説明

感知及び通信能力を備える、磁性流体回転フィードスルー

【課題】回転フィードスルーの状態を示すことが可能な回転フィードスルーを提供する。
【解決手段】磁性流体回転フィードスルー100は、第1の環境と第2の環境との間に延在するために、軸周りに磁性流体シール160を設けように構成された多段式磁性流体回転シールと、多段式磁性流体回転シールの物理的パラメータを感知するために磁性流体回転フィードスルー内に一体的に取付けられた1つまたは複数のセンサの組み合わせと、1つまたは複数のセンサ210から1つまたは複数のセンサ出力信号を受信して、1つまたは複数のセンサ出力信号を処理し、1つまたは複数の電子処理信号を出力するために、磁性流体回転フィードスルーに取り付けられた、または、組み込まれた信号処理電子装置と、信号処理電子装置から1つまたは複数の電子処理信号を受信して、多段式磁性流体回転シールの状態を示す、電気的に接続された1つまたは複数の出力装置220とを備える。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2009年3月12日に出願された米国特許仮出願第61/159,458号の利益を主張する。
<発明の背景>
<<発明の分野>>
本発明は、一般的には、磁性流体シールの分野に関する。具体的には、本発明は、多段式磁性流体シールアセンブリに関する。より具体的には、本発明は、磁性流体回転フィードスルーに関する。
<<従来技術の説明>>
磁性流体フィードスルーは、真空システムに用いられるために開発されてきており、真空システムにおいて、磁性流体フィードスルーは、実質的に密閉されている回転シールを提供するように機能する。これらの製品は、磁性流体の閉じ込めと、磁気的に補捉されたときの圧力差に耐える能力とに依存する。真空フィードスルーは、およそ1気圧から2気圧の低圧力に耐えるように設計されており、いかなる気体も通さない。
【0002】
図1には、磁性流体フィードスルーの従来の設計が図示されている。磁性流体回転フィードスルー10には、一般的に、ハウジング12と回転軸14とが備えられ、回転軸14は、ハウジング12の外へ延出している。軸14は、透磁性を有しており、2組の段部または2組の歯部16を備える。ハウジング12は、回転フィードスルー10を真空室に取り付けるための標準規格の互換性を有する真空フランジ18を用いる従来のフィードスルーの典型である。軸14は、通常、一対の軸受20によって支持され、一対の軸受20は、磁性流体シール22の両側に配置されている。磁性流体シール22は、2つの固定された透磁性要素24で構成され、透磁性要素24は、磁極片と称される。磁極片24は、磁極片24の間に配置されている1つまたは複数の永久磁石26から磁束を伝達する。磁束は、軸14に切り込まれた連続する段部または歯部16によって、軸14にて収束される。これら段部または歯部16の形状は、長方形状であっても、あるいは、三角形状であってもよい。磁性流体または強磁性流体28は、収束された磁束内に捕捉され、段部16にて「流体Oリング」として機能する。軸14は、通常、電気モータによって回転され、電気モータは、ハウジング12の外にあっても、ハウジング12に組み込まれていてもよい。
【0003】
磁性流体または強磁性流体は、連続相における磁性粒子のコロイド懸濁液である。コロイド安定性は、好適な界面活性剤を用いることで達成される。連続相は、用途に応じて選択され、真空用途の場合、連続相は、極めて低い蒸気圧を有する油である。磁性粒子の体積分率は低く、一般的には約5〜10%である。しかしながら、周囲の界面活性剤の層により、有効体積分率は、粒子体積分率よりもはるかに大きい。
【0004】
磁力によって磁束が捕捉された場合に、流体Oリングは外圧に抵抗可能であるため、シールとして機能し得る。これらのシールは、密閉、且つ非接触であり、汚染物質を生じないので、真空室内で行われる処理にとって理想的である。軸は、通常、モータまたはほかの手段によって駆動され、回転動作は、外部から真空室の清浄な環境内へ伝達される。
【0005】
このようなフィードスルーは、1時間あたり数回転から、1分間あたり数万回転まで、良好に作動することがわかっている。圧力性能は、超高真空から数十気圧までに及ぶ。リーク速度は、1×10-11cc/秒以下の値であり、ほとんど計測できない。作動温度は、−55℃の低温から+200℃まで、あるいは、好適な保護手段を備えてさらに高温まで変動する。
【0006】
磁性流体または強磁性流体回転フィードスルーは、密閉の非汚染シールが必要な真空システム、例えば、半導体、精密光学、及び太陽電池製造に代表されるシステムにおいてよく使用される。いずれの場合でも、これらの回転フィードスルーは、高精密部品であり、精密軸受が用いられ、一体化されたモータ及びエンコーダを備えていることが多い。回転フィードスルーが一般的に用いられるシステムは、高価な資本設備であり、システム全体の予想される動作可能時間は、99%程度に高くなり得る。これらのシステムの多くは、とりわけ半導体環境にあるシステムは、人の立ち入りが制限されるクリーンルーム条件下において稼働される。
【0007】
上述の設備において良好な真空を維持することは不可欠であり、回転真空フィードスルーは極めて重要な要素と考えられている。これらのフィードスルーは信頼性に優れている一方で、依然として予防保全を必要とする。フィードスルーの完全性が損なわれ得る、過剰な温度または汚染などの状況がある。
【0008】
回転真空フィードスルーが伝達機構の不可欠な要素であり、且つ、単一の装置上で作動する数百基のこのようなフィードスルーが存在し得る太陽電池の製造の場合においては、フィードスルーの完全性に問題が生じた1つのフィードスルーを多数の中で特定するのは、しばしば困難を極める。断続的、あるいは、散発的な欠陥の場合には、フィードスルーの完全性に問題が生じた1つのフィードスルーを多数の中で特定するのは、とりわけ困難である。多くの場合、あるフィードスルーがリークしているという唯一の証拠は、製品の大気汚染が観察されて、製品が使用不能となった場合である。さらに、問題を起こす回転フィードスルーは、特定され、交換される必要があるが、200基を超える回転フィードスルーを備え、長さ100メートル程度となり得るチャンバーにおいては、その特定及び交換は、容易な作業ではない。問題を起こすフィードスルーが特定され、交換されると、当該チャンバーは再び真空化される必要があり、数日を要し得る処理によって製造に損失がもたらされる。
【0009】
そのため、より容易にメンテナンスされる回転フィードスルーが必要とされる。また、回転フィードスルーが故障しそうなときに、より容易に特定される回転フィードスルーも必要とされる。
[先行技術文献]
特許文献1:米国特許5,490,425
特許文献2:米国特許5,421,892
特許文献3:米国特許出願公開公報第2008/0211193 A1号
<発明の概要>
動的回転シールと様々な作動状態とを長時間にわたって維持するのに磁性流体回転フィードスルーが用いられる装置において、磁性流体回転フィードスルーは、重要な要素として考えられることが多い。特に、真空室内への大気ガスのいかなるリークも、製品の生産量の損失、あるいは製品の完全な破損のいずれかをもたらす製品の汚染をもたらす可能性があるので、動的回転真空シールは、極めて解決が難しい問題である。その結果、磁性流体回転フィードスルーは、認められた標準規格となっており、通常の作動状態において、これらフィードスルーは、信頼性が高く、何年間も修理することなく良好に作動する。まさに、無期限に注意を払わなくても装置が作動し続けるであろうと使用者が推測するようになるのは、これら装置の信頼性の高さによる。しかしながら、磁性流体が高真空環境に曝されることで、特に処理が高温でなされる場合に、ゆっくりとした着実な油の蒸発がもたらされることを認識しなければならない。蒸発速度は、主に、真空の程度と温度の程度とに依存し、真空の程度と温度の程度との双方によって製品の作動寿命が変化する傾向がある。しかしながら、非常に高温であっても作動する高品質の磁性流体に関して、蒸発は、何年にもわたって蒸発が生じるような極めて低い速度である。そのため、「どういう場合に」、「いつ」フィードスルーを修理するのかという決断は、とりわけ定義するのが困難である。
【0010】
フィードスルーは、とりわけ高速にて或いは高負荷にて作動するフィードスルーは、特に軸受に負荷がかかる。真空作動に適合する軸受潤滑油が従来の軸受潤滑油と比べてそれほど良好でないため、この負荷は増大する。そのため、真空環境内で軸受の故障がしばしば観察される一方で、通常は良好な品質の従来の潤滑油を差される大気側の軸受は、良好な状態に維持される。従来の潤滑油を用いている軸受の寿命を予測できるようにするための裏付けデータは数多くあるので、予防保守の周期を正確に特定することができる。しかしながら、真空環境で比較的低品質で作動する場合の負荷についての裏付けデータはわずかしかない。いかなる裏付けデータも誤差幅が大きいことに加えて、様々な作動状態において寿命が大きく変動することで、適切な保守計画を策定することは非常に困難である。
【0011】
低蒸発速度、及び軸受の寿命を決めることの困難性という上記2つの理由のために、磁性流体フィードスルーは、不必要に短い間隔で交換されたり、あるいは、故障するまで一切交換されなかったりする。極めて重要とされることが多い構成要素にとって十分な状況を示す解決策はない。フィードスルーの状態を監視して、当該状態を操作者または診断装置へ示すことができると有利である。
【0012】
そのため、本発明の1つの目的は、回転フィードスルーの状態を示すことが可能な回転フィードスルーを提供することである。また、本発明の別の1つの目的は、計画されたシャットダウンにて回転フィードスルーに必要なときにメンテナンスできるように、回転フィードスルーの状態を示すことが可能な回転フィードスルーを提供することである。本発明のさらなる目的は、複数の回転フィードスルーの中から故障を生じる可能性がある回転フィードスルーを容易に特定する手段を備える回転フィードスルーを提供することである。本発明のさらに別の1つの目的は、回転フィードスルーに起こり得る問題の事前警告を提供可能な回転フィードスルーを提供することである。本発明のさらに別のもう1つの目的は、複数のフィードスルーの中で作動している、劣化状態である問題のあるフィードスルーを特定できるようにすることである。
【0013】
本発明は、1つまたは複数の一体化されたセンサと、信号処理電子装置と、1つまたは複数の出力装置との組み合わせを有する磁性流体回転フィードスルーシステムを提供することにより、これらの目的及び他の目的を達成する。
【0014】
1つの実施形態では、磁性流体回転フィードスルーシステムは、第1の環境と第2の環境との間に延在する軸の周囲に磁性流体シールをもたらすように構成された多段式磁性流体回転シールと、1つまたは複数のセンサ、及び信号処理電子装置、及び多段式磁性流体シールの状態を定期的に監視して示すために協働する該信号処理電子装置に操作可能に接続された1つまたは複数の出力装置の組み合わせとを含んでいる。1つまたは複数のセンサは、磁性流体回転フィードスルー内に一体的に取付けられて、多段式磁性流体回転シールの1つまたは複数の構成要素についての1つまたは複数の物理的パラメータを感知する。1つまたは複数の構成要素は、磁極片と、磁石と、軸とが含まれる。信号処理電子装置は、磁性流体回転フィードスルーに取り付けられているか、または、磁性流体回転フィードスルーに組み込まれている。信号処理電子装置は、1つまたは複数のセンサから1つまたは複数のセンサ出力信号を受信して、該センサ出力信号を処理し、1つまたは複数の電子処理信号を出力する。1つまたは複数の出力装置は、信号処理電子装置から電子処理信号を受信して、多段式磁性流体シールの状態を示す。
【0015】
本発明の別の実施形態では、1つまたは複数のセンサは、圧力センサ、温度センサ、磁界センサ、振動センサ、回転速度センサ、音波センサ、トルクセンサ、化学センサ、冷却剤流速センサ、冷却剤温度センサ、及び、湿度センサを含むが、これらに限定されない。これらのセンサは、接触センサ、または、非接触センサであってもよい。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態では、1つまたは複数のセンサは、圧力、温度、磁界強度、振動、及び音響における異なる値を測定するために、フィードスルー内の異なる位置に配置された2つ以上の同一のセンサを含んでもよい。
【0017】
本発明のさらなる実施形態では、信号処理電子装置は、1つまたは複数の一体化されたセンサの1つまたは複数のセンサ信号を送信する。
本発明の別の実施形態では、センサ信号及び/または電子処理信号は、デジタル信号、アナログ信号、あるいは、デジタル信号とアナログ信号との組み合わせである。オプションとして、センサ信号及び/または電子処理信号は、送受信要素を直接的に電気的に連結することで送信されてもよいし、あるいは、当該要素を無線で連結することで送信されてもよい。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態では、信号処理電子装置は、1つまたは複数のセンサによって測定された、測定された物理的パラメータの経時変化の速度を判定するための計算回路を含んでいる。
【0019】
別の実施形態では、温度センサは、多段式磁性流体回転シールにおける1つまたは複数の構成要素の温度を感知するように構成されている。これらの構成要素は、磁極片、磁石、または軸を含むが、これらに限定されない。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態では、磁性流体回転フィードスルーの状態を判定する方法であって、磁性流体回転フィードスルーに一体的に取り付けられた1つまたは複数のセンサと、磁性流体回転フィードスルー上、あるいは、磁性流体回転フィードスルー内に取り付けられた信号処理電子装置との組み合わせを組み入れることを含む方法がある。信号処理電子装置は、センサからのセンサ信号を受信及び操作するために、該センサと電気的に連結されている。該方法は、また、信号処理電子装置から1つまたは複数の電子処理信号を受信するために信号処理電子装置と電気的に連結される、1つまたは複数の出力装置を提供し、1つまたは複数の出力装置を監視して、回転フィードスルーにおける磁性流体シールの状態を判定する。
【0021】
本発明の別の実施形態では、磁性流体回転シールの状態を判定する方法であって、1つまたは複数の別の一体的に取り付けられたセンサからのセンサ出力信号を信号処理電子装置で解釈するときに、磁性流体シールの様々な特性を表示する出力装置を監視することを含む方法がある。測定されるパラメータが所定の閾値と比較されるか、あるいは、2つ以上の類似のセンサが用いられている場合には、該2つ以上の類似のセンサにおける測定されたパラメータの差異が所定の閾値と比較される。測定されたパラメータが、許容可能な範囲外である(つまり、測定されたパラメータが閾値を超えている)場合、出力装置は、磁性流体シールの状態に関する警告信号を発行する。
【0022】
また、本発明のさらに別の実施形態では、シールが劣化状態である場合に示差測定を行うために、回転フィードスルー内の異なる位置に一体的に取り付けられた2つ以上の同一のセンサを用いる方法がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来技術の磁性流体回転フィードスルーの1つの実施形態の断面図であって、ハウジング内に配置された、軸と、磁石と、磁極片と、支持軸受と、磁性流体とを示している断面図である。
【図2】本発明の1つの実施形態の部分断面図であって、圧力センサ及び温度センサと、イーサネット接続とを有する磁性流体回転フィードスルーを示している部分断面図である。
【図3】磁性流体回転シールを示す、本発明の1つの実施形態の簡略化された側面図であって、磁性流体回転シールが該シールの磁極片上に配置された少なくとも2つの温度センサを含んでいる、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<好ましい実施形態の詳細な説明>
本発明の好ましい実施形態は、図2−3に図示されている。
図2は、本発明の磁性流体回転フィードスルー100の1つの実施形態を部分断面図で示している。回転フィードスルー100は、フィードスルーハウジング120と、フィードスルーハウジング120の外へ延出している回転軸140とを有する。軸140は、透磁性を有しており、2組の段部または2組の歯部146を備える。ハウジング120は、回転フィードスルー100を真空室に取り付けるための、互換性のある真空フランジ180を含んでいる。軸140は、一般的には、一対の軸受150に支持され、一対の軸受150は、磁性流体シール160の両側に配置されている。磁性流体シール160は、磁極片と称される、2つの固定された透磁性要素170を含んでいる。磁極片170は、磁極片170の間に配置されている1つまたは複数の永久磁石172からの磁束を伝達する。磁束は、軸140に切り込まれた連続する段部または歯部146によって、軸140で収束される。この段部または歯部160の形状は、長方形状、三角形状、台形状、角のある形状、または、他の形状あるいは様々な形状の組み合わせであってもよく、本発明において重要ではない。磁性流体または強磁性流体164は、収束された磁束内に捕捉されて、段部146にて「流体Oリング」として機能する。軸140は、通常、電気モータによって回転され、電気モータは、フィードスルーハウジング120の外にあってもよいし、フィードスルーハウジング120内に組み込まれていてもよい。本発明に特有の特徴は、1つまたは複数のセンサと、処理電子装置と、複数の出力装置との組み合わせを回転フィードスルー100内に含むことである。図2に図示された1つの実施形態では、その組み合わせは、フィードスルー状態モニター装置200である。
【0025】
フィードスルー状態モニター装置200は、フィードスルーハウジング120に接続されたモニターハウジング202と、1つ以上のセンサ210と、1つ以上の出力装置220と、(図示しない)処理電子装置とを含んでいる。1つ以上のハウジングファスナ204は、モニターハウジング202をフィードスルーハウジング120へ固定する。信号処理電子装置は、モニターハウジング202内に収容されることが好ましいが、フィードスルーハウジング120と一体化されてもよいし、あるいは、別体の電子装置ハウジングに内包されてもよい。1つ以上のセンサ210の各々は、信号処理電子装置と電気的に連結されている。信号処理電子装置もまた、1つ以上の出力装置220と電気的に連結されている。センサ210は、回転フィードスルー100の状態を反映する予め定義された様々な測定値を監視する。
【0026】
監視方法の1つは、磁極片170の間における、すなわち磁気空間173における圧力を監視する方法である。図2では、そのような圧力センサ210aが示されている。圧力センサ210aは、マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(MEMS)センサとして示されているが、簡易的なベローズ駆動型スイッチを含む、あらゆる好適な従来の圧力センサ装置を採用してもよい。MEMS装置の利点は、MEMS装置を回転フィードスルー100のハウジング120内に組み入れることが可能であるので、MEMS装置を損傷から保護可能であることである。通常の作動状態においては、磁気空間173における圧力は、約1バールである外気圧の圧力程度である。しかしながら、不測の状況によって磁気空間173の圧力が低下した場合、その圧力の低下は、真空に隣接する強磁性流体シール段部160aの完全性の欠陥を示すものであろう。
【0027】
図2に示された実施形態では、真空は、強磁性流体シール160の全体にわたって依然維持され、その真空状態を維持するために、磁石172の他方側にある第2の一組のシール段部160bが存在するので、処理が危うくなることはないであろう。
【0028】
圧縮センサ210aからの信号は、真空状態の完全性に部分的な欠陥があったことと、次の保守サイクルにてフィードスルー100を交換するのが望ましいこととを示すであろう。信号がアクティブであっても、当該信号を処理して、操作者あるいは診断装置に問題を警告する必要がある。出力装置220は、例えば、操作者に警告を与える点滅LED220aなどのように、視覚的であってもよい。しかしながら、信号を電気的な形式とすることによって、より洗練された通信方法の手段を採用することが可能である。出力装置を詳述する前に、入力装置またはセンサ210として用いることが可能なオプションを明らかにする必要がある。
【0029】
中間磁極片または磁気空間圧力センサ210aを用いることが上述されてきた。しかしながら、圧力の測定が、例えば各段部の間、または、段部の集合体の間などのような、段部160に沿ったあらゆる位置で達成されることは評価され得る。単純な圧力変化の測定に加えて、圧力変化の速度も監視可能である。圧力の簡易的な監視では「yes」信号または「no」信号を与える一方、圧力変化の速度では、漏出の深刻度及び漏出の進行速度についての深刻度が示される。好適に処理された上述の情報によって、緊急性の度合いに関して警告をランク付けすることが可能となる。圧力速度の急激な変化が、即時に対応が必要な緊急の問題があることを示唆する一方で、速度の遅い変化は、緊急性を要しない問題を示す。
【0030】
潜在的な問題のもう1つの指標は、温度である。温度は、磁極片などのような、固定された要素上で測定可能であり、温度は、例えば、熱電対、抵抗温度計、または、サーミスタといった、市販の温度測定センサの範囲内で測定可能である。このセンサの種類や特性は本発明において重要ではないが、図2では抵抗温度計210bが示されている。重要なことは、フィードスルー内の状態を測定し、その状況を解釈し、当該情報を伝達する能力である。
【0031】
圧力の測定と同様に、温度変化の速度も監視可能である。温度の測定は、軸受150の一方または両方で行うことが可能である。
ここで図3には、回転シールの部分図が図示されている。図3は、2つの温度センサを用いて温度差を測定するための1つの実施形態の一例である。軸140は、透磁性を有しており、軸140の周りに配置された2組の周状段部または歯部146を備える。軸140は、一般的には、(図示しない)一対の軸受150によって支持され、一対の軸受150は、磁性流体シール160の両側に配置されている。磁性流体シール160は、2つの固定された透磁性磁極片170を含む。磁極片170は、ボアを有し、このボアを通って、軸140が配置され、また、磁極片170は、一般的に、磁極片170の外面と、磁性流体シールを含む(図示しない)ハウジングの内面との間に、エラストマーOリング190を含んでいる。磁極片170におけるボアの寸法は、周状の段部146と磁極片170のボアにおける内面との間で、比較的小さなギャップまたは空間Gが形成されるような寸法である。磁極片170は、磁極片170の間に配置されている1つまたは複数の永久磁石172からの磁束を伝達する。磁束は、軸140に切り込まれた連続する段部または歯部146によって、軸14で収束される。この段部または歯部160の形状は、長方形状、三角形状、台形状、角のある形状、または、他の形状あるいは様々な形状の組み合わせであってもよく、本発明において重要ではない。磁性流体164は、収束された磁束内に捕捉されて、段部146にて「液体Oリング」として機能する。温度センサ310は、各磁極片170上に配置されている。
【0032】
2つの温度センサ310を用いることによって、各磁極片170の間における温度差を測定する手段が提供される。このように磁極片170の間における温度差を測定することで、磁性シールの温度を一回測定する場合よりも、より良好な磁性シールの状態の指標が提供される。磁性流体シールの温度を一回測定する場合に対して、温度差を測定することには複数の利点がある。温度差の測定を利用することで、単一の温度センサを用いて行われる温度の読み取りの解釈に影響を与え得る外的影響が無効となる傾向がある。磁性流体シールでは、磁性流体用基油の蒸発損失や、段部の破裂、磁性流体の粒子汚染、磁性流体の化学汚染等を含むが、これらの要因に限定されるものではない、様々な要因によってもたらされる、段部の損失が生じることもある。上述のいずれの状態も、磁極片と、段部の形状と、磁性流体とを含む、磁極片シール構造を劣化させてしまう。磁極片170の間における温度差を測定すれば、この劣化がより強調される。その理由は、劣化速度は、シール全体にわたって瞬時に起こるものではなく、長時間にわたって磁性流体シールを通して進行するからである。磁極片170の間における温度差を測定すれば、この劣化がより強調されるのは、とりわけ、磁性流体シールの一方の側が大気に曝され、また他方の側は処理環境に曝されているからである。つまり、いくつかの段部が劣化するにつれて、その劣化した段部を有する複数の段部と並んで配置されている磁極片の温度が、劣化した段部が全くない磁極片と比べて、作動温度が変化していくことになることを意味する。劣化した段部を有する磁極片と、劣化した段部を有さない隣の磁極片との間の差が、シール全体の状態を示す。
【0033】
示差熱を増大させるために、本発明によって意図された他のオプションは、低熱伝導率を有する磁石172に異なる磁性材料を用いることが含まれる。熱伝導率が低ければ低いほど、磁極片170の間における温度差が大きくなる。例えば、2.9W/mCのフェライトまたはセラミックフェライトは、示差熱の増大について有利な特徴をもたらすであろう。本発明によって意図された、さらにもう1つのオプションは、磁極片と、あるいは、同じ磁性流体を用いるがそれぞれの磁極片が異なる磁化飽和を有しているものと、のいずれかに、異なる磁性流体を用いること、または、同一の磁極片内にある段部のいくつかに異なる磁性流体を用いることである。本発明によって意図されたさらに別のオプションは、磁極片170と磁石172との間に、比較的薄い(<厚さ1.0mm)絶縁シムまたは絶縁層を含むことである。このシム及び/または層は、断熱層として機能し、磁石172と磁極片170との間の熱伝導を低減させて、温度差を再度増大させる。
【0034】
フィードスルー100において用いられる磁石172は、アルニコ磁石である。しかしながら、空間と費用とを抑えることができる、いわゆるレアアース磁石を使用することが多くなっている。残念ながら、このような磁石は、最大作動温度がより低く、もし過剰に加熱されると不可逆的に消磁され得る。そのため、例えばホール効果装置などのような、何らかの磁性センサによって磁石を監視できるであろう。
【0035】
特に高速における磁性流体フィードスルー100の特性とは、せん断された磁性流体164において生じた熱が、固定された磁極片170、あるいは回転軸140のいずれかに伝達されることである。液体の冷却剤(通常、水が使用される)を用いて磁極片170から熱を取り除くことは、比較的簡単である一方、回転軸140から熱を取り除くのはあまり簡単ではない。したがって、軸140は冷却されないままであることが多い。軸140が冷却されないことによって、軸140が、磁極片170よりも非常に高い温度となることが多い。流体164をせん断する処理が熱の発生源である場合には、軸140の温度を測定することによって、磁極片170の測定よりも、流体温度のより近い近似値がもたらされる。理想的には、回転軸と固定された磁極片との間の間隙内における磁性流体の温度を測定することが好ましい。しかしながら、この間隙が非常に小さく、一般的には50−150ミクロンであるため、回転軸と固定された磁極片との間の間隙内における磁性流体の温度を測定するのは困難であるので、軸の温度を測定することが、実現可能な代替案である。回転軸140の温度を測定する最も簡単な方法は、赤外線検出器を用いることである。ここでも、磁極片の温度を測定するのと同様に、温度変化の速度を測定及び監視してもよい。
【0036】
上述のように、真空処理において用いられる軸受潤滑油には問題がある。この潤滑油の劣化は、早期に軸受の欠陥を引き起こすので、潜在的な問題である。軸受150の状態を監視することは、起こり得る潜在的な問題を明らかにする実施可能な方法である。軸受の監視は、2つの可能な方法で容易に実施され得る。つまり、(1)加速度計を用いて、軸受150の振動スペクトルを監視し、変化を通知すること、及び(2)例えば、当該構成に取り付けられた圧電センサを聴覚的に用いて、音波を監視することである。好適に増幅され、フィルタされ、及び処理された適切な信号を発生させて、軸受状態の変化を表すのに、あらゆる方法が用いられる。
【0037】
フィードスルー100の状態が劣化することに関連する問題の多くは、フィードスルー100を回転させるのに必要なトルクが増大することによって明らかとなる。上述のように、界面活性剤は、体積分率がわずかに変化することで粘度の著しい増加をもたらすようになる「体積分率に対する粘度」曲線上の一点で、磁性流体が作動する傾向があることを意味する。そのため、強磁性流体164における油の蒸発に起因して長期的な変化が起こると、体積分率の上昇及び粘度の増大がもたらされる。強磁性流体164における油の蒸発に起因して長期的な変化が起こると、体積分率の上昇及び粘度の増大がもたらされることは、動トルクにおける変化と、及び/または、磁性流体164の温度上昇とのいずれかによって、明らかとなる。動トルクにおける変化、及び磁性流体164の温度上昇は極めて重大となり得る。よくあることではないが、真空室を準備するのに用いられる洗浄溶剤から引き起こされることも多い液体汚染によって、体積分率が減少し、その結果、粘度が減少し、トルクが低減し得る可能性がある。
【0038】
同様に、機械的な劣化あるいは潤滑油の劣化のいずれかによって、軸受150が劣化すると、動トルク及び生じる熱に変化が生じるようになる。その結果、トルクを総合的に測定することは、特に温度測定を併用することで、有用な診断ツールである。好ましいセンサは、表面弾性波技術、光学技術、あるいは、歪みゲージ技術を用いる、非接触式トルク変換器である。従来のトルク測定装置を使用することも利用可能であるが、従来のトルク測定装置は、動トルクの測定を複雑かつ費用のかかる処理とする固定されている要素を必要とする。さらに、回転速度センサが、フィードスルー100と一体化されていてもよいことがわかる。これらのセンサからのデータは、フィードスルー100を回転させるための動力を得るのに用いられ得る。フィードスルー100の状態を評価するために得られたもう1つの変数は、トルク及び/または動力における変化の速度である。
【0039】
高速で及び/または高温で使用されるフィードスルーの多くは、通常、水を用いて冷却される。そのため、診断ツールとして、上述の得られる変数を、水の流速、温度、温度上昇、及びこれら変数の変化の速度として用いてもよい。
【0040】
水で冷却されたフィードスルー100は、水をシールするために、磁極片170上の(図示しない)固定されたOリングを用いる。磁極片170は、透磁性である必要があり、一般的に用いられるステンレス鋼は、腐食に対して良好であるが、非磁性の部材よりも損傷を受ける。そのため、湿度センサを設けることで、Oリングのあらゆる漏水が検知可能となる。
【0041】
磁性流体フィードスルー100の全てが、真空用途に用いられるわけではない。ガスや化学物質のいかなる漏出も重大な影響を引き起こし得るため、ガスや化学物質が密閉される必要がある圧力用途に用いられるものもある。一般的な用途は、(1)爆発するリスクのある減菌器、あるいは、(2)いかなる薬剤からも逸脱されるべき操作者にとって、致命的なリスクが起こりうる、薬品処理設備である。フィードスルー100内に好適なセンサを組み込むこと、及び当該センサを通信装置とリンクさせることによって、周囲の環境に漏出が起こる前に、起こる可能性がある危険な漏出を検出することが可能となる。
【0042】
フィードスルー100内で測定可能な、考えられ得る変数を特定したことで、当該変数を処理するための好適な電子装置を組み入れることが可能となり、より多くの有益なデータを得ることが可能となる。速度を測定して、回転の総数を評価することが可能である。タイマを組み込むことによって、経過時間及び全稼働時間を評価することが可能である。上述のように、速度及びトルクから、動力が計算され得る。
【0043】
これらの変数を得て、該変数を処理するために、該変数を外部に通信することが必要となる。次の3つの状況が定義されることになろう:
1.ローカル。任意のインジケ−タがフィードスルー100の近傍にあることを意味する。当該インジケータは視覚的であってもよく、例えば、図2において参照番号220aで示されているLED、計器、あるいは、例えば、音響器、ブザーあるいはサイレンなどの音声装置である。
2.リモート。フィードスルー100から離れるが、装置内に保持されるか、あるいは、操作者の周辺環境または作動中の設備または作動中のコンピュータ内に保持されて、信号がデジタル形式あるいはアナログ形式のいずれかで送信される。
3.グローバル。フィードスルー100から離れ、かつ、直近の装置環境の外において、信号がデジタル形式あるいはアナログ形式のいずれかで送信されることを意味する。通常、ネットワーク、または、フィールドバスが想定される。イーサネット系システムは、ウェブサーバや他のネットワークサービスを組み入れていてもよい。他のネットワークサービスは、「フォン・ホーム」システム、電子メールシステム、及び単純なネットワークマネジメントプロトコルシステムを含む。フィールドバスシステムは、関連するバスシステムに必要とされる送受信機を含むであろう。リモートまたはグローバル信号送信システムは、適切なテレメトリーシステムまたは無線通信システムを用いることにより達成することも可能である。このようなシステムもまた、本発明によって意図される。
【0044】
一体化された電子装置に動力を提供する必要がある場合には、様々な動力源が用いられ得る。そのような動力源としては、バッテリなどのような一体化されたエネルギー源や、回転からまたは熱電モジュールの使用で生じる熱かのいずれかによる動力生成、あるいは、データ接続と共に動力を供給するシステムによるものなどを含む。データ接続と共に動力を供給するシステムは、例えば、パワー・オーバー・イーサネット(POE)システムや、他のシグナルバスから動力を得る(「寄生動力」)システムである。
【0045】
[0054]本発明は多くの利点を有する。これらの利点には、フィードスルーの遠隔監視、予定されたシャットダウンでのフィードスルーのメンテナンスを可能とするために回転フィードスルーの状態の早期警告、回転フィードスルーについての潜在的な問題の事前警告あるいは複数のフィードスルーを備えるシステムにおける潜在的な問題の位置を特定する事前警告、費用効果が高いフィードスルーの保守、フィードスルーを使用する処理の信頼性の向上が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
本明細書において、本発明の好ましい実施形態が説明されてきたが、上述の説明は単なる例示である。当該技術分野の当業者は、本明細書に開示された本発明のさらなる改良に気付くであろうし、そのような改良はすべて、添付の請求項に定義されているような本発明の範囲内であるとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性流体回転フィードスルーシステムであって、
第1の環境と第2の環境との間に延在するために軸周りに磁性流体シールをもたらすように構成された多段式磁性流体回転シールと、
前記磁性流体回転フィードスルー内に一体的に取り付けられ、前記多段式磁性流体回転シールの物理的パラメータを感知する、1つまたは複数のセンサの組み合わせと、
前記磁性流体回転フィードスルーに取り付けられ、または、前記磁性流体回転フィードスルーに組み込まれ、前記1つまたは複数のセンサから1つまたは複数のセンサ出力信号を受信して、前記1つまたは複数のセンサ出力信号を処理し、1つまたは複数の電子処理信号を出力する信号処理電子装置と、
操作可能に接続されて、前記信号処理電子装置から前記1つまたは複数の電子処理信号を受信し、前記多段式磁性流体回転シールの状態を示す、1つまたは複数の出力装置と
を備えるシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記1つまたは複数のセンサは、圧力センサ、温度センサ、磁性流体センサ、振動センサ、回転速度センサ、音波センサ、トルクセンサ、化学センサ、冷却剤流速センサ、冷却剤温度センサ、及び、湿度が含まれる
ことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステムであって、
前記1つまたは複数の出力センサ信号は、デジタル信号、アナログ信号、あるいは、デジタル信号とアナログ信号との組み合わせである
ことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載のシステムであって、
前記1つまたは複数の電子処理信号は、デジタル信号、アナログ信号、あるいは、デジタル信号とアナログ信号との組み合わせである
ことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載のシステムであって、
前記信号処理電子装置は、圧力、温度、磁界強度、振動、回転速度、音響、トルク、化学物質、冷却剤流、冷却剤温度、及び、湿度を測定するための、回路モジュールを含む
ことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載のシステムであって、
2つ以上の同一のセンサであって、前記回転フィードスルーにおける異なる位置に一体的に取り付けられて、前記同一のセンサ間において示差測定の比較が可能である、2つ以上の同一のセンサをさらに備えるシステム。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載のシステムであって、
前記信号処理電子装置は、測定された物理的パラメータにおける、経時的変化の割合を測定するための計算回路を有している
ことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項2に記載のシステムであって、
前記温度センサは、前記多段式磁性流体回転シールにおける、磁極片、磁石、及び軸で構成される群から選択された1つまたは複数の構成要素の温度を感知するように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、
前記1つまたは複数のセンサは、接触センサ、または非接触センサである
ことを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載のシステムであって、
前記1つまたは複数の出力装置は、前記信号処理電子装置に直接的に電気的に連結されているか、あるいは、前記信号処理電子装置に無線で連結されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
磁性流体回転フィードスルーの状態を判定する方法であって、
該方法は、
前記磁性流体回転フィードスルーに一体的に取り付けられた1つまたは複数のセンサと、前記磁性流体回転フィードスルー上に、あるいは前記磁性流体回転フィードスルー内に取り付けられた信号処理電子装置との組み合わせを組み入れる工程であって、前記信号処理電子装置は、前記1つまたは複数のセンサから1つまたは複数のセンサ信号を受信及び操作するために、前記1つまたは複数のセンサと電気的に連結されている、工程と、
前記信号処理電子装置から1つまたは複数の電子処理信号を受信するために、前記信号処理電子装置と電気的に連結されている1つまたは複数の出力装置を設ける工程と、
前記回転フィードスルーにおける磁性流体シールの状態を判定するために、前記1つまたは複数の出力装置を監視する工程と、
を含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記組み入れる工程は、圧力センサ、温度センサ、磁界センサ、振動センサ、回転速度センサ、音波センサ、トルクセンサ、化学センサ、冷却剤流速センサ、冷却剤温度センサ、及び、湿度で構成される群から選択された1つまたは複数のセンサを組み入れることを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の方法であって、
前記組み入れる工程は、2つ以上の類似のセンサであって、該2つ以上の類似のセンサからの信号間における差を監視するために、各々が前記回転フィードスルー内の異なる位置にある2つ以上の類似のセンサを組み入れることを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
磁性流体回転フィードスルーの状態を判定する方法であって、
該方法は、
磁性流体回転フィードスルーに一体的に取り付けられた1つまたは複数のセンサと、該磁性流体回転フィードスルー上に、あるいは該磁性流体回転フィードスルー内に取り付けられ、かつ、前記1つまたは複数のセンサと電気的に連結された信号処理電子装置と、該磁性流体回転フィードスルー内における磁性流体シールの状態を示すために、前記信号処理電子装置と電気的に連結された1つまたは複数の出力装置とを該磁性流体回転フィードスルーに設ける工程と、
圧力、温度、磁界強度、振動、回転速度、音響、トルク、化学物質、冷却剤流、冷却剤温度、または湿度を含む、1つまたは複数のセンサパラメータを測定する工程と、
前記測定する工程の結果から前記回転フィードスルーの前記磁性流体シールの状態を判定する工程と
を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記測定する工程における前記1つまたは複数のパラメータを閾値と比較することと、
前記1つまたは複数のパラメータが前記閾値を超えている場合に、警告信号を発行することとをさらに含む方法。
【請求項16】
請求項14または15に記載の方法であって、
前記組み入れる工程は、2つ以上の類似のセンサであって、該2つ以上の類似のセンサからの前記測定パラメータの信号間における差を監視するために、各々が前記回転フィードスルー内の異なる位置にある、2つ以上の類似のセンサを組み入れることを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記1つまたは複数の類似のセンサの信号差を閾値と比較することと、
前記差が前記閾値を超えている場合に、警告信号を発行することとをさらに含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−255845(P2010−255845A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−56126(P2010−56126)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(510070108)フェローテック(ユーケー)リミテッド (1)
【Fターム(参考)】