−6アルキルスルフィニル、パーフルオロC2−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルコキシスルフィニル、C1−6アルコキシスルホニル、アリール、ヘテロアリール、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ホスホノ、アリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールカルボニルオキシ、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アリールスルホニル、またはヘテロアリールスルホニル(いずれかの芳香族部位が任意選択により置換されている)、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、C1−6アルキル−チオカルボニル、C1−6アルコキシ−チオカルボニル、C1−6アルキル−チオカルボニルオキシ、1−メルカプトC2−7アルキル、ホルミル、またはアミノスルフィニル、アミノスルホニルまたはアミノカルボニル(いずれかのアミノ部位が、1または2個のC1−6アルキル基で任意選択により置換されている)、またはC1−6アルキルスルフィニルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、C1−6アルコキシスルフィニルアミノまたはC1−6アルコキシスルホニルアミノ、またはC1−6アルキルカルボニル、ニトロまたはシアノ、または−C(C1−6アルキル)NOHまたは−C(C1−6アルキル)NNHで末端が置換されているエチレニル;または1または2個のC1−6アルキルによって、またはC2−7アルカノイルによって任意選択により置換されているアミノであり;RおよびRのうちの1つが水素またはC1−4アルキルであり、もう1つがC1−4アルキル、CFまたはCHであり、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードであり、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ、C1−4アルキルカルボニルオキシ、−S−C1−4アルキル、ニトロ、1または2個のアルキル基で任意選択により置換されているアミノ、シアノまたはC1−4アルコキシカルボニルであり;またはRおよびRは共に、C1−4アルキルで任意選択により置換されているC2−5ポリメチレンであり;
は、C1−6アルキルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ、ONO、ベンジルオキシ、フェニルオキシまたはC1−6アルコキシであり、
およびRは水素であるか、またはRはヒドロキシであり、Rは水素またはC1−2アルキルであり、Rは水素であり;
は、ヘテロアリールまたはフェニルであり、その両方が、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ニトロ、C1−4アルキルによって1回または2回任意選択により置換されているアミノ、シアノ、アジド、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシおよびトリフルオロメチルから選択される基または原子で独立して1回または複数回任意選択により置換されており;
は、水素、C1−6アルキル、OR11またはNHCOR10であり、R11は、水素、C1−6アルキル、ホルミル、C1−6アルカノイル、アロイルまたはアリールC1−6アルキルであり、R10は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、モノまたはジC1−6アルキルアミノ、アミノ、アミノC1−6アルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C1−6アシルオキシ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシカルボニル−C1−6−アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;R−N−CO−R基はR基に対してシス位にあり;Xは、酸素またはNR12であり、R12は水素またはC1−6アルキルである)、または薬学的に許容されるその組成物を提供する。
【0008】
式1の好ましい類似体は、化合物カラベルサットまたは(トランス−(+)−6−アセチル−4−(S)−(4−フルオロベンゾイルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2,2−ジメチル−2H−1−ベンゾ[b]ピラン−3Rオール半水化物である。
【0009】
本発明による治療的投与に関しては、トナベルサットまたは式Iの類似体は、その遊離塩基の形で最も好ましくは用いられるが、薬学的に許容される塩、好ましくは塩酸塩の形で使用することもできる。予防的および/または治療的投与において、薬学的に許容される酸を用いた代替の塩、例えば、限定されないが、臭化水素酸、リン酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、サリチル酸、クエン酸、シュウ酸、乳酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸などの酸から誘導される塩を用いることもできる。
【0010】
本明細書におけるトナベルサットまたは式Iの類似体のすべての言及は、そのすべての薬学的に許容される塩、およびそのすべての溶媒和化合物を包含する。
【0011】
トナベルサットまたは式Iの類似体の多形、溶媒和化合物および放射標識誘導体およびその薬学的に許容される組成物もまた、本発明の範囲内に含まれる。トナベルサットまたは式Iの類似体の言及は、そのかかる多形、溶媒和化合物および放射標識誘導体を包含する。
【0012】
本発明による予防的および/または治療的投与に関しては、トナベルサットまたは式Iの類似体を純粋な形で投与してもよいが、好ましくは、体内で活性成分を有効なレベルにするいずれかの適切な、薬学的に許容され、かつ有効な組成物中に配合される。
【0013】
したがって、本発明は、感染性障害を治療する方法であって、その必要がある患者に、薬学的に有効な量のトナベルサットまたは式Iの類似体、またはその薬学的に許容される組成物を投与する方法を提供する。
【0014】
本発明は、感染性障害を治療するための薬物の製造において使用される、トナベルサット、または式Iの類似体、またはその薬学的に許容される組成物も提供する。
【0015】
感染性障害とは:
i)ウイルス、細菌、真菌、原生動物またはプリオンなどの微生物病原体の存在下から直接、生じる疾患を意味する。かかる疾患としては、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)からの髄膜炎などの細菌性疾患が挙げられる。かかる疾患としては、CJD、BSE、スクレイピー障害、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー症候群(GSS)、致死性家族性不眠症(sFI)およびクールー病などのプリオン関連疾患も挙げられる。総称して、これらの疾患は、伝染性海綿状脳症(TSE)として知られている。
ii)慢性疲労症候群、消化性潰瘍など、現在または以前の感染または感染症から間接的に生じる疾患を意味する。
iii)帯状疱疹後神経痛を発症させ得る、水痘帯状疱疹ウイルス、単純疱疹、エプスタインバーウイルスおよびサイトメガロウイルスなどのヘルペスウイルスのうちの1つ、神経系に広範な損傷を引き起こし、かつHIV神経痛と呼ばれる重篤な神経障害性疼痛を生じさせるHIVなど、感染病原体によって起こる損傷から生じる疾患を意味する。ジフテリアおよびハンセン病は、広範な末梢神経障害を特徴とする細菌性疾患であり、ライム病は広範囲の神経障害を起こし得る。
【0016】
すべての治療は急性期または予防的治療であり得る。急性期治療については、処置を迅速に開始することが好ましく、したがって、投与後間もなく最高血漿中濃度に達する薬物が最も有益であろう。したがって、迅速な薬物放出および/または溶解を提供する組成物が好ましい。
【0017】
トナベルサットまたは式Iの類似体は、単独で投与してもよいが、一般に、トナベルサットまたは式Iの類似体、および意図される投与経路に関して選択される1種または複数種の薬学的に許容される希釈剤または担体を含む、その薬学的に許容される組成物の形態で送達される。
【0018】
トナベルサットまたは式Iの類似体、またはその薬学的に許容される組成物での治療は、1〜1000mg、適切には1〜500mgの単位用量、例えば活性化合物2、5、10、20、30、40、50、80、100、200、300および400mgなど範囲2〜400mgの量の単位用量で行うことができる。
【0019】
単位用量は通常、1日の総投与量が通常、70kgの成人では1〜1000mg、例えば1〜500mgの範囲、つまり約0.01〜15mg/kg/日、より一般的には0.1〜6mg/kg/日、例えば1〜6mg/kg/日の範囲になるように、1日に1回または複数回、例えば1日に1、2、3、4、5または6回、より一般的には1日に1〜4回投与される。
【0020】
好ましくは、トナベルサットまたは式Iの類似体、またはその薬学的に許容される塩は、約0.01〜15mg/kg/日、さらに一般的には0.1〜6mg/kg/日、例えば1〜6mg/kg/日の用量範囲で患者に投与される。
【0021】
トナベルサットまたは式Iの類似体は、舌下投与を含む経口投与、鼻腔内投与、直腸投与、局所投与、非経口(特に静脈内)投与、点眼または点耳投与用の組成物など、医薬組成物の形で投与されることが好ましい。
【0022】
トナベルサットまたは式Iの類似体の送達に適している医薬組成物、およびその製造方法は、当業者には容易に理解されよう。かかる組成物およびその製造方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th Edition (Mack Publishing Company,1995)に記載されている。
【0023】
経口投与に適している組成物としては、固形剤形、例えば錠剤、顆粒を含有するカプセル剤、液剤または散剤、トローチ剤(液体充填されたものを含む)、チュアブル錠、多粒子剤およびナノ粒子製剤、ゲル剤、固溶体製剤、リポソーム剤、フィルム剤、オビュール剤、スプレー剤および液状剤が挙げられる。液状剤形としては、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。液状剤形は、例えば小さな袋から固形物を再構成することによって調製することもできる。
【0024】
経口投与可能な組成物は、錠剤、カプセル剤、香錠、ペレット、丸剤、トローチ剤、散剤および顆粒剤などの経口固形組成物の形をとり得る。この組成物は、患者の舌と接触すると溶解する固形状、例えば商品名ZYDIS(登録商標)で販売されている崩壊性錠剤の形状であることができる。一般的な使用に、より都合がよいことから、成形された経口組成物が好ましい。
【0025】
経口投与用の固形形態は通常、単位用量で表され、アジュバント、結合剤、希釈剤、崩壊剤、分散剤、賦形剤、充填剤、製錠剤(tabletting agents)、滑沢剤、着色剤、香味剤、乾燥剤、保水剤、および湿潤剤などの従来の添加剤を含有する。
【0026】
丸剤、ペレットおよび錠剤は、当技術分野でよく知られている方法に従ってコーティングすることができる。経口用固形剤形は、腸溶コーティングを有する錠剤または顆粒剤などの従来の徐放性剤形も含む。
【0027】
適切な充填剤としては、セルロース、マンニトール、ラクトースおよび他の同様な充填剤があげられる。適切な崩壊剤としては、デンプン、ポリビニルピロリドンおよびグリコール酸デンプンナトリウムなどのデンプン誘導体が挙げられる。適切な滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウムが挙げられる。適切な薬学的に許容される湿潤剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0028】
固形経口組成物は、混合によって調製され、ブレンド、充填、製錠化等の従来の方法によって製造することができる。ブレンド操作を繰り返して、多量の充填剤を使用して、組成物全体に作用薬を分散させることができる。当然のことながら、かかる操作は、当技術分野では従来どおりである。
【0029】
組成物は、水性もしくは油性ブレンド、混合物、懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ、チンキおよびエリキシルおよびゲル製剤などの液体製剤を含む口腔液製剤の形をとることもできる。
【0030】
組成物は、使用前に水または他の適切な賦形剤で希釈または再構成される、希釈可能な液体濃縮物または乾燥生成物、再構成可能な粉末として存在することもできる。
【0031】
ゲルおよび液体製剤などの口腔液製剤は、懸濁化剤、例えばソルビトール、シロップ剤、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水素化食用脂;乳化剤、例えばレシチン、モノオレイン酸ソルビタン、またはアカシア;非水性賦形剤(食用油を含み得る)、例えば、アーモンド油、ヤシ油、油状エステル、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはエチルアルコールのエステル:保存剤、例えばメチルもしくはプロピルp−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸;および所望の場合には、従来の香味剤または着色剤などの従来の添加剤:を含有し得る。
【0032】
経口投与用組成物は、即時放出および/または調節放出されるように配合することができる。調節放出製剤としては、遅延放出型、徐放型、パルス放出型、放出制御型、標的化型およびプログラム型放出が挙げられる。
【0033】
非経口投与に適した組成物としては、注射可能であり、かつ不融性の水性もしくは油性ブレンド、混合物、懸濁液、溶液、エマルジョンおよび低粘度ゲル製剤が挙げられる。非経口投与用組成物は、即時放出および/または調節放出されるように配合することができる。調節放出製剤としては、遅延放出型、徐放型、パルス放出型、放出制御型、標的化型およびプログラム型放出が挙げられる。
【0034】
本発明で使用される非経口的組成物は、長時間作用性デポ製剤として調製することができる。かかる製剤は、筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、本発明の組成物は、適切なポリマーまたは疎水性材料(例えば、薬学的に許容されるオイル中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂と、あるいはやや可溶性の誘導体として、例えばやや可溶性の塩として配合することができる。
【0035】
有利なことに、局所麻酔薬、保存剤および緩衝剤などの補助剤も、賦形剤中に溶解、乳化または懸濁される。
【0036】
かかる組成物は、化合物と溶媒または賦形剤との混合によって調製される。賦形剤および濃度に応じて化合物は、乳化、懸濁または溶解される。非経口的組成物は通常、化合物と滅菌された賦形剤によって調製され、かつ/または適切なバイアルまたはアンプルに充填され、密閉する前に組成物が滅菌される。
【0037】
安定性を高めるために、組成物は、使用前に水または他の適切な賦形剤で再構成される、乾燥生成物、再構成可能な粉末として存在することもできる。バイアルに充填した後に、液体組成物を凍結し、真空下で凍結乾燥させることができる。
【0038】
トナベルサットまたは式Iの類似体は、皮膚または粘膜に局所的に、つまり皮膚に、または経皮的に投与することもできる。この目的のための一般的な製剤としては、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏、粉末剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、経皮パッチ、オブラート、インプラント、スポンジ、繊維、包帯およびマイクロエマルションが挙げられる。リポソームも使用することができる。一般的な担体としては、アルコール、水、鉱油、液体ペトロラタム、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。浸透促進剤を組み込むことができる−例えば、J Pharm Sci,88(10),955−958,by Finnin and Morgan(October 1999)を参照されたい。
【0039】
局所投与の他の手段としては、電気穿孔法、イオン導入、音波泳動法、ソノフォレーシスおよび顕微針による注入または針なしの注入(例えば、Powderject(商標)、Bioject(商標)等)による送達が挙げられる。
【0040】
局所投与用の製剤は、即時放出および/または調節放出されるように配合することができる。調節放出製剤としては、遅延放出型、徐放型、パルス放出型、放出制御型、標的化型およびプログラム型放出が挙げられる。
【0041】
手術創において使用される組成物は、長時間作用性デポ製剤として調製することができる。かかる製剤は、埋め込み(例えば皮下にまたは筋肉内に)によって、または筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、本発明の組成物は、適切なポリマーまたは疎水性材料(例えば、許容されるオイル中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂と、あるいはやや可溶性の誘導体として、例えばやや可溶性の塩として配合することができる。
【0042】
トナベルサットまたは式(I)の類似体は、一時的にまたは永久的なヒトまたは他の動物の体の開口部、例えば気管、鼻孔、鼻腔、直腸、乳房の管、尿道または膣、または手術創、例えば切開、またはカテーテル、套管針、カニューレ、気管内または他の内視鏡的チューブまたはオストミーチューブ、例えば気管オストミーまたは人工肛門チューブなどのかかる一時的または永久的な開口部に挿入される任意のデバイスに投与するための単位用量組成物の形態で投与されることがさらに好ましい。鼻腔内投与が非常に好ましい。
【0043】
鼻腔内粘膜投与可能な組成物は、粉末および顆粒などの鼻腔内粘膜固形組成物の形態をとり得る。その組成物は、水性または油性ブレンド、混合物、懸濁液、液体、エマルジョンおよびエリキシル、およびゲル製剤などの液体製剤を含む鼻腔内粘膜の液体製剤の形もとり得る。組成物は、使用前に水または他の適切な賦形剤で希釈または再構成される、希釈可能な液体濃縮物または乾燥生成物、再構成可能な粉末として存在することもできる。
【0044】
トナベルサットまたは式Iの類似体は、一般に、ドライパウダー吸入器からの乾燥粉末の形状で(単独で、例えばラクトースとのドライブレンドにおいて混合物として、または例えばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合された混合成分粒子として)、または加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、細かいミストを生成するために電気流体力学を用いたアトマイザー)、またはネブライザーからのエアロゾルスプレーとして、1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用して、または使用することなく、鼻腔内にまたは吸入によって投与することができる。鼻腔内への使用については、粉末は、生体接着剤、例えばキトサンまたはシクロデキストリンを含み得る。
【0045】
鼻腔内経粘膜投与の固形形態は通常、単位用量で存在し、補助剤、希釈剤、分散剤、賦形剤、着色剤、乾燥剤、保水剤、および湿潤剤などの従来の添加剤を含有する。
【0046】
粉末および顆粒は、当技術分野でよく知られている方法に従ってコーティングすることができる。鼻腔内粘膜の固形剤形は、耐性コーティングを有する粉末または顆粒などの従来の徐放性製剤も含む。
【0047】
適切な賦形剤としては、セルロース、マンニトール、ラクトース、キトサン、ペクチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリオキサマー、例えばポリ(エチレンオキシド)、ゼラチン、ポリビニルピロリドンおよびデンプンが挙げられる。適切な薬学的に許容される湿潤剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0048】
鼻腔内粘膜の固形組成物は、混合によって調製され、かつブレンドなどの従来の方法によって製造することもできる。ブレンド操作を繰り返し、多量の賦形剤を使用して、その組成物全体に作用薬を分散することができる。かかる操作は当然のことながら、当技術分野において従来どおりである。
【0049】
ゲルおよび液体製剤などの鼻腔内粘膜の液体製剤は、懸濁化剤、例えばソルビトール、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水素化食用脂;乳化剤、例えばレシチン、モノオレイン酸ソルビタン、またはアカシア;非水性賦形剤(食用油を含み得る)、例えば、アーモンド油、ヤシ油、油状エステル、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはエチルアルコールのエステル:保存剤、例えばメチルもしくはプロピルp−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸;および所望の場合には、従来の着色剤:などの従来の添加剤を含み得る。
【0050】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、例えば、エタノール、水性エタノール、または作用物質を分散、安定化、または作用物質の放出を延ばすための適切な代替剤、溶媒としての噴射剤およびトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、またはオリゴ乳酸などの任意の界面活性剤を含む、本発明の化合物の溶液または懸濁液を収容する。
【0051】
乾燥粉末または懸濁液製剤で使用する前に、製剤は、吸入によって送達するのに適したサイズ(一般に、5ミクロン未満)に微粉化される。これは、スパイラルジェットミル、流動床ジェットミル、ナノ粒子を形成する超臨界流体処理、高圧均質化、または噴霧乾燥などの任意の適切な微粉砕法によって達成することができる。
【0052】
吸入器または注入器で使用される、カプセル(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースから作られた)、ブリスターおよびカートリッジは、本発明の化合物、ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末ベース、およびL−ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムなどの性能改質剤の粉末ミックスを含有するように配合することができる。ラクトースは無水であっても、一水和物の形をとってもよく、後者が好ましい。他の適切な賦形剤としては、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが挙げられる。
【0053】
細かいミストを生成するために電気流体力学を使用したアトマイザーにおいて用いられる適切な溶液製剤は、アクチュエーション1回につき本発明の化合物1μg〜20mgを含有することができ、かつアクチュエーション体積は、1μl〜100μlと様々であり得る。一般的な製剤は、式Iの類似体、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含み得る。プロピレングリコールの代わりに使用することができる代替の溶媒としては、グリセロールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0054】
吸入/鼻腔内投与用の本発明のこれらの製剤に、メントールおよびレボメントールなどの適切な着香剤、またはサッカリンまたはサッカリンナトリウムなどの甘味料を添加してもよい。
【0055】
トナベルサットまたは式Iの類似体は、例えば坐剤、ペッサリー、または浣腸の形で、経直腸または経膣投与することもできる。
【0056】
トナベルサットまたは式Iの類似体は、一般にpH調整された等張性滅菌生理食塩水中の微粉化懸濁液または溶液の液滴状で、眼または耳に直接投与することもできる。点眼および点耳投与に適した他の製剤としては、軟膏、生分解性(例えば、吸収性ゼラチンスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えば、シリコーン)インプラント、オブラート、レンズおよびニオソームまたはリポソームなどの粒状または小胞状システムが挙げられる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、またはメチルセルロース、またはヘテロポリサッカライドポリマー、例えばゲランガムなどのポリマーを塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と共に組み込むことができる。かかる製剤は、イオン導入法によって送達することもできる。
【0057】
トナベルサットまたは式Iの類似体の組成物は、Expert Opinion in Therapeutic Patents,11(6),981−986,by Liang and Chen(2001)およびVerma RK et.al.Current Status of Drug Delivery Technologies and Future Directions,Pharmaceutical Technology On−Line,2001,25(2),1−14に記載の剤形など、即時分散性剤形の形態もとることができる。かかる剤形は、急速溶解、迅速溶解、迅速融解、口腔内溶解および急速崩壊性の経口錠剤としても知られる。この組成物は、例えば商品名ZYDIS(登録商標)(RP Scherer,UK)で市販されている崩壊性錠剤の形で、患者の舌と接触すると融解する固形形態をとり得る。その代わりとして、この組成物は、EFVDAS(発泡性薬物吸収システム、Elan Corporation)、Fast Melt(高多孔性極微小マトリックス錠剤、Elan Corporation)、Flashdose(せん断形成技術を用いたフロスマトリックス、(Fuisz Technologies,USA)、Flashtab(口腔内分散性多粒子錠剤、Prographarm,France)、Multiflash(急速崩壊性マルチユニット、多粒子錠剤、Prographarm)、Orasolv(発泡性分散マイクロカプセル錠剤、Cima Labs Inc,USA)、Wowtab錠剤(Yamanouchi Pharma Technologies,USA)、LYOC(凍結乾燥急速崩壊性錠剤、Farmalyoc,France)またはQuicksolve(凍結乾燥急速崩壊性錠剤、Janssen Pharamceutica,USA)の形態をとり得る。
【0058】
他の適切な製剤技術としては、向上した溶解性を有する薬物の安定化された非晶質形態を利用したINDAS(不溶性薬物吸収システム,Elan Corporation)、一般に粒径400nm未満を有する薬物のナノ粒子を用いたNanoCrystal技術(Elan Corporation)またはソフトゼラチンカプセル剤形を用いたSoftGel(RP Scherer)が挙げられる。
【0059】
本明細書に記載の製剤技術は有利なことに、より迅速な薬物の溶解および吸収を提供することができる。舌下などの口腔内で崩壊する組成物の場合、吸収速度が増加し、初回通過代謝効果は低減され得る。
【0060】
一般的な実施と同様に、この組成物は通常、関係のある内科療法で使用される、書き表された、または印刷された説明が添付されているだろう。
【0061】
本発明で使用される組成物は、投与方法に応じて、作用物質を0.1〜99重量%、好ましくは1〜60重量%含有し得る。
【0062】
本発明を説明し、本発明の理解を助けるために、単に一例として以下を示す:
トナベルサットでの研究では、
−錠剤コア重量250mgを有する直接圧縮錠剤0.05、1.0、10および25mg
−錠剤コア重量400mgを有する直接圧縮錠剤15、25、40および80mg
−錠剤コア重量400mgを有する直接圧縮錠剤20mg
−錠剤コア重量400mgを有するナノ粒子状錠剤10、20および40mg
を含む、多くの異なる製剤を用いた。
【0063】
直接圧縮錠剤では、微粉化された有効成分を使用しているのに対して、ナノ粒子状錠剤は、湿式床粉砕された噴霧乾燥ナノ粒子状有効成分を用いた直接圧縮錠剤であった。臨床試験は、以下の単位組成と共にコア重量400mgを有する、丸い白色の未被覆直接圧縮錠剤10、20、30、40、60および80mgを用いて行われた(示されているのは20mg錠剤のみであり;他のすべての強度は、トナベルサットおよびラクトース含有率のみ異なる)。
【0064】
本発明で使用するのに適している代表的な製剤を表1に詳述する。
【0065】

【実施例】
【0066】
実験方法
実施例1:マウスにおけるプリオン神経炎症の研究
【0067】
目的
プリオン神経病因の2つのモデル:対照として擬似接種マウスを用いたプリオン感染マウス;炎症のモデルとしての肺炎球菌(Pneumococcus)誘発脳炎;に対するトナベルサットの効果を調べることである。
【0068】
材料および方法
1.スクレイピーおよびBSE株プリオン複製(10 LD50プリオン感染性の脳内注入)のモデルとして、C57b16Nマウスが使用される。それらを擬似接種の同様なマウスと比較する。範囲0.5mg/kg〜10および20mg/kg(生理食塩水またはリン酸緩衝液中で腹腔内投与または経口投与にて)の投与量で、トナベルサットの急性注入または慢性投与を行う。EEG分析に関して、その群は動物10匹で構成され、行動試験および死亡率に関して動物10匹で構成される。分析は、潜伏期間中(第1期、第2期および第3期にて)、以下を含む:
(a)感染マウスおよび非感染マウスと比較しての、EEG相対電力分析(賦形剤記録治療で得られるスペクトル電力に対する、治療記録セッションにおいて1分当たりに得られたスペクトル電力の比として、EEGスペクトル電力を計算した)。ANOVA手順によって、この結果の有意性を決定する。これらの試験は、ギャップ結合修飾物質(トナベルサット)を含む、または含まない、げっ歯類のEEGシグナルまたは行動を修飾する薬物(薬理学的投与量、つまり一般にNaClまたはPBS中で1〜32mg/kgでの、イミプラミン、ベンラフィン、ジアゼパム、アンフェタミン、フルオキセチン、カフェイン、クロルプロマジン、ブスピロン)との比較も含む。これは、ギャップ結合と、その大部分が感染中に損傷を受ける、特異的な病理学的神経伝達システムとの関係のレベルを評価する助けとなる。
(b)行動試験:強制水泳試験(つまり、Porsolt試験または行動性絶望)、オープンフィールド試験(Open Field)、活動メーター試験(Activity Meter)、尾懸垂試験(Tail Suspension Test)、明暗箱試験(Dark Light Box)。行動の変化を誘発する薬物を注入されたマウスでも試験を行う。T試験は、結果の有意性を決定する助けとなる。
(c)死亡率および罹患率が評価され、カプラン・マイヤー推定量を用いて有意性が評価される。
(d)炎症およびコネキシンの局在を評価するために、組織学的分析を行う(GFAPおよびビメンチン標識を使用して)。
2.髄膜炎(したがって、神経炎症)は、病原性細菌、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)を右大脳半球に105 CFU(コロニー形成単位)で使用して、マウスにおいて引き起こされる。プリオン感染マウスに関するパラメーターとして同様なパラメーターが評価され、かつ薬理用量で抗生物質処置された感染マウス(抗生物質は、セフトリアキソン、バンコマイシン、セフォタキシム、セフジニルの中から選択される)と比較される。
3.スクレイピー株プリオン(PrPres Biochemical quantification)によって感染可能な、マウスのグリア細胞および神経細胞系がプリオン感受性の研究に使用される。注入前または後に示されるトナベルサットの効果を調べる(6ウェルプレート形式にて三重反復で22Lプリオン株103、104、105 LD50)。PrPresは、継代3回後に定量化される。これらの細胞モデルにおけるトナベルサットの毒性は、研究開始前に調べる(用量範囲1nM〜100mMの研究がこの時点で行われる)。他のギャップ結合阻害剤(用量範囲研究後、メクロフェナム酸、グリチルレチン酸、フルフェナム酸)も試験される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感染性障害の治療において使用される、トナベルサットまたは式1

(式中、YはC−Rであり;
はアセチルであり;
は、水素、C3−8シクロアルキル、任意選択により酸素がその間に挟まれている、またはヒドロキシで置換されているC1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは置換アミノカルボニル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルオキシ、C1−6アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロ、トリフルオロメチル、またはCFS;またはCF−A−基(Aは、−CF−、−CO−、−CH−、CH(OH)、SO、SO、CH−O、またはCONHである);またはCFH−A’−基(A’は、酸素、硫黄、SO、SO、CFまたはCFHである);トリフルオロメトキシ、C1−6アルキルスルフィニル、パーフルオロC2−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルコキシスルフィニル、C1−6アルコキシスルホニル、アリール、ヘテロアリール、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ホスホノ、アリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールカルボニルオキシ、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アリールスルホニル、またはヘテロアリールスルホニル(いずれかの芳香族部位が任意選択により置換されている)、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、C1−6アルキル−チオカルボニル、C1−6アルコキシ−チオカルボニル、C1−6アルキル−チオカルボニルオキシ、1−メルカプトC2−7アルキル、ホルミル、またはアミノスルフィニル、アミノスルホニルまたはアミノカルボニル(いずれかのアミノ部位が、1または2個のC1−6アルキル基で任意選択により置換されている)、またはC1−6アルキルスルフィニルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、C1−6アルコキシスルフィニルアミノまたはC1−6アルコキシスルホニルアミノ、またはC1−6アルキルカルボニル、ニトロまたはシアノ、または−C(C1−6アルキル)NOHまたは−C(C1−6アルキル)NNHで末端が置換されているエチレニル;または1または2個のC1−6アルキルによって、またはC2−7アルカノイルによって任意選択により置換されているアミノであり;RおよびRのうちの1つが水素またはC1−4アルキルであり、もう1つがC1−4アルキル、CFまたはCHであり、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードであり、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ、C1−4アルキルカルボニルオキシ、−S−C1−4アルキル、ニトロ、1または2個のアルキル基で任意選択により置換されているアミノ、シアノまたはC1−4アルコキシカルボニルであり;またはRおよびRは共に、C1−4アルキルで任意選択により置換されているC2−5ポリメチレンであり;
は、C1−6アルキルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ、ONO、ベンジルオキシ、フェニルオキシまたはC1−6アルコキシであり、RおよびRは水素であるか、またはRはヒドロキシであり、Rは水素またはC1−2アルキルであり、Rは水素であり;
は、ヘテロアリールまたはフェニルであり、その両方が、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ニトロ、C1−4アルキルによって1回または2回任意選択により置換されているアミノ、シアノ、アジド、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシおよびトリフルオロメチルから選択される基または原子で独立して1回または複数回任意選択により置換されており;
は、水素、C1−6アルキル、OR11またはNHCOR10であり、R11は、水素、C1−6アルキル、ホルミル、C1−6アルカノイル、アロイルまたはアリールC1−6アルキルであり、R10は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、モノまたはジC1−6アルキルアミノ、アミノ、アミノC1−6アルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル、C1−6アシルオキシ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシカルボニル−C1−6−アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;R−N−CO−R基はR基に対してシス位にあり;Xは、酸素またはNR12であり、R12は水素またはC1−6アルキルである)
の類似体、またはその薬学的に許容される組成物であって、前記感染性障害が、細菌、真菌、原生動物、プリオンまたはヘルペスウイルスが存在することから生じることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、またはその薬学的に許容される組成物。
【請求項2】
感染性障害の治療で使用される薬物の製造における、請求項1に記載のトナベルサットまたは式1の類似体において、前記感染性障害が、細菌、真菌、原生動物、プリオンまたはヘルペスウイルスが存在することから生じることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体。
【請求項3】
請求項1に記載のトナベルサットまたは式1の類似体の薬学的に有効な量をその必要がある患者に投与することを含む、感染症を治療または予防する方法であって、前記感染性障害が、細菌、真菌、原生動物、プリオンまたはヘルペスウイルスが存在することから生じることを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載のとおり使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項3に記載の方法において、前記感染性障害が細菌が存在することから生じることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載のとおり使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項3に記載の方法において、前記感染性障害がヘルペスウイルスが存在することから生じることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項6】
使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項5に記載の方法において、前記障害がヘルペス後神経痛であることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載のとおり使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項3に記載の方法において、前記感染性障害がプリオンが存在することから生じることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項8】
使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項7に記載の方法において、前記障害が伝染性海綿状脳症であることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項9】
使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項8に記載の方法において、前記障害がクロイツフェルト・ヤコブ病であることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項10】
記載の使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項8に記載の方法において、前記障害がゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー症候群であることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項11】
使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項8に記載の方法において、前記障害が致死性家族性不眠症であることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項12】
使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項8に記載の方法において、前記障害がクールー病であることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項13】
請求項1または2に記載のとおり使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項4に記載の方法において、前記細菌が肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)であることを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項14】
請求項1または2に記載のとおり使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項4に記載の方法において、前記細菌が、ジフテリア、ハンセン病またはライム病を引き起こすことを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。
【請求項15】
請求項1および2に記載のとおり使用されるトナベルサットまたは式1の類似体、または請求項3に記載の方法において、前記感染性障害が、慢性疲労症候群または消化性潰瘍を引き起こすことを特徴とする、トナベルサットまたは式1の類似体、または方法。

【公表番号】特表2013−512887(P2013−512887A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541580(P2012−541580)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【国際出願番号】PCT/GB2010/052020
【国際公開番号】WO2011/067607
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(512099389)プロキシマゲン リミテッド (3)
【Fターム(参考)】