説明

成形装置及び成形方法

【課題】一端が閉塞された成形品、あるいは複数の枝管部が分岐した成形品であっても、成形後に成形品内からコアを容易に型抜きできるようにする。
【解決手段】幹管部P1と、その幹管部P1から分岐する複数の枝管部P2とを設けたインマニMを成形する。コア22を幹側コア23と、枝側コア24とにより構成する。幹側コア23には幹管部P1と枝管部P2との間の内側湾曲部Cを賦形する曲面部23bを形成する。幹側コア23を、曲面部23bを有する第1コア片23Aと、進退移動される第2コア片23Bとより構成する。両コア片23A,23B間には、第2コア片23Bの進退移動時に第1コア片23Aを枝側コア24に接近離間させる運動変換機構25を設ける。第1コア片23Aと枝側コア24との間には、第1コア片23Aが枝側コア24から離間されるとき、第1コア片23Aの第2コア片23Bと同方向への退出移動を拘束する拘束機構26を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車用エンジンのインテークマニホールド等の成形品を成形するための成形装置及び成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、合成樹脂製のインテークマニホールドは、幹管部と、その幹管部から分岐する枝管部とが一体に形成される。幹管部に対する枝管部の分岐部分の内側には、エアを円滑に流すために湾曲部が形成される。
【0003】
従来、この種の成形品を成形するための成形装置としては、例えば特許文献1に開示されるような構成が提案されている。この従来構成においては、図9に示すように、成形品Sの外側形状を賦形するための外型31と、成形品Sの内側形状を賦形するためのコア32とが設けられている。コア32は、成形品Sの幹管部P1を賦形する一対の円柱状の幹側コア33と、成形品Sの枝管部P2を賦形する円柱状の枝側コア34と、成形品Sにおける幹管部P1と枝管部P2との間の内側湾曲部Cを賦形するための曲面部35aを有する一対の湾曲部用コア35とより構成されている。この曲面部35aはアンダーカットを形成するため、湾曲部用コア35はこのアンダーカットに対応するために設けられる。
【0004】
そして、外型31及びコア32の型閉じ状態で、その外型31とコア32との間にキャビティ36が形成されて、そのキャビティ36内に溶融状態の合成樹脂材料が充填されることにより、成形品Sが形成される。この成形品Sの硬化後の離型に際しては、コア32の両幹側コア33が成形品Sの幹管部P1の両端開放部から両側外方に型抜きされるとともに、枝側コア34が成形品Sの枝管部P2の開放部から外方に型抜きされる。その後、湾曲部用コア35が、成形品S内から取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−235684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、この従来の成形装置においては、一対の湾曲部用コア35が、幹側コア33及び枝側コア34と別体で構成され、この湾曲部用コア35は、型閉じ状態でその幹側及び枝側コア33,34間に挟持されて、位置保持される。
【0007】
このため、図10に示すように、幹管部P1の一端が閉塞された成形品Sを成形する場合、成形後における湾曲部用コア35の取り外しに手間がかかる。すなわち、図10においては、幹側コア33を2分割することなく単体状に構成することしかできないため、湾曲部用コア35を成形品Sの成形後に型抜きする場合、枝側コア34を型抜きした後に、成形品Sを外型31内に保持した状態で、湾曲部用コア35を枝管部P2の開口から取り出す必要がある。このようにしないと、幹側コア33を幹管部P1から抜き出すことができない。
【0008】
また、図11に示すように、両端が開放された幹管部P1から複数の枝管部P2が分岐した成形品Sを成形する場合に図10の場合と同様であって、成形品Sの成形後に、枝側コア34を型抜きした後に、成形品Sを外型31内に保持した状態で、湾曲部用コア35を枝管部P2の開口から取り出す必要がある。
【0009】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、幹管部の一端が閉塞された成形品、あるいは幹管部から複数の枝管部が分岐した成形品であっても、成形後に成形品内からコアを容易に型抜きすることができる成形装置及び成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明は、外側形状を賦形するための外型と、内側形状を賦形するためのコアとを備え、幹管部と、その幹管部から分岐する少なくともひとつの枝管部とが設けられた成形品を成形するようにした成形装置において、前記コアを幹管部用の幹側コアと、枝管部用の枝側コアとにより構成するとともに、幹側コアには幹管部と枝管部との間の内側湾曲部を賦形するための曲面部を形成し、前記幹側コアを、前記曲面部を有する第1コア片と、外力によって賦形位置と退出位置との間を進退移動される第2コア片とにより構成し、両コア片間には、第2コア片の退出移動にともなって第1コア片を前記枝側コアとの連結位置から離間方向へ移動させるための運動変換手段を設け、前記第1コア片と枝側コアとの間には、第1コア片が枝側コアから離間されるまでは、第1コア片が第2コア片と同方向に退出移動されることを拘束するための拘束手段を設けたことを特徴としている。
【0011】
従って、この発明の成形装置においては、成形品の成形後に、幹側コアの第2コア片が成形品の幹管部内の賦形位置から外側の退出位置に退出移動され始めると、運動変換手段を介して幹側コアの第1コア片が枝側コアから離間する方向に移動される。このとき、第1コア片と枝側コアとの間の拘束手段により、第1コア片が拘束されているため、第1コア片が第2コア片と同方向に退出移動されるおそれはない。そして、第2コア片が所定の退出位置まで移動されたとき、第1コア片が枝側コアから離間する位置に配置され、その第1コア片上の曲面部が成形品の内側湾曲部から離脱されて、第1コア片が成形品の幹管部内から第2コア片の退出方向と同方向へ型抜き可能となる。
【0012】
よって、幹管部の一端が閉塞された成形品、あるいは幹管部から複数の枝管部が分岐した成形品であっても、成形後に成形品内から、幹側コアの第1コア片及び第2コア片を容易に型抜きすることができる。その結果、幹管部の一端が閉塞された成形品や、幹管部から複数の枝管部が分岐した成形品の成形を可能にすることができる。
【0013】
前記の構成において、前記第1コア片と第2コア片との間には、第1コア片が枝側コアから離間する位置に移動されて、前記拘束手段による拘束から解放されたとき、第1コア片を第2コア片とともに退出方向へ一体移動可能に連結するための連結手段を設けるとよい。
【0014】
前記の構成において、前記運動変換手段を、第1コア片と第2コア片との間に設けられたカムにより構成するとよい。
前記の構成において、前記拘束手段を、係合可能に対応する凸部及び凹部より構成するとよい。
【0015】
前記の構成において、前記連結手段を、係合可能に対向する2つの面により構成より構成するとよい。
また、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の成形装置を用いた成形方法において、成形終了後は、第2コア片を退出移動させることにより、運動変換機構の作用により、第1コア片を枝側コアとの連結位置から離間移動させ、第1コア片が枝側コアから離間された後に、第1コア片を拘束機構を介して第2コア片と同方向に退出移動させる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、この発明によれば、幹管部の一端が閉塞された成形品、あるいは幹管部から複数の枝管部が分岐した成形品であっても、成形後に成形品内からコアを容易に型抜きすることができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の成形装置を示す断面図。
【図2】図1の2-2線における断面図。
【図3】図1の成形装置により成形品を成形した状態を示す断面図。
【図4】同成形装置により成形した成形品を示す斜視図。
【図5】第2実施形態の成形装置を示す断面図。
【図6】第3実施形態の成形装置を示す断面図。
【図7】第4実施形態の成形装置を示す部分断面図。
【図8】第5実施形態の成形装置を示す断面図。
【図9】従来の成形装置を示す断面図。
【図10】従来の成形装置に関連する構成を示す断面図。
【図11】従来の成形装置に関連する別の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下に、この発明を成形品としてのインテークマニホールドを成形するための成形装置及び成形方法に具体化した第1実施形態を、図1〜図4に従って説明する。
【0019】
図3及び図4に示すように、この実施形態の成形装置により成形されるインテークマニホールド(以下、インマニという)Mは、一端を開放するとともに他端を閉塞した円筒状の幹管部P1と、その幹管部P1から分岐するとともに先端を開放した2つの円筒状の枝管部P2とを備えている。幹管部P1はサージタンクを構成し、枝管部P2はエンジンの吸気ポート(図示しない)に接続される。幹管部P1に対する各枝管部P2の分岐部分の内側には、幹管部P1から枝管部P2側へのエアを円滑に流すために内側湾曲部Cが形成されている。
【0020】
前記幹管部P1の開放端部の外周には、フランジ部F1が形成されている。フランジ部F1の周縁部には複数のボルト挿通孔F1aが貫設されるとともに、フランジ部F1の外面における幹管部P1の開放端周縁にはシール材用の環状溝F1bが形成されている。両枝管部P2の開放端部間には、フランジ部F2が架設状態で形成されている。フランジ部F2の周縁部には、複数のボルト挿通孔F2aが貫設されている。フランジ部F2の外面における各枝管部P2の開放端周縁にはシール材用の環状溝F2bが形成されるとともに、フランジ部F2には肉盗み用の凹部F2cが形成されている。
【0021】
図1及び図2に示すように、前記インマニMを成形するための成形装置は、インマニMの外側形状を賦形するための外型21と、インマニMの内側形状を賦形するためのコア22とを備えている。外型21は型開き可能な複数の型片21Aに分割して構成されている。コア22は、インマニMの幹管部P1を賦形するほぼ円柱状の幹側コア23と、インマニMの各枝管部P2を賦形する2つの円柱状の枝側コア24とにより構成されている。
【0022】
前記幹側コア23はその軸線方向にほぼ沿って分割され、前記突出部23a及び曲面部23bを有する第1コア片23Aと、外力によって図1に示す賦形位置と図3に示す退出位置との間を進退移動される第2コア片23Bとによって構成されている。第1コア片23Aは幹管部P1の図1における下半部と枝管部P2の上端を成形する。第2コア片23Bは幹管部P1の上半部と幹管部P1の開放端部側を成形する。すなわち、前記第1コア片23Aの外周には、インマニMにおける各枝管部P2の基端側の一部を賦形する一対の突出部23aが形成されている。各突出部23aの外周には、インマニMの幹管部P1と各枝管部P2との間の内側湾曲部Cを賦形するための曲面部23bが形成されている。
【0023】
図1及び図2に示すように、前記第1コア片23Aと第2コア片23Bとの分割面間には、運動変換手段としての運動変換機構25が設けられている。この運動変換機構25は、第1コア片23Aに突設されるとともに、幹管部P1の軸線方向に対して傾斜する方向に延びる断面ほぼT字状の傾斜カム部25aと、その傾斜カム部25aに摺動可能に係合するように、第2コア片23Bの下面に形成された断面ほぼT字溝状の傾斜カム溝25bとから構成されている。そして、第2コア片23Bが進退移動されるとき、運動変換機構25の傾斜カム部25aと傾斜カム溝25bとの係合により、第1コア片23Aが両枝側コア24に対して接近または離間される。
【0024】
前記幹側コア23の第1コア片23Aと両枝側コア24との間には、拘束手段としての拘束機構26が設けられている。この拘束機構26は、各枝側コア24の上面に突設された凸部26aと、その凸部26aと係合可能に対応するように、第1コア片23Aの各突出部23aの下面に形成された凹部26bとから構成されている。そして、第2コア片23Bの退出移動にともなって第1コア片23Aが両枝側コア24から離間する方向に移動されるとき、拘束機構26の凸部26aと凹部26bとの係合により、第1コア片23Aの第2コア片23Bと同方向への退出移動が拘束される。
【0025】
前記幹側コア23の第1コア片23Aと第2コア片23Bとの間には、連結手段としての連結機構27が設けられている。この連結機構27は、第2コア片23Bの先端下部に突設された爪部27aと、その爪部27aと係合可能に対応するように、第1コア片23Aの上面に形成された段差部27bとから構成されている。そして、図3に示すように、第1コア片23Aが両枝側コア24から離間する位置に移動されて、前記拘束機構26による拘束から解放されたとき、連結機構27の爪部27aの一側面が段差部27bの段差面に係合して、第1コア片23Aが第2コア片23Bに対して退出方向へ一体移動可能に連結される。
【0026】
次に、前記のように構成された成形装置の作用を説明する。
この成形装置において、図1に示すように、外型21及びコア22が型閉じ状態にセットされると、その外型21とコア22との間にキャビティ28が形成される。そして、このキャビティ28内に溶融状態の合成樹脂材料が充填されることにより、図3に示すように、所定形状のインマニMが成形される。このインマニMの硬化後に、外型21の外型片21A,21Bが分離されるとともに、コア22がインマニM内から型抜きされて、インマニMが成形装置から取り出される。
【0027】
このコア22の型抜きに際しては、外力により幹側コア23の第2コア片23Bが図1に示すインマニMの幹管部P1内の賦形位置から、図3に示す外側の退出位置に移動される。この退出移動により、図1及び図2に示す運動変換機構25の傾斜カム部25aと傾斜カム溝25bとの係合を介して、幹側コア23の第1コア片23Aが枝側コア24から離間する方向に移動され始める。ただし、この状態では、第1コア片23Aと枝側コア24との間に設けられた拘束機構26の凸部26a及び凹部26bの係合が維持され、第1コア片23Aの軸線方向への移動が拘束されているので、第1コア片23Aが第2コア片23Bと同方向に退出移動されることはない。
【0028】
そして、幹側コア23の第2コア片23Bが図3に示す退出位置まで移動されると、第1コア片23Aが各枝側コア24から離間される。この状態で、第1コア片23Aの各突出部23aがインマニMの各枝管部P2内から幹管部P1内に抜け出す。このため、各突出部23aの外周の曲面部23bがインマニMの内側湾曲部Cと対応する位置から離脱される。それとともに、拘束機構26の凹部26bが凸部26aから離脱されて、第1コア片23Aの拘束が解放される。これによって、第1コア片23AがインマニMの幹管部P1内から第2コア片23Bの退出方向と同方向へ型抜き可能となる。
【0029】
このとき、連結機構27の爪部27aが段差部27bの端縁に係合して、幹側コア23の第1コア片23Aが第2コア片23Bに対して退出方向へ一体移動可能に連結される。この状態で、第2コア片23Bが退出位置から退出方向へさらに型抜き移動されることにより、連結機構27の爪部27aと段差部27bの端縁との係合を介して、第1コア片23AがインマニMの幹管部P1内から型抜きされる。これとともに、外力により両枝側コア24が退出方向に移動されることにより、両枝側コア24がインマニMの各枝管部P2内から型抜きされる。
【0030】
このため、インマニMを成形装置から取り出すことができる。
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この成形装置においては、インマニMの成形後に、幹側コア23の第2コア片23BがインマニMの幹管部P1内の賦形位置から外側の退出位置に退出移動されると、運動変換機構25を介して幹側コア23の第1コア片23Aが枝側コア24から離間する方向に移動される。このとき、第1コア片23Aと枝側コア24との間の拘束機構26により、第1コア片23Aが拘束されているので、第1コア片23Aが第2コア片23Bと同方向に退出移動されるのを阻止することができる。そして、第2コア片23Bが退出位置まで移動されたとき、第1コア片23Aが枝側コア24から離間する位置に配置され、その第1コア片23A上の曲面部23bがインマニMのアンダーカット部である内側湾曲部Cから離脱されて、第1コア片23AがインマニMの幹管部P1内から第2コア片23Bの退出方向と同方向へ型抜き可能となる。
【0031】
よって、幹管部P1の一端が閉塞されたインマニM、あるいは幹管部P1から複数の枝管部P2が分岐したインマニMであっても、成形後にインマニM内から、幹側コア23の第1コア片23A及び第2コア片23Bを容易に型抜きすることができる。その結果、幹管部P1の一端が閉塞されたインマニMや、幹管部P1から複数の枝管部P2が分岐したインマニMの成形を可能にすることができる。
【0032】
(2) この成形装置においては、前記第1コア片23Aと第2コア片23Bとの間に、第1コア片23Aが枝側コア24から離間する位置に移動されて、拘束機構26による拘束から解放されたとき、第1コア片23Aを第2コア片23Bに対して退出方向へ一体移動可能に連結するための連結機構27が設けられている。このため、第2コア片23Bが退出位置から退出方向へさらに型抜き移動されると、連結機構27を介して第1コア片23AがインマニMの幹管部P1内から型抜き移動される。よって、第1コア片23Aを第2コア片23Bと連動して、インマニM内から同時に型抜きすることができる。
【0033】
(3) この成形装置においては、前記運動変換機構25が、第1コア片23Aと第2コア片23Bとの間に設けられた傾斜カム部25aと傾斜カム溝25bとにより構成されている。このため、運動変換機構25の構成が簡単であるとともに、第2コア片23Bの進退移動時に、傾斜カム部25aと傾斜カム溝25bとの係合により、第1コア片23Aを枝側コア24に対して的確に接近離間させることができる。
【0034】
(4) この成形装置においては、前記拘束機構26が、係合可能に対応する凸部26a及び凹部26bより構成されている。このため、拘束機構26の構成が簡単であるとともに、第2コア片23Bの退出移動時に、凸部26aと凹部26bとの係合により、第1コア片23Aの退出方向への移動を有効に拘束することができる。
【0035】
(5) この成形装置においては、前記連結機構27が、係合可能に対応する爪部27a及び段差部27bより構成されている。このため、連結機構27の構成が簡単であるとともに、枝側コア24からの第1コア片23Aの離間後に、爪部27aと段差部27bの端縁との係合により、第1コア片23Aを第2コア片23Bに連結して、両コア片23A,23Bを一体に退出移動させることができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した成形装置の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、この第2実施形態以降の各実施形態及び変形例においては、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0037】
この第2実施形態の成形装置により成形されるインマニMは、図5に示すように、一端を開放するとともに他端を閉塞した円筒状の幹管部P1の外周に、3つの円筒状の枝管部P2が分岐して設けられている。このインマニMを成形するために、この実施形態の成形装置においては、コア22が、幹側コア23と3つの枝側コア24とにより構成されている。そして、前記第1実施形態の場合と同様に、幹側コア23が曲面部23bを有する第1コア片23Aと第2コア片23Bとに分割して構成されている。また、前記第1実施形態と同様な運動変換機構25、拘束機構26及び連結機構27が設けられている。
【0038】
従って、この第2実施形態においても、前記第1実施形態における(1)〜(5)に記載の効果と同様な効果を得ることができる。
(第3実施形態)
次に、この発明を具体化した成形装置の第3実施形態を説明する。
【0039】
この第3実施形態の成形装置により成形されるインマニMでは、図6に示すように、両端を開放した円筒状の幹管部P1の外周に、4つの円筒状の枝管部P2が分岐して設けられている。このインマニMを成形するために、この実施形態の成形装置においては、コア22が、対称に配置された一対の幹側コア23と4つの枝側コア24とにより構成されている。そして、前記第1実施形態の場合と同様に、各幹側コア23が曲面部23bを有する第1コア片23Aと第2コア片23Bとに分割して構成されている。また、各幹側コア23において前記第1実施形態と同様な運動変換機構25、拘束機構26及び連結機構27が対称に設けられ、各幹側コア23の第1コア片23A及び第2コア片23BがインマニMの幹管部P1の両端開放部から両側方へ型抜きされるようになっている。なお、成形されたインマニMは幹管部P1の一方の開口部が蓋(図示しない)により密閉される。
【0040】
従って、この第3実施形態においても、前記第1実施形態における(1)〜(5)に記載の効果と同様な効果を得ることができる。
(第4実施形態)
次に、この発明を具体化した成形装置の第4実施形態を中心に説明する。
【0041】
この第4実施形態では、図7に示すように、拘束機構26が、枝側コア24の上面に形成された段差状の凸部26aと、幹側コア23の第1コア片23Aにおける突出部23aの下面に形成された段差状の凹部26bとより構成されている。そして、この段差状の凸部26aと凹部26bとの接触係合により、第1コア片23Aの退出方向への移動が拘束されるようになっている。
【0042】
従って、この第4実施形態によれば、前記第1実施形態における(1)〜(5)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(6) この成形装置においては、前記拘束機構26の凸部26a及び凹部26bが段差状に形成されている。このため、凸部26aと凹部26bとを高精度の嵌合によることなく、接触によって容易に係合させることができて、係合構造を簡略化するこができる。
【0043】
(第5実施形態)
次に、この発明を具体化した成形装置の第5実施形態を中心に説明する。
この第5実施形態の成形装置により成形されるインマニMでは、幹管部P1から枝管部P2へのエアが円滑に流れるように、図8に示すように、円筒状の幹管部P1の外周に複数の円筒状の枝管部P2が、幹管部P1の軸線と直交する方向に対して所定角度傾斜した方向へ分岐して延びるように設けられている。各枝管部P2における内側湾曲部Cの曲率がエア上流側ほど小さく形成されている。そして、従って、第1コア片23Aの枝側コア24に対する係合及び離脱を可能にするために、第1コア片23Aの係合離脱方向が枝管部P2の傾斜方向となるように設定されている。つまり、拘束機構26の例えば段差状の凸部26aと凹部26bが枝管部P2に傾斜方向に傾斜するように形成されている。
【0044】
従って、この第5実施形態においても、前記各実施形態における(1)〜(6)に記載の効果と同様な効果を得ることができる。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0045】
・ 例えば、第1実施形態や第2実施形態等の各実施形態において、運動伝達手段としての運動変換機構25及び拘束手段としての拘束機構26の凹凸の関係を逆にすること。
・ 枝管部P2がひとつのインマニMの成形において、この発明を具体化すること。
【0046】
・ 本発明をインテークマニホールドとは異なった管継手等の別の成形品の成形装置に具体化すること。
【符号の説明】
【0047】
21…外型、22…コア、23…幹側コア、23A…第1コア片、23B…第2コア片、23a…突出部、23b…曲面部、24…枝側コア、25…運動変換手段としての運動変換機構、25a…傾斜カム部、25b…傾斜カム溝、26…拘束手段としての拘束機構、26a…凸部、26b…凹部、27…連結手段としての連結機構、27a…爪部、27b…段差部、M…成形品、P1…幹管部、P2…枝管部、C…内側湾曲部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側形状を賦形するための外型と、内側形状を賦形するためのコアとを備え、幹管部と、その幹管部から分岐する少なくともひとつの枝管部とが設けられた成形品を成形するようにした成形装置において、
前記コアを幹管部用の幹側コアと、枝管部用の枝側コアとにより構成するとともに、幹側コアには幹管部と枝管部との間の内側湾曲部を賦形するための曲面部を形成し、
前記幹側コアを、前記曲面部を有する第1コア片と、外力によって賦形位置と退出位置との間を進退移動される第2コア片とにより構成し、
両コア片間には、第2コア片の退出移動にともなって第1コア片を前記枝側コアとの連結位置から離間方向へ移動させるための運動変換手段を設け、
前記第1コア片と枝側コアとの間には、第1コア片が枝側コアから離間されるまでは、第1コア片が第2コア片と同方向に退出移動されることを拘束するための拘束手段を設けたことを特徴とする成形装置。
【請求項2】
前記第1コア片と第2コア片との間には、第1コア片が枝側コアから離間する位置に移動されて、前記拘束手段による拘束から解放されたとき、第1コア片を第2コア片とともに退出方向へ一体移動可能に連結するための連結手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記運動変換手段を、第1コア片と第2コア片との間に設けられたカムにより構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の成形装置。
【請求項4】
前記拘束手段を、係合可能に対応する凸部及び凹部より構成したことを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項に記載の成形装置。
【請求項5】
前記連結手段を、係合可能に対向する2つの面により構成したことを特徴とする請求項2〜請求項4のうちのいずれか一項に記載の成形装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の成形装置を用いた成形方法において、
成形終了後は、第2コア片を退出移動させることにより、運動変換機構の作用により、第1コア片を枝側コアとの連結位置から離間移動させ、第1コア片が枝側コアから離間された後に、第1コア片を拘束機構を介して第2コア片と同方向に退出移動させることを特徴とする成形方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−121157(P2012−121157A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271565(P2010−271565)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】