説明

感熱記録材料

【課題】高感度かつ高濃度で発色し、画像部及び未発色部の保存安定性に優れた感熱記録材料を提供する。
【解決手段】顕色剤として、一般式[1]のジフェニルスルホン誘導体及び一般式[2]のジフェニルスルホン架橋型化合物を含み、増感剤として1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2−ベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)及びシュウ酸ジ(4−クロロベンジル)の中から選ばれる1種を含有する感熱記録材料。




(式中、nは1〜10の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感熱記録材料に関する。さらに詳しくは、本発明は高感度で画像部及び未発色部の保存安定性に優れた感熱記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
感熱記録材料は、一般に支持体上に電子供与性の無色若しくは淡色の染料前駆体と電子受容性の顕色物質とを主成分とする感熱発色層を設けたもので、熱ヘッド、熱ペン、レーザー光などで加熱することにより、染料前駆体と顕色物質とが瞬時に反応し、記録材料が得られる。このような感熱記録材料は、古くより開発が進められ、例えば、紙面に特殊な塗被を施して、通常は無色であるが、加熱又は赤外線照射により顕色する組成物からなる熱感応性複写シートとして、反応顕色成分がラクトン、ラクタム又はサルトン型の無着色染料ベース、有機酸及び熱可融性物質よりなる熱感応複写シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、耐湿性及びプリント安定性が改良され、耐湿性の改良により塗布された記録形成成分の乾燥及び作製中における着色を防ぐことができる感熱記録材料として、記録形成ユニットがクリスタル・バイオレット・ラクトン及びフェノール性物質を有する支持体シート材料よりなり、該フェノール性物質は室温では固体、サーモグラフ温度では液化又は気化し、ラクトンと反応して記録を生じ、該ラクトン及びフェノール性物質はポリビニルアルコール中に分散している感熱記録材料が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
このような感熱記録材料は、比較的簡易な装置で記録が得られ、保守が容易であること、騒音の発生が少ないことなどの利点があり、各種携帯端末などのサーマルプリンタ、超音波エコーなどに付属する医療画像プリンタ、心電図や分析機器などのサーモペンレコーダ、航空券、乗車券、商品のPOSラベルなどに利用されている。
【0003】
感熱記録材料には、発色性に優れ、低熱量で高濃度に発色すること、得られた画像の保存性に優れること、未発色部の白度が保持されることなどのさまざまな特性が要求される。特に、電子レンジ加工食品ラベル、駐車券、配送ラベル、チケットなどには、記録画像の信頼性が重視されるため、耐油性、耐湿性、耐熱性などの保存安定性が要求される。このために、感熱記録材料の顕色剤として、さまざまな化合物が検討されている。
例えば高感度で地肌のかぶりが少なく、記録像の保存性、とりわけ耐水性、耐可塑剤性に優れた感熱記録材料が得られる顕色剤として、α,α'−ビス[4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−p−キシレン、α,α'−ビス[4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−m−キシレン若しくはα,α'−ビス[4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−o−キシレンを含有する感熱記録材料が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、これらの化合物でも発色感度に加え、発色部及び未発色部の保存安定性が十分とはいえない。
【特許文献1】特公昭43−4160号公報
【特許文献2】特公昭45−14039号公報
【特許文献3】特開平7−149713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような事情のもとで、高感度かつ高濃度で発色し、画像部及び未発色部の保存安定性に優れた感熱記録材料を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、分子内に少なくとも1つのヒドロキシル基を有するジフェニルスルホン誘導体とジフェニルスルホン架橋型化合物との混合物を顕色剤として用いると共に、特定の増感剤を用いることにより、高感度かつ高濃度で発色し、画像部及び未発色部の保存安定性に優れた感熱記録材料が得られることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)無色又は淡色のロイコ染料からなる発色物質と顕色剤と増感剤とを含有する感熱発色層を支持体上に設けてなる感熱記録材料において、前記顕色剤として、下記一般式[1]で表されるジフェニルスルホン誘導体及び下記一般式[2]で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物を含むと共に、増感剤として1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2−ベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)及びシュウ酸ジ(4−クロロベンジル)の中から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする感熱記録材料、及び
【化1】

(式中、R1〜R6は、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルケニロキシ基、アラルキル基、アシル基、アシルオキシ基のいずれかを表す。ただし、R1〜R6の少なくとも1つはヒドロキシル基である。)
【化2】

(式中、nは1〜10の整数を表す。)
(2)顕色剤として、一般式[1]で表されるジフェニルスルホン誘導体である4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−アリルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン及び3,3'−ジアリル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの中から選ばれる少なくとも1種を含有する上記(1)項に記載の感熱記録材料、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の感熱記録材料は、発色感度、発色濃度、画像部及び未発色部の保存安定性に優れ、印字後の過酷な条件に耐えて使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の感熱記録材料は、無色又は淡色のロイコ染料からなる発色物質と顕色剤と増感剤とを含有する感熱発色層を支持体上に設けてなる感熱記録材料において、前記顕色剤として、前記一般式[1]で表されるジフェニルスルホン誘導体(a)と前記一般式[2]で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物(b)を含むと共に、特定の増感剤(c)を含有することを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記一般式[1]で表されるジフェニルスルホン誘導体(a)と一般式[2]で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物(b)と特定の増感剤(c)とを併用することにより、該一般式[1]で表されるジフェニルスルホン誘導体(a)のみを使用したときに比べて、発色感度及び画像部の保存安定性を顕著に向上させることができる。また、該一般式[2]で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物(b)のみを使用したときに比べて、画像部の発色感度及び発色濃度を顕著に向上させることができる。さらに特定の増感剤(c)を併用することにより、一般式[1]で表されるジフェニルスルホン誘導体(a)及び一般式[2]で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物(b)のみを使用した場合に比べ、発色感度を顕著に向上させることができる。
【0009】
本発明の感熱記録材料において、前記一般式[1]で表されるジフェニルスルホン誘導体(a)に対する一般式[2]で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物(b)と特定の増感剤(c)との配合割合は、質量比で一般式[1]で表されるジフェニルスルホン誘導体(a)100部に対して、一般式[2]で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物(b)が、好ましくは20〜200部、特定の増感剤(c)が、好ましくは20〜300部の範囲で選定できる。一般式[2]で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物(b)の配合割合が上記範囲より少なくなると画像部の保存安定性が低下するおそれがあり、配合割合が上記範囲より多くなると画像部の発色濃度が低下するおそれがある。また、特定の増感剤(c)の配合割合が上記範囲よりも少なくなると発色感度が不十分となり、配合割合が上記範囲よりも多くなると画像部の保存安定性が低下するおそれがある。
前記ジフェニルスルホン架橋型化合物(b)のより好ましい配合割合は30〜120部であり、さらに好ましくは40〜100部である。また、前記特定の増感剤(c)のより好ましい配合割合は50〜200部であり、さらに好ましくは70〜120部である。
【0010】
[ジフェニルスルホン誘導体(a)]
本発明において、顕色剤の一つとして用いられるジフェニルスルホン誘導体(a)は、下記一般式[1]
【化3】

で表される構造を有する化合物である。
前記一般式[1]において、R1〜R6は、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルケニロキシ基、アラルキル基、アシル基、アシルオキシ基のいずれかを表す。ただし、R1〜R6の少なくとも1つはヒドロキシル基である。
ここで、炭素数1〜7のアルキル基及び炭素数2〜7のアルケニル基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよく、炭素数1〜7のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基が挙げられる。また、炭素数2〜7のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種ペンテニル基、各種ヘキセニル基、各種ヘプテニル基が挙げられる。
炭素数1〜7のアルコキシ基及び炭素数2〜7のアルケニロキシ基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、炭素数1〜7のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、各種ブトキシ基、各種ペントキシ基などが挙げられる。また、炭素数2〜7のアルケニロキシ基としては、例えばビニルオキシ基、アリルオキシ基、プロペニルオキシ基、各種ブテニルオキシ基、各種ペンテニルオキシ基などが挙げられる。
さらに、アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙げられ、アシル基としては、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基などが挙げられ、アシルオキシ基としては、例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基などが挙げられる。
【0011】
前記一般式[1]で表されるジフェニルスルホン誘導体(a)としては、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−アリルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン、3,3'−ジアリル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどが好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンは公知の製造方法、例えば、特開昭61−36253号公報、特開昭63−48261号公報、特開昭64−50855号公報、特開平3−101654号公報、特開平6−107622号公報、特開2003−212839号公報等で開示された製造方法にて得ることができ、市販の4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン「BPS−P(T)」(日華化学(株)製)、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン「BPS−24C」(日華化学(株)製)を使用することもできる。4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン及び2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンはそれぞれの高純度品である必要はなく、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの混合物であっても良い。
【0012】
4−ヒドロキシ−4'−アリルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホンは、ジヒドロキシジフェニルスルホンのモノ置換誘導体である。これらは公知の製造方法、例えば、特開平6−25148号公報、特開昭60−56949号公報、特開2003−277351号公報で開示された製造方法にて得ることができる。4−ヒドロキシ−4'−アリルオキシジフェニルスルホンは市販の「BPS−MAE」(日華化学(株)製)を使用することもできる。前記ジヒドロキシジフェニルスルホンのモノ置換誘導体製造の際にはジ置換誘導体を副生するが、ジ置換誘導体の割合が0.5〜5質量%の範囲内であれば、本発明の顕色剤として使用することができる。
3,3'−ジアリル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンは公知の製造方法、例えば、特開昭60−169456号公報、特開昭62−53957号公報で開示された方法により製造することができる。
【0013】
[ジフェニルスルホン架橋型化合物(b)]
本発明において、顕色剤のもう一つのジフェニルスルホン架橋型化合物(b)は、下記の一般式[2]
【化4】

(式中、nは1〜10の整数を表す。)
で表される構造を有する化合物である。
この一般式[2]で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物(b)は、例えばジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ビス(クロロメチル)−1,1'−ビフェニル又は4,4'−ビス(プロモメチル)−1,1'−ビフェニルとを、塩基性物質の存在下、溶剤を用いて反応させることにより製造することができる。反応温度としては50℃以上、溶剤の還流温度以下であることが好ましい。用いるジヒドロキシジフェニルスルホンとしては、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0014】
前記塩基性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジンなどを挙げることができる。溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコール類;グリコール類のモノアルキルエーテル類;グリコール類のジアルキルエーテル類;アセトン等のケトン類;アセトニトリル等のニトリル類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸メチル、炭酸ジメチル、炭酸プロピレン等のエステル類;N−メチルホルムアミド、N、N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、これらの混合溶剤などを挙げることができる。
【0015】
[増感剤(c)]
感熱記録材料に用いる一般的な増感剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(4−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、2−ベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)、4−アセチルベンジル、N−フェニルトルエンスルホンアミド、トルエンスルホン酸ナフチル、p−ベンジルビフェニル、m−テルフェニル、4,4'−ジプロポキシジフェニルスルホン、4,4'−ジイソプロポキシジフェニルスルホン、4,4'−ジアリルオキシジフェニルスルホン、2,4'−ジプロポキシジフェニルスルホン、2,4'−ジイソプロポキシジフェニルスルホン、2,4'−ジアリルオキシジフェニルスルホン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、テレフタル酸ベンジルなどを挙げることができる。
【0016】
しかしながら、本発明の感熱記録材料においては、増感剤(c)として、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2−ベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)を用いる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。増感剤(c)として掲げた1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2−ベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)以外の前記増感剤では十分な画像の保存安定性を得ることはできない。
【0017】
[発色物質]
本発明の感熱記録材料において、感熱発色層に含有させる発色物質として用いる無色又は淡色のロイコ染料に特に制限はなく、例えば、フルオラン誘導体、キナゾリン誘導体、フタリド誘導体、トリフェニルメタン誘導体、フェノチアジン誘導体などを挙げることができる。これらのロイコ染料の中で、フルオラン誘導体は、発色性が良好なので特に好適に用いることができる。
【0018】
フルオラン誘導体であるロイコ染料としては、例えば、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2',4'−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジアミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−アミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−アミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−[N−エチル−N−(4−メチルフェニル)]アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロへキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−ペンチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−へキシル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチル−N−ブチルアミノ−7−(2'−フルオロアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−クロロフルオラン、3−ピロジリル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2'−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2'−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ブチルアミノ−7−(2'−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオランなどを挙げることができる。
これらのロイコ染料は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また感熱発色層に含有させる発色物質の量は、目的とする感熱記録材料の特性に応じて適宜選択することができる。
【0019】
[画像安定剤]
本発明の感熱記録材料においては、感熱発色層にさらに画像安定化剤を含有させることができる。用いる画像安定化剤に特に制限はなく、例えば、4−ベンジルオキシ−4'−(2−メチルグリシジルオキシ)−ジフェニルスルホン、4,4'−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチル−4,4'−スルホニルフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロへキシルフェニル)ブタン、ポリヒドロキシ安息香酸などのポリエステル構造を有する化合物、ウレアウレタンなどのウレタン構造を有する物質、ポリ(フェニルスルホン)エーテルなどのポリエーテル構造を有する物質などを挙げることができる。これらの画像安定化剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0020】
[填料、その他添加剤]
本発明の感熱記録材料においては、必要に応じて、感熱発色層に填料を含有させることができる。用いる填料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、クレー、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、表面処理されたシリカなどの無機填料や、ポリスチレンマイクロボール、ナイロンパウダー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、シリコーン樹脂粒子、セルロース粉、スチレン/メタクリル酸共重合体粒子、塩化ビニリデン系樹脂粒子、スチレン/アクリル共重合体粒子、プラスチック球状中空微粒子などの有機填料などを挙げることができる。これらの填料は1種を単独で用いることができ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0021】
本発明の感熱記録材料においては、必要に応じて、他の添加剤を感熱発色層に含有させることができる。含有させる添加剤としては、例えば、ステアリン酸エステルワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸亜鉛などの滑剤、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール系紫外線吸収剤、グリオキザールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料などを挙げることができる。
【0022】
[感熱記録材料の製造]
本発明の感熱記録材料の製造方法に特に制限がなく、例えば、発色物質、顕色剤、及び必要に応じて添加する画像安定化剤、その他の成分を適当な結合剤とともに、水媒体などの媒体中に分散させて感熱発色層の塗布液を調製し、この塗布液を支持体上に塗布し、乾燥することにより製造することができる。発色物質、顕色剤、増感剤を含有する分散液は、発色物質を含有する分散液、顕色剤を含有する分散液及び増感剤を含有する分散液をそれぞれ個別に調製したのち、これらの分散液を混合することにより調製することが好ましい。各分散液中において、発色物質、顕色剤及び増感剤は、微粒子化して分散していることが望ましいので、これらの分散液の調製には、サンドミル、ボールミルなどを用いることが好ましい。
【0023】
(結合剤)
使用する結合剤に特に制限はなく、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メトキシセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スルホン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類;ゼラチン、カゼイン、澱粉、アルギン酸などの天然高分子類;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共重合体、ポリビニルピロリドン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂などを挙げることができる。これらの結合剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0024】
(支持体、アンダーコート層、バックコート層)
本発明の感熱記録材料に使用する支持体には特に制限はなく、例えば、中性紙や酸性紙などの紙、合成紙、古紙パルプを用いた再生紙、フィルム、不織布、織布などを挙げることができる。
本発明の感熱記録材料においては、支持体上に、さらに、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、クレー、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、表面処理されたシリカなどの無機填料や、ポリスチレンマイクロボール、ナイロンパウダー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、シリコーン樹脂粒子、セルロース粉、スチレン/メタクリル酸共重合体粒子、塩化ビニリデン系樹脂粒子、スチレン/アクリル共重合体粒子、プラスチック球状中空微粒子などの有機填料などを含むアンダーコート層やバックコート層を設けることが好ましい。アンダーコート層やバックコート層を設けることにより、断熱層として作用し、サーマルヘッド等からの熱エネルギーの効率的活用による感度向上をもたらすことができる。特に、プラスチック球状中空微粒子を含むアンダーコート層やバックコート層は、熱感度を効果的に向上させることができるので好適に用いられる。
【0025】
なお、プラスチック球状中空微粒子とは、熱可塑性樹脂を殻としており、内部に空気その他の気体を含有してすでに発泡状態となっている微小中空粒子であり、平均粒子径は0.2〜20μm程度のものである。この平均粒子径(粒子外径)が0.2μmより小さいものは、任意の中空率にすることが難しいなどの生産上の問題があってコスト面で難点があり、逆に20μmより大きいものは塗布乾燥後の表面平滑性が低下するためにサーマルヘッドとの密着性が低下し、熱感度向上効果が低下する。従って、該粒子は粒子径が前記範囲にあると共に粒子径のバラツキが少ないものが好ましい。さらにこのプラスチック球状中空粒子は、その断熱効果を勘案すると中空率は、40%以上のものが好ましく、90%以上のものが更に好ましい。中空率が低いものは、断熱効果が不充分なためサーマルヘッドからの熱エネルギーが支持体を通じて感熱記録材料の外へ放出され、熱感度向上効果が劣る。なお、ここで言う「中空率」とは、中空微粒子の外径と内径の比であり、下記で表されるものである。
中空率(%)=[(中空微粒子の内径)/(中空微粒子の外径)]×100
プラスチック球状中空微粒子は、前記したように熱可塑性樹脂を殻とするものであるが、該樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエンあるいはそれらの共重合体樹脂などが挙げられる。これらの中でも、特に塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂が好ましい。
【0026】
アンダーコート層やバックコート層に使用する結合剤に特に制限はなく、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メトキシセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スルホン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類;ゼラチン、カゼイン、澱粉、アルギン酸などの天然高分子類;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共重合体、ポリビニルピロリドン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂などを挙げることができる。
【0027】
本発明の感熱記録材料においては、さらに必要に応じて、感熱発色層の上に、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール類などの水溶性樹脂や、スチレン−ブタジエン共重合体、テルペン樹脂などの水溶性エマルジョンや非水溶性樹脂、それらの樹脂に填料、イソシアネート類、不飽和化合物などのモノマーやオリゴマーと架橋剤を加えてオーバーコート層を形成することができる。
本発明の感熱記録材料は、色調の異なる発色物質をそれぞれ感熱発色層として多層形成した多色感熱記録材料とすることができる。
【実施例】
【0028】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、合成例において得られた反応物は、以下の条件にて測定した。
(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の測定条件)
カラム :ODS
溶離液 :50質量%アセトニトリル水
カラム温度 :40℃
流速 :1mL/分
注入量 :5μl
検出器 :UV(254nm)
(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定条件)
クロマトグラフィー:東ソー(株)、HLC−8120GPC
カラム:直径7.8mm×長さ30mm、1本
Shodex Asahipak GF−310HQ
カラム温度:40℃
移動相:ジメチルホルムアミド
流量:0.5mL/分
検出器:RI
【0029】
また、実施例及び比較例において、作製した感熱記録材料の性能は、次の方法により評価した。
(1)耐湿性
作製した感熱記録材料に、感熱印字装置[(株)大倉電気製]を用いて、印字電圧20V、パルス巾3msで発色させ、発色させた部分(画像部)の色濃度を反射濃度計[マクベス社製、「RD−918」]を用いて測定する。次に、60℃、80%RH環境下で24時間保持した後、色濃度を測定した。
(2)耐熱性
作製した感熱記録材料の、発色させた部分(画像部)と発色させていない部分(未発色部)の色濃度を反射濃度計[マクベス社製、「RD−918」]を用いて測定する。次に、80℃で24時間放置したのち、それぞれの色濃度を測定した。
(3)発色性
作製した感熱記録材料に、感熱印字装置[(株)大倉電気製]を用いて、パルス巾3msで0.14mJ/dotより0.56mJ/dotまで、0.07mJ/dotごとに印字エネルギーを高めて発色を行い、得られた画像の色濃度を測定した。
【0030】
合成例1(4−ヒドロキシ−4'−アリルオキシジフェニルスルホンの合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計を備えた4ツ口フラスコに、水1000g、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン(純度99.8%)250g(1.0モル)及び水酸化ナトリウム44g(1.1モル)を仕込み、55℃でアリルクロライド84.2g(1.1モル)を4時間かけて滴下した。滴下終了後、還流が認められなくなるまで55〜65℃で撹拌し、その後、55〜65℃で3時間反応を継続した。その後、水酸化ナトリウム40gを加えて80℃に加温し、ろ過により不溶物を取り除いた。ろ液に塩酸を加えpH9に調整し、析出した生成物をろ別した。
撹拌機、還流冷却管、温度計を備えた4ツ口フラスコに前記生成物、水420g、イソプロパノール140gを仕込み、1時間加熱還流した後、室温まで冷却して析出した精製物をろ別した。これを乾燥して白色粉末状の反応生成物112gを得た。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により反応生成物の組成を確認したところ、4−ヒドロキシ−4'−アリルオキシジフェニルスルホン98.0質量%、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン1.0質量%、3−アリル−4−アリルオキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン0.4質量%、3−アリル−4−ヒドロキシ−4'−アリルオキシジフェニルスルホン0.3質量%、3−アリル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン0.3質量%であった。
【0031】
合成例2(ジフェニルスルホン架橋型化合物の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計を備えた4ツ口フラスコに、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン(純度99.8%)35g(0.14モル)、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン(純度96.5%)15g(0.06モル)、ジメチルホルムアミド200gを仕込み、溶解させた。次に、水酸化ナトリウム14g(0.35モル)を加え、70℃に加熱し、4,4'−ビス(クロロメチル)−1,1'−ビフェニル38g(0.15モル)をジメチルホルムアミド120gに溶解させた液を0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃に加熱してさらに5時間反応した。反応終了後、反応物を、0.1質量%塩酸水溶液2000g中に30℃で0.5時間かけて徐々に添加したのち、さらに2時間撹拌した。析出した結晶をろ別し、水洗した。次に、反応容器に得られた結晶と20質量%メタノール水溶液500gを仕込み、70℃で2時間加熱したのち、25℃に冷却して析出した結晶をろ別し、水洗、乾燥したところ、反応生成物70gが得られた。得られた反応生成物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー[東ソー社製]で分析したところ次のような組成であった。
n=0 :保持時間 12.9分:面積% 4.9
n=1 :保持時間 12.0分:面積% 23.2
n=2 :保持時間 11.2分:面積% 23.7
n=3 :保持時間 10.7分:面積% 19.1
n=4 :保持時間 10.4分:面積% 12.7
n=5 :保持時間 10.0分:面積% 7.3
n=6 :保持時間 9.7分:面積% 3.3
n=7 :保持時間 9.4分:面積% 1.2
n=8 :保持時間 9.2分:面積% 0.3
n=9 :保持時間 8.9分:面積% 0.1
【0032】
合成例3(ジフェニルスルホン架橋型化合物の合成)
水酸化ナトリウム14g(0.35モル)の代わりに9.2g(0.23モル)を、4,4'−ビス(クロロメチル)−1,1'−ビフェニル38g(0.15モル)の代わりに25.3g(0.1モル)を使用した以外は合成例2と同様にして反応生成物52gが得られた。得られた生成物は次のような組成であった。
n=0 8.9%、n=1 39.8%、n=2 26.8%、n=3 12.1%、n=4 5.0%、n=5 2.1%、n=6 0.5%、n=7 0.3%、n=8 0.2%
【0033】
合成例4(ジフェニルスルホン架橋型化合物の合成)
4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン(純度99.8%)35g(0.14モル)の代わりに50g(0.2モル)を使用し、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを使用しなかった以外は合成例2と同様にして反応生成物69gが得られた。得られた生成物は次のような組成であった。
n=0 4.7%、n=1 24.1%、n=2 23.1%、n=3 18.8%、n=4 12.5%、n=5 7.2%、n=6 3.5%、n=7 1.5%、n=8 0.4%、n=9 0.2%
【0034】
実施例1
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液60質量部、水20質量部を、サンドミルを用いて4時間微粉砕して分散させることにより、発色物質分散液(A液)を調製した。
合成例1で得られた化合物14質量部、合成例2で得られた化合物6質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液60質量部、水20質量部を、サンドミルを用いて4時間微粉砕して分散させることにより、顕色剤分散液(B液)を調製した。
1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン20質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液60質量部は、水20質量部を、サンドミルを用いて4時間微粉砕して分散させることにより、増感物質分散液(C液)を調製した。
シリカ[「ミズカシル(登録商標)P527」、水沢化学(株)製]20質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液60質量部、水20質量部を、サンドミルを用いて3時間微粉砕して分散させることにより、シリカゲル分散液(D液)を調製した。
ステアリン酸亜鉛20質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液60質量部、水20質量部を、サンドミルを用いて3時間微粉砕して分散させることにより、ステアリン酸亜鉛分散液(E液)を調製した。
非発泡性プラスチック微小中空粒子(固形分24質量%、平均粒径3μm、中空度90%)40質量部、スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス[「Nipol(登録商標)LX438C」、日本ゼオン(株)製]10質量部、水50質量部を、ディスパーを用いて撹拌混合させることにより、樹脂液(F液)を調製した。
次に、A液5質量部、B液20質量部、C液10質量部、D液20質量部及びF液2.5質量部を、ディスパーを用いて撹拌混合し発色層の塗布液を調製した。また、D液5質量部及びE液10質量部を、ディスパーを用いて撹拌混合しアンダーコート層の塗布液を調製した。坪量60g/m2の上質紙に、アンダーコート層の塗布液を乾燥塗布量が3g/m2となるように塗布し、乾燥してアンダーコート塗布紙を得た。このアンダーコート層上に、発色層の塗布液の乾燥塗布量が5g/m2となるように塗布し、乾燥し、1MPaの圧力でカレンダー処理して本発明の感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0035】
実施例2
合成例1で得られた化合物の代わりに、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを用いて顕色剤分散液(B液)を調製し、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの代わりに2−ベンジルオキシナフタレンを用いて増感物質分散液(C液)を調製した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例3
合成例1で得られた化合物の代わりに、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを用いて顕色剤分散液(B液)を調製し、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの代わりにシュウ酸ジ(4−メチルベンジル)を用いて増感物質分散液(C液)を調製した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例4
合成例1で得られた化合物の代わりに、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホンを用いて顕色剤分散液(B液)を調製した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0036】
実施例5
合成例1で得られた化合物の代わりに、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホンを用いて顕色剤分散液(B液)を調製した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例6
合成例1で得られた化合物の代わりに、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホンを用いて顕色剤分散液(B液)を調製し、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの代わりにシュウ酸ジ(4−クロロベンジル)を用いて増感物質分散液(C液)を調製した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例7
合成例1で得られた化合物の代わりに、4−ヒドロキシ−4'−エトキシジフェニルスルホンを用いて顕色剤分散液(B液)を調製した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0037】
実施例8
合成例1で得られた化合物の代わりに、3,3'−ジアリル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンを用いて顕色剤分散液(B液)を調製した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例9
合成例2で得られた化合物の代わりに合成例3で得られた化合物を用いて顕色剤分散液(B液)を調製した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例10
合成例2で得られた化合物の代わりに合成例4で得られた化合物を用いて顕色剤分散液(B液)を調製した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例11
合成例1で得られた化合物14質量部、合成例2で得られた化合物6質量部の代わりに、それぞれ合成例1で得られた化合物8質量部、合成例2で得られた化合物12質量部を用いて顕色剤分散液(B液)を調製した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0038】
実施例12
合成例1で得られた化合物14質量部、合成例2で得られた化合物6質量部の代わりに、それぞれ合成例1で得られた化合物16質量部、合成例2で得られた化合物4質量部を用いて顕色剤分散液(B液)を調製した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例13
増感物質分散液(C液)10質量部の代わりに、増感物質分散液(C液)6質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例14
増感物質分散液(C液)10質量部の代わりに、増感物質分散液(C液)20質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0039】
比較例1
合成例1で得られた化合物14質量部、合成例2で得られた化合物6質量部の代わりに、合成例1で得られた化合物のみ20質量部を用いて顕色剤分散液(B液)を調製した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
比較例2
合成例1で得られた化合物14質量部、合成例2で得られた化合物6質量部の代わりに、合成例2で得られた化合物のみ20質量部を用いて顕色剤分散液(B液)を調製した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
比較例3
増感物質分散液(C液)を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
比較例4
合成例1で得られた化合物の代わりに、ビスフェノールAを用いて顕色剤分散液(B液)を調製した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
比較例5
1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの代わりに、ステアリン酸アミドを用いて増感物質分散液(C液)を調製した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製し、評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
第1表から分かるように、比較例1〜比較例5の感熱記録材料に比べて、本発明の実施例1〜実施例14の感熱記録材料は、発色感度、画像部の発色濃度、耐湿性、耐熱性及び未発色部の耐熱性に優れていることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の感熱記録材料は、感度が良好で発色性が優れており、低い印字エネルギーでも高濃度に発色するので、携帯端末の小電流、高速印字などにも十分に対応することができる。また、本発明の感熱記録材料は、画像部の耐熱保存性、耐水性に優れるので、印刷後に乾熱や温熱がかかる厳しい環境下で、例えば、電子レンジ加熱食品ラベル、駐車券、配送ラベルなどに使用されても、記録された情報を安定して保持することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無色又は淡色のロイコ染料からなる発色物質と顕色剤と増感剤とを含有する感熱発色層を支持体上に設けてなる感熱記録材料において、前記顕色剤として、下記一般式[1]で表されるジフェニルスルホン誘導体及び下記一般式[2]で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物を含むと共に、増感剤として1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2−ベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)及びシュウ酸ジ(4−クロロベンジル)の中から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする感熱記録材料。
【化1】

(式中、R1〜R6は、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルケニロキシ基、アラルキル基、アシル基、アシルオキシ基のいずれかを表す。ただし、R1〜R6の少なくとも1つはヒドロキシル基である。)
【化2】

(式中、nは1〜10の整数を表す。)
【請求項2】
顕色剤として、一般式[1]で表されるジフェニルスルホン誘導体である4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−アリルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン及び3,3'−ジアリル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンの中から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1に記載の感熱記録材料。