説明

成形装置および成形方法

【課題】開口部が形成される成形品を効率的に成形することができる成形装置、および成形方法を提供する。
【解決手段】成形装置10は、突出部分17を備える筒状体12を有する成形品11を成形する。サブスライド型20の内部空間13における退避軌跡L1は、一方の開口部15から先端部16に向かう直線状を描く。各メインスライド型21a,21bは、サブスライド型20の退避に連動して退避する。先ず、各メインスライド型21a,21bを内部空間13側に変位させて突出部分17から退避させる。次に、各メインスライド型21a,21bをサブスライド型20とともに、筒状体12の先端部16である開口部から退避させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部が形成される成形品を成形する成形装置および成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アンダーカット部を有する樹脂製品の製造工程において、成形終了後の型開きのときにアンダーカット部を損傷することなく成形金型から樹脂製品を取り出す必要がある。したがって従来の技術の成形金型では、アンダーカット部付近にて複数の型を組み合わせて、型開き可能に構成されている(たとえば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭59−22713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の従来の技術では、複数の型を組み合わせることによってアンダーカット部付近にて型開き可能に構成されているが、このような構成では型開きをスムーズに行うことが困難である。また型開きするために複雑な工程が必要であり、型開きの効率が低いという問題がある。
【0004】
また図10は、他の従来の技術の筒状体1を含む成形品2を示す正面図であって、内型3の退避軌跡の一例を示す正面図である。成形品2が筒状体1を有する場合、筒状体1の内部空間を形成するための内型3が必要である。図10に示すように筒状体1の端部4に他の部分5が一体となるように構成され、アンダーカット部がある成形品2の場合は、図10で仮想的に示すように、開口面積が小さい開口部6から内型3を軸線方向にスライドさせて内部空間から退避させることができない。
【0005】
そこで、本発明は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、開口部が形成される成形品を効率的に成形することができる成形装置、および成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0007】
本発明は、組み合わせた複数の型(18〜21)の間に成形空間を形成し、成形空間において、外壁の少なくとも一部に開口部(16)が形成される成形品(11)を成形する成形装置(10)であって、
複数の型に含まれる型であって、成形品の内部空間(13)を形成するための第1の内型(20)、および内部空間を形成するともに開口部の周囲の外壁を成形するための第2の内型(21a,21b)と、
型開きするときに、内部空間における退避軌跡(L1)が直線状となるように、第1の内型を内部空間から退避させる駆動手段(22)と、
駆動手段による第1の内型の退避に連動させて、第2の内型を内部空間から退避させるために、第1の内型と第2の内型とを係合させる係合手段(50〜57)と、を含み、
係合手段は、
駆動手段によって、第1の内型を型締め状態から退避軌跡に沿って予め定める第1位置に変位させると、第2の内型を、第1の内型の変位に連動させて型締め状態から開口部の周囲の外壁から退避した位置であって、第1の内型が型締め状態時に配置されていた側の位置である第2位置に変位させ、
駆動手段によって、第1の内型を第1位置から退避軌跡に沿ってさらに変位させると、第2の内型を、第1の内型の変位に連動させて第2位置から退避軌跡に沿って変位させ、第1の内型および第2の内型を内部空間から退避させることを特徴とする成形装置である。
【0008】
本発明に従えば、成形品の内部空間を形成するための型は、第1の内型と第2の内型とが用いられる。このように複数の内型が内部空間を形成するために用いられるので、筒状体から第1の内型を外壁に引っかけることなく、直線状の退避軌跡に沿って退避させることができる。また第2の内型は、第1の内型と同様の直線状の退避軌跡であると開口部の周囲の外壁によって第2の内型が引っかかるので、本発明では、第1の内型が配置されていた内部空間を通過する退避軌跡に沿って第2の内型を退避させる。具体的には、第2の内型は、第1の内型と連動するように係合手段が用いられる。係合手段によって、第1の内型の駆動手段による退避動作と連動して、第2の内型が退避動作する。第1の内型が第1位置まで変位すると、第2の内型は開口部の周囲の外壁から退避した第2位置に位置する。このような第2位置は、型締め状態では第1の内型が配置されていた内部空間側に寄せた位置であり、第1の内型が第1位置に変位することによって第2の内型の配置が可能となった内部空間の一部である。これによって第2の内型は、第1の内型と同様の退避軌跡によって、第1の内型の第1位置からの退避動作とともに、内部空間から退避させることができる。これによって第2の内型を成形品の内壁に引っかけることなく、第1の内型が配置されていた内部空間を通過させて、第2の内型を退避させることができる。したがって開口部が形成されるような複雑な形状の成形品を成形することができる。このように各型を連動させて第1の内型および第2の内型を退避させることができるので、効率的に型開することができる。これによって効率的に成形品を成形することができる。
【0009】
また本発明は、係合手段は、第1の内型と一体に構成される第1移動部材(50,52)を含み、
第1移動部材は、第2の内型に嵌合する第1嵌合部分(50a)を有し、第1の内型を退避軌跡に沿って変位させることによって、第1嵌合部分を変位させて第2の内型を型締め状態から第2位置に変位させることを特徴とする。
【0010】
本発明に従えば、第1移動部材は、第1の内型を変位させることによって第1嵌合部分を変位させて第2の内型を第2位置に変位させる。したがって第1の内型を退避させると、第1の内型の変位に連動して第2の内型を開口部の周囲の外壁から退避させることができる。このように簡単な構成の係合手段を用いることによって、第1の内型の退避動作と第2の内型の退避動作を連動させることができる。
【0011】
さらに本発明は、複数の型に含まれ、外壁を形成するための固定型(18)と、
複数の型に含まれ、固定型に対して変位可能であり、外壁を形成するための可動型(19)と、をさらに含み、
駆動手段は、固定型に設けられる第2移動部材(26)をさらに含み、
駆動手段は、第1の内型が退避する退避方向(X)と交差する方向である型開方向(Z)に、可動型を変位させ、
第2移動部材は、第1の内型に嵌合する第2嵌合部分(26a)を有し、可動型が型開方向に変位することによって、第2嵌合部分を変位させて第1の内型を退避軌跡に沿って退避方向に変位させることを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、第2移動部材は、可動型が型開方向に変位することによって第2嵌合部分を変位させて第1の内型を退避させる。したがって可動型を型開方向に変位させると、可動型の変位に連動して第1の内型を退避させることができる。これによって可動型を型開方向に変位させることによって、第1の内型および第2の内型をそれぞれ退避させることができる。したがって駆動手段は、可動型を変位駆動するだけで、型開動作を完了することがきる。これによって個別に各型を退避させる成形装置よりも、構成を簡略化することができる。
【0013】
さらに本発明は、駆動手段は、第2移動部材が嵌合する増速機構(23)を含み、
増速機構は、第2嵌合部分の変位距離より大きい距離にわたって、第1の内型を変位させることを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、増速機構を含むので、第1の内型を短時間で退避させることができる。したがって第1の内型に連動する第2の内型も短時間で退避させることができる。これによって成形装置による成形時間をさらに短縮することができ、生産性を向上することができる。
【0015】
さらに本発明は、複数の型を組み合わせることによって複数の型の間に成形空間を形成し、成形空間において、外壁の少なくとも一部に開口部が形成される成形品を成形する成形方法であって、
複数の型を組み合わせる工程であって、筒状体の内部空間を形成するための第1の内型、および内部空間を形成するとともに開口部の周囲の外壁成形するための第2の内型を組み合わせる型締め工程と、
成形空間に流体を充填する充填工程と、
充填工程で充填した流体を硬化する硬化工程と、
複数の型を型開きして硬化工程で硬化した成形品を取り出す離型工程とを含み、
離型工程は、
流体を硬化させた後、型開きするときに第1の内型を第1の内型の内部空間における退避軌跡が、直線状となるように予め定める第1位置に変位させるとともに、第2の内型を、第1の内型の変位に連動させて型締め状態から開口部の周囲の外壁から退避した位置であって、第1の内型が型締め状態時に配置されていた側の位置である第2位置に退避させる第1退避段階と、
第1の内型を第1位置から退避軌跡に沿ってさらに変位させるとともに、第2の内型を、第1の内型の変位に連動させて第2位置から退避軌跡に沿って変位させ、第1の内型および第2の内型を内部空間から退避させる第2退避段階とを含むことを特徴とする成形方法である。
【0016】
本発明に従えば、成形品の内部空間を形成するための型として、第1の内型と第2の内型とが用いられる。このように複数の内型が内部空間を形成するために用いられるので、第1退避段階にて、開口部から第1の内型を成形品の内壁に引っかけることなく、直線状の退避軌跡に沿って退避させることができる。また第2の内型は、第1の内型と同様の直線状の退避軌跡であると開口部の周囲の外壁によって第2の内型が引っかかるので、本発明では、第1の内型が配置されていた内部空間を通過する退避軌跡に沿って第2の内型を退避させる。具体的には、第1退避段階にて、第1の内型が第1位置まで変位すると、第2の内型は開口部の周囲の外壁から退避した第2位置に位置する。このような第2位置は、型締め状態では第1の内型が配置されていた内部空間側に寄せた位置であり、第1の内型が第1位置に退避することによって第2の内型の配置が可能となった内部空間の一部である。これによって第2の内型は、第2退避段階にて、第1の内型と同様に、直線状の退避軌跡によって、第1の内型の第1位置からの退避動作とともに、内部空間から退避させることができる。したがって第2の内型を開口部の周囲の外壁に引っかけることなく、第1の内型が配置されていた内部空間を通過させて、第2の内型を退避させることができる。これによって開口部が形成されるような複雑な形状の成形品を成形することができる。
【0017】
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1〜図9を用いて説明する。図1は、本実施の形態の成形装置10を示す側面図であって、型締め状態にある成形装置10を示す側面図である。図2は、型開状態にある成形装置10を示す側面図である。図3は、成形装置10の一部を拡大して示す平面図である。図4は、成形装置10によって成形される成形品11を正面側から見た斜視図である。成形装置10は、筒状体12を有する成形品11を製造するための装置である。図3では、理解を容易にするため成形品11の筒状体12の内部空間13を形成する内型に関する構成を示し、残余の構成を省略して示す。また図3では、成形品11を簡略化して仮想的に示す。
【0019】
成形装置10は、複数の型を有する。成形装置10は、複数の型を組み合わせることによって複数の型の間に成形空間を形成する。成形装置10は、形成した成形空間に流体を充填し、流体を硬化させることによって、筒状体12を有する成形品11を成形する。成形装置10は、本実施の形態では、複数の型を型締めし、型締めによって形成される成形空間に溶融樹脂が射出される。これによって成形装置10は、樹脂から成る成形品11を成形し、型開きした後に成形品11が取り出される。
【0020】
成形装置10によって成形される成形品11は、図4に示すように、筒状体12および本体部14を有する。筒状体12の一方の開口部15には、他の部分である本体部14が連結されている。本体部14は、大略的に四角枠体状であって、枠体の側面部から筒状体12が突出するように一体に設けられる。
【0021】
筒状体12は、側面部の厚み寸法は一様であって、側面部の少なくとも一部には、筒状体12の外方に突出する突出部分17が形成される。突出部分17は、本実施の形態では、筒状体12の側面部に2つ形成される。各突出部分17は、筒状体12の軸線方向一方の端部である本体部14側の開口部15から、他方の端部である先端部16に向かって、軸線L3に近接する方向に階段状に形成される。したがって筒状体12は、先端部16に向かって先細状であり、開口部15の開口面積が先端部16の開口面積より大きい。筒状体12は、軸線方向に直交する仮想一平面で切断したときの断面形状が略長方形状である。このように成形品11は、外壁の少なくとも一部に成形品11の開口部となる先端部16が形成される。
【0022】
次に、成形装置10に関して説明する。成形装置10は、固定型18、可動型19、サブスライド型20、第1メインスライド型21a、第2メインスライド型21b、駆動機構22、および係合手段50〜57を含んで構成される。固定型18は、複数の型のうちの1つであって、成形空間を規定し、可動型19と協働して成形品11の外部空間に臨む部分を形成するための型である。したがって固定型18は、少なくとも筒状体12の側面部を形成するための型である。固定型18は、予め定める固定部分、たとえば成形装置10のベースに固定される。
【0023】
可動型19は、複数の型のうちの1つであって、成形空間を規定し、固定型18と協働して、成形品11の外部空間に臨む部分を形成するための型である。したがって可動型19は、少なくとも筒状体12の側面部を形成するための型である。可動型19は、固定型18に対して変位可能に構成される。
【0024】
サブスライド型20、第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bは、筒状体12の内部空間13を形成するための内型である。サブスライド型20、第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bの3つの型によって、筒状体12の内部空間13、すなわち筒状体12の内壁の形状が規定される。第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bは、先端部16の周囲の外壁の形状を規定する。各メインスライド型21a,21bは、先端部16の周囲の外壁である筒状体12の突出部分17の形状を規定する。サブスライド型20は、第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bが規定する部分を除く残余の部分の筒状体12の形状を規定する。したがってサブスライド型20は、筒状体12の突出部分17の形状は規定していない。
【0025】
これら3つの内型20,21a,21bは、後述する係合手段によって係合され、駆動機構22によるサブスライド型20の退避に連動して、各メインスライド型21a,2bが筒状体12から退避する。
【0026】
次に、3つの内型20,21a,21bの退避軌跡に関して説明し、各内型20,21a,21bを退避させる具体的な構成に関しては、後述する。サブスライド型20は、第1の内型であって、筒状体12の軸線L3に沿う直線状の退避軌跡L1に沿って退避可能に構成される。したがってサブスライド型20は、型締め状態の場合、開口部15から先端部16に向かう直線状の退避軌跡L1に沿って、退避可能に構成される(図6参照)。サブスライド型20は、前述したように筒状体12の突出部分17を規定してないので、特別な変位をさせることなく、直線的な変位によって容易に退避可能な形状に形成される。サブスライド型20は、略直方体状に形成される。サブスライド型20は、先端部16に向かって、拡大するように、換言すると末広がり状に形成される。したがって筒状体12の内壁に引っかかることなく、サブスライド型20を退避させることができる。
【0027】
第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bは、第2の内型である。各メインスライド型21a,21bの内部空間13における退避軌跡L2は、サブスライド型20が配置されていた内部空間13側で屈曲し、サブスライド型20が配置されていた内部空間13を通過する略L字状である。各メインスライド型21a,21bは、このような退避軌跡L2に沿って退避可能に構成される(図6参照)。したがって第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bは、型締め状態の場合、開口部15から先端部16に向かう略L字状の退避軌跡L2に沿って、退避可能に構成される。また第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bの退避軌跡L2は、サブスライド型20が配置されていた内部空間13を通過する。第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bは、前述したように筒状体12の突出部分17を規定するので、突出部分17がいわゆるアンダーカット部となり、直線状の退避軌跡では先端部16から退避させることができない。換言すると、サブスライド型20が配置されていた内部空間13を通過しなければ、第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bが先端部16から退避することができない。したがって内部空間13を通過する略L字状の退避軌跡L2によって、退避可能に構成される。
【0028】
第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bは、図3に示すように、筒状体12の突出部分17の形状を規定する。このような第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bを、先ず、筒状体12の軸線L3に交差する方向に変位させて突出部分17から退避させ、次に、サブスライド型20と同様に、筒状体12の軸線L3に沿う直線状の退避軌跡L1に沿って退避させる。
【0029】
第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bとサブスライド型20は、型締め状態において、互いに対向する面部が密に当接するように構成される。またサブスライド型20は、型締め状態において、第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bを可動型19または固定型18に向かって押圧するように構成される。これによって型締め状態において、各型18〜21a,21b同士に接合部分に溶融樹脂が侵入することを防ぐことができる。
【0030】
駆動機構22は、可動型19、固定型18、サブスライド型20、第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bを相対的に変位させることによって、型締め状態と型開状態とを切り替える。駆動機構22は、各型18〜21を型開するとき、サブスライド型20を筒状体12の先端部16から取り出して退避させるとともに、サブスライド型20が退避した後、第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bを筒状体12の先端部16から取り出して退避させる。
【0031】
次に成形装置10による成形品11の成形方法に関して説明する。図5は、成形方法を示すフローチャートである。本フローが開始されると、ステップa1に移る。ステップa1は、型締め工程であって、複数の型である固定型18、可動型19、サブスライド型20、第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bを組み合わせ、成形空間を形成し、ステップa2に移る。成形空間は、成形品11の形状と略同一(用語「略同一」は同一を含む)の空間である。
【0032】
ステップa2は、充填工程であって、成形空間内に流体である溶融樹脂を、たとえば射出装置(図示せず)によって充填し、ステップa3に移る。ステップa3は、硬化工程であって、充填された溶融樹脂を硬化し、ステップa4に移る。硬化する方法としては、たとえば予め定める期間にわたって型締め状態を保持する方法、および成形空間付近を冷却する方法などがある。
【0033】
ステップa4は、離型工程であって、複数の型18〜21を型開きして、ステップa3にて硬化した成形品11を取り出し、本フローを終了する。型開きする場合は、可動型19を駆動機構22によって型開方向Zに変位させる。サブスライド型20、第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bは、前述したように可動型19の変位に連動して、筒状体12の先端部16から退避する。これによって筒状体12を有する成形品11が成形される。
【0034】
次に、ステップa4の離型工程についてさらに詳細に説明する。図6は、離型工程における成形装置10の一部を拡大して示す平面図である。図7は、型開状態における成形装置10の一部を拡大して示す平面図である。離型工程は、サブスライド型20を退避させるとともに、第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bを突出部分17から退避させる第1退避段階と、第1退避段階後に第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bを退避させる第2退避段階とを含む。
【0035】
図3に示す型締め状態から、第1退避段階では図6に示すように、サブスライド型20を筒状体12の先端部16から退避させ、各メインスライド型21a,21bを突出部分17から退避させる。サブスライド型20の退避軌跡L1は、前述したように開口部15から先端部16に向かう直線状である。このようにサブスライド型20を型締め状態から予め定める第1位置に退避させることによって、第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bを変位させることができる内部空間13を形成することができる。したがって各メインスライド型21aを筒状体12の内方に向かう直線状の退避軌跡に沿って変位させて、突出部分17から各メインスライド型21a,21bをサブスライド型20が退避した空間であって、内部空間13側に寄せた第2位置に退避させる。したがって第2位置にある各メインスライド型21a,21bの少なくとも一部は、型締め状態にてサブスライド型20が配置されいた内部空間13に配置される。
【0036】
第2退避段階では、図7に示すように、サブスライド型20を第1位置からさらに退避させる動作に連動させて、第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bを筒状体12の先端部16から退避させる。第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bの第2位置からの退避軌跡は、開口部15から先端部16に向かう直線状であって、サブスライド型20が配置されていた内部空間13を通過する。
【0037】
このように第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bを退避させることによって、筒状体12の内壁に引っかかることを防ぐことができる。また第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bは、型締め状態にある場合、筒状体12の開口部15に対応する部分の幅寸法W1は、筒状体12の先端部16の幅寸法W2より大きい。このような形状であっても、前述のように先端部16から第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bを退避させることができる。第2退避段階の後、図7に示す型開状態にて、第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bが成形品11から離間し、成形品11が取り出される。
【0038】
次に、成形装置10の動作に関して説明する。図8は、駆動機構22の一部を簡略化して示す斜視図である。図9は、サブスライド部材26と作用部31とを拡大して示す断面図であって、動作を段階的に示す断面図である。駆動機構22は、駆動手段であって、型開きするときにサブスライド型20を筒状体12の先端部16から退避させる。
【0039】
駆動機構22は、駆動部(図示せず)、サブスライド部材26および増速機構23を含む。駆動部は、たとえば油圧式によって実現され、可動型19を固定型18に対して変位駆動する。駆動部は、成形される筒状体12の軸線方向に交差する型開方向Zに可動型19を変位駆動する。
【0040】
固定型18には、図2に示すように、サブスライド部材26が設けられる。サブスライド部材26は、第2移動部材であって、可動型19の変位に連動してサブスライド型20が退避動作を実行するように構成される。したがってサブスライド部材26は、駆動部の動力を伝達する動力伝達手段であって、駆動部の動力を伝達して、サブスライド型20を退避させる。サブスライド部材26は、後述する作用部31に嵌合するように設けられる。サブスライド部材26は、可動型19が型開方向Zに変位することによって、作用部31との嵌合部分26aを変位させ、作用部31を変位駆動する。
【0041】
図9を参照して、サブスライド部材26に関して説明する。サブスライド部材26は、長手状の部材であって、基端部26bが固定型18に固定される。サブスライド部材26は、基端部26bから先端部26cに向かって、順次、第1スライド部34、傾斜部35、第2スライド部36が一体となって構成される。第1スライド部34は、固定型18から型開方向Zに沿って延びる。第1スライド部34の型開方向Zの端部に、傾斜部35の一端部が連結される。傾斜部35は、型開方向Zに対して傾斜する方向に沿って延びる。傾斜部35の型開方向Zの端部に、第2スライド部36の一端部が連結される。第2スライド部36は、一端部から型開方向Zに沿って延びる。
【0042】
作用部31に形成される嵌合部分26aは、第2嵌合部分であって、型開方向Zに貫通する貫通孔であって、貫通孔の臨む内面部には傾斜部35に当接する傾斜面を有する。したがって型開方向Zに可動型19とともに作用部31が移動すると、作用部31の嵌合部分26aは傾斜部35とによって案内されて、作用方向Yに変位する。作用方向Yへ変位する距離は、傾斜部35の傾斜角度および長さ寸法に基づく。また作用方向Yへ変位を開始するタイミングは、第1スライド部34の長さ寸法によって決定される。
【0043】
第1スライド部34および第2スライド部36と傾斜部35との連結部分は、R面取り加工されることが好ましい。型開によって嵌合部分26aとの当接状態が第1スライド部34から傾斜部35に移行するときに、サブスライド部材26に加わる衝撃を小さくすることができる。
【0044】
図9(A)に示すサブスライド部材26と作用部31との位置関係は、型締め状態の場合であり、サブスライド部材26の基端部26bと作用部31とが最も近接している。図9(A)に示す型締め状態から、可動型19が型開方向Zに変位すると、作用部31も型開方向Zに変位し、図9(B)に示すように傾斜部35が嵌合部分26aの傾斜面に沿って、作用方向Yに変位する。型開方向Zへさらに変位し、図9(C)に示すように、嵌合している部分が傾斜部35から第2スライド部36に移ると、作用方向Yへの変位が終了する。このように可動型19の型開方向Zへの変位にともなって、作用部31が作用方向Yへ変位し、サブスライド型20を退避方向Xへ変位させる。
【0045】
次に、サブスライド型20の退避動作に関して説明する。駆動機構22は、増速機構23を含み、前述したように可動型19が型開方向Zに変位することによって、作用部31との嵌合部分26aが変位し、その変位を増速機構23によって大きくし、サブスライド型20を退避させる。増速機構23は、軸部40、第1ラック部41、第2ラック部(図示せず)、第1ギヤ部42、第2ギヤ部43および作用部31を含む。増速機構23は、サブスライド部材26との嵌合部分26aの変位距離より大きい距離にわたって、サブスライド型20を変位させる。
【0046】
第1ラック部41は、作用部31に一体に設けられる。第1ギヤ部42は、第1ラック部41に噛合する歯車が形成される。第1ギヤ部42は、軸部40に設けられる。軸部40は、長手状に延びる円柱状であって、一端部には第1ギヤ部42が一体に設けられ、他端部には第2ギヤ部43が一体に設けられる。軸部40は、軸線まわりに角変位可能に支持される。第2ラック部は、サブスライド型20を支持するサブ支持台44と一体に設けられる。第2ギヤ部43は、第2ラック部に噛合する歯車が形成される。第1ギヤ部42および第2ギヤ部43は、平歯車によって実現される。第1ギヤ部42は、第2ギヤ部43より小型である。
【0047】
サブスライド部材26が型締め状態から、可動型19が型開方向Zに変位すると、前述したように作用部31は作用方向Yに変位する。作用部31が作用方向Yに変位すると、作用部31と一体である第1ラック部41が作用方向Yに変位する。これによって第1ラックと噛合する第1ギヤ部42が角変位する。第1ギヤ部42が角変位すると、第1ギヤ部42と一体である軸部40が角変位する。同様に、軸部40と一体である第2ギヤ部43が角変位する。これによって第2ギヤ部43に噛合する第2ラック部が退避方向Xに変位する。したがって第2ラック部と一体であるサブスライド型20が退避方向Xに退避する。
【0048】
このように第1ギヤ部42および第2ギヤ部43が用いられるので、ギヤ比に応じて、嵌合部分26aの変位距離、すなわち第1ラック部41の変位距離より大きい距離にわたってサブスライド型20を変位させて、退避させることができる。
【0049】
次に、各メインスライド型21a,21bの退避動作に関して図3、図5および図6を用いて説明する。サブスライド型20を支持するサブ支持台44および各メインスライド型21a,21bを支持するメイン支持台45には、各メインスライド型21a,21bを変位させるための係合手段が設けられる。係合手段は、サブスライド型20と各メインスライド型21a,21bとを係合し、駆動機構22によるサブスライド型20の退避に連動させて、各メインスライド型21a,21bを筒状体12の先端部16から退避させるための手段である。
【0050】
係合手段は、第1退避段階を実行するための第1係合機構、および第2退避段階を実行するための第2係合機構を含む。したがって第1係合機構は、サブスライド型20を筒状体12の先端部16から退避させるともに、各メインスライド型21a,21bを突出部分17から退避させるための係合機構である。また第2係合機構は、サブスライド型20を第1位置からさらに退避させる動作に連動させて、サブスライド型20と各メインスライド型21a,21bとを一体化して、これら3つの内型20,21a,21bを筒状体12から退避させるための係合機構である。
【0051】
本実施の形態では、第1係合機構は、4本のレール50〜53と、各メインスライド型21a,21bに2本ずつ形成される案内溝54〜57によって実現される。また第2係合機構は、サブ支持台44およびメイン支持台45の相対位置を固定および固定解除するロック手段(図示せず)によって実現される。各メインスライド型21a,21bの係合手段に関する構成は、互いに略等しいので第1メインスライド型21aに関して説明し、第2メインスライド型21bに関しては説明を省略する。
【0052】
第1メインスライド型21aのために用いられる2つのレール50,51のうち、一方の第1レール50は、第1移動部材であって、退避方向Xに対して傾斜する方向に沿って延び、他方の第2レール51は、第1メインスライド型21aが型締め状態から第2位置まで退避する方向、すなわち退避方向Xの略直交する方向に沿って延びる。第1レール50は、サブ支持台44に設けられる。第2レール51は、メイン支持台45に設けられる。
【0053】
このような第1レール50および第2レール51が嵌合する2つの案内溝54,55が、第1メインスライド型21aに形成される。第1レール50は、第1案内溝54に嵌合する。第2レール51は、第2案内溝55に嵌合する。したがって第1案内溝54は、退避方向Xに対して傾斜する傾斜方向に沿って延びる。また第2案内溝55は、退避方向Xに略直交する方向に沿って延びる。
【0054】
サブスライド型20とメイン支持台45とは別体に構成される。サブスライド型20が型締め状態から第1位置に移動するまでは、サブ支持台44とメイン支持台45とは相対変位可能に構成される。またサブスライド型20が第1位置に移動すると、サブスライド型20とメイン支持台45との相対位置がロック手段(図示せず)によって固定される。
【0055】
したがってロック手段は、型締め状態からサブスライド型20が第1位置に変位するまでは各支持台44,45の相対位置を固定解除し、サブスライド型20が第1位置に配置されると各支持台44,45の相対位置を固定する。これによってサブスライド型20が第1位置に配置されて以降の退避動作においては、各支持台44,45は一体となってサブスライド型20の退避軌跡L1に沿って退避する。
【0056】
このように第1レール50および第1案内溝54が傾斜方向に沿って延びるので、前述した第1退避段階にてサブ支持台44を退避方向Xに第1位置まで退避させると、第1レール50と第1案内溝54が嵌合する嵌合部分50a(第1嵌合部分)が変位する。これによってサブスライド型20が退避するとともに、第1メインスライド型21aの第2案内溝55は第2レール51に嵌合しているので、第1メインスライド型21aは第2レール51が延びる方向に沿って移動し、図3に示す型締め状態から、図6に示す第2位置まで移動する。
【0057】
サブスライド型20が第1位置にある状態、すなわち第1メインスライド型21aが第2位置にある状態では、サブ支持台44とメイン支持台45との相対位置がロック手段によって固定される。これによって前述した第2退避段階にて、さらにサブ支持台44を駆動機構22によって退避方向Xに退避させると、メイン支持台45もサブ支持台44の退避動作に連動して、図7に示すように退避する。したがって第1メインスライド型21aは、筒状体12の先端部16から退避する。
【0058】
以上説明したように本実施の形態の成形装置10は、筒状体12の内部空間13を形成するための内型は、サブスライド型20、第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bが用いられる。このように複数の内型が内部空間13を形成するために用いられるので、筒状体12の先端部16からサブスライド型20を筒状体12の内壁に引っかけることなく、直線状の退避軌跡L1に沿って退避させることができる。また第1メインスライド型21aおよび第2メインスライド型21bは、直線状の退避軌跡L1であると内壁に引っかかるので、本実施の形態では、サブスライド型20が配置されていた内部空間13を通過する退避軌跡L2に沿って退避させる。具体的には、各メインスライド型21a,21bを、サブスライド型20と連動させる係合手段が用いられる。係合手段によって、サブスライド型20の駆動機構22による退避動作と連動して、各メインスライド型21a,21bが退避動作する。サブスライド型20が第1位置まで退避すると、各メインスライド型21a,21bは突出部分17から退避した第2位置に位置する。このような第2位置は、型締め状態ではサブスライド型20が配置されていた内部空間13側に寄せた位置であり、サブスライド型20が第1位置に退避することによって各メインスライド型21a,21bの配置が可能となった内部空間13の一部である。これによって各メインスライド型21a,21bは、サブスライド型20と同様に、直線状の退避軌跡L1によって、サブスライド型20の第1位置からの退避動作とともに、筒状体12から退避させることができる。これによって各メインスライド型21a,21bを筒状体12の内壁に引っかけることなく、サブスライド型20が配置されていた内部空間13を通過させて、各メインスライド型21a,21bを退避させることができる。これによって筒状体12を有するような複雑な形状の成形品11を成形することができる。
【0059】
また本実施の形態では、サブスライド型20を退避させることによって第1レール50と第1案内溝54との嵌合部分を変位させて第1メインスライド型21aを第2位置に退避させる。したがってサブスライド型20を退避させると、サブスライド型20の変位に連動して第1メインスライド型21aを突出部分17から退避させることができる。また第2メインスライド型21bに関しても同様の構成である。このように簡単な構成の係合手段を用いることによって、サブスライド型20の退避動作と各メインスライド型21a,21bの退避動作を連動させることができる。
【0060】
また本実施の形態では、サブスライド部材26は、可動型19が型開方向Zに変位することによって嵌合部分26aを変位させ、退避動作を実行する。したがって可動型19を型開方向Zに変位させると、可動型19の変位に連動して、サブスライド型20および各メインスライド型21a,21bが退避させることができる。したがって各型を駆動するための駆動源が個別に必要ではなく、可動型19を駆動するための駆動源を共通して用いることができる。これによって簡単な構成の成形装置10を実現することができる。
【0061】
また可動型19の型開方向Zの変位にともなって各メインスライド型21a,21bおよびサブスライド型20を退避させることができるので、可動型19の型開方向Zへの終了後に各メインスライド型21a,21bおよびサブスライド型20を変位させる場合に比べて、型開が完了するまでの時間を短縮することができる。これによって生産性を向上することができる。
【0062】
さらに本実施の形態では、駆動機構22は増速機構23を含むので、サブスライド型20および各メインスライド型21a,21bを短時間で退避させることができる。これによって成形装置10による成形時間を短縮することができ、生産性を向上することができる。
【0063】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0064】
前述の実施形態では、突出部分17は2つ形成されるが、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。また筒状体12の突出部分17を含む側面部の形状は、階段状に限らず軸線方向中間部が突出する山形状であってもよい。
【0065】
また前述の実施の形態では、成形品11は筒状体12と本体部14を有する構成であったが、本体部14がなく単に筒状体12だけの成形品11であってもよく、筒状体12がなく単にアンダーカット部となる開口部が形成される本体部14だけの成形品11であってもよい。また前述の実施形態では、筒状体12の一方の端部である開口部15は、全域にわたって開口しているが、一方の開口部15の一部または全部が閉塞している有底の筒状体12であってもよく、同様に先端部16も一部が閉塞している状態であっても、複数の内型が順次退避させることができる開口面積が先端部16に確保されていればよい。
【0066】
また前述の実施形態では、内型は3つによって実現されているが、3つに限ることはなく、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。同様に、前述の実施形態では、5つの型によって成形空間を形成しているが、5つに限ることはなく6つ以上であってもよい。
【0067】
また前述の実施形態では、充填工程で充填される流体は溶融樹脂であったが、溶融樹脂に限ることはなく、硬化性を有する材料であればよい。
【0068】
さらに前述の実施形態では、各型の動作は連動するように構成されているが、このような構成に限ることはなく、3つの内型を除く残余の型を別々の駆動源によって、個別に駆動するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1実施形態の成形装置10を示す側面図であって、型締め状態にある成形装置10を示す側面図である。
【図2】型開状態にある成形装置10を示す側面図である。
【図3】成形装置10の一部を拡大して示す平面図である。
【図4】成形品11を正面側から見た斜視図である。
【図5】成形方法を示すフローチャートである。
【図6】離型工程における成形装置10の一部を拡大して示す平面図である。
【図7】型開状態における成形装置10の一部を拡大して示す平面図である。
【図8】駆動機構22の一部を簡略化して示す斜視図である。
【図9】サブスライド部材26と作用部31とを拡大して示す断面図であって、動作を段階的に示す断面図である。
【図10】従来の技術の筒状体1を含む成形品2を示す正面図であって、内型3の退避軌跡の一例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0070】
10…成形装置
11…成形品
12…筒状体
13…内部空間
16…先端部(開口部)
17…突出部分
18…固定型
19…可動型
20…サブスライド型(第1の内型)
21a…第1メインスライド型(第2の内型)
21b…第2メインスライド型(第2の内型)
22…駆動機構
23…増速機構
26…サブスライド部材(第2移動部材)
26a…嵌合部分(第2嵌合部分)
29…ギヤ部(増速機構)
31…作用部(増速機構)
50〜53…レール(係合手段・第1移動部材)
54〜57…案内溝(係合手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み合わせた複数の型(18〜21)の間に成形空間を形成し、前記成形空間において、外壁の少なくとも一部に開口部(16)が形成される成形品(11)を成形する成形装置(10)であって、
前記複数の型に含まれる型であって、前記成形品の内部空間(13)を形成するための第1の内型(20)、および前記内部空間を形成するともに前記開口部の周囲の前記外壁を成形するための第2の内型(21a,21b)と、
型開きするときに、前記内部空間における退避軌跡(L1)が直線状となるように、前記第1の内型を前記内部空間から退避させる駆動手段(22)と、
前記駆動手段による前記第1の内型の退避に連動させて、前記第2の内型を前記内部空間から退避させるために、前記第1の内型と前記第2の内型とを係合させる係合手段(50〜57)と、を含み、
前記係合手段は、
前記駆動手段によって、前記第1の内型を型締め状態から前記退避軌跡に沿って予め定める第1位置に変位させると、前記第2の内型を、前記第1の内型の変位に連動させて型締め状態から前記開口部の周囲の前記外壁から退避した位置であって、前記第1の内型が型締め状態時に配置されていた側の位置である第2位置に変位させ、
前記駆動手段によって、前記第1の内型を前記第1位置から前記退避軌跡に沿ってさらに変位させると、前記第2の内型を、前記第1の内型の変位に連動させて前記第2位置から前記退避軌跡に沿って変位させ、前記第1の内型および前記第2の内型を前記内部空間から退避させることを特徴とする成形装置。
【請求項2】
前記係合手段は、前記第1の内型と一体に構成される第1移動部材(50,52)を含み、
前記第1移動部材は、前記第2の内型に嵌合する第1嵌合部分(50a)を有し、前記第1の内型を前記退避軌跡に沿って変位させることによって、前記第1嵌合部分を変位させて前記第2の内型を型締め状態から前記第2位置に変位させることを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記複数の型に含まれ、前記外壁を形成するための固定型(18)と、
前記複数の型に含まれ、前記固定型に対して変位可能であり、前記外壁を形成するための可動型(19)と、をさらに含み、
前記駆動手段は、前記固定型に設けられる第2移動部材(26)をさらに含み、
前記駆動手段は、前記第1の内型が退避する退避方向(X)と交差する方向である型開方向(Z)に、前記可動型を変位させ、
前記第2移動部材は、前記第1の内型に嵌合する第2嵌合部分(26a)を有し、前記可動型が前記型開方向に変位することによって、前記第2嵌合部分を変位させて前記第1の内型を前記退避軌跡に沿って前記退避方向に変位させることを特徴とする請求項1または2に記載の成形装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、前記第2移動部材が嵌合する増速機構(23)を含み、
前記増速機構は、前記第2嵌合部分の変位距離より大きい距離にわたって、前記第1の内型を変位させることを特徴とする請求項3に記載の成形装置。
【請求項5】
複数の型を組み合わせることによって前記複数の型の間に成形空間を形成し、前記成形空間において、外壁の少なくとも一部に開口部が形成される成形品を成形する成形方法であって、
前記複数の型を組み合わせる工程であって、前記筒状体の内部空間を形成するための第1の内型、および前記内部空間を形成するとともに前記開口部の周囲の前記外壁成形するための第2の内型を組み合わせる型締め工程と、
前記成形空間に流体を充填する充填工程と、
前記充填工程で充填した流体を硬化する硬化工程と、
前記複数の型を型開きして前記硬化工程で硬化した前記成形品を取り出す離型工程とを含み、
前記離型工程は、
流体を硬化させた後、型開きするときに前記第1の内型を前記第1の内型の前記内部空間における退避軌跡が、直線状となるように予め定める第1位置に変位させるとともに、前記第2の内型を、前記第1の内型の変位に連動させて型締め状態から前記開口部の周囲の前記外壁から退避した位置であって、前記第1の内型が型締め状態時に配置されていた側の位置である第2位置に退避させる第1退避段階と、
前記第1の内型を前記第1位置から前記退避軌跡に沿ってさらに変位させるとともに、第2の内型を、前記第1の内型の変位に連動させて前記第2位置から前記退避軌跡に沿って変位させ、前記第1の内型および前記第2の内型を前記内部空間から退避させる第2退避段階とを含むことを特徴とする成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−23395(P2010−23395A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189597(P2008−189597)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】