説明

感熱記録材料

本発明は、支持材料が、少なくとも二種の発色性反応物質AおよびBを含む少なくとも一つのコーティング層を支持しており、前記層が、発色性反応物質Aとして水に溶けないもしくは水に溶けにくい鉄化合物を、および反応物質Bとして水に溶けないもしくは水に溶けにくい少なくとも二つの隣接するOH基を有するフェノール化合物を互いに分離させて含んでおり、両方の反応物質を物理的に分離させる生物学的に分解可能なポリマーを結合剤または安定剤として含んでおり、その際、反応物質AまたはBの少なくとも一方が100℃未満で溶融し、前記溶融体がもう一方の発色性反応物質と1秒未満の接触時間で顕色反応し、かつ両方の発色性反応物質の少なくとも一方が20μm未満のサイズの粒子として存在することを特徴とする感熱記録材料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感熱記録材料に関する。特に、本発明は、判読可能な文字画像の持続性が改善されており、生態学的に適合している感熱記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に流通している感熱紙は、保護層で覆われているので、表面では有毒な皮膚刺激性のまたはアレルギーを引き起こす特性を有していないが、しかし多くの憂慮すべき成分を含んでおり、それゆえ例えば食品とは間接的な接触しか許されていない。
【0003】
資源の持続的な利用という意味において、とりわけ成長し続ける感熱紙市場は非常に問題があると思われる。この紙は、例えばすべてのレシートプリンタ、多くのファックス機器、および安価なプリンタで使われている。感熱紙は、メーカーによっては生態学的な適合性にしばしば改善すべき点のある化学物質を数ダースも含んでいる。
【0004】
特にビスフェノールAは環境ホルモンであり、女性ホルモンのエストロゲンのように作用し、それゆえ人のホルモン系に影響を及ぼす可能性がある。ビスフェノールAは、欧州で最も多く生産されている化学物質の一つであり、毎年115万トンの原料が消費されている。ビスフェノールAの90パーセント超はポリカーボネートプラスチックおよび塗料を製造するための出発生成物であるが、人は感熱紙を介してもこの化学物質と接触する。
【0005】
感熱紙は、今日では日々の生活の多くの領域でなくてはならないものになっている。入場券、領収書、またはスーパーマーケットでの値札として、乗車券として、ならびにその他の、技術的に訓練を積んでいない職員により迅速かつ第一義的に情報を印刷しなければならない多くの用途で使用されている。増え続ける需要に対応できるよう、サーマル分野への継続的な投資がなされている。
【0006】
サーマル印刷では、感熱紙に熱を直接伝達することにより文字または画像を生成する。これはプリンタのサーマルヘッドによって行われ、サーマルヘッドは多くの小さな発熱素子から成っている。この発熱素子は電子制御されて熱エネルギーを生成し、この熱エネルギーが、機能性サーマルコート上で呈色反応を引き起こし、これにより文字、バーコード、またはグラフィックが生成される。
【0007】
感熱紙は、サーマル技術用に特別に開発された高価値のベース紙から成る。高い画像品質のための前提条件であり、紙内への熱伝導を阻止し、その上にあるサーマルコートの完璧な機能および感度特性を補助するプレコートは、既に抄紙機において適用されている。サーマルコートには、発色剤(Farbbildner)および顕色剤(Farbentwickler)のような主要な機能成分が含まれている。サーマルコートにサーマルプリンタで点状に熱を伝達することにより、文字または画像を生じさせる化学反応が起こる。さらに感熱紙は、表面または裏面に保護層を有することもできる。表面のカバーコート(トップコート)は、紙が機械的負荷、化学的影響、または環境的影響に曝される場合に有意義である。裏面コート(バックコート)は、印刷、ラミネート加工、およびそのほか多くの場合に追加的な保護をもたらす。
【0008】
完璧な刷り上がりのための基本的前提条件として、プリンタおよび用途に適した紙が選択されなければならない。この選択に決定的な役割を果たすのは感度である。静的感度と動的感度に区別される。動的感度は、特に、特定のプリンタのための正しい紙を選択する際に重要である。プリンタが高速に動作すればそれだけ、加熱体の下に滞在する時間が短くなる。したがって高速の機器は、動的感度の高い紙を必要とする。感度が低すぎる感熱紙を使用すると、文字画像を完全に黒く塗りつぶすには熱が足りず、これは文字の耐久性を低下させる。静的感度は、感熱紙が何℃で黒色化し始めるかを示す。静的感度の値は、例えば駐車券の分野でのように紙が比較的高い周囲温度に曝される場合に重要である。
【0009】
規定通りに保管すれば、製品により異なるが最長10年の耐久性を達成することができる。しかし様々な環境による影響が、文字画像の耐久性を大きく低下させる可能性があり、実際には、印刷物はしばしば数年後には判読できなくなる。プラスチックケース内にある印刷物は、黒くなるか、または下敷きになっている部分に貼り付き、シミができる。印刷物の耐久性を制限する要因は、例えば湿気、熱、油脂化合物、溶剤、および可塑剤である。簡単な例は、プラスチックバッグ内で、可塑剤の拡散により黒くなるレジレシートである。
【0010】
感熱紙は、用いられる印刷方法によっては機能面にも裏面にも印刷することができる。一般的には、サーマル層を印刷する際には常に、機械調整を紙に適合させることに注意を払うべきである。ただし印刷インクは、印刷されるのがサーマル面か裏面かにかかわらず、サーマル層と適合していなければならない。感熱紙メーカーは、感熱紙の種類と機器とを相互に最適に合わせるため、様々なサーマルヘッドメーカー、プリンタメーカー、および印刷機構メーカーと協力している。サーマルプリンタまたは個々のコンポーネントの、優れた刷り上がりが維持された上での長い耐久性を保証するため、相応の使用許可を出す前に広範囲の試験が実施される。種類および機器に応じた使用許可は、IBM、エプソン、セイコー、MWCR、Hengstler、またはMettler−Toledoによって行われている。さらに、生産中の製品には、すべての機器で最適な刷り上がりおよび個々のコンポーネントの長い耐久性が保証され得ることを確かめるため、定期的な間隔で様々な広範囲の試験が実施される。
【0011】
POS分野でのレジロールと並んで好ましい適用分野は、ATMの利用明細書またはさらに医療用記録機器のためのグラフ用紙である。この感度は、ほぼすべての入手可能なサーマルプリンタでの最適な刷り上がりを可能にする。
【0012】
二面コート感熱紙もあり、つまり紙の両面がサーマル機能コートを有している。この感熱紙は、特にこのために設計されたサーマルプリンタでしか機能せず、この場合、例えばレジロールの表面および裏面の同時印刷が可能である。たいていの紙は、白だけでなく任意の色でも入手可能であり、または追加的にオフセット方法で印刷されている。
【0013】
それだけでなく感熱ラベルは、販売、物流、運送、および発送の分野で、ならびに包括的に工業において、サーマル印刷の多種多様な利点の故に、それ無しにして考えることはほとんど不可能になっている。ラベルは第一に情報担体として用いられるので、ラベルに印刷されるすべてのデータは、バーコードでもなければならない。安定した感熱紙は、映画館の入場券として、乗車券として、または賭博券として、優れた安定性、耐久性、および印刷可能性が不可欠な用途で使用される。券の偽造を不可能にするため、紙にはしばしばUV繊維または磁性粒子のようなセキュリティ標識も付与される。
【0014】
現在標準的に用いられている感熱記録方法は、室温では無色か少し色づいているロイコ染料および顕色剤のような有機酸材料を主成分とし、加熱するとロイコ染料の反応により発色し得る層を利用している。感熱記録層は、前述のロイコ染料および顕色剤に増感剤を付加することで製造され、これにより感熱記録材料が製造される。
【0015】
公開特許公報EP−A−0968837(特許文献1)、US−A−5,256,621(特許文献2)、およびUS−A−6,093,678(特許文献3)を、ほかの公報と共に、感熱記録材料を論じた特許文献の例として挙げることができる。US−A−4,849,396(特許文献4)、US−A−5,446,009(特許文献5)、EP−A−0526072(特許文献6)、およびWO−A−0035679(特許文献7)にも、特に金属塩の使用に関連する従来技術が記載されている。最初に挙げた二つの公報では、金属キレート型の発色系を単独で、または従来のロイコ染料および顕色剤と一緒に利用している。最後に挙げた両方の公報では、尿素ベースの化学物質が用いられている。US−A−4,849,396(特許文献4)(Jujo Paper)は、金属キレート型の発色系を適用することで印刷画像を生じさせる感熱紙に関する。
【0016】
アルカリ性の表面に適用した場合に、前駆体からカラーの刷り上がりを生じさせる反応性インクが知られている(GB1469437(特許文献8)、1977-04-06、OZALID CO LTD;Ink OZALID CO LtdのLANDAU R)。水溶液には、鉄キレートもしくはチタンキレート、ポリヒドロキシ化合物(タンニン、ピロカテコール、ピロガロール、没食子酸、もしくは水溶性誘導体)、アスコルビン酸、およびクロモトロプ酸のナトリウム塩が含まれている。典型的なインクは、水、シュウ酸鉄アンモニウム、鉄−EDTA、シュウ酸チタンカリウム、シュウ酸、クエン酸、タンニン、クロモトロプ酸のナトリウム塩、ピロガロール、アスコルビン酸、ピロカテコール、エチレングリコール、およびソルビトールを含んでいる。
【0017】
発色を達成するため、酸化性金属イオンと反応するフェノール性基またはエノール性基を有する不可視インクが知られている(GB1292831(特許文献9)、1972-10-11、MEREDITH CORP (US)、およびFR2028486(A1)(特許文献10)およびDE1946393(A1)(特許文献11))。これには、結合剤および担体である溶剤が混合されている。反応成分は、例えば没食子酸、没食子酸プロピル、アセトアセテート、フェノール、レゾルシン、クレゾール、バニリン、グアヤコール、またはレゾルシン酸亜鉛である。顕色剤としては、鉄塩、酸化性金属塩、クエン酸、もしくは鉛イオン、およびコンゴーレッドもしくはキシレノールオレンジが用いられる。結合剤としては、ポリビニルピロリドン、セルロースヒドロキシプロポキシエーテル、またはポリアミドが用いられる。担体は、グリコール、グリコールエーテル、エステル、およびエーテルアルコールである。任意の添加物質は、蛍光体、例えばメチルウンベリフェロン、クエン酸、充填剤、例えばシリカもしくはケイ酸塩、酸化防止剤、およびUV安定剤、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンである。
【0018】
没食子酸と共に例えばロイコ染料を含む別の不可視インク、例えば(GB1350930(特許文献12)、1974-04-24、DICK CO AB、さらにA B DICK COのNL7103180(A)(特許文献13)、FR2084649(A5)(特許文献14)、DE2112380(A1)(特許文献15))も知られている。
芳香族イソシアネート成分、イミノ成分、有機溶剤、およびガロタンニン、もしくは没食子酸メチル、没食子酸エチル、トリメトキシガレート、または没食子酸−3−メチルエーテルを使用した感熱インクが知られている(JP2265978(特許文献16)、1990-10-30、MATSUSHITA TOSHIHIKO;MORISHITA SADAO、MITSUBISHI PAPER MILLS LTD)。
【0019】
染料の可溶性を変化させることなく、着色された材料の耐水性を高めるための、m−二没食子酸のN−アルカノールアミン塩から成る記録インクが知られている(JP58183769(特許文献17)、1983-10-27、RICOH KKのAKUTSU HIDEKAZU;FUJII TADASHI;MURAKAMI KAKUJI;ARIGA TAMOTSU;KAZAMI TAKEO)。
【0020】
印刷物の迅速な乾燥を可能にするため、およびプリンタノズルを詰まらせないために、フェノール性成分(好ましくは没食子酸およびピロガロール)を含んでおり、かつpH値が12〜14の溶解した酸素を含まないインクが知られている(JP57207659(特許文献18)、1982-12-20、EPSON CORPのOOWATARI AKIO)。
【0021】
さらに、例えば塩化亜鉛、サリチル酸、タンニンなどと、電子供与性成分としての着色剤とから成る無色のインクを使用し、かつ水の添加により色を脱色させるカラーインクが知られている(JP9059547(特許文献19)、1997-03-04、KAWASHIMA SEIJI)。通常のタンニンの代わりとして、生産費の削減および確実な供給体制を可能にする柿タンニンから成るインクジェット用インクが知られている(KR20040012361(特許文献20)、2004-02-11、SON GYU、YOUNGDONG AGRICLTUVAL)。このインクは、様々な成分を含んでおり、とりわけ水、有機溶剤、染料、タンニン、没食子酸を含む柿の抽出物、エラグ酸、およびカテキンを含んでいる。
【0022】
ノズルの詰まりを防止するインクジェット用インクが知られている(JP2005272762(特許文献21)、2005-10-06、TOYO INK MFG COのKONO MONICHIRO;IIDA YASUHARU)。
【0023】
このインクは、食品着色料0.3〜10重量%、エタノール45〜98.7重量%、タンニン0.5〜5重量%、プロピレングリコール0〜30重量%、乳酸ナトリウム0.5〜5重量%、および水0〜5重量%を含んでいる。
【0024】
フェノール性OH基を有する成分を0.1〜30%含み、ならびにポリビニルアルコール5〜95重量%および水溶性カチオン樹脂95〜5重量%の結合剤を含むインクのための記録材料が知られている(JP1241487(特許文献22)、1989-09-26、MITSUBISHI PETROCHEMICAL COのHAYAMA KAZUHIDE;YAMASHITA AKIRA)。フェノール性成分は、少なくとも二つのヒドロキシル基を有しており、例えばヒドロキノン、タンニン、レゾルシン、ジ−t−ブチルフェノール、フロログルシノール、またはビス(4−ヒドロキシフェノール)メタンである。
【0025】
無色の「インクリボン」および第一義的にモリブデン酸塩およびタングステン酸塩で含浸処理された紙を使用する、呈色反応性タイプ用紙が知られている(GB856188(特許文献23)、1960-12-14、CARIBONUM LTDのNEALE DAVID JOHN)。
【0026】
金属酸化物など、例えばリン酸タングステン、金属塩化物(例えば塩化クロム)、および/またはタンニン、さらにPVA結合剤および白色充填剤(例えば炭酸カルシウムなど)により、砕木パルプを使用しない紙での光安定性を改善させたインクジェット用紙が知られている(JP57087987(特許文献24)、1982-06-01、MATSUSHITA ELECTRIC IND CO LTDのMURAKAMI MUTSUAKI;SEKIGUCHI YUMIKO)。
【0027】
没食子酸鉄インクで書かれたテキストを透写するための、タンニンまたは没食子酸を浸透させた湿った紙を使用する複写システムが知られている(GB191016515(特許文献25)、1911-06-08、CAMERON DUNCAN)。添加剤として、亜硫酸ナトリウム、ホウ砂、およびフェノールが用いられる。
【0028】
顕色剤としての硫酸鉄もしくはクロム酸塩、ならびにポリフェノール、焦性没食子酸もしくはタンニンを使用する複写方法が知られている(GB943401(特許文献26)、1959年2月11日、IMAGIC PROCESS Ltd、さらにNL267030(A)(特許文献27)、NL248292(A)(特許文献28)、GB991599(A)(特許文献29)、BE595169(A)(特許文献30)、DE1269630(B1)(特許文献31))。
【0029】
二層構造を用いた熱記録方法が知られており(JP4307289(特許文献32)、1992-10-29、OJI PAPER COのMORITA YASUYOSHI;MURATA TATSUYA;KOYABU KYOKO)、その一つの層は、脂肪酸の鉄塩および没食子酸誘導体を含んでおり、第二の層は電子供与性染料前駆体を含んでいる。
【0030】
マイクロカプセル化された反応物質、すなわち1.)電子伝達性発色剤、2.)フェノール性OH基を含む配位子(例えば没食子酸塩、サリチル酸、..)、および3.)減感剤を使用し、4.)鉄(III)カバー層を有する感圧記録層が知られている(JP1271284(特許文献33)、1989-10-30、KANZAKI PAPER MFG CO LTDのTAJIRI MASANAO;SHINKOU KAZUYUKI;SHIOI SHUNSUKE)。
【0031】
融点が60〜180℃のアルキルガレートから成る層および(好ましくはステアリン酸鉄の分散系としての)鉄塩から成る受容層を有する熱記録方法が知られている(JP60083886(特許文献34)、1985-05-13、MITSUBISHI PAPER MILLS LTDのMATSUSHITA TOSHIHIKO;MORISHITA SADAO)。類似の熱記録方法が知られている(JP60083885(特許文献35)、1985-05-13、MITSUBISHI PAPER MILLS LTDのMATSUSHITA TOSHIHIKO;MORISHITA SADAO)またはJP60063192(特許文献36)(1985-04-11、MITSUBISHI PAPER MILLS LTDのMATSUSHITA TOSHIHIKO;MORISHITA SADAO)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】EP−A−0968837
【特許文献2】US−A−5,256,621
【特許文献3】US−A−6,093,678
【特許文献4】US−A−4,849,396
【特許文献5】US−A−5,446,009
【特許文献6】EP−A−0526072
【特許文献7】WO−A−0035679
【特許文献8】GB1469437
【特許文献9】GB1292831
【特許文献10】FR2028486(A1)
【特許文献11】DE1946393(A1)
【特許文献12】GB1350930
【特許文献13】NL7103180(A)
【特許文献14】FR2084649(A5)
【特許文献15】DE2112380(A1)
【特許文献16】JP2265978
【特許文献17】JP58183769
【特許文献18】JP57207659
【特許文献19】JP9059547
【特許文献20】KR20040012361
【特許文献21】JP2005272762
【特許文献22】JP1241487
【特許文献23】GB856188
【特許文献24】JP57087987
【特許文献25】GB191016515
【特許文献26】GB943401
【特許文献27】NL267030(A)
【特許文献28】NL248292(A)
【特許文献29】GB991599(A)
【特許文献30】BE595169(A)
【特許文献31】DE1269630(B1)
【特許文献32】JP4307289
【特許文献33】JP1271284
【特許文献34】JP60083886
【特許文献35】JP60083885
【特許文献36】JP60063192
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明の課題は、既知のロイコ染料ベースの感熱紙より、有毒性が明らかに低く、アレルギーを引き起こす成分の含有量が少なく、より環境汚染を引き起こさない感熱コーティングを有する感熱紙を提供することである。
【0034】
それでもなおこの材料は、
− 高い静的および動的発色感度を示し、
− 製造の際に灰色化することなく適用することができ、かつ特に、
− ロイコ染料の感熱紙より明らかに長い耐久性を有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明は感熱記録材料に関する。特に、本発明は、判読可能な文字画像の持続性が改善されており、生態学的に適合している感熱記録材料に関する。
【0036】
したがって本発明は、請求項1に基づく感熱記録組成物および本発明による記録組成物を使用した感熱記録材料に関する。
【0037】
感熱記録材料は、加熱により顕色させ得る感熱記録層が支持基材上に適用された構造を有している。
【0038】
支持基材としては、本質的には、必要に応じて複数の層から構成された紙、合成紙、または必要に応じてコーティングされたプラスチックフィルムのようなシート状の材料が考慮される。
【0039】
本発明による記録材料の主要層は、少なくとも未加工紙、未加工プラスチック、もしくは対応する材料、および本発明によるコーティングである。主要層にはさらに、シートの片面または両面でのプレコーティングおよび/または表面コーティングを含むことができる。少なくとも発色剤、顕色剤、および結合剤がコート中に含まれている。適切な温度に加熱すると、成分の少なくとも一部が溶融し、これによりコートの別の成分の反応が可能になり、この化学反応の結果として色を視認できるようになる。
【0040】
顕色を引き起こすための加熱手段として、通常はサーマルヘッドを備えたサーマルプリンタが使用される。
【0041】
前述の感熱記録材料を使用する感熱記録システムは、顕色および画像定着のステップ(レーザーなどを参照)が必要なく、比較的単純な装置を使用して容易に記録を達成することができ、かつアフターサービスの費用を削減できるので、ほかの従来の記録システムに比べて有利である。
【0042】
感熱記録材料は、適切な未加工紙シート、プラスチックフィルム、樹脂コーティングされた紙、または対応する材料に塗布機械でコートを塗布することにより製造され、その後、このシートはたいていの場合、乾燥およびカレンダ加工を適用される。使用されるコートは、一般的には、分散系を製造するため、少なくとも一種の発色剤、少なくとも一種の金属塩(反応物質A)および反応物質Bを別々に、粉末化または微粉化することによって製造される。
【0043】
両方の反応物質は、短い拡散経路のため、および短い拡散経路での材料の迅速な反応を確実にするため、適切な粒径に粉砕される。このやり方で製造された分散混合物を、結合剤およびその他の助剤と混ぜ合わせ、塗布機械を使って塗布する。
【0044】
本発明によれば、環境に優しいサーマル印刷方法のため、一方では生物学的に分解可能であり、もう一方では有毒な特性をもたず広い地域に分布している金属を含む反応物質を使用するべきである。
【0045】
天然のタンニンおよびそれをベースとする発色カプラー、ならびに非毒性金属としての鉄を使用する。
【0046】
両方の反応物質は、好ましくはマイクロカプセル化されて、結合剤により層中に内包されており、かつ成分の拡散に対して保護されている。100℃未満、好ましくは90℃未満への熱による加熱が、両方の反応物質の少なくとも一方を溶融させ、その後、この一方の反応物質は有機溶融体としてもう一方の反応物質と反応する。
【0047】
反応物質Bとしては、本質的には、少なくとも二つの隣接するOH基を有しており、金属キレートもしくは錯体を生成するジヒドロキシカルボン化合物またはポリヒドロキシカルボン化合物が使用される。
【0048】
タンニンは、たいていはジフェノール化合物またはポリフェノール化合物である雑多な一群であり、タンニンの最大グループは没食子酸誘導体である。没食子酸塩は、没食子酸の合成誘導体である。最も重要な、しかも食品法に基づき許容された没食子酸塩は、没食子酸プロピル(E310)、没食子酸オクチル(E311)、および没食子酸ドデシル(E312)である。没食子酸塩は、主に抗酸化剤として、脂肪相において、ならびに食品および薬品において使用される。
【0049】
青黒い有色生成物は、オーク、トウヒ、カラマツ、オウシュウクロハンノキの樹皮、多くの種類のウルシ(例えばコウロボク)の葉および果実、ならびに紅茶からの抽出物のようなタンニンに、鉄(III)塩を添加した場合にも生じる。前述の植物部分には特に多くのタンニンが含まれている。タンニンは植物界に広く分布している。
【0050】
タンニンは、とりわけジフェノールまたはポリフェノール(二つまたはそれ以上のヒドロキシル基を有する芳香族系)であり、たいていは没食子酸から得ることができ、しばしば別のフェノールおよび糖と縮合される。
【0051】
本発明によれば、この原料は、疎水性であるか、または特にフェノール性基もしくは酸のエステル化により疎水化されており、反応物質Bとなる。
【0052】
適切な化合物は、例えば没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、没食子酸プロピル、没食子酸エチル、または没食子酸メチルである。
【0053】
これらの化合物は、低融点の担持材料と共に溶液または懸濁液として用いられることが有利である。その際、担持材料の融点は、好ましくは100℃未満、特に好ましくは80℃未満である。
【0054】
適切な担持材料は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、またはベヘン酸のような遊離脂肪酸である。
【0055】
鉄は、人にとって不可欠な微量元素である。鉄は、例えば血色素の成分、ヘモグロビンであり、血液中の酸素の運搬を担っている。鉄は複数の酸化段階で生じるが、Fe2+(二価鉄、フェロ化合物)およびFe3+(三価鉄、フェリ化合物)だけが生物にとって有意義であり、より高い原子価は不安定であり、強酸化剤である。鉄は、酸素がない場合はたいてい二価の形で存在しており、この場合は還元剤として作用する。空気の存在下では、二価鉄はすぐにFe3+の化合物に変化し、この化合物は最終電子受容体である。Fe2+塩が可溶性に優れている一方で、たいていのFe3+塩は、中性のpH値では溶けにくい。可溶性の鉄塩とは例えばシュウ酸塩であり、知られているように、シュウ酸により不溶性の鉄塩を溶解することができ、および部分的に退色させることができ、これは、本発明による感熱紙の再処理において有利に使用することができる。
【0056】
たいていの鉄塩および既知の没食子酸鉄インクは一般的に親水性なので、有機相において疎水性のタンニンと反応して錯体の生成および発色が可能な、脂肪に溶解する形に鉄を変化させるため、本発明によれば三価鉄の塩を長鎖脂肪酸と共に使用する。
【0057】
これに適しているのは、例えばベヘン酸鉄、ステアリン酸鉄、パルミチン酸鉄、ミリスチン酸鉄、ドデシル酸鉄、ステアリン酸鉄−亜鉛、モンタン酸鉄−亜鉛、ベヘン酸鉄−亜鉛、ベヘン酸鉄−カルシウム、ベヘン酸鉄−アルミニウム、およびベヘン酸鉄−マグネシウムである。
【0058】
これに関し、反応は水なしでも開始される。二種の水溶性反応物質を選択する場合は、健康に関する比較的不都合な特性のほかに、染料生成のために水または類似の共反応物質を必要とするであろう。
【0059】
記録材料を製造するため、反応物質は最大20μmのサイズの粒子へと加工される。適切な加工方法は、例えば粉砕、噴霧乾燥、噴霧凝固、または振動式もしくは回転式の皿形噴霧器による加工である。
【0060】
コーティング内での反応物質Aと反応物質Bの早すぎる接触を防止するため、少なくとも一方の反応物質は、拡散に対抗する保護シェルもしくはコーティングを有することができる。粒子のこのコーティングもしくは被包は、適切なポリマー、例えばポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、デキストリン、デンプンから、またはしかし無機塩、セラミクス、石英、ケイ酸塩、もしくは酸化アルミニウムから成ることが好ましい。
【0061】
粒子は、紙、段ボール紙、または厚紙に適用するために、製紙産業において通常の紙コーティングの方法、特に最終の紙コーティングステップの方法によりコートされる。このような紙コーティング方法は従来技術から知られており、当業者には周知である。
【0062】
本発明による組成物は、凹版印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、デジタル印刷、カーテンコーティング、または支持基材上へのロールの順回転または逆回転によるロール塗布方法のようなドクターブレードコーティング、噴霧、浸漬コーティング、または一般に行われている印刷方法のような別の印刷技術、塗装技術、または製紙技術による方法によって適用することができる。
【0063】
支持材料にかかわらず、コーティングされる材料の表面に、付着剤、例えばデンプンベースの接着剤または生物学的に適合性のあるおよび/または分解可能なポリマーベースの接着剤で粒子を結合することが有利である。このような付着剤は、当業者には従来技術から知られている。
【0064】
特に湿気および/または熱の影響を受ける場合に、灰色化したりまたは茶色くなったりすることを防止するため、コーティング組成物は、必要に応じて安定剤を含むことができる。その際、適切な安定剤は、pH安定剤、還元剤、および重合抑制剤、好ましくはポリアクリルアミド、および不揮発性の強酸もしくは中酸のようなポリマーである。
【0065】
本発明による技術革新
− 色安定性で非退色性に印刷された紙、フィルム、および材料表面
− 局所的な熱伝達による色の生成および変化
− 有毒な有機化学物質なしで色を自由に選択可能
− 場合によっては、ナノメートル単位の薄い層による非常に材料を保護する構造
【0066】
熱による印字に必要なエネルギー源は、熱の広がりが少なく、(エネルギーの強い集束および自己増幅により)エネルギー密度が大きく、時間的および空間的な干渉性が大きいことが好ましい。したがってサーマルヘッドと並んで、光源としてのレーザーも第一義的に適切である。そのほかの熱光源も、適切な光学的処理により同様に使用可能であるが(LED、Hgによる高エネルギーランプ、または金属蒸気など)、しかしながらしばしばエネルギー密度が小さい。熱い表面により効果を熱的に引き起こすことも可能であり、これはサーマルスタンプまたはサーマルロールによって行うことができる。
【0067】
熱の強度は、真っ黒/真っ白(すなわち二色)に制御することができ、またはグラフィックを描画する際に使用されるそれぞれの色に、0〜100%の強度パーセンテージを割り当てることによりコントロールされる。サーマルヘッドは、比例的にパルス点滅させる/させられているかまたは別のやり方で、その強度を制御される/されているので、このパーセンテージは、熱パルスがどれくらい長く持続するか、または熱作用の強度がどれくらい高いかを示している。原理的にはこの強度調整は色合いがどれくらい濃いかに直結している。
【0068】
高温の作用は、有毒性の排ガスを生成し、材料変化を引き起こし、オフィス運営においては望ましくないかもしくは負担できない。したがってサーマルプリンタは、典型的には100℃未満の材料表面温度で、有害生成物の有意な放出のないナノ単位の薄い発色層を達成すべきである。
【0069】
このシステムの全体のエネルギー消費量は、第一義的には熱出力と排熱だけに由来し、これに対して紙送りのエネルギー消費量は軽微であり、熱によるトナーの追加的な定着プロセスは第一義的には企図されておらず、しかし第二義的にはこの方法と組み合わせることができる。したがって機器は、第一義的には直接的な印刷動作においてのみエネルギーを消費する。典型的なプリンタの「スタンバイ」出力は、現在のところ約5〜30ワットの間であり、印刷動作中は出力が最大1000Wになる。これに関しこのサーマルプリンタは、より少ないエネルギー消費量、および1枚目の紙までの加熱時間が全くないことによっても、存在する印刷方法に対して明らかに傑出することができる。
【0070】
図1〜図7には、本発明による記録材料が示されている。
【0071】
発色剤としては、反応により有色の金属錯体を形成する前述の両方の物質群が用いられる。詳細には、以下のような例示的実施形態が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】発色剤(2、3)と結合剤(5)の単純な混合を示す図である。
【図2】発色剤(2、3)の単純でシーケンシャルな塗布を示す図である。
【図3】発色剤(2)中の分散系としての発色剤(3)の塗布を示す図である。
【図4】結合剤(5)中の分散系としての両方の発色剤(2+3)の塗布を示す図である。
【図5】発色剤(2)中の分散系としての発色剤(3)の塗布を示す図である。
【図6】分散系としての両方の発色剤(2+3)の塗布を示す図である。
【図7】図6に類似した、結合剤(5)中の分散系としての拡散バリアされた両方の発色剤(2+3)の塗布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1の実施形態は、発色剤(2、3)と結合剤(5)の単純な混合を示している。この場合、内部での拡散による反応が避けられず、すなわち紙は次第に黒ずみ、比較的長期的には不安定である。
【0074】
図2の実施形態は、発色剤(2、3)の単純でシーケンシャルな塗布を示しており、場合によっては結合剤(5)と混合される。この場合、内部での界面拡散による反応が避けられず、すなわち紙は次第に黒ずみ、ただし図1の実施形態で示されるほど強くはなく、比較的長期的には不安定である。
【0075】
特に、成分が互いから数μm離れているので、呈色反応は遅くて弱い。
【0076】
図3の実施形態は、発色剤(2)中の分散系としての発色剤(3)の塗布を示しており、場合によっては結合剤(5)と混合される。この場合、界面拡散による中程度の反応が避けられず、すなわち紙は次第に黒ずみ、ただし図1に示した実施形態ほど強くはなく、中程度に安定している。図2に示した実施形態とは反対に、成分が非常に分散して存在しているので、呈色反応は強くて速い。
【0077】
図4の実施形態は、結合剤(5)中の分散系としての両方の発色剤(2+3)の塗布を示している。この場合、界面拡散により弱い非特異反応が生じ、すなわち紙は次第に若干黒ずむだけであり、比較的安定している。図2に示した実施形態とは反対に、成分が非常に分散して存在しているので、呈色反応は強くて速い。
【0078】
図5の実施形態は、発色剤(2)中の分散系としての発色剤(3)の塗布を示しており、場合によっては結合剤(5)と混合される。この場合、界面拡散による反応は、バリア(4)による分散相の被包により回避されており、すなわち紙は次第に黒ずむことなく、安定している。図2に示した実施形態とは反対に、成分が非常に分散して存在しているので、呈色反応は強くて速い。
【0079】
図6の実施形態は、分散系としての両方の発色剤(2+3)の塗布を示している。この場合、界面拡散による反応は、バリア(4)による分散相の被包により回避されており、すなわち紙は次第に黒ずむことなく、安定している。図2に示した実施形態とは反対に、成分が非常に分散して存在しているので、呈色反応は強くて速い。両方の発色剤のどちらがバリアコーティングを担持するのか、また場合によっては両方がコーティングを担持するかどうかは、用途に応じて変えることができる。
【0080】
図7の実施形態は、図6に類似した、結合剤(5)中の分散系としての拡散バリアされた両方の発色剤(2+3)の塗布を示している。
【実施例】
【0081】

例1 − 細かく分散して最適に溶融する疎水性鉄化合物の合成
水溶性鉄塩(大部分は硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(III))を、水溶液中で、長鎖で好ましくは脂肪族の酸(大部分はラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、またはベヘン酸)の有機溶液と反応させる。不溶性鉄塩が析出し、分離される。
【0082】
これに類似して、場合によっては溶剤なしで、溶融体中で反応を行うこともできる。
【0083】
次に鉄塩を溶融させ、回転式の皿形噴霧器内で数μmサイズの粒子へと噴霧し、この粒子をたいてい短時間洗浄する。この反応物質のモル比は、鉄塩とたいていは過剰な酸から成る結果的に生じる混合物の融点が、たいていは60〜90℃であるサーマルプリンタの理想的な溶融範囲内にあるように選択されることが多い。
【0084】
代替策として塩を粉砕することもでき、その際は、粉砕の際にワックス状の稠度を考慮しなければならない。
【0085】
例2 − 細かく分散して最適に溶融する疎水性没食子酸化合物の合成
好ましくは100℃未満で溶融する没食子酸の塩、たいていは没食子酸ラウリルを、回転式の皿形噴霧器で溶融体から細かく噴霧する。ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、またはベヘン酸を添加することで、結果として生じる粒子の融点を制御する。
【0086】
例3 − 細かく分散して被包された粒子の合成
例8および/または例9で作製された100℃未満で溶融する粒子を、拡散保護シェルによりカプセル化する。その際、粒子の水性分散系を、適切なポリマーおよび、たいていは必要な洗浄剤と混合し、噴霧乾燥器内で穏やかな条件下で乾燥させる。ポリマー(例えばポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、デキストリン、デンプン、..)で被包された粒子が形成される。代替策としてゾル/ゲル方法も、石英、酸化アルミニウムなどから成る薄い層で粒子をコーティングすることができる。効果顔料技術に基づく拡散バリア層としての類似の沈殿方法も同様に使用可能である(沈殿析出)。
【0087】
例4 − 添加剤および結合剤
結合剤としては、製紙産業において通常のすべての結合剤を使用することができ、これに関し、没食子酸化合物は、アミド、好ましくはポリアミドの添加および酸性のpH値により黄変安定性になる。これに特に適切なのは、ポリアクリルアミドおよびpH値が遊離没食子酸のpH値より低いリン酸である。
【符号の説明】
【0088】
1 支持材料
2 反応物質A
3 反応物質B
4 拡散保護シェル
5 結合剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持材料が、少なくとも二種の発色性反応物質AおよびBを含む少なくとも一つのコーティング層を支持しており、前記層が、発色性反応物質Aとして水に溶けないもしくは水に溶けにくい鉄化合物を、および反応物質Bとして水に溶けないもしくは水に溶けにくい少なくとも二つの隣接するOH基を有するフェノール化合物を互いに分離させて含んでおり、両方の反応物質を物理的に分離させる生物学的に分解可能なポリマーを結合剤または安定剤として含んでおり、その際、反応物質AまたはBの少なくとも一方が100℃未満で溶融し、前記溶融体がもう一方の発色性反応物質と1秒未満の接触時間で顕色反応し、かつ両方の発色性反応物質の少なくとも一方が20μm未満のサイズの粒子として存在することを特徴とする感熱記録材料。
【請求項2】
鉄塩が、40〜120℃、好ましくは45〜80℃の融点を有し、かつベヘン酸鉄、ステアリン酸鉄、パルミチン酸鉄、ミリスチン酸鉄、ドデシル酸鉄、ステアリン酸鉄−亜鉛、モンタン酸鉄−亜鉛、ベヘン酸鉄−亜鉛、ベヘン酸鉄−カルシウム、ベヘン酸鉄−アルミニウム、およびベヘン酸鉄−マグネシウムを含む群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
【請求項3】
反応物質Bが、40〜120℃の融点を有し、水に溶けにくい有色の金属キレートを生成する芳香族のジヒドロキシ化合物またはポリヒドロキシ化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の記録材料。
【請求項4】
反応物質Bが、融点95℃の没食子酸ラウリル、融点102℃の没食子酸オクチル、融点147℃の没食子酸プロピル、融点150℃の没食子酸エチル、または融点203℃の没食子酸メチルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の記録材料。
【請求項5】
反応物質Bが、100℃未満、好ましくは80℃未満の融点を有する低融点の担持材料と共に溶液または懸濁液として存在し、好ましくは担持材料として遊離脂肪酸、特にラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、またはベヘン酸が用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の記録材料。
【請求項6】
両方の発色性反応物質が、マイクロ粉末またはナノ粉末として、完全に混ざり合って、ただし両方の粉末が直接的に接触することなく、支持材料上に適用されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の記録材料。
【請求項7】
一方または両方の発色性反応物質が、成分の拡散に対して保護シェルで取り囲まれていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の記録材料。
【請求項8】
ラウリン酸鉄および没食子酸ラウリルのマイクロ粉末が、両方の反応物質の拡散に対抗するポリマー性のまたは分散した保護化学物質と、完全に混ざり合って、結合剤、好ましくはデンプンと共に、支持材料としての紙上に適用されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の記録材料。
【請求項9】
鉄塩が、少なくとも部分的に水溶性の鉄塩と、少なくとも炭素原子10個の鎖長の長鎖脂肪酸との反応による合成によって製造され、好ましくは沈殿により、水を含む溶液から分離されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の記録材料。
【請求項10】
長鎖脂肪酸の鉄塩が単独で、またはワックス状の化合物と共に、好ましくは同様に長鎖脂肪酸もしくはその化合物と共に、20μm未満のサイズの粉末として微粉化されて存在することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の記録材料。
【請求項11】
反応物質Aが、噴霧乾燥、噴霧凝固、粉砕、または振動式または回転式の皿形噴霧器により微粉化されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の記録材料。
【請求項12】
成分の拡散に対抗する保護シェルが、両方の発色性反応物質の少なくとも一方、好ましくは両方が溶解しない親水性コーティング、好ましくは親水性ポリマー、特に好ましくはポリアクリル酸またはポリアクリルアミドまたは無機塩もしくはセラミクス、特に好ましくは石英から成ることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の記録材料。
【請求項13】
反応層が、特に湿気と熱の影響を受ける場合の灰色化または茶変色を抑制する安定剤、好ましくはpH安定剤、還元剤、および重合抑制剤、好ましくはポリアクリルアミド、および不揮発性の強酸または中酸のようなポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の記録材料。
【請求項14】
支持材料上への反応層の適用が、凹版印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、デジタル印刷、カーテンコーティング、またはロールの順回転または逆回転によるロール塗布方法のようなドクターブレードコーティング、噴霧、塗付け、浸漬コーティング、または一般に行われている印刷方法のような印刷技術、塗装技術、または製紙技術による方法により行われることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の記録材料の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2013−511416(P2013−511416A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540304(P2012−540304)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007053
【国際公開番号】WO2011/063919
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512134749)モンディ・アンコーテッド・ファイン・アンド・クラフト・ペーパー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【Fターム(参考)】