説明

懸垂碍子カバー

【課題】 排水性がよく、雨水の浸入による電気絶縁性の低下を防ぐことができる懸垂碍子カバーを提供する。
【解決手段】 一対のカバー体20a,20bを合着して成る懸垂碍子カバー1の各カバー体20a,20bに、碍子収容部分21a,21bと、碍子収容部分21a,21bに連なって形成される案内部分22a,22bと、碍子収容部分21a,21bおよび案内部分22a,22bに連なる架線収容部分23a,23b;24a,24bとを形成し、案内部分22a,22bを、案内部分22a,22bの最も下方に配置される部位に向かって先細状に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架線が装着され、鉄柱などに固定されたアームおよび枠体などに懸垂される懸垂碍子カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の従来技術として、たとえば特許文献1記載の懸垂碍子カバーを挙げることができる。この従来技術の懸垂碍子カバーは、一対の分割体を合着させて成り、水平方向に延びる電線を支持する懸垂碍子の上部が突出する露出孔と、内部に侵入した雨水を外部へ排出する水抜き孔とを備える碍子収容部と、碍子収容部に連なって形成され、懸垂碍子付近の電線を収容する電線収容部とを含んで構成される。
【0003】
前記碍子カバーが鉄柱などに固定されたアームおよび枠体などに装着された懸垂碍子に装着された状態で、前記碍子収容部の前記電線の軸線を含む仮想一平面に関して対向する各部位には、前記水抜き孔に向けて互いに近接するように傾斜する案内部がそれぞれ形成され、この案内部に連なって、略水平となる底部が形成される。前記水抜き孔は、前記底部の中央に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−195936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来技術の懸垂碍子カバーは、電線に懸垂された懸垂碍子に装着された状態で略水平となる底部が形成されるので、排水性が悪く、降雨によって懸垂碍子カバー内に浸入した雨水が底部に滞留する場合があり、これによって懸垂碍子カバーの電気絶縁性が低下してしまうという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、排水性がよく、雨水の浸入による電気絶縁性の低下を防ぐことができる懸垂碍子カバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、碍子本体と、碍子本体の一表面部に設けられる懸垂用取付け体と、碍子本体の他表面部に設けられ、架線を保持する架線保持体とを有する懸垂碍子に装着される一対のカバー体を有する懸垂碍子カバーであって、
各カバー体は、碍子本体の一部が収容される碍子収容部分と、前記碍子収容部分に連なって形成される案内部分と、前記碍子収容部分および案内部分に連なって形成される略半円筒状の一対の架線収容部分とを含み、
前記碍子収容部分は、前記懸垂用取付け体の一部が嵌まり込む上凹状部が形成される上壁部分を有し、
前記案内部分は、前記案内部分の最も下方に配置される部位に向かって先細状に形成されるとともに、該案内部分の最も下方に配置される部位には下凹状部が形成され、
各カバー体の前記碍子収容部分、案内部分および架線収容部分には、嵌合部分が、前記碍子収容部分、案内部分および架線収容部分にわたって形成され、
一方のカバー体の前記嵌合部分と、他方のカバー体の前記嵌合部分とは、互いに嵌合可能に形成されることを特徴とする懸垂碍子カバーである。
【0008】
また本発明は、前記嵌合部分の上凹状部に臨む各端部には、碍子収容部分から離反する方向に立ち上がる立上がり部が形成されることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記上凹状部には、各立上がり部間にわたって連なる立上がり壁が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、懸垂碍子カバーは、一対のカバー体を有し、各カバー体は、上凹状部が形成される碍子収容部分と、案内部分と、懸垂碍子付近の架線を収容する架線収容部分とを含む。前記案内部分は、前記案内部分の最も下方に配置される部分に向かって先細状に形成されるとともに、該案内部分の最も下方に配置される部位には、下凹状部が形成される。
【0011】
案内部分は、排出孔を形成する下凹状部に向かって先細状に形成されるので、懸垂碍子に装着された状態において、懸垂碍子カバーには、略水平となる部分が形成されることはない。これによって、降雨によって懸垂碍子カバー内に浸入した雨水が懸垂碍子カバー内に滞留することを防ぐことができるので、懸垂碍子カバーの排水性を向上することができるとともに、雨水の滞留による懸垂碍子カバーの電気絶縁性の低下を防ぐことができる。
【0012】
また本発明によれば、嵌合部分の上凹状部に臨む各端部には、碍子収容部分から離反する方向に立ち上がる立上がり部が形成されるので、上開口部の架線が延びる方向に関する曲げ剛性を向上することができる。
【0013】
また本発明によれば、上凹状部には、各立上がり部間にわたって連なる立上がり壁が形成されるので、上開口部の周方向の曲げ剛性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の懸垂碍子カバー1を示す斜視図である。
【図2】カバー体20aを示す正面図である。
【図3】カバー体20aを示す背面図である。
【図4】カバー体20aの左側面図である。
【図5】カバー体20aの右側面図である。
【図6】カバー体20aの平面図である。
【図7】カバー体20aの底面図である。
【図8】カバー体20aの縦断面図であり、
【図9】カバー体20aの水平断面図である。
【図10】懸垂碍子カバー1の正面図である。
【図11】懸垂碍子カバー1の左側面図である。
【図12】懸垂碍子カバー1の平面図である。
【図13】懸垂碍子カバー1の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本実施形態の懸垂碍子カバー1を示す斜視図であり、図2はカバー体20aを示す正面図である。懸垂碍子カバー1は、碍子本体3と、碍子本体3の一表面部に設けられる懸垂用取付け体4と、碍子本体3の他表面部に設けられ、架線6を保持する架線保持体5とを有する懸垂碍子2に対して着脱自在に装着される。
【0016】
懸垂碍子カバー1は、懸垂碍子2の一部を収容する収容部10と、収容部10の下方に連なって形成される案内部11と、収容部10および案内部11に連なって形成される一対の架線収容部12とを有する。収容部10は、前記懸垂用取付け体4が嵌り込む開口を形成する上開口部13を有する。案内部11は、案内部11の最も下方に配置される部位に向かって先細状に形成されるとともに、該案内部11の最も下方に配置される部位には水抜き孔である下開口部14が形成される。
【0017】
案内部11の外表面部には、取手部15が設けられる。収容部10および案内部11の外表面部には、後述するカバー体20a,20bを連結する複数の連結部16が設けられる。懸垂碍子カバー1には、収容部10、案内部11および架線収容部12にわたって、各カバー体20a,20bが互いに嵌まり込んで嵌合する嵌合部17が形成される。
【0018】
懸垂碍子カバー1は、一対のカバー体20a,20bを対向させて嵌合することによって構成される。各カバー体20a,20bは、電気絶縁性の材料である合成樹脂から成り、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレンから成る。各カバー体20a,20bは、懸垂碍子2および懸垂碍子2付近の架線6を覆った状態で、相互に嵌合可能に形成される。
【0019】
図3はカバー体20aを示す背面図であり、図4はカバー体20aを示す左側面図であり、図5はカバー体20aを示す右側面図であり、図6はカバー体20aを示す平面図であり、図7はカバー体20aを示す底面図であり、図8はカバー体20aの縦断面図であり、図9はカバー体20aの水平断面図である。図10は懸垂碍子カバー1の正面図であり、図11は、懸垂碍子カバー1の左側面図であり、図12は懸垂碍子カバー1の平面図であり、図13は懸垂碍子カバー1の底面図である。各カバー体20a,20bは、同一形状に形成される。以下、一方のカバー体20aについて説明し、他方のカバー体20bについては、一方のカバー体20aの各構成部分に対応する部分と同一の数字に添え字「b」を付し、説明は省略する。
【0020】
また以下の説明において、架線6の軸線L1と平行な方向を懸垂碍子カバー1の長手方向と称し、懸垂碍子カバー1の上開口部13の中心軸と下開口部14の中心軸とを通る軸線L2に平行な方向を懸垂碍子カバー1の幅方向と称し、前記長手方向および前記幅方向に垂直な方向を懸垂碍子カバー1の厚み方向と称する。また以下の説明において幅方向一方を上方と称し、他方を下方と称する場合がある。
【0021】
カバー体20aは、懸垂碍子2の一部が収容される碍子収容部分21aと、前記碍子収容部分21aに連なって形成される案内部分22aと、前記碍子収容部分21aおよび案内部分22aに連なって形成され、長手方向に垂直な断面が略半円筒状の一対の架線収容部分23a,24aとを有する。
【0022】
碍子収容部分21aは、懸垂用取付け体4の一部が嵌まり込む半円筒状の上凹状部25aが形成される上壁部分30aと、上壁部分30aの一端部に連なって形成され、碍子本体3の一部を外囲する略半円筒状の周壁部分31aとを有する。碍子収容部分21aの内周面には、幅方向に延び、かつ、厚み方向一方に突出する突条部40aが、長手方向に等しい間隔を空けて複数(本実施形態では5つ)形成される。
【0023】
案内部分22aは、案内部分22aの最も下方に配置される部位に向かって先細状に形成されるとともに、該案内部分22aの最も下方に配置される部位には下凹状部26aが形成される。案内部分22aは、架線収容部分23aの下方に連なって形成される第1案内部41aと、架線収容部分24aの下方に連なって形成される第2案内部42aと、第1案内部41aと第2案内部42aとの間に形成され、周壁部分31aに連なる第3案内部43aとを有する。各案内部41a〜43aは、下凹状部26aに近づくにつれて、軸線L2に近接するように傾斜して形成される。このように各案内部41a〜43aが、軸線L2に向かって傾斜して形成されるので、案内部分22aは、大略半割れ漏斗状に形成される。
【0024】
架線収容部分23aは、碍子収容部分21aの周壁部分31aの長手方向一方側に連なり、軸線L1に沿って碍子収容部分21aから長手方向一方に突出して形成される。架線収容部分23aは、半円筒状に形成され、内部に形成される架線収容空間51aは、軸線方向一方側で開放するとともに、軸線方向他方側で碍子収容部分21aおよび案内部分22aによって規定される収容空間50aに連通する。
【0025】
他方の架線収容部分24aは、碍子収容部分21aの周壁部分31aの長手方向他方側に連なり、軸線方向L1に沿って碍子収容部分21aから長手方向他方に突出して形成される。架線収容部24aは、半円筒状に形成され、内部に形成される架線収容空間52aは、軸線方向他方側で開放するとともに、軸線方向一方側で収容空間50aに連通する。したがって、架線収容部分23aの架線収容空間51aと、他方の架線収容部分24aの架線収容空間52aとは、収容空間50aを介して連通する。
【0026】
カバー体20aの前記碍子収容部分21a、案内部分22aおよび各架線収容部分23a,24aには、嵌合部分27aが、前記碍子収容部分21a、案内部分22aおよび各架線収容部分23a,24aにわたって形成される。
【0027】
嵌合部分27aは、軸線L2よりも長手方向一方側に、碍子収容部分21aおよび架線収容部分23aにわたって形成される第1嵌合凹部44aと、軸線L2よりも長手方向他方側に、碍子収容部分21aおよび架線収容部分24aにわたって形成される第1嵌合凸部45aと、軸線L2よりも長手方向一方側に、案内部分22aおよび架線収容部分23aにわたって形成される第2嵌合凸部46aと、軸線L2よりも長手方向他方側に、案内部分22aおよび架線収容部分24aにわたって形成される第2嵌合凹部47aとを有する。第1嵌合凹部44aの長手方向に垂直な断面と、第2嵌合凹部47aの長手方向に垂直な断面とは、同一である。また第1嵌合凸部45aの長手方向に垂直な断面と、第2嵌合凸部46aの長手方向に垂直な断面とは、同一である。したがって、以下、第1嵌合凹部44aと第1嵌合凸部45aについて説明し、第2嵌合凹部47aおよび第2嵌合凸部46aの説明は省略する。
【0028】
図4および図5を参照して、第1嵌合凹部44aは、互いに平行に延びる2つの突出部60a,61aを側壁とする溝部分62aを有し、第1嵌合凸部45aは、前記溝部分62aに嵌り込む突出部63aを有する。すなわち、第1嵌合凹部44aと第1嵌合凸部45aとは、第1嵌合凸部45aの突出部63aを第1嵌合凹部44aの溝部分62aに嵌り込ませることによって互いに嵌合可能に形成される。同様に、第2嵌合凹部47aと第2嵌合凸部46aとは、第2嵌合凸部46aの突出部67aを第2嵌合凹部47aの溝部分66aに嵌まり込ませることによって互いに嵌合可能に形成される。
【0029】
第1嵌合凹部44aと、第1嵌合凸部45aの上凹状部25aに臨む各端部には、碍子収容部分21aから離反する方向に立ち上がる立上がり部70a,71aがそれぞれ形成される。また上凹状部25aには、立上がり壁72aが、各立上がり部70a,71a間にわたって連なって形成される。第1嵌合凹部44aおよび第1嵌合凸部45aに各立上がり部70a,71aを形成することによって、懸垂碍子カバー1の長手方向の曲げ剛性を向上することができる。また立上がり壁72aを形成することによって、軸線L2に関して、懸垂碍子カバー1の周方向の曲げ剛性を向上することができる。
【0030】
下凹状部26aは、各案内面部41a〜43aの下方に連なって形成され、軸線L2を中心軸として、半円筒状に形成される。
【0031】
第2嵌合凸部46aと、第2嵌合凹部47aの下凹状部26aに臨む各端部には、碍子収容部分21aから離反する方向に立ち上がる立上がり部73a,74aがそれぞれ形成される。また下凹状部26aには、立上がり壁75aが、各立上がり部73a,74a間にわたって連なって形成される。
【0032】
架線収容部分23aは、第1嵌合凹部44aと第2嵌合凸部46aとの間にわたって形成される、半円筒状の係止部分35aをさらに有する。係止部分35aの周方向一端部には、第1凹状部44aに連なる当接部分37aが形成される。また架線収容部分24aは、第1嵌合凸部45aと第2嵌合凹部47aとの間にわたって形成される、半円筒状の係止部分36aをさらに有する。係止部分36aの周方向一端部には、第1嵌合凹部44aに連なる当接部分38aが形成される。
【0033】
上壁部分35aの第1嵌合凹部44aと連なる外表面部には、後述する連結片82aを係止する係止突部80aが形成される。また第2案内部42aの外表面部であって、第2嵌合凹部47aと連なる位置には、後述する連結片82aを係止する係止突部81aが形成される。係止突部80aと係止突部81aとは同一の形状に形成される。
【0034】
上壁部分35aの第1嵌合凸部45aと連なる外表面部には、連結片82aが設けられる。また第1案内部41aの外表面部であって、第2嵌合凸部46aと連なる位置には、連結片83aが設けられる。連結片82aと連結片83aとは同一の形状に形成される。
【0035】
各連結片82a,83aは、係止突部81a,82aに嵌合可能な嵌合孔85を有し、前記外表面部に角変位自在に固定されて設けられる。各係止突部81a,82aと各連結片82a,83aとによって連結部16を構成する。
【0036】
各カバー体20a,20bの嵌合について説明する。カバー体20aとカバー体20bとは、各カバー体20a,20bの軸線L2が一致し、かつ各カバー体20a,20bの軸線L1が一致した状態で、各連結片82a82b;83a83bを、対応する係止突部80a,80b;81a81bにそれぞれ嵌まり込ませることによって相互に嵌合される。
【0037】
このとき、第1嵌合凹部44aの溝部分62aには、第1嵌合凸部45bの突出部63bが嵌まり込み、第1嵌合凸部45aの突出部63aは、第1嵌合凹部44bの溝部分62bに嵌まり込み、第2嵌合凹部47aの溝部分66aには、第2嵌合凸部46bの突出部67bが嵌まり込み、第2嵌合凸部46aの突出部67aは、第2嵌合凹部47bの溝部分66bに嵌まり込む。このようにして、カバー体20aの嵌合部分27aとカバー体20bの嵌合部分27bとが嵌合され、嵌合部17を構成する。
【0038】
各カバー体20a,20bが嵌合すると、当接部分37aには、係止部分36bの一方端面が当接し、当接部分38aには、係止部分35bの一方端面が当接する。また当接部分37bには、係止部分36aの一方端面が当接し、当接部分38bには、係止部分35aの一方端面が当接する。このようにして、各架線収容部12の各端部に、略半円筒状の係止部18がそれぞれ形成される。
【0039】
このとき、連結片82a,82bと係止突部80a,80bとは対向し、連結片83a,83bと係止突部81a,81bとは対向する。そして、各連結片82a,82b;83a,83bの嵌合孔85に対応する各係止突部80a,80b;81a,81bを嵌まり込ませて、カバー体20aとカバー体20bとを連結する。このようにして、懸垂碍子カバー1が形成される。
【0040】
このようにして、各カバー体20a,20bを嵌合し、連結すると、各碍子収容部分21a,21bによって収容部10が形成され、各案内部分22a,22bによって案内部11が形成され、各架線収容部23a,23bによって一方側の架線収容部12が形成され、各架線収容部24a,24bによって他方側の架線収容部12が形成される。
【0041】
また各上凹状部25a,25bによって円筒状の上開口部13が形成され、各下凹状部26a,26bによって円筒状の下開口部14が形成される。そして、各係止部分35a,35bと各係止部分36a,36bとによって、各架線収容部12の開放端に、係止部18がそれぞれ形成される。
【0042】
本実施形態によれば、懸垂碍子カバー1は、一対のカバー体20a,20bを有し、各カバー体20a,20bは、上凹状部25a,25bが形成される碍子収容部分21a,21bと、案内部分22a,22bと、懸垂碍子2付近の架線6を収容する架線収容部分24a,24bとを含む。前記案内部分22a,22bは、前記案内部分22a,22bの最も下方に配置される部分に向かって先細状に形成されるとともに、該案内部分の最も下方に配置される部位には、下凹状部26a,26bが形成される。
【0043】
案内部分22a,22bは、排出孔を形成する下凹状部26a,26bに向かって先細状に形成されるので、懸垂碍子2に装着された状態において、懸垂碍子カバー1には、略水平となる部分が形成されることはない。これによって、降雨によって懸垂碍子カバー1内に浸入した雨水が懸垂碍子カバー1内に滞留することを防ぐことができるので、懸垂碍子カバー1の排水性を向上することができるとともに、雨水の滞留による懸垂碍子カバー1の電気絶縁性の低下を防ぐことができる。
【0044】
また本実施形態によれば、嵌合部分27a,27bの上凹状部25a,25bに臨む各端部には、碍子収容部分21a,21bから離反する方向に立ち上がる立上がり部70a,70b;71a,71bが形成されるので、懸垂碍子カバー1の長手方向に関する剛性を向上することができる。
【0045】
また本実施形態によれば、上凹状部25a,25bには、各立上がり部70a,70b;71a,71b間にわたって連なる立上がり壁72a,72b;75a,75bが形成されるので、軸線L2に関して、懸垂碍子カバー1の周方向への剛性を向上することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 懸垂碍子カバー
2 懸垂碍子
5 架線保持体
6 架線
10 収容部
11 案内部
12 架線収容部
13 上開口部
14 下開口部
15 取手部
16 連結部
17 嵌合部
18 係止部
20a,20b カバー体
21a,21b 碍子収容部分
22a,22b 案内部分
23a,23b 架線収容部分
24a,24b 架線収容部分
25a,25b 上凹状部
26a,26b 下凹状部
27a,27b 嵌合部分
41a,41b 第1案内部
42a,42b 第2案内部
43a,43b 第3案内部
44a,44b 第1嵌合凹部
45a,45b 第1嵌合凸部
46a,46b 第2嵌合凸部
47a,47b 第2嵌合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
碍子本体と、碍子本体の一表面部に設けられる懸垂用取付け体と、碍子本体の他表面部に設けられ、架線を保持する架線保持体とを有する懸垂碍子に装着される一対のカバー体を有する懸垂碍子カバーであって、
各カバー体は、碍子本体の一部が収容される碍子収容部分と、前記碍子収容部分に連なって形成される案内部分と、前記碍子収容部分および案内部分に連なって形成される略半円筒状の一対の架線収容部分とを含み、
前記碍子収容部分は、前記懸垂用取付け体の一部が嵌まり込む上凹状部が形成される上壁部分を有し、
前記案内部分は、前記案内部分の最も下方に配置される部位に向かって先細状に形成されるとともに、該案内部分の最も下方に配置される部位には下凹状部が形成され、
各カバー体の前記碍子収容部分、案内部分および架線収容部分には、嵌合部分が、前記碍子収容部分、案内部分および架線収容部分にわたって形成され、
一方のカバー体の前記嵌合部分と、他方のカバー体の前記嵌合部分とは、互いに嵌合可能に形成されることを特徴とする懸垂碍子カバー。
【請求項2】
前記嵌合部分の上凹状部に臨む各端部には、碍子収容部分から離反する方向に立ち上がる立上がり部が形成されることを特徴とする請求項1記載の懸垂碍子カバー。
【請求項3】
前記上凹状部には、各立上がり部間にわたって連なる立上がり壁が形成されることを特徴とする請求項2記載の懸垂碍子カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−210498(P2011−210498A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76435(P2010−76435)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000115382)ヨツギ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】