説明

手を洗うように人々を動機付け、及び/又は促すためのシステム及び方法

手を洗うように人々を動機付ける、及び/又は促すためのシステム及び方法。システム及び方法は、手を洗うように人々を動機付け、及び/又は促すように機能する。このシステムは、大便器(3)又は小便器の使用を検出するためのセンサ手段(10;10’)を備え、このセンサ手段(10;10’)が、大便器(3)又は小便器の使用が検出された旨を示す第1の信号を生成する。システムは、洗浄剤ディスペンサ(5)の使用を思い出させ、及び/又は洗浄剤ディスペンサ(5)を使用するように促す少なくとも1つの第2の信号を、前記第1の信号に応答して発する伝達手段(13、14)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手を洗うように人々を動機付け、及び/又は促すためのシステムであって、トイレ又は便器の使用を検出するためのセンサ手段を備えており、このセンサ手段が、トイレ又は便器の使用が検出された旨を知らせる第1の信号を生成する形式のシステムに関する。
【0002】
特に、本発明は、人々をトイレ又は便器の使用後に手を洗うように動機付け、及び/又は促すためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
風邪、インフルエンザ、及び胃腸病(伝染性の下痢など)などの感染病は、一般に他者との直接的又は間接的な接触を通じて広がる。病原菌が、手と手の直接的な接触及び他者が触れた表面への接触など、さまざまな原因から手に蓄積する。多くの人々は、トイレの使用後に手洗いを実行しておらず、あるいは手を手短に洗うだけである。そのような人々は、病原菌の拡散ならびに/あるいはサルモネラ菌及び大腸菌感染症などの食品関連の疾患に寄与する大きな原因である。大部分の人々は、トイレに行った後など、定期的に手を洗うようにしているが、手洗いの技法が不適切であり、多くの人々にとって依然として習慣的行為ではない。特に、子供達は、他のことで頭が一杯であり、手洗いを忘れることが多い。さらには、成人及び子供で、病原菌の拡散を防止するための充分な水準の綿密な手洗いを実際に行うものは稀である。手をこすり合わせる時間が充分でなく、手の一部の領域がこすり洗いされない。要約すると、特にトイレを使用した後に手の衛生が不足、あるいは不適切であり、手の良好でない衛生状態ゆえに、致死的となりうる細菌及びウイルスの蔓延がますます頻繁になる。
【0004】
Gaby Judahらによる「Experimental Pretesting of Hand−Washing Interventions in a Natural Setting」(American Journal of Public Health、October 2009、Vol 99、No.S2 p.405−411)において報告された研究が、自然な環境における行動の観察が、公衆衛生の重要性の行動を変化させるための最も効果的な介入の特定に役立つことができると結論付けている。公衆衛生の介入は、男性及び女性を異なるやり方で対象にするべきであると理解されている。研究により、25%の男性及び16%の女性が、トイレの使用後に手を洗わないことが明らかになっている。さらには、手洗いに石けん又は他の洗浄剤を使用する者は、それらの男性及び女性のうちの30〜35%にすぎない。
【0005】
新型のA型H1N1亜型インフルエンザウイルスの近年の世界的な発生が、手洗いの喚起及び奨励のためのより良好なシステムへの多大かつ差し迫った関心を生じさせている。
【0006】
手洗いを奨励するための公知の単純な施策は、奨励の情報、忠告、及びヒントを有する張り紙又はポスターを掲示することである。しかしながら、多くの人々は、そのような情報を見過ごすので単に環境の一部となってしまう。他の深刻な問題は、実際に自身の手を洗う者が、良好な心がけにもかかわらず、費やす時間が周囲の汚染及び感染を防止する殺菌効果を保証するには不充分である点にある。
【0007】
英国特許出願公開第2425388号明細書が、手を洗うように人々を動機付けるためのシステムを開示している。トイレが、出入りによってユーザの存在を検出するための手段を有している。さらにトイレが、手洗いの使用を監視するためのセンサを備えている。石けんディスペンサが、洗面ボウルにおいて手洗いが行われたことを示すディスペンサの使用の事象を知らせるためのセンサ及び送信器を備えている。ユーザがディスペンサを使用することなく出て行く場合に、警報が作動する。この公知のシステムは、トイレに出入りする人数を数えて記録し、この数を、石けんディスペンサの作動の回数と比較している。乖離が存在する場合に、警報が発せられ、信号が環境へと送信される。ユーザが、ユーザの個人の行動を記録するために、自身の各々のタグを備える。
【0008】
この公知のシステムは、事象の回数の記録に関係しており、その事象がどの程度効果的に遂行されたかを気にしていない。トイレの使用という行為ではなく、人々のトイレへの入場が、石けんディスペンサに結び付けられており、ひとたび石けんディスペンサが使用されると信号が送信される。結果として、このシステムは手洗いを奨励していない。さらに、この公知のシステムは、適切に長い手洗いの時間に向けた動機付けの手段を有していない。
【0009】
米国特許第2006191068号明細書が、良好な衛生状態の実践を奨励するためのシステムを開示している。水が水供給配管から便器へと直接進入するタンクレストイレの使用後に、ユーザは、退出前に手を徹底的に洗浄するように録音済みのメッセージによって促される。録音済みのメッセージは、タンクレストイレの洗浄弁と便器との間の導管の表面温度の変化によって生じる。温度センサが、導管の表面温度を表わす出力信号をもたらす。センサが、連続的な所定の間隔で照会される。或る期間の初めにおけるセンサの出力信号を、次の期間の初めにおける同じ信号と比較するための手段が備えられ、温度に変化が生じた場合に、音声チップ及びスピーカによって生成され、トイレのユーザに手洗いを促す録音済みのメッセージを作動させる別の信号が生成される。この公知のシステムは、通常は空である導管を通って水が流れるときのタンクレストイレの洗浄弁と便器との間の導管の表面温度の変化に頼っている。洗浄時に最初に便器に進入するよどんだ洗浄水は、周囲によって暖められるため、特にトイレが或る程度の時間にわたって使用されていない場合に、導管内のよどんだ洗浄水と導管そのものとが同じ温度に達することもしばしばである。そのような状況下では、温度変化が記録される可能性がなく、このシステムが意図のとおりに働かない。さらに、このシステムは、温度センサを前もって設置する必要があり、あるいは事後にセンサを設置するために導管を取り外す必要がある。このように、この公知のシステムの設置及び使用には、かなりの設置コストが必要となる可能性がある他、システムが、或る種の温度及び使用の条件下では信頼できないものとなりうる。
【0010】
米国特許第6,028,520号明細書が、便座及び洗浄ハンドルを有するトイレのための報知器に関する。報知器が、保存された幾つかのメッセージから、1つ以上の特定の録音済みのメッセージを再生する。再生される特定のメッセージは、洗浄ハンドルの操作、便座の占拠、便座の位置、及びトイレへの人間の接近など、検出されたトイレの状態によって決定される。検出されるこれらの状態を、例えばトイレに関して生じている事象に特に適したメッセージを再生するように論理的に組み合わせられる運動検出器及び圧力スイッチを使用して測定することができる。報知器は、トイレのタンクの蓋の下方でタンクの側面にぶら下げられたプラスチック製ハウジングに収容され、トイレの便座に組み込まれ、あるいはトイレの洗浄ハンドルから吊り下げられる。ハウジング上の外部からアクセスできる部品として、スピーカ、音量制御部、オン/オフスイッチ、及び赤外線運動検出器が挙げられる。1対の電気配線を有する電気ケーブルが、フラッシュハンドルが押し下げられた旨の知らせをもたらす洗浄センサへとつながっている。第2組の配線が、便座への人の着席を検出する便座の圧力センサにつながっている一方で、第3組の配線が、便器において便座が上げられているか、あるいは下げられているかを検出する傾きセンサにつながっている。この公知の装置は、例えば電池の交換のために容易にアクセスできるよう、トイレの付近かつトイレの外側に挿入される。しかしながら、トイレのユーザ又は掃除係などの者によって配線が誤って装置から引きちぎられ、それぞれのセンサが誤って切り離されてしまうという多大なリスクが存在する。このように、この公知の報知器は、既存の設備に取り付けることが可能であるが、複雑な配線構造という欠点を抱えている。さらには、トイレ又はトイレの部品へと直接取り付けられるがゆえに、報知器が、トイレのユーザからの汚染物質及び感染性物質の付着のための表面を構成し、それ自身が非衛生的である。
【0011】
さらに、米国特許第5,870,015号明細書が、トイレ及び関連の個人衛生を使用する者に対して指示を行うための装置を開示している。この装置は、例えば吸着カップを使用してトイレの貯水タンクのタンクカバー又はトイレの他の部分へと取り付けることができるハウジングを備えている。ハウジングから延びるスイッチアームが、トイレ洗浄機構に機械的につながるように構成されている。オーディオスピーカが、ハウジング内に部分的に囲まれ、聞き取り可能なメッセージを生成する。ハウジング内に囲まれた電子回路が、スイッチアームの位置を表わすスイッチ作動信号を受信し、これに応答して聞き取り可能なメッセージの生成を作動させる。検出ユニットが、トイレの使用行為を監視し、そのような行為の検出時に検出信号を生成するように構成されている。制御ユニットが、検出信号を受信し、それに応答して制御信号を生成する。メッセージ記憶ユニットが、制御信号を受信し、応答においてメッセージ信号を生成する。メッセージ出力ユニットが、メッセージ信号を受信し、対応する聞き取り可能なメッセージを生成する。メッセージ記憶ユニットが、メッセージ記憶ユニットに保存された録音済みの複数のメッセージのうちの該当の1つにそれぞれ対応する複数のメッセージ信号を生成する。次いで、これらのメッセージのうちの選択されたメッセージが、トイレの使用行為の検出に応答して人へともたらされる。別のオーディオスピーカを、第1のメッセージに対して時間的に遅らせた手洗いに関する指示をもたらすためにシンクに組み合わせることができ、あるいは別のオーディオスピーカそのものを、例えばトイレから遠ざかり、あるいはシンクへと近付く人間の運動を検出する別のセンサによって生成される信号に応答して作動させることができる。しかしながら、トイレの近傍又はシンクの付近における運動を記録する運動センサは、トイレの実際の使用に関係しない多数の誤った信号を生じさせる可能性があり、例えばトイレの使用者に付き添っただけの者や、鏡を使用したいだけの者などといった不運な人々を当惑させる。タンクカバーへの取り付けも、衛生的でない。さらに、この単純な機械的な原理は、トイレを洗い流すことができない場合に機能しない。
【0012】
米国特許第6,417,773号明細書が、トイレ施設のユーザによって良好な個人衛生を奨励するためのシステムを開示している。このシステムは、トイレの洗浄によって生じる音を傍受するように配置されたマイクロホンと、増幅器と、コントローラと、音声チップ又は他のオーディオ記憶手段と、スピーカとを備えている。マイクロホンによって検出されたオーディオ信号が、電気信号へと変換され、増幅器へと送られる。送信されたアナログオーディオ信号が、伝送経路において次第に減衰し、アナログ信号を再建するために増幅器が必要であることが、一般的に知られている。しかしながら、増幅器は、実際の信号をひずませる非線形性を加えることがよくあるため、トイレの洗浄の特徴的な時間−周波数の痕跡を外部の雑音から分離する試みにおいて、増幅された電気信号をフィルタ処理し、パルス整形器によって修正する必要もある。アナログ技術のみに依存するがゆえに、この公知のシステムは、とりわけ増幅の誤差ならびに信号と雑音との間の区別の能力の低さゆえに、信頼することができない。さらには、いたずら及び破壊行為を阻止するために、マイクロホン及び他の構成部品が、トイレ施設の天井又はトイレの使用者にとって容易には到達できない他の位置に取り付けられるコンパクトなケースに収容されたユニットに組み合わせられ、メッセージが、このトイレ使用者によるアクセスが不可能な位置から発せられる。この公知のシステムは、トイレの使用者がメッセージに応答して手を洗わない場合に、トイレ使用者にとっていかなる賞も、結果も、ペナルティも存在しないという大きな欠点を抱えている。すべての従来技術のシステムと同様に、この公知のシステムも、トイレ使用者が使用後にトイレ施設を単に立ち去るのではなく、実際に手を洗うように保証するための手段及び/又は案内を欠いている。米国特許第6,417,773号明細書は、システムの構成要素をトイレ使用者の手の届く範囲に取り付けることを推奨していない。
【0013】
多数の他の手段も、手洗いを管理し、人々のより頻繁かつ効果的な手洗いを促進するために、長年にわたって実現されてきたが、すべての公知のシステムは、上述の欠点のうちの少なくとも1つ以上を抱えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の主たる態様は、手を洗うように人々を動機付けし、及び/又は促すためのシステム及び方法を提供することである。
【0015】
本発明の第2の態様は、手を洗うように人々を動機付けし、及び/又は促すためのシステム及び方法であって、事前の指示なく成人及び子供の両方によって使用することができるシステム及び方法を提供することである。
【0016】
本発明の第3の態様は、手を洗うように人々を動機付けし、及び/又は促すためのシステム及び方法であって、既存のトイレ及びトイレ施設に後付けすることができるシステム及び方法を提供することである。
【0017】
本発明の第4の態様は、手を洗うように人々を動機付けし、及び/又は促すためのシステム及び方法であって、トイレの実際の使用を手洗いの動機付け及び/又は促進の機構又は方法に結び付けてなるシステム及び方法を提供することである。
【0018】
本発明の第5の態様は、手を洗うように人々を動機付けし、及び/又は促すためのシステム及び方法であって、トイレ又は便器の変更を必要とせず、あるいは構成部品をトイレ又は便器あるいは洗浄水供給用の導管を含むトイレ又は便器の部品に直接取り付ける必要があるシステム及び方法を提供することである。
【0019】
本発明の第6の態様は、手を洗うように人々を動機付けし、及び/又は促すためのシステム及び方法であって、手洗いの動機付け及び/又は促進の機構又は方法を作動又は開始させるために、トイレ使用者の特定を必要としないシステム及び方法を提供することである。
【0020】
本発明の第7の態様は、手を洗うように人々を動機付けし、及び/又は促すためのシステム及び方法であって、人々がトイレ又は便器の使用後に単にトイレ設備を立ち去るのではなくて実際に手を洗うことを保証するうえで助けとなる手段を有しているシステム及び方法を提供することである。
【0021】
本発明の第8の態様は、トイレ又は便器の使用後に手洗いを行う者に、良好かつ前向きな体験を報い、及び/又は良好かつ前向きな体験を与えるシステム及び方法を提供することである。
【0022】
本発明の第9の態様は、手の衛生を向上させるためのシステム及び方法を提供することである。
【0023】
本発明の第10の態様は、手を洗うように人々を動機付けし、及び/又は促すためのシステム及び方法であって、公知のシステム及び方法よりも高い動作の信頼性及び確実性を有するシステム及び方法を提供することである。
【0024】
本発明の第11の態様は、洗浄剤ディスペンサへと向かう方向の案内を提供することによって視覚又は聴覚が不自由な手を洗うように人々を動機付けし、及び/又は促すためのシステム及び方法を提供することである。
【0025】
本発明の第12の態様は、手を洗うように人々を動機付けし、及び/又は促すためのシステム及び方法であって、言語に依存しないシステム及び方法を提供することである。
【0026】
本発明の第13の態様は、手を洗うように人々を動機付けし、及び/又は促すためのシステム及び方法であって、トイレ又は便器の使用に関係しない誤った事象により作動されないシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明によれば、これらの態様及び他の態様を達成する新規性及び独自性は、システムが第1の信号に応答して洗浄剤ディスペンサの使用を思い出させ、及び/又は洗浄剤ディスペンサの使用を促す少なくとも1つの第2の信号を発する伝達手段を備えることである。
【0028】
本発明の文脈において、用語「手を洗う」又は「手洗い」は、水及び石けんによる手洗いだけでなく、アルコール又はアルコゲルによる消毒、ならびに上述の組み合わせなど、手の洗浄に関するあらゆる行為について使用される。
【0029】
洗面所又は便所への進入は、大便器又は小便器の使用と同義ではない。人は、化粧又は着替えなどといった別の目的で洗面所に進入する可能性がある。したがって、進入センサ手段は、大便器又は小便器の使用を、大便器又は小便器の使用後の石けんディスペンサなどの洗浄剤ディスペンサの使用に結び付けるには、適していない。例えば大便器の洗浄又は小便器への排尿行為などの大便器又は小便器の実際の使用を検出するためのセンサ手段を使用し、この検出を使用して、伝達手段を作動させ洗浄剤ディスペンサの使用を思い出させ、及び/又は促す信号の形態の第2の信号を生じさせることで、大便器又は小便器の使用が、本発明によるシステムによって、人が使用を奨励されている洗浄剤ディスペンサへと直接結び付けられるようになる。
【0030】
本システムは、好都合には、センサ手段によって得られた第1の信号を伝達手段へと送信する第1の送信手段を備えることができる。あるいは、伝達手段を、自身で伝達の指示を取得又は受信するように構成することができる。
【0031】
本システムは、さらに好都合には、洗浄剤ディスペンサの作動に応答して洗浄剤ディスペンサが使用された(例えば、1回分の洗浄剤が送出された)旨の第2の信号を伝達手段へと送信する第2の送信手段を備えることができる。
【0032】
第2の信号は、短くてもよく、長くてもよく、及び/又は人々に期待どおりのこと(すなわち、手の清掃又は洗浄)を行ったことについての激励の報償を与える任意の種類の信号であってもよい。
【0033】
好ましい実施形態において、本システムは、洗浄剤ディスペンサが洗浄剤を送出すべく作動したときに第2の信号をオフにするスイッチ手段を備えることができる。第2の信号、すなわち洗浄剤ディスペンサの使用を思い出させる信号が、大便器又は小便器を使用した者を洗浄剤ディスペンサに向かって移動するように奨励又は促進し、すなわち洗面所を離れる前に、視覚的信号の場合にはメッセージの内容を確認し、音響信号の場合には警報(気まずいあるいは不快な注意喚起信号)を停止させるように奨励又は促進する。
【0034】
洗浄剤ディスペンサは、例えば、洗浄剤ディスペンサの排出ノズルの下方の所定の距離に人の手が存在することに応答して作動させられる必要があるスイッチ手段として機能する光学センサ手段(例えば、光電検出器)を有する形式の洗浄剤ディスペンサであってもよい。前記距離はきわめて短く、人が前記洗浄剤ディスペンサを作動させることができるために、洗浄剤ディスペンサの直近に存在することを必要とする。人がシステムをだまして手に洗浄剤を受けることなく第2の信号をオフにすることが不可能である。したがって、洗浄剤が石けんである場合、人は、洗面所を離れる前に洗浄剤を除去するために自身の手を洗わなければならない。
【0035】
したがって、注意喚起信号は、トイレの使用者が躊躇なく停止させたいと考える音響信号であってもよい。音響信号は、例えば振動、1つ以上の音響レベルで発せられる1つ以上のメロディ、又は1つ以上の言語で音声メッセージ、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。音響信号は、不快な音である必要はないが、所望であれば不快な音であってもよい。さらに、注意喚起信号は、例えば注意喚起の通知あるいは手洗い又は消毒の指示映像など、表示装置上のメッセージでもよく、小さな子供でも承知及び理解する画像信号(例えば、一連の画像)であってもよく、あるいは単に瞬時、瞬間、又は次第の色の変化であってもよい。目又は耳の不自由な人にも注意喚起を行うことができるよう、さまざまな種類の注意喚起信号の組み合わせが、本発明の技術的範囲において考えられる。
【0036】
聴覚による注意喚起信号が、大便器又は小便器のユーザを、騒音を停止させるために音の発生源へと引き付けるが、視覚による注意喚起信号も、大便器又は小便器の使用者を、信号を停止させ、信号の視覚的外観を変更し、あるいは単に信号をオフにするように促すことができる点で、まったく同じ効果を有することができる。
【0037】
したがって、注意喚起信号が聴覚によるか、視覚によるか、あるいは両方によるかにかかわらず、大便器又は小便器の使用者は大抵、気恥ずかしい手洗いの不履行を他の人々に発見されないよう、注意喚起信号を停止させるように義務づけられたと感じる。さらに、注意喚起信号は、大便器又は小便器の使用者を注意喚起信号の発生源へと案内する働きを有することができ、これによるさらなる固有の好都合な効果により、この発生源に関連して提供される情報が大便器又は小便器の使用者によって取り上げられる機会が、きわめて改善される。
【0038】
好ましい第2の信号は、視覚及び聴覚の両方による信号を含み、それらを好ましくは同期させることができ、これは、この文脈において、第2の信号が変化する音響信号を含む場合に、これが関連の視覚信号に反映されることを意味する。例えば、音響信号の音量レベルが次第に増加する場合、発光ダイオードの閃光の強度などの関連の視覚的信号が音響信号に対応して次第に強められ、促しがさらに改善されるだけでなく、音響信号が発せられていることがきわめて明確にされ、したがってあらゆる者に、知的水準ならびに視覚及び/又は聴覚による信号及び情報全般を知覚及び取得する能力にかかわらず、方向及び指示の両方に関して可能な最良の案内が提供される。
【0039】
本発明の一実施形態においては、センサ手段が、大便器又は小便器の使用に関連した音響スペクトルの少なくとも一部を検出及び認識する音センサ手段であってもよく、この音センサ手段が、前記音響スペクトルが検出された旨を示す第1の信号を生成する。大便器の使用に関連付けるために充分な音響スペクトルの少なくとも一部が、検出される必要がある。大便器又は小便器の実際の使用の事象の明確な検出により、伝達手段が第2の信号を発し、すなわち洗浄剤ディスペンサの使用を喚起する信号を発する。
【0040】
本発明による好都合な実施形態においては、既存のトイレ施設及び衛生設備における実施が特に容易であり、音センサ手段を、音判別能力を有するように選択することができる。
【0041】
そのような音判別能力を有する音センサ手段を、音センサ手段で大便器の洗浄の音を検出及び認識できる限りにおいて、洗面所の中の任意の適切な位置に取り付けることが可能である。
【0042】
音声信号からの音声情報の取り出しを使用する音検出システム及び方法が、国際特許出願公開第2008/034446号パンフレットから知られている。音波は、横方向又は縦方向のいずれかであってもよく、固体材料が、音波の形態で縦波だけを伝達する液体及び気体と対照的に、両方の種類を伝達する。第2008/034446号パンフレットに記載の技術が、衝突する固体の物体における使用に合わせて設計され、そのような使用を目的としているにもかかわらず、本発明の発明者は、驚くべきことに、第2008/034446号パンフレットに記載の技術の基本原理を本発明においても使用できることを発見した。
【0043】
音声情報の取り出しとは、音声信号から情報を取り出すことを指す。この情報は、オーディオ信号の根底にある中身であってもよく、あるいはオーディオ信号に固有の情報であってもよい。スピーチ、音楽、環境音、及び無音など、音声情報の取り出しにおいて使用することができる幅広い範囲のカテゴリ又は分類が存在する。本出願の発明者は、入力信号を大便器又は小便器の使用として分類できる場合に、得られた結果を種々の洗浄と水に関係及び関連する音との間の判断及び区別に使用できることを発見した。本発明においては、第2008/034446号パンフレットによるシステム及び方法を、とりわけ、少なくとも上述の大便器の洗浄音又は他の音響スペクトルからの周囲の雑音の分離に合わせることができる。これに代え、あるいはこれに加えて、取り出すべき音声信号は、助けを求める叫び声であってもよく、この場合、システムを、例えば種々の言語での単語「助けて」を認識し、この単語の明確な特定に応答して洗面所の外部に警報を発するように構成することができる。システムを、システムが使用される環境の言語に応じて構成することができる。システムの他の種類のカスタマイズも、本発明の技術的範囲である。
【0044】
第2008/034446号パンフレットの開示は、例えば尿又は便が便器の水面に衝突するときなど、液体、液体と液体との間の相互作用、又は液体と固形物との間の相互作用に由来する音響スペクトルや、種々の設計の大便器及び小便器の洗浄に由来する異なる音響スペクトル、及び例えば洗浄、排出、吸引、及び両者の組み合わせなどの種々の洗浄技法に起因する異なる音響スペクトルを含む複雑な状況には、そのような音響スペクトルがきわめて複雑であるため対応していない。センサ手段が検出しなければならない第1の信号のための音声の取り出し期間は、複雑な音響スペクトルについて、それらをそれぞれの大便器又はそれぞれの小便器において生じる液体関連の事象に一意に結び付けられるものとして特定するために必要な特徴を得るために、第2008/034446号パンフレットから知られるよりも長くなければならない。第2008/034446号パンフレットに記載の学習セッション及び計算を、多数の異なる大便器、小便器、ならびに種々の条件下でのそれらの使用に関する活動を表わす音響スペクトルデータを得るために、本発明の目的に合わせて拡張及び/又は実装することができる。
【0045】
好ましい実施形態においては、音センサ手段を、少なくとも水の洗浄(好ましくは、便器の水洗)あるいは大便器又は小便器の水に関係する音響スペクトルを決定する音判別能力を有するように選択することができる。
【0046】
別の実施形態においては、音センサ手段を、少なくとも水への液体又は固体の衝突あるいは大便器又は小便器の洗浄に関する音響スペクトルを決定する音判別能力を有するように選択することができる。例えば、液体は尿であってもよく、固体は便であってもよい。このようにして、大便器又は小便器の使用に関する音響スペクトルが、大便器又は小便器の使用に関して行われる種々の動作に関係でき、そのような使用のすべてが、通常は水及び/又は尿である液体との接触及び/又は液体の洗い流しに関係する。
【0047】
センサ手段は、効果的な働きを高め、保証するために、2つ以上のセンサを含むことができる。これは、例えばセンサのうちの1つが万が一に故障した場合が該当する。その点で、本発明による別のシステムにおいては、センサ手段が水位センサを備えることができる。水洗トイレにおける使用の場合に、水位センサを、便器内の水位を検出するために便器に取り付けることができる。センサ手段に複数のセンサを使用することで、機能不全が少なくなり、センサ手段のそれぞれのセンサによって得られる第1の信号が伝達手段へと伝えられることが保証される。また水位センサが、幾つかの状況のもとでは、唯一のセンサ手段であってもよい。
【0048】
本発明によるシステムは、洗浄剤ディスペンサが洗浄剤を送出すべく作動したときに手洗い時間期間信号を発するための手段を備えることができる。手洗い時間期間信号は、注意喚起信号とは別の音、人々が最後まで聞きたくなるより長いメロディ、短い物語、ジョーク、又はニュース、あるいは人によって重要又は興味深い任意の他の情報を有することができる。1回分の洗浄剤を排出する洗浄剤ディスペンサの作動に応答して、伝達手段が、手から感染性物質を洗い去るために充分であることが証明されている時間期間に相当するように選択された期間にて手洗い時間注意喚起信号を発することができる。手洗い時間期間信号を発するための手段は、手洗い時間期間信号を発する第2のモードへと切り換わる前記伝達手段であってもよい。
【0049】
注意喚起信号及び/又は手洗い時間期間信号の両方又はいずれかを、例えば短い漫画又は動画、コマーシャル、情報、色の変化、などといった表示装置上の視覚的な信号として伝達することができる。前記信号の継続時間を、個々の用途に選択して合わせることができる。幾つかの実施形態においては、手洗い時間期間信号が存在しなくても、あるいは短い手洗い時間期間信号だけが存在してもよい。
【0050】
したがって、大部分の使用者に向けられた好都合な実施形態においては、注意喚起信号及び/又は手洗い時間期間信号のいずれかが、聴覚、視覚、又はこれらの感覚の組み合わせによって検出できる信号であってもよい。組み合わせの場合には、目の不自由な者及び耳の不自由な者の両方を、上述のとおりの同じシステムによって動機付けることができ、及び/又は促すことができる。音響信号は、耳の不自由な者が洗浄剤ディスペンサへの進路を見つけ、それによって洗面台までの進路を見つけることを助けることができる。聴覚及び視覚情報を組み合わせることができる。例えば、視覚部分が、明るい色から暗い色へと変化し、赤色から青色へと変化するなど、色変化するカラー表示であってもよく、聴覚による信号は、どんどん聞きやすくなるように徐々に増大するメロディであってもよく、あるいは人間がより長く手を洗い続けるにつれて減衰してもよい。
【0051】
本システムは、好都合には、視覚情報を表示するための表示装置及び/又は可聴情報を提供するためのスピーカを備えることができる。
【0052】
洗浄剤ディスペンサを、あらかじめプログラムされたユニットとして製作することができ、あるいは洗浄剤ディスペンサが、個別にプログラム可能であってもよい。洗浄剤ディスペンサは、例えば石けん及び/又は他の洗浄剤のレベルインジケータなど、従来からの機能及び/又は一般的な機能を備えることができる。洗浄剤ディスペンサに備えることができる他の機能は、誰かが例えば20分という所定の期間よりも長く洗面所内にとどまる場合の音による警報あるいは他の種類の合図又は信号である。この特徴は、誰かが具合を悪くした場合や、事故に遭遇した場合に、重要となりうる。本発明によるシステムに随意により取り入れられる他の特徴は、火災や人が洗面所で喫煙する場合に重要となる煙検出器である。さらに、洗浄剤ディスペンサは、補充の必要を知らせる手段、作動回数を数える手段、所与の期間において発せられた第1の信号の数を数える手段、所与の期間において発せられた第2の信号の数を数える手段、及び比較を行っていずれかの検出に関連付ける手段を備えることができる。単純な実施形態においては、第1の送信手段が、第2の送信手段も構成する。
【0053】
本発明によるシステムの好ましい用途は、1つの大便器又は小便器を備える単一の洗面所である。本発明によるシステムが、例えば病院、入居型施設、水泳プール、フィットネスセンター、学校、レストラン、公共施設、公衆トイレ、及び他の多数の公共の場所など、複数の大便器及び/又は小便器を有し、したがって多数の訪問者を有する洗面所において実現される場合、感染性の物質が或る者から或る表面へと移り、さらにその表面から多数の他の者又は他の表面へと間接的に移る出来事及びリスクを、大きく減らすことができる。
【0054】
洗浄剤ディスペンサを、自身の専用の別途の電源又は一般の電力供給網を介して電気によって動作させることができる。また、洗浄剤を、単に重力及び送出機能の手動操作によって送出すことができ、その場合、システム内に蓄えられた重力の位置エネルギを、例えば洗浄剤ディスペンサの多数の機能の少なくとも一部を動作させるための電池を充電するために利用することができる。
【0055】
本システムを、直流又は交流のいずれかで動作させることができる。したがって、3Vの電池電圧ならびに110V及び220V〜230Vの両方の線電圧を含む任意の電池電圧又は線電圧を本システムを動作させるために使用することができ、これらはすべて本発明の技術的範囲に包含される。
【0056】
センサ手段は、さまざまな種類のセンサを含むことができる。例えば、センサ手段が、音判別能力を有する音センサ、トイレ洗浄用の貯水タンク又は便器の水位の変化を記録するための水位センサ、水圧の変化を検出するための流量センサ又は圧力センサ、ならびにこれらの組み合わせから選択される1つ以上のセンサを備えることができる。特に、水位センサ、流量センサ、又は圧力センサを、水配管、トイレ洗浄用の貯水タンク、又は便器を流れる水がセンサに直接接触し、あるいはセンサの傍らを通過するときに、流れる水の運動から導き出される位置及び運動エネルギによって単一又は部分的に動作させることができ、あるいはセンサ手段を、例えば洗浄のために押し下げられる洗浄ボタン又は洗浄のために作動させられる光センサなどの洗浄アクチュエータに組み込み、あるいはそのような洗浄アクチュエータの一部とし、洗浄アクティベータの形態のセンサ手段が、洗浄アクティベータの作動に応答して第1の信号の送信を生じさせてもよい。
【0057】
本システムにおいて、伝達手段を、洗浄剤ディスペンサに組み合わせることができ、好ましくは洗浄剤ディスペンサの内部及び/又は表面に設けることができる。
【0058】
好ましくは、視覚的による注意喚起の第2の信号又は他の信号を表示する表示装置を、洗浄剤ディスペンサの表面に設けることができる。また、手を洗うように注意喚起する聴覚による第2の信号を発するスピーカ又はマイクロホンを、洗浄剤ディスペンサの内部又は表面に設けることができる。
【0059】
例えば、洗浄剤ディスペンサがまったく作動させられず、人がシステムの動機付け及び/又は促しの作用を無視して洗面所から出て行った状況において、伝達手段が第2の信号(すなわち、注意喚起信号)の放射を停止させるよう、伝達手段は、所定の期間の後に注意喚起信号を終了させるためのタイマを備えることができる。
【0060】
注意喚起の第2の信号が伝達手段によって発せられ、大便器又は小便器を使用した者が洗浄剤ディスペンサに近付いて洗浄剤ディスペンサを作動させなければならなくなる前に、使用者に対し、例えば心を静めたり、衣服を直したりするための適切な期間を与えるために、センサ手段による第1の信号の検出に応答して選定の遅延にて第2の信号を発するようにタイマを構成することもできる。
【0061】
本システムは、本システムを制御し、及び/又は本システムのパラメータを設定するための制御ユニットを備えることができ、この制御ユニットは、プログラム可能であってもよく、この制御ユニットを、洗浄剤ディスペンサに組み込むことができ、あるいは洗浄剤ディスペンサから遠くに配置することができる。
【0062】
制御ユニットを、本発明によるただ1つの単一のシステムの特注の制御のために、適切なソフトウェアで実現することができる。代案においては、制御ユニットが、洗浄剤ディスペンサから離れて位置し、随意により複数の洗浄剤ディスペンサを制御するように構成される別途のユニットであってもよい。ソフトウェアは、各々のシステム及び洗浄剤ディスペンサを個別に設定できる便宜を備えることができる。例えば、注意喚起信号及び/又は手洗い時間期間が、或る洗浄剤ディスペンサにおいて別の洗浄剤ディスペンサよりも長くてもよく、注意喚起信号及び/又は手洗い時間期間信号を、洗浄剤ディスペンサを作動させるための感受性を高めるように、便所のユーザ群についての知見にしたがって選択することができる。
【0063】
センサ手段、スイッチ手段、第1の送信手段、及び/又は第2の送信手段のいずれも、やはり洗浄剤ディスペンサの内部又は表面に設けることが可能である。これらの手段が洗浄剤ディスペンサの内部又は表面に設けられる場合、その洗浄剤ディスペンサは、設置及び交換が容易な単一のコンパクトなマルチユニットとして出現する。
【0064】
洗浄剤ディスペンサは、本発明によるシステムの構成要素を収容するためのキャビネットを備えることができる。キャビネットは、洗浄剤の容器及び送出の機構を含むシステムに必要とされる所望の数の構成要素を収容するように寸法付けられる限りにおいて、任意のサイズ及び形状であってもよい。
【0065】
音センサを備える好都合な実施形態において、音センサ手段は、大便器又は小便器の使用を表わす音に関係する音響スペクトルを受信するための少なくとも1つのマイクロホンを備えることができる。システムのより高い信頼性を保証すべく、無関係な発生源から由来して該当の音響スペクトルに干渉する雑音を分離できるために、音センサ手段が、異なる方向及び発生源からの音響スペクトルを受信するように配置された少なくとも2つのマイクロホンを備えることが好ましいかもしれない。
【0066】
一実施形態においては、本システムが、大便器又は小便器の使用に関連した音響スペクトルを表わす音響スペクトルのデータベース又は目録を備えることができる。好ましくは、データベースの音響スペクトルが、従来からの市販の大便器又は小便器に関する標準的な音の選集を含んでおり、したがって本システムを、そのような市販の既知の大便器又は小便器を備える既存のトイレ施設に設置することができる。しかしながら、データベースは、特注のトイレ施設からの音響スペクトルも含むことができ、さらには大便器及び/又は小便器の実際の使用を示す第1の信号だけが、大便器又は小便器の使用に続く正しい時点で第2の信号を生じさせ、例えばドアの開閉又は紙タオルの引き出しの場合には第2の信号が生じないよう、誤りなく第2の信号を生じさせるために第1の信号から分離させる必要がある他の音響スペクトルも含むことができる。
【0067】
大便器又は小便器が一般的な大便器又は小便器でなく、あるいはトイレ施設及び/又は洗面所において実行されセンサ手段によって検出されるべき行為が、通常はトイレ施設及び/又は洗面所の使用に関係しない特定の種類の行為であり、したがってデータベースの音響スペクトルによって表わされていない場合、本システムは、特定の大便器及び/又は特定の小便器の1つ以上の特定の使用に関連し、あるいはトイレ施設及び/又は洗面所において行われる他の行為(特に、液体に関する音を生じさせる他の行為)に関連した音響スペクトルを記録するための記録手段を備えることができる。このようにして、記録手段が、特定の大便器及び/又は小便器の1つ以上の特定の使用を表わす音響スペクトルを記録することができる。
【0068】
大便器又は小便器の使用あるいは洗面所又はトイレ施設の使用に関する他の特徴又は行為を知らせる音響スペクトルは、例えば2つの固体材料の間の接触に起因する音響スペクトルなどの単純な事例よりもはるかに複雑であるため、音響スペクトルは、好ましくは使用の真の特定を確立するために充分な期間にわたって記録され、そのような期間は、少なくとも0.5秒、好ましくは少なくとも0.7秒、より好ましくは少なくとも1.0秒である。この継続期間は、大便器又は小便器の使用の真の特定を保証し、あるいは洗浄剤ディスペンサの使用(したがって、第2の信号の発生)へと結び付けることが興味深いと考えられる上述の他の行為の真の特定を保証する。選択される記録期間は、特定の使用を真に表わす音響スペクトルをもたらすために充分に長くなければならず、国際公開第2008/034446号パンフレットに提案されているとおりの学習セッションが、衛生設備の特注による未知の構成及び設計の音響的特徴を得るために有益となりうる。
【0069】
音センサ手段又は制御ユニットを、誤りの第2の信号を防止するために、センサ手段によって異なる方向にて検出された音響スペクトルの間の比較及び区別を行うように構成することができる。したがって、センサ手段又は制御ユニットを、異なる方向から到来し、大便器又は小便器の使用を表わす音響スペクトルを表わす2つの音響スペクトルから1つを選択するように構成することができる。
【0070】
本発明によるシステムは、記録された音響スペクトル及び/又は本システムを動作させるための他のデータを保存するための記憶手段を備えることができる。記憶手段の例として、これらに限られるわけではないが記録媒体、RAM、光ディスクなどの交換可能なディスクを含むコンピュータ・ディスク・ストレージ手段、及びハード・ディスク・ドライブなど、コンピュータ・データ・ストレージ手段が挙げられる。
【0071】
記憶手段は、本システムの動作及び駆動のためのコンピュータ手段の一部であってもよい。コンピュータユニットは、マイクロチップ、マイクロプロセッサ、あるいは検出された第1の信号及び発せられる第2の信号を表わすデータを少なくとも保存、処理、伝達、及び計算するように構成されたソフトウェアによる他の従来からの市販の技術であってもよい。好ましくは、コンピュータ手段は、上述した他の手段とちょうど同じように、洗浄剤ディスペンサに収容又は一体化される。
【0072】
洗浄剤は、大抵の洗面所において、石けん(好ましくは、液体石けん)であってもよいが、洗浄剤は、アルコール、ゲルを含むアルコール、又は上述の組み合わせであってもよい。組み合わせの場合、洗浄剤を含むアルコールの使用は、大便器又は小便器の使用者への追加的な提供であってもよく、その場合には、別途の洗浄剤含有アルコールのディスペンサを、手洗いの注意喚起する第2の信号の停止又は変更のために作動させる必要がある洗浄剤ディスペンサの隣りに配置することができる。しかしながら、洗浄剤含有アルコールのディスペンサが、第2の信号の発生に割り当てられたディスペンサであってもよい。
【0073】
石けんは、例えば普通の液体石けん又は殺菌用の液体石けんを含むことができる。しかしながら、指の間などの種々の場所が手洗いの際にさらなる注意を必要とすることは、多くの場合に実感されず、あるいは意図的に無視される。この点に関し、洗浄剤ディスペンサは、蛍光石けんを含むことができ、システムが、手洗いを行った者が手洗い後の手の清浄度を確認するために、蛍光の放射を検出するための手段を備える。手が依然として蛍光を発する場合、その者は、もう一度手を洗うように促される。
【0074】
本発明によるシステムは、大便器又は小便器の使用を検出するために、大便器又は小便器の付近における人間の運動を検出するための運動センサに依存していない。大便器又は小便器の個々の使用者の身元及び/又は行動は、本発明によるシステムの一実施形態においては、開示も、報告も、記録もされない。大便器又は小便器のユーザの身元は、本発明のシステムにとって常に匿名のままであり、このことが、研究者に人々の手洗いの行動について統計をとり、ならびに大便器又は小便器の使用者をより頻繁に手を洗うように動機付ける最良のやり方についてのデータを得る独自の機会を提供する。例えば、種々の種類の第1及び/又は第2の信号を比較し、及び/又は第1の信号の累積の数を第2の信号の数と比較することによって、大便器又は小便器の使用に応答しての手洗いについて、人間の傾向を結論付けることが可能になる。
【0075】
しかしながら、別の好都合な実施形態においては、ユーザがタグ及び/又はバーコードを保持し、システムが、ユーザの行動の記録を残すための対応する読み取り機を備えることができ、同じ者が多数の機会において手洗いを意図的に省く場合に介入を行うことができる。そのような者が仲介となり、感染の危険の原因となりうる。特に感染の原因となりうる者又は患者が多数存在する病院又は同様の場所において、RFIDタグなどのタグと、対応するRFID読み取り機とを備える実施形態が、きわめて好ましい。
【0076】
本発明によるシステムは、好都合には、センサ手段によって取得されたアナログ信号を、特定の大便器又は小便器の痕跡(すなわち、それぞれの音響スペクトル)を特定すべく分析されるデジタル信号へと変換するためのAD変換器を備えることができる。例えば、デジタル信号においては、アナログ信号と比べて、信号対雑音比が改善されるがゆえに、雑音をより容易に検出することができる。センサ手段によって得られる第1の信号をデジタル化することによって、大便器又は小便器の使用の真の特定の可能性がきわめて高められ、偽の特定の恐れが実質的に排除される。第1の信号をデジタル化することによって、より複雑な音響スペクトルを特定することも可能である。
【0077】
このように、第1の信号のデジタル化は、大便器又は小便器の使用を単純なやり方で特定し、種々の大便器及び小便器の使用をシステムへと一意に結び付ける改良された手段を構成する。
【0078】
さらに本発明は、便所の使用後に手を洗うように人々を動機付け、及び/又は促すための方法に関する。
【0079】
この方法は、
−洗浄剤ディスペンサを用意するステップと、
−大便器又は小便器の使用を検出するためのセンサ手段を用意するステップと、
−センサ手段が、大便器又は小便器の使用が検出された旨を示す第1の信号を生成するステップと、
−伝達手段が、洗浄剤ディスペンサの使用を忘れないように注意喚起する第2の信号を、第1の信号に応答して発するステップと
を含む。
【0080】
本発明による方法の好ましい実施形態においては、センサ手段は、大便器又は小便器の使用に関連した音響スペクトルの少なくとも一部を認識するように構成された音センサ手段であってもよい。好ましくは、そのような音センサ手段を、音判別能力を有するように選択することができ、そのような音センサ手段が、液体又は固体のいずれかが衝突する便器の洗浄水に関する音響スペクトルを決定する。好ましくは、検出された第1の信号が、他の信号の選集からの特定が容易となるようにデジタル化される。
【0081】
本発明による特定の有効かつ信頼できる方法においては、本方法が、
−大便器又は小便器の使用が確実に検出されたことに応答して、聴覚及び/又は視覚による注意喚起信号を発するステップと、
−洗浄剤ディスペンサの作動によって第2の信号を停止させるステップと
を含むことができる。
【0082】
第2の信号の停止は、大便器又は小便器の使用者によって行われる行為であることが意図されるが、第2の信号が誤りであり、あるいは第2の信号が無視された場合には、第2の信号を遠方からオフにすることができ、あるいは単に所定の期間の後に時間切れにすることができる。
【0083】
特に子供らを効果的に手を洗うように促すために、洗浄剤ディスペンサの作動が、例えば1〜2分又はそれよりも長い継続時間にわたる聴覚及び/又は視覚による手洗い期間信号の発生を生じさせることができる。手洗い時間期間信号が、子供をより長い時間にわたって洗浄剤ディスペンサの横にとどまって手洗い時間信号を体感するように動機付ける特徴を含む場合、子供を、手洗い時間期間信号の継続時間にわたって手を洗うように動機付けることができる。
【0084】
さらに本方法は、使用者にタグ及び/又はバーコードを備えることを含むことができ、その場合には、システムが行動の記録を残すための対応する読み取り機を備えることができる。
【0085】
大便器又は小便器の使用の事象(例えば、大便器の洗浄)の検出を使用して、手を洗うようにとの注意喚起信号である第2の信号を生じさせることによって、大便器を使用した者が、洗面所から離れる前に注意喚起信号を停止させるように努力する。そのようにするやり方は、単に洗浄剤ディスペンサを作動させることである。ごまかして手洗いを避けることを防ぐため、人が落下してくる石けんなどの洗浄剤にぶつからないように充分に素早く自身の手を逃がすことを防止するために、人は自身の手を洗浄剤ディスペンサのきわめて近く(例えば、洗浄剤の排出ノズルのきわめて近く)まで移動させなければならない。このようにして洗浄剤が人に不可避的に付着するため、結果としてその者は手を洗うことになる。手洗い時間期間信号を備えるシステム及び方法においては、手洗い期間信号が依然として続いている間は洗面所を離れることがためらわれ、気まずいため、手洗いは多くの場合、手洗い期間信号が終わるまで続けられる。
【0086】
このように、本発明によるシステム及び方法は、人々を大便器又は小便器の使用後に手を洗うように強く動機付け及び刺激する。
【0087】
次に、本発明を、添付の図面を参照しつつ典型的な実施形態によって後述する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明によるシステムの概略図である。
【図2】センサ手段を備える洗浄剤ディスペンサの実施形態を示している。
【図3a】トイレの使用に関係しうる一の対象の使用及び事象に関係した、発生源の音響スペクトルを示している。
【図3b】トイレの使用に関係しうる別の対象の使用及び事象に関係した、発生源の音響スペクトルを示している。
【図3c】トイレの使用に関係しうるまた別の対象の使用及び事象に関係した、発生源の音響スペクトルを示している。
【図3d】トイレの使用に関係しうるまた別の対象の使用及び事象に関係した、発生源の音響スペクトルを示している。
【図3e】トイレの使用に関係しうるまた別の対象の使用及び事象に関係した、発生源の音響スペクトルを示している。
【図3f】トイレの使用に関係しうるまた別の対象の使用及び事象に関係した、発生源の音響スペクトルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0089】
以下では、本発明によるシステム及び方法を、石けんディスペンサである洗浄剤ディスペンサ及び大便器である洗面所のトイレ設備に関して説明する。以下の詳細な説明が、あくまでも例示にすぎず、システム及び方法を上述したやり方のいずれかで変更できることが、理解されよう。
【0090】
図1は、扉2と、大便器3と、洗面台4と、石けんディスペンサ5とを備える洗面所1を示している。大便器3が、便器又はボウル6と、水8を有する貯水タンク7と、便器又はボウル6の洗浄を開始させるためのアクチュエータ9とを有している。アクチュエータ9が、取っ手であるものとして示されているが、光学式の洗浄アクチュエータ及び他の種類の機械式アクチュエータも使用可能である。センサ手段が、大便器3の洗浄を検出するように機能し、アクチュエータ9が、幾つかの実施形態においてはセンサ手段の一部を形成することができる。
【0091】
図1に示した実施形態においては、センサ手段が、貯水タンク7内の水位の変化を検出すべく貯水タンク7の内部に配置された水位センサ10を含んでいる。水位の変化の検出により、第1の送信手段11が、石けんディスペンサ5の動作に結び付けられた第1の信号を送信する。
【0092】
別の実施形態においては、例えば大便器の洗浄の音を認識することによって大便器の使用を検出することができるセンサ手段10’が、例えば大便器3の近傍など、貯水タンク7の外部に位置しており、あるいは石けんディスペンサ5に一体化されている。
【0093】
センサ手段10、10’の配置の場所にかかわらず、送信手段11を石けんディスペンサ5に組み込んでもよいが、洗面所の壁に位置する音センサ10’及び第1の送信器11’によって図1に示されているように、石けんディスペンサ5から遠く離れて配置することも可能である。音センサ10’及び第1の送信器11’は、送信される第1の信号を受信するための受信手段(図示されていない)を介して、石けんディスペンサ5と有線又は無線で通信することができる。遠方の個々の制御ユニット又は中央の制御ユニット(図示されていない)が、信号の取得及び送信を制御することができる。第1の送信手段11、11’が、第1の信号を第2の送信手段12へと送信し、第2の送信手段12が、例えば手の正しい洗い方についての音、映像、又は他の種類の助言などの注意喚起信号を第1のモードにおいて送信する伝達手段13、14を作動させる。第2の送信手段12と表示装置13及びスピーカ14の形態である伝達手段とが、石けんディスペンサ5に組み込まれ、図2に示した石けんディスペンサ5の正面の拡大概略図に破線の矢印で示されているように互いに電子的に通信する。さらに、第2の送信手段12は、第1の送信手段11と電子的に通信するが、第1の送信手段11をセンサ手段とともに石けんディスペンサに一体化させることも可能である(図示せず)。センサ手段は、大便器の使用に起因する第1の信号(図示されていない)を受信及び/又は検出するための1つ以上のマイクロホンを備えることができる。好ましくは、第2の信号を発する前に第1の信号が大便器の使用に起因するものであることを確認するために、前記検出されたアナログ音響信号がデジタル化され、例えば種々の関連の音響スペクトルからなる痕跡データベース内の既知のデジタル痕跡と比較される。
【0094】
図2に示した石けんディスペンサ5は、石けんが少ないことを知らせ、さらには電力の状態を知らせるためのインジケータ15と、手による力を加えることによって作動させることができ、あるいは伝達手段及び/又は第2の送信手段12へと接続された光電検出器であってもよい排出ノズル16をさらに有している。したがって、第2の送信手段12は、単に伝達手段13、14をオンにするスイッチであってもよく、あるいは伝達手段の一部であってもよい。1つ以上の追加の送信手段、受信手段、及び/又は増幅器を、システムの構成要素間及びシステムと大便器又は小便器の使用者との間の信号及び情報の取得及び伝達を容易にするために、システムの任意の場所に設けることができる。
【0095】
上述の好ましい実施形態においては、音センサ10’及び第1の送信手段11’も、石けんディスペンサに一体化されている。
【0096】
システムは、石けんディスペンサがよもや作動させられない場合に注意喚起信号を停止させるためのタイマ17をさらに備えることができる。石けんディスペンサに備えられた送信手段を、1回分の石けんの送出に応答して即座に、又は所定の遅延にて、給水栓を自動的に作動させるように構成することもできる。
【0097】
システムは、信号の送信、センサ手段、伝達手段、及びシステムの機械的な構成要素の作動を制御するための適切なソフトウェア、ならびにアナログの第1の信号を即座に最小限の誤差でデジタル信号(他の音響スペクトルを表わしている他のデジタル信号と比較され、あるいは単に選定のデジタル信号と比較されたときに、検出された該当の使用を表わしていると認識することができる)へと変換するためのAD変換器を備えることができる。
【0098】
図3a〜fは、種々の発生源の6つの音響スペクトルの間の相違を示している。図3a〜3cの音響スペクトルは、音響スペクトルが小便器及び2つの異なる種類の大便器の洗浄に起因している図3d〜fと対照的に、大便器又は小便器の使用に直接には結び付いていない。
【0099】
図3a〜fは、採取された音響信号の公称の振幅を、秒を単位に測定された時間の関数として示している。音響信号は、音源を構成する対象から約1メートルの距離においてマイクロホンで検出されている。図のy軸が、公称の振幅(1が、マイクロホンによって得られたアナログ信号をデジタル信号へと変換するために用いたAD変換器の飽和レベルである)を示している。x軸が、音響信号の振動が記録された時間(単位は、秒)を示している。
【0100】
図3d〜3fに示すように、大便器の洗浄及び小便器の使用から得られる音響スペクトル又は音響信号は、すべて共通に、複雑な音響スペクトルを呈する振動及び伝播する音波の振幅が、排尿又は洗浄によってそれぞれ生じる作用の始まりにおいて大きく、あるいは最大である。次いで、振幅が、時間につれて徐々に減衰する。振動が完全に減衰する直前に、最後のピーク振動を認めることができ、このピーク振動が、大便器の洗浄の音響スペクトル、したがって大便器の音響的な痕跡を、共通のグループの幾つかの大便器にとって、各々の大便器、ならびに/あるいは異なる出所、動作、及び機能原理のトイレごとに独特にしている。振動の全体的な形状は同じであり、図3a〜3cに示した雑音が呈する音響スペクトルと比較したとき、センサ手段によって見分けることが可能であり、ここから大便器の痕跡が容易に区別及び判別される。
【0101】
同様の構成の音響的痕跡を、小便器についても、検出時間のうちの4秒〜約10秒までの間の期間において認めることができる。
【0102】
上述の原理及び設計の変更及び組み合わせが、本発明の技術的範囲において予見される。例えば、センサ手段が音の判別能力を有する音センサである場合に、音センサを他のすべて又は大部分の構成要素と一緒に洗浄剤ディスペンサに備えることができるなど、種々の手段を1つのユニットに組み合わせることができる。システムを、全体に又は完全に電池又は電力供給網あるいはこれらの組み合わせによって動作させることができる。電池は、充電式であってもよく、ディスペンサ内の石けんに蓄えられた位置エネルギ及び大便器における水の流れによって引き出すことができる運動エネルギを、電池の充電に使用することができる。
【0103】
本発明によるシステム及び方法によれば、システム及び方法を特定のニーズ及び/又はユーザ群に合わせるためのデータを得るために、種々の種類の第2の信号ならびに技術的手段又はこれらの組み合わせについて、動機付け及び/又は促進の効果を、簡単なやり方で判断することができる。例えば、或る種類の第2の信号が、他の種類の信号よりも、或るユーザ群について、他のユーザ群よりも、より高い水準の動機付け及び/又は促進の効果を有することが明らかになるかもしれない。例えば、システムが男性は低い音響信号を女性よりもはるかに無視しがちであると実証できる場合に、例えば本発明によるシステムを実現する小便器を、この知識及び経験に鑑みて、きわめて高くて騒々しい第2の信号を発するように設計及び目標付けることができる。
【0104】
試験の実施又は他の種類の研究によって、特定のユーザ群について発光ダイオードからの視覚的信号による促しが最良であることや、視覚による第2の信号と聴覚による第2の信号との組み合わせだけが妥当な効果を有する唯一の種類の第2の信号であることが、明らかになるかもしれない。例えば、洗浄剤ディスペンサに適用された単純なメッセージが、瞬間的又は時間を経て、何らかの動機付け及び/又は促進効果を有するかどうかを検証することができる。メッセージは、「細菌を殺せ!」又は「あなたの隣りにいる人は手を洗っているのか?」など、単純であってもよい。
【0105】
このように、本発明のシステム及び方法によれば、簡単な視覚による一連の指示画又は短いメッセージを、人々が手を洗うように動機付け、及び/又は促すための唯一の手段として単独で使用できるか否かを試験することができる。このように、本発明によるシステム及び方法を使用することで、大便器又は小便器の1つ以上の主たるユーザ群についての知見に応じて調整、設計、及び構成されたシステムを製作する類のない機会がもたらされる。例えば、男性が女性とは別の種類の第2の信号を必要とし、高齢者が子供とは別の種類の第2の信号を必要とし、本発明の技術的範囲において、第2の信号のレベル、強度、継続時間、及び/又は種類などの因子を、全体としての衛生の行動を局所的及び大域的に高めるために特定のユーザ群に合わせることができる。
【0106】
このように、本発明によるシステム及び方法は、自身の能力を評価することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手を洗うように人々を動機付ける、及び/又は促すためのシステムであって、
−大便器(3)又は小便器の使用を検出し、大便器(3)又は小便器の使用が検出された旨を示す第1の信号を生成するセンサ手段(10;10’)
を備えており、
−前記第1の信号に応答して、人々に洗浄剤ディスペンサ(5)の使用を思い出させ、及び/又は洗浄剤ディスペンサ(5)を使用するように促す少なくとも1つの第2の信号を発する伝達手段(13、14)
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記センサ手段(10;10’)によって得られた前記第1の信号を前記伝達手段(13、14)へと送信する第1の送信手段(11;11’)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記洗浄剤ディスペンサ(5)の作動に応答して、1回分の洗浄剤が送出された旨を示す第2の信号を前記伝達手段(13、14)へと送信する第2の送信手段(12)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記洗浄剤ディスペンサ(5)が作動して洗浄剤が送出されると前記第2の信号をオフにするスイッチ手段を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記センサ手段(10;10’)が、大便器(3)又は小便器の使用に関連した音響スペクトルの少なくとも一部を検出及び認識する音センサ手段(10’)であり、該音センサ手段(10;10’)が、前記音響スペクトルが検出された旨を示す第1の信号を生成することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記音センサ手段(10’)が、音判別能力を有するように選択されることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記音センサ手段(10’)が、少なくとも水の流れに関係し、好ましくは大便器(6)又は小便器を洗浄する水に関係する音響スペクトルを決定する音判別能力を有するように選択されることを特徴とする、請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
前記音センサ手段(10’)が、少なくとも水への液体又は固体の衝突あるいは大便器又は小便器の洗浄に関係する音響スペクトルを決定する音判別能力を有するように選択されることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記センサ手段(10;10’)が、水位センサであるか、あるいは水位センサを備えていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記洗浄剤ディスペンサ(5)が作動して洗浄剤が送出されると手洗い時間期間信号を発するための手段を備えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記思い出させる信号及び/又は前記手洗い時間期間信号のいずれかが、聴覚、視覚、又はこれらの感覚の組み合わせによって検出できる信号であることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
視覚情報を表示するための表示装置(13)及び/又は可聴情報を提供するためのスピーカ(14)を備えることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記伝達手段(13、14)が前記洗浄剤ディスペンサ(5)に組み合わせられており、好ましくは前記伝達手段(13、14)が前記洗浄剤ディスペンサ(5)の内部及び/又は表面に設けられていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記伝達手段(13、14)がタイマ(17)を備えることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
当該システムを制御し、及び/又は当該システムのパラメータを設定する制御ユニットを備えることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記センサ手段(10;10’)が前記洗浄剤ディスペンサの内部又は表面に設けられていることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の送信手段(11;11’)及び/又は前記第2の送信手段(12)のいずれかが前記洗浄剤ディスペンサ(5)の内部又は表面に設けられていることを特徴とする、請求項2〜16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記洗浄剤ディスペンサのためのキャビネットを備えることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記音センサ手段(10’)が少なくとも1つのマイクロホンを備えることを特徴とする、請求項5〜18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記音センサ手段(10’)が、異なる方向からの音響スペクトルを受信するように配置された少なくとも2つのマイクロホンを備えることを特徴とする、請求項5〜19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
大便器(3)又は小便器の使用に関連した音響スペクトルを表わす音響スペクトルのデータベースを備えることを特徴とする、請求項5〜20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
特定の大便器(3)及び/又は特定の小便器の1つ以上の特定の使用に関連した音響スペクトルを記録するための記録手段を備えることを特徴とする、請求項5〜21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記記録手段が、特定の大便器(3)及び/又は小便器の1つ以上の特定の使用を表わす音響スペクトルを記録することを特徴とする、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記音響スペクトルが、前記特定の使用を示す音響スペクトルをもたらすために充分な期間にわたって記録され、該期間が、少なくとも0.5秒、好ましくは少なくとも0.7秒、更に好ましくは少なくとも1.0秒であることを特徴とする、請求項22又は23に記載のシステム。
【請求項25】
前記音センサ手段又は前記制御ユニットが、前記センサ手段(10’)によって異なる方向に検出された音響スペクトル間の比較及び区別を行うように構成されていることを特徴とする、請求項5〜24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記センサ手段又は前記制御手段が、前記大便器(3)又は小便器の使用を表わす音響スペクトルを表わす、異なる方向から到来する2つの音響スペクトルのうちの一方を選択するように構成されていることを特徴とする、請求項1〜25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
記録された音響スペクトルを保存するための記憶手段を備えることを特徴とする、請求項22〜26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記洗浄剤が石けんであり、好ましくは、液体石けん、アルコール、ゲルを含むアルコール、又はこれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1〜27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記大便器(3)又は小便器が水洗式であることを特徴とする、請求項1〜28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
大便器(3)又は小便器の近傍、ならびに/あるいは洗浄剤ディスペンサ(5)の近傍における人間の運動を検出するための運動センサを備えていないことを特徴とする、請求項1〜29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
AD変換器を備えることを特徴とする、請求項1〜30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
大便器(3)又は小便器の使用後に手を洗うように人々を動機付け、及び/又は促すための方法であって、
−洗浄剤ディスペンサ(5)を用意するステップと、
−大便器(3)又は小便器の使用を検出するためのセンサ手段(10;10’)を用意するステップと、
−前記センサ手段(10;10’)が、大便器(3)又は小便器の使用が検出された旨を示す第1の信号を生成するステップと、
−伝達手段(13、14)が、前記第1の信号に応答して、人々に洗浄剤ディスペンサ(5)の使用を思い出させ、及び/又は洗浄剤ディスペンサ(5)を使用するように促す第2の信号を発するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
前記センサ手段(10;10’)が、大便器(3)又は小便器の使用に関連した音響スペクトルの少なくとも一部を認識する音センサ手段であることを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記音センサ手段(10’)が、音判別能力を有するように選択されて、液体又は固体の便器内の水への衝突に関する音響スペクトルを決定することを含むことを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
−大便器(3)又は小便器の使用が検出されたことに応答して、聴覚及び/又は視覚による注意喚起信号を発するステップと、
−洗浄剤ディスペンサ(5)の作動によって前記第2の信号を停止させるステップと
を含むことを特徴とする、請求項32〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記洗浄剤ディスペンサ(5)の作動により、聴覚及び/又は視覚による手洗い期間信号を発することを特徴とする、請求項32〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
大便器又は小便器の使用者にタグ及び/又はバーコードを付し、システムが行動の記録を残すための、対応する読み取り機を備えることを含むことを特徴とする、請求項32〜36のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【公表番号】特表2013−504829(P2013−504829A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529128(P2012−529128)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際出願番号】PCT/DK2010/050238
【国際公開番号】WO2011/032564
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(512064538)
【出願人】(512064549)
【出願人】(512064550)
【出願人】(512064561)
【Fターム(参考)】