説明

手ぶれ補正装置、撮像処理方法及びプログラム

【課題】撮像画像に手ぶれ以外に起因してボケが生じる場合に、手ぶれ補正可能範囲を相対的に拡大させる。
【解決手段】撮像装置100であって、被写体の撮像の際の手ぶれ量を逐次検出する手ぶれ量検出部4と、逐次検出される手ぶれ量を補正するようにステージ部を逐次駆動させるステージ駆動部6aと、撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量を特定するボケ量特定部5と、特定されるボケ量が大きくなるほど手ぶれ補正処理の強度を弱くするようにステージ駆動部によるステージ部の駆動を制御する補正制御部6bと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の撮像の際に手ぶれ補正を行う手ぶれ補正装置、撮像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手ぶれ補正機構を具備する撮像装置が知られており、撮影者の選択により手ぶれ補正機構を手ぶれ補正に利用するか、或いは、ソフトフォーカス効果を得るために利用するかを選択可能に構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、手ぶれ補正が不要である場合には、手ぶれ補正機構を利用してソフトフォーカス効果を得ることができるように構成された撮像装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−218312号公報
【特許文献2】特開平5−241064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、手ぶれ成分を吸収するための撮像素子やレンズの最大駆動可能範囲は、装置の機構的に制限されている。つまり、最大駆動可能範囲は、平均的な手ぶれ周波数の振幅よりも広く設定されているが、大きな手ぶれが生じた場合には、当該最大駆動可能範囲を超えてしまい、十分な手ぶれ補正効果が得られなくなる。この場合、撮像素子やレンズの移動によっても吸収しきれなかった手ぶれ成分は、静止画像であれば撮像画像のボケ、具体的には、方向性のあるボケ(ブレ)として現れる。
一方、上記のような撮像画像のボケ以外にも、フォーカスの精度が悪いことに起因するボケや、撮影者が意図的に設定するボケや、意図的ではないが鑑賞者が許容可能なボケなどがある。さらに、逆光によりフレアが生じた画像や、暗い環境などで撮像画像のエッジがシャープになりにくい状況で撮影された画像でも同様の画質となる。
【0005】
しかしながら、上記のような手ぶれ以外に起因して生じるボケが大きい場合、手ぶれ補正の精度を上げることにあまり意味がない。また、この場合に、検出される手ぶれに追従させるために高速で撮像素子やレンズを駆動すると、消費電力や駆動音が増大するといった問題も生じてしまう。
【0006】
そこで、本願発明の課題は、撮像画像に手ぶれ以外に起因してボケが生じる場合に、手ぶれ補正可能範囲を相対的に拡大させることができる手ぶれ補正装置、撮像処理方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の手ぶれ補正装置は、
撮像手段による被写体の撮像の際の手ぶれ量を逐次検出する検出手段と、この検出手段により逐次検出される手ぶれ量を補正するように補正用可動部を逐次駆動させる駆動手段と、前記撮像手段により撮像される撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量を特定する特定手段と、この特定手段により特定されるボケ量が大きくなるほど手ぶれ補正処理の強度を弱くするように前記駆動手段による前記補正用可動部の駆動を制御する補正制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の手ぶれ補正装置において、
前記撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量は、前記撮像手段による被写体の撮像の際に当該被写体に含まれる主要被写体を基準として実際に測定されるボケ量、前記主要被写体を基準として予測されるボケ量、ユーザ操作に基づいて指定されたボケ量、鑑賞時に許容可能なボケ量のうち、少なくとも何れか一を含むことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の手ぶれ補正装置において、
前記撮像手段により撮像される撮像画像を意図的にぼかすソフトフォーカス処理モードを設定する設定手段を更に備え、前記補正制御手段は、前記設定手段により前記ソフトフォーカス処理モードが設定されている場合に、前記手ぶれ補正処理の強度を弱くするように制御することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の手ぶれ補正装置において、
前記補正制御手段は、前記検出手段により検出される手ぶれ量に対して前記駆動手段により駆動させる前記補正用可動部の移動量及び移動速度のうち、少なくとも一方を指定する指定手段を備え、前記特定手段により特定されるボケ量が大きくなるほど、前記指定手段により指定される前記補正用可動部の移動量及び移動速度のうち、少なくとも一方を小さくするように制御することを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の手ぶれ補正装置において、
前記補正制御手段は、前記補正用可動部の新たな所定の単位期間内の移動量が前回の所定の単位期間内の移動量よりも小さくなるように、前記指定手段により指定される前記補正用可動部の移動量を制御することを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の手ぶれ補正装置において、
前記補正制御手段は、前記駆動手段による前記補正用可動部の最大移動量、所定時間内の平均移動量、最大移動速度及び所定時間内の平均移動速度のうち、少なくとも何れか一の制限値を変更することを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の手ぶれ補正装置において、
前記補正制御手段は、前記駆動手段により前記補正用可動部を駆動可能範囲の中央に移動させる位置決め動作を制御するとともに、前記特定手段により特定されるボケ量が大きくなるほど、前記駆動手段による前記位置決め動作の強度を強くするように制御することを特徴としている。
【0014】
請求項8に記載の発明の撮像処理方法は、
撮像手段による被写体の撮像の際の手ぶれ量を逐次検出する検出手段と、この検出手段により逐次検出される手ぶれ量を補正するように補正用可動部を逐次駆動させる駆動手段と、を備える手ぶれ補正装置を用いた撮像処理方法であって、前記撮像手段により撮像される撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量を特定する処理と、特定されるボケ量が大きくなるほど手ぶれ補正処理の強度を弱くするように前記駆動手段による前記補正用可動部の駆動を制御する処理と、を実行することを特徴としている。
【0015】
請求項9に記載の発明のプログラムは、
手ぶれ補正装置のコンピュータを、撮像手段による被写体の撮像の際の手ぶれ量を逐次検出する検出制御手段、この検出制御手段により逐次検出される手ぶれ量を補正するように補正用可動部を逐次駆動させる駆動制御手段、前記撮像手段により撮像される撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量を特定する特定手段、この特定手段により特定されるボケ量が大きくなるほど手ぶれ補正処理の強度を弱くするように前記駆動制御手段による前記補正用可動部の駆動を制御する補正制御手段、として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケを考慮して手ぶれ補正可能範囲を相対的に拡大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した一実施形態の撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の撮像装置による撮像動作処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】図2の撮像動作処理における手ぶれ補正処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】図3の手ぶれ補正処理中の動作を説明するための模式図である。
【図5】手ぶれ補正処理の変形例に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
図1は、本発明を適用した一実施形態の撮像装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0019】
本実施形態の撮像装置100は、被写体の撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量を特定し、当該ボケ量が大きくなるほど手ぶれ補正処理の強度を弱くするようにステージ駆動部6aによるステージ部の駆動を制御する。
具体的には、図1に示すように、撮像装置100は、レンズ部1と、電子撮像部2と、CDS/ADC部3と、手ぶれ量検出部4と、ボケ量特定部5と、手ぶれ補正部6と、画像処理部7と、メモリ8と、表示制御部9と、表示部10と、画像記録部11と、操作入力部12と、中央制御部13とを備えている。
【0020】
レンズ部1は、例えば、図示は省略するが、ズームレンズ群、フォーカスレンズ群を含み、レンズ駆動機構(例えば、モータ等)により光軸方向の位置が調整可能となっている。
【0021】
電子撮像部2は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor)等のイメージセンサ等から構成され、レンズ部1の各種レンズや絞り(図示略)を通過した光学像を当該電子撮像部2により二次元の画像信号(RGB画像データ)に変換して、CDS/ADC部3に出力する。
なお、図示は省略するが、電子撮像部2は、手ぶれ補正部6のステージ駆動部6a(後述)によりXY方向(例えば、左右方向や上下方向等)に駆動されるステージ部に搭載されている。
ここで、レンズ部1及び電子撮像部2は、被写体を撮像する撮像手段を構成している。
【0022】
CDS/ADC部3は、電子撮像部2から出力された被写体の光学像に応じたRGB色成分よりなる画像信号が入力され、必要に応じて、YUV色空間に対応する画像データ(YUV画像データ)やHSV色空間に対応する画像データ(HSV画像データ)に変換して中央制御部13に出力する。
【0023】
手ぶれ量検出部4は、例えば、角速度センサ等により構成され、レンズ部1及び電子撮像部2による被写体の撮像の際の手ぶれ量を検出する。具体的には、手ぶれ量検出部4は、手ぶれ量を所定間隔で逐次検出し、検出された手ぶれ量に係る手ぶれ量データを手ぶれ補正部6に出力する。
ここで、手ぶれ量検出部4は、レンズ部1及び電子撮像部2による被写体の撮像の際の手ぶれ量を逐次検出する検出手段を構成している。
【0024】
ボケ量特定部5は、レンズ部1及び電子撮像部2により撮像される撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量を特定する。
ここで、撮像画像に生じるボケは、手ぶれに起因して生じるものと手ぶれ以外に起因して生じるものとに大別される。手ぶれが生じた場合、手ぶれ補正部6は、電子撮像部2を搭載するステージ部を所定方向(例えば、左右方向や上下方向等)に移動させて手ぶれを補正するようになっている。しかしながら、手ぶれがステージ部の最大駆動可能範囲よりも大きくなると、手ぶれ補正部6は、ステージ部の移動によっても手ぶれ成分を補正しきれなくなり、この結果、撮像画像には方向性のあるボケ(ブレ)が生じてしまう(図4(a)参照)。例えば、図4(a)にあっては、ステージ部の駆動位置を示す太い(濃い)実線が左右方向と略平行に延在している領域では、手ぶれ量(破線)がステージ部の最大駆動可能範囲よりも大きくなって手ぶれ成分を補正しきれなくなり、撮像画像には当該手ぶれに起因してボケが生じてしまう。
そこで、ボケ量特定部5は、撮像画像に生じる方向性のあるボケ以外のボケ量を、手ぶれ以外に起因して生じるボケ量として特定する。
【0025】
具体的には、ボケ量特定部5は、例えば、被写体のライブビュー撮像の際に、レンズ部1のフォーカスレンズ(図示略)の合焦位置に係る情報やライブビュー画像の高周波成分に係る情報等に基づいて、当該被写体に含まれる主要被写体を基準としてボケ量を実際に測定することで特定しても良い。また、ボケ量特定部5は、例えば、フォーカスレンズの合焦位置に係る情報や撮像距離情報等に基づいて、撮像画像に主要被写体を基準として生じるであろうと予測されるボケ量を演算して特定しても良い。ここで、主要被写体としては、例えば、画角内の略中央部に存する人や物、顔検出処理により検出された顔の人、特徴検出処理にて検出された物体や動物や植物等が挙げられる。なお、顔検出処理や特徴検出処理は、公知の技術であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
また、ボケ量特定部5は、例えば、ユーザによる所定操作に従って、撮像モードとしてソフトフォーカス処理モードが設定されている場合には、当該ソフトフォーカス処理の設定内容(例えば、平滑化の強度)に基づいて、撮像画像に生じるボケ量を演算により特定しても良い。
また、ボケ量特定部5は、例えば、設定済みの撮像シーンモードや特定された被写体の種類等に基づいて、鑑賞時に許容可能であろうと予測されるボケ量を演算して特定しても良い。
ここで、ボケ量特定部5は、レンズ部1及び電子撮像部2により撮像される撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量を特定する特定手段を構成している。
【0026】
手ぶれ補正部6は、被写体の撮像の際の手ぶれを補正するものであり、具体的には、ステージ駆動部6aと、補正制御部6bとを備えている。
【0027】
ステージ駆動部6aは、補正制御部6bの制御下にて、電子撮像部2を搭載するステージ部をXY方向に移動させるものである。即ち、ステージ駆動部6aは、駆動手段として、手ぶれ量検出部4により逐次検出される手ぶれ量を補正するようにステージ部(補正用可動部)を逐次駆動させる。
【0028】
補正制御部6bは、手ぶれ量検出部4により検出された手ぶれ量に応じて手ぶれ補正量を決定し、当該手ぶれ補正量に基づいてステージ駆動部6aの駆動を制御する。即ち、補正制御部6bは、手ぶれ量検出部4から出力された手ぶれ量データが入力されると、当該手ぶれ量に応じて手ぶれ補正量(例えば、ステージ駆動部6aの駆動に必要な電流値や通電時間等)を算出し、算出された手ぶれ補正量に基づいてステージ駆動部6aの駆動に係る制御信号を決定する。そして、補正制御部6bは、決定された制御信号に従ってステージ駆動部6aの駆動を制御してステージ部をXY方向に移動させる。
【0029】
また、補正制御部6bは、ボケ量特定部5により特定されるボケ量、即ち、手ぶれ以外に起因するボケ量が大きくなるほど手ぶれ補正処理の強度を弱くするように、ステージ駆動部6aによるステージ部の駆動を制御する。
具体的には、補正制御部6bは、手ぶれ量に対してステージ駆動部6aにより駆動させるステージ部の移動量等の動作内容を指定する内容指定部6cを具備しており、当該内容指定部6cは、手ぶれ量検出部4により検出される手ぶれ量をステージ部の移動量(移動距離)に換算する。このとき、補正制御部6bは、換算されたステージ部の移動量が当該ステージ部の手ぶれ以外に起因するボケ量に対応した許容移動量(移動距離)よりも大きいか否かを判定し、換算されたステージ部の移動量が許容移動量よりも大きいと判定すると、ステージ部の移動量が許容移動量よりも小さくなるように内容指定部6cに変更指定させる(図4(b)参照)。
より具体的には、内容指定部6cは、ボケ量特定部5によって手ぶれ以外に起因するボケ量が特定される毎に、当該ボケ量を基準としてステージ駆動部6aによるステージ部の許容移動量を算出する。そして、補正制御部6bは、内容指定部6cにより算出されたステージ部の許容移動量よりも今回の手ぶれ補正タイミングにおけるステージ部の移動量が大きいと判定される毎に、当該ステージ部の移動量が許容移動量よりも小さくなるように内容指定部6cに変更指定させる。このようにして、補正制御部は、手ぶれ以外に起因するボケ量が大きくなるほどステージ部の移動量を小さくするように内容指定部6cに変更指定させる。
【0030】
また、補正制御部6bは、撮像モードとしてソフトフォーカス処理モードが設定されている場合に、手ぶれ補正処理の強度を弱くするように制御する。この場合も、補正制御部6bは、上記と同様の処理を行い、ソフトフォーカス処理の強度に基づいて当該処理強度が大きくなるほどステージ部(補正用可動部)の移動量を小さくするように内容指定部6cにより指定させる。
【0031】
このように、補正制御部6bは、ボケ量特定部5により特定されるボケ量が大きくなるほど手ぶれ補正処理の強度を弱くするようにステージ駆動部6aによるステージ部の駆動を制御する補正制御手段を構成している。
【0032】
画像処理部7は、CDS/ADC部3から出力された画像データの記録時に、中央制御部13から出力された画像データを受け取って、当該画像データに対して各種の画像処理や圧縮等を施してファイル化する。そして、画像処理部7は、ファイル化された画像データを画像記録部11に転送する。
【0033】
また、画像処理部7は、撮像画像を意図的にぼかしたソフトフォーカス画像を生成するソフトフォーカス処理部7aを具備している。
ソフトフォーカス処理部7aは、例えば、入力された撮像画像の各画素について、所定サイズの平均化フィルタを用いて平滑化するソフトフォーカス処理を施す。ここで、ソフトフォーカス処理の処理強度は、使用される平均化フィルタのサイズに応じて変更可能となっている。
これにより、ソフトフォーカス処理部7aは、撮像画像に対してソフトフォーカス処理を施すことにより、当該画像全体の濃淡変化が滑らかにされた柔らかい描写のソフトフォーカス画像を生成する。
なお、ソフトフォーカス処理に係る画像の平滑化は、公知の技術であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0034】
メモリ8は、例えば、DRAM等により構成され、画像処理部7や中央制御部13等によって処理されるデータ等を一時的に記憶する。
【0035】
表示制御部9は、メモリ8に一時的に記憶されている表示用の画像データを読み出して表示部10に表示させる制御を行う。
具体的には、表示制御部9は、VRAM、VRAMコントローラ、デジタルビデオエンコーダなどを備えている(何れも図示略)。そして、デジタルビデオエンコーダは、中央制御部13の制御下にてメモリ8から読み出されてVRAMに記録されている輝度信号Y及び色差信号Cb,Crを、VRAMコントローラを介してVRAMから定期的に読み出して、これらのデータを元にビデオ信号を発生して表示部10に出力する。
【0036】
表示部10は、例えば、液晶表示装置であり、表示制御部9からのビデオ信号に基づいて電子撮像部2により撮像された画像などを表示画面に表示する。具体的には、表示部10は、静止画撮像モードや動画撮像モードにて、電子撮像部2による被写体の撮像により生成された複数の画像フレームを所定のフレームレートで逐次更新しながらライブビュー画像を表示する。
【0037】
画像記録部11は、例えば、不揮発性メモリ等により構成され、画像処理部7の符号化部(図示略)により所定の圧縮形式で符号化された記録用の静止画像データや複数の画像フレームからなる動画像データを記録する。
【0038】
操作入力部12は、当該撮像装置100の所定操作を行うためのものである。具体的には、操作入力部12は、被写体の撮像指示に係るシャッタボタン、撮像モードや機能等の選択指示に係る選択決定用ボタン、ズーム量の調整指示に係るズームボタン等を備え(何れも図示略)、これらのボタンの操作に応じて所定の操作信号を中央制御部13に出力する。
【0039】
また、操作入力部12の選択決定用ボタンは、ユーザによる所定操作に基づいて、複数の撮像モードの中で撮像画像を意図的にぼかして柔らかい描写とするソフトフォーカス処理モードの設定指示を中央制御部13に出力する。中央制御部13は、入力された設定指示に基づいて、撮像モードをソフトフォーカス処理モードに設定する。
ここで、操作入力部12及び中央制御部13は、レンズ部1及び電子撮像部2により撮像される撮像画像を意図的にぼかすソフトフォーカス処理モードを設定する設定手段を構成している。
【0040】
中央制御部13は、撮像装置100の各部を制御するものである。具体的には、中央制御部13は、CPU、RAM、ROM(何れも図示略)を備え、撮像装置100用の各種処理プログラム(図示略)に従って各種の制御動作を行う。
【0041】
次に、撮像装置100により被写体を撮像する場合に実行される撮像動作処理について、図2〜図4を参照して説明する。
図2は、撮像動作処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【0042】
撮像動作処理は、ユーザによる操作入力部12の所定操作に基づいて、表示部10に表示されたメニュー画面内の複数のモードの中から、例えば、静止画撮像モードや動画像撮像モード等の撮像モードが選択指定されて、当該撮像モードにて被写体の撮像を所定条件で行う撮像動作中に実行される処理である。
【0043】
図2に示すように、先ず、中央制御部13は、ユーザによる操作入力部12の所定操作に基づいて当該撮像装置100の各種設定の内容や、撮像装置100の被写体に対する撮像距離や撮像角度の変更によって電子撮像部2により撮像される被写体の状態が変化したか否かを判定する(ステップS1)。
ここで、撮像装置100の各種設定の内容や被写体の状態が変化したと判定されると(ステップS1;YES)、ボケ量特定部5は、撮像画像に生じる方向性のあるボケ以外のボケ量を手ぶれ以外に起因して生じるボケ量として特定する(ステップS2)。
具体的には、ボケ量特定部5は、例えば、被写体のライブビュー撮像の際に、レンズ部1のフォーカスレンズ(図示略)の合焦位置に係る情報やライブビュー画像の高周波成分に係る情報に基づいて、当該被写体に含まれる主要被写体を基準としてボケ量を実際に測定したり、撮像モードとしてソフトフォーカス処理モードが設定されている場合に、当該ソフトフォーカス処理の設定内容(例えば、平滑化の強度)に基づいて、撮像画像に生じるボケ量を演算により特定する。
【0044】
次に、手ぶれ補正部6の内容指定部6cは、ボケ量特定部5により特定された手ぶれ以外に起因するボケ量を基準として、ステージ駆動部6aによるステージ部の単位時間あたりの許容移動量(移動速度)を算出する(ステップS3)。続けて、補正制御部6bは、内容指定部6cにより新たに算出されたステージ部の単位時間あたりの許容移動量(移動速度)を手ぶれ補正条件として設定する(ステップS4)。
【0045】
そして、手ぶれ補正部6は、手ぶれ量検出部4により手ぶれが検出されたか否かに応じて、手ぶれ補正処理の実行タイミングであるか否かを判定する(ステップS5)。また、ステップS1にて、撮像装置100の各種設定の内容や被写体の状態が変化していないと判定された場合にも(ステップS1;NO)、処理をステップS5に進め、手ぶれ補正部6は、同様に、手ぶれ補正処理の実行タイミングであるか否かを判定する(ステップS5)。
ここで、手ぶれ補正処理の実行タイミングでないと判定されると(ステップS5;NO)、中央制御部13は、当該撮像モードにおける被写体の撮像が終了したか否かを判定する(ステップS6)。具体的には、中央制御部13は、例えば、ユーザによる所定操作に基づいて撮像終了指示が入力されたか否か、メモリ8の一時記憶容量がなくなったか否か等に応じて、被写体の撮像が終了したか否かを判定する。
【0046】
一方、ステップS5にて、手ぶれ補正処理の実行タイミングであると判定されると(ステップS5;YES)、手ぶれ補正部6は、手ぶれ量検出部4により検出された手ぶれを補正する手ぶれ補正処理を行う(ステップS7;図3参照)。
【0047】
以下に、手ぶれ補正処理について図3を参照して詳細に説明する。
ここで、図3は、手ぶれ補正処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。
【0048】
図3に示すように、手ぶれ補正処理では、先ず、手ぶれ量検出部4によって、前回の手ぶれ量の検出タイミング後に新たに手ぶれが発生して、当該新たな手ぶれの量及び方向が検出されると(ステップS21)、内容指定部6cは、手ぶれ量検出部4により検出された手ぶれ量を今回のステージ部の移動量(移動距離)に換算する(ステップS22)。
【0049】
次に、補正制御部6bは、換算されたステージ部の移動量(移動距離)が当該ステージ部の手ぶれ以外に起因するボケ量に対応した許容移動量(移動距離)よりも大きいか否かを判定する(ステップS23)。
なお、ステップS1にて、撮像装置100の各種設定の内容や被写体の状態が変化していないと判定された後(ステップS1;NO)、ステップS2〜S4の処理を経ずにステップS5にて、手ぶれ補正処理の実行タイミングであると判定(ステップS5;YES)されることで実行される手ぶれ補正処理(ステップS7)にあっては、補正制御部6bは、例えば、前回の手ぶれ補正条件の設定タイミング(ステップS4)で設定されたステージ部の単位時間あたりの許容移動量(移動速度)に対応する、当該ステージ部の手ぶれ以外に起因するボケ量に対応した許容移動量(移動距離)や、デフォルトとして設定されているステージ部の許容移動量(移動距離)を用いて、上記のステップS23の判定を行っても良い。
【0050】
そして、ステップS23にて、ステージ部の移動量が許容移動量よりも大きくないと判定されると(ステップS23;NO)、補正制御部6bは、換算された今回の手ぶれ補正タイミングにおけるステージ部の移動量及び手ぶれ量検出部4により検出済みの移動方向に基づいて、ステージ駆動部6aの駆動に係る制御信号を決定し、当該制御信号に従ってステージ駆動部6aの駆動を制御してステージ部を所定方向に移動させる(ステップS24)。
【0051】
一方、ステップS23にて、ステージ部の移動量が許容移動量よりも大きいと判定されると(ステップS23;YES)、補正制御部6bは、今回の手ぶれ補正タイミングにおけるステージ部の移動量が許容移動量よりも小さくなるように内容指定部6cに変更指定させる(ステップS25;図4(b)参照)。例えば、図4(b)にあっては、手ぶれ量(破線)に対してステージ駆動部6aによるステージ部(太い実線)の移動量が小さくなっている。かかる場合には、手ぶれ補正がなされていない非補正量が生じるが、当該非補正量は、被写体の撮像画像に手ぶれ以外に起因してボケが生じる場合における、手ぶれが生じても手ぶれ補正を行う必要のない範囲を模式的に表している。これにより、通常撮像よりも許容可能な手ぶれ量を大きくすることができ、手ぶれ補正処理の強度を弱くしても手ぶれ補正可能範囲を相対的に拡大させることができることとなって、撮像画像に対して当該手ぶれの影響を軽減することができる。
【0052】
その後、処理をステップS24に移行して、補正制御部6bは、上記と略同様に、指定されたステージ部の移動量及び手ぶれ量検出部4により検出済みの移動方向に基づいて、ステージ駆動部6aの駆動に係る制御信号を決定し、当該制御信号に従ってステージ駆動部6aの駆動を制御してステージ部を所定方向に移動させる(ステップS24)。つまり、ボケ量特定部5により特定される手ぶれ以外に起因するボケ量、即ち、許容可能なぶれ量を考慮して、手ぶれ補正部6は、当該ボケ量が大きくなるほど手ぶれ量に対するステージ部の移動量をより小さくした手ぶれ補正処理を行う。
【0053】
手ぶれ補正処理が終了すると、図2に示すように、ステップS6に移行して、中央制御部13は、当該撮像モードにおける被写体の撮像が終了したか否かを判定する(ステップS6)。
ここで、被写体の撮像が終了していないと判定されると(ステップS6;NO)、中央制御部13は、処理をステップS1に移行して、それ以降の処理を行う。
そして、ステップS6にて、被写体の撮像が終了したと判定されると(ステップS6;YES)、中央制御部13は、撮像動作処理を終了する。
【0054】
以上のように、本実施形態の撮像装置100によれば、被写体の撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量を特定し、当該ボケ量が大きくなるほど手ぶれ補正処理の強度を弱くするようにステージ駆動部6aによるステージ部の駆動を制御するので、撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケの大きさを考慮して手ぶれ補正可能範囲を相対的に拡大させることができる。具体的には、撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量が大きくなるほど、ステージ駆動部6aによるステージ部の移動量(移動距離)を小さくすることで手ぶれ補正可能範囲を相対的に拡大させることができる。
即ち、例えば、ソフトフォーカス処理モードが設定されていた場合のように、被写体の撮像画像に手ぶれ以外に起因してボケが生じる場合には、手ぶれが生じても手ぶれ補正を行う必要のない範囲があることから、通常撮像よりも許容可能な手ぶれ量を大きくして、ピントが合う領域を拡大させることができる。これにより、手ぶれ補正処理の強度を弱くしても当該手ぶれの影響の少ない撮像画像を得ることができる。
従って、被写体の撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量を基準として手ぶれ補正処理の強度を可変させることで、当該手ぶれ補正可能範囲を相対的に拡大させることができる。
さらに、電子撮像部2を搭載するステージ部を手ぶれに追従させるために高速で駆動させる必要がなくなって、当該駆動により消費される電力や発生する駆動音の増大を回避することができる。
【0055】
また、撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケの大きさを考慮して手ぶれ補正可能範囲を相対的に拡大させるので、露光時間の比較的長い(シャッター速度の遅い)撮像動作にて、手ぶれ補正処理の強度を弱くしても当該手ぶれの影響の少ない撮像画像を得ることができるだけでなく、露光時間の比較的短い(シャッター速度の速い)撮像動作にて、如何なるタイミングで撮像しても手ぶれ量がステージ部の駆動可能範囲を超えてしまう確率を低減させることができる(図4(b)参照)。これにより、本実施形態の手ぶれ補正処理を動画像の各画像フレームの撮像に適用しても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施形態にあっては、手ぶれ以外に起因して生じるボケ量を考慮した手ぶれ補正処理の強度の調整を、手ぶれ量検出部4が手ぶれを検出する毎に行うようにしたが、これに限られるものではなく、所定の単位期間毎に行うようにしても良い(図5参照)。
【0057】
即ち、補正制御部6bの内容指定部6cは、今回の手ぶれの検出タイミングにて手ぶれ量検出部4により検出された手ぶれ量を今回のステージ部の移動量(移動距離)に換算し、仮に、今回のステージ部の移動量で所定の単位期間当該ステージ部を移動させた場合のステージ部の総移動量(移動距離)を算出する。
そして、補正制御部6bは、所定の単位期間内のステージ部の総移動量が、既に設定済みの当該ステージ部の手ぶれ以外に起因するボケ量に対応した所定の単位期間内の総許容移動量(移動距離)よりも大きいか否かを判定し、所定の単位期間内のステージ部の総移動量が総許容移動量よりも大きいと判定すると、所定の単位期間内のステージ部の総移動量が総許容移動量よりも小さくなるように、今回の手ぶれ補正タイミングにおけるステージ部の移動量を内容指定部6cに変更指定させる。
【0058】
以下に、手ぶれ補正処理の変形例について図5を参照して説明する。
図5に示すように、この手ぶれ補正処理では、上記実施形態と同様に、先ず、手ぶれ量検出部4によって、前回の手ぶれ量の検出タイミング後に新たに手ぶれが発生して、当該新たな手ぶれの量及び方向が検出されると(ステップS21)、内容指定部6cは、手ぶれ量検出部4により検出された手ぶれ量を今回のステージ部の移動量(移動距離)に換算する(ステップS22)。
【0059】
次に、内容指定部6cは、仮に、今回のステージ部の移動量で所定の単位期間当該ステージ部を移動させた場合のステージ部の総移動量(移動距離)を算出し、補正制御部6bは、所定の単位期間内のステージ部の総移動量が、既に設定済みの当該ステージ部の手ぶれ以外に起因するボケ量に対応した所定の単位期間内の総許容移動量(移動距離)よりも大きいか否かを判定する(ステップS33)。
ここで、所定の単位期間内のステージ部の総移動量が総許容移動量よりも大きくないと判定されると(ステップS33;NO)、補正制御部6bは、換算された今回の手ぶれ補正タイミングにおけるステージ部の移動量及び手ぶれ量検出部4により検出済みの移動方向に基づいて、ステージ駆動部6aの駆動に係る制御信号を決定し、当該制御信号に従ってステージ駆動部6aの駆動を制御してステージ部を所定方向に移動させる(ステップS34)。
【0060】
一方、ステップS33にて、所定の単位期間内のステージ部の総移動量が総許容移動量よりも大きいと判定されると(ステップS33;YES)、補正制御部6bは、所定の単位期間内のステージ部の総移動量が総許容移動量よりも小さくなるように、今回の手ぶれ補正タイミングにおけるステージ部の移動量を内容指定部6cに変更指定させる(ステップS35)。
その後、処理をステップS34に移行して、補正制御部6bは、上記と略同様に、指定された所定の単位期間内のステージ部の移動量及び手ぶれ量検出部4により検出済みの移動方向に基づいて、ステージ駆動部6aの駆動に係る制御信号を決定し、当該制御信号に従ってステージ駆動部6aの駆動を制御してステージ部を所定方向に移動させる(ステップS34)。
【0061】
従って、ステージ部の新たな所定の単位期間内の移動量が前回の所定の単位期間内の移動量よりも小さくなるように、内容指定部6cにより指定されるステージ部の移動量を制御するので、撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量を考慮した手ぶれ補正処理の強度の調整を、手ぶれを検出する毎に、即ち、短い間隔で行うことができないものの、比較的長い所定の単位期間内に生じる手ぶれの大きさを総合的に判断して手ぶれ補正処理の強度を弱くするか否かを決定することができる。
これにより、手ぶれ補正処理の強度の調整回数を減少させることができ、消費電力の軽減を図ることができるとともに、処理能力のあまり高くない演算装置を搭載した撮像装置であっても手ぶれ補正処理を適正に行うことができる。
【0062】
また、上記実施形態にあっては、手ぶれ補正処理にて、手ぶれ量に対してステージ駆動部6aにより駆動させるステージ部の移動量を内容指定部6cにより指定し、補正制御部6bは、指定された移動量がステージ部の手ぶれ以外に起因するボケ量に対応した許容移動量よりも大きいか否かに応じて当該手ぶれ補正処理の強度を変更するか否かを決定するようにしたが、これに限られるものではなく、ステージ部の移動速度を基準として当該手ぶれ補正処理の強度を変更するか否かを決定しても良い。
即ち、内容指定部6cは、手ぶれ量に対してステージ駆動部6aにより駆動させるステージ部の移動量に加えて、或いは、ステージ部の移動量に替えて当該ステージ部の移動速度を指定しても良い。また、補正制御部6bは、指定された移動速度がステージ部の手ぶれ以外に起因するボケ量に対応した許容移動速度よりも大きいか否かに応じて当該手ぶれ補正処理の強度を変更するか否かを決定するようにしても良い。
【0063】
さらに、上記実施形態にあっては、手ぶれ補正処理の強度の変更の際に、補正制御部6bは、ステージ駆動部6aによるステージ部の最大移動量、所定時間内の平均移動量、最大移動速度及び所定時間内の平均移動速度のうち、少なくとも何れか一の制限値を変更することで手ぶれ補正処理の強度を弱くするようにしても良い。
このような構成としても、上記実施形態と同様に、撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケの大きさを考慮して手ぶれ補正可能範囲を相対的に拡大させることができる。
【0064】
また、上記実施形態にあっては、手ぶれ補正処理の強度の変更の際に、ステージ部の移動量や移動速度の制限に加えて、補正制御部6bは、ボケ量特定部5により特定されるボケ量が大きくなるほど、手ぶれ補正処理におけるステージ駆動部6aによりステージ部のセンタリング動作、即ち、ステージ部を駆動可能範囲の中央に少しずつ移動させる位置決め動作の強度を強くするように制御しても良い。
このような構成としても、上記実施形態と同様に、被写体の撮像画像に手ぶれ以外に起因してボケが生じる場合には、ピントが正確に合った撮像を行うことができないものの、手ぶれ補正処理の強度を弱くしても当該手ぶれの影響の少ない撮像画像を得ることができ、手ぶれ補正可能範囲を相対的に拡大させることができる。
【0065】
また、上記実施形態にあっては、補正用可動部として電子撮像部2を搭載したステージ部を例示し、当該ステージ部をレンズ部1に対して光軸方向に略直交するXY方向に移動させる構成としたが、手ぶれ補正機構の構成はこれに限られるものではなく、レンズ部1を電子撮像部2に対してXY方向に移動させるような構成であっても良いし、レンズ部1及び電子撮像部2の両方を移動させるような構成であっても良い。
即ち、手ぶれ補正機構は、レンズ部1及び電子撮像部2のうち、少なくとも何れか一方を他方に対して光軸方向に略直交する方向に移動させて手ぶれを補正する構成であれば如何なる構成であっても良い。
【0066】
また、手ぶれ補正装置に係る撮像装置100の構成は、上記実施形態に例示したものは一例であり、これに限られるものではない。
【0067】
加えて、上記実施形態にあっては、検出手段、駆動手段、特定手段、補正制御手段としての機能を、中央制御部13の制御下にて、手ぶれ量検出部4、ステージ駆動部6a、ボケ量特定部5、補正制御部6bが駆動することにより実現される構成としたが、これに限られるものではなく、中央制御部13のCPUによって所定のプログラム等が実行されることにより実現される構成としても良い。
即ち、プログラムを記憶するプログラムメモリ(図示略)に、検出制御処理ルーチン、駆動制御処理ルーチン、特定処理ルーチン、補正制御処理ルーチンを含むプログラムを記憶しておく。そして、検出制御処理ルーチンにより中央制御部13のCPUを、撮像手段による被写体の撮像の際の手ぶれ量を逐次検出する検出制御手段として機能させるようにしても良い。また、駆動制御処理ルーチンにより中央制御部13のCPUを、検出制御手段により逐次検出される手ぶれ量を補正するように補正用可動部を逐次駆動させる駆動制御手段として機能させるようにしても良い。また、特定処理ルーチンにより中央制御部13のCPUを、撮像手段により撮像される撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量を特定する特定手段として機能させるようにしても良い。また、特定処理ルーチンにより中央制御部13のCPUを、特定手段により特定されるボケ量が大きくなるほど手ぶれ補正処理の強度を弱くするように駆動制御手段による補正用可動部の駆動を制御する補正制御手段として機能させるようにしても良い。
【0068】
さらに、上記の各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体として、ROMやハードディスク等の他、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを所定の通信回線を介して提供する媒体としては、キャリアウェーブ(搬送波)も適用される。
【符号の説明】
【0069】
100 撮像装置
1 レンズ部
2 電子撮像部
3 CDS/ADC部
4 手ぶれ量検出部
5 ボケ量特定部
6 手ぶれ補正部
6a ステージ駆動部
6b 補正制御部
6c 内容指定部
13 中央制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段による被写体の撮像の際の手ぶれ量を逐次検出する検出手段と、
この検出手段により逐次検出される手ぶれ量を補正するように補正用可動部を逐次駆動させる駆動手段と、
前記撮像手段により撮像される撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量を特定する特定手段と、
この特定手段により特定されるボケ量が大きくなるほど手ぶれ補正処理の強度を弱くするように前記駆動手段による前記補正用可動部の駆動を制御する補正制御手段と、
を備えることを特徴とする手ぶれ補正装置。
【請求項2】
前記撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量は、前記撮像手段による被写体の撮像の際に当該被写体に含まれる主要被写体を基準として実際に測定されるボケ量、前記主要被写体を基準として予測されるボケ量、ユーザ操作に基づいて指定されたボケ量、鑑賞時に許容可能なボケ量のうち、少なくとも何れか一を含むことを特徴とする請求項1に記載の手ぶれ補正装置。
【請求項3】
前記撮像手段により撮像される撮像画像を意図的にぼかすソフトフォーカス処理モードを設定する設定手段を更に備え、
前記補正制御手段は、
前記設定手段により前記ソフトフォーカス処理モードが設定されている場合に、前記手ぶれ補正処理の強度を弱くするように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の手ぶれ補正装置。
【請求項4】
前記補正制御手段は、
前記検出手段により検出される手ぶれ量に対して前記駆動手段により駆動させる前記補正用可動部の移動量及び移動速度のうち、少なくとも一方を指定する指定手段を備え、
前記特定手段により特定されるボケ量が大きくなるほど、前記指定手段により指定される前記補正用可動部の移動量及び移動速度のうち、少なくとも一方を小さくするように制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の手ぶれ補正装置。
【請求項5】
前記補正制御手段は、
前記補正用可動部の新たな所定の単位期間内の移動量が前回の所定の単位期間内の移動量よりも小さくなるように、前記指定手段により指定される前記補正用可動部の移動量を制御することを特徴とする請求項4に記載の手ぶれ補正装置。
【請求項6】
前記補正制御手段は、
前記駆動手段による前記補正用可動部の最大移動量、所定時間内の平均移動量、最大移動速度及び所定時間内の平均移動速度のうち、少なくとも何れか一の制限値を変更することを特徴とする請求項4に記載の手ぶれ補正装置。
【請求項7】
前記補正制御手段は、
前記駆動手段により前記補正用可動部を駆動可能範囲の中央に移動させる位置決め動作を制御するとともに、前記特定手段により特定されるボケ量が大きくなるほど、前記駆動手段による前記位置決め動作の強度を強くするように制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の手ぶれ補正装置。
【請求項8】
撮像手段による被写体の撮像の際の手ぶれ量を逐次検出する検出手段と、この検出手段により逐次検出される手ぶれ量を補正するように補正用可動部を逐次駆動させる駆動手段と、を備える手ぶれ補正装置を用いた撮像処理方法であって、
前記撮像手段により撮像される撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量を特定する処理と、
特定されるボケ量が大きくなるほど手ぶれ補正処理の強度を弱くするように前記駆動手段による前記補正用可動部の駆動を制御する処理と、
を実行することを特徴とする撮像処理方法。
【請求項9】
手ぶれ補正装置のコンピュータを、
撮像手段による被写体の撮像の際の手ぶれ量を逐次検出する検出制御手段、
この検出制御手段により逐次検出される手ぶれ量を補正するように補正用可動部を逐次駆動させる駆動制御手段、
前記撮像手段により撮像される撮像画像に手ぶれ以外に起因して生じるボケ量を特定する特定手段、
この特定手段により特定されるボケ量が大きくなるほど手ぶれ補正処理の強度を弱くするように前記駆動制御手段による前記補正用可動部の駆動を制御する補正制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−155420(P2011−155420A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14920(P2010−14920)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】