説明

扁平袋、内容物入り扁平袋、および扁平袋の製造方法

【課題】搬送時や保管時は扁平袋の状態を維持し、内容物を排出するなどの必要時に、自立袋に容易に変形できる扁平袋、内容物入り扁平袋、および扁平袋の製造方法を実現する。
【解決手段】胴部10と、該胴部10の一方の口部を封止する、V字状に折り込まれた底部20とを備えた扁平袋1であって、前記底部20はV字を形成する2つの片部に各々貫通孔を有し、前記2つの片部の一方の片部に接する前記胴部の第一の内面と、他方の片部に接する前記胴部の第二の内面とが、前記貫通孔を介して剥離可能にヒートシールされた易剥離部28を有することを特徴とする扁平袋1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平袋、内容物入り扁平袋、および扁平袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液状や粉末状の薬剤や食品などを収容する袋状の容器としては、大別して扁平袋と自立袋がある。
自立袋としては、底部をガゼット状に形成した、いわゆるスタンディングパウチが一般的である。このような自立袋は自立できるので、例えば店頭などでは立てて陳列でき、消費者に対する訴求性を向上できる。また、内容物の排出途中で作業を中断する場合でも、開口部を封止することなく容易に袋を放置できるため、作業能率を向上できる。
【0003】
従来、自立袋の自立安定性を高める方法が検討されている。例えば特許文献1、2には、袋の底部ガゼット部の下側端部の中央部が、水平な直線で切断され、その両側が内側から外側に向かって斜め上向きに切断されてなる自立袋やその製造方法が開示されている。この自立袋によれば、自立安定性を高めると共に、底部の切断面の密着がなく、底部が容易に前後に開くので、支障なく内容物を充填できる。
【特許文献1】特開2006−297762号公報
【特許文献2】特開2006−298438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に記載のような自立袋では、特に粉末状の内容物を充填すると袋の底部が膨らんでしまうので、上部と底部とで袋の厚みが異なることとなる。このような厚みの異なる状態では、扁平袋のように平積みすることが困難であるため、箱などに梱包して搬送する場合や、収納棚などに保管する場合において、無駄なスペースが生じることがあった。
【0005】
このような理由から、例えば人工腎臓用透析用の粉末剤などの粉末状の薬剤の収容には、扁平袋を用いるのが一般的であった。
ところで、人工腎臓用透析用の粉末剤を使用する場合は、扁平袋を開封して粉末剤を調製水槽に投入し、溶解させて原液に調製してから用いるのが通常である。
しかし、調製水槽に粉末剤を投入する最中で、投入作業を中断したい場合であっても、扁平袋では、作業台などに放置すると開口部から粉末剤が零れてしまうため、開口部を再度封止する必要があり、作業能率が低下しやすかった。
このように、扁平袋に収容された内容物を排出する最中に、排出作業を中断する場合には、開口部を再封止するなどの工程が必要となり、作業能率が悪かった。
【0006】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、搬送時や保管時は扁平袋の状態を維持し、内容物を排出するなどの必要時に、自立袋に容易に変形できる扁平袋、内容物入り扁平袋、および扁平袋の製造方法を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の扁平袋は、胴部と、該胴部の一方の口部を封止する、V字状に折り込まれた底部とを備えた扁平袋であって、前記底部はV字を形成する2つの片部に各々貫通孔を有し、前記2つの片部の一方の片部に接する前記胴部の第一の内面と、他方の片部に接する前記胴部の第二の内面とが前記貫通孔を介して剥離可能にヒートシールされた、易剥離部を有することを特徴とする。
ここで、前記易剥離部の形状が、前記底部の底辺に対して平行なスリット状であることが好ましい。
【0008】
また、本発明の内容物入り扁平袋は、前記扁平袋に、粉末状の内容物が収容されたことを特徴とする。
また、本発明の扁平袋の製造方法は、胴部と、該胴部の一方の口部を封止する、V字状に折り込まれた底部とをヒートシールする扁平袋の製造方法であって、前記底部のV字を形成する2つの片部に各々貫通孔を穿孔し、該2つの片部の一方の片部に接する前記胴部の第一の内面と、他方の片部に接する前記胴部の第二の内面とを、前記底部に形成された貫通孔を介して剥離可能にヒートシールすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、搬送時や保管時は扁平袋の状態を維持し、内容物を排出するなどの必要時に、自立袋に容易に変形できる扁平袋、内容物入り扁平袋、および扁平袋の製造方法を実現できる。
本発明の扁平袋は、人工腎臓用粉末型透析用剤袋に特に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の扁平袋1の一例を示す平面図である。本発明の扁平袋1は、胴部10と、該胴部10の一方の口部を封止する、V字状に折り込まれた底部20とを備えている。底部20は、山折り線Aにて2つ折りにされV字を形成している。
胴部10は、1枚のフィルムを2つ折りに重ねたり、2枚のフィルムを重ねたりして両側融着部でヒートシールしたり、1枚のフィルムを筒状に形成してその端部をヒートシールしたりすることで形成されている。
【0011】
本発明に用いられるフィルムとしては、複数の層が積層した積層フィルムが用いられる。
胴部10の外側(すなわち、外気と接する側)に位置する層(外層)を構成する材料としては、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系などの合成樹脂からなるフィルムを用いることができる。
外層を構成するフィルムの厚さは、15〜40μmが好ましい。
【0012】
一方、胴部10の内側(すなわち、扁平袋1に収容する内容物と接する側)に位置する層(内層)を構成する材料としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンからなるシーラントフィルムが好ましい。中でも、衝撃強度物性に優れる点でポリエチレンが好ましく、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
内層を構成するシーラントフィルムの厚さは、40〜100μmが好ましい。
【0013】
また、外層上には、ガスバリア性フィルムをさらに設けてもよい。ガスバリア性フィルムを設けることで、酸素などを嫌う薬剤などの収容に特に適した扁平袋が得られる。ガスバリア性フィルムとしては、例えば、ポリエステルまたはポリアミドからなるフィルムに、シリカ、アルミニウム、アルミナ等を蒸着させたフィルム、アルミニウム箔ラミネートフィルム、ポリビニルアルコールからなるフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体からなるフィルム、ポリビニリデンクロライドからなるフィルム等が挙げられる。
ガスバリア性フィルムの厚さは、7〜40μmが好ましい。
【0014】
ここで、図2を参照し、本発明の扁平袋の製造方法を説明しながら、扁平袋1の構成について詳述する。
図2は、扁平袋1の製造工程の一例を示す工程図である。
この例においては、まず、図2(a)に示すように、扁平袋1の底部20を形成するフィルム原反21の両側(フィルム原反21の長手方向の辺21a側)に、貫通孔22を各々穿孔する。
貫通孔22の形状としては、例えば図2に示すような、底部20の底辺(すなわち、フィルム原反21の長手方向の辺21a)に対して平行なスリット状が好ましい。
なお、スリット状の貫通孔の幅は、特に限定されるものではないが、例えば0.5〜10mmとするのが好ましい。ただし、本発明において「スリット状の貫通孔の幅」とは、貫通孔の長手方向の辺22aと直交する辺の長さ(幅)のことである。
【0015】
ところで、詳しくは後述するが、貫通孔22に相当する部分において易剥離部が形成されるため、貫通孔22の形状は易剥離部の形状に反映される。従って、貫通孔22の形状としては、前記スリット状に制限されず、例えば、易剥離部が図3に示すような形状になるように貫通孔22を穿孔してもよい。具体的には、図3に示すように易剥離部28の形状が、複数本のスリット状(図3(a))、点線スリット状(図3(b))、複数本の点線スリット状(図3(c))、一列に並んだドット状、(図3(d))、複数列に並んだドット状(図3(e))、矩形状(図3(f))、楕円状(図3(g))、丸状(図3(h))、楕円型を形成するドット状(図3(i))、丸型を形成するドット状(図3(j))、となるように貫通孔を穿孔してもよい。
【0016】
これらの中でも、貫通孔の形状としては、スリット状が特に好ましい。貫通孔がスリット状であれば、適度な接着強度を保持しつつ、かつ易剥離部が剥離される際には、易剥離部に加わる応力が、内容物が収容される部分へ伝播するのを抑制できる。なお、易剥離部の接着強度を容易に調節できる観点では、貫通孔を点線スリット状に穿孔するのもよい。
【0017】
さらに、フィルム原反21の両側には、図2(a)に示すように自立補強用貫通孔23を設けてもよい。詳しくは後述するが、フィルム原反21を所望の大きさに切断したもの(底ガゼットフィルム)を、胴部10を形成する2枚のフィルム11間に折り込んでヒートシールするだけでは、底部20が開いてしまい、自立が困難になる場合がある。しかし、自立補強用貫通孔23を設けることで、該自立補強用貫通孔23を介して、胴部20の第一の内面と、第二の内面とがヒートシールされて補強用融着部24を形成するので、袋の自立性を高めることができる。
自立補強用貫通孔23の形状としては特に制限されないが、フィルム原反をより無駄なく使用し、製造時における不要フィルムの排出量を削減する点で、補強用融着部24が半円状または四半円状となるような形状が好ましい。
【0018】
フィルム原反21としては、先に例示した胴部10を構成するフィルムと同様のものが挙げられる。
【0019】
次いで、フィルム原反21を切断線25にて切断し、図2(b)に示すような1枚の底ガゼットフィルム26とする。フィルム原反21を切断する際には、例えば、丸状に穿孔した自立補強用貫通孔23の中央を通過し、かつフィルム原反21の幅方向と平行になるように切断線25を設定するのが好ましい。特に、自立補強用貫通孔23を丸状に穿孔しておけば、半円状の補強用融着部24が形成できる。
【0020】
なお、貫通孔22、および自立補強用貫通孔23は、底ガゼットフィルム26を山折り線Aにて2つ折りにした際に、V字を形成する2つの片部27同士を重ねたときに、各貫通孔22、および自立補強用貫通孔23の対面部が各々重なるように穿孔する。
また、貫通孔22を穿孔する位置としては、例えば貫通孔22がスリット状である場合、フィルム原反21の長手方向の辺21aからスリット状の貫通孔22の長手方向の辺22aまでの距離dが0〜20mmとなるような位置が好ましい。さらに、2つの片部27の幅方向の中心に位置するように貫通孔22を穿孔するのが好ましい。なお、前記距離dが0mmとなるような位置にスリット状の貫通孔を穿孔する場合、例えば図4に示すように、フィルム原反21に貫通孔22および自立補強用貫通孔23を穿孔すればよい。この場合、スリット状の貫通孔22の長手方向の辺22aが、フィルム原反21の長手方向の辺21aと一致する。また、スリット状の貫通孔22の切断線25で切断すると、補強用融着部24の形状は四半円状となる。
また、自立補強用貫通孔23を穿孔する位置については特に制限されないが、例えば図2(a)に示すように、フィルム原反21の長手方向の辺21aからの距離が貫通孔22と同じ位置になるよう穿孔するのが好ましい。
【0021】
次いで、図2(b)に示すように、底ガゼットフィルム26を山折り線Aにて2つ折りにしてV字状にし、別途用意した胴部10を形成する2枚のフィルム11の間に挟み込む。その際、図5に示すように、フィルム11の内層11a、すなわちシーラントフィルム同士が対向するように各フィルム11を配置し、かつ、フィルム11の内層11aと底ガゼットフィルム26の内層26aとが接するように、底ガゼットフィルム26を2枚のフィルム11の間に挟み込む。
【0022】
次いで、2枚のフィルム11を両側融着部12にてヒートシールして胴部10を形成させると共に、フィルム11と底ガゼットフィルム26とをヒートシールして底部20を形成させて、図1に示す扁平袋1を製造する。
フィルム11の内層11a、および底ガゼットフィルム26の内層26aは、各外層に比べて低温で溶融するためヒートシールされやすい。従って、両側融着部12にてヒートシールすれば容易に胴部10が形成されると共に、図5に示すように、フィルム11の内層11aと底ガゼットフィルム26の内層26aとが、接触部13にてヒートシールされて底部20を形成する。
【0023】
一方、底ガゼットフィルム26を2つ折にすることで、外層26b同士が対向することになるが、これらは内層26aが溶融する温度では溶融しにくいのでヒートシールされにくい。従って、底部が開いて袋の自立が可能となる。なお、上述したように、片部27に自立補強用貫通孔23を設けることで、自立補強用貫通孔23に相当する部分では、2つの片部27の一方の片部に接する胴部10の第一の内面(第一の内層11a)と、他方の片部に接する胴部10の第二の内面(第二の内層11a)が剥き出しの状態になるので、第一の内面と第二の内面とが自立補強用貫通孔23を介してヒートシールされて、図1に示すように底部20の両側に補強用融着部24が形成される。これにより、底部20が開いても、補強用融着部24によって底部20は全開しにくくなり、袋の自立性を高めることができる。
【0024】
本発明においては、底ガゼットフィルム26の2つの片部27に、各々貫通孔22を形成させている。従って、図5に示すように、貫通孔22に相当する部分では、2つの片部27の一方の片部に接する胴部10の第一の内面(第一の内層11a)と、他方の片部に接する胴部10の第二の内面(第二の内層11a)が剥き出しの状態になるので、第一の内面と第二の内面とが貫通孔22を介して剥離可能にヒートシールされ、底部20に易剥離部28を形成する。
底部20に易剥離部28が形成されることにより、内容物を充填した時点では、底部20が開くのを抑制するので、扁平袋の状態を維持できる。
【0025】
易剥離部28は、内容物によって適宜設定された接着強度によって、剥離できる程度に胴部10の第一の内面と第二の内面とが接着している。そして、内容物の重心を鉛直方向に下げる目的で、内容物が収容された扁平袋(内容物入り扁平袋)を底部20が下になるように立たせたり、または、内容物を鉛直方向の下部に寄せ集める目的で、内容物入り扁平袋を上下に揺すり振動を与える操作を行ったりすることで、内容物の重みや振動の衝撃によって易剥離部28が剥離し、底部20が開いて自立袋に変化する(図6)。
【0026】
また、内容物が軽量なため、内容物の重みや振動の衝撃では易剥離部が剥離しない場合や、内容物の充填中に該内容物の重みで易剥離部が剥離しないように、適度な接着強度で胴部10の第一の内面と第二の内面とを易剥離部にて接着した場合であったとしても、手指などで易剥離部を剥がして胴部10の第一の内面と第二の内面の接着を解除する程度の簡単な操作で易剥離部を剥離することができるので、必要時に容易に自立袋に変化させることができる。
なお、本発明において「易剥離部が剥離する」とは、胴部10の第一の内面と第二の内面とがヒートシールにより接着した接着面(シール面)が剥離する場合に限らず、シール面は接着した状態を保持しつつ、易剥離部28部分のフィルムそのものが部分的に引き千切られて破壊されてもよく、結果として底部20を構成する底ガゼットフィルムの2つの片部27が閉じていた状態から開いた状態になり、底部20が開くものであればよい。
【0027】
従って、内容物を収容して箱などに梱包して搬送したり、棚などに保管したりする間は扁平袋の状態で用い、内容物を排出する際には上述したように自立袋に変化させて本発明の扁平袋を使用することで、搬送時や保管時には袋同士を積み重ねることで無駄なスペースが生じるのを押さえ、内容物の排出時には途中で排出作業を中断したとしても、開口部を封止することなく放置できるので、作業能率の低下を抑制できる。
なお、易剥離部28の接着の度合いは、易剥離部28の形状、または温度や時間などのヒートシール条件にて調整できる。
【0028】
本発明の扁平袋1は、図1に示すように、胴部10と底部20とがヒートシールされる部分が円弧形状になるようにヒートシールしてもよい。胴部10と底部20とがヒートシールされる部分の形状は円弧形状に限らず、例えば舟形状、略W字形状などでもよい。
【0029】
また、胴部10を形成するに当たっては、上述したような2枚のフィルムを用いる方法に限らず、例えば1枚のフィルムを筒状に形成してその端部をヒートシールして、胴部10を形成させてもよい。
【0030】
本発明の扁平袋1は、上述した製造方法に限らず、例えば以下のような方法によっても得られる。
図7(a)に示すように、扁平袋1を形成するフィルム原反30の、底部20に相当する部分に、予め貫通孔31および自立補強用貫通孔32が形成されるように穿孔しておく。このフィルム原反30を切断線33にて切断し、1枚のシート34を得る。このシート34は、図7(b)に示すように、胴部となる一対の平面部35と、該平面部35に連通するガゼット部36とを有する。
なお、フィルム原反30を切断する際には、例えば、丸状に穿孔した自立補強用貫通孔32の中央を通過し、かつフィルム原反30の幅方向と平行になるように切断線33を設定するのが好ましい。特に、自立補強用貫通孔32を丸状に穿孔しておけば、半円状の補強用融着部が形成できる。
【0031】
次いで、平面部35とガゼット部36との境界に谷折り線Bを形成し、ガゼット部36に山折り線Aを形成する。平面部35同士を重ね合わせて両側融着部37にてヒートシールして胴部を形成させると共に、平面部35とガゼット部36とをヒートシールして底部を形成させ、図1に示す扁平袋1を製造する。なお、必要に応じて、平面部35とガゼット部36とがヒートシールされる部分の形状が円弧形状になるようにヒートシールしてもよい。
【0032】
本発明においては、扁平袋1の他方の口部(開口部)40の封止方法については特に制限されず、例えば内容物を充填した後に開口部40を横一直線にヒートシールして封止したり、開口部に内容物を充填できる充填口を設けたのちに開口部をヒートシールしたりして封止すればよい。
【0033】
また、本発明の扁平袋1に収容する内容物についても特に制限されず、医薬品や食品などを収容できる。また、これら内容物の形状は、液状であってもよく粉末状であってもよく、特に制限されない。特に、内容物が粉末状の場合には、内容物を鉛直方向の下部に寄せ集める目的で、内容物入り扁平袋を上下に揺すり振動を与える操作により底部が開く力が働きやすいため、本発明の効果が発現しやすい。従って、本発明の扁平袋は、粉末状の内容物を収容するのに特に適している。
【0034】
これらの中でも特に、人工腎臓用透析用の粉末剤を収容する場合に好適である。上述したように、袋などの容器に収容された人工腎臓用透析用の粉末剤を使用する場合は、袋を開封して粉末剤を調整水槽に投入し、溶解させて原液に調製してから用いられる。投入作業を中断したい場合であっても、作業台に容器を放置する場合は容器の開口部を封止する必要があったが、本発明によれば、扁平袋を底部が下になるように立たせることで、収容された粉末剤の重心が鉛直方向に下がって易剥離部が剥離し、底部が開いて自立袋に変化する。よって、開口部を再封止することなく、自立袋に変化した扁平袋を作業台などに放置できるので、作業能率の低下を抑制できる。
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、扁平袋の底部に剥離可能にヒートシールされた易剥離部を設けることで、内容物を収容した時点では扁平袋の状態を維持し、必要な時に自立袋に容易に変化できる袋が得られる。
従って、本発明の扁平袋を用いて内容物を収容した、内容物入り扁平袋は、箱などに梱包して搬送したり、棚などに保管したりする間は扁平袋の状態を維持し、内容物を排出する際には自立袋に変化できるので、搬送時や保管時には袋同士を積み重ねることで無駄なスペースが生じるのを押さえ、内容物の排出時には途中で排出作業を中断したとしても、開口部を封止することなく放置できるので、作業能率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の扁平袋の一例を示す平面図である。
【図2】扁平袋の製造工程の一例を説明する工程図である。
【図3】易剥離部の他の例を示す平面図である。
【図4】貫通孔および自立補強用貫通孔が穿孔されたフィルム原反の他の例を示す斜視図である。
【図5】図1に示す扁平袋をX−X線で切断した断面図である。
【図6】扁平袋が自立袋の状態に変化したときの一例を示す斜視図である。
【図7】扁平袋の製造工程の他の例を説明する工程図である。
【符号の説明】
【0037】
1:扁平袋、10:胴部、20:底部、22:貫通孔、28:易剥離部。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部と、該胴部の一方の口部を封止する、V字状に折り込まれた底部とを備えた扁平袋であって、
前記底部はV字を形成する2つの片部に各々貫通孔を有し、
前記2つの片部の一方の片部に接する前記胴部の第一の内面と、他方の片部に接する前記胴部の第二の内面とが前記貫通孔を介して剥離可能にヒートシールされた、易剥離部を有することを特徴とする扁平袋。
【請求項2】
前記易剥離部の形状が、前記底部の底辺に対して平行なスリット状であることを特徴とする請求項1に記載の扁平袋。
【請求項3】
請求項1または2に記載の扁平袋に、粉末状の内容物が収容されたことを特徴とする内容物入り扁平袋。
【請求項4】
胴部と、該胴部の一方の口部を封止する、V字状に折り込まれた底部とをヒートシールする扁平袋の製造方法であって、
前記底部のV字を形成する2つの片部に各々貫通孔を穿孔し、該2つの片部の一方の片部に接する前記胴部の第一の内面と、他方の片部に接する前記胴部の第二の内面とを、前記底部に形成された貫通孔を介して剥離可能にヒートシールすることを特徴とする扁平袋の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−57104(P2009−57104A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227968(P2007−227968)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】