説明

扉用ロックハンドル装置

【課題】操作者が引き上げて操作する操作部が外部に露出しておらず、操作部の破損を防止することができる扉用ロックハンドル装置を提供する。
【解決手段】ハウジング2の側板部4を内外に貫通するように設けられた枢軸5と、一端部がハウジング2の内部に収まった状態で枢軸5に固定され他端部に取手部16が一体に設けられ、枢軸5を中心として回動可能でハウジング2から突出可能に設けられたハンドル6と、ハンドル6の背面側に固定された枢軸12に回動可能に支持されハウジング2の底部3に固定された係止軸18に係合可能なフック部19を備えたクラッチプレート13と、ハンドル6の背面側において枢軸7に回動可能に支持され、一端部側にばね付勢されてクラッチプレート13と係合するロックプレート11が設けられているとともに他端部側にトリガー部42が設けられる操作レバー8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉用ロックハンドル装置に関し、より詳細には、貨物車両等の貨物室の扉に装備される扉用ロックハンドル装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の扉用ロックハンドル装置としては例えば特許文献1に記載されるものが知られている。扉用ロックハンドル装置は、扉に固着されるケースに、枢軸によって枢着した操作レバーの先端部にハンドルを枢着する。ケースの底壁に突設した受軸と係脱するラッチレバーを操作レバーの中間部に枢着し、さらに先端爪部がラッチレバーに係脱するトリガーレバーを操作レバーに枢着する。ラッチレバーの爪部が受軸から離脱すると、トリガーレバーの先端爪部はラッチレバーの停止突起に係合する。ハンドルの基端部にはトリガーレバーの先端爪部の前面受動部を押圧する駆動突起が設けられる。
【0003】
操作者がハンドルを握り、ばねの付勢に抗して引き出すと、ハンドルの駆動突起がトリガーレバーの前面受動部を押圧する。トリガーレバーは、ばねの付勢に抗して枢軸を中心に回転して先端爪部がラッチレバーから離脱する。そうするとラッチレバーがばねの付勢によって回転して、停止突起がトリガーレバーの先端爪部に係合する。このときラッチレバーが受軸から離脱して操作レバーの係止施錠が解除される。操作者がハンドルから手を放すと、操作レバーとハンドルとは、ばねの付勢によって回転しケース内に復帰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平8−23241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハンドルの枢軸は、操作レバーの枢軸側とは反対側の先端部側に設けられており、ハンドルの握り部はさらに操作レバーから離れた位置に形成されている。操作レバーに隣接して設置されるハンドルは、ハンドルの握り部が外部に臨んだ状態で設置される。ハンドルの握り部が外部に露出しているので、たとえば扉用ロックハンドル装置を装備した車両が走行中に接触してハンドルを破損する場合があり、または車両を停車して作業しているときハンドルに外部から力が加わって破損する場合がある。
【0006】
本発明の目的は、このような課題を解決するもので、操作者が引き上げて操作する操作部が外部に露出しておらず、操作部の破損を防止することができる扉用ロックハンドル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために本発明は、ハウジングの側面を内外に貫通するように設けられた第1の支持軸と、一端部がハウジングの内部に収まった状態で第1の支持軸に固定され他端部に取手部が一体に設けられ、第1の支持軸を中心として回動可能でハウジングから突出可能に設けられたハンドルと、ハンドルの背面側に固定された第2の支持軸に回動可能に支持されハウジングの内部底面に固定された係止軸に係合可能なフック部を備えたクラッチプレートと、ハンドルの背面側において第3の支持軸に回動可能に支持され、一端部側にばね付勢されてクラッチプレートと係合するロックプレートが設けられているとともに他端部側にトリガー部が設けられる操作レバーとを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、第3の支持軸に回動可能に支持され、一端部にばね付勢されてクラッチプレートと係合するロックプレートが設けられているとともに他端部側にトリガー部が設けられる操作レバーは、ハンドルの背面側に設置されるので、操作者が引き上げて操作する操作部が外部に露出しておらず、操作部の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】扉用ロックハンドル装置1の斜視図である。
【図2】扉用ロックハンドル装置1を裏面側から見た斜視図である。
【図3】ハンドル6のロックが解除された扉用ロックハンドル装置1の斜視図である。
【図4】扉用ロックハンドル装置1の断面図である。
【図5】ロックプレート11とクラッチプレート13との係合が解除された状態を示す断面図である。
【図6】ハンドル6のロックが解除された状態を示す断面図である。
【図7】ハンドル6が全開の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図7に基づいて説明する。扉用ロックハンドル装置1は、扉に埋め込み固着されるハウジング2と、ハウジング2の底部3から立ち上がった両側板部4に各々回転可能に支持された第1の支持軸である枢軸5にねじ止めされるハンドル6と、ハンドル6の背面側に固定された第3の支持軸である枢軸7を中心として回動可能な操作レバー8と、操作レバー8のアーム部9が係合し枢軸10を中心として回動可能なロックプレート11と、ハンドル6の背面側に固定された第2の支持軸である枢軸12に支持されロックプレート11と係合するクラッチプレート13とを備える。
【0011】
ハウジング2は、アルミダイキャストによって成形され底部3の周縁部が立ち上がった箱状であり周縁部の周囲に形成されたフランジ部14を用いて扉の表面15にねじ止めされる。ハンドル6の一端部はハウジング2の両側板部4に回転可能に支持された2つの枢軸5に各々ねじ止めされており枢軸5を中心として回動可能である。ハンドル6の他端部側には操作者が握る取手部16が形成され、取手部16の近傍には指差し込み用の開口部17が形成される。
【0012】
金属製の平板状であるクラッチプレート13は、ハウジング2の底部3に係止された係止軸18に係合するフック部19と、ロックプレート11に当接する当接面20と、ロックプレート11が当接面20から離れたときに回動してハンドル6の背面に当接する係止面25とを備える。クラッチプレート13は、ハンドル6の背面側に設けられた枢軸12に回動可能に支持されており、枢軸12はハンドル6と一体に形成された軸受部26に両端が固定される。クラッチプレート13は枢軸12に取り付けられたねじりコイルばね27でロックプレート11を押圧する方向に付勢されている。
【0013】
ハンドル6の枢軸5に固定される一端部と取手部16との間には、引張りコイルばね28の一端部29が係止される係止部30が形成されており、係止部30に一端が係止される引張りコイルばね28の他端部31はハウジング2の底部3から突設された段付部32にねじ止めされる取り付け金具33に係止される。ハンドル6は、引張りコイルばね28によってばね付勢された状態でクラッチプレート13のフック部19が係止軸18に係合してハウジング2の内部に収容される。係止軸18は、下部がハウジング2の底部3から突設された段付部34,35に支持された状態で押さえ板36,37で付勢される。
【0014】
操作レバー8は、ハンドル6の背面側であってクラッチプレート13の後方に設けられた枢軸7に回動可能に支持される。枢軸7は、ハンドル6の背面側に立ち上がった両側板部40,41に固定されており、操作レバー8の一端部側にはアーム部9が幅方向両側に形成される。操作レバー8の他端部側には、トリガー部42がハンドル6の取手部16背面側に収容されるように設けられる。操作者はハンドル6の取手部16を握った状態で、操作レバー8のトリガー部42を操作可能である。
【0015】
ロックプレート11は、ハンドル6の背面側であってクラッチプレート13と操作レバー8との間に設けられた枢軸10に回動可能に支持される。ロックプレート11の両側部43外側には凸部44が形成されており、凸部44は、ねじりコイルばね45でばね付勢された状態で操作レバー8のアーム部9端面46に当接する。
【0016】
操作者が操作レバー8のトリガー部42を引くと、操作レバー8のアーム部9端面46がばね力に抗して凸部44を押圧し、ロックプレート11がクラッチプレート13の当接面20から離れるので、クラッチプレート13は回動可能となり、クラッチプレート13の係止面25がハンドル6の背面50に当接する。そうするとクラッチプレート13のフック部19と係止軸18との係合が解除され扉は開放可能となる。
【0017】
ここで扉用ロックハンドル装置1の動作について説明する。図4の扉が閉められた状態において、操作者がねじりコイルばね45のばね力に抗して操作レバー8のトリガー部42を引き上げると、アーム部9の端面46がばね力に抗して凸部44を押圧し、図5に示すようにロックプレート11がクラッチプレート13の当接面20から離れる。回動可能となったクラッチプレート13は、図6に示すようにねじりコイルばね27のばね力によって係止面25がハンドル6の背面50に当接するまで回動する。そうするとクラッチプレート13のフック部19は係止軸18との係合が解除となり、図7に示すように操作者が引張りコイルばね28のばね力に抗してハンドル6を引き上げると枢軸5が回転し、枢軸5に連結されたフックの係合が解除され扉が開かれる。
【0018】
開かれた扉を閉める場合には、まずクラッチプレート13のフック部19先端が係止軸18に当接する。操作者が閉動作を続けると、クラッチプレート13は、フック部19の内面51が係止軸18に押圧されて、ねじりコイルばね27のばね力に抗して係止面25がハンドル6の背面50から離れる方向に回動する。そうするとフック部19は徐々に係止軸18に係合され、当接面20がロックプレート11と当接する位置に回動する。フック部19が係止軸18と係合しロックプレート11が当接面20に当接することによって施錠状態とされる。
【0019】
操作者が操作してロックプレート11とクラッチプレート13との噛み合いを解除する操作レバー8は、ハンドル6に覆われた状態で設置されており外部に晒されていないので、扉用ロックハンドル装置1を装備した車両が走行中に接触して操作レバー8を破損し、または車両を停車して作業しているとき操作レバー8に外部から力が加わって破損することが防止される。
【0020】
なお、クラッチプレート13のフック部19が係合する係止軸18は、下部がハウジング2の底部3から突設された段付部34,35に支持された状態で押さえ板36,37で付勢されるので、係止軸18を挿入するための貫通孔をハウジング2の側板部4に設けなくてもよい。また、引張りコイルばね28は、取り付け金具33によってハウジング2に係止されるが、取り付け金具33はハウジング2の底部3から突設した段付部32にねじ止めされるので、ねじがハウジング2を貫通してハウジング2の裏面側に突出することはない。これによって、扉用ロックハンドル装置1に設けられた貫通孔などを通して、たとえば貨物室に雨水、埃などが侵入することが防止される。
【0021】
このようにハウジング2の側板部4を内外に貫通するように設けられた枢軸5と、一端部がハウジング2の内部に収まった状態で枢軸5に固定され他端部に取手部16が一体に設けられ、枢軸5を中心として回動可能でハウジング2から突出可能に設けられたハンドル6と、ハンドル6の背面側に固定された枢軸12に回動可能に支持されハウジング2の底部3に固定された係止軸18に係合可能なフック部19を備えたクラッチプレート13と、ハンドル6の背面側において枢軸7に回動可能に支持され、一端部側にばね付勢されてクラッチプレート13と係合するロックプレート11が設けられているとともに他端部側にトリガー部42が設けられる操作レバー8とを備えるので、操作者が引き上げて操作する操作部が外部に露出しておらず、操作部の破損を防止することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 扉用ロックハンドル装置
2 ハウジング
3 底部
4 側板部
5 枢軸
6 ハンドル
7 枢軸
8 操作レバー
9 アーム部
10 枢軸
11 ロックプレート
12 枢軸
13 クラッチプレート
14 フランジ部
15 扉の表面
16 取手部
17 開口部
18 係止軸
19 フック部
20 当接面
25 係止面
26 軸受部
27 ねじりコイルばね
28 引張りコイルばね
29 一端部
30 係止部
31 他端部
32 段付部
33 取り付け金具
34,35 段付部
36,37 押さえ板
40,41 側板部
42 トリガー部
43 側部
44 凸部
45 ねじりコイルばね
46 端面
50 背面
51 内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの側面を内外に貫通するように設けられた第1の支持軸と、
一端部がハウジングの内部に収まった状態で第1の支持軸に固定され他端部に取手部が一体に設けられ、第1の支持軸を中心として回動可能でハウジングから突出可能に設けられたハンドルと、
ハンドルの背面側に固定された第2の支持軸に回動可能に支持されハウジングの内部底面に固定された係止軸に係合可能なフック部を備えたクラッチプレートと、
ハンドルの背面側において第3の支持軸に回動可能に支持され、一端部側にばね付勢されてクラッチプレートと係合するロックプレートが設けられているとともに他端部側にトリガー部が設けられる操作レバーとを備える扉用ロックハンドル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−236663(P2011−236663A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109757(P2010−109757)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(592163893)ジョー・プリンス竹下株式会社 (32)