説明

感熱記録媒体およびその感熱発色層の地肌色相の調節方法

【課題】 異なった色相で発色する互いに隣接する感熱発色層の境界付近の地肌の色相の違いを低減し、感熱記録媒体の印字品位の低下を防止する。
【解決手段】 基材2の表面に少なくとも熱エネルギーの印加により異なる色相で発色する複数の感熱発色層4が隣接して形成された感熱記録媒体1において、互いに隣接する前記感熱発色層4のうち、感熱発色する前の色相の濃度が高い感熱発色層4と色相の濃度が低い感熱発色層4の色相の濃度差を低減するために少なくとも色相の濃度が低い方の感熱発色層4に地肌色相調整剤を添加し、前記互いに隣接する感熱発色層4の地肌色相の濃度差を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なるエリアに異なる色相で発色する感熱記録媒体において、特に異なる色相で発色する感熱発色層の熱エネルギーを印加する前の地肌の濃度が微妙に異なる場合の調節方法および調節された感熱記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1枚の感熱記録媒体で複数のフォームを実現する多色感熱記録媒体が知られている。この多色感熱記録媒体は、異なる発色温度で異なる色相を発色させる少なくとも2つの感熱発色層を紙等の基材上に積層して形成した記録媒体が知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
このような多色感熱記録媒体をサーマルヘッドで加熱して印字を行なった場合、加熱温度を変えることにより異なった色相の画像が得られる。例えば、低温で加熱した場合には青色に発色し、高温で加熱した場合には黒色に発色するという具合である。このような多色感熱記録媒体を印字するには、サーマルヘッドの温度制御が必要になる。また、高温に制御されたサーマルヘッドで印字を行った場合、その印字ドットの周辺部は低温に制御された温度になるため、混色したように見える。
【0004】
このような問題を解決するため、異なった色相に発色する2色以上の感熱発色層を基材上に部分的に形成し、これを発色させる画素のみ選択的に加熱して多色画像を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開昭57−178791号公報
【特許文献2】特開昭60−208283号公報
【特許文献3】特開2000−301835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
記録媒体としてロール紙のような媒体を用いた場合に、その長さ方向に連続的にストライプ状の感熱記録層のパターンを印刷法で形成することができる。その感熱記録媒体の記録層の幅方向のサイズやパターンを比較的容易に変更できる。しかしながら、印刷法で部分的に感熱発色層を形成する感熱記録媒体において、上記したように、異なる発色をする連続するストライプ状の感熱発色層が平面的に隣接する場合に、例えば、黒に発色する感熱発色層と赤に発色する感熱発色層の発色前の色相(地肌)が微妙に異なるために、互いに隣接する境界付近の色相差が顕著に目立ってしまう現象が生ずる。
【0007】
このための実際にこの感熱記録媒体から形成される商品ラベル等に印字がされた場合において、互いに隣接する感熱発色層の境界部位の地肌の色相の差のために商品ラベル等の印字品位の低下をきたす原因となっている。
【0008】
本願においては、上記したように異なった色相で発色する互いに隣接する感熱発色層の境界付近の地肌の違いを低減し、感熱記録媒体の印字品位の低下を防止することを目的とするものである。
【0009】
また、本願発明者は、感熱記録媒体の作製に用いる感熱インキとして、水に、電子受容性化合物として、例えば、顕色剤、電子供与性化合物として、例えば、ロイコ染料、増感剤等の顔料成分を界面活性剤等の分散剤を用いて分散させた水分散感熱インキ使用した感熱記録媒体に係る特許出願(特願2003−099356号)を行っている。
【0010】
この出願において水分散感熱インキを、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター及びリップコーター等の塗工装置を用いて塗工した場合には、水分散感熱インキが塗布された感熱記録媒体をオーブンなどに入れて加熱して乾燥させた場合には、いわゆる「泳ぎ」と呼ばれる縞模様の発生を防止する構造を開示している。
【0011】
しかし、塗工された水分散感熱インキのレベリングをよくするために、その表面張力を低下させるために使用する界面活性剤やアルコール等の添加をする時に、この添加する材料により、水分散感熱インキが僅かに発色し、上記したように隣接する感熱発色層の地肌の濃度差が特に発生しやすいという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
基材の表面に少なくとも熱エネルギーの印加により異なる色相で発色する複数の感熱発色層が隣接して形成された感熱記録媒体において、互いに隣接する前記感熱発色層のうち、感熱発色層の地肌の色相の濃度が濃い感熱発色層と地肌の色相の濃度が淡い感熱発色層の地肌の濃度差を低減するために少なくとも地肌の色相の濃度が淡い方の感熱発色層に地肌濃度調整剤を添加し、前記互いに隣接する感熱発色層の地肌の濃度差を低減する方法を提供する。
【0013】
また、基材の表面に少なくとも熱エネルギーの印加により異なる色相で発色する複数の感熱発色層が隣接して形成された感熱記録媒体において、互いに隣接する前記感熱発色層のうち、少なくとも感熱発色層の色相の濃度が濃い感熱発色層と地肌の色相の濃度が淡い感熱発色層の地肌の濃度差を低減するために少なくとも地肌の色相の濃度が淡い方の感熱発色層に地肌色相調整剤が添加されている感熱記録媒体を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、互いに隣接し異なる色で発色する感熱発色層の地肌の色相の相違を低減することができ、印字品位の良好な感熱記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の一実施の形態を図1ないし図3に基づいて説明する。
図1は感熱記録媒体を示す平面図、図2は図1の断面図、図3は印字状態を示す平面図である。
【0016】
感熱記録媒体1は、基材2と、基材2の表面に形成されたインキ受理層3と、インキ受理層3に形成された発色色相がそれぞれ異なる色で発色する感熱発色層4a、4bおよび4cが形成されている。
【0017】
感熱発色層4a、4bおよび4cは、図2で示したようにインキ受理層3に浸透させ一体的に形成されている。印刷法で形成した場合、いわゆる「泳ぎ」が発生しやすいためで、インキ受理層3と一体的に形成することでその発生を抑えることが可能である。感熱発色層4a、4bおよび4cをインキ受理層3に一体的に形成するとは、印字品質的に泳ぎの影響が発生しない範囲で、感熱発色層4a、4bおよび4cがインキ受理層3に完全に浸透せず、上部にはみ出しても良い。
【0018】
感熱記録媒体1は、例えば図3で示すように、商品に付加する計量ラベル等や図4乃至図6で示すように感熱発色層4a、4bおよび4cをストライプ状に印刷すればプライスカード等のPOPとして利用可能である。感熱発色層4aには広告の品、SALE等の強調文字、感熱発色層4bには商品の説明やバーコード、感熱発色層4cは特売等の価格等を異なる色調で印字することにより、視覚的に顧客にPRできるPOP用等として利用することができる。
【0019】
ここで、本実施形態で示すように異なる色相で発色する感熱発色層4の各層(4a、4bおよび4c)が互いに平面的に隣接している場合は、発色前の地肌の色相が少しでも異なるとその境界線が目立ち、視認的に問題が発生する。これらの隣接する感熱発色層4の、例えば、4aと4bの色差(ΔE)が1以上の場合は、かなり視認的に認識され、互いの境界部分の色差が顕著に目立ち、好ましくは0.5以下であれば人の目に境界部分の色差は目立たたなくなる。ここで、感熱発色層4の“隣接する”とは、熱エネルギーを印加する前の互いに色相の異なる感熱発色層4の各層4a、4bおよび4cの地肌部の濃度(白さかげん)を視認的に区別できる程度の位置に接近している状態を含む。
【0020】
本発明の実施形態に用いた感熱記録媒体1の互いに隣接する感熱記録層(4a、4bおよび4c)における色差を、下記の表〔表1〕およびグラフ〔図7〕に示す。
【0021】
印刷版と各色間の色差の関係を示した表:
【表1】

【0022】
印刷版のセル深さが増すに従い、各感熱発色層4a、4bおよび4cの間の色差が増大する。これは微妙に色相の異なる感熱発色層4a、4bおよび4cの厚さはセル深さが深いほど厚くなるので色差が増大する。各色間の色差が人の目に目立ち難いとされている0.6以下であることが必要である(図7のヨコ破線Nは、良好な境界部の色差限界を示す)。また、印刷版のセル深さは38μm以下であることが必要であり、濃度的に十分でない場合は問題となる(図7のタテの2点破線Mは、良好な境界部の印刷深さ限界を示す)。本発明の実施形態において、150線の印刷版のセル深さが40μmでも境界部を目立たなくする方法について実験を行った。
【0023】
感熱発色層4の異なる色に発色する各感熱発色層(4a、4bおよび4c)の地肌の色差を補正するため、地肌の色相の淡い感熱発色層4(例えば、赤に発色する感熱発色層4c)には地肌部の色相の濃い色相(例えば、黒に発色する4b)と同等の色相になるように所定量の着色剤を添加する。ここでこの着色剤を「地肌色相調整剤」という。
所定量の地肌色相調整剤は、その種類にも依存することはもちろんであるが、実際は、実験的にカット・アンド・トライで最適添加量を決定する。以下、本発明の実施の形態で行った具体的な実施例を示す。
【0024】
電子受容性化合物を含んだインキ受理層3が設けられた基材2上に、熱エネルギーが印加されると青色に発色する電子供与性化合物(クリスタルバイオレットラクトン:山本化成社製)を含む水分散インキをグラビア印刷で形成した青色の感熱発色層4a、黒色に発色する電子供与性化合物(ODB−2:山本化成社製)を含む水分散インキをグラビア印刷で形成した黒色の感熱発色層4b、赤色に発色する電子供与性化合物(Vermilion−DCF:保土谷化学工業社製)を含む水分散インキをグラビア印刷で形成した赤色の感熱発色層4cをインキ受理層3に一体的に形成する。さらに、サーマルヘッドで印字できるように保護層6を設ける。
【0025】
電子供与性化合物が異なると、水分散インキの色が微妙に異なり、各色相の感熱発色層4a、4bおよび4cをグラビア印刷法で乾燥重量5g/m程度印刷(水分散インキの固形分が約30%程度であれば、15g/m程度の水分散インキが印刷される)乾燥して得られた各感熱発色層4a、4bおよび4cの地肌部の色相が微妙に異なる。
【0026】
各色相の異なる感熱発色層に前述の電子供与性化合物(この種類を変えて目的の色相を制御する)を用いた場合、その隣合う黒色の感熱発色層4bは、通常の感熱紙のように全面塗布されていれば黒ずんでいるように感じられないが、赤色の感熱発色層4cが特に他の発色層に比べて白いため、その境界部が際だって目立つ。一方、青色の感熱発色層4aはやや青色に着色しているが、視認的には黒色に近いため、感熱発色層4bとの境界は明確でなく目立ち難いが、赤に発色する感熱発色層4cと隣接した場合は、境界部が目立つので問題となる。
【0027】
そこで、赤色の感熱発色層4cと他の感熱発色層4a、4bとの境界線を目立たなくするために、赤色に発色する電子供与性化合物を含む水分散インキに地肌色相調整剤として黒色水性染料を含有させる。黒色に発色する感熱発色層4bの地肌の色相は極薄い黒色であるため、地肌が白い赤色感熱発色層4cには黒色水性染料を極僅か添加することにより、その境界部を目立ち難くすることができる。
【0028】
電子受容性化合物を含有するインキ受理層3が設けられた基材2に地肌色相調整剤としてDUASYN D.BLACK HEF−SF liq(クラリアント社製)の黒色の水性染料水溶液を赤色で発色する電子供与性化合物の水分散インキの固形分に対して0.12%程度添加する。
【0029】
黒色の水性染料水溶液が添加された赤系の水分散インキを簡易グラビア印刷機(松尾産業社製:Kプリンティングプルーファー)の印刷版(150線 セル深さ40μmの腐食版)で印刷乾燥して感熱発色層4cを形成する。同様に隣接する位置に、黒色で発色する電子供与性を含有する水分散インキを印刷版(150線セル深さ40μmの腐食版)により印刷乾燥して黒色の感熱発色層4bを形成する。同様にして青色の感熱発色層4aを形成し図4で示すようなストライプ状の感熱発色層を形成する。
【0030】
地肌色相調整剤として黒色の水性染料水溶液が0.12%添加された水分散インキにより形成された感熱発色層4C(ここで、地肌色相調整剤が添加された感熱発色層を「感熱発色層4C」とよび、地肌色相調整剤が添加されていない「感熱発色層4c」と区別する。)は、黒色の感熱発色層4bとの色差が添加しない場合の0.37から0.24に改善され、青色の感熱発色層4aとの色差が添加しない場合の0.45から0.28に改善された。
【0031】
ここで、感熱記録媒体1の感熱発色層4の発色濃度をより濃くする場合、印刷版からの水分散インキの転写量を多くする必要がある。例えば、150線セル深さ40μmの腐食版を使用し各感熱発色層4a、4bおよび4cと感熱発色層4Cを形成した場合、黒色の感熱発色層4bとの色差が0.5から0.34に改善され、0.65から0.35に改善できた。
【0032】
この150線セル深さ40μmで印刷した場合、境界部が目立つ色差0.6程度以上の数値から問題ないレベルまで低下させることができることがこの色差の数値からわかる。
【0033】
地肌色相調整剤として、黒色の水性染料水溶液の添加量は、部分的に設ける感熱発色層4bの地肌濃度や使用する電子供与性化合物の材料や黒色の水性染料水溶液の濃度や着色能力に応じて変える必要がある。他の色と境界部の視認性が問題になる場合、別の色の着色剤を添加すると効果がある。
【0034】
具体的には、各感熱発色層4a、4bおよび4cの色相Lab空間をX−Rite938で測定し、色差を所定の数式(下記〔数1〕)により算出した。
【0035】
2点間(A−B間)の色差 ΔE:
【数1】

【0036】
これにより、凡その添加すべき地肌色相調整剤を把握し、その添加量を実際に印刷により実験し、色差が0.6以下になるように地肌色相調整剤の添加量を実験的に求める。
【0037】
基材2として、例えば、紙、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム、金属箔等が挙げられるが、本発明の目的を妨げないものであれば、これらに限定されるものではない。
【0038】
基材2として紙を用いた場合、通常のグラビア印刷機を用いて感熱発色層4を印刷する場合、水分散感熱インキを用いるので、基材2にしわが発生しやすい。通常のグラビア印刷機で使用してもしわが発生しない基材2の厚さとして坪量が90g/m以上が必要でより好ましくは100g/m以上の紙を用いる。
【0039】
インキ受理層3は、印刷法で形成する感熱発色層4の泳ぎを防止するために、水系分散インキを吸収しやすくするために、顔料を主成分として、顔料とバインダー樹脂とから構成されている。顔料としては、例えば、クレー、焼成クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、シリカ等の無機顔料や、スチレン系、スチレン・アクリル系、アクリル系等の樹脂のビーズ状、中空樹脂等の有機顔料が使用可能である。さらに、1次粒子が凝集した凝集体である多孔性顔料が好ましく、例えば、炭酸カルシウムや合成シリカ等が使用可能である。インキ受理層3に用いられるバインダー樹脂としては、水溶性高分子、水溶性高分子エマルジョンが利用可能である。水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、セルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、スチレン・無水マレイン酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩等が挙げられる。水溶性高分子エマルジョンとしては、スチレン・ブタジエン共重合体等のラテックスや、酢酸ビニル樹脂、スチレン・アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン樹脂等のエマルジョン等が挙げられる。また必要に応じて、インキ受理層3に、ステアリン酸亜鉛、ワックス等の滑剤や、ヒンダードフェノール類等の添加剤を添加しても良い。また、感熱発色層4を形成するインキが電子供与性化合物を含有し、電子受容性化合物を含有していない場合、インキ受理層3に電子受容性化合物を添加する必要がある。
【0040】
作製した塗工液を塗工機により、乾燥後の重量として1〜50g/m、好ましくは3〜10g/m塗布し、インキ受理層3を形成する。塗工機としては、エアナイフコーター、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター等の塗工装置を用いることができる。また、必要に応じ、キャレンダー等により平滑化処理を行っても良い。
【0041】
前述したように、感熱発色層4a、4b、4cを、インキ受理層3中にインキ受理層3と一体的に形成することが「泳ぎ」を減少させる。感熱発色層4a、4b、4cはそれぞれの発色色相が異なり少なくとも電子供与性化合物、バインダー樹脂を含有している。
【0042】
電子受容性化合物としては、例えば顕色剤が挙げられ、具体的には、フェノール類、フェノール金属塩類、カルボン酸金属塩類、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類等の酸化物等が使用可能である。もちろん一種類の材料ではなく混合して用いても良い。
【0043】
電子供与性化合物としては、例えばロイコ染料が挙げられ、具体的には、<黒系>PSD−150、PSD−184、PSD−300、PSD−802、PSD−290(以上、日本曹達社製)、CP−101、BLACK−15、ODB、ODB2(以上、山本化成社製)、BLACK−100、S−205、BLACK−305、BLACK−500(以上、山田化学社製)、TH−107(以上、保土谷化学工業社製)、<青系>CVL、BLUE−63、BLUE−502(以上、山本化成社製)、BLUE−220(以上、山田化学社製)、BLUE−3(以上、保土谷化学工業社製)、<赤系>PSD−HR、PSD−P、PSD−O(以上、日本曹達社製)、Red−3、Red−40(以上、山本化成社製)、Red−500、Red−520(以上、山田化学社製)、Vermilion−DCF、Red−DCF(以上、保土谷化学工業社製)等の材料を使用可能である。また、一種類の材料ではなく混合して用いても良い。
【0044】
その他の色としては、<緑系>PSD−3G(日本曹達社製)、ATP(山田化学社製)、Green−DCF(保土谷化学工業社製)、<黄系>F. Color Yellow−17(山本化成社製)<オレンジ系>PSD−O(日本曹達社製)、Orange100(山田化学社製)等があり、これらの色以外の染料も使用可能である。
【0045】
バインダー樹脂としては、デンプン類、セルロース類、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂や、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル等の樹脂ラテックス等の樹脂が使用可能である。もちろん一種類の材料ではなく混合して用いても良い。
【0046】
その他必要に応じて、ワックス類、ナフトール誘導体、ビフェニル誘導体、ポリエーテル誘導体、炭酸ジエステル誘導体等の増感剤や、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アミド、炭酸カルシウム等のヘッド磨耗防止剤、スティッキング防止剤等を使用することが可能である。
【0047】
保護層(図示せず)は、日本化薬社製のOCA−5をバーコーターで乾燥重量が2g/m2になるように形成した。
【0048】
感熱発色層4a、4bおよび4cを形成する水分散インキの形成方法としては、ロイコ染料(電子供与性化合物)、バインダー樹脂、増感剤等を水に分散混合して水分散液にグラビア印刷法で形成できるように界面活性剤を添加して表面張力を30mN/m程度以下まで低下させて得る。さらにアルコール類を添加してもよい。
【0049】
また、地肌色相調整剤を添加する感熱発色層4cを形成する水分散インキの形成方法は、ロイコ染料(電子供与性化合物)、バインダー樹脂、増感剤等を水に分散混合して水分散液にグラビア印刷法で形成できるように界面活性剤を添加して表面張力を30mN/m程度以下まで低下させ、例えば、地肌色相調整剤として黒色の水溶性染料溶液を必要量混合して得る。さらにアルコール類を添加してもよい。
【0050】
さらにこれら水分散インキに消泡剤、紫外線吸収剤、防腐剤等の各種添加剤を併用しても良い。
【0051】
添加する地肌色相調整剤としては、使用する電子供与性化合物により選ぶ必要があり、その添加量は、使用する電子供与性化合物や染料の着色能力により適宜変える。目安としては色差を0.6以下に低下させるための添加量であることが望ましく、凡そ使用する染料の固形分で、感熱発色層4の固形分の約0.01%〜0.1%程度である。
【0052】
使用する着色剤としては、日本化薬社製カヤフェクトシリーズの各色の染料水溶液やその紛体品、クライアント社製のDuasyn SF Liquidシリーズの各色染料水溶液等が使用可能である。
【0053】
増感剤は、使用する電子受容性化合物や感熱発色層4で使用する電子供与性化合物により、理想的な材料が異なるが、電子受容性化合物および電子供与性化合物の結合により発色する感度を向上させる材料である。例えば、大日本インキ化学社製のHS−3520などを使用することができる。
【0054】
以下に実施例を挙げて本発明の感熱記録媒体1の具体的な構成を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は、重量部を表わす。
【実施例】
【0055】
<実施例1>
◎インキ受理層の形成
・焼成カオリン(インキ受理層3の顔料) 100部
(白石カルシウム社製、商品名:カオカル)
・親水性シリカ(インキ受理層3の顔料) 11部
(東ソー・シリカ社製、商品名:Nipsil E−220A)
・分散剤:ポリアクリル酸ソーダ 1部
・水 400部
上記組成物をホモジナイザーで分散し、親水性シリカの顔料分散液を作製した。そしてこの顔料分散液に、
・スチレン・ブタジエン共重合ラテックス 55部
(JSR社製、48%SBR分散液)
・リン酸エステル化デンプン 37部
(日本食品化工社製、商品名:MS−4600、20%水溶液)
を加え、ホモジナイザーで分散混合し、
・顕色剤分散液(固形分40%) 75部
(D−8、中京油脂社製、商品名:F−647)
・増感剤分散液(固形分30%) 100部
(HS−3520、大日本インキ化学社製)
・滑剤分散液(固形分30%) 32部
(ステアリン酸亜鉛、中京油脂社製、商品名:ハイドリンZ−7−30 )
・再結晶防止剤分散液(固形分35%) 20部
(DH43、中京油脂社製、商品名:ハイドリンF−165)
を加えてホモジナイザーで分散して塗工液を得た。
【0056】
この塗工液を重量90g/mの基材(上質紙)2に、マイクログラビアコーターで搬送速度50m/min、乾燥温度100℃で、乾燥後の重量が8g/mとなるように塗布乾燥することにより、インキ受理層3を基材2上に形成した。
【0057】
◎感熱発色層4a、4bの形成
・ロイコ染料分散液(固形分30%) 50部
青(CVL、山本化成社製)
黒(ODB−2、山本化成社製)
【0058】
ロイコ染料分散液は、水に分散剤としてゴーセランL−3266(日本合成化学工業社製)を5%用い、ロイコ染料をサンドミルで平均粒子径0.8μmになるように分散した。
・PVA10%溶液 53部
(クラレ社製PVA110)
・界面活性剤(固形分10%) 33部
(アデカコールEC4500、旭電化社製)
・水 25部
【0059】
上述した青、黒の各ロイコ染料分散液に対し、上述したPVA10%溶液、界面活性剤、水を混合することにより、発色色相が青、黒となる異なる水分散インキを作製する。
【0060】
各水分散インキの粘度は、30〜40cps(東京計器社製、E型粘度計で測定)、表面張力は約30mN/m(クルス社製、K12−Mk5表面張力計で測定)以下に調整した。特に凹版による印刷は、インキの表面張力が大きいと印刷版にインキが入らないため、界面活性剤等でインキの表面張力を小さくする必要がある。
【0061】
これらの水分散インキを簡易グラビア印刷機(松尾産業社製:Kプリンティングプルーファー)(グラビア印刷版150線、セル深さ40μmの腐食版)によりインキ受理層3上に順じストライプ状に印刷し、感熱記録媒体1の感熱発色層4a、4bを作製した。
【0062】
◎地肌色相調整剤を添加した“感熱発色層4C”の形成
ここで、地肌色相調整剤を添加しない“感熱発色層4c”と区別する。
感熱発色層4a、4bと同様に作製し、最後に地肌色相調整剤として黒色の染料水溶液を混合する。
・ロイコ染料分散液(固形分30%) 50部
赤(Vermilion−DCF、保土谷化学工業社製)
【0063】
ロイコ染料分散液は、水に分散剤としてゴーセランL−3266(日本合成化学工業社製)を5%用い、ロイコ染料をサンドミルで平均粒子径0.8μmになるように分散した。
・PVA10%溶液 53部
(クラレ社製PVA110)
・界面活性剤(固形分10%) 33部
(アデカコールEC4500、旭電化社製)
・水 25部
【0064】
上述した赤の各ロイコ染料分散液に対し、上述したPVA10%溶液、界面活性剤、水を混合することにより、発色色相が赤となる水分散インキを作製する。
【0065】
さらに、地肌色相調整剤として
・DUASYN D.BLACK HEF-SF liq(クラリアント社製) 0.018重量部を添加して攪拌混合し、前記感熱発色層4a、4bと同様に、インキ受理層3上に印刷し、地肌色相調整剤を添加した感熱発色層4Cを得る。
これとは別に、比較のために、感熱発色層4a、4bおよび4Cと同様にインキ受理層3上に感熱発色層4cを印刷した。
【0066】
このようにして得られた感熱発色層4cおよび地肌色相調整剤を添加した感熱発色層4Cを印刷した感熱記録媒体1に保護層(OCA−5:日本化薬社製)を乾燥後の重量が1〜2g/mとなるようにバーコーターを用いて塗布した。さらにキャレンダー加工してストライプ状の感熱記録媒体1を得た。
【0067】
◎評価
・評価は、感熱発色層4a、4bおよび地肌色相調整剤を添加した感熱発色層4Cの視認性を評価した。
・各色間の色相をX−Rite938で測定し、色差を計算で求めた。
・B−419(東芝テック社製のバーコードプリンタ)、設定濃度+3でテストパターンを印字し、地肌色相調整剤が添加された感熱発色層4Cの濃度および色相を測定した(比較例1または比較例2の着色剤を添加しない場合の発色部と色差を確認するため)。濃度はマクベス濃度計RD−19、色相はX−Rite938で測定した。
【0068】
◎結果
・視認性:境界部は目立たないので問題なし
・地肌部色差: (下記〔表2〕参照)
(青−赤間)・・・0.35
(黒−赤間)・・・0.32
・印字部評価(B−419による印字)
色相 濃度 色差(着色前との)
感熱発色層4a 青色 1.3 −
感熱発色層4b 黒色 1.5 −
感熱発色層4C 赤色 1.35 0.65
感熱発色層4c(比較例1参照)赤色 1.34
“感熱発色層4C”: 地肌色相調整剤を添加した感熱発色層4c
【0069】
感熱発色層に着色剤を添加したときの各色間の色:
(印刷版150線、深さ40μmの腐食版)
【表2】

【0070】
地肌部の色差は、着色前よりも着色後の方が小さくなっており、地肌色相調整剤を添加した感熱発色層4Cによる効果が見られる。
地肌色相調整剤が添加された感熱発色層4Cにしても、発色濃度が0.01しか変化せず、色差も着色前と比較して僅か0.65であったので、発色に関して色相変化は問題なしと言える。(視認的に発色の場合、色差が3以下であれば色相的に違いがよくわからない。)
【0071】
<実施例2>
実施例1では、感熱発色層4cに地肌色相調整剤を添加して感熱発色層4Cを得て、感熱発色層4bおよび感熱発色層4aとの境界部を目立たなくする方法であった。
【0072】
ここでは、変形例として、感熱発色層4cに地肌色相調整剤を添加するのではなく、基材2上に設けられたインキ受理層3を支障がない範囲で、インキ受理層全体に地肌色相調整剤を添加し、このインキ受理層3に一体的に形成した感熱発色層4a、4bおよび4cの各感熱層の間の色差による境界部を目立たなくする方法について説明する。
【0073】
例えば、実施例1で示したような電子供与性化合物を使用した感熱発色層である場合、黒色の感熱発色層4bが色相的には濃く、他の色相の感熱発色層4a、4cとの境界部が視認的に問題となる。
【0074】
この問題を緩和するために、インキ受理層3に地肌色相調整剤として黒の水性染料である着色剤を添加し、全体を黒くさせることで緩和することが可能である。その場合、黒色の感熱発色層4bも黒くなるが、その境界部は緩和される。具体的には
【0075】
◎地肌色相調整剤を添加したインキ受理層
4.9重量部の地肌色相調整剤であるDUASYN D.BLACK HEF−SF liq(クラリアント社製)を添加した以外は、実施例1と同じ。
【0076】
◎感熱発色層4a、4b、4cの形成
感熱発色層4Cの着色剤を除いた以外は、実施例1と同じ。
【0077】
◎結果
・視認性:全体的に実施例1よりも黒ずんで見えるが、境界部の差があまり感じられず、通常の感熱紙に近い状態。
・色差: (下記〔表3〕参照)
(黒−青間)・・・0.51
(青−赤間)・・・0.56
(黒−赤間)・・・0.52
・印字部評価(B−419による印字)
色相 濃度 色差(着色前との)
インキ受理層に着色剤
感熱発色層4a 青色 1.25 2.60
感熱発色層4b 黒色 1.46 4.23
感熱発色層4c 赤色 1.31 6.38
インキ受理層標準(比較例1)
感熱発色層4a 青色 1.30 −
感熱発色層4b 黒色 1.50 −
感熱発色層4c 赤色 1.34 −
【0078】
インキ受理層に地肌色相調整剤を添加した場合の感熱発色層の各色間色差:
(印刷版150線、深さ40μmの腐食版)
【表3】

【0079】
以上の結果から、地肌部濃度の補正は、インキ受理層3に地肌色相調整剤を添加しても効果が見られる。しかし、発色部ではインキ受理層3に地肌色相調整剤を添加すると色の変化が大きく、特に赤系の色相は変化しているが、視認的には問題ない。(別の色と扱われる)
【0080】
実施例1では、インキ受理層3に電子受容性化合物を添加し、少なくとも電子供与性化合物が添加された水分散インキと、水分散インキに地肌色相調整剤を添加した水分散インキと、をインキ受理層3に印刷法等で感熱発色層4a、4bおよび地肌色相調整剤を添加した感熱発色層4Cを形成することで、各色間の境界部目立たないようにする方法について説明したが、少なくとも電子供与性化合物および電子受容性化合物および地肌色相調整剤を含む感熱水分散インキをインキ受理層3に形成してもよい。
【0081】
実施例2では、少なくとも電子受容性化合物および地肌色相調整剤を含有する塗布液を基材上に設けたインキ受理層3に少なくとも電子供与性化合物を含有する水分散インキを印刷等で感熱発色層4a、4bおよび4cを形成する方法に関して述べたが、少なくとも電子受容性化合物および電子供与性化合物が添加された感熱水分散インキを用いて感熱発色層を形成してもよい。
【0082】
<比較例1>
地肌色相調整剤を全く添加せず、感熱発色層4cとして他の感熱発色層4a、4bと同様に作製したこと以外は実施例1と同じ。
【0083】
◎結果
・視認性:境界部は目立たないので問題なし
・地肌部色差:
(青−赤間)・・・0.65
(黒−赤間)・・・0.50
・印字部評価(B−419による印字)
色相 濃度
感熱発色層4a 青色 1.3
感熱発色層4b 黒色 1.5
感熱発色層4C 赤色 1.34
*感熱発色層4C: 地肌色相調整剤を添加した感熱発色層4c
【0084】
以上の結果から、青色感熱発色層4aと赤色感熱発色層4cとの色差が大きく、境界部判別可能であった。
【0085】
<比較例2>
地肌色相調整剤であるDUASYN D.BLACK HEF−SF liq(クラリアント社製)の色素濃度を0.039重量部を添加し感熱発色層4Cとした以外は実施例1と同じ。
【0086】
◎結果
・視認性:地肌色相調整剤が添加された赤色の感熱発色層4Cの地肌が地肌色相調整剤に染められるため、他の感熱発色層4a、4bよりも黒く色差が大きくなり境界部が目立つ。
・色差:
(黒−青間)・・・0.50
(青−赤間)・・・0.93
(黒−赤間)・・・1.21
・印字部評価(B−419による印字)
色相 濃度 色差(着色前との比較)
感熱発色層4a 青色 1.3 −
感熱発色層4b 黒色 1.5 −
感熱発色層4C 赤色 1.34 2.28
*感熱発色層4C: 地肌色相調整剤を添加した感熱発色層4c
【0087】
以上の結果から、発色部の濃度や色差には問題ないが、水分散インキに地肌色相調整剤の添加量が多すぎると逆に色差が増加し、境界部が明確に判別できる。したがって、適当量の地肌色相調整剤に抑える必要がある。
【0088】
<比較例3>
地肌色相調整剤であるDUASYN D.BLACK HEF−SF liq(クラリアント社製)の色素濃度を、7.5重量部をインキ受理層に添加した以外は実施例2と同じ。
【0089】
◎結果
・視認性: 全体的に黒くなるため、黒色の感熱発色層4bと他の感熱発色層4a、4cとの色相の差は目立たなくなるが、青色の感熱発色層4aと赤色の感熱発色層4bとの色相の差は目立つようになった。
・色差:
(黒−青間)・・・0.53
(青−赤間)・・・0.70
(黒−赤間)・・・0.53
・印字部評価(B−419による印字)
インキ受理層に着色剤 色相 濃度 色差(着色前との比較)
感熱発色層4a 青色 1.28 2.41
感熱発色層4b 黒色 1.42 4.03
感熱発色層4c 赤色 1.36 8.99
【0090】
地肌色相調整剤が添加されたインキ受理層3の地肌色相調整剤の濃度が多すぎると青の感熱発色層4aと赤の感熱発色層4c間の色差が増加し境界部が明確になるので境界部の色差が目立ってしまう。
【0091】
以上の結果から、特に赤系の感熱発色層4cに黒又は青色の境界部が見え視認性的に問題ある場合、適当量の地肌色相調整剤を赤系の感熱発色層4cに添加した感熱発色層4Cにより境界部を目立たなくすることが出来る。同様にインキ受理層全体に適当量の地肌色相調整剤を添加することにより、全体的に変色はするが、問題となる地肌部の境界部を改善することができる。
【0092】
地肌色相調整剤の添加量や材料、色相は使用する感熱水分散インキや水分散インキの特性により変える。具体的には、各色差が0.6以下になるような地肌色相調整剤の種類と含有させる添加量を実験的に求めることができる。
【0093】
本実施形態では、印刷法による例を示したが、異なる色相の感熱発色層を隣接して、例えばダイコーティング法等で形成する場合で、その境界部が問題なる場合、地肌の色相の淡い感熱発色層に地肌色相調整剤を適当な量添加することにより、境界部を目立たなくできることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態における感熱記録媒体1の構成を示した平面図である。
【図2】図1に示す感熱記録媒体1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の一実施形態における感熱記録媒体1の利用形態を示した模式図である。
【図4】本発明の一実施形態における感熱記録媒体1の構成を示した平面図である。
【図5】本発明の一実施形態における感熱記録媒体1の利用形態を示した模式図である。
【図6】本発明の一実施形態における、感熱記録媒体1の断面図である。
【図7】印刷版と各色間の色差の関係を示した図である。
【符号の説明】
【0095】
1 感熱記録媒体
2 基材
3 インキ受理層
4 感熱発色層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に少なくとも熱エネルギーの印加により異なる色相で発色する複数の感熱発色層が隣接して形成された感熱記録媒体の隣接する前記感熱発色層のうち、感熱発色層の地肌の色相の濃度が濃い感熱発色層と地肌の色相の濃度が淡い感熱発色層の濃度差を低減するために、少なくとも地肌の色相の濃度が淡い感熱発色層に地肌色相調整剤を添加し、前記隣接する感熱発色層の地肌の濃度差を低減することを特徴とする感熱発色層の地肌色相の調整方法。
【請求項2】
基材の表面に少なくとも熱エネルギーの印加により異なる色相で発色する複数の感熱発色層が隣接して形成された感熱記録媒体において、
隣接する前記感熱発色層のうち、少なくとも感熱発色層の地肌の色相の濃度が濃い感熱発色層と地肌の色相の濃度が淡い感熱発色層の濃度差を低減するために少なくとも地肌の色相の濃度が淡い感熱発色層に地肌色相調整剤が添加されていることを特徴とする感熱記録媒体。
【請求項3】
前記感熱発色層は、基材の表面に設けられたインキ受理層に、少なくとも電子供与性化合物を含む顔料成分を水に分散させた水分散インキを含浸させてインキ受理層と一体的に形成されていることを特徴とする請求項2の感熱記録媒体。
【請求項4】
基材の表面に設けられたインキ受理層に、少なくとも電子供与性化合物を含む顔料成分を水に分散させた水分散インキを含浸させて一体的に形成され、少なくとも熱エネルギーの印加により異なる色相で発色する複数の感熱発色層が隣接して形成された感熱記録媒体において、
隣接した前記感熱発色層の地肌の色相の濃度差を低減するために前記インキ受理層に地肌色相調節剤を添加したことを特徴とする感熱記録媒体。
【請求項5】
前記複数の感熱発色層は、熱エネルギーによって赤系に発色する感熱発色層を含んでおり,少なくともこの赤系の感熱発色層に前記地肌色相調整剤が添加されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1記載の感熱記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−76371(P2007−76371A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345360(P2006−345360)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【分割の表示】特願2004−297035(P2004−297035)の分割
【原出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】