説明

慢性創傷の分類および予後のための方法およびキット

【課題】非治癒性または治癒性の慢性哺乳動物創傷組織を同定するための、または慢性哺乳動物創傷組織の予後を決定するための方法およびキットを提供する。
【解決手段】(a)以下の分子マーカーARP2、CREB1l、VEGF−C、ソリアシン、IL22R、TEM4、IL8RB、IL17BR、クローディン−5、KAI1、PTPRK、CAR1、エンドムチン−2、およびTEM7Rをコードする遺伝子の発現レベルを決定するために個体由来の創傷組織の試料を調べる段階、および(b)全ての以下の遺伝子:ソリアシン、クローディン−5、IL8RB、IL22R、PTPRK、TEM4、TEM7R、VEGF−C、ARP2、およびCAR1が発現レベルの増加を示す場合、(c)組織試料が採取された個体が異常な、または非治癒性の慢性創傷を有すると結論づける段階、を含む、異常な、または非治癒性の慢性哺乳動物創傷組織を同定するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物の、特にヒトの、慢性創傷の分類および予後のための方法およびキット(そのパーツを含む)に関する。より具体的には、方法は、「異常な、または非治癒性の」慢性創傷と治癒性慢性創傷を区別することを可能にする1つまたは複数の遺伝子発現パターンを同定する段階を含む。有利には、前記遺伝子発現パターンは、処置の選択における詳細な情報を得た上での決定および所定の治療の使用後の転帰の予測を可能にする。さらに、本発明は、創傷治療に用いる新しい標的を同定する。
【背景技術】
【0002】
どのような形にせよ、非治癒性創傷、または慢性の治癒不良の創傷は、英国医療制度への大きな負担になっている。さらに、EUのある特定の加盟国においては、創傷治癒に関する医療費は、すでに、健康管理財源の高額な出費の第3位に近づきつつある。
【0003】
慢性足部潰瘍は、糖尿病の主な合併症であり、糖尿病を含む全ての入院の25%までを占めており、毎年、英国国民健康保険に£2億5000万の費用がかかっている。慢性足部潰瘍は、実質的な病的状態を引き起こし、生活の質を損ない、下肢切断の主な原因である。足部ケアへの注意深い配慮にも関わらず、25%もの糖尿病患者が生存期間中に足部潰瘍を発症する。下肢潰瘍の原因は、糖尿病において、非糖尿病と同じであり、すなわち、神経障害、虚血、および外傷である。しかしながら、この「3病因」は、創傷を感染させる素因となり、その感染もまた、創傷の非治癒性の一因となり得る。
【0004】
現在の処置は、その領域から圧力を除去すること、デブリードマン、創傷包帯、および感染の管理を含む:より進行した疾患において外科的切除および血管再構築が必要とされる場合があり、最終的には切断術を必要とすることもある。
【0005】
糖尿病における下肢潰瘍に加えて、もう1つの主な財源の医療経費は、例えば、日常的な看護または医療的ケアの提供を怠ったことに起因する、圧力創傷または褥瘡によって生じる。英国において、412,000人の人々が毎年、この種の創傷に罹患し、£14億〜21億の費用がかかっている。
【0006】
創傷の治癒は、様々な数の細胞型を含む複雑な生物学的プロセス、細胞と組織の間の複雑な相互作用、免疫系の活性化、および血管新生プロセスの活性化によって制御されている。
【0007】
典型的な治癒過程は、以下の5つの別々だが、密接に関係した段階に分けることができる:凝固段階、急性炎症段階、マトリックス沈着段階、毛細血管形成段階、および再上皮化段階。様々な数の因子がこれらの段階のそれぞれを制御する。過程のいずれかの局面に欠陥があると、不完全な創傷治癒を生じる可能性がある。したがって、「正常な」治癒過程は、内因子または外因子のいずれかの結果として不完全となる可能性があり、それは、「異常な非治癒性」または「慢性」創傷として顕在化する。それが、患者の生活の質にとって最大の難題となり、医療制度に費用の増大を課すこれらの「非治癒性」または慢性創傷である。
【0008】
いくつかの一般的な臨床学的/病理学的因子は、創傷が「治癒性」であるか「非治癒性」であるか、または急性創傷が慢性になるかどうかを予断するのに役立ち得るが、創傷の種類を区別する特定の臨床検査はない。加えて、治癒過程および創傷ケアにおける処置に対する患者の起こる可能性が高い応答を予測する方法を定義する明確な手段はない。
【0009】
したがって、本発明者らは、実施するのが比較的簡単で、着手するのに効率的で、処置前または処置中に創傷の起こる可能性が高い転帰の正確な指標を提供する、所定の創傷の予後を決定するための方法を開発した。本発明者らの方法は、急性創傷と慢性創傷と非治癒性創傷を区別し、したがって、特に、所定の創傷のための処置の選択に関連し、特に、所定の創傷の処置後に起こる可能性の高い転帰の決定において正確である、少数だが非常に代表的なマーカーの試料を用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
要約すれば、本発明者らは、所定の創傷の予後を決定することに関連している複数の分子マーカーを同定した。集合的に、これらのマーカーは少なくとも1つの分子シグネチャーを構成し、患者由来の創傷組織におけるこれらのマーカーの発現は、所定の創傷の種類および予後を示す遺伝子発現パターンを構成する。これに加えて、本発明者らは、創傷の種類および予後の最良の指標であるマーカー、換言すれば、分子シグネチャーの予測能力に最も寄与するマーカーを同定するために前記分子シグネチャーを分析した。このマーカーのサブセットは、集合的に、精密分子シグネチャーとして知られており、これらのマーカーの発現は、精密遺伝子発現パターンを構成する。
【0011】
加えて、本発明者らは、この精密分子シグネチャーを調べて、それが創傷治癒のさらに満足のいく指標を提供するために用いることができる遺伝子のサブセットを含むかどうかを決定した。このマーカーのサブセットは、集合的に、超精密分子シグネチャーとして知られており、これらのマーカーの発現は、超精密遺伝子発現パターンを構成する。
【0012】
本明細書におけるマーカーという用語への言及は、完全なアイデンティティがwww.NCBI.LM.NIH.govデータベースで入手可能である1つの名前の付いた遺伝子への言及であり、または当業者によく知られており、付録−1を参照されたい。
【0013】
本明細書に記載された分子シグネチャーの解明は、第1に、34個の創傷組織の試料および110個の遺伝子の分子マーカー、ならびに、第2に、確証研究が実施されている場合71個の創傷組織の試料の、系統的かつ入念な調査、ならびに本明細書に記載されたマーカーの使用を含んでいる。
【0014】
しかしながら、この困難な課題を完了して、本発明者らは、驚くべきことに、実は、所定の創傷組織の試料についての正確な分類および予後を提供するために、ごく少数の遺伝子しか調べる必要がないことを見出した。さらにより驚くべきことに、本発明者らは、本発明者らの分子シグネチャーの予測能力に最も寄与する分子マーカーを同定することによってこの数をさらに減らすことができ、例えば、わずか25個、より理想的には14個、さらにより理想的にはわずか4個の遺伝子しか調べる必要がない。これは、本発明者らの方法が、すぐに適用でき、臨床状況において迅速かつ日常的に実施できることを意味する。実際、本発明者らは、本発明者らの方法が、関連臨床医が初期段階で、特定の創傷の分類および転帰を決定し、それに従って処置を適合させることができるように、創傷ケアの標準処置計画の一部を形成することを提言している。したがって、例えば、「異常な、または非治癒性」の慢性創傷を示すシグネチャーを提示する個体の症例において、治癒性の慢性創傷を示す患者の処置と異なる形態の処置を処方することになるであろう。それゆえに、本発明者らの方法は、個体がその創傷状態に合わせた処置を受けることを保証するのに役立つだけでなく、積極的治療が、それが必要である症例においてのみ処方されることを保証することによって、処置中の患者の生活の質を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下の本発明の記述において、本発明者らは、14個の遺伝子の精密遺伝子シグネチャーを用いて異常な、または非治癒性の慢性哺乳動物創傷組織を同定するための方法を提供している。
【0016】
したがって、本発明の一態様において、以下の段階を含む、異常な、または非治癒性の慢性哺乳動物創傷組織を同定するための方法が提供される:
(a)以下の分子マーカーARP2、CREB1l、VEGF−C、ソリアシン(Psoriasin)、IL22R、TEM4、IL8RB、IL17BR、クローディン−5(Claudin−5)、KAI1、PTPRK、CAR1、エンドムチン−2(Endomuscin−2)、およびTEM7Rをコードする遺伝子の発現レベルを決定するために個体由来の創傷組織の試料を調べる段階、および
(b)全ての以下の遺伝子:ソリアシン、クローディン−5、IL8RB、IL22R、PTPRK、TEM4、TEM7R、VEGF−C、ARP2、およびCAR1が発現レベルの増加を示す場合、
(c)組織試料が採取された個体が異常な、または非治癒性の慢性創傷を有すると結論づける段階。
【0017】
本発明のなおさらなる好ましい方法において、追加の研究が着手されて以下のマーカー:エンドムチン−2、IL17BR、KaI1、およびCREB11のいずれか1つまたは複数が減少した、または正常な発現レベルを示すかどうかを決定し、
これが事実である場合、組織試料が採取された個体が非治癒性の慢性創傷を有すると結論づける。
【0018】
理想的には、前記の創傷組織の試料は慢性創傷由来である。
【0019】
本発明の第2の態様において、以下の段階を含む、治癒性の慢性哺乳動物創傷組織を同定するための方法が提供される:
(a)以下の分子マーカーARP2、CREB1l、VEGF−C、ソリアシン、IL22R、TEM4、IL8RB、IL17BR、クローディン−5、KAI1、PTPRK、CAR1、エンドムチン−2、およびTEM7Rをコードする遺伝子の発現レベルを決定するために個体由来の創傷組織の試料を調べる段階、および
(b)全ての以下の遺伝子:CREB1l、IL17BR、KAI1、およびエンドムチン−2が発現レベルの減少を示す場合、
(c)組織試料が採取された個体が治癒性の慢性創傷を有すると結論づける段階。
【0020】
本発明のなおさらなる好ましい方法において、追加の研究が着手されて以下のマーカー、ソリアシン、クローディン−5、IL8RB、IL22R、PTPRK、TEM4、TEM7R、VEGF−C、ARP2、およびCAR1のいずれか1つまたは複数が増加した、または正常な発現レベルを示すかどうかを決定し、これが事実である場合、試料が採取された個体が治癒性の慢性創傷を有すると結論づける。
【0021】
理想的には、前記の創傷組織の試料は慢性創傷由来である。
【0022】
本発明の以下の記述において、本発明者らは、4個の遺伝子の超精密遺伝子シグネチャーを用いて、異常な、または非治癒性の慢性哺乳動物創傷組織を同定するための方法を提供している。しかしながら、当業者は、14個の遺伝子の精密遺伝子シグネチャーおよび4個の遺伝子の超精密遺伝子シグネチャーの両方を同時に、または連続して用いてもよいことを認識しているように、実際、14個の遺伝子の精密遺伝子シグネチャーが用いられる場合、これは、その中に超精密遺伝子シグネチャーを含み、それゆえに、事実上、両方のシグネチャーが同時に用いられているが、4個の遺伝子の超精密シグネチャーが用いられる場合、これは、14個の遺伝子の精密遺伝子シグネチャーと分離して用いられてもよく、またはその後に14個の遺伝子の精密遺伝子シグネチャーが続いてもよい。
【0023】
したがって、本発明の別の態様において、以下の段階を含む、異常な、または非治癒性の慢性哺乳動物創傷組織を同定するための方法が提供される:
(a)以下の分子マーカーARP2、CREB1l、PTPRK、およびTEM7Rをコードする遺伝子の発現レベルを決定するために個体由来の創傷組織の試料を調べる段階、および
(b)全ての以下の遺伝子:PTPRK、TEM7R、およびARP2が発現レベルの増加を示す場合、
(c)組織試料が採取された個体が異常な、または非治癒性の慢性創傷を有すると結論づける段階。
【0024】
本発明のなおさらなる好ましい方法において、追加の研究が着手されて以下のマーカー:CREB11が減少した、または正常な発現レベルを示すかどうかを決定し、
これが事実である場合、組織試料が採取された個体が非治癒性の慢性創傷を有すると結論づける。
【0025】
理想的には、前記の創傷組織の試料は慢性創傷由来である。
【0026】
本発明の上記方法のそれぞれにおいて、理想的には、アッセイはヒト組織を用いて着手される。
【0027】
本発明の上記方法のそれぞれにおいて、理想的には、調べられる組織の試料は、RNAの存在、好ましくは全RNA、さらにより好ましくはmRNAの量についてアッセイされる。RNA含有量を測定するために利用可能な技術はよく知られており、実際、臨床診断分野の当業者によって日常的に実施されていることは当業者にとって明らかであろう。そのような技術は、cDNAを生じるためのRNAの逆転写、および任意の増幅段階、続いてcDNAまたはその産物の検出を含み得る。
【0028】
本発明の代替の実施形態において、方法は、前記分子マーカーのそれぞれによってコードされるタンパク質についてアッセイする段階を含み、それゆえ、排他的ではないが典型的には、関連したタンパク質に結合し、それゆえ、それを同定する作用物質の使用を含む。一般的な作用物質は抗体であり、最も理想的には、有利には適切なタグで標識されており、それによって、結合した抗体の存在を決定することができる、モノクローナル抗体である。タンパク質を同定するためのアッセイ技術は当業者によく知られており、実際、臨床診断分野の従事者によって毎日用いられている。そのようなアッセイ技術は、本発明を利用するために熟練従事者によって適用されてもよい。
【0029】
本発明を行うさらなる好ましい方法において、所定の分子マーカーの発現レベルは、対照試料内の参照遺伝子(GAPDHなどであるが、それに限定されない)を考慮して、決定され、対照試料は正常組織、理想的には正常な皮膚組織、さらにより理想的には、創傷組織と同じ肢または領域から採取された正常な組織の試料である。したがって、発現の増加は、それぞれの組織におけるGAPDHの発現を考慮した、選択された遺伝子の発現の増加を指す。逆に、発現の減少は、それぞれの組織におけるGAPDHの発現を考慮した、選択された遺伝子の発現の減少を指す。代替として、所定の分子マーカーの発現レベルは、参照遺伝子を考慮して、決定され、参照遺伝子は対照試料内の同じ遺伝子または別の選択された遺伝子(ハウスキーピング遺伝子など)であってもよく、対照試料は、理想的には、調べられる創傷組織と同じ肢または領域由来の、既知の非治癒性の慢性または急性創傷組織の試料である。さらに代替として、所定の分子マーカーの発現レベルは、内部標準を考慮して、決定され、既知量の参照遺伝子を発現するプラスミドなどの遺伝子構築物が用いられる。やはり代替として、前記対照は、健康な個体におけるそれぞれの関連した遺伝子の発現についての認められた標準である。
【0030】
すべての場合において、正常な、増加したまたは減少した発現は、5%以下のレベルで統計学的に関連していた。
【0031】
本発明の代替の実施形態において、遺伝子発現のレベルは、Jiangら、2003aおよび2004、Jiang WG、Watkins G、Lane J、Douglas−Jones A、Cunnick GH、Mokbel M、Mansel RE、Prognostic value of Rho familty and and rho−GDIs in breast cancer.Clinical Cancer Research、2003a、9、6432〜6440;Jiang WG、Watkins G、Fodstad O、Douglas−Jones A、Mokbel K、Mansel RE.Differential expression of the CCN family members Cyr61 from CTGF and Nov in human breast cancer. Endocrine Related Cancers、2004、11:781〜791に開示された方法を用いるリアルタイム定量的PCRによって測定してもよい。
【0032】
本発明のなおさらなる態様によれば、以下を含む、前述の方法のいずれか1つまたは複数を実施するためのキットが提供される:
(a)全ての以下の分子マーカーARP2、CREB1l、VEGF−C、ソリアシン、IL22R、TEM4、IL8RB、IL17BR、クローディン−5、KAI1、PTPRK、CAR1、エンドムチン−2、およびTEM7Rの発現レベルを検出および定量化するためのプローブに限定された複数のプローブ、ならびに
(b)任意選択で、前記プローブの使用に関連した試薬および使用説明書。
【0033】
本発明のなおさらなる態様によれば、以下を含む、前述の方法のいずれか1つまたは複数を実施するためのキットが提供される:
(a)全ての以下の分子マーカーARP2、VEGF−C、ソリアシン、IL22R、TEM4、IL8RB、クローディン−5、PTPRK、CAR1、およびTEM7Rの発現レベルを検出および定量化するためのプローブに限定された複数のプローブ、および
(b)任意選択で、前記プローブの使用に関連した試薬および使用説明書。
【0034】
本発明のなおさらなる態様によれば、以下を含む、前述の方法のいずれか1つまたは複数を実施するためのキットが提供される:
(a)全ての以下の分子マーカーCREB1l、IL17BR、KAI1、およびエンドムチン−2の発現レベルを検出および定量化するためのプローブに限定された複数のプローブ、および
(b)任意選択で、前記プローブの使用に関連した試薬および使用説明書。
【0035】
本発明のなおさらなる態様によれば、以下を含む、前述の方法のいずれか1つまたは複数を実施するためのキットが提供される:
(a)全ての以下の分子マーカーARP2、CREB1l、PTPRK、およびTEM7Rの発現レベルを検出および定量化するためのプローブに限定された複数のプローブ、および
(b)任意選択で、前記プローブの使用に関連した試薬および使用説明書。
【0036】
本発明のなおさらなる好ましい態様において、以下を含む、哺乳動物創傷組織の予後を決定するためのキットが提供される:
(a)以下の遺伝子ARP2、CREB1l、VEGF−C、ソリアシン、IL22R、TEM4、IL8RB、IL17BR、クローディン−5、KAI1、PTPRK、CAR1、エンドムチン−2、およびTEM7Rのそれぞれの少なくとも1つの転写産物またはポリペプチド/タンパク質の発現レベルを検出および定量化するためのプローブに限定された複数のプローブ、および
(b)任意選択で、前記プローブの使用に関連した試薬および使用説明書。
【0037】
本発明のなおさらなる好ましい態様において、以下を含む、哺乳動物創傷組織の予後を決定するためのキットが提供される:
(a)以下の遺伝子ARP2、VEGF−C、ソリアシン、IL22R、TEM4、IL8RB、クローディン−5、PTPRK、CAR1、およびTEM7Rのそれぞれの少なくとも1つの転写産物またはポリペプチド/タンパク質の発現レベルを検出および定量化するためのプローブに限定された複数のプローブ、および
(b)任意選択で、前記プローブの使用に関連した試薬および使用説明書。
【0038】
本発明のなおさらなる好ましい態様において、以下を含む、哺乳動物創傷組織の予後を決定するためのキットが提供される:
(a)以下の遺伝子CREB1l、IL17BR、KAI1、およびエンドムチン−2のそれぞれの少なくとも1つの転写産物またはポリペプチド/タンパク質の発現レベルを検出および定量化するためのプローブに限定された複数のプローブ、および
(b)任意選択で、前記プローブの使用に関連した試薬および使用説明書。
【0039】
本発明のなおさらなる好ましい態様において、以下を含む、哺乳動物創傷組織の予後を決定するためのキットが提供される:
(a)以下の遺伝子ARP2、CREB1l、PTPRK、およびTEM7Rのそれぞれの少なくとも1つの転写産物またはポリペプチド/タンパク質の発現レベルを検出および定量化するためのプローブに限定された複数のプローブ、および
(b)任意選択で、前記プローブの使用に関連した試薬および使用説明書。
【0040】
理想的には、上記の態様のそれぞれにおいて、使用説明書は、前記遺伝子のそれぞれについての発現レベルを決定する方法を示す。
【0041】
本発明のなおさらなる実施形態において、前記キットは追加として、以下を含む:
(a)表1に特定されているが、表2に示されていない全ての分子マーカーの発現レベルを検出および定量化するためのプローブに限定された複数のプローブ、および
(b)任意選択で、前記プローブの使用に関連した試薬および使用説明書。
【0042】
本発明のなおさらなる実施形態において、前記キットは追加として、以下を含む:
(a)表1に示されているが、表2に示されていない少なくとも1つの遺伝子の少なくとも1つの転写産物またはポリペプチド/タンパク質の発現レベルを同定および定量化するためのプローブに限定された複数のプローブ、および
(b)任意選択で、前記プローブの使用に関連した試薬および使用説明書。
【0043】
理想的には、使用説明書は、前記遺伝子のそれぞれについての発現レベルを決定する方法を示す。
【0044】
本発明のさらなる態様において、前述の分子マーカーセットを同定するための前述のプローブセットの任意の選択された組合せを含むキットが提供される。
【0045】
本発明のなおさらなる態様によれば、前述の分子マーカーのいずれか1つまたは複数の発現を同定するための前述のプローブセットのいずれか1つまたは複数を含むマイクロアレイが提供される。
【0046】
本発明の別の態様において、以下を含む、患者における創傷の種類を決定するためのキットが提供される:
(a)上記方法に記載された分子マーカーの少なくとも1セットを同定するためのプローブに限定された複数のプローブを含む少なくとも1つのマイクロアレイ、および任意選択で、
(b)前記マーカーの正常な発現レベルを表す内部標準において同じ分子マーカーセットを同定するためのプローブに限定された複数のプローブを含む第2のマイクロアレイ。
【0047】
本発明はまた、上記のプローブセットを提供する。
【0048】
本発明のさらなる態様によれば、創傷組織が非治癒性の慢性創傷組織であるか、治癒性の慢性創傷組織であるかを同定するための前記創傷組織の分類または予後を決定するための上記方法のいずれか1つまたは複数を実施する段階、およびその後、前記組織の前記分類または予後に基づいて適切な処置コースを選択する段階を含む、創傷を処置するための方法が提供される。
【0049】
以下に続く特許請求の範囲において、および本発明の前の記載において、文脈上、明確な言語または必然的な含意により他の意味に解すべき場合を除き、語「含む(comprises)」または「含む(comprises)」もしくは「含むこと(comprising)」などの変形形態は、包括的な意味で用いられ、すなわち、述べられた特徴の存在を特定するために用いられるが、本発明の様々な実施形態においてさらなる特徴の存在または追加を排除するために用いるのではない。
【0050】
本明細書に引用されたいかなる特許または特許出願も含む全ての参考文献は、参照により本明細書に組み入れられている。いかなる参考文献も先行技術を構成するということを認めるものではない。さらに、その先行技術のいずれも、当技術分野における共通した一般的な知識の一部を構成するということを認めるものではない。
【0051】
本発明の各態様の好ましい特徴は、他の態様のいずれかと関連して記載される場合がある。
【0052】
本発明の他の特徴は、以下の例から明らかになるであろう。一般的に言えば、本発明は、(添付の特許請求の範囲および図面を含む)本明細書に開示された特徴の任意の新規な1つ、または任意の新規な組合せにまで及ぶ。したがって、本発明の特定の態様、実施形態、または実施例に関連して記載された特徴、整数、マーカー、または遺伝子は、本明細書に記載された任意の他の態様、実施形態、または実施例に、それらと適合しないことがない限り、適用できることは理解されているはずである。
【0053】
さらに、他の記述がない限り、本明細書に開示された任意の特徴は、同じまたは類似した目的を果たす代替の特徴に置き換えられてもよい。
【0054】
本発明を、以下の表1〜15および図1〜3を特に参照し、次に続く実施例を用いて以下に記載する:
表1は、本発明の分子シグネチャーを含む25個の遺伝子を示す;
表1bは、表1に示された遺伝子の発現を定量化するために用いられるプライマーを示す。
表2は、本発明の精密分子シグネチャーを含む14個の遺伝子を示す;
表3〜16は、25個の遺伝子の分子シグネチャーまたは14個の遺伝子の精密分子シグネチャーまたは4個の遺伝子の超精密分子シグネチャーを用いて創傷組織を分類した場合に得られるデータを示す。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】電気的細胞センシング(ECIS)によって治癒過程をモニターすることを示す図である。ECISチャンバーにおける細胞の単層に5vで30秒間、創傷形成した(図示)。電気インピーダンスの変化を、創傷形成前および後にモニターした。創傷から3時間後、遊走/治癒はその安定相に達した。
【図2】ECISに基づいた創傷アッセイを用いる創傷の形態学的評価を示す図である。電極上のコンフルエントな細胞に6vで60秒間、創傷形成し、その後、細胞の創傷区域への遊走を、4時間にわたって記録した。3時間後、創傷は大部分、治癒していた。
【図3】ひっかき傷アッセイを用いた創傷の形態学的評価を示す図である。電極上のコンフルエントな細胞に創傷形成し、その後、細胞の創傷区域への遊走を、6時間にわたって記録した。3時間後、創傷は大部分、治癒していた。
【発明を実施するための形態】
【0056】
材料および手順
細胞(A431、HECV、MRC5、HaCaT)をATCC、InterLab、ECACC、およびGerman Cancer Instituteから購入し、10%FCSおよび抗生物質を追加した組織培地中で維持した。組換えヒトHGFは本出願者の研究所(Metastasis and Angiogenesis Research Group、University Department of Surgery、Cardiff University、Heath Park、Cardiff、CF14 4XN、UK)のものであった。
【0057】
組織処理
ヒト創傷/皮膚組織からの組織調製およびcDNAバンクの構築
組織をクリオスタット(Leica)で凍結切片化した。切片の一部を組織学的分析のために保存した。約20個の切片をプールし、組織からRNAを抽出するための手順を用い、手持ち式のホモジナイザーを使ってホモジナイズした。下記を参照されたい。組織から抽出されたRNAを定量化し、cDNAバンクを等量のRNAから作製した。
【0058】
遺伝子転写産物セットの発現レベルを、急性または慢性創傷を有する患者由来、および正常な皮膚由来の試料のコホートについて分析した。地方倫理委員会からの承認の下(倫理承認ID:05/WSE03/92)、組織および正常な皮膚を収集した。生検を採られることに同意する各患者から書面によるインフォームドコンセントを得た。慢性創傷組織は、慢性下腿潰瘍を有する患者由来であった。急性創傷組織については、毛巣病の切除を受けた後の急性外科創傷を有する患者から得た。正常組織は、正常なボランティアの正常な皮膚由来であった。
【0059】
細胞および組織からのRNAの抽出ならびにcDNA合成
組織の凍結切片を、5〜10μmの厚さで切断し、免疫組織化学的検査および常法による組織学的検査のために保存した(Jiang WG、Watkins G、Lane J、Douglas−Jones A、Cunnick GH、Mokbel M、Mansel RE.Prognostic value of Rho familty and and rho−GDIs in breast cancer.Clinical Cancer Research、2003a、9、6432〜6440)。さらに15〜20個の切片を、手持ち式ホモジナイザーを用いて、氷冷RNA抽出溶液(RNA単離試薬、ABgene、Surrey、England)中でホモジナイズした。RNAの濃度を、UV分光光度計を用いて決定した(Jiang WG、Watkins G、Lane J、Douglas−Jones A、Cunnick GH、Mokbel M、Mansel RE.Prognostic value of Rho family and rho−GDIs in breast cancer.Clinical Cancer Research、2003a、9、6432〜6440)。96ウェルプレートにおいて1μgの全RNAを用いて、AbGene(商標)により供給されたアンカーオリゴdtプライマーを含むRTキットを用いて逆転写を行った。cDNAの品質をβ−アクチンプライマーを用いて検証した。RNA抽出キットおよびRTキットを、AbGene Ltd、Surrey、England、UKから入手した。PCRプライマー(表1b参照)を、Beacon Designer(California、USA)を用いて設計し、Invitrogen(商標)Ltd(Paisley、Scotland、UK)によって合成した。分子生物学グレードのアガロースおよびDNAラダーはInvitrogen製であった。日常的PCRおよび定量的PCRについてのマスターミックスはAbGene製であった。
【0060】
遺伝子マーカーの定量的分析
上記の調製されたcDNAの前記遺伝子(表1および2)の転写レベルを、以前に報告された方法(Jiang WG、Watkins G、Lane J、Douglas−Jones A、Cunnick GH、Mokbel M、Mansel RE.Prognostic value of Rho familty and and rho−GDIs in breast cancer.Clinical Cancer Research、2003a、9、6432〜6440;ならびにJiang WG、Douglas−Jones A、およびMansel RE.Level of expression of PPAR−gamma and its co−activator(PPAR−GCA) in human breast cancer.International Journal of Cancer、2003b、106、752〜757)から改変された、Amplifuor(商標)テクノロジー(Nazarenko IA、Bhatnagar SK、Hohman RJ.A closed tube format for amplification and detection of DNA based on energy transfer.Nucleic Acids Res.1997 Jun 15;25(12):2516〜21)に基づき、リアルタイム定量的PCRを用いて決定した。簡単に述べると、PCRプライマー対(表1b参照)をBeacon Designerソフトウェア(バージョン2、Biosoft、Palo Alto、California、USA)を用いて設計した。プライマーの1つに(本発明者らの研究室においては、常法通り、アンチセンスプライマーに)、ユニバーサルZプローブ(Nazarenkoら、1997、上記の通り)(Intergen Inc.、England、UK)に相補的であるZ配列(5’actgaacctgaccgtaca’3)として知られている追加の配列を付加した。β−アクチンについてのTaqman(商標)検出キットを、Perkin−Elmer(商標)から購入した。
【0061】
反応を、以下を用いて行った:Hot−start Q−master mix(Abgene)、10pモルの特異的フォワードプライマー、Z配列を含む1pモルのリバースプライマー、10pモルのFAMタグ付きプローブ(Intergen Inc.)、および約50ngのRNAから得たcDNA(RT反応において出発RNAから計算される)。以下の条件:94℃で12分間、94℃での15秒間と55℃での40秒間と72℃での20秒間からなる50サイクルを用いて、96個の反応のリアルタイム検出を可能にする光学ユニットを備えているIcyclerIQ(商標)(Bio−Rad(商標)、Hemel Hamstead、England、UK)を用い、反応を行った(Jiang WG、Douglas−Jones A、およびMansel RE.Level of expression of PPAR−gamma and its co−activator(PPAR−GCA) in human breast cancer.International Journal of Cancer、2003b、106、752〜757、およびJiang WG、Grimshaw D、Lane J、Martin TA、Parr C、Davies G、Laterra J、およびMansel RE.Retroviral hammerhead transgenes to cMET and HGF/SF inhibited growth of breast tumour, induced by fibroblasts.Clinical Cancer Research、2003c、9、4274〜4281)。転写産物のレベルを、その試料に関して同時に増幅した内部標準(Jiang WG、Watkins G、Lane J、Douglas−Jones A、Cunnick GH、Mokbel M、Mansel RE.Prognostic value of Rho family and rho−GDIs in breast cancer.Clinical Cancer Research、2003a、9、6432〜6440)から作成した。結果は、本明細書では、以下の2つの方法で示されている:等量のRNAに基づいた転写産物のレベル、または標的/GAPDH比として。
【0062】
発現パターンの解読および分子シグネチャーの推論
遺伝子転写産物の発現パターンを、まず、Minitabソフトウェア(Minitab Inc.、State College、PA16801、USA)を用いて試料の性質に対して分析した。「絞り込み」−可能性のある候補の選択:これは、Minitabアプリケーションウィンドウ内で異なる組織型における発現レベルの自動統計解析を可能にする、本発明者らによる研究コホートについて書かれたマクロ(WD−Sig Macro)に基づいている。「最終リストの選択」:これは、所定の遺伝子転写産物の特性、および慢性群を他の群から慎重に分離するその能力に基づいている。これは、Excel(Microsoft Office 2007バージョン、基礎統計学の分類および計算のために用いられる)、SPSS(SPSS Inc.、Chicago、Illinois、US、3つの群内での高度統計解析用)、およびMinitab解析(ノンパラメトリックKriskul Wallis検定用)のツールの使用を含む。「発現シグネチャーの編集」:これは、先と同様に、本研究のために書かれたマクロを用いて複数セル作表方法を使用することによる、「1を足して、1を引く」手順に基づいている。マクロは、リストから候補遺伝子を取り出した後、Minitabソフトウェア内の統計解析を自動的かつ迅速に行うことを可能にする。しかしながら、当業者が認識しているように、データを評価して、それに従って、どの遺伝子がアッセイの予測的性質に最も寄与しているかを決定するために他の形式の解析を用いてもよい。これらの代替形式の解析には、加重解析または非加重解析のいずれかを用いるロジスティック回帰が挙げられる。加重解析において、治癒をより密接に予測するシグネチャーまたは「モデル」に存在する遺伝子は、治癒の関係性が低い遺伝子よりも予測スコアをより多く加えられる。また、遺伝子の存在が「治癒性」ではなく「非治癒性」と関連している場合には、スコアにマイナスの影響を生じるであろう。加えて、変数減少法または変数増減法を用いてもよい。前者の場合、遺伝子は、あらかじめ選択された統計有意性を有する遺伝子のみが残るまで、シグネチャーまたは「モデル」の予測力へのそれらの寄与を考慮して、予測シグネチャーから排除される。後者の場合、遺伝子は、容認の統計学的基準に基づいて、予測シグネチャーに含まれ、またはそれから排除される。加えて、任意選択で、所定のデータセットにおける各遺伝子の重み付けを調整するために収縮方法を用いることができ、データセットが小さい、例えば、10個未満の治癒した創傷などの10個未満の事象を含む場合、この後者の手順が好ましい。
【0063】
「精密」キットの製造。遺伝子シグネチャーを最終決定した後、本発明者らは、まず試験遺伝子についての全ての試験材料を取りまとめ、その後、96ウェルプレートへ自動的にピペッティングすることによって、臨床材料および細胞材料を試験するのに使える状態にある、シグネチャーに基づいた試験キットを製造した。キットを実験室内で作製し、使用まで−20℃で保存した。
【0064】
インビトロの創傷アッセイおよびバリデーション研究
電気的細胞センシング(ECIS)を用いる治癒過程のモニタリング
ECIS1600Rモデル装置および8W10アレイ(Applied Biophysics Inc、NJ、US)を研究に用いた。システイン溶液でアレイ表面を処理した後、アレイを完全培地と1時間、インキュベートした。同数の肺癌細胞、HaCat、A431、およびHECV(ウェルあたり200,000個)を各ウェルに加えた(細胞なしが対照であった)。その後すぐに細胞を、1600Rモデルの装置の集積高電場モジュールを用いる創傷形成に曝した(各ウェルについて5v、30秒間)。創傷形成後、細胞インピーダンスの変化をすぐに記録した(400Hz、4000Hz、および40,000Hz)。製造会社によって供給されたECIS RbAモデリングソフトウェアを用いてデータを解析した。それぞれの時点において、細胞の治癒状態を検証するために細胞の画像を撮った。
【0065】
低速度ビデオ撮影を用いる治癒過程のモニタリング
ECISおよびひっかき傷アッセイにおいて見られるような治癒過程を確かめるために、低速度撮影ビデオで以下の2つの方法を用いて治癒を形態学的にモニターした:電気誘導創傷アッセイおよびひっかき傷アッセイ。前者はECISモデルに基づいており、そのECISモデルにおいて、コンフルエントな細胞単層に電気的に創傷形成し、治癒(電極にわたる細胞の創傷区域への遊走)をモニターした(創傷形成前および後)。後者は、細いプラスチックスクレーパーを用いる細胞単層のひっかきに基づいており、続いて、モニタリングを行った。モニタリングは最高6時間、または創傷が閉じるまで続いた。
【0066】
インビトロ細胞モデルを用いるバリデーション研究
ヒト内皮細胞、線維芽細胞、メラノーマ細胞、およびケラチノサイトを用いた。細胞または細胞混合物を、6ウェルプレート内でコンフルエンスに達するようにさせた。その後、それらに、プラスチックスクレーパーを用いて創傷形成した。各ウェルにおいて多数の創傷(20個)が生み出された。創傷細胞層を、(図−1から推定される)研究の「急性」相(1時間および2時間)および「治癒」相(4時間および7時間)を表す、1時間、2時間、4時間、および7時間にわたって回復させた。RNAを抽出し、cDNAを上記のように作製した。創傷シグネチャーの発現プロファイルをこれらの試料について試験した。
【0067】
統計解析
統計解析を、Minitab、SPSS、およびオンラインχ二乗サービスツール(http://www.people.ku.edu/〜preacher/chisq/chisq.htm)を用いて行った。
【0068】
パート1
創傷シグネチャーの同定
14個の慢性創傷組織、10個の急性創傷組織、および10個の正常皮膚を含む34個のヒト組織を用いた。
【0069】
3セットの遺伝子シグネチャーが得られた:
WDsig−1:これは、所定の創傷の運命の評価および処置の指導を可能にする25個の遺伝子のリストを有する(表−1の遺伝子リスト)
WDsig−2:この精密分子シグネチャーは、WDsig−1から推定され、第1産物の最終リストを形成する14個の遺伝子のリストを有し、創傷の運命を予測することを可能にする(表−2の遺伝子リスト)
WDsig−3:この超精密分子シグネチャーは、WDsig−2から推定され、第2産物の最終リストを形成する4個の遺伝子のリストを有し、創傷の運命を予測することを可能にする(表−2aの遺伝子リスト)
【0070】
創傷シグネチャーおよび創傷の治癒
精密分子シグネチャーWDsig−2は、急性創傷および正常皮膚から慢性創傷の明らかな区別を可能にする。
【0071】
本発明者らは創傷を区別するために以下の2つの判定基準を用いている:
重複がほぼ「ゼロ」で急性創傷および正常皮膚と慢性創傷を区別することにより創傷の性質を予測するために、25.33のχ二乗値(p=0.00000316)を返す計算パターン(本明細書ではAO10と呼ばれる)が得られた。100%の慢性創傷が予測され、90%の急性創傷が予測された。(表3)。
重複が「ゼロ」で急性創傷と慢性創傷を区別することにより創傷の性質を予測するために、25.868のχ二乗値(p=0.00000268)を返す計算パターン(本明細書ではAO123dと呼ばれる)が得られた。100%の慢性創傷が予測され、100%の急性創傷が予測された。(表4)。
表5において、本発明者らは、F5>5形式のデータ解析を用いてどのように急性創傷を慢性創傷と明らかに区別することができるかを示している(表5)。精密シグネチャーは、2つの型の創傷間の明らかな区別を提供した(p=0.00000676)。
【0072】
表6において、本発明者らは、急性創傷を正常皮膚と区別する方法(表−6a)、および慢性創傷を正常皮膚と区別する方法(表−6b)を示している。それぞれの表に示されているように、精密分子シグネチャーはまた、正常皮膚と急性創傷、または正常皮膚と慢性創傷との区別をそれぞれ提供するが、統計学的検出力は、正常/慢性創傷についてより弱い。
【0073】
さらに、WDsig−1を用いる作業はまた、慢性創傷と急性創傷と正常皮膚との明らかな区別を可能にする。
【0074】
本発明者らは、それらの創傷を区別するために以下の2つの判断基準を用いている:
急性創傷を慢性創傷および正常皮膚と区別するために、本発明者らは2群様式を用いている(表7)。
慢性創傷を急性創傷および正常皮膚と区別するために、本発明者らはまた3群様式を用いている(表8)。
【0075】
インビトロ創傷治癒モデルを用いるシグネチャーのバリデーション
バリデーションを、そのような研究についての最良の時点を得るために、まず、ECISモデルおよび創傷アッセイを用いて行い、その後、製造された精密分子シグネチャーキットを用いて分析を行った。
【0076】
インビトロ創傷モデルおよびモニタリング時点
この実験は、「急性」相および「慢性/治癒した」相についての適切な時点を決定することであった。細胞単層に電気的に創傷形成し、治癒過程を記録した。図−1に示されているように、創傷から1〜2.5時間後、治癒過程はその直線相にあり、したがって、急速(急性)治癒過程についての最良の時点を表している。3時間後、治癒過程はその安定相に達し、したがって、「治癒した/安定」段階を表している。したがって、3つの可能な治癒段階:創傷のない段階、急性段階、および治癒した段階を表すために、創傷のない細胞、2時間目の細胞、および4時間目の細胞を選択した。電気シグナルは、細胞の形態学的変化によって完全に裏付けられた(図−2および図−3)。
【0077】
A431細胞モデル
創傷形成時点およびモニタリング時点。最初のバリデーションについては、ヒト創傷の治癒性質を反映し得る以下の細胞モデルに基づいた:共培養された内皮細胞、線維芽細胞、および上皮細胞。ここでは、20:10:100の比のHECV内皮細胞、MRC5線維芽細胞、およびA431メラノサイトを、コンフルエンスに達するようにさせた。それらの細胞を創傷形成した。1時間、2時間、および4時間の間、回復させた。本発明者らは、創傷のないものとして創傷のない単層、修復が最も活性のある段階である急性創傷として創傷形成後2時間目のもの、および(創傷がほとんど閉じているような)完全に近い治癒として4時間目のものを採用した。
【0078】
精密分子シグネチャーは、「急性」相の間、発現プロファイルの急速な上昇を示した。発現のシグネチャーは正常な「創傷のない」レベルへ戻る。以下の表に示されているように、「インビトロ創傷治癒」の発現パターンおよび予測力は、ヒト創傷に見られるものと類似している(p=0.00000374、表9)。
【0079】
HaCat細胞モデル
A431モデルと同様に、HaCaT細胞モデルに関して類似したパターンが見られた。ケラチノサイトはよりゆっくりしたペースで遊走する。したがって、治癒段階は、急性段階(3時間目)および治癒した段階(6時間目)に分けられた。遺伝子パターンの変化は、創傷のない段階と急性段階と治癒した段階の間に有意差を生じた(p=0.003887、表−10)。
【0080】
内皮細胞モデル
内皮細胞創傷モデルを用いた場合、精密シグネチャーの変化はまた、非常に有意であることが見出された(表−11)。
【0081】
本発明者らはさらに、5:1の比でのHECV細胞およびMRC5細胞のプレートによる内皮/線維芽細胞共培養モデルを採用した。この細胞モデルを用いる創傷アッセイは、遺伝子発現パターンの類似した変化を示した(表−12)。
【0082】
パート2
遺伝子シグネチャーを用いるバリデーション研究
遺伝子シグネチャーの妥当性、およびシグネチャーが慢性治癒性創傷と慢性非治癒性創傷とを区別することができるかどうかを検証するために、本発明者らは、51個の慢性非治癒性創傷および20個の慢性の治癒した創傷で構成された独立コホートについて本発明者らの14個の遺伝子のシグネチャーを試験した。
【0083】
新鮮な凍結創傷組織はすべて、病因の静脈性潰瘍のものであった。それらは、診療所への訪問時点(ゼロ時点)に生検が実施され、その後、患者は、本発明者らの診療所において処置され、定期的にフォローアップされた。最初の訪問後3カ月以内に治癒した創傷を「慢性の治癒したもの」、その時間枠内に治癒しなかったものを「慢性非治癒性」と分類した。臨床感染の徴候をもつ患者もまた記録した。試料は、処理前に盲検とされ、最終試験後になって初めて解読された。
【0084】
遺伝物質を、前述と同様に抽出した。
この独立コホートに関する試験は、前述のようにリアルタイム定量的RT−PCRを用いる14個の遺伝子のシグネチャーに基づいた。
【0085】
14個の遺伝子のシグネチャーは慢性の治癒した創傷を慢性非治癒性創傷と有意に区別した
表−6aに示されたものと同様の二元分割を用いた場合、非治癒性シグネチャーが、非治癒性創傷を有する患者の98%(50/51)に、および慢性治癒性創傷の40%(8/20)に見られた(表−13)。
【0086】
表6bに示されたものと同様の三元分割を用いた場合、慢性の治癒した創傷と慢性非治癒性創傷との間に同様の有意差が見られた。このように、慢性非治癒性創傷を有する患者の47%(24/51)は非治癒性シグネチャーを有し、慢性の治癒した創傷を有するどの患者も非治癒性シグネチャーをもたなかった(表−14)。
【0087】
14個の遺伝子のシグネチャーによる治癒した慢性創傷と非治癒性慢性創傷との区別は感染の存在と無関係である
慢性非治癒性創傷を有する51人の患者において、7人が感染の臨床徴候を示した。したがって、本発明者らは、異なる遺伝子シグネチャーを有する組織間の違いが感染の存在に依存するかどうかを見るために、試料をさらに分析した。感染の徴候をもたない44人の患者のうち1人のみが治癒性シグネチャーを有し、44人のうちの残りの43人は非治癒性シグネチャーを有した。感染をもつ全ての患者は、非治癒性シグネチャーを有した(7/7)。これは、治癒性および非治癒性の予測が感染に依存しないことを示している(表−15)。
【0088】
統計解析:これは前に記載された通りであった。患者を、遺伝子シグネチャーに基づいた「二元分類」かまたは「三元分類」かのいずれかに分けた。統計検定はχ二乗検定であった。
【0089】
4個の遺伝子のシグネチャーは慢性の治癒した創傷を慢性非治癒性創傷から有意に区別した
表6aに示されたものと同様の二元分割を用いた場合、非治癒性シグネチャーが、非治癒性創傷を有する患者の90%(46/5)に、慢性治癒性創傷の35%(7/20)に見られた(表−16)。
【0090】
考察
本発明は、非治癒性慢性創傷と治癒性慢性創傷を区別する2つの新規なツールを提供している。本明細書に記載された分子シグネチャーは、臨床現場に由来する最初のそのようなシグネチャーであると考えられる。加えて、インビトロ細胞モデルを用いるバリデーション研究は、治癒過程を評価することにおけるシグネチャーの妥当性を示している。
【0091】
シグネチャーの生物学的影響は、各シグネチャーにおける候補遺伝子の性質から読み取ることができる。シグネチャーリストは、細胞遊走(ARP2、KAI1、CAR−1)、血管新生/リンパ管形成(VEGF−C、TEM−4、TEM7R)、遺伝子転写制御(CREB1I)、免疫機能(IL−8RB、IL−22R、IL17BR)、細胞接着挙動の制御(PTPRK、クローディン−5)に関連づけるクラスター、および皮膚障害に関連づける遺伝子(ソリアシン)を含む。したがって、リストの多様性および複雑性は、創傷の治癒過程の根底にある複雑な生物学的プロセスを反映している。
【0092】
独立コホートに関するバリデーション研究により、創傷治癒の性質の予測における本発明者らの遺伝子予後試験のきわめて重要な適用がさらに明らかにされた。単一の病因(静脈性潰瘍)による慢性創傷組織のこのコホートを用い、二重盲検試験で行った場合、試験は、治癒した創傷を、非治癒性であった創傷と明らかに区別した(3カ月以内)。まとめると、本明細書で報告された遺伝子シグネチャーは、治癒の性質の臨床転帰(治癒、または慢性化)および治癒の長期転帰(慢性であるが、3カ月以内に治癒する、または慢性であるが、3カ月以内に治癒することができない(非治癒性))の予測において重要な情報を提供すると結論づけられる。
【0093】
このように、臨床適用は明らかである。所定の創傷組織にシグネチャーを用いる試験は、すぐに創傷の運命を識別することを可能にするであろう。
【0094】
この研究において、本発明者らは、ヒト創傷に見られる分子シグネチャーの変化がインビトロで反映されるかどうかを評価するためにインビトロ創傷アッセイを採用している。本発明者らは、細胞創傷を生じるために2つのモデルを用いて、治癒過程の動態を得た。ECISモデルにおいて、ECISトレースおよび形態学的観察の両方により、特定条件下で、創傷治癒は、創傷形成後0.5〜3時間の間、その直線相であることが示されている。創傷形成してから4時間後、創傷は事実上、閉じて「治癒している」。これは当然、細胞型に依存しており、すなわち、内皮細胞およびメラノーマ細胞は、ケラチノサイトより速いペースで治癒した。これは、通常のひっかき傷アッセイによって完全に裏付けられている(図1および図2)。この細胞モデルを用いて、本発明者らは、ヒト創傷に見られるシグネチャーがインビトロで反映されることを示している。
【0095】
要約すれば、本発明は、創傷が最終的に治癒するのかまたは非治癒性慢性創傷になるのかというヒト創傷の性質の分類および予後を可能にする新しい分子シグネチャーを記載する。
【0096】
【表1−1】

【0097】
【表1−2】

【0098】
【表2−1】

【0099】
【表2−2】

【0100】
【表3】

【0101】
【表4】

【0102】
【表5】

【0103】
【表6−1】

【0104】
【表6−2】

【0105】
【表7】

【0106】
【表8】

【0107】
【表9】

【0108】
【表10】

【0109】
【表11】

【0110】
【表12】

【0111】
【表13】

【0112】
【表14】

【0113】
【表15】

【0114】
【表16】

【0115】
【表17−1】

【0116】
【表17−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)以下の分子マーカーARP2、CREB1l、VEGF−C、ソリアシン、IL22R、TEM4、IL8RB、IL17BR、クローディン−5、KAI1、PTPRK、CAR1、エンドムチン−2、およびTEM7Rをコードする遺伝子の発現レベルを決定するために個体由来の創傷組織の試料を調べる段階、および
(b)全ての以下の遺伝子:ソリアシン、クローディン−5、IL8RB、IL22R、PTPRK、TEM4、TEM7R、VEGF−C、ARP2、およびCAR1が発現レベルの増加を示す場合、
(c)組織試料が採取された個体が異常な、または非治癒性の慢性創傷を有すると結論づける段階、
を含む、異常な、または非治癒性の慢性哺乳動物創傷組織を同定するための方法。
【請求項2】
以下のマーカー:
エンドムチン−2、IL17BR、KaI1、およびCREB11
のいずれか1つまたは複数が減少した、または正常な発現レベルを示すかどうかを決定するための追加の研究を行い、
これが事実である場合、組織試料が採取された個体が非治癒性の慢性創傷を有すると結論づける、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(a)以下の分子マーカーARP2、CREB1l、VEGF−C、ソリアシン、IL22R、TEM4、IL8RB、IL17BR、クローディン−5、KAI1、PTPRK、CAR1、エンドムチン−2、およびTEM7Rをコードする遺伝子の発現レベルを決定するために個体由来の創傷組織の試料を調べる段階、および
(b)全ての以下の遺伝子:
CREB1l、IL17BR、KAI1、およびエンドムチン−2
が発現レベルの減少を示す場合、
(c)組織試料が採取された個体が治癒性の慢性創傷を有すると結論づける段階、
を含む、治癒性の慢性哺乳動物創傷組織を同定するための方法。
【請求項4】
以下のマーカー、ソリアシン、クローディン−5、IL8RB、IL22R、PTPRK、TEM4、TEM7R、VEGF−C、ARP2、およびCAR1のいずれか1つまたは複数が増加した、または正常な発現レベルを示すことを決定するための追加の研究を行い、これが事実である場合、試料が採取された個体が治癒性の慢性創傷を有すると結論づける、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記創傷組織の試料が慢性創傷由来である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記組織がヒト組織である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記遺伝子の発現レベルが、RNAを測定することによって決定される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記RNAがmRNAである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記遺伝子の発現レベルが、対応するコードタンパク質を測定することによって決定される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記タンパク質が、抗体を用いて測定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記抗体がモノクローナルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記抗体がタグで標識され、それにより標的タンパク質に結合した抗体の存在が決定され得る、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記遺伝子の発現レベルが、参照遺伝子を考慮して決定され、そのようにして増加または減少した発現が、前記参照遺伝子の発現に関して増加または減少した発現を指す、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記参照遺伝子が、対照組織試料内で発現される遺伝子である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記対照試料が正常な皮膚組織である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記正常皮膚組織が、前記創傷組織の試料と同じ肢または領域から採取される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記参照遺伝子がハウスキーピング遺伝子である、請求項13から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記参照遺伝子がGAPDHである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記参照遺伝子が、健康な個体における前記遺伝子の1つまたは複数の発現についての認められた標準である、請求項13から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
(a)全ての以下の分子マーカーARP2、VEGF−C、ソリアシン、IL22R、TEM4、IL8RB、クローディン−5、PTPRK、CAR1、およびTEM7Rの発現レベルを検出および定量化するためのプローブに限定された複数のプローブ、および
(b)任意選択で、前記プローブの使用に関連した試薬および使用説明書、
を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の前述の方法のいずれか1つまたは複数を実施するためのキット。
【請求項21】
(a)全ての以下の分子マーカーCREB1l、IL17BR、KAI1、およびエンドムチン−2の発現レベルを検出および定量化するためのプローブに限定された複数のプローブ、および
(b)任意選択で、前記プローブの使用に関連した試薬および使用説明書、
をさらに含む、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
(a)全ての以下の分子マーカーCREB1l、IL17BR、KAI1、およびエンドムチン−2の発現レベルを検出および定量化するためのプローブに限定された複数のプローブ、および
(b)任意選択で、前記プローブの使用に関連した試薬および使用説明書、
を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の前述の方法のいずれか1つまたは複数を実施するためのキット。
【請求項23】
(a)以下の遺伝子ARP2、VEGF−C、ソリアシン、IL22R、TEM4、IL8RB、クローディン−5、PTPRK、CAR1、およびTEM7Rのそれぞれの少なくとも1つの転写産物またはポリペプチド/タンパク質の発現レベルを検出および定量化するためのプローブに限定された複数のプローブ、および
(b)任意選択で、前記プローブの使用に関連した試薬および使用説明書、
を含む、慢性哺乳動物創傷組織の予後を決定するためのキット。
【請求項24】
(a)以下の遺伝子CREB1l、IL17BR、KAI1、およびエンドムチン−2のそれぞれの少なくとも1つの転写産物またはポリペプチド/タンパク質の発現レベルを検出および定量化するためのプローブに限定された複数のプローブ、および
(b)任意選択で、前記プローブの使用に関連した試薬および使用説明書、
をさらに含む、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
(a)以下の遺伝子CREB1l、IL17BR、KAI1、およびエンドムチン−2のそれぞれの少なくとも1つの転写産物またはポリペプチド/タンパク質の発現レベルを検出および定量化するためのプローブに限定された複数のプローブ、および
(b)任意選択で、前記プローブの使用に関連した試薬および使用説明書、
を含む、慢性哺乳動物創傷組織の予後を決定するためのキット。
【請求項26】
前述の分子マーカーのいずれか1つまたは複数の発現を同定するための前述のプローブセットのいずれか1つまたは複数を含むマイクロアレイ。
【請求項27】
(a)請求項1から19のいずれか一項に記載の方法に記載された分子マーカーの少なくとも1セットを同定するためのプローブに限定された複数のプローブを含む少なくとも1つのマイクロアレイ、および任意選択で、
(b)前記マーカーの正常な発現レベルを表す内部標準において同じ分子マーカーセットを同定するためのプローブに限定された複数のプローブを含む第2のマイクロアレイ、
を含む、患者における慢性創傷の種類を決定するためのキット。
【請求項28】
創傷組織が慢性の非治癒性組織であるか、慢性の治癒性創傷組織であるかを同定するために前記創傷組織の分類または予後を決定するための請求項1から19のいずれか一項に記載の方法のいずれか1つまたは複数を実施する段階、およびその後、前記組織の前記分類または予後に基づいた適切な処置コースを選択する段階を含む、創傷を処置するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−163549(P2012−163549A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−272230(P2011−272230)
【出願日】平成23年12月13日(2011.12.13)
【出願人】(501125275)ユニバーシティ カレッジ カーディフ コンサルタンツ リミテッド (5)
【Fターム(参考)】