説明

戻しばね付き開閉装置

【課題】 戻しばねを外部環境から保護できる戻しばね付き開閉装置を提供すること。
【解決手段】 シャッター装置の開閉体となっているシャッターカーテン1は、カップ状部材23及び端部部材であるホイール部材24の組合体21と、バー状部材22とを含んで構成される巻取体4によって巻き取られ、繰り出され、中心軸20を中心に回転自在となっている巻取体4には、シャッターカーテン1が閉じ移動する巻取体4の回転時に戻しばね力が蓄圧され、この戻しばね力がシャッターカーテン1が開き移動する巻取体4の回転時に利用される戻しばねとなっているぜんまいばね25が配置され、このぜんまいばね25は、略密閉空間となっているカップ状部材23とホイール部材24の内部空間Sに配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体の開閉移動のために巻取体による開閉体の巻き取り、繰り出しがなされ、開閉体の開き移動と閉じ移動のうちの一方の移動時に蓄圧された戻しばね力が他方の移動時に巻取体の回転付勢力として利用される戻しばねを備えている戻しばね付き開閉装置に係り、例えば、シャッター装置やオーニング装置等に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
開閉体となっているシャッターカーテンの開閉移動が巻取体によるシャッターカーテンの巻き取り、繰り出しによってなされるシャッター装置には、巻取体にねじりコイルばねによる戻しばねが配設され、この戻しばねが、シャッターカーテンの閉じ移動の繰り出しのために巻取体が回転したときに蓄圧され、この蓄圧された戻しばね力が、シャッターカーテンの開き移動の巻き取りのために巻取体が回転するときに回転付勢力として利用されるようになっている戻しねじりコイルばね付きのシャッター装置がある(例えば、下記の特許文献1)。
【0003】
また、下記の特許文献2に開示されている戻しばね付きのシャッター装置では、2個の戻しばねがばねジョイントを介して直列に連結され、シャッターカーテンを開き移動させるための巻取体による所定の巻き取り途中までは、これらの戻しばねの両方の戻しばね力が回転付勢力として利用されてシャッターカーテンの巻き取りがなされるが、巻き取り途中において、ばねジョイントと、巻取体と一体に回転するストッパ部材とが係合することにより、これらのばねジョイントとストッパ部材との相対回転が阻止され、これにより、2個の戻しばねのうちの1個の戻しばねの戻しばね力がシャッターカーテンの巻き取りのための回転付勢力として利用されなくなり、この結果、上記所定の巻き取り途中より以後は、シャッターカーテンを開き移動させるための回転付勢力が小さくなってシャッターカーテンは全開位置に達するようになっている。
【特許文献1】特開平11−267935号(段落番号0034、図2)
【特許文献2】特開平5−93487号(要約、段落番号0012,0018〜0023、図1、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の戻しばね付きのシャッター装置では、戻しばねによって巻取体に付与される回転付勢力の大きさは、戻しばねの状態と関係し、戻しばねに錆が発生したり、戻しばねが損傷したりした場合には、回転付勢力の大きさが変化してしまい、設定値どおりの回転付勢力を長期間に亘って確保できなくなる。このため、戻しばね付きのシャッター装置では、戻しばねに錆が発生したり、戻しばねが損傷したりするのを防止できるようにし、戻しばねを外部環境から保護する工夫が求められる。
【0005】
本発明の目的は、戻しばねを外部環境から保護できるようになる戻しばね付き開閉装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る戻しばね付き開閉装置は、開閉移動可能となった開閉体と、この開閉体の開閉移動のために前記開閉体を巻き取り、繰り出す回転を行う巻取体と、前記開閉体の開き移動と閉じ移動のうちの一方の移動時における前記巻取体の回転によって戻しばね力が蓄圧され、この蓄圧された戻しばね力が前記開閉体の他方の移動時における前記巻取体の回転付勢力として利用される戻しばねとを有している戻しばね付き開閉装置において、前記戻しばねは密閉空間又は略密閉空間に配置されていることを特徴とするものである。
【0007】
この戻しばね付き開閉装置によると、戻しばねは密閉空間又は略密閉空間に配置されているため、空気中の水分等に起因する錆が戻しばねに発生しにくくなり、また、戻しばねは外部力から遮断又は略遮断された状態となり、戻しばねは外部環境から保護されるため、戻しばねにより所定の大きさの回転付勢力を巻取体に長期間に亘って付与できるようになる。
【0008】
戻しばねを配置するための密閉空間又は略密閉空間は、任意な部材で形成された任意な構造のものでよく、例えば、1個の部材で形成されたものでもよく、複数個の部材で形成されたものでもよい。
【0009】
本発明における密閉空間又は略密閉空間には、完全な密閉空間や、シール部材でシールされた箇所を有していて、僅かではあるが外部空気等の流出入が可能となっている空間や、軸等が遊合した孔等の開口部を有していて、この開口部を介して外部空間と連通状態となっている空間等が含まれる。
【0010】
密閉空間又は略密閉空間を複数個の部材で形成するための一例は、巻取体の軸方向の一方の端部が閉鎖又は略閉鎖された端面部となっていて、他方の端部が開口しているカップ状部材と、このカップ状部材の開口した端部に配置されていて、この端部を閉鎖又は略閉鎖された端部としている端部部材との組み合わせによる組合体によって密閉空間又は略密閉空間を形成することであり、この組合体の内部空間に戻しばねを配置する。
【0011】
このように密閉空間又は略密閉空間を形成した場合には、カップ状部材と端部部材とを結合してもよく、すなわち、これらのカップ状部材と端部部材とが一体となって回転するようにしてもよく、カップ状部材と端部部材のうちの一方を他方に対して回転自在としてもよい。
【0012】
また、端部部材を、カップ状部材よりも大きい外径を有するものとしてもよく、端部部材とカップ状部材を、互いの外径が同じになった部材としてもよく、端部部材を、カップ状部材よりも小さい外径を有するものとしてもよい。
【0013】
そして、カップ状部材と端部部材とを上述のように結合した場合には、端部部材とカップ状部材のうちの外径が大きい部材の外周面や、外径が同じになっている両方の部材の外周面、外径が同じになっている両方の部材のうちの一方の部材の外周面に、開閉体の開閉移動方向の端部を連結(開閉体の開閉移動方向の端部に設けられた連結部材を介して連結する場合を含む)し、開閉体が上記外周面に巻き取られるようにしてもよい。
【0014】
これによると、端部部材やカップ状部材は、開閉体を巻き取り、繰り出すための前記巻取体を構成する部材ともなるため、巻取体の構成部材を用いて密閉空間又は略密閉空間を形成でき、それだけ開閉装置全体の構造を簡単化することができる。
【0015】
なお、巻取体の軸方向における端部部材の寸法は、カップ状部材よりも小さくてもよく、同じでもよく、カップ状部材よりも大きくてもよい。
【0016】
また、端部部材の形状は任意であり、端部部材をカップ状部材よりも大きな外径を有するものとする場合には、端部部材を、例えば、前記外周面を形成している環状フランジ部と、この環状フランジ部における巻取体の軸方向の途中部に設けられた端面部とを有するものとし、この端面部をカップ状部材に結合してもよく、また、端部部材をカップ状部材と同じ又はこれよりも大きな外径を有するものとする場合には、端部部材を、前記外周面を形成している環状フランジ部と、この環状フランジ部における巻取体の軸方向の一方の端部に設けられた端面部とを有するものとしてもよい。
【0017】
これらのうちの後者の場合であって、端部部材とカップ状部材とを結合し、端部部材とカップ状部材のうちの少なくとも端部部材の外周面に、上述のように開閉体の開閉移動方向の端部を連結する場合には、端部部材をカップ状部材よりも大きな外径を有するものとするとともに、開口している巻取体の軸方向の端部をカップ状部材と同じ側に向けて、前記端面部をカップ状部材に結合してもよく、また、端部部材がカップ状部材と同じ又はこれよりも大きな外径を有するものである場合には、開口している巻取体の軸方向の端部をカップ状部材とは反対側に向け、カップ状部材の側に向いた前記端面部をこのカップ状部材に結合してもよい。
【0018】
後者によると、端部部材の外周面を形成している環状フランジ部に開閉体の開閉移動方向の端部をボルト、ナット等による結合具で結合する際、この結合作業を端部部材の開口している端部から容易に行えるようになる。
【0019】
また、本発明において、前記組合体の個数は、1個でもよく、巻取体の軸方向に配置された複数個でもよい。
【0020】
組合体の個数を巻取体の軸方向に配置された複数個とする場合であって、それぞれの組合体のカップ状部材と結合された端部部材の外周面に、前述したように、開閉体の開閉移動方向の端部を連結し、開閉体がこの外周面に巻き取られるようにする場合には、それぞれの端部部材同士を、巻取体の軸方向に延びる長さを有する連結部材によって連結してもよい。
【0021】
これによると、それぞれの端部部材が、開閉体を巻き取り、繰り出すための回転を同時に行うようになり、開閉体の開閉移動を所定どおり行わせることができる。
【0022】
このようにそれぞれの組合体の端部部材同士を連結するための連結部材は、中空や中実の断面円形等のバー状部材でもよく、フラットバーやアングル材によるバー状部材でもよく、また、それぞれの端部部材が内部に収納されてこれらの端部部材と結合された筒状部材等でもよい。
【0023】
本発明における戻しばねは、ねじりコイルばねでもよく、一端から他端に向かって渦巻き状に巻回している渦巻きばねでもよい。
【0024】
また、戻しばねを渦巻きばねとする場合には、この渦巻きばねは、板材を渦巻き状に巻回して形成されているばね、すなわち、ぜんまいばねでもよく、断面円形や断面楕円形、断面矩形の線材等を渦巻き状に巻回したものでもよい。また、これらのいずれかで戻しばねを形成した場合には、巻き数や全長等は任意である。
【0025】
渦巻きばねを、板材を渦巻き状に巻回して形成したぜんまいばねとすると、板材の厚さは小さいため、渦巻きばね全体の直径を小さくでき、これにより、渦巻きばねを配置するための前記密閉空間又は略密閉空間の渦巻きばね半径方向の寸法を小さくできる。
【0026】
また、渦巻きばねは、軸方向の同一位置又は略同一位置において巻回しているばねでもよく、軸方向に次第に変位しながら巻回しているばね、言い換えると、円錐形ばねやたる形ばね等でもよい。
【0027】
渦巻きばねを、軸方向の同一位置又は略同一位置において巻回しているばねとすると、渦巻きばねの軸方向長さは短くなるため、この渦巻きばねを配置するための前記密閉空間又は略密閉空間を小型化することができる。
【0028】
巻取体の回転で渦巻きばねに戻しばね力を蓄圧し、この蓄圧された戻しばね力を巻取体に作用させるための構造は任意であり、その一例は、渦巻きばねの内端部を、前記巻取体の中心に挿通された回転しない中心軸又はこの中心軸に結合された非回転部材に直接又は間接的に連結し、渦巻きばねの外端部を前記巻取体に直接又は間接的に連結することである。
【0029】
また、本発明において、渦巻きばねは、開閉体の開閉特性に応じて、巻き締め初期から巻き締め終期までのうちの任意な範囲を利用することができる。すなわち、渦巻きばねの巻き締め初期から巻き締め終期までの全体範囲を利用してもよく、巻き締め初期を含む初期範囲と巻き締め終期を含む終期範囲とを除いた中間範囲だけを利用してよく、これらの初期範囲と終期範囲とのうちの一方と、上記中間範囲とを利用してもよく、巻き締め初期範囲と巻き締め終期範囲とのうちの少なくとも一方のみを利用してもよい。
【0030】
また、渦巻きばねは、巻き締め初期において外層部と内層部とのうちの一方が密巻き部となっていて他方が粗巻き部となっているとともに、巻き締め終期において前記一方が粗巻き部となって前記他方が密巻き部となるものでもよい。このような渦巻きばねの場合であって、開閉体の開閉移動方向が、上向き移動が開き移動となった鉛直方向の成分を有する方向である場合には、巻き締め初期を含む初期範囲と巻き締め終期を含む終期範囲とを除いた中間範囲を、開閉体の全開位置から全閉位置までの開閉移動領域と対応する範囲として利用することが好ましい。
【0031】
これによると、渦巻きばねの戻しばね力による巻取体回りのトルクを、開閉体を開き移動させるために必要な開閉体開き移動トルクと近似させることができる。
【0032】
これを具体的に説明すると、渦巻きばねのばね定数は一定ではなく、そのばね力は全体的に非線形の特性を有している。そして、開閉体を上向きに開き移動させるために必要な開閉体開き移動トルクの大きさは、巻取体から繰り出されている開閉体の自重による巻取体回りの自重トルクと、これ以外のトルクとの合計、例えば、開閉体を開き移動させるときに生ずる開閉体用ガイド部材と開閉体との摩擦力等の抵抗力による巻取体回りの抵抗トルクとの合計となる。これらのトルクのうち、自重トルクは、巻取体から繰り出されている開閉体の自重と、巻取体の中心からこの自重が作用している位置までの水平距離との積算値となり、これらの自重と水平距離の両方は巻取体からの開閉体の繰り出し量(巻取体の回転数)と関係している。このため、開閉体開き移動トルクは、一般的には、巻取体の回転数に対して直線的に変化せず、曲線的に変化するものとなるが、渦巻きばねの戻しばね力による巻取体回りのトルクは、渦巻きばねのばね力が全体的に非線形の特性を有しているため、巻き締め初期を含む初期範囲と巻き締め終期を含む終期範囲とを除いた渦巻きばねの中間範囲において、開閉体開き移動トルクと同様に曲線的に変化するものとなる。
【0033】
したがって、巻き締め初期を含む初期範囲と巻き締め終期を含む終期範囲とを除いた渦巻きばねの中間範囲を、開閉体の全開位置から全閉位置までの開閉移動領域と対応する範囲として利用することにより、渦巻きばねの戻しばね力による巻取体回りのトルクを、開閉体を上向きに開き移動させるために必要な開閉体開き移動トルクと近似させることができる。
【0034】
なお、上述の密巻き部には、内外径方向に隣接している2つの巻き部が互いに接触している場合と、接触していない場合との両方が含まれる。また、粗巻き部には、この粗巻き部が1回転未満となっている巻き部によって形成されている場合と、1回転以上となっている巻き部によって形成されている場合との両方が含まれる。
【0035】
また、開閉体の全開位置から全閉位置までの開閉移動領域の全体又は略全体について、渦巻きばねの戻しばね力による巻取体回りのトルクの大きさを、開閉体を上向きに開き移動させるために必要な巻取体回りの開閉体開き移動トルクの大きさ以下であって、開閉体を下向きに閉じ移動させるようとする巻取体回りの開閉体閉じ移動トルクの大きさ以上としてもよく、言い換えると、渦巻きばねの戻しばね力による巻取体回りのトルクの大きさを、開閉体を上向きに開き移動させるために必要な巻取体回りの開閉体開き移動トルクの大きさと同じかこれよりも小さくし、かつ開閉体を下向きに閉じ移動させるようとする巻取体回りの開閉体閉じ移動トルクの大きさと同じかこれよりも大きくしてもよい。
【0036】
これによると、開閉体に特別の閉じ移動力や開き移動力を加えない限り、開閉体の開閉移動領域の全体又は略全体におけるいずれの位置でも開閉体を停止させることができる。また、手動操作や自動装置で開閉体に閉じ移動や開き移動を行わせる場合には、上記特別の閉じ移動力や開き移動力に相当する比較的小さな閉じ移動力や開き移動力をこの手動操作や自動装置によって開閉体に加えることにより、開閉体を所望どおり移動させることができる。
【0037】
なお、ここでいう、開閉体の開閉移動領域の略全体について、渦巻きばねの戻しばね力による巻取体回りのトルクの大きさを、開閉体を上向きに開き移動させるために必要な巻取体回りの開閉体開き移動トルクよりも小さく、かつ開閉体を下向きに閉じ移動させるようとする巻取体回りの開閉体閉じ移動トルクよりも大きくする、とは、前述した巻取体がある回転角度になったときにおいて、渦巻きばねの戻しばね力による巻取体回りのトルクの大きさが、開閉体を上向きに開き移動させるために必要な巻取体回りの開閉体開き移動トルクの大きさと、開閉体を下向きに閉じ移動させようとする巻取体回りの開閉体閉じ移動トルクの大きさとの間の大きさとなっていなくてもよいとの意味である。
【0038】
このような巻取体の回転角度の一例は、巻取体と開閉体の上端部との連結部が、巻取体の中心に対して水平となる位置に達したときである。このときには、開閉体の上端部に、この上端部を巻取体に連結するための吊り元部材等の連結部材が設けられ、この連結部材の厚さ分だけ巻取体の中心から開閉体の繰り出し位置までの水平距離が大きくなるため、巻取体から繰り出されている開閉体の自重による巻取体回りの開閉体閉じ移動トルクや開閉体開き移動トルクが大きくなる。
【0039】
また、開閉体が全開位置に達したとき又は全開位置の近くに達したときに、渦巻きばねの戻しばね力による巻取体回りのトルクの大きさが、巻取体回りの開閉体の開き移動トルクの大きさよりも大きくなるようにしてもよい。これによると、開閉体が全開位置又は全開位置の近くに達すると、渦巻きばねの戻しばね力による巻取体回りのトルクによって開閉体には上方への付勢力が付与されることになり、これにより、開閉体の閉じ側の端部である下端部に設けられている座板等のエンド部材を、まぐさ等の開閉体全開位置規定部材に当接させることができるため、開閉体を全開位置にこの当接力をもって停止させることがきる。
【0040】
また、開閉体が全閉となっているときにおける渦巻きばねの戻しばね力による巻取体回りのトルクの大きさが、開閉体を上向きに開き移動させるために必要な巻取体回りの開閉体開き移動トルクよりも大きくなっていて、開閉体が全閉位置から手操作等で開き移動させることが容易な高さ位置まで達したときに、渦巻きばねの戻しばね力による巻取体回りのトルクの大きさが、開閉体を上向きに開き移動させるために必要な巻取体回りの開閉体開き移動トルクの大きさ以下であって、開閉体を下向きに閉じ移動させようとする巻取体回りの開閉体閉じ移動トルクの大きさ以上となるようにしてもよい。
【0041】
これによると、全閉位置で施錠装置によって施錠されていた開閉体を開錠すると、この開閉体を、渦巻きばねの戻しばね力による巻取体回りのトルクにより、手操作等で開き移動させることが容易な高さ位置まで自動的に開き移動させることができ、この後、開閉体を手操作等で容易に開き移動させることができる。
【0042】
本発明において、1個の前記密閉空間又は略密閉空間に配置される前記戻しばねは、1個でもよく、あるいは、異なるばね特性又は同じばね特性を有する同種又は異種の複数の戻しばねを直列又は並列に連結し、これらの戻しばねを1個の前記密閉空間又は略密閉空間に配置することにより、1個の戻しばねを1個の密閉空間又は略密閉空間に配置したのでは得られない巻取体回りのトルクを得られるようにしてもよい。
【0043】
また、1個の戻しばねをその全長に亘って同じ幅や直径等となった材料によって形成せず、これにより、所望のばね特性を得てもよい。
【0044】
本発明は、開閉体の開閉移動方向が上下方向となった開閉装置や、左右方向となった開閉装置、さらには、これらの方向に対して傾斜した方向となった開閉装置に適用することができる。開閉体の開閉移動方向が上下方向となっている開閉装置については、開閉体の閉じ方向が下方向であって開き方向が上方向でもよく、開閉体の閉じ方向が上方向であって開き方向が下方向でもよい。
【0045】
また、本発明に係る開閉装置は、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置でもよく、建物の軒先等に取り付けられ、出入口等の開口部の日除け、雨除けのための開閉自在なカーテンを備えているオーニング装置でもよく、ロールスクリーン装置等でもよい。
【0046】
本発明をシャッター装置に適用する場合には、シャッターカーテンは任意な材料で形成されているものでよい。すなわち、シャッターカーテンは、その全部又は主要部が複数のスラットの連設で形成されたものでもよく、複数のパネルの連設で形成されたものでもよく、リンクで連結された複数のパイプで形成されたものでもよく、布やシート等の薄厚部材で形成されたものでもよく、ネットで形成されたものでもよく、これらのうちの少なくとも2つの複合で形成されたもの等でもよい。
【0047】
また、本発明は、任意な用途のシャッター装置に適用できる。すなわち、本発明が適用されるシャッター装置は、窓や出入口等の開口部をシャッターカーテンで開閉する開口部用シャッター装置でもよく、全閉となったシャッターカーテンで防災区画を形成するための防災用シャッター装置でもよく、車庫用シャッター装置でもよく、物置用シャッター装置でもよく、トラック等の車両の荷台やコンテナのためのシャッター装置等でもよい。そして、防災用シャッター装置には、火災等の災害発生時にシャッターカーテンがエレベータとエレベータホールとの間で閉じ移動するエレベータ用防災シャッター装置が含まれる。
【0048】
さらに、本発明は、手動式シャッター装置や自動式シャッター装置、手動と自動の併用式シャッター装置等の任意なタイプのシャッター装置に適用することができる。
【0049】
また、本発明は、シャッターカーテンの閉じ移動が、戻しばねの戻しばね力を除くと、シャッターカーテンの自重と、ウエイト部材の重量と、手動操作と、電動モータ等の駆動手段とのうちのいずれか1つ又はこれらのうちの少なくとも2つの複合でなされるシャッター装置に適用できる。また、シャッターカーテンの開き移動も、戻しばねの戻しばね力を除くと、シャッターカーテンの自重と、ウエイト部材の重量と、手動操作と、電動モータ等の駆動手段とのうちのいずれか1つ又はこれらのうちの少なくとも2つの複合でなされるシャッター装置について、本発明を適用できる。
【発明の効果】
【0050】
本発明によると、戻しばねは密閉空間又は略密閉空間に配置されているため、戻しばねを外部環境から保護できるようになり、戻しばねに錆が発生したり、戻しばねが損傷したりするのを防止できるという効果を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、本実施形態に係る戻しばね付き開閉装置となっている戻しばね付きシャッター装置の全体正面図が示され、このシャッター装置は、開閉体であるシャッターカーテン1で建物の出入口10を開閉するための出入口用シャッター装置である。
【0052】
また、このシャッター装置は、シャッターカーテン1の自重及び手動操作によりシャッターカーテン1を下向きに閉じ移動させ、手動操作によりシャッターカーテン1を上向きに開き移動させるタイプのものとなっている。
【0053】
出入口10の左右両側を形成している壁や柱等による建物躯体11には、上下に延びるガイドレール2が取り付けられ、これらの左右のガイドレール2の内部に、シャッターカーテン1の幅方向両端部である左右両端部がスライド自在に挿入され、シャッターカーテン1はガイド部材であるガイドレール2に案内されて上下方向に開閉移動可能となっている。出入口10の上部には、シャッターケース3が配設され、このシャッターケース3の内部に巻取体4が左右のブラケット5で支持されて水平に架設されている。シャッターカーテン1の上端部はこの巻取体4に連結され、シャッターカーテン1の上下方向の開閉移動は、巻取体4からのシャッターカーテン1の繰り出し、巻取体4によるシャッターカーテン1の巻き取りによりなされ、このシャッターカーテン1の開閉移動は、シャッターケース3の下面3Aに設けられているまぐさのスリットをシャッターカーテン1が挿通してなされる。
【0054】
シャッターカーテン1は、閉じ側の先端部である下端部に設けられた座板1Aと、この座板1Aの上部に多数連設されたスラット1Bとを含んで構成され、座板1Aがシャッターケース3の下面3Aのまぐさの高さ位置に達しているときに、シャッターカーテン1は全開位置となっており、座板1Aが出入口10の床10Aに達したときに、シャッターカーテン1は全閉位置となる。このため、これらの全開位置から全閉位置までの領域が、シャッターカーテン1の開閉移動領域Lである。
【0055】
シャッターカーテン1を構成している多数のスラット1Bのうち、シャッターカーテン1が全閉位置となったときに腰と同じ高さ程度にある所定のスラット1Bには、左右2個の手掛け部6が設けられ、シャッターカーテン1が全閉位置となっているときに、これら手掛け部6に手を掛けてシャッターカーテン1を持ち上げたり、座板1Aに操作棒の先端を係合してこの操作棒でシャッターカーテン1を上昇させることにより、シャッターカーテンを巻取体4に巻き取らせてシャッターカーテン1を全開位置まで開き移動させることができる。また、全開位置に達しているシャッターカーテン1の座板1Aに操作棒の先端を係止してこの操作棒でシャッターカーテン1を下降させたり、手掛け部6に手を掛けてシャッターカーテン1を押し下げることを行うことにより又は行わないことにより、シャッターカーテン1の自重を利用して、シャッターカーテン1を巻取体4から繰り出させて全閉位置まで閉じ移動させることができる。
【0056】
図2には、巻取体4の構造が示され、巻取体4の中心部には、図1で説明した左右のブラケット5で回転不能に支持されている中心軸20が挿通し、この中心軸20を中心に巻取体4は回転自在となっている。本実施形態に係る巻取体4は、中心部に中心軸20が貫通した3個の組合体21と、巻取体4の軸方向に延びる長さを有し、巻取体4の軸方向に配置された3個の組合体21同士を連結する連結部材となっているバー状部材22とを含んで構成され、パイプやフラットバー等からなるバー状部材22は巻取体4の円周方向に複数本設けられている。図2において、左側の1個の組合体21と右側の2個の組合体21は、左右の向きが異なるだけであり、全部の組合体21は同じ構造で形成されている。なお、全部の組合体21の向きを同じにしてもよい。
【0057】
図3は、これらの組合体21のうち、代表例として図2の中央の組合体21を示した正面図であり、図4は、この組合体21の正断面図である。図4で示されているとおり、組合体21は、巻取体4の軸方向の一方の端部が略閉鎖された端面部23Aとなっていて、他方の端部23Bが開口しているカップ状部材23と、このカップ状部材23の開口した端部23Bに配置されていて、この開口端部23Bを略閉鎖された端部とする端部部材となっているホイール部材24との組み合わせによる組合体となっており、この組合体21の内部空間Sに、本実施形態に係る戻しばねであって、一端から他端に向かって渦巻き状に巻回している渦巻きばね25が収納配置されている。この渦巻きばね25は、板材を軸方向の同一位置又は略同一位置で渦巻き状に巻回したぜんまいばねである。
【0058】
ホイール部材24は、外周面を形成している環状フランジ部24Aと、この環状フランジ部24Aにおける巻取体4の軸方向の一方の端部に設けられた端面部24Bとを有する浅皿形状であり、この端面部24Bに、それぞれの組合体21同士を連結するための前記バー状部材22が挿通結合されている。また、ホイール部材24は、開口している巻取体4の軸方向の他方の端部24Cをカップ状部材23とは反対側に向け、端面部24Bをカップ状部材23の側に向けてこのカップ状部材23に結合されている。この結合は、板金プレス成形品であるカップ状部材23の胴部23Cの前記開口端部23B側の端部に形成されている突片23Dをホイール部材24の端面部24Bに形成された孔24Dに挿入した後、突片23Dを折り曲げることによってなされている。
【0059】
ホイール部材24はカップ状部材23よりも大きい外径を有し、この外径の部分を形成しているホイール部材24の環状フランジ部24Aには、孔24Eが円周方向の複数箇所に形成され、これらの孔24Eから選択された任意な孔24Eに挿入されるボルトとナットによる結合具26により、シャッターカーテン1の上端部がホイール部材24の外周面、すなわち環状フランジ部24Aの外面で結合される。このため、環状フランジ部24Aは、シャッターカーテン1を巻き取り、繰り出すための巻取体4における部分となっている。
【0060】
このような環状フランジ部24を有しているホイール部材24は、上述のように開口端部24Cをカップ状部材23とは反対側に向けてカップ状部材23に連結されているため、結合具26によってシャッターカーテン1の上端部をホイール部材24の環状フランジ部24Aの外面に結合する作業を、開口端部24Cから作業者が手や工具等を差し入れることによって容易に行える。
【0061】
また、前記中心軸20の外周面におけるそれぞれの組合体21の配置位置と対応する位置には、巻芯部材27が配置されている。この巻芯部材27は、ボルトとナットによる結合具28,29により、中心軸20の所定位置である組合体21の配置位置と対応する位置に固定されているため、巻芯部材27は、中心軸20と同じく、回転しない非回転部材となっている。図4のS5−S5線断面図である図5から分かるように、巻芯部材27は丸パイプ部材であり、この巻芯部材27には軸方向の全長に亘る割溝27Aが形成されているとともに、巻芯部材27の軸方向両端部には、切り倒し加工による受け片27Bが形成され、巻芯部材27の円周方向に等間隔で複数形成されているこれら受け片27Bにより、巻芯部材27は中心軸20と同軸的に、言い換えると、全周に亘って中心軸20から同じ又は略同じ大きさの隙間を開けて中心軸20上に配置されている。
【0062】
図4に示されているように、カップ状部材23の前記端面部23Aと、ホイール部材24の前記端面部24Bには、中心軸20及び巻芯部材27が挿通された孔30,31が形成され、これらの孔30,31は巻芯部材27が遊合した孔であるため、カップ状部材23の端面部23Aによる端部と、ホイール部材24の端面部24Bで閉鎖されたカップ状部材23の端部23は、略閉鎖された端部となっている。このため、カップ状部材23とホイール部材24とによって形成されている前記内部空間Sは、略密閉空間となっている。
【0063】
なお、前記ぜんまいばね25が収納されているこの内部空間Sを密閉性が一層向上した略密閉空間又は密閉空間とするために、カップ状部材23、ホイール部材24に取り付けられて巻芯部材27と回転自在に接触するシール部材により、孔30,31を塞いでもよい。
【0064】
図4で示すように、ホイール部材24と巻芯部材27との間には軸受け35が配置され、この軸受け35により、ホイール部材24とカップ状部材23は巻芯部材27に対して回転自在となっている。軸受け35は、外輪部材35Aと、内輪部材35Bと、これらの外輪部材35Aと内輪部材35Bとの間において円周方向に複数個配設され、それぞれがリテーナ35Cで回転自在に保持されているボール35Dとを有するボール式軸受けであり、外輪部材35Aはリベット等の止着具36でホイール部材24の端面部24Bに止着されており、内輪部材35Bは、前記結合具29で巻芯部材27及び中心軸20に結合されている。
【0065】
図5で示すように、前記内部空間Sに配置されているぜんまいばね25の内端部25Aは、折り曲げられて巻芯部材27の割溝27Aに係止されている。また、ぜんまいばね25の外端部25Bは、折り曲げられてカップ状部材23の胴部23Cの被係止片23Eに係止されている。この被係止片23Eは、胴部23Cに外径方向への膨出部23Fをプレス成形等で形成する際に、一部を膨出させずに切り残すことによって形成されたものである。
【0066】
このようにぜんまいばね25の内端部25Aは、前記巻取体4の中心に配置された中心軸20と結合されて非回転部材となっている巻芯部材27に連結され、外端部25Bは、中心軸20を中心に回転自在となっている巻取体4の構成部材である組合体21のカップ状部材23に結合されている。また、ぜんまいばね25の巻回方向は、組合体21のホイール部材24の環状フランジ部24Aに巻き取られているシャッターカーテン1を繰り出す方向に巻取体4が中心軸20を中心に回転(図5中、右回転)したときに、ぜんまいばね25が巻き締められる方向になっている。
【0067】
このため、シャッターカーテン1が巻取体4から繰り出されて閉じ移動すると、ぜんまいばね25には戻しばね力が蓄圧されることになり、シャッターカーテン1を開き移動させてこのシャッターカーテン1を巻取体4に巻き取らせるときには、この蓄圧された戻しばね力が巻取体4の回転を付勢するための回転付勢力として利用される。これにより、前述した手掛け部6や操作棒を用いた手動操作によってシャッターカーテン1を上方へ開き移動させる際、この開き移動を軽く行うことができる。
【0068】
図6には、ぜんまいばね25の巻き締め初期の状態が示され、図7には、巻き締め終期の状態が示されている。図6の巻き締め初期では、ぜんまいばね25の外層部が密巻き部25Cとなっていて、内層部が粗巻き部25Dとなっており、図7の巻き締め終期では、ぜんまいばね25の外層部が粗巻き部25Eとなっていて、内層部が密巻き部25Fとなっている。
【0069】
このような巻き締め状態で巻き締められるぜんまいばね25のばね定数は一定となっておらず、ぜんまいばね25は、全体的に非線形のばね力特性を有しているため、図6の巻き締め初期からぜんまいばね25の巻き締めが始まると、内層部が粗巻き部25Dとなっているこの巻き締め初期を含む初期範囲では、戻しばね力は大きな増加率で増加し、その後、戻しばね力の増加率は次第に低下する。そして、外層部が粗巻き部25Eとなる図7の巻き締め終期を含む終期範囲に達すると、戻しばね力の増加率は再び大きくなり、巻き締め終期において戻しばね力は最大値に達する。
【0070】
図8は、横軸を巻取体4の回転数とし、縦軸を巻取体4の中心軸20回りのトルクとしたグラフである。この図8には、巻取体4の回転数に対するぜんまいばね25の戻しばね力による巻取体4の中心軸20回りのトルクA,Bの関係が示されている。ぜんまいばね25は、上述した全体的に非線形となったばね力の特性を有しているため、ぜんまいばね25が図6から図7の状態になるときには、ぜんまいばね25の戻しばね力による巻取体4の中心軸20回りのトルクAは、巻き締め初期範囲αで大きな増加率で増加し、その後、増加率は中間範囲βで次第に小さくなり、巻き締め終期範囲γにおいて再び増加率は大きくなる。また、ぜんまいばね25が図7から図6の状態になるときにおけるトルクBは、トルクAと同様な特性となるが、トルクAと比較すると、ぜんまいばね25の材料や巻き込み状態等に基づくヒステリヒスによる差が生ずる。
【0071】
図8には、シャッターカーテン1を上向きに開き移動させようとしたときに必要となる巻取体4の中心軸20回りのトルクCも示されている。このトルクCは、巻取体4から繰り出されている図5で示すシャッターカーテン1の自重(座板1Aの重量を含む)Wによる中心軸20回りの自重トルクと、シャッターカーテン1を上方へ開き移動させようとした際に、図1で示したガイドレール2とシャッターカーテン1との摩擦等に基づき生ずる抵抗力による中心軸20回りの抵抗トルクとの合計値である。シャッターカーテン1の自重Wによる自重トルクは、自重Wと、図5で示す中心軸20の中心部からこの自重Wが作用している位置までの水平距離Rとを積算した値となる。
【0072】
また、図8には、シャッターカーテン1を下向きに閉じ移動させようとする巻取体4の中心軸20回りのトルクDも示されている。このトルクDは、巻取体4から繰り出されているシャッターカーテン1の自重Wによる中心軸20回りの自重トルクから、シャッターカーテン1が下向きに閉じ移動しようとしたときにガイドレール2とシャッターカーテン1との摩擦等に基づき生ずる上向きの抵抗力による中心軸20回りの抵抗トルクを差し引いた値となる。
【0073】
なお、自重Wによる自重トルクの大きさと、自重Wに基づき生ずる上向きの抵抗力による抵抗トルクの大きさとが同じである場合には、シャッターカーテン1を下向きに閉じ移動させようとする巻取体4の中心軸20回りのトルクは、ゼロとなる。そして、シャッターカーテン1の開閉移動領域Lの全体において、これらの自重トルクと抵抗トルクの大きさが同じである場合には、トルクDは、シャッターカーテン1の開閉移動領域Lの範囲において、図8のグラフの横軸と一致する。
【0074】
トルクCとトルクDの両方における自重トルクは、上述のように、巻取体4から繰り出されているシャッターカーテン1の自重Wと、中心軸20の中心部からこの自重Wが作用している位置までの水平距離Rとの関数となっており、これらの自重Wと水平距離Rのいずれも、巻取体4からのシャッターカーテン1の繰り出し量(巻取体4の回転数)と関係している。このため、シャッターカーテン1を上向きに開き移動させるために必要な中心軸20回りのトルクCも、シャッターカーテン1を下向きに閉じ移動させようとする中心軸20回りのトルクDも、図7で示されているとおり、巻取体4の回転数に対して直線的に変化せず、曲線的に変化する。
【0075】
このようなトルクC,Dの変化特性は、前述したぜんまいばね25の戻しばね力による中心軸20回りのトルクA,Bのうち、初期範囲αと終期範囲γとを除いた中間範囲βにおける中心軸20回りのトルクの特性と近似している。また、中間範囲βにおける中心軸20回りのトルクA,Bの大きさを、トルクCよりも小さくかつトルクDよりも大きくすることができる。
【0076】
言い換えると、本実施形態に係るシャッター装置では、初期範囲αと終期範囲γとを除いた中間範囲βにおいて、戻しばね力による中心軸20回りのトルクの特性がシャッターカーテン1の開閉移動に関するトルクC,Dの変化特性と近似しているぜんまいばね25であって、中間範囲βにおける戻しばね力による中心軸20回りのトルクの大きさが、トルクCよりも小さくかつトルクDよりも大きくなっているぜんまいばね25を使用している。
【0077】
そして、本実施形態に係るシャッター装置では、中間範囲βが、図1で示したシャッターカーテン1の全開位置から全閉位置までの開閉移動領域Lの全体と対応するように、渦巻きばね25の使用範囲が設定されている。
【0078】
なお、シャッターカーテン1が全開位置に達しているときに、シャッターカーテン1に予定外の下向きの外部力が作用してもシャッターカーテンが下向きに閉じ移動しないようにするため、巻取体4に、この巻取体4の回転を阻止する手動式のブレーキ装置を設けたり、前記まぐさ等の配置箇所に、座板等のシャッターカーテン構成部材に係脱自在に係合する係合部材を備えた手動式のストップ装置を設けたりし、シャッターカーテン1を下向きの閉じ移動させる際には、手動操作によってこれらのブレーキ装置やストップ装置を解除できるようにしてもよい。
【0079】
以上の本実施形態によると、シャッターカーテン1の下方への繰り出し時に戻しばね力が蓄圧され、この蓄圧された戻しばね力がシャッターカーテン1の上方への巻き取り時における巻取体4の回転付勢力として利用される戻しばねは、渦巻きばねであるぜんまいばね25となっており、このぜんまいばね25は、ばね定数が一定となっていなくて、全体的に非線形の戻しばね力の特性を有しているため、ぜんまいばね25の戻しばね力による中心軸20回りのトルクA,Bを、図8のグラフで示されているように、シャッターカーテン1を開き移動させるために必要なトルクや、シャッターカーテン1を閉じ移動させようとするトルクであって、巻取体4の回転数に対して曲線的に変化するものとなっているトルクC,Dと容易に対応させることができる。
【0080】
これにより、閉じ移動の途中で停止させたシャッターカーテン1を開き移動させるためには、図8のグラフにおいて、トルクCとトルクAの差のトルクに相当する持ち上げ力をシャッターカーテン1に加えればよく、また、開き移動の途中で停止させたシャッターカーテン1を閉じ移動させるためには、トルクBとトルクDの差のトルクに相当する押し下げ力をシャッターカーテン1に加えればよく、シャッターカーテン1の開閉操作を容易に行える。
【0081】
また、ぜんまいばね25は巻き締め初期から巻き締め終期までの全部の範囲が使用されているのではなく、外層部が密巻き部25Cとなっていて内層部が粗巻き部25Dとなっている巻き締め初期を含む初期範囲αと、外層部が粗巻き部25Eとなっていて内層部が密巻き部25Fとなっている巻き締め終期を含む終期範囲γとを除いた中間範囲βが、シャッターカーテン1の全開位置から全閉位置までの開閉移動領域Lと対応する範囲となって利用されているため、ぜんまいばね25の戻しばね力による巻取体回りのトルクを、シャッターカーテンを開き移動させるために必要なシャッターカーテン開き移動トルクCや、シャッターカーテン1を閉じ移動させようとするシャッターカーテン閉じ移動トルクDと一層正確に対応させることができる。
【0082】
さらに、シャッターカーテン1の全開位置から全閉位置までの開閉移動領域Lの全体について、ぜんまいばね25の戻しばね力による中心軸20回りのトルクA、Bの大きさは、シャッターカーテン1を上向きに開き移動させるために必要な中心軸20回りのシャッターカーテン開き移動トルクCよりも小さく、かつシャッターカーテン1を下向きに閉じ移動させるようとする中心軸20回りのシャッターカーテン閉じ移動トルクDよりも大きいため、シャッターカーテン1に特別の閉じ移動力や開き移動力を加えない限り、シャッターカーテン1の開閉移動領域Lの全体におけるいずれの位置でもシャッターカーテン1を停止させることができる。また、シャッターカーテン1を閉じ移動、開き移動させるときには、小さな閉じ移動力や開き移動力を加えればよく、このため、シャッター装置の操作性が向上する。
【0083】
なお、図8で示したトルクEは、戻しばね力が巻取体4の回転数に対して直線的に変化する特性、言い換えると、線形の特性となっているねじりコイルばねによる中心軸20回りのトルクの場合を示している。このねじりコイルばねによる中心軸20回りのトルクEは、巻取体4の回転数に対して単に比例的に変化するだけであるため、トルクEをシャッターカーテン開き移動トルクCやシャッターカーテン閉じ移動トルクDと対応させることは困難であり、また、シャッターカーテン1の全開位置から全閉位置までの開閉移動領域Lの全体について、トルクEの大きさを、シャッターカーテン開き移動トルクCよりも小さくかつシャッターカーテン閉じ移動トルクDよりも大きくすることは難しい。
【0084】
図9は、ぜんまいばね25の戻しばね力による中心軸20回りのトルクA、Bの大きさが、シャッターカーテン1を上向きに開き移動させるために必要な中心軸20回りのシャッターカーテン開き移動トルクC’よりも小さく、かつシャッターカーテン1を下向きに閉じ移動させるようとする中心軸20回りのシャッターカーテン閉じ移動トルクD’よりも大きくなっている範囲が、シャッターカーテン1の全開位置から全閉位置までの開閉移動領域L’の全体ではなく、全開位置と、この全開位置から下向きのある距離までの範囲とを除いた略全体となっている実施形態を示す。
【0085】
このような実施形態は、シャッターカーテン1の開閉移動距離が大きいシャッター装置、言い換えると、シャッターカーテン1の全開位置が高い位置となっているシャッター装置に特に有効に適用でき、手を上げても届かない高い位置にシャッターシャッター1が達しているときに、トルクA,BがトルクC’,D’よりも大きくなっていることにより、座板1Aが前記まぐさに当接する全開位置へシャッターカーテン1を自動的に開き移動させ、その当接位置で停止させることができる。
【0086】
なお、図9で示されているα’は、このような実施形態において、巻き締め終期範囲γと共にシャッターカーテン1の開閉移動のために使用されないぜんまいばね25の巻き締め初期範囲であり、β’は中間範囲である。この中間範囲β’が、シャッターカーテン1の開閉移動領域L’と対応する範囲となる。
【0087】
図4の巻取体4を構成するそれぞれの組合体21の内部空間Sに収納配置されていて、本実施形態に係る戻しばねとなっているぜんまいばね25は、戻しばね力が図8で示された開閉移動領域Lで使用されるものになっていてもよく、図9で示された開閉移動領域L’で使用されるものになっていてもよい。
【0088】
そして、ぜんまいばね25の所定の戻しばね力が図8の開閉移動領域Lや図9の開閉移動領域L’で正確に使用されるようにするためには、シャッターカーテン1の全開時、全閉時等のぜんまいばね25の巻き締め状態が図8、図9のトルク特性を実現できるものとなっていなければならず、これを実現できる作業をぜんまいばね25について実施しなければならない。この作業は、以下のように行う。
【0089】
巻芯部材27を前記結合具28,29で中心軸20に結合する前に、巻取体4の回転を図示しない拘束具等で止めながら、図4で示す工具40によって巻芯部材27を中心軸20に対して回転させ、これにより、組合体21の内部空間Sに収納されているぜんまいばね25を巻き締める。工具40は、巻芯部材27の軸方向端部に前記受け片27Bを切り倒し加工によって形成した際に生ずる切り欠き部41に係合する突起を備えているものであり、工具40を回転操作すると、突起からの回転力によって巻芯部材27は中心軸20を中心に回転する。この回転によってぜんまいばね25は巻き締められ、この巻き締めは、言い換えると、ぜんまいばね25に戻しばね力を蓄圧する作業は、図8、図9で示されているシャッターカーテン1の全閉時のぜんまいばね25の戻しばね力による巻取体4の中心軸20回りのトルクと同じ大きさのトルクがぜんまいばね25に生ずるまで行う。このぜんまいばね25の巻き締め作業は、それぞれの組合体21について行う。
【0090】
この後、それぞれの組合体21における巻芯部材27を前記結合具28,29で中心軸20に結合するとともに、前記軸受け35の外輪部材35Aに形成されている孔42、内輪部材35Bに形成されている孔43、巻芯部材27に形成されている孔44、さらに中心軸20に形成されている孔にボルトを挿通し、反対側まで貫通させたこのボルトの端部にナットを螺合する。これにより、これらのボルトとナットによる結合具により、巻芯部材27と組合体21は、中心軸20に固定される。
【0091】
なお、内輪部材35Bと巻芯部材27の孔43,44は円周方向に複数形成されており、このため、ぜんまいばね25の戻しばね力が所定値となったときにぜんまいばね25の巻き締め作業を終了させても、その戻しばね力又はその戻しばね力に近い戻しばね力を維持した状態で、前記ボルトとナットによる結合具により、巻芯部材27と組合体21を中心軸20に固定することができる。
【0092】
次いで、予め座板1Aを取り外したシャッターカーテン1を、図1で示されているシャッターケース3の下面3Aに形成されているまぐさに上方から吊り落としながら挿入する作業を行い、まぐさの下方に突出したシャッターカーテン1の幅方向両端部を左右のガイドレール2の内部に挿入した後、座板1Aの取り付けを行い、さらにシャッターカーテン1を全閉位置まで降ろす。この後、シャッターカーテン1の上端部を図4で示した結合具26によってそれぞれの組合体21のホイール部材24の環状フランジ部24Aに結合する作業を行う。そして、軸受け35の外輪部材35Aの孔42、内輪部材35Bの孔43、巻芯部材27の孔44、さらに中心軸20の孔に挿通されていた前記ボルトから前記ナットを取り外してこのボルトを引き抜く作業を行い、結合具28,29はそのまま残す。
【0093】
これにより、ぜんまいばね25に蓄圧されていた戻しばね力は解放可能状態となり、それぞれの組合体21と前記バー状部材22からなる巻取体4は中心軸20を中心に回転自在となるため、シャッターカーテン1に小さな押し上げ力を与えることにより、巻取体4は、ぜんまいばね25の既に蓄圧されていた戻しばね力を回転付勢力として利用しながらシャッターカーテン1を開き移動させる回転を行い、シャッターカーテン1は全開位置に達する。
【0094】
この結果、シャッターカーテン1の全開時、全閉時等のぜんまいばね25の巻き締め状態は、図8、図9のトルク特性を実現できるものとなる。
【0095】
以上説明した本実施形態によると、シャッターカーテン1の下方への閉じ移動時に戻しばね力が蓄圧され、この戻しばね力がシャッターカーテン1の上方への開き移動時に利用されるぜんまいばね25は、シャッターカーテン1を巻き取り、繰り出す回転を行う巻取体4を構成している組合体21の内部空間Sに収納配置されており、この内部空間Sは略密閉空間となっているため、ぜんまいばね25に空気中の水分等に起因する錆が発生しにくくなり、また、ぜんまいばね25は外部力から略遮断されることになり、ぜんまいばね25は外部環境から保護されるため、ぜんまいばね25により所定の大きさの回転付勢力を巻取体4に長期間に亘って付与できるようになる。
【0096】
また、内部がぜんまいばね25を収納する空間Sとなっている組合体21は、カップ状部材23とホイール部材24との組み合わせで形成され、ホイール部材24はカップ状部材23よりも大きい外径を有し、このホイール部材24の外周面にシャッターカーテン1の上端部が連結され、ホイール部材24の外周面にシャッターカーテン1が巻き取られるため、シャッターカーテン1を巻き取り、繰り出すための部材を利用してぜんまいばね25を略密閉状態で配置する空間Sを形成することができ、それだけシャッター装置全体の構造を簡単化することができる。
【0097】
また、ホイール部材24は、シャッターカーテン1が巻き取られ、繰り出される外周面を形成している環状フランジ部24Aと、この環状フランジ部24Aにおける巻取体4の軸方向の一方の端部に設けられた端面部24Bとを有し、ホイール部材24は、開口している巻取体4の軸方向の他方の端部24Cをカップ状部材23とは反対側に向け、端面部24Bをカップ状部材23の側に向けてこのカップ状部材23に結合されているため、環状フランジ部24Aに結合具26でシャッターカーテン1の上端部を結合する作業を、作業者がホイール部材24の開口端部24Cから手や工具等を挿入して容易に行えることになり、この作業の簡単化を達成できる。
【0098】
また、巻取体4を構成している組合体21は巻取体4の軸方向に複数個あるが、それぞれの組合体21のホイール部材24同士はバー状部材22で連結されているため、これらの組合体21を同時に回転させることができ、シャッターカーテン1の巻き取り、繰り出しのためのそれぞれの組合体21の回転を同期させることができる。
【0099】
さらに、ぜんまいばね25の内端部25Aは、中心軸20に結合された非回転部材となっている巻芯部材27の割溝27Aに折り曲げられて係止されているが、この巻芯部材27は、巻芯部材27の円周方向に複数設けられた受け片27Bにより、中心軸20との間で隙間を開けてこの中心軸20と同軸的に配置されているため、ぜんまいばね25の内端部25Aが巻芯部材27と中心軸20との間に挿入されても、ぜんまいばね25の巻き締め中心部材となっている巻芯部材27を中心軸20に対して同軸的とする関係を維持することができ、これにより、ぜんまいばね25に本来の所定値どおりの戻しばね力を有効に発生させることができる。
【0100】
また、ぜんまいばね25の外端部25Bは、組合体21を構成するカップ状部材23の胴部23Cに設けられた被係止部23Eに係止され、この胴部23Cは、中心軸20や巻芯部材27から外径方向に離れた位置であってぜんまいばね25と径方向に対向する位置にあるため、被係止部23Eに外端部25Bが係止されたぜんまいばね25Bの戻しばね力を、中心軸20や巻芯部材27から外径方向に離れた位置において巻取体4に作用させることができ、戻しばね力が中心軸20に近い位置において巻取体4に作用する場合よりも、戻しばね力による巻取体4回りのトルクをシャッターカーテン1に伝達するための部材の強度をそれ程大きくする必要がないため、この部材の薄肉化等によって巻取体4の重量の軽量化を図ることができる。
【0101】
また、ぜんまいばね25は板材を渦巻き状に巻回したものであるため、ぜんまいばね25を収納するための空間Sの半径方向の寸法を小さくでき、この空間Sが設けられている巻取体4の半径方向の小型化を実現できる。
【0102】
さらに、本実施形態に係るぜんまいばね25は、軸方向の同一位置又は略同一位置で渦巻き状に巻回しているものであるため、ぜんまいばね25を収納するための空間Sの軸方向の寸法を小さくでき、この空間Sが設けられている巻取体4の軸方向の小型化を実現できるとともに、この巻取体4に任意な個数の空間Sを設けることもできるようになる。
【0103】
以上説明した実施形態では、巻芯部材27には、この巻芯部材27の全長に亘る割溝27Aが形成され、この割溝27Aにぜんまいばね25の内端部25Aが係止されていたが、この内端部25Aを巻芯部材27に係止するために、巻芯部材27に、割溝27Aに代えて、軸方向の一方の端部から他方の端部に向かって所定長さ分だけ切り込まれたスリットを形成してもよい。
【0104】
また、図4で示された結合具29は中心軸20を貫通する長寸のボルトと、このボルトの先端に螺合されるナットとからなるものであったが、この結合具29を、軸受け35の内輪部材35Bから巻芯部材27までの長さの短寸のボルトとし、このボルトを巻芯部材27に形成されたねじ孔にねじ込むことにより、結合具29で内輪部材35Bと巻芯部材27だけを結合するようにしてもよい。
【0105】
さらに、図4で示されている結合具28を省略するとともに、図4で示されている巻芯部材27の長さをホイール部材24側へ延長し、この延長部分において、図4で示されている結合具28と同様の結合具によって巻芯部材27と中心軸20とを結合するようにし、この結合具を結合具29と軸方向に隣接配置してもよい。これによると、回転作業等を行わなければならない2個の結合具が、組合体21に対して軸方向の同じ側に配置されることになるため、これらの結合具に対する作業を容易に行えようになる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、シャッター装置のシャッターカーテン等のように開閉移動する開閉体を備えているとともに、この開閉体の開き移動と閉じ移動の一方の移動時に戻しばね力が蓄圧され、この戻しばね力が開閉体の他方の移動時に利用される戻しばねを備えている開閉装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の一実施形態に係る戻しばね付き開閉装置である戻しばね付きシャッター装置の全体を示す正面図である。
【図2】シャッターカーテンが巻き取られ、繰り出される巻取体を示す正面図である。
【図3】巻取体の構成部材である組合体を示す正面図である。
【図4】組合体の正断面図である。
【図5】図4のS5−S5線断面図である。
【図6】戻しばねであるぜんまいばねの巻き締め初期を示す図5と同様の図である。
【図7】ぜんまいばねの巻き締め終期を示す図5と同様の図である。
【図8】ぜんまいばねの戻しばね力による巻取体回りのトルクと、シャッターカーテンの開閉移動に関する巻取体回りのトルクとを示すグラフである。
【図9】ぜんまいばねの戻しばね力による巻取体回りのトルクと、シャッターカーテンの開閉移動に関する巻取体回りのトルクとについての別実施形態を示すグラフである。
【符号の説明】
【0108】
1 開閉体であるシャッターカーテン
4 巻取体
20 中心軸
21 組合体
22 連結部材であるバー状部材
23 カップ状部材
23A 端面部
23B 開口端部
24 端部部材であるホイール部材
24A 環状フランジ部
24B 端面部
24C 開口端部
25 戻しばねであるぜんまいばね
27 非回転部材である巻芯部材
S ぜんまいばねが配置された空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉移動可能となった開閉体と、この開閉体の開閉移動のために前記開閉体を巻き取り、繰り出す回転を行う巻取体と、前記開閉体の開き移動と閉じ移動のうちの一方の移動時における前記巻取体の回転によって戻しばね力が蓄圧され、この蓄圧された戻しばね力が前記開閉体の他方の移動時における前記巻取体の回転付勢力として利用される戻しばねとを有している戻しばね付き開閉装置において、前記戻しばねは密閉空間又は略密閉空間に配置されていることを特徴とする戻しばね付き開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の戻しばね付き開閉装置において、前記密閉空間又は前記略密閉空間は、前記巻取体の軸方向の一方の端部が閉鎖又は略閉鎖された端面部となっていて、他方の端部が開口しているカップ状部材と、このカップ状部材の開口した端部に配置されていて、この端部を閉鎖又は略閉鎖された端部としている端部部材との組み合わせによる組合体によって形成され、この組合体の内部空間に前記戻しばねが配置されていることを特徴とする戻しばね付き開閉装置。
【請求項3】
請求項2に記載の戻しばね付き開閉装置において、前記端部部材と前記カップ状部材は結合され、かつ前記端部部材は前記カップ状部材と同じ又はこれよりも大きい外径を有し、これらの端部部材とカップ状部材のうち、少なくとも端部部材の外周面に前記開閉体の開閉移動方向の端部が連結され、前記開閉体が前記外周面に巻き取られることを特徴とする戻しばね付き開閉装置。
【請求項4】
請求項3に記載の戻しばね付き開閉装置において、前記端部部材は、前記外周面を形成している環状フランジ部と、この環状フランジ部における前記巻取体の軸方向の一方の端部に設けられた端面部とを有し、前記端部部材は、開口している前記巻取体の軸方向の他方の端部を前記カップ状部材とは反対側に向け、前記端面部を前記カップ状部材の側に向けてこのカップ状部材に結合されていることを特徴とする戻しばね付き開閉装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の戻しばね付き開閉装置において、前記組合体は前記巻取体の軸方向に複数個配置され、それぞれの組合体の前記端部部材同士が、前記巻取体の軸方向に延びる長さを有する連結部材によって連結されていることを特徴とする戻しばね付き開閉装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の戻しばね付き開閉装置において、前記戻しばねは、一端から他端に向かって渦巻き状に巻回している渦巻きばねであることを特徴とする戻しばね付き開閉装置。
【請求項7】
請求項6に記載の戻しばね付き開閉装置において、前記渦巻きばねは、板材を渦巻き状に巻回して形成されているぜんまいばねであることを特徴とする戻しばね付き開閉装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の戻しばね付き開閉装置において、前記渦巻きばねは、軸方向の同一位置又は略同一位置において渦巻き状に巻回していることを特徴とする戻しばね付き開閉装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の戻しばね付き開閉装置において、前記渦巻きばねの内端部は、前記巻取体の中心に挿通された回転しない中心軸又はこの中心軸に結合された非回転部材に連結され、前記渦巻きばねの外端部は前記巻取体に連結されていることを特徴とする戻しばね付き開閉装置。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれかに記載の戻しばね付き開閉装置において、前記開閉体の開閉移動方向は、上向き移動が開き移動となった鉛直方向の成分を有する方向であり、前記渦巻きばねは、外層部と内層部とのうちの一方が密巻き部となっていて他方が粗巻き部となっていた巻き締め初期から、前記一方が粗巻き部となって前記他方が密巻き部となる巻き締め終期までを有している渦巻きばねであるとともに、前記巻き締め初期を含む初期範囲と前記巻き締め終期を含む終期範囲とを除いた中間範囲が、前記開閉体の全開位置から全閉位置までの開閉移動領域と対応する範囲となって利用されていることを特徴とする戻しばね付き開閉装置。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれかに記載の戻しばね付き開閉装置において、前記開閉体の全開位置から全閉位置までの開閉移動領域の全体又は略全体について、前記渦巻きばねの戻しばね力による前記巻取体回りのトルクの大きさが、前記開閉体を上向きに開き移動させるために必要な前記巻取体回りの開閉体開き移動トルクの大きさ以下であって、前記開閉体を下向きに閉じ移動させようとする前記巻取体回りの開閉体閉じ移動トルクの大きさ以上となっていることを特徴とする戻しばね付き開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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