説明

感熱記録媒体

【課題】食品POS、医療用の採血管、点滴パックなどのラベルの用途として、高温高湿環境下での保存性に優れ、抗菌作用がある極めて実用性の高い感熱記録媒体の提供。
【解決手段】支持体と、該支持体上に、ロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱記録層を少なくとも有する感熱記録媒体であって、前記感熱記録媒体が、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、及び3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイトの少なくともいずれかを含有する感熱記録媒体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌効力を有する感熱記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の多様化やニーズの拡大に伴い、情報記録分野において各種の記録材料が研究・開発され実用化されているが、これらの中でも感熱記録材料は、(1)加熱プロセスのみによる簡易な画像の記録が可能である、(2)必要な装置のメカニズムが簡単でコンパクト化が容易であり、記録材料が取扱い易く安価である、などの利点を有する。そのため、これらの技術は、情報処理分野(卓上計算機、コンピューターなどのアウトプット)、医療計測用のレコーダー分野、低速〜高速ファクシミリ分野、自動券売機分野(乗車券、入場券)、感熱複写分野、POSシステムのラベル分野、タグ分野など多岐にわたって用いられている。
【0003】
感熱記録媒体の一般的な構成は、少なくとも、支持体と感熱記録層とからなり、感熱記録用粘着ラベルにおいては、これらに更に、粘着剤層、剥離紙が積層されている。剥離紙はグラシン紙のような高密度原紙、クレーコート紙、ポリエチレンラミネート紙等にシリコーン化合物、フッ素化合物のような剥離剤を塗工したものが用いられる。また、粘着剤層を構成する粘着剤としては、ゴム系、アクリル系、ビニルエーテル系等のエマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型粘着剤などが使用されている。これらの中でも、アクリル系エマルジョン型粘着剤が、安全面、品質面、及びコスト面から広範囲に使用されている。
【0004】
また、感熱記録媒体は、一般に記録像の保存安定性が要求され、このため感熱記録層上に、フィルム形成能を有し耐薬品性のある樹脂の水性エマルジョンを塗布する方法や、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物を塗布する方法などが提案されている。また、感熱記録用粘着ラベルにおいては、支持体の裏面には粘着剤層と剥離紙とが設けられているが、通常、粘着剤には上記のようにゴム系、アクリル系などが使用されており、特にアクリル系エマルジョン型が多く使用されている。そのためラベルとして使用される以前でも長期間保存している間に粘着剤層に含まれる低分子量オリゴマー、界面活性剤などが感熱記録層へマイグレートして記録感度を低下させたり、耐薬品性、特に耐可塑剤性において画像濃度の低下が発生するという問題があることが知られている。
【0005】
また、繊維、プラスチック製品を中心として抗菌製品の展開が進んでおり、浴用関係、台所用品、食品関係、家電製品、事務機器、事務用品、又は医療関係など多種多様な分野に幅広く利用されている。特に、食品関係においては、食品用の発泡トレイのラップ上に貼り付ける値引きラベルへの適用が見込め、医療関係においては、院内感染が深刻な問題となっており、採血管や点滴用パックのラベルへの適用が期待される。また、医療機関などから排出される医療廃棄物の中には有害な二次感染源となるものも含まれているため、この処理も大きな問題となっている。
【0006】
揮発性抗菌剤を含有させたシートの提案がされている(特許文献1及び2参照)が、感熱記録材料に適用した場合、経時での感熱記録画像の劣化が見られるため使用できない。
更に、有機質抗菌防虫剤、無機質抗菌防カビ剤を粘着剤に混合したテープ、タックシールの提案がされている(特許文献3参照)。しかし、この提案においても、天然系抗菌剤を用いており、感熱記録材料に適用した場合、経時での感熱記録画像の劣化が見られるため適用できない。
また、感熱記録媒体にグルコン酸クロロヘキシジンやハロアルキルチオフタルイミド系抗菌剤を含有させる提案がなされている(特許文献4及び5参照)が、高温高湿環境下において感熱記録層の感度低下や、地肌かぶりが発生してしまう。
更に、無機イオン系抗菌剤を含有した感熱記録体の提案がなされている(特許文献6参照)。しかし、この提案では、抗菌剤と細菌等の微生物が直接接触しない用途の場合は、効果が期待できない。
【0007】
また、無機系抗菌剤とイミダゾール系抗菌剤を含有した分散体又は表面被覆処理剤の提案がされている(特許文献7参照)。しかし、この提案は、有機溶剤を必須成分としており、感熱記録材料に適用した場合、感熱記録画像の地肌部分がかぶるという問題を引き起こしてしまう。
更に、ヨード系化合物及びヨウ素−デキストリン包接化合物を含有させる提案(特許文献8、特許文献9、及び特許文献10参照)がされているが、紙製品に適用した場合、ヨウ素色の着色が起き、デキストリン包接化合物にした場合でも、経時で同様の問題を引き起こしてしまう。
また、上記課題を解決するためにジヨードメチル−p−トリルメチルスルホンを紙製品に適用させる提案がなされている(特許文献11及び12参照)。しかし、この提案は、感熱記録媒体に適用したものではなく、感熱記録媒体における課題を開示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。本発明は、食品POS、医療用の採血管、点滴パック等の医療用ラベルの用途として、高温高湿環境下での保存性に優れ、抗菌作用がある極めて実用性の高い感熱記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体と、該支持体上に、ロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱記録層を少なくとも有する感熱記録媒体であって、
前記感熱記録媒体が、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、及び3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイトの少なくともいずれかを含有することを特徴とする感熱記録媒体である。
<2> ロイコ染料が、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び6−[エチル(4−メチルフェニル)アミノ]−3−メチル−2−アニリノフルオランの少なくともいずれかを含む前記<1>に記載の感熱記録媒体である。
<3> 感熱記録層上に、更にオーバーコート層を有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の感熱記録媒体である。
<4> オーバーコート層が、ジヨードメチル−p−トリルスルホン及び3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイトの少なくともいずれかを含有する前記<3>に記載の感熱記録媒体である。
<5> 支持体と感熱記録層との間に、更にアンダーコート層を有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の感熱記録媒体である。
<6> アンダーコート層が、ジヨードメチル−p−トリルスルホン及び3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイトの少なくともいずれかを含有する前記<5>に記載の感熱記録媒体である。
<7> 支持体の感熱記録層とは反対側の面に、更にバックコート層を有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の感熱記録媒体である。
<8> バックコート層が、ジヨードメチル−p−トリルスルホン及び3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイトの少なくともいずれかを含有する前記<7>に記載の感熱記録媒体である。
<9> 支持体の感熱記録層とは反対側の面上に、更にアクリル系粘着剤層及び剥離紙をこの順に有する前記<1>から<8>のいずれかに記載の感熱記録媒体である。
<10> 粘着剤層が、ジヨードメチル−p−トリルスルホン及び3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイトの少なくともいずれかを含有する前記<9>に記載の感熱記録媒体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、食品POS、医療用のラベルの用途として、高温高湿環境下での保存性に優れ、抗菌作用がある極めて実用性の高い感熱記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の感熱記録媒体は、支持体と、該支持体上に、ロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱記録層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
【0012】
本発明においては、前記感熱記録媒体、即ち、前記感熱記録媒体を構成する各層の少なくともいずれかが、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、及び3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイトの少なくともいずれかを含有する。
前記感熱記録媒体を構成する層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば支持体、感熱記録層、オーバーコート層、アンダーコート層、バックコート層、粘着剤層などが挙げられる。これらの1層、又は2層以上に含有させることができる。これらの中でも、オーバーコート層、アンダーコート層、バックコート層、粘着剤層が好ましい。
【0013】
<感熱記録層>
前記感熱記録層は、ロイコ染料及び顕色剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0014】
−ロイコ染料−
前記ロイコ染料は電子供与性を示す化合物であり、単独で又は2種以上混合して適用される。ロイコ染料自体は無色又は淡色の染料前駆体であり、特に限定されることなく従来公知のものを用いることができる。例えば、トリフェニルメタンフタリド系、トリアリルメタン系、フルオラン系、フェノチジアン系、チオフェルオラン系、キサンテン系、インドフタリル系、スピロピラン系、アザフタリド系、クロメノピラゾール系、メチン系、ローダミンアニリノラクタム系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、ビスラクトン系等のロイコ化合物などが好ましく用いられる。
【0015】
前記ロイコ化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、6−[エチル(4−メチルフェニル)アミノ]−3−メチル−2−アニリノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−s−ブチル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−メチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−ブロモアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロルアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(o−フロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−クロルアニリノ)フルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロル−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロル−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロル−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロルアニリノ)−3−クロル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロルアニリノ)−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−2−エトキシプロピル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロルアニリノ)−6−(N−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロルアニリノ)−6−(N−n−パルチミルアミノ)フルオラン、2−(p−クロルアニリノ)−6−(ジ−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−ベンゾイルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシベンゾイルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メトキシ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−トルイジノ)−3−(t−ブチル)−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシカルボニルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アセチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、4−メトキシ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−クロル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−ベンジル−p−トリフロロメチルアニリノ)−4−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)フルオラン、2−メシジノ−4’,5’−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、2−(α−ナフチルアミノ)−3,4−ベンゾ−4’−ブロモ−6−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、2−ピペリジノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−n−プロピル−p−トリフロロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、2−(ジ−N−p−クロルフェニル−メチルアミノ)−6−ピロリジノフルオラン、2−(N−n−プロピル−m−トリフロロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−n−オクチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジアリルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エトキシエチル−N−エチルアミノ)フルオラン、ベンゾロイコメチレンブルー、2−[3,6−ビス(ジエチルアミノ)]−6−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、2−[3,6−ビス(ジエチルアミノ)]−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−ヒドロキシ−4,5−ジクロルフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロルフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメトキシアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロルフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−ニトロフェニル)フタリド、3−(2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6’−ブロモ−2’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、6−[エチル(4−メチルフェニル)アミノ]−3−メチル−2−アニリノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランが、高温高湿環境下での保存性に優れている点で特に好ましい。
【0016】
前記顕色剤としては、前記ロイコ染料に対して加熱時に反応し発色させる種々の電子受容性物質が適用され、前記顕色剤の具体例を示すと、以下のようなフェノール性化合物、有機又は無機酸性化合物又はそれらのエステルや塩などが挙げられる。
前記顕色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、没食子酸、サリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−シクロヘキシルサリチル酸、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、4,4′−イソプロピリデンジフェノール、1,1′−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、4,4′−イソプロピリデンビス(2,6−ジブロモフェノール)、4,4′−イソプロピリデンビス(2,6−ジクロロフェノール)、4,4′−イソプロピリデンビス(2−メチルフェノール)、4,4′−イソプロピリデンビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4′−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)、4,4′−s−ブチリデンジフェノール、4,4′−シクロヘキシリデンビスフェノール、4,4′−シクロヘキシリデンビス(2−メチルフェノール)、4−t−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシジフェノキシド、α−ナフトール、β−ナフトール、3,5−キシレノール、チモール、メチル−4−ヒドロキシベンゾエート、4−ヒドロキシアセトフェノン、ノボラック型フェノール樹脂、2,2′−チオビス(4,6−ジクロロフェノール)、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログリシン、フロログリシンカルボン酸、4−t−オクチルカテコール、2,2′−メチレンビス(4−クロロフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−ジヒドロキシジフェニル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−p−クロロベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−o−クロロベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−p−メチルベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−n−オクチル、安息香酸、サリチル酸亜鉛、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸亜鉛、4−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−クロロジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2−ヒドロキシ−p−トルイル酸、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸亜鉛、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸スズ、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、ステアリン酸、4−ヒドロキシフタル酸、ホウ酸、チオ尿素誘導体、4−ヒドロキシチオフェノール誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸エチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−プロピル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ブチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸フェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸フェネチル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−プロピル、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ−4′−メトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−s−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−t−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンジロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−フェノキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−(m−メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−(p−メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−(o−メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−(p−クロロベンジロキシ)ジフェニルスルホンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記感熱記録層に用いることのできるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性高分子及び水性樹脂エマルジョン、フィラー、熱可融性物質、界面活性剤等の、この種の感熱記録材料に慣用される補助添加成分などが挙げられる。前記その他の成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記水溶性高分子及び前記水性樹脂エマルジョンとしては、特に制限はなく、一般的に感熱記録層に用いられている公知のものを用いることができる。
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末などが挙げられる。
【0019】
前記熱可融性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸アミド、パルチミン酸アミド等の脂肪酸アミド類、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類、p−ベンジルビフェニル、m−ターフェニル、トリフェニルメタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ベンジルオキシナフタレン、β−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、ジフェニルカーボネート、グレヤコールカーボネート、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジベンジロキシナフタレン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ジフェノキシ−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4−ジフェニルチオブタン、1,4−ジフェニルチオ−2−ブテン、1,3−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p−(2−ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p−アリールオキシビフェニル、p−プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニルプロパノール、p−ベンジルオキシベンジルアルコール、1,3−フェノキシ−2−プロパノール、N−オクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、N−オクタデシルカルバモイルベンゼン、1,2−ビス(4−メトキシフェノキシ)プロパン、1,5−ビス(4−メトキシフェノキシ)−3−オキサペンタン、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(4−メチルベンジル)エステル、シュウ酸ビス(4−クロロベンジル)エステル、4−アセトトルイジド等、その他の熱可融性有機化合物等で50℃〜200℃程度の融点を持つものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
前記界面活性剤としては、例えば、脂肪酸の金属石鹸類、ポリカルボン酸型高分子活性剤類、高級アルコールの硫酸エステル塩類、アルキルポリエーテルの硫酸エステル塩類、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物類、アルキルアリールスルホン酸塩類、アルキルスルホン酸類、アリールスルホン酸類、リン酸エステル類、脂肪族リン酸エステル類、芳香族リン酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル類、ポリオキシエチレンアリール硫酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル類、ジアルキルスルホコハク酸エステル類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)、アセチレングリコール、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、アセチレングリコールのプロピレンオキサイド付加物、アセチレングリコールのエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
<支持体>
前記支持体に好ましく用いられる原紙は、木材パルプと填料とを主成分として構成される。木材パルプとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等のパルプなどが挙げられる。更に、前記支持体は、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合することができる。
【0022】
前記支持体は、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造が可能であり、酸性、中性、アルカリ性で抄造できる。
【0023】
また、前記原紙は、金属ロールと合成樹脂ロールとからなるカレンダー装置をオンマシン処理してもよい。その際、オフマシン処理してもよく、処理後に、更にマシンカレンダー、スーパーカレンダー等でカレンダー処理を施して平坦性をコントロールしてもよい。
【0024】
前記原紙に含まれる填料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムのような白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂のような有機顔料などが挙げられる。
【0025】
前記原紙に含まれるサイズ剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸性抄紙用ロジンサイズ剤、中性抄紙用変性ロジンサイズ剤、AKD、ASA、カチオンポリマー型サイズ剤などが挙げられる。
【0026】
前記支持体としては市販の上質紙、更にグラシン紙、アート紙、コーテッド紙、キャスト紙等の一般紙を用いることができ、填料、サイズ剤、紙力増強剤、染料など、通常抄紙で用いられる原材料を必要に応じて使用することが可能である。また、前記支持体は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等のプラスチックシート、若しくはこれらの合成繊維からなる合成紙や不織布、又は合成樹脂を紙に片面又は両面にラミネートしたラミネート紙、金属箔、あるいは金属箔と紙、蒸着紙、ホログラム処理を施した不透明シート、合成樹脂フィルムとの貼り合わせ品、マイカ紙、ガラスペーパーなども使用可能である。
【0027】
前記感熱記録媒体における他の構成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オーバーコート層、アンダーコート層、バックコート層、粘着剤層、剥離紙などが挙げられる。以下詳細に説明する。
【0028】
−オーバーコート層−
前記感熱記録媒体は、前記感熱記録層上に、更にオーバーコート層を設けることが好ましい。前記オーバーコート層を設けることにより、通常、ロール状で保管又は使用される感熱記録媒体中の発色性阻害要因が、剥離紙を突き抜けて感熱記録層に悪影響を及ぼすことを防止できる。一方、前記感熱記録層上にオーバーコート層がないと十分なバリア性が得られず、使用環境によっては、発色性の低下を起こす原因となる。
【0029】
前記オーバーコート層は、樹脂、及びフィラーを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂が好ましく、例えば公知の方法で製造され、ポリ酢酸ビニルの鹸化物以外に、他のビニルエステルと共重合しうる単量体を含有していてもよく、前記単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類又はその塩;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩などが挙げられる。
【0030】
前記フィラーとしては、例えばホスフェートファイバー、チタン酸カリウム、針状水酸化マグネシウム、ウィスカー、タルク、マイカ、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、板状炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、板状水酸化アルミニウム、シリカ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、ハイドロタルイサイト等の無機フィラー;、架橋ポリスチレン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、架橋ポリメタクリル酸メチル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂等の有機フィラーなどが挙げられる。
【0031】
また、前記オーバーコート層の耐水性を向上させるため、耐水化剤を共に用いることが特に好ましく、その具体例としては、グリオキザール、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂などが挙げられる。
前記オーバーコート層には、上記の樹脂及びフィラーの他に、従来から用いられている補助添加成分、例えば、界面活性剤、熱可融性物質、滑剤、圧力発色防止剤などを併用することができる。この場合、熱可融性物質の具体例としては、前記感熱記録層の説明で例示したものと同様なものなどが挙げられる。
【0032】
前記オーバーコート層の付着量は、乾燥後に1.0g/m2〜5.0g/m2が好ましい。前記付着量が、1.0g/m2未満であると、記録画像が食品に含まれる水及び酸性成分物質、包装に使用される有機高分子材料に含まれる可塑剤や油脂類などに対して保存安定性が悪くなり、5.0g/m2を超えると、発色感度特性が悪くなってしまうことがある。
【0033】
−アンダーコート層−
前記感熱記録媒体は、前記支持体と前記感熱記録層との間に、粘着剤の感熱記録層へのマイグレート防止、発色感度、平滑性、接着性の向上などの目的で、必要に応じて、バインダー、フィラー、熱可融性物質などを含有するアンダーコート層を更に設けることが好ましい。
【0034】
前記アンダーコート層のフィラーとしては、中空粒子を用いることが好ましく、例えば熱可塑性樹脂を殻とし中空率30%以上(通常、33%〜99%の範囲)で、質量平均粒子径0.4μm〜10μmのものが利用できる。ここでいう中空率(%)とは、中空部の直径と中空粒子の外径との比であり、(中空部の直径/中空粒子の外径)×100で表わされる。
【0035】
前記バインダー、前記熱可融性物質としては、前記オーバーコート層について述べたものと同様のものなどを用いることができる。
前記アンダーコート層は、乾燥後の付着量が2g/m2〜10g/m2となるように設けることが好ましく、中空率80%以上で重量平均粒子径0.8μm〜5μmの大きさの中空粒子を含有し、乾燥後の付着量が2.5g/m2〜7g/m2の範囲のものがより好ましい。これにより、画像印字時の感度が高い感熱記録用粘着ラベルを提供できる。
【0036】
前記中空粒子の含有量は、アンダーコート層組成全体の35質量%〜80質量%が好ましい。前記中空率による比重変化で中空率の高いものほど含有質量比は小さくなるが、35質量%未満であると、感度効果が得難くなることがあり、80質量%を超えると、アンダーコート層の結着性が損なわれることがある。
【0037】
−バックコート層−
前記感熱記録媒体は、前記支持体の感熱記録層とは反対側にバックコート層を更に設けることが好ましい。前記感熱記録媒体にバックコート層が設けられていない場合、粘着加工した後、長時間保管してから使用すると、粘着剤層中に含まれる発色阻害要因が感熱記録層へ浸透し、発色阻害を引き起こす原因となることがある。
前記バックコート層の付着量は、乾燥後に0.5g/m2〜3.5g/m2が好ましく、1.0g/m2〜3.4g/m2がより好ましい。前記バックコート層の付着量が、0.5g/m2未満であると、低湿環境下でのカールを抑えることができず、3.5g/m2を超えると、ロール状に保管した時に、ブロッキングを引き起こしやすくなる。
【0038】
前記バックコート層は、ポリビニルアルコール及びその硬化剤を主成分とする。
前記バックコート層に用いられるポリビニルアルコール樹脂としては、特に制限はなく、公知の方法で製造され、ポリ酢酸ビニルの鹸化物以外に、他のビニルエステルと共重合し得る単量体を含有していてもよい。
前記単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類、あるいはその塩、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩などが挙げられる。
【0039】
また、前記バックコート層のバリア性を強くするためにグリオキザール、ホウ酸、ミョウバン、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ジアルデヒドテンプン等の硬化剤を添加することもできる。
【0040】
上記のような材料を主成分とするバックコート層塗布液中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて各種助剤を添加することができる。
前記助剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム;ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム塩、アルギン酸塩、脂肪酸金属塩等の分散剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤;炭酸マグネシウム、カルサイト系軽質炭酸カルシウム、アラゴナイト系軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン、アルカリ変性シリカ、微粒子状無水シリカ、コロイダルシリカ等の無機顔料;スチレン−マイクロボール、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、尿素・ホルマリン樹脂フィラー等の有機顔料などが挙げられる。
【0041】
−粘着剤層−
前記感熱記録媒体は、支持体の前記感熱記録層とは反対側に、更にアクリル系粘着剤層を設けることができる。前記粘着剤層を設けることにより、前記感熱記録媒体は、感熱記録用粘着ラベルとして好適に用いることができる。
前記粘着剤層は、前記支持体の前記感熱記録層とは反対側に設けられていれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記支持体の前記感熱記録層とは反対側に設けられた前記バックコート層の下に、更に積層されてもよい。
【0042】
前記粘着剤層に用いられる粘着剤の主成分は、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの少なくとも1種を主体とする単量体を乳化重合して得られるアクリル樹脂、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−スチレン共重合体から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
ここで「主成分」とは、必要に応じて配合する浸透剤、造膜助剤、消泡剤、防錆剤、増粘剤、濡れ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、無機充填剤などの添加剤を除き前記樹脂のみからなることを意味する。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
【0043】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えば、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、この成分以外に、必要に応じてカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体の各不飽和単量体と共重合可能なラジカル重合性不飽和単量体を加えてもよい。
【0044】
前記カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、イタコン酸、マレイン酸、2−メチレングルタル酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記粘着剤の付着量は、乾燥後に8g/m2〜30g/m2が好ましい。前記粘着剤の付着量が、8g/m2未満であると、十分な粘着力が得られず、特にダンボールのような粗面被着体へ貼り付けることができないことがあり、30g/m2を超えると、粘着力が飽和し、経済的にも好ましくない。
【0045】
前記粘着剤の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロールコーター、ナイフコーター、バーコーター、スロットダイコーター、カーテンコーターなどが挙げられる。前記粘着剤は、後述する剥離紙の剥離剤面に塗工してもよいし、前記支持体の裏面(感熱記録層を設けた反対面)に塗工してもよい。
【0046】
−剥離紙−
前記感熱記録媒体が、前記粘着剤層を有する場合、前記支持体の前記感熱記録層とは反対側に設けられた前記粘着剤層に、更に剥離紙が積層されることが好ましい。
【0047】
前記剥離紙としては、グラシン紙等の高度原紙、クレーコート紙、クラフト紙又は上質紙等の原紙に、例えば、カゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの天然又は合成の樹脂、又はこれらの樹脂と、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、焼成クレー(焼成カオリン)、酸化チタン、シリカ等の無機顔料やプラスチックピグメント等の有機顔料からなる目止め層を設けた基材、或いは、クラフト紙又は上質紙等にポリエチレン等の合成樹脂をラミネートしたポリラミ紙等に、溶剤型又は無溶剤型のシリコーン樹脂やフッ素樹脂等を乾燥後の付着量が0.05g/m2〜3g/m2程度になるように塗布した後、熱硬化や電子線又は紫外線硬化等によって剥離剤層を形成したものが、適宜使用される。
前記剥離剤を塗布する装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バーコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、エアーナイフコーター、多段ロールコーターなどが挙げられる。
【0048】
前記感熱記録媒体は、抗菌剤を含有させることで、抗菌効力を発揮することができるが、前記感熱記録層の高温高湿環境化での保存性阻害を引き起こさないことと抗菌効力の両立のため、前記抗菌剤としては、ジヨードメチル−p−トリルスルホン及び3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイトの少なくとも1種の化合物を必須成分とする必要がある。
【0049】
前記ジヨードメチル−p−トリルスルホン、3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイトの添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感熱記録媒体の各層に対して各々0.04質量%〜2.0質量%好ましく、0.05質量%〜1.0質量%がより好ましい。前記添加量が、0.04質量%未満であると、抗菌効力が発揮できず、2.0質量%を超えて添加しても、抗菌効力が飽和し経済的でない。
【0050】
前記ジヨードメチル−p−トリルスルホン及び3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイトは、前記感熱記録媒体に含有されていれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感熱記録媒体を構成する前記感熱記録層、前記オーバーコート層、前記アンダーコート層、前記バックコート層、前記粘着剤層の少なくともいずれかの層に含有されていることが好ましく、抗菌剤が菌に直接接触しやすいことから前記オーバーコート層又は、粘着剤層に含有されていることが更に好ましい。
【0051】
また、前記抗菌剤以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて他抗菌剤を添加することができる。例えば、銀塩錯体、銀ゼオライト、抗菌セラミック、チアベンダゾール、イミダゾール系抗菌剤、硅酸マグネシウム五水和物、光触媒酸化チタン等である無機系抗菌剤、ピリジン系抗菌剤、グアニジン系抗菌剤、尿素系抗菌剤、アクリジン系抗菌剤、キノリン系抗菌剤、ハロアルキルチオ系抗菌剤等が挙げられる。
前記リン酸ジルコニウム系抗菌剤は、抗菌性金属イオンをリン酸ジルコニウムに担持させたものであり、例えば、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン等を担持させたものが挙げられる。これらの中でも、銀イオンを担持させたリン酸ジルコニウム−銀が、特に好ましい。
【0052】
<用途>
本発明の感熱記録媒体の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、食品POS、医療用のラベルの用途として、高温高湿環境下での保存性に優れ、抗菌作用がある極めて実用性の高い感熱記録紙、感熱性記録用粘着ラベルとして好適に利用できる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例及び比較例によって更に詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。なお「部」及び「%」は何れも質量基準である。
【0054】
[感熱記録紙]
以下の実施例1〜11及び比較例1〜3の処方により、感熱記録紙を作製した。
【0055】
(実施例1)
<感熱記録層液の調製>
下記組成からなる[A液]及び[B液]を、それぞれ平均粒径が2μm以下になるようにサンドミルを用いて分散し、染料分散液[A液]、顕色剤分散液[B液]を調製した。
【0056】
[A液]
・6-[エチル(4-メチルフェニル)アミノ]-3-メチル-2-アニリノフルオラン・・・10部
・イタコン酸変性ポリビニルアルコール、KL−318(クラレ社製)の10%水溶液・・・10部
・水・・・30部
【0057】
[B液]
・4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン・・・30部
・シュウ酸ジ−(p−メチルベンジル)・・・10部
・イタコン酸変性ポリビニルアルコール、KL−318(クラレ社製)の10%水溶液・・・50部
・シリカ・・・15部
・水・・・197部
【0058】
続いて、上記[A液]と[B液]とを次の割合で攪拌混合して、感熱記録層液[C液]を調製した。
[C液]
・染料分散液[A液]・・・50部
・顕色剤分散液[B液]・・・302部
【0059】
<オーバーコート層液の調製>
下記組成物についてサンドミルを用いて、24時間分散して、[D液]を調製した。
[D液]
・水酸化アルミニウム
(平均粒径0.6μm、昭和電工株式会社製、ハイジライトH−43M)・・・20部
・イタコン酸変性ポリビニルアルコールの10%水溶液・・・20部
・水・・・60部
【0060】
続いて、下記組成物を混合し、攪拌してオーバーコート層液[E1液]を調製した。
[E1液]
・上記[D液]・・・75部
・ジアセトン変性ポリビニルアルコールの10%水溶液・・・100部
・N−アミノポリアクリルアミド(分子量10,000、ヒドラジド化率50%)の10%水溶液・・・15部
・ジヨードメチル−p−トリルスルホン・・・0.12部
・アンモニアの1%水溶液・・・5部
・水・・・105部
【0061】
<感熱記録紙の作製>
市販の上質紙(坪量60g/m2)の表面に、感熱記録層液[C液]の乾燥後質量が2.85g/m2、及びオーバーコート層液[E1液]の乾燥後質量が3.0g/m2になるようにそれぞれ塗布し、乾燥させて、キャレンダー掛けにより、表面の王研式平滑度が約2,000秒になるように処理して、感熱記録紙を作製した。
【0062】
(実施例2)
実施例1において、オーバーコート層液[E1液]のジヨードメチル−p−トリルスルホンを3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイトとした以外は、実施例1と同様にして、感熱記録紙を作製した。
【0063】
(実施例3)
実施例1において、染料分散液[A液]の6−[エチル(4−メチルフェニル)アミノ]−3−メチル−2−アニリノフルオランを3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランとした以外は、実施例1と同様にして、感熱記録紙を作製した。
【0064】
(実施例4)
実施例1において、染料分散液[A液]の6−[エチル(4−メチルフェニル)アミノ]−3−メチル−2−アニリノフルオランを6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)−3−メチル−2−アニリノフルオランとした以外は、実施例1と同様にして、感熱記録紙を作製した。
【0065】
(実施例5)
実施例1において、アンダーコート層液である下記[F1液]を調製し、感熱記録層と支持体の間に、乾燥後付着量が3.0g/m2となるように塗布し、アンダーコート層を設けた以外は、実施例1と同様にして、感熱記録紙を作製した。
【0066】
<アンダーコート層液の調製>
下記組成物を混合攪拌して、[F1液]を調製した。
[F1液]
・非発泡性プラスチック微小中空粒子(塩化ビニルデン及びアクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂、中空率90%、固形分32%)・・・30部
・スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス(PA−9159(日本エイアンドエル社製、固形分濃度47.5%)・・・10部
・水・・・60部
【0067】
(実施例6)
実施例5において、バックコート層液である下記[G1液]を調製し、支持体の裏面に乾燥後付着量が1.5g/m2になるようにバックコート層を設けた以外は、実施例5と同様にして、感熱記録紙を作製した。
【0068】
<バックコート層液の調製>
下記組成物を混合攪拌して、[G1液]を調製した。
[G1液]
・ポリビニルアルコールの10%水溶液・・・100部
・カオリン(エンゲルハード社製、ウルトラホワイト90)・・・10部
・リン酸ジルコニウム−銀・・・0.04部
・2−(4−チアゾリル)−ベンツイミダゾール・・・0.04部
・水・・・90部
【0069】
(実施例7)
実施例6において、オーバーコート層液[E1液]のジヨードメチル−p−トリルスルホンの添加部数を0.012部とした以外は、実施例6と同様にして、感熱記録紙を作製した。
【0070】
(実施例8)
実施例6において、オーバーコート層液[E1液]のジヨードメチル−p−トリルスルホンの添加部数を0.57部とした以外は、実施例6と同様にして、感熱記録紙を作製した。
【0071】
(実施例9)
アンダーコート層液[F2液]を調製し、感熱記録層と支持体の間に、乾燥後付着量が3.0g/m2となるように塗布し、アンダーコート層を設けた以外は、実施例5と同様にして、感熱記録紙を作製した。
【0072】
[F2液]
・非発泡性プラスチック微小中空粒子(塩化ビニルデン及びアクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂、中空率90%、固形分32%)・・・30部
・スチレン/ブタジエン共重合体ラテック(PA−9159、日本エイアンドエル社製、固形分濃度47.5%)・・・10部
・ジヨードメチル−p−トリルスルホン・・・0.06部
・水・・・60部
【0073】
(実施例10)
実施例1において、オーバーコート層液[E1液]を下記[E2液]とした以外は、実施例9と同様にして、感熱記録紙を作製した。
[E2液]
・上記[D液]・・・75部
・ジアセトン変性ポリビニルアルコールの10%水溶液・・・100部
・N−アミノポリアクリルアミド(分子量10,000、ヒドラジド化率50%)の10%水溶液・・・15部
・アンモニアの1%水溶液・・・5部
・水・・・105部
【0074】
(実施例11)
実施例1において、オーバーコート層液[E2液]を感熱記録層上に乾燥後質量が3.0g/mになるように塗布し、アンダーコート層液[F1液]を調製し、感熱記録層と支持体の間に、乾燥後付着量が3.0g/mとなるように塗布してアンダーコート層を設け、バックコート層液[G2液]支持体の裏面に乾燥後付着量が1.5g/mになるようにバックコート層を設けた以外は、実施例1と同様にして、感熱記録紙を得た。
[G2液]
・ポリビニルアルコールの10%水溶液・・・100部
・カオリン(エンゲルハード社製、ウルトラホワイト90)・・・10部
・ジヨードメチル−p−トリルスルホン・・・0.08部
・水・・・90部
【0075】
(比較例1)
実施例1において、オーバーコート層液[E1液]を下記[E3液]とした以外は、実施例1と同様にして、感熱記録紙を作製した。
[E3液]
・上記[D液]・・・75部
・ジアセトン変性ポリビニルアルコールの10%水溶液・・・100部
・N−アミノポリアクリルアミド(分子量10,000、ヒドラジド化率50%)の10%水溶液・・・15部
・銀−ゼオライト・・・0.12部
・アンモニアの1%水溶液・・・5部
・水・・・105部
【0076】
(比較例2)
実施例1において、オーバーコート層液[E1液]を下記[E4液]とした以外は、実施例1と同様にして、感熱記録紙を作製した。
[E4液]
・上記[D液]・・・75部
・ジアセトン変性ポリビニルアルコールの10%水溶液・・・100部
・N−アミノポリアクリルアミド(分子量10,000、ヒドラジド化率50%)の10%水溶液・・・15部
・ヒノキチオール・・・0.12部
・アンモニアの1%水溶液・・・5部
・水・・・105部
【0077】
(比較例3)
実施例1において、オーバーコート層液[E1液]からジヨードメチル−p−トリルスルホンを除いた以外は、実施例1と同様にして、感熱記録紙を作製した。
【0078】
以上のようにして作製した各実施例及び比較例の感熱記録紙について、以下のようにして、発色性試験、耐熱性試験、及び耐温湿性試験を行った。結果を表2に示す。
【0079】
<発色性試験>
東洋精機社製熱傾斜試験機を用い各サンプルが飽和濃度を示す温度の熱ブロックで2kg/cm、1秒の条件で印字して試験前画像サンプルを作製し、印字濃度をマクベス濃度計RD−914で測定した。
【0080】
<耐熱性試験>
試験サンプルを80℃、24時間放置後の発色濃度をマクベス濃度計RD−914で測定し耐温湿性を評価した。判定基準は表1に示すとおりである。
【0081】
<耐温湿性試験>
試験サンプルを40℃で90%RH、48時間放置後の発色濃度をマクベス濃度計RD−914で測定して耐温湿性を評価した。判定基準は表1に示すとおりである。
【0082】
<抗菌効力試験>
JIS Z2801の抗菌試験方法に基づき、実施例及び比較例で得られた感熱記録紙を1辺5cmの正方形に切り取り、試験片とした。Escherichia coli(エスケリチィア コリ)を1.5×10個に調製し、試験片へ滴下し、ポリエチレンフィルムを密着させ、37℃で保存し、24時間後の生菌数を測定し、次の数式1により、抗菌活性値を算出した。判定基準は表1に示すとおりである。
〔数式1〕
R={log(B/A)−log(C/A)}=log(B/C)
R:抗菌活性値
A:無加工試験片の接種直後の生菌数の平均値(個)
B:無加工試験片の24時間後の生菌数の平均値(個)
C:抗菌加工試験片の24時間後の生菌数の平均値(個)
なお、試験する試験片は、感熱記録面、及び裏面(感熱記録面の反対側の面)とした。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
[感熱記録用粘着ラベル]
以下の実施例12〜19及び比較例4〜6の処方により、感熱記録用粘着ラベルを作製した。
【0086】
(実施例12)
<感熱記録材料の作製>
市販の上質紙(坪量60g/m2)の表面に、感熱記録層液[C液]の乾燥後質量が2.85g/m2、及びオーバーコート層液[E2液]の乾燥後質量が3.0g/m2になるようにそれぞれ塗布し、乾燥させて、キャレンダー掛けにより、表面の王研式平滑度が約2,000秒になるように処理して感熱記録材料を作製した。
【0087】
<粘着剤層液の調製>
下記組成物を混合攪拌して、[H1液]を調製した。
[H1液]
・ジヨードメチル−p−トリルスルホン・・・0.12部
・感圧粘着剤アクリルエマルジョン(BPW6111:固形分60%、東洋インキ製造社製)・・・100部
【0088】
<感熱記録用粘着ラベルの作製>
次に、粘着剤層液をワイヤバーで剥離紙(LSW、リンテック社製)に乾燥後付着量20g/m2となるように塗工乾燥後、この粘着剤塗工物を上記感熱記録材料に貼り合せ、23℃で50%RHの恒温室で10kg/(20cm×30cm)の荷重下に48時間放置し、感熱記録用粘着ラベルを作製した。
【0089】
(実施例13)
実施例12において、粘着剤層液[H1液]を、下記[H2液]とした以外は、実施例12と同様にして、感熱記録用粘着ラベルを作製した。
[H2液]
・3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイト・・・0.12部
・感圧粘着剤アクリルエマルジョン(BPW6111:固形分60%、東洋インキ製造社製)・・・100部
【0090】
(実施例14)
実施例12において、アンダーコート層液[F1液]を調製し、感熱記録層と支持体の間に、乾燥後付着量が3.0g/m2となるように塗布しアンダーコート層を設けた以外は、実施例12と同様にして、感熱記録用粘着ラベルを作製した。
【0091】
(実施例15)
バックコート層液[G1液]を調製し、支持体の裏面に乾燥後付着量が1.5g/mになるようにバックコート層を設けた以外は、実施例14と同様にして、感熱記録用ラベルを作製した。
【0092】
(実施例16)
実施例15において、粘着剤層液[H1液]を、下記[H3液]とした以外は、実施例15と同様にして、感熱記録用粘着ラベルを作製した。
[H3液]
・ジヨードメチル−p−トリルスルホン・・・0.024部
・感圧粘着剤アクリルエマルジョン(BPW6111、固形分60%、東洋インキ製造社製)・・・100部
【0093】
(実施例17)
実施例15において、粘着剤層液[H1液]を、下記[H4液]とした以外は、実施例15と同様にして、感熱記録用粘着ラベルを作製した。
[H4液]
・ジヨードメチル−p−トリルスルホン・・・1.23部
・感圧粘着剤アクリルエマルジョン(BPW6111、固形分60%、東洋インキ製造社製)・・・100部
【0094】
(実施例18)
実施例12において、実施例12で作製した感熱記録材料を実施例1の感熱記録材料(感熱記録紙)に変更した以外は、実施例12と同様にして、感熱記録用粘着ラベルを作製した。
【0095】
(実施例19)
実施例12において、実施例12で作製した感熱記録材料を実施例9の感熱記録材料(感熱記録紙)に変更した以外は、実施例12と同様にして、感熱記録用粘着ラベルを作製した。
【0096】
(比較例4)
実施例12の粘着剤層液[H1液]を下記[H5液]とした以外は、実施例12と同様にして、感熱記録用粘着ラベルを作製した。
[H5液]
・銀−ゼオライト・・・0.12部
・感圧粘着剤アクリルエマルジョン(BPW6111、固形分60%、東洋インキ製造社製)・・・100部
【0097】
(比較例5)
実施例12の粘着剤層液[H1液]を下記[H6液]とした以外は、実施例12と同様にして、感熱記録用粘着ラベルを作製した。
[H6液]
・ヒノキチオール・・・0.12部
・感圧粘着剤アクリルエマルジョン(BPW6111、固形分60%、東洋インキ製造社製)・・・100部
【0098】
(比較例6)
実施例12の粘着剤層液[H1液]からジヨードメチル−p−トリルスルホンを除いた以外は、実施例12と同様にして、感熱記録用粘着ラベルを作製した。
【0099】
<粘着力試験>
各感熱記録用粘着ラベルを25mm×100mmの長方形にカットし、次いで、被着体(SUS板)に加圧2kgのゴムローラーで長手方向に貼り付けて、30分間後に剥離角度180度、剥離速度300mm/minの条件で剥離させた。その時の粘着力をフォースゲージで測定し、0.1秒間隔でデータを読み取り、平均化した数値を表3に示した。なお、単位はN/25mmである。この試験は、常温環境(23℃、50%RH)下で実施した。
【0100】
<抗菌効力試験>
JIS Z 2801の抗菌試験方法に基づき、実施例及び比較例で得られた感熱記録紙を1辺5cmの正方形に切り取り、試験片とした。Escherichia coli(エスケリチィア コリ)を1.5×10個に調製し、試験片へ滴下し、ポリエチレンフィルムを密着させ、37℃で保存し、24時間後の生菌数を測定し、次の数式2により、抗菌活性値を算出した。判定基準は表1に示すとおりである。
〔数式2〕
R={log(B/A)−log(C/A)}=log(B/C)
R:抗菌活性値
A:無加工試験片の接種直後の生菌数の平均値(個)
B:無加工試験片の24時間後の生菌数の平均値(個)
C:抗菌加工試験片の24時間後の生菌数の平均値(個)
なお、試験する試験片は、感熱記録面、及び粘着面(感熱記録面の反対側の面)とした。
【0101】
また、実施例1〜11及び比較例1〜3の感熱記録紙と同様にして、発色性試験、耐熱性試験、及び耐温湿性試験を行った。結果を表3に示す。なお、判定基準は上記表1に示すとおりである。
【0102】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の感熱記録媒体は、優れた抗菌活性を有し、高温高湿環境下において地肌がかぶらないため、極めて実用性が高く、例えば、食品POS、医療用の採血管、点滴パック等の医療用のラベルなどの用途として好適に利用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開2005−120008号公報
【特許文献2】特開2007−68723号公報
【特許文献3】特開2001−48710号公報
【特許文献4】特開平9−123602号公報
【特許文献5】特開平11−58964号公報
【特許文献6】特開平9−95051号公報
【特許文献7】特開2007−211004号公報
【特許文献8】特開2005−154602号公報
【特許文献9】特開2005−350358号公報
【特許文献10】国際公開第2006/123784号パンフレット
【特許文献11】特開平9−67797号公報
【特許文献12】特表2008−527191号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、該支持体上に、ロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱記録層を少なくとも有する感熱記録媒体であって、
前記感熱記録媒体が、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、及び3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイトの少なくともいずれかを含有することを特徴とする感熱記録媒体。
【請求項2】
ロイコ染料が、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び6−[エチル(4−メチルフェニル)アミノ]−3−メチル−2−アニリノフルオランの少なくともいずれかを含む請求項1に記載の感熱記録媒体。
【請求項3】
感熱記録層上に、更にオーバーコート層を有する請求項1から2のいずれかに記載の感熱記録媒体。
【請求項4】
オーバーコート層が、ジヨードメチル−p−トリルスルホン及び3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイトの少なくともいずれかを含有する請求項3に記載の感熱記録媒体。
【請求項5】
支持体と感熱記録層との間に、更にアンダーコート層を有する請求項1から4のいずれかに記載の感熱記録媒体。
【請求項6】
アンダーコート層が、ジヨードメチル−p−トリルスルホン及び3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイトの少なくともいずれかを含有する請求項5に記載の感熱記録媒体。
【請求項7】
支持体の感熱記録層とは反対側の面に、更にバックコート層を有する請求項1から6のいずれかに記載の感熱記録媒体。
【請求項8】
バックコート層が、ジヨードメチル−p−トリルスルホン及び3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイトの少なくともいずれかを含有する請求項7に記載の感熱記録媒体。
【請求項9】
支持体の感熱記録層とは反対側の面上に、更にアクリル系粘着剤層及び剥離紙をこの順に有する請求項1から8のいずれかに記載の感熱記録媒体。
【請求項10】
粘着剤層が、ジヨードメチル−p−トリルスルホン及び3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイトの少なくともいずれかを含有する請求項9に記載の感熱記録媒体。

【公開番号】特開2011−213099(P2011−213099A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31158(P2011−31158)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】