成形型
【課題】締結部を有する成形品を成形する成形型の製作工期を短縮する。
【解決手段】本発明は、円筒状をなす円形リブ11の端部に開口する開口部からボス部12が突出して設けられた締結部10を有するドアトリム20を成形する成形型1であって、成形型1において締結部10を成形する部位は、円形孔からなる装着孔2Aを有する型本体2と、装着孔2Aに嵌合し、円形孔からなる支持孔3Dを有する円筒部材3と、支持孔3Dに嵌合する段付ピン4とから構成され、円形リブ11を成形するための円形リブ成形空間S1は、装着孔2Aの内周面と円筒部材3の外周面との間に形成され、ボス部12を成形するためのボス部成形空間S2は、支持孔3Dの内周面と段付ピン4の外周面との間に形成されている構成としたところに特徴を有する。
【解決手段】本発明は、円筒状をなす円形リブ11の端部に開口する開口部からボス部12が突出して設けられた締結部10を有するドアトリム20を成形する成形型1であって、成形型1において締結部10を成形する部位は、円形孔からなる装着孔2Aを有する型本体2と、装着孔2Aに嵌合し、円形孔からなる支持孔3Dを有する円筒部材3と、支持孔3Dに嵌合する段付ピン4とから構成され、円形リブ11を成形するための円形リブ成形空間S1は、装着孔2Aの内周面と円筒部材3の外周面との間に形成され、ボス部12を成形するためのボス部成形空間S2は、支持孔3Dの内周面と段付ピン4の外周面との間に形成されている構成としたところに特徴を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状をなす円形リブの端部に開口する開口部からボス部が突出して設けられた締結部を有する成形品を成形する成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の締結部を有する成形品を成型する成形型として、例えば下記特許文献1に記載の成形型が知られている。この成形型について図11ないし図16の図面を参照しながら説明する。締結部100は、図11に示すように、円筒状をなすボス部101と、ボス部101の外周側面から等間隔で放射状に突出する4つの片状リブ102とを備えている。尚、片状リブは4つとは限らず、1つまたは複数の片状リブを設定してもよい。
【0003】
締結部100と相手側部材110との締結構造について説明する。相手側部材110に貫通して設けられた貫通孔111をボス部101に挿通し、図12に示すように、貫通孔111の外周縁部を片状リブ102の上端縁によって支持する。この状態では、ボス部101が貫通孔111から突出しており、この突出部を超音波ホーンなどの溶着機120によって溶融させ、冷却、固化することにより、図13に示すように、締結部100と相手側部材110との接合が行われる。
【0004】
このような締結部100を成型する成形型130は、図14に示すように、型本体131と、型本体131に開口する凹部133に嵌合している段付ピン132とを備えている。段付ピン132は、円柱状に切り出された金属製の丸棒から削り出しなどの切削加工によって形成してもよい。一方、型本体131は、図15に示すように、略方形のブロック状をなす金属塊を上下方向に形成された凹部133を有し、この凹部133は、ドリル加工などの切削加工を行うことによって形成されている。次に、凹部133が形成された金属塊に対し、図16に示すように、凹部133の中心部を放電加工することによって十字状の溝部134が形成されている。
【特許文献1】特開2000−304015公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、放電加工は、放電によりドリル孔の表面の一部を溶融切削するため、非常に長い加工時間を要し、成形型130を製作する工期が全体として長くなってしまう。また、締結部100の片状リブ102の形状は、相手側部材110との位置関係によって決定され、相手側部材110と離れた位置に締結部100を設ける場合には、片状リブ102の長さが長くなり、これに伴って、溝部134の深さ寸法も長くなる。切削加工は、所定の深さ寸法までしか加工することができず、溝部134の深さ寸法が所定の深さ寸法を超えてしまうと、もはや切削加工によって加工することはできなくなる。したがって、溝部134を放電加工によって形成するしかなく、成形型130の製作工期はますます長くなってしまう。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、締結部を有する成形品を成形する成形型の製作工期を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、円筒状をなす円形リブの端部に開口する開口部からボス部が突出して設けられた締結部を有する成形品を成形する成形型であって、成形型において締結部を成形する部位は、円形孔からなる装着凹部を有する型本体と、装着凹部に嵌合し、円形孔からなる支持凹部を有する第1部材と、支持凹部に嵌合する第2部材とから構成され、円形リブを成形するための円形リブ成形空間は、装着凹部の内周面と第1部材の外周面との間に形成され、ボス部を成形するためのボス部成形空間は、支持凹部の内周面と第2部材の外周面との間に形成されている構成としたところに特徴を有する。
【0008】
このような構成によると、型本体の装着凹部に第1部材を嵌合し、第1部材の支持凹部に第2部材を嵌合することにより、成形型を組み立てることができる。装着凹部及び支持凹部は円形孔によって構成されているため、ドリル加工などの切削加工によって形成することができる。これに伴って、第1部材の外周面及び第2部材の外周面は円形となるため、削り出しなどの切削加工によって形成することができる。このように、放電加工を用いることなく切削加工によって成形型を製作することができ、成形型の製作工期を大幅に短縮することができる。
【0009】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
第1部材は、装着凹部の内周面と摺接する大径部と、大径部と同軸でかつ大径部より径寸法が小さい小径部とを備え、円形リブ成形空間は、装着凹部の内周面と小径部の外周面との間に形成されている構成としてもよい。
このような構成をとった場合、装着凹部の内周面をドリル加工などの切削加工によって形成し、小径部の外周面を削り出しなどの切削加工によって形成すればよい。よって、円形リブ成形空間を簡易に形成することができる。
【0010】
第2部材は、支持凹部の内周面と摺接する基部と、基部と同軸でかつ基部から軸方向に突出するピン本体部とを備え、ボス部成形空間は、ピン本体部の外周面と支持凹部の内周面との間に形成されている構成としてもよい。
このような構成をとった場合、支持凹部の内周面をドリル加工などの切削加工によって形成し、ピン本体部の外周面を削り出しなどの切削加工によって形成すればよい。よって、ボス部成形空間を簡易に形成することができる。
【0011】
装着凹部は、型本体に対し厚み方向に貫通する形態をなし、支持凹部は、第1部材に対し長手方向に貫通する形態をなし、第1部材は、装着凹部に対して型本体の裏面側から嵌合され正規位置にて前止まりされ、第2部材は、支持凹部に対して型本体の裏面側から嵌合され正規位置にて前止まりされるものにおいて、正規位置にてそれぞれ前止まりされた第1部材及び第2部材に対し型本体の裏面側から宛がわれることによって第1部材及び第2部材が型本体の裏面側へ移動することを規制する規制部材を備えている構成としてもよい。
【0012】
このような構成によると、第1部材及び第2部材を正規位置にて前止まりすることができ、第1部材及び第2部材に対して規制部材を型本体の裏面側から宛がうことにより第1部材及び第2部材が型本体の裏面側へ移動することを規制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、締結部を有する成形品を成形する成形型の製作工期を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<実施形態>
本発明の実施形態を図1ないし図10の図面を参照しながら説明する。本実施形態における成形型1は、車両のドアトリム(本発明の「成形品」の一例)20を構成するドアトリム本体21を成形する成形型である。ドアトリム本体21の車室外側面には、締結部10が一体成形されている。ドアトリム本体21の車室外側には、ドアトリム20を構成する裏当てボード22が対向配置されている。裏当てボード22は、締結部10により、ドアトリム本体21に固定されている。尚、本実施形態では裏当てボード22をドアポケットの裏板に適用しているものの、ドアポケットの裏板以外にもオーナメントや目隠し部材などにも適用可能である。
【0015】
ここで、締結部10による締結構造について説明する。締結部10は、図2に示すように、内筒部と外筒部とからなる二重筒構造をなし、いずれの筒部もドアトリム本体21の車室外側面から車室外側に向けて突出する形状をなしている。また、締結部10は、前記内筒部の突出端が前記外筒部の突出端よりも突出する態様をなしている。尚、前記外筒部は、本発明における「円形リブ」であって、以下の説明では「円形リブ11」といい、前記内筒部は、本発明における「ボス部」であって、以下の説明では「ボス部12」という。
【0016】
一方、裏当てボード22には、ボス部12の径寸法とほぼ同じかやや大きめの内径を有する貫通孔23が形成されている。ボス部12が貫通孔23に挿通されると、貫通孔23の外周縁部が円形リブ11の開口縁(円形リブ11の端部に開口する開口部の端縁)によって支持されるようになっている。円形リブ11の開口縁から突出するボス部12の突出長さは、裏当てボード22が円形リブ11の開口縁によって支持された状態においてボス部12が貫通孔23を貫通して円形リブ11とは反対側に突出するように設定されている。すなわち、ボス部12の突出長さは、裏当てボード22の板厚よりも長めに設定されている。
【0017】
貫通孔23をボス部12に挿通して裏当てボード22を円形リブ11によって支持した後、貫通孔23から突出したボス部12を超音波ホーンなどの溶着機30を用いて溶融させ、冷却、固化させると、図3に示すように、溶着部12Aが形成される。これにより、裏当てボード22は、円形リブ11の開口縁とボス部12の溶着部12Aとの間に挟まれた状態に保持され、裏当てボード22を締結部10によってドアトリム本体21に固定することができる。
【0018】
成形型1において締結部10を成形する部位は、図4及び図5に示すように、型本体2、円筒部材(本発明の「第1部材」の一例)3、段付ピン(本発明の「第2部材」の一例)4、取付板(本発明の「規制部材」の一例)5、取付ねじ6等によって構成されている。
【0019】
型本体2には、型本体2を厚み方向(図4における上下方向)に貫通する装着孔(本発明の「装着凹部」の一例)2Aが形成されている。装着孔2Aには、円筒部材3が後方(図4における上方)から嵌合可能である。装着孔2Aは、軸方向に同一の内径を有し、装着孔2Aの後端開口には、径方向外側に拡張された拡張部2Bが形成されている。
【0020】
ここで、型本体2の加工方法について説明する。まず、図6に示すように、略方形のブロック状をなす金属塊40に対し、ドリル刃42を回転させながら切削することによって拡張部2Bを形成する。次に、拡張部2Bが形成された金属塊41に対し、図7に示すように、ドリル刃43を回転させながら切削することによって装着孔2Aを厚さ方向に貫通して形成する。こうして、型本体2を形成することができる。
【0021】
円筒部材3は、型本体2の成形面側(図4における下方)から順に、小径部3Aと、小径部3Aより径寸法が大きい大径部3Bと、大径部3Bより径寸法が大きいフランジ部3Cとが同軸で配置された構成である。大径部3Bの外周面は、装着孔2Aとの嵌合時に装着孔2Aの内周面と摺接可能である。円筒部材3は、正規位置においてフランジ部3Cが拡張部2Bに嵌合することで前止まりされる。
【0022】
また、図4に示すように、正規位置に嵌合した円筒部材3は、フランジ部3Cの後面と型本体2の裏面(図4における上方)とが面一となり、小径部3Aの先端面と型本体2の成形面とが揃う位置となるように設定されている。また、円筒部材3が正規位置にて装着孔2Aに嵌合した状態では、装着孔2Aの内周面と小径部3Aの外周面との間に、円形リブ11を成形するための円形リブ成形空間S1が形成される。
【0023】
円筒部材3には、円筒部材3を軸方向に貫通する支持孔(本発明の「支持凹部」の一例)3Dが形成されている。支持孔3Dには、段付ピン4が後方から嵌合可能である。支持孔3Dは、軸方向に同一の内径を有し、支持孔3Dの後端開口には、径方向外側に拡径された拡径部3Eが形成されている。
【0024】
ここで、円筒部材3の加工方法について説明する。まず、図8に示すように、パイプ状の金属製の丸棒50をNC旋盤(図示せず)などにセットし、丸棒50の後面にドリル刃52を回転させながら切削することによって拡径部3Eを形成する。次に、拡径部3Eが形成された丸棒50をNC旋盤(図示せず)などにセットし、図9に示すように、丸棒50を回転させながら丸棒50の外周面を右片刃バイト56などで切削することによって小径部3A及び大径部3Bを形成する。こうして、円筒部材3を形成することができる。
【0025】
段付ピン4は、基部4Aと、基部4Aの中央部から軸方向に突出するピン本体部4Bとが同軸で配置された構成である。さらに基部4Aは、支持孔3Dの内周面に摺接可能な前半部4A(1)と、拡径部3Eの内周面に摺接可能な後半部4A(2)とから構成されている。段付ピン4は、正規位置において基部4Aの後半部4A(2)が拡径部3Eに嵌合することで前止まりされる。このとき、基部4Aの前半部4A(1)は支持孔3Dに嵌合する。
【0026】
また、正規位置に嵌合した段付ピン4は、基部4Aの後面とフランジ部3Cの後面とが面一となり、ピン本体部4Bの先端面と型本体2の成形面とが揃う位置となるように設定されている。また、段付ピン4が正規位置にて支持孔3Dに嵌合した状態では、支持孔3Dの内周面とピン本体部4Bの外周面との間に、ボス部12を成形するためのボス部成形空間S2が形成される。
【0027】
ここで、段付ピン4の加工方法について説明する。まず、円柱状に切り出された金属製の丸棒60をNC旋盤(図示せず)などにセットし、図10に示すように、丸棒60を回転させながら丸棒60の外周面を右片刃バイト61などで切削することによってピン本体部4B及び基部4Aの前半部4A(1)を形成する。こうして、段付ピン4を形成することができる。
【0028】
円筒部材3及び段付ピン4が正規位置にて型本体2に取り付けられた状態では、型本体2の裏面と円筒部材3の後端面と段付ピン4の後面とが面一となる。このため、面一となった型本体2の裏面に取付板5を宛がい、取付ねじ6で取付板5を型本体2に固定することにより、円筒部材3及び段付ピン4が後方へ移動することを規制することができる。こうして、成形型1を組み立てることができる。
【0029】
以上のように本実施形態では放電加工を行うことなく、切削加工のみによって成形型1を製作したから、成形型1の製作工期を大幅に短縮することができた。このように、切削加工のみで成形型1を製作することができた理由は、締結部10の溶着加工時における位置決め座を円形リブ11とし、円形リブ11を成形するための円形リブ成形空間S1を装着孔2Aの内周面と円筒部材3の小径部3Aの外周面とによって構成したからである。従来は、型本体131に溝部134を設けた構成であり、溝部134を切削加工することができず、放電加工によって加工するしかなかった。要するに、従来における型本体131を、本実施形態では型本体2及び円筒部材3の2部材で構成したから、加工方法の自由度を高めることが可能となった。
【0030】
また、取付板5を取付ねじ6で型本体2の裏面に宛がうことで円筒部材3及び段付ピン4の後方への移動を規制したから、円筒部材3及び段付ピン4を型本体2に対して強固に固定することができた。
【0031】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態では装着孔2A及び支持孔3Dを貫通孔としているものの、本発明によると、装着孔2A及び支持孔3Dを有底の凹部としてもよい。
【0032】
(2)本実施形態では成形品としてのドアトリム20に適用しているものの、本発明によると、ドアトリム20以外の内装材にも適用可能である。
【0033】
(3)本実施形態では裏当てボード22の貫通孔23から突出したボス部12を超音波ホーンなどの溶着機30を用いて溶着することで裏当てボード22をドアトリム本体に固定しているものの、本発明によれば、ボス部12の上端位置を変えることにより別個の締結部品(スクリューなど)をボス部12にねじ止めし取付固定してもよい。
【0034】
(4)本実施形態では円形リブ11とボス部12が独立して設けられているものの、本発明によると、ボス部12の倒れ防止のため、円形リブ11の付け根とボス部12の付け根を連結する連結リブを周設してもよい。
【0035】
(5)本実施形態では円筒部材3の外周面側を切削することにより円形リブ成形空間S1を形成しているものの、本発明によると、装着孔2Aの内周面側を切削することにより円形リブ成形空間S1を形成してもよい。
【0036】
(6)本実施形態では段付ピン4の外周面側を切削することによりボス部成形空間S2を形成しているものの、本発明によると、円筒部材3の支持孔3Dの内周面側を切削することによりボス部成形空間S2を形成してもよい。
【0037】
(7)本実施形態では取付板5及び取付ねじ6を用いて円筒部材3及び段付ピン4の固定を行っているものの、本発明によると、円筒部材3を型本体2に直接ねじ止めしてもよいし、段付ピン4を円筒部材3に直接ねじ止めしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態におけるドアトリムの正面図
【図2】その締結部の溶着前の状態を示した断面図
【図3】その締結部の溶着後の状態を示した断面図
【図4】その締結部を成形する成形型の断面図
【図5】その成形型の分解断面図
【図6】その型本体の拡張部をドリル刃によって形成した様子を示した斜視図
【図7】その型本体の装着孔をドリル刃によって形成した様子を示した斜視図
【図8】その円筒部材の支持孔をドリル刃によって形成した様子を示した斜視図
【図9】その円筒部材の小径部及び大径部を右片刃バイトによる切削によって形成した様子を示した斜視図
【図10】その段付ピンのピン本体部及び基部の前半部を右片刃バイトによる切削によって形成した様子を示した斜視図
【図11】従来における締結部の斜視図
【図12】その締結部の溶着前の状態を示した断面図
【図13】その締結部の溶着後の状態を示した断面図
【図14】その締結部を成形する成形型の断面図
【図15】その型本体の支持凹部をドリル刃によって形成した様子を示した斜視図
【図16】その型本体の溝部を放電加工によって形成した様子を示した斜視図
【符号の説明】
【0039】
1…成形型
2…型本体
2A…装着孔(装着凹部)
2B…拡張部
3…円筒部材(第1部材)
3A…小径部
3B…大径部
3D…支持孔(支持凹部)
4…段付ピン(第2部材)
4A…基部
4B…ピン本体部
5…取付板(規制部材)
10…締結部
11…円形リブ
12…ボス部
20…ドアトリム(成形品)
S1…円形リブ成形空間
S2…ボス部成形空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状をなす円形リブの端部に開口する開口部からボス部が突出して設けられた締結部を有する成形品を成形する成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の締結部を有する成形品を成型する成形型として、例えば下記特許文献1に記載の成形型が知られている。この成形型について図11ないし図16の図面を参照しながら説明する。締結部100は、図11に示すように、円筒状をなすボス部101と、ボス部101の外周側面から等間隔で放射状に突出する4つの片状リブ102とを備えている。尚、片状リブは4つとは限らず、1つまたは複数の片状リブを設定してもよい。
【0003】
締結部100と相手側部材110との締結構造について説明する。相手側部材110に貫通して設けられた貫通孔111をボス部101に挿通し、図12に示すように、貫通孔111の外周縁部を片状リブ102の上端縁によって支持する。この状態では、ボス部101が貫通孔111から突出しており、この突出部を超音波ホーンなどの溶着機120によって溶融させ、冷却、固化することにより、図13に示すように、締結部100と相手側部材110との接合が行われる。
【0004】
このような締結部100を成型する成形型130は、図14に示すように、型本体131と、型本体131に開口する凹部133に嵌合している段付ピン132とを備えている。段付ピン132は、円柱状に切り出された金属製の丸棒から削り出しなどの切削加工によって形成してもよい。一方、型本体131は、図15に示すように、略方形のブロック状をなす金属塊を上下方向に形成された凹部133を有し、この凹部133は、ドリル加工などの切削加工を行うことによって形成されている。次に、凹部133が形成された金属塊に対し、図16に示すように、凹部133の中心部を放電加工することによって十字状の溝部134が形成されている。
【特許文献1】特開2000−304015公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、放電加工は、放電によりドリル孔の表面の一部を溶融切削するため、非常に長い加工時間を要し、成形型130を製作する工期が全体として長くなってしまう。また、締結部100の片状リブ102の形状は、相手側部材110との位置関係によって決定され、相手側部材110と離れた位置に締結部100を設ける場合には、片状リブ102の長さが長くなり、これに伴って、溝部134の深さ寸法も長くなる。切削加工は、所定の深さ寸法までしか加工することができず、溝部134の深さ寸法が所定の深さ寸法を超えてしまうと、もはや切削加工によって加工することはできなくなる。したがって、溝部134を放電加工によって形成するしかなく、成形型130の製作工期はますます長くなってしまう。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、締結部を有する成形品を成形する成形型の製作工期を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、円筒状をなす円形リブの端部に開口する開口部からボス部が突出して設けられた締結部を有する成形品を成形する成形型であって、成形型において締結部を成形する部位は、円形孔からなる装着凹部を有する型本体と、装着凹部に嵌合し、円形孔からなる支持凹部を有する第1部材と、支持凹部に嵌合する第2部材とから構成され、円形リブを成形するための円形リブ成形空間は、装着凹部の内周面と第1部材の外周面との間に形成され、ボス部を成形するためのボス部成形空間は、支持凹部の内周面と第2部材の外周面との間に形成されている構成としたところに特徴を有する。
【0008】
このような構成によると、型本体の装着凹部に第1部材を嵌合し、第1部材の支持凹部に第2部材を嵌合することにより、成形型を組み立てることができる。装着凹部及び支持凹部は円形孔によって構成されているため、ドリル加工などの切削加工によって形成することができる。これに伴って、第1部材の外周面及び第2部材の外周面は円形となるため、削り出しなどの切削加工によって形成することができる。このように、放電加工を用いることなく切削加工によって成形型を製作することができ、成形型の製作工期を大幅に短縮することができる。
【0009】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
第1部材は、装着凹部の内周面と摺接する大径部と、大径部と同軸でかつ大径部より径寸法が小さい小径部とを備え、円形リブ成形空間は、装着凹部の内周面と小径部の外周面との間に形成されている構成としてもよい。
このような構成をとった場合、装着凹部の内周面をドリル加工などの切削加工によって形成し、小径部の外周面を削り出しなどの切削加工によって形成すればよい。よって、円形リブ成形空間を簡易に形成することができる。
【0010】
第2部材は、支持凹部の内周面と摺接する基部と、基部と同軸でかつ基部から軸方向に突出するピン本体部とを備え、ボス部成形空間は、ピン本体部の外周面と支持凹部の内周面との間に形成されている構成としてもよい。
このような構成をとった場合、支持凹部の内周面をドリル加工などの切削加工によって形成し、ピン本体部の外周面を削り出しなどの切削加工によって形成すればよい。よって、ボス部成形空間を簡易に形成することができる。
【0011】
装着凹部は、型本体に対し厚み方向に貫通する形態をなし、支持凹部は、第1部材に対し長手方向に貫通する形態をなし、第1部材は、装着凹部に対して型本体の裏面側から嵌合され正規位置にて前止まりされ、第2部材は、支持凹部に対して型本体の裏面側から嵌合され正規位置にて前止まりされるものにおいて、正規位置にてそれぞれ前止まりされた第1部材及び第2部材に対し型本体の裏面側から宛がわれることによって第1部材及び第2部材が型本体の裏面側へ移動することを規制する規制部材を備えている構成としてもよい。
【0012】
このような構成によると、第1部材及び第2部材を正規位置にて前止まりすることができ、第1部材及び第2部材に対して規制部材を型本体の裏面側から宛がうことにより第1部材及び第2部材が型本体の裏面側へ移動することを規制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、締結部を有する成形品を成形する成形型の製作工期を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<実施形態>
本発明の実施形態を図1ないし図10の図面を参照しながら説明する。本実施形態における成形型1は、車両のドアトリム(本発明の「成形品」の一例)20を構成するドアトリム本体21を成形する成形型である。ドアトリム本体21の車室外側面には、締結部10が一体成形されている。ドアトリム本体21の車室外側には、ドアトリム20を構成する裏当てボード22が対向配置されている。裏当てボード22は、締結部10により、ドアトリム本体21に固定されている。尚、本実施形態では裏当てボード22をドアポケットの裏板に適用しているものの、ドアポケットの裏板以外にもオーナメントや目隠し部材などにも適用可能である。
【0015】
ここで、締結部10による締結構造について説明する。締結部10は、図2に示すように、内筒部と外筒部とからなる二重筒構造をなし、いずれの筒部もドアトリム本体21の車室外側面から車室外側に向けて突出する形状をなしている。また、締結部10は、前記内筒部の突出端が前記外筒部の突出端よりも突出する態様をなしている。尚、前記外筒部は、本発明における「円形リブ」であって、以下の説明では「円形リブ11」といい、前記内筒部は、本発明における「ボス部」であって、以下の説明では「ボス部12」という。
【0016】
一方、裏当てボード22には、ボス部12の径寸法とほぼ同じかやや大きめの内径を有する貫通孔23が形成されている。ボス部12が貫通孔23に挿通されると、貫通孔23の外周縁部が円形リブ11の開口縁(円形リブ11の端部に開口する開口部の端縁)によって支持されるようになっている。円形リブ11の開口縁から突出するボス部12の突出長さは、裏当てボード22が円形リブ11の開口縁によって支持された状態においてボス部12が貫通孔23を貫通して円形リブ11とは反対側に突出するように設定されている。すなわち、ボス部12の突出長さは、裏当てボード22の板厚よりも長めに設定されている。
【0017】
貫通孔23をボス部12に挿通して裏当てボード22を円形リブ11によって支持した後、貫通孔23から突出したボス部12を超音波ホーンなどの溶着機30を用いて溶融させ、冷却、固化させると、図3に示すように、溶着部12Aが形成される。これにより、裏当てボード22は、円形リブ11の開口縁とボス部12の溶着部12Aとの間に挟まれた状態に保持され、裏当てボード22を締結部10によってドアトリム本体21に固定することができる。
【0018】
成形型1において締結部10を成形する部位は、図4及び図5に示すように、型本体2、円筒部材(本発明の「第1部材」の一例)3、段付ピン(本発明の「第2部材」の一例)4、取付板(本発明の「規制部材」の一例)5、取付ねじ6等によって構成されている。
【0019】
型本体2には、型本体2を厚み方向(図4における上下方向)に貫通する装着孔(本発明の「装着凹部」の一例)2Aが形成されている。装着孔2Aには、円筒部材3が後方(図4における上方)から嵌合可能である。装着孔2Aは、軸方向に同一の内径を有し、装着孔2Aの後端開口には、径方向外側に拡張された拡張部2Bが形成されている。
【0020】
ここで、型本体2の加工方法について説明する。まず、図6に示すように、略方形のブロック状をなす金属塊40に対し、ドリル刃42を回転させながら切削することによって拡張部2Bを形成する。次に、拡張部2Bが形成された金属塊41に対し、図7に示すように、ドリル刃43を回転させながら切削することによって装着孔2Aを厚さ方向に貫通して形成する。こうして、型本体2を形成することができる。
【0021】
円筒部材3は、型本体2の成形面側(図4における下方)から順に、小径部3Aと、小径部3Aより径寸法が大きい大径部3Bと、大径部3Bより径寸法が大きいフランジ部3Cとが同軸で配置された構成である。大径部3Bの外周面は、装着孔2Aとの嵌合時に装着孔2Aの内周面と摺接可能である。円筒部材3は、正規位置においてフランジ部3Cが拡張部2Bに嵌合することで前止まりされる。
【0022】
また、図4に示すように、正規位置に嵌合した円筒部材3は、フランジ部3Cの後面と型本体2の裏面(図4における上方)とが面一となり、小径部3Aの先端面と型本体2の成形面とが揃う位置となるように設定されている。また、円筒部材3が正規位置にて装着孔2Aに嵌合した状態では、装着孔2Aの内周面と小径部3Aの外周面との間に、円形リブ11を成形するための円形リブ成形空間S1が形成される。
【0023】
円筒部材3には、円筒部材3を軸方向に貫通する支持孔(本発明の「支持凹部」の一例)3Dが形成されている。支持孔3Dには、段付ピン4が後方から嵌合可能である。支持孔3Dは、軸方向に同一の内径を有し、支持孔3Dの後端開口には、径方向外側に拡径された拡径部3Eが形成されている。
【0024】
ここで、円筒部材3の加工方法について説明する。まず、図8に示すように、パイプ状の金属製の丸棒50をNC旋盤(図示せず)などにセットし、丸棒50の後面にドリル刃52を回転させながら切削することによって拡径部3Eを形成する。次に、拡径部3Eが形成された丸棒50をNC旋盤(図示せず)などにセットし、図9に示すように、丸棒50を回転させながら丸棒50の外周面を右片刃バイト56などで切削することによって小径部3A及び大径部3Bを形成する。こうして、円筒部材3を形成することができる。
【0025】
段付ピン4は、基部4Aと、基部4Aの中央部から軸方向に突出するピン本体部4Bとが同軸で配置された構成である。さらに基部4Aは、支持孔3Dの内周面に摺接可能な前半部4A(1)と、拡径部3Eの内周面に摺接可能な後半部4A(2)とから構成されている。段付ピン4は、正規位置において基部4Aの後半部4A(2)が拡径部3Eに嵌合することで前止まりされる。このとき、基部4Aの前半部4A(1)は支持孔3Dに嵌合する。
【0026】
また、正規位置に嵌合した段付ピン4は、基部4Aの後面とフランジ部3Cの後面とが面一となり、ピン本体部4Bの先端面と型本体2の成形面とが揃う位置となるように設定されている。また、段付ピン4が正規位置にて支持孔3Dに嵌合した状態では、支持孔3Dの内周面とピン本体部4Bの外周面との間に、ボス部12を成形するためのボス部成形空間S2が形成される。
【0027】
ここで、段付ピン4の加工方法について説明する。まず、円柱状に切り出された金属製の丸棒60をNC旋盤(図示せず)などにセットし、図10に示すように、丸棒60を回転させながら丸棒60の外周面を右片刃バイト61などで切削することによってピン本体部4B及び基部4Aの前半部4A(1)を形成する。こうして、段付ピン4を形成することができる。
【0028】
円筒部材3及び段付ピン4が正規位置にて型本体2に取り付けられた状態では、型本体2の裏面と円筒部材3の後端面と段付ピン4の後面とが面一となる。このため、面一となった型本体2の裏面に取付板5を宛がい、取付ねじ6で取付板5を型本体2に固定することにより、円筒部材3及び段付ピン4が後方へ移動することを規制することができる。こうして、成形型1を組み立てることができる。
【0029】
以上のように本実施形態では放電加工を行うことなく、切削加工のみによって成形型1を製作したから、成形型1の製作工期を大幅に短縮することができた。このように、切削加工のみで成形型1を製作することができた理由は、締結部10の溶着加工時における位置決め座を円形リブ11とし、円形リブ11を成形するための円形リブ成形空間S1を装着孔2Aの内周面と円筒部材3の小径部3Aの外周面とによって構成したからである。従来は、型本体131に溝部134を設けた構成であり、溝部134を切削加工することができず、放電加工によって加工するしかなかった。要するに、従来における型本体131を、本実施形態では型本体2及び円筒部材3の2部材で構成したから、加工方法の自由度を高めることが可能となった。
【0030】
また、取付板5を取付ねじ6で型本体2の裏面に宛がうことで円筒部材3及び段付ピン4の後方への移動を規制したから、円筒部材3及び段付ピン4を型本体2に対して強固に固定することができた。
【0031】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態では装着孔2A及び支持孔3Dを貫通孔としているものの、本発明によると、装着孔2A及び支持孔3Dを有底の凹部としてもよい。
【0032】
(2)本実施形態では成形品としてのドアトリム20に適用しているものの、本発明によると、ドアトリム20以外の内装材にも適用可能である。
【0033】
(3)本実施形態では裏当てボード22の貫通孔23から突出したボス部12を超音波ホーンなどの溶着機30を用いて溶着することで裏当てボード22をドアトリム本体に固定しているものの、本発明によれば、ボス部12の上端位置を変えることにより別個の締結部品(スクリューなど)をボス部12にねじ止めし取付固定してもよい。
【0034】
(4)本実施形態では円形リブ11とボス部12が独立して設けられているものの、本発明によると、ボス部12の倒れ防止のため、円形リブ11の付け根とボス部12の付け根を連結する連結リブを周設してもよい。
【0035】
(5)本実施形態では円筒部材3の外周面側を切削することにより円形リブ成形空間S1を形成しているものの、本発明によると、装着孔2Aの内周面側を切削することにより円形リブ成形空間S1を形成してもよい。
【0036】
(6)本実施形態では段付ピン4の外周面側を切削することによりボス部成形空間S2を形成しているものの、本発明によると、円筒部材3の支持孔3Dの内周面側を切削することによりボス部成形空間S2を形成してもよい。
【0037】
(7)本実施形態では取付板5及び取付ねじ6を用いて円筒部材3及び段付ピン4の固定を行っているものの、本発明によると、円筒部材3を型本体2に直接ねじ止めしてもよいし、段付ピン4を円筒部材3に直接ねじ止めしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態におけるドアトリムの正面図
【図2】その締結部の溶着前の状態を示した断面図
【図3】その締結部の溶着後の状態を示した断面図
【図4】その締結部を成形する成形型の断面図
【図5】その成形型の分解断面図
【図6】その型本体の拡張部をドリル刃によって形成した様子を示した斜視図
【図7】その型本体の装着孔をドリル刃によって形成した様子を示した斜視図
【図8】その円筒部材の支持孔をドリル刃によって形成した様子を示した斜視図
【図9】その円筒部材の小径部及び大径部を右片刃バイトによる切削によって形成した様子を示した斜視図
【図10】その段付ピンのピン本体部及び基部の前半部を右片刃バイトによる切削によって形成した様子を示した斜視図
【図11】従来における締結部の斜視図
【図12】その締結部の溶着前の状態を示した断面図
【図13】その締結部の溶着後の状態を示した断面図
【図14】その締結部を成形する成形型の断面図
【図15】その型本体の支持凹部をドリル刃によって形成した様子を示した斜視図
【図16】その型本体の溝部を放電加工によって形成した様子を示した斜視図
【符号の説明】
【0039】
1…成形型
2…型本体
2A…装着孔(装着凹部)
2B…拡張部
3…円筒部材(第1部材)
3A…小径部
3B…大径部
3D…支持孔(支持凹部)
4…段付ピン(第2部材)
4A…基部
4B…ピン本体部
5…取付板(規制部材)
10…締結部
11…円形リブ
12…ボス部
20…ドアトリム(成形品)
S1…円形リブ成形空間
S2…ボス部成形空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状をなす円形リブの端部に開口する開口部からボス部が突出して設けられた締結部を有する成形品を成形する成形型であって、
前記成形型において前記締結部を成形する部位は、円形孔からなる装着凹部を有する型本体と、前記装着凹部に嵌合し、円形孔からなる支持凹部を有する第1部材と、前記支持凹部に嵌合する第2部材とから構成され、
前記円形リブを成形するための円形リブ成形空間は、前記装着凹部の内周面と前記第1部材の外周面との間に形成され、
前記ボス部を成形するためのボス部成形空間は、前記支持凹部の内周面と前記第2部材の外周面との間に形成されている成形型。
【請求項2】
前記第1部材は、前記装着凹部の内周面と摺接する大径部と、前記大径部と同軸でかつ前記大径部より径寸法が小さい小径部とを備え、前記円形リブ成形空間は、前記装着凹部の内周面と前記小径部の外周面との間に形成されている請求項1に記載の成形型。
【請求項3】
前記第2部材は、前記支持凹部の内周面と摺接する基部と、前記基部と同軸でかつ前記基部から軸方向に突出するピン本体部とを備え、前記ボス部成形空間は、前記ピン本体部の外周面と前記支持凹部の内周面との間に形成されている請求項1又は請求項2に記載の成形型。
【請求項4】
前記装着凹部は、前記型本体に対し厚み方向に貫通する形態をなし、前記支持凹部は、前記第1部材に対し長手方向に貫通する形態をなし、前記第1部材は、前記装着凹部に対して前記型本体の裏面側から嵌合され正規位置にて前止まりされ、前記第2部材は、前記支持凹部に対して前記型本体の裏面側から嵌合され正規位置にて前止まりされるものにおいて、
前記正規位置にてそれぞれ前止まりされた前記第1部材及び前記第2部材に対し前記型本体の裏面側から宛がわれることによって前記第1部材及び前記第2部材が前記型本体の裏面側へ移動することを規制する規制部材を備えている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の成形型。
【請求項1】
円筒状をなす円形リブの端部に開口する開口部からボス部が突出して設けられた締結部を有する成形品を成形する成形型であって、
前記成形型において前記締結部を成形する部位は、円形孔からなる装着凹部を有する型本体と、前記装着凹部に嵌合し、円形孔からなる支持凹部を有する第1部材と、前記支持凹部に嵌合する第2部材とから構成され、
前記円形リブを成形するための円形リブ成形空間は、前記装着凹部の内周面と前記第1部材の外周面との間に形成され、
前記ボス部を成形するためのボス部成形空間は、前記支持凹部の内周面と前記第2部材の外周面との間に形成されている成形型。
【請求項2】
前記第1部材は、前記装着凹部の内周面と摺接する大径部と、前記大径部と同軸でかつ前記大径部より径寸法が小さい小径部とを備え、前記円形リブ成形空間は、前記装着凹部の内周面と前記小径部の外周面との間に形成されている請求項1に記載の成形型。
【請求項3】
前記第2部材は、前記支持凹部の内周面と摺接する基部と、前記基部と同軸でかつ前記基部から軸方向に突出するピン本体部とを備え、前記ボス部成形空間は、前記ピン本体部の外周面と前記支持凹部の内周面との間に形成されている請求項1又は請求項2に記載の成形型。
【請求項4】
前記装着凹部は、前記型本体に対し厚み方向に貫通する形態をなし、前記支持凹部は、前記第1部材に対し長手方向に貫通する形態をなし、前記第1部材は、前記装着凹部に対して前記型本体の裏面側から嵌合され正規位置にて前止まりされ、前記第2部材は、前記支持凹部に対して前記型本体の裏面側から嵌合され正規位置にて前止まりされるものにおいて、
前記正規位置にてそれぞれ前止まりされた前記第1部材及び前記第2部材に対し前記型本体の裏面側から宛がわれることによって前記第1部材及び前記第2部材が前記型本体の裏面側へ移動することを規制する規制部材を備えている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の成形型。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−202521(P2009−202521A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49539(P2008−49539)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]