説明

扉支持構造

【目的】 扉表面から支持部等の突起露出部がなく、外枠に対して干渉することなく開閉動作できる支持部を有すると共に、最大扉開成角度を有する扉支持構造を提供する。
【構成】 外枠の開口部を上部支持部3と下部支持部4のピポット15を介して、開閉自在に吊り込まれた扉支持構造であって、支持部3、4が外枠内に埋設された固定金具7に回転回動支承され、任意の位置にてケース1とケース2が静止し、さらに枢軸13がその中心回動をなし、この枢軸13とピポット15及び下部アーム座21が枢軸13の凹状に挿入固着され、扉本体5の開閉動作に追従して最大限の扉開成をさせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉支持構造に係り、詳しくは、扉表面から支持部等の頭出部がなく、隠蔽設置したものであり、吊元側縦枠に干渉することなく開閉動作できる、支持部を有する扉支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種建築物等の入口に設けられた扉支持構造として、持出式のピポット及び丁番吊金具が一般的に使用されている。しかし、最近の建築技術の向上により、外観からのこれらの突起物を美観上の問題及び、建築構造物の仕様の多様化に伴い、改善が望まれている。
【0003】
また、点検口、自販機、書庫、自動車、事務用品の扉支持構造として、内臓式の金具を使用しているが、いずれも片面フラッシュ構造であり、且つ重量がある大きな扉には使用不可であり、一般ビルの建物にあっては、消防法に適合する階段状の内臓式の開閉自由な扉支持構造が必要である。
【特許文献1】特開平8-254063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の開閉は、戸尻の回転軌道が吊元側外枠及び、煙返しに干渉しないように外側に持出芯であり、そこを芯として回動したものであり、しかしその反面、支持部が表面から突出、露出し、美観上の問題には大きく改善が望まれる。
【0005】
本発明は、こうした従来の問題を解決し、扉表面から支持部等の露出部が無く、外枠に対して開閉動作をできる支持部を有するピポット式の扉支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
係る目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、外枠の開口部を上下支持部のピポットを介して開閉自在に吊り込まれた扉支持構造であって、前記支持部が前記外枠内部に埋設された固定金具(ヨーク部)とこの固定金具に回動制御されたケース1とケース2に回動が支承され、ケース2に固着された枢軸が、制御された位置にて自在に回転作業する構成を採用した。
【0007】
このように扉本体の開閉動作に追従して回動するケース1とケース2は扉本体の開き動作に伴い、ケース1とケース2の枢軸位置は所望のアーム伸縮にて移動吊芯となり、この枢軸位置を起点として、枢軸の装置機能が自由自在に回転することができ、従来の90度限界を更に最大必要に応じて135度開放させることができると共に、ケース1とケース2との係合リンクをストッパーにてアーム形状の角度を調整制御することで、開放時の枠と扉間のチリ(隙間)を指詰等の安全のため、自由に調整制御することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、外枠吊り込枠側固定金具(ヨーク部)に係合されたケース1とケース2が供回りをしないように回動を規制するスプリング及びストッパーを架設したので、外枠上部枠との干渉を回避し、最大位置にてケース2の枢軸位置の設定により所望の開放軌動にて扉本体を開閉させることができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、前記ケース部が上下一対のヨーク部からなり、この固定金具をヨーク部が貫通して前記アームが作動支承され、これ等ヨーク部固着金具は扉戸先(鍵側)に扉自重のモーメントが負荷されるので、堅固性を高めることができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、外枠開口部を上部支持部及び、下部支持部のピポット形式の開閉自在の扉支持構造であり、従来のリンク式遊星運動は、一連の回動作には支障はないが、リンク構造なので開放角度は必然的に90度限界を定められ、使用時の使い勝手、また建築構造物の間取等の便宣さがなく、いかなる条件にも適合したものが望まれ、枢軸にて回動自在により更に大きく開き、角度を最大にし、美観上の問題も同時に解決した。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る扉支持構造は、外枠の開口部を上部支持部及び下部支持部のピポットを介して、開閉自在に吊り込まれた扉支持構造であって、前記支持部が前記外枠内に隠蔽された固定金具(ヨーク部)とこの固定金具に支承された第1ケースと係合された第2ケースの枢軸と前記ケースの第2ケースの端部に固着セットされた枢軸を備え、その枢軸に上部はトップセンター(扉側)を差込み、下部は凸状のアーム(扉下)にて回動開閉するものであり、前記扉本体の開閉動作に追従して作動をなし、ピポット軸芯位置は開成に伴い移動する芯であり、従来のように固定芯でなく、扉の開成により、戸突が戸当(煙返し)及び縦枠に干渉しなくなり、また、各ケースの伸縮アームにより所望の開成角度を規制することができ、更に第2ケースに固着された枢軸により、回動角度運動が最大限まで開くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
前記扉本体の開成に伴い、外枠側(吊元)を固定金具(ヨーク部)を係合して、第1ケースと第2ケースと連動して作動するが、第1ケースと第2ケース及びヨーク部の共回りを防止するため、所定のばね力により規制するため、ねじりスプリングを前記固定金具と第2ケース間に架設した。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る扉支持部を用いた扉の正面図。図2は本発明に係る扉支持構造の一実施例で上部支持部を示す斜視図である。図3は下部支持部を示す斜視図である。図4は本発明に係るトップセンターを示し、(a)は断面図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)の偏心カムの側面図である。図5は枢軸を示す。(a)は上下枢軸断面図。(b)は平面図、(c)は拡大図。図6は本発明に係る扉支持構造の一実施例で、作用を示す斜視図である。
【0014】
図1において、1はビル・マンション等の入口に設けられた扉で、入口となる開口部を区画形成し、上枠2A、下枠2D及び左右の縦枠2B、2Cからなる 矩形状の外枠2と、この外枠2内に上部支持部3及び、下部支持部4によって開閉自在に吊り込まれている扉本体5と、この扉本体5の上部にドアクローザー6を備えている。外枠2は、アルミ押出材、あるいはステンレス、鋼板等の曲材からなり、入口の開口部に固定取付されている。また、扉本体5は箱型の両面フラッシュ扉として構成されている。
【0015】
図2に示す上部支持部3 は、図1に示す上枠2Aと縦枠2Bの隅部に埋設され、略直方体形状に形成された固定金具(ヨーク部)7と、この固定金具7に回動回転を支承され、一端に第1ケースに貫通された主回転軸8と、この第1ケースに係合する第2ケース10と係合す回転軸8Aとを介し、一体の構造であり、第2ケースの一端に枢軸13が固着され、底面に矩形状の凹部13下が吊り込み時の継動受材として備えている。
【0016】
扉本体5の上枠2Aの端部には矩形断面のトップセンター16が突設され、枢軸13下の凹部に着脱自在に噛合わされ、トップセンター15を構成している。このトップセンター15は図4に示すように、矩形状の孔18aを有す案内筒18と、この案内筒18に進退自在に挿入されたトップピポット16とこのトップピポット16を支承する軸受19と、円板状の偏心カム20と、この偏心カム20と、この偏心カム20を回動自在に支持し、案内筒18の孔18Aに固着された軸受21と、この軸受21と偏心カム20間に架設された、ねじりスプリング22と、トップピポット16の回転を防止する規制部材23と、この規制部材23とトップピポット16間に張架されたコイルスプリング24とを備えている。
【0017】
トップピポット16は、矩形断面に形成された先端部16aと、偏心カム20の外周面に摺接する突出部20aと、トップピポット16の凸部16bに係合する谷形の凹部20bを有する略半円形の外周面に形成され、中心Oから所定寸法オフセットした位置に支持軸20cが突設されている。また、偏心カム20の一側面には、支持軸20cの位置に十字溝が形成された操作部20dが突設されている。
【0018】
このトップピポット16が扉本体5の上部から常時突出していると、扉本体5の吊り込み作業に障害となるため、扉本体5の操作窓(図示せず)を介して案内筒18の開口18bにドライバー等を挿入し、偏心カム20の操作部20dを回動させることにより、トップピポット16が扉5の上部に出没自在になるよう構成されている。尚、従来持出吊の場合は外部からより扉本体を取り外しできなかったが、このトップセンター15は耐震用脱着扉として適用でき、有事の際には室内側より脱出することができる。
【0019】
次に、図2を用いて上部支持部3の詳細構造及び、作用について説明する。固定金具7は、その一側面に一対の位置決め用の凸片7Aが突設され、図1に示す縦枠2Bの上部隅部に位置決め固定されている。主回転軸8は、固定金具7に対して軸受(図示せず)を介して回転回動に支承されている一方、軸方向においても固定金具7の両端に配設された一対のスラスト軸受12を介して、扉本体の自重モーメント荷重等を負荷できるように支承されている。また、ケース1及びケース2のスムーズな回動を支承されている。
【0020】
ケース1の9は、上下一対のヨーク部であり、固定金具7を貫通して主回転軸8が軸受11を介して回転回動自在に支承されている。また、ケース2との係合に固定軸8Aが架設され、ケース2の回動を支承すると共に、ケース1の9には凹状の溝とケース2の10には凸状のピン棒にてケース1の9の扉本体5の開閉動作に追従して、ケース2の10が円運動にて支承される。
【0021】
ケース1の9と固定金具7間には、ねじりスプリング12Aが架設され、扉本体5が開成する際ケース9がケース10と一義的に供回りしないように、そのばね力によって回動を規制している。また、このねじりスプリング12Aは扉本体5が閉成する際には、図1に示したドアクローザ6の戻り力と相噛合って、元の位相に戻るように架設されている。従って、このねじりスプリング12Aのばね定数が適宜設定されている。
【0022】
ケース1の9とケース2の10には、適宜な角度にて制御できるようにケース1の9は凸のアール、ケース2の10には凹のアールが用いられ、これらのアール部位が椎に扉開成動作をする時、一定の所望位置に一線上に作動が停止するように形成されている。この所望の位置により、ケース1とケース2のリンク作動を支承するので、指詰等の問題は適宜に枠と扉間の隙間が自由に調整され、更に枢軸13にて自在回転をなすので、開成角度が最大限に開放することができる。
【0023】
次に図5の枢軸は(A)は断面図、(B)は平面図、(C)は拡大図、(D)は分解図である。(A)は、ケース2の10に固着する部位であり、上部、下部支持部に配設される断面図である。(B)は、平面図である。(C)は拡大図である。(D)は、分解図であり作動を説明する。枢軸13は、上部13Aと下部13Bの固別の一体化した円筒であり、この円筒内部にはガイドレール13Hがあり、軸ボルト13Dが扉開成動作13下の凹部にトップセンター15が挿着され、円筒内にて回転をし、筒内移動コマの13Eが円筒内にて下方をする。従って、移動コマ13Eは、扉開閉にあっては円筒内を上下運動し、軸ボルト13Dは筒内仕切板の13Cにて自由回転を支承する。この回動により、上部13Aは13Eの下方により固着をなし、下部13Bは回動自在になり、最大限の扉開成ができる。
【0024】
また、扉支持部ケース2の下部固着枢軸は、上部13Dのネジ山の反逆のネジ山となり設置され、同様の前記説明の機能を有する。その詳細な説明を省略する。
【0025】
図3に示す下部支持部4は、前述した上部支持部3と概ね同じ構成と作用をなしている。なお、上部支持部3と同一部品、同一部位、あるいは同様の機能を有する部位には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0026】
この下部支持部4は図1に示す下枠2Dと縦枠2Bの隅部に埋設され、略直方体形状に形成された固定金具7とケース1の9とケース2の10とが係合され、扉開成に作動をなし、任意のアーム最大伸位置にて枢軸13凹状受部にアーム座21が接合挿入し、アーム座21尖塔形状が着脱自在に噛合い、吊り込み作業が簡便化するようにできている。
【0027】
図6は、本発明に係る扉支持構造の開閉動作を示す説明図である。扉本体5を矢印L方向(図中下方左白矢印)に開成する時は、扉本体5を開く力により反対方向の力が作用し、ケース1及びケース2は矢印R方向に作用し、ケース1及びケース2は伸縮可動をするアーム形成をなし、そのアーム位置は任意の所定の位置を確保し、その作用は縦枠2B及び縦枠内に設定されている煙返し(戸当)に干渉することなく、扉開成と共にケース2の10の枢軸所望停止点まで自動的に軸芯が移行する。
【0028】
さらに、本発明はリンク機構の遊星運動は、最大開成角度90度に対し、建築物構造体及び使用時の使い勝手を多様化するため、ケース1とケース2との最大伸びアーム位置にて枢軸13が回動するため、最大135度開成ができ、美観上の扉における衣裳も同時に解決することができる。
【0029】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまでも例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味及び、範囲内の全ての変更を含む。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る扉支持構造は、扉本体の一端の最上部及び最下部に用いた物を例示したが、これに限らず扉重量により中間支持部の3点支持構造としても適用できる。また、木製建具、鋼製建具、アルミ建材扉、窓用としても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る扉支持構造を用いた扉の正面図である。
【図2】本発明に係る扉支持構造の一実施例で、上部支持部を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る扉支持構造の一実施例で、下部支持部を示す斜視図である。
【図4】(A)は同上トップセンターを示す断面図である。(B)は(A)の平面図である。(C)は(A)の偏心カムの側面図である。
【図5】(A)は枢軸上下を示す断面図である。(B)は(A)の平面図である。(C)は(A)の拡大図である。(D)は(A)の分解図である。
【図6】斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 …扉 16A …先端部
2 …枠 16B …凸部
2A …上枠 16C …後端部
2B …縦枠 17 …ケーシングBOX
2C …縦枠 18 …案内筒
2D …下枠 18A …孔
3 …上部支持部 18B …開口部丸穴(調整口)
4 …下部支持部 19 …ガイド材
5 …扉本体 20 …偏芯カム
5A …トップセンター 20A …突出部
6 …ドアクローザ 20B …凹部
7 …固定金具 20C …支持軸
7A …凸片 20D …操作部
8 …主回転軸 21 …扉下部アーム座
8A …回転軸 22 …皿ビス
9 …第1ケース(ヨーク部)
10 …第2ケース(ヨーク部)
11 …軸受
12 …スラストベアリング
13 …枢軸
13A …上円筒
13B …下円筒
13C …筒内仕切板
13D …軸ボルト
13E …筒内移動コマ
13F …トップセンター受凹
13G …キャップ
13H …ガイドレール
14 …ピン棒
15 …溝
16 …トップセンター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外枠の開口部を上部支持部及び下部支持部の軸心を介し、開閉自在に吊り込んだ扉支持構造であって、前記支持部が前記扉及び外枠内に隠蔽設置された縦枠吊元側に固着された第1ケース本体と第2ケース本体を係合する軸芯と、その一端に扉を係合する枢軸とを有し、扉回動により第1ケースと第2ケースは一体のアーム状軸芯移動のための持出し芯作用をなし、扉戸係合する枢軸を所定の任意の位置まで回動をなし、第2ケース本体に組み込まれた枢軸は、解放可能なロック手段が設けられ、ロック手段は所定の角度までは一対のケース1とケース2扉開動に随従し、一体にロックして回動するが、その後は扉本体は枢軸によりフリーに開動作動をなし、扉開き角度を最大に追従した移動芯及び、枢軸回動軸一対の連動運動を特徴とした隠蔽式ピポット構造の扉支持構造。
【請求項2】
前記第1ケースが前記第2ケースと供回をしないよう、また任意の位置にて回動を規制するスプリング及び凹凸の案内、及びサイド溝及びストッパーを有した扉支持構造。
【請求項3】
前記ケースが、上下一対のヨーク部からなり、これらヨーク部を貫通して前記回転軸が回転角度に支承され、吊元側のモーメント強度を確保した、埋設ピポット扉支持構造。
【請求項4】
前記第1ケース及び第2ケース及び枢軸は、一対の支持構造であり、開閉作用に従い、各ケースは移動芯の作業をなし、さらに枢軸は任意の芯位置にて回動することを特徴の埋設ピポット扉支持構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate