説明

成形型および成形装置

【課題】引け、肉欠けといった成形不良が生じにくい食品用の成形型および成型装置を提供すること。
【解決手段】
成形空間の一部を形成する第1の成形面を設けた一方の成形型と、前記第1の成形面とともに前記成形空間を形成する第2の成形面を設けた他方の型を有した成形型であって、前記成形型は、第1の成形面および第2の成形面の縁部に、互いに当接する細幅の当接面を有するとともに、前記当接面を表面上に突出させた突出部の縁部、表面部を窪ませた嵌合凹部の内周壁に沿った底部もしくは前記突出部から前記嵌合凹部へ連続的に変化する成形面の縁部に設け、前記突出部の側面壁を先端に向かって先細となる角度に形成するとともに、前記凹部の内周壁に前記側面壁と密着可能となる傾斜面を設け、前記一方の成形型の当接面と他方の成形型の当接面が当接する際に、前記突出部の側面壁と前記凹部の傾斜面がほぼ密着するように形成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品成形型に関するものであり、特にゼラチンを主原料としたグミ菓子の成形に用いる成形型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二分割された型を接合することで成形空間を形成し、型の側面に設けた注入孔を介して溶かしたチョコレートを成形空間内に流し入れるように構成したチョコレート等の固化物成形型(特許文献1)が知られている。その他、食品製造に関する特許文献2記載の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平1−14139号公報
【特許文献2】特許第2866079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の固化物成形型は、溶融させたチョコレートを加圧することなく成形空間に注入するものであるため、型の形状が微細になると成形空間内への充填が不十分となり、引け、肉欠けといった成形不良が生じる場合がある。一方、射出成形によって食品を形成する特許文献2記載の技術もあるが、装置が大型であり一般の家庭で使用することはできない。
本発明は上記課題に鑑み発明されたものであって、引け、肉欠けといった成形不良が生じにくい食品用の成形型および成型装置を提供することを課題とするものである。また、操作が簡単で、子供にも手軽に使用できる成形型および成型装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る第1の手段は以下の構成を有する。
成形空間の一部を形成する第1の成形面を設けた一方の成形型と、前記第1の成形面とともに前記成形空間を形成する第2の成形面を設けた他方の型を有した成形型であって、
前記成形型は、第1の成形面および第2の成形面の縁部に、互いに当接する細幅の当接面を有するとともに、
前記当接面を表面上に突出させた突出部の縁部、表面部を窪ませた嵌合凹部の内周壁に沿った底部もしくは前記突出部から前記嵌合凹部へ連続的に変化する成形面の縁部に設け、
前記突出部の側面壁を先端に向かって先細となる角度に形成するとともに、前記嵌合凹部の内周壁に前記側面壁と密着可能となる傾斜面を設け、
前記一方の成形型の当接面と他方の成形型の当接面が当接する際に、前記突出部の側面壁と前記嵌合凹部の傾斜面がほぼ密着するように形成したことを特徴とする成形型。
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る第2の手段は以下の構成を有する。
前記一方の成形型および他方の成形型に、前記第1の成形面と第2の成形面が適切に接合するように回動させる回動中心となる位置に支持部材を設けたことを特徴とする上記の成形型。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る第3の手段は以下の構成を有する。
成形空間の一部を形成する第1の成形面を設けた一方の成形型と、前記第1の成形面とともに前記成形空間を形成する第2の成形面を設けた他方の型を有した成形型であって、
前記成形型は、第1の成形面および第2の成形面の縁部に、互いに当接する細幅の当接面を有するとともに、
前記当接面を表面上に突出させた突出部の縁部、表面部を窪ませた嵌合凹部の内周壁に沿った底部もしくは前記突出部から前記嵌合凹部へ連続的に変化する成形面の縁部に設け、
前記突出部の側面壁を先端に向かって先細となる角度に形成するとともに、前記嵌合凹部の内周壁に前記側面壁と密着可能となる傾斜面を設け、
前記一方の成形型の当接面と他方の成形型の当接面が当接する際に、前記突出部の側面壁と前記嵌合凹部の傾斜面がほぼ密着するように形成し、
前記一方の成形型および他方の成形型に、前記第1の成形面と第2の成形面が適切に接合するように回動させる回動中心となる位置に支持部材を設け、前記一方の成形型および他方の成形型を平面的に配置する載置部と前記支持部材を回動可能に支持する係合部を設けた基台を有したことを特徴とする成形装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る成形型は、密閉された空間に成形素材を流し込むものではないために、成型物に肉欠けなどの不具合を発生させにくいという効果を有している。また、成形素材を加圧する装置も必要がなく、小型で子供にも使用することができるという特徴を有しているものである。また、効率的に余剰な成形素材の排出し、少ない力で成形素材の加圧を行うことができるという効果を有しているものである。
また、本発明に係る成形装置は、前記成形型を使用した成型物の形成を補助する機構を備えており、容易に成形を行うことができるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】成形型の一例を表した外観斜視図である。
【図2】図2aは接合状態における成形型の端面図であり、図2bは接合部の拡大端面図であり、図2(c)および図2(d)は接合部の部分的な説明図である。
【図3】成型物を形成する様子を表した説明図である。
【図4】基台の一例を表した外観斜視図である。
【図5】基台に載置した成形型の動作を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図1は、成形型の一例を表した外観斜視図であり1は成形型を表している。
成形型1は、平面視において板状の外観を有する第1の成形型2と第2の成形型3によって構成されている。第1の成形型2と第2の成形型3の外観形状は必ずしも板状である必要はないが、表面に成形空間を形成するための成形要素を設け、対向して配置された成形要素同士を接合させることによって成形空間を形成するものとなっている。本明細書において成形要素とは、成形空間を形成するための成形面Sを設けた突出部(凸部)あるいは凹部などによって形成した成形型表面の造形部のことをいう。
図1に示した第1の成形型2と第2の成形型3は、ともに表面に面した基準面4(4a、4b)上に複数の成形要素を設けたものであり、合成樹脂によって一体的に形成されたものである。
【0011】
成形要素の一例として、成形型1にはカブト虫の胴体部分と6本の足を象った造形部が個別に設けられている。すなわち、一方の第1の成形型2の基準面4a上には、凹凸によって形成された一つの胴体部5aと、6個の足6a、7a、8a、9a、10a、11aからなる各成形要素が設けられている。また、他方の第2の成形型3の基準面4b上には
、凹凸によって一つの胴体部5bと、6個の足6b、7b、8b、9b、10b、11bからなる各成形要素が設けられている。
【0012】
第1の成形型2と第2の成形型3は、互いの基準面4a、4b同士を対向させて近接させることによって各成形要素同士を接合させ、当該接合した成形要素の内側に設けた成形面Sによって所定形状の成形空間を形成するものである。図2aは上記第1の成形型2と第2の成形型3を接合させた状態を表したものであり、胴体5aと胴体5b、足8aと足8b、足11aと足11bの一部を端面図として表したものである。
なお、各成形要素が接合する場合であっても、平坦面である第1の成形型2の基準面4aと第2の成形型3の基準面4bは接触せず、両者の間に隙間が形成されるようになっている。
【0013】
上記のように両成形型2,3の基準面4a、4b同士を接触させることなく隙間を設けているのは、基準面同士の接触によって両型に作用する押しつけ荷重を散逸させることなく、成形空間を形成する成形要素の接合部分に効率よく荷重を作用させ成形空間を気密的に閉じるためである。
また、本実施の形態に係る型は、成形素材の一例としてゼラチンを溶かした溶液を固めて固形物を形成するものであるが、射出成形とは異なり両型2,3の成形要素それぞれに溶液を満たし、対向させた両型を接合することで所定の形状を得るものである。したがって、成形空間内に入りきらない溶液があると、成形空間からあふれ出してしまうことになる。本実施の形態に係る成形型は、このようにあふれ出した余剰な溶液を両成形型2,3間の隙間に設けた空間に排出することによって、この余剰な溶液によって型同士の接合が妨げられるのを防止するようになっている。
【0014】
図2(b)は、図2(a)に示したA部分の拡大図であり胴体5aと胴体5bの接合部位と、足11aおよび足11bの接合部位を拡大して表したものである。また、図2(c)は胴体5aと胴体5bの接合に関する説明図、図2(d)は足11aと足11bの接合に関する説明図を表している。
成形要素の一つである胴体5aは第1の成形型2の基準面4aを窪ませた形態を成しており、基準面4aとの境界部分14を開口縁とする凹型となっている。
一方、成形要素の一つである胴体5bは、外周縁部に第2の成形型3の基準面4bから突出した突出部12を有し、当該突出部12に囲まれた部位に成形面Sを設けたものである。
【0015】
基準面4a上における開口縁である境界部分14には、図2(c)に示すように当該境界部分14から所定の深さ(H1)の段状の嵌合凹部15が設けられている。
当該嵌合凹部15は、内周面17に沿って細幅に形成された細幅の底面16と内周面17によって形成される部位であり、前記突出部12の側面壁18および先端面19と気密的に当接するように形成された部位となっている。また、境界部分14から細幅の底面16に亘る前記内周面17は、前記突出部12の側面壁18の傾斜角度に合わせて開口面が広くなるように傾斜している。
突出部12は本実施の形態では細幅の壁のような形態を成しており、外側の側面壁18を先細となるような角度で傾斜させている。また、突出部12の先端にほぼ平らな細幅の当接面19を設け、当該当接面19の基準面4bからの高さH2が前記嵌合凹部15の深さH1よりも寸法的に大きくなるように形成されている。
突出部12の形状は、前述した嵌合凹部15の形状とほぼ一致するように形成されており、底面16と当接面19が接触した際に、内周面17と側面壁18もほぼ密着するように形成されている。
【0016】
重要な点は、成形要素の一方に突出部を設け、その突出部の外周縁に細幅の当接面を設
け、当該突出部に対応する成形要素の他方に当該突出部の当接面と気密的に当接する面を設けたことである。このように形成することにより、当接面に作用する圧力を高めて成形空間の密閉度を高めるようになっている。
また、成形要素の一方に設けた突出部の側面壁18を傾斜させ、対応する嵌合凹部の内周面を同角度の傾斜面として形成している。そして、突出部と嵌合凹部が嵌り合う際に、側面壁18と傾斜面が少しづつ近接し、突出部の当接面が嵌合凹部内に当接するのとほぼ同時に密着する関係となるように形成されている。これは、近接初期の段階では余剰の成形要素を排出しやすくする隙間を多く形成し、近接間近において成形面S内を加圧することができるようにしたためである。なお、このような作用を有するものであれば、嵌合凹部の内周面を全て同一の傾斜角度に形成する必要はなく、底部付近のみに側面壁と接する傾斜面を設けても差し支えがないものである。
【0017】
また、本実施の形態のような、上記一方の型に形成した突出部と他方の型に形成した嵌合凹部が、連続的に入れ替わる場合もある。図1に示した成形型の場合、カブト虫のツノの部位B1,B2については嵌合凹部と突出部の関係が入れ代わっている。
すなわち、第1の成形型2の胴体5aの容積の大きい部位については、前述した境界部分14から連続する内周面17と細幅の底面(被当接面)16を有しているが、ツノの部位B1では次第に底面16の深さが浅くなり隆起した突出部に代わっている。一方、第2の成形型3の胴体5bの容積の大きい部位については、基準面4bより突出した当接面19を有する側面壁18を有しているが、前記第1の成形型2のツノの部位B1に対向する部位B2では、次第に側面壁18の高さが低くなり凹んだ成形要素に代わっている。
【0018】
このように、一方の型に形成された型要素が凹形状あるいは突出形状に限定されるものではなく、凹形状から突出形状に変化する場合もあるし、突出形状から凹形状に変化する場合もある。そして、この変化の遷移点(例えば前記B1)においては、互いに接する底面16と当接面19が、対向する基準面4aと基準面4bの間に形成されている空間内に存在する場合もあり得る。
上記のような例が発生するのは、型の平面方向と直交する方向に亘って成形空間が移動するように連続的に設けられている場合であり、成形要素が凹部から凸部あるいは凸部から凹部に変化する場合である。すなわち、型の合わせ面である所謂パーティングラインPLが両方の成形型に亘って設けられている場合である。
しかし、パーティングラインPLの大半は、前述した本発明特有の作用を有するように一方の型に形成された凹部(凹部が遷移した場合には遷移した方の型の凹部)の中に設けられるようになっている。若しくは、突出部の側壁と密着する内周壁および当該内周壁上に設けた突出部先端と当接する面を有し、パーティングラインPLを形成する当接面の大半が外部に露出しないように形成される。
【0019】
図2(d)は、嵌合状態を表した図2(b)の足11aおよび足11bの部分における成形型を表した説明図である。この例は、成形要素の凹凸が前記胴体5a、胴体5bとは逆になっている。すなわち、第1の成形型2に設けた足11aを突出部として形成し第2の成形型3に設けた足11bを嵌合凹部として形成している。当該足11aおよび足11bは、前述した胴体5a、胴体5bとは異なる独立した成形空間11を形成するようになっている。
突出部として形成された足11aは、その断面形状が先端面20に向かって先細となるような台形形状に形成され、その先端面20に成形空間11を形成するための成形面Sを設けている。足11aの長手方向と直交する断面に表される両側の側壁21は、先細となるようにその角度が基準面4aに対して90度よりもやや広角θを成すように形成されている。当該角度は、前記胴体5bの側面壁18も同様である。
【0020】
前記足11aと嵌合する足11bは、基準面4bよりも凹ませた成形要素であり、前述
した足11aの先端面20および両側の側壁21の外形と密に接合するように形成された嵌合凹部22となっている。
当該嵌合凹部22は、足11aの先端面20と当接する棚(段)状の底面23と足11aの両側の側壁21と当接する傾斜面24を有している。成形空間11を形成する成形面Sは、傾斜面24から所定幅離れたほぼ中央位置に窪むように形成されている。
また、前述した胴体部5の例と同様に、基準面4aに対する足11aの高さH3は、基準面4bに対する足11bの深さH4よりも、寸法的に長く形成されている。その結果、足11aと足11bが嵌合した状態であっても、基準面4aと基準面4bとの間に隙間が形成されるようになっている。
【0021】
前記足11aと足11bが嵌合すると、足11aの先端面20と足11bの底面23の接合面をパーティングラインPLとする成型空間11を形成するようなっている。そして、このパーティングラインPLを形成する両型の当接部位には、0.4mm〜1mm程度の細幅に形成された輪郭線に沿って連続する当接縁が設けられている。当該当接縁が先端面20およびこれに当接する棚状の底面23等によって形成される部分である。そして、当該パーティングラインPLの大半は、基本的にどちらかの型の基準面よりも低い位置に配置されるように設けられており、台形状に突出した凸部と当該形状と合致する凹部の側壁同士が密着するようになっている。
【0022】
図3は、上記成形型1を使用して成型物を形成する様子を表した説明図である。成形素材には、水、清涼飲料水に砂糖などの甘味料を加えた溶液に、所定量のゼラチンを加えた水溶液を使用する。適量のゼラチンを加えた水溶液は、湯煎によって暖めた状態では流動性のある液体であるが、常温程度まで冷却すると凝固して弾力性のある固体になる。本発明は、このようなゼラチン溶液を所定の形状に固化させる型およびその周辺技術を提供するものである。
【0023】
ゼラチン溶液は、一例として30mlの清涼飲料水に対して砂糖小さじ2杯を加え、これを60℃程度の湯を入れた容器中で暖め(湯煎)、さらにゼラチンパウダー10gを少量ずつ混ぜ入れることで製作する。ゼラチンは、水溶液の温度が約40℃になると良く溶けるようになるので、完成時に約40℃の水温となっているように成形素材(ゼラチン溶液)を形成する。
成形を開始するには、前述した成形型1を平らな面上に載置し、成形型2、3表面の各成形要素に対して上方から上記製作した成形素材(ゼラチン溶液)を注ぎ入れる。図3(a)は成形素材Lを成形要素内に満たした成形型2、3の端面図を表しており、各成形要素の開口面付近に設けた基準線(図示せず)まで成形素材Lを満たした様子を表している。
【0024】
成形素材Lを注ぐ場合には、胴体部5のような容積の大きい成形要素から気泡が発生しないように数段階に分けて注ぎ入れ、最後に容積の小さい成形要素に成形要素を流し入れる。成形面Sに細かい凹凸部分がある場合、注いだだけでは凹凸の隅々にまで成形素材が行き渡らないこともあるので、そのような場合には先の尖った爪楊枝状の用具を使用して隅々にまで成形素材を誘導する。
前記少量ずつの注ぎ込みを行い、所定量の注ぎ込みが完了した後、約1〜2分程度放置すると成形型2、3を縦に傾けても成形素材が即時に流れ出さない程度まで凝固する状態になる。この状態になった後に、型2の表面と型3の表面を対向させ互いの成形要素を接合させる。なお、成形型2と成形型3には、詳細には後述する接合用の基台を用いるようになっている。
【0025】
図3(b)は接合途中の胴体部5の拡大断面を示している。成形要素内には、予め成形空間を満たす容量以上の成形素材Lが投入されているため、両成形型2、3を合わせると
余剰の成形素材L1が成形要素の外周部からはみ出すように排出される。
両成形型2、3を接合させるために必要な力Fは、重ね合わせ当初は比較的軽く余剰の成形素材L1の大半がこの時に排出される。そして、完全に接合する間近になると排出される流路が狭くなるために力Fにはやや強い力が必要になり、加えた力Fに比例して成形空間の内圧を高めて、型内面に対する成形素材Lの型に対する押しつけが行われる。
なお、型の周囲から排出しきれなかった余剰の成形素材Lは、型の内面から外部に連通するように設けられている小径の排出管25から排出されるようになっている。また、温度の低下と凝固に伴って成型物が収縮する際には、当該排出管25を介して空気の侵入が行われる(図3(c)参照)。
【0026】
次に、接合させた両成形型2、3を分離しないように固定具によって固定し、その状態のまま冷却する。冷却には、一般家庭で使用されている冷蔵庫を用いることができ、15分程度冷蔵庫に入れることで、成型物を取り出すことができる程度に成形要素を固化させることができる。成型物が図示した例のように複数個の独立した部品として形成されている場合には、各部品を取り出した後に使用していないゼラチン溶液を用いて接着することができる。
【0027】
次に、上記成形型1に使用する基台について説明する。図4(a)は、基台30の外観を表した斜視図である。基台30は、高さが約5cm、幅30cm、奥行き20cmの矩形状の台として合成樹脂によって形成されており、複数の凹凸が上面に設けられたものである。
基台30の上面には、前記凹凸によって前記成形型2、3を上側に向けた状態で平面的に載置するとともに、平面方向への移動を規制することができる載置凹部31、32が設けられている。当該載置凹部31、32は、型2をほぼ収容することができる形状に形成された凹部として形成されている。
その他、基台30には、ゼラチンパウダーや各種混合物を入れた容器類を収容するための円形凹部40、湯煎を行う容器若しくは、お湯を直接いれる凹所41が設けられている。
【0028】
左側に位置する載置凹部31の左側部には、成形型2の側面から突出するように設けられている操作部材26と係合する係合部33が設けられている。さらに、載置凹部31右の中央部には成形型2の右側面に形成した支持部材27と係合する係合部34が設けられている。
操作部材26と支持部材27は、成形型2の両側面から突出するように設けられた突出部であり、一例として板状に形成されており前記係合部33と係合部34によって下方より支持されるようになっている。
【0029】
操作部材26は、基台30の側面よりも端部がやや突出するように形成されており、基台30に載置した状態において当該端部を把持しやすいようになっている。
支持部材27は、板状部の先端に丸棒のような膨出部を設けた部材であり、係合部34との係合位置において、当該膨出部を中心として型2を回動させるように支持部位となっている。
【0030】
載置凹部32は、型3をほぼ収容することができる形状に形成された凹部として形成されている。載置凹部32の右には型3の側面から突出するように設けらたる操作部材28との係合部35が設けられ、載置凹部32左の中央部には前述した係合部34が設けられている。当該係合部34には、型3の左側面に形成した支持部材29が係合するようになっている。
操作部材28と支持部材29は、成形型3の両側面から突出するように設けられた突出部であり、一例として板状に形成されており前記と係合部34と係合部35によって下方
より支持されるようになっている。
【0031】
操作部材28は図4(b)に示すように基台30の側面よりも端部がやや突出するように形成されており、基台30に載置した状態において当該操作部材28が把持しやすいようになっている。
支持部材29は、板状部の先端に丸棒のような膨出部を設けた部材であり、係合部34において、当該膨出部を中心として成形型3を回動させるように支持する部材となっている。
【0032】
係合部34は、上方に突出した2つの突起体36、2つの突起体37、これら突起体36と突起体37の中に設けられた凹溝38によって形成されている。突起体36および突起体37は、 載置凹部31に収容された成形型2の支持部材27と載置凹部32に収容
された型3の支持部材29と係合することで、成形型2、成形型3の他端を持ち上げた際に支持部材27と支持部材29と当接し位置を保持するようになっている。
係合部34では、成形型2の2つの支持部材27と成形型3の2つの支持部材29が互い違いに配置され、かつ先端の膨出部が一直線状に配置された状態となり、両者の回動中心が一致するようになっている。
【0033】
前記両者の回動中心とは、これを中心として両成形型2、3を合わせる回動させると、対を成す成形要素同士が適切に当接し、成形空間を形成することが出来るように配置された位置である。中央の係合部34は、このような関係に形成された支持部材27と支持部材29の回動中心を一致させる部位となっている。すなわち、係合部34が成形要素接合のガイドとなっている。
【0034】
図5は、基台30に載置した成形型2と成形型3を係合部34を中心として回動させ、接合させるまでの様子を表した説明図である。同図に示すように、係合部34を中心に成形型2,3を回動させると、位置合わせに気を配る必要なく、両型の成形要素同士を接合させることができる。
また、係合部34の中心には凹溝38が設けられており、両成形型2,3が略90度回動して成形要素が接合する状態になると、支持部材27と支持部材29の先端が凹溝38内に入り込むようになっている。支持部材27と支持部材29が凹溝38内に入り込むと、両支持部材の周囲を拘束し、持部材27と支持部材29が離れるのを防止することができるようになっている。
【0035】
上記のように支持部材27と支持部材29を上記凹溝38内に差し込むように保持させると、支持部材27と支持部材29が梃子の支点のような作用を行い、他端の操作部材26、28を近接させる力を加えることで、操作部材26、28を作用点として両成形型2、3を接合させることができるようになっているものである。
すなわち、基台30に設けた係合部34は、分離している成形型2と成形型3を適切に接合させるためのガイドおよび、接合に必要な力を梃子作用によって軽減することができるものとなっている。
【0036】
上記の手順により両型2、3の接合を完了すると、所定の押さえ具(図示せず)若しくは輪ゴムなどによって、型の接合状態を維持しつつ、そのまま冷蔵庫に入れて冷却する。そして、所定時間経過した後に両型2、3を分離することで、所定の形状に形成された造形物を得ることができるようになっている。
以上説明した成形型は、成形要素を設けた板状の成形型として形成したが、上述した特徴を備える成形要素、上述した作用・効果を有するものであれは、当該成形要素を設ける基礎となる部分の形状は図示した形状に限られないものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、ゼラチンを固めて形成する食品の形成に利用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 成形型
2 第1の成形型
3 第2の成形型
4(4a、4b) 基準面
12 突出部
14 境界部分
15 嵌合凹部
16 底面
17 内周面
18 側面壁
19 先端面
21 側壁
22 嵌合凹部
23 底面
24 傾斜面
25 排出管
26 操作部材
27 支持部材
28 操作部材
29 支持部材
30 基台
31、32 載置凹部
33 係合部
34 係合部
35 係合部
36 突起体
37 突起体
38 凹溝
40 円形凹部
41 凹所
L 成形素材
S 成形面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形空間の一部を形成する第1の成形面を設けた一方の成形型と、前記第1の成形面とともに前記成形空間を形成する第2の成形面を設けた他方の型を有した成形型であって、
前記成形型は、第1の成形面および第2の成形面の縁部に、互いに当接する細幅の当接面を有するとともに、
前記当接面を表面上に突出させた突出部の縁部、表面部を窪ませた嵌合凹部の内周壁に沿った底部もしくは前記突出部から前記嵌合凹部へ連続的に変化する成形面の縁部に設け、
前記突出部の側面壁を先端に向かって先細となる角度に形成するとともに、前記凹部の内周壁に前記側面壁と密着可能となる傾斜面を設け、
前記一方の成形型の当接面と他方の成形型の当接面が当接する際に、前記突出部の側面壁と前記凹部の傾斜面がほぼ密着するように形成したことを特徴とする成形型。
【請求項2】
前記一方の成形型および他方の成形型に、前記第1の成形面と第2の成形面が適切に接合するように回動させる回動中心となる位置に支持部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の成形型。
【請求項3】
成形空間の一部を形成する第1の成形面を設けた一方の成形型と、前記第1の成形面とともに前記成形空間を形成する第2の成形面を設けた他方の型を用いる成形装置であって、
前記成形型は、第1の成形面および第2の成形面の縁部に、互いに当接する細幅の当接面を有するとともに、
前記当接面を表面上に突出させた突出部の縁部、表面部を窪ませた嵌合凹部の内周壁に沿った底部もしくは前記突出部から前記嵌合凹部へ連続的に変化する成形面の縁部に設け、
前記突出部の側面壁を先端に向かって先細となる角度に形成するとともに、前記凹部の内周壁に前記側面壁と密着可能となる傾斜面を設け、
前記一方の成形型の当接面と他方の成形型の当接面が当接する際に、前記突出部の側面壁と前記凹部の傾斜面がほぼ密着するように形成し、
前記一方の成形型および他方の成形型に、前記第1の成形面と第2の成形面が適切に接合するように回動させる回動中心となる位置に支持部材を設け、前記一方の成形型および他方の成形型を平面的に配置する載置部と前記支持部材を回動可能に支持する係合部を設けた基台を有したことを特徴とする成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−142885(P2011−142885A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7838(P2010−7838)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(591274532)株式会社メガハウス (8)
【Fターム(参考)】