説明

手振れ検知装置、およびその調整方法

【課題】手振れ検知センサが起動してから手振れ検知開始までの時間を短縮できる手振れ検知装置の技術を提供する。
【解決手段】撮像装置の手振れ検知装置は、スタンバイ機能を有するとともに手振れを角速度信号として検出するジャイロと、その信号処理回路とを備えている。撮像装置においては、ジャイロの電源がオンされると、ジャイロをスタンバイ状態にして角速度のゼロレベル補正(前処理)を行う。そして、ジャイロ内で共振する角速度検知メカニズムが安定するのを待って、スタンバイ状態を解除し通常の角速度検出状態に移行させる。その結果、手振れ検知に必要な前処理を事前に行えるため、手振れ検知センサを起動してから手振れ検知開始までの時間を短縮できることとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手振れ信号を出力する手振れ検知装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置においては、撮影者による手振れを補正するための手振れ補正機構が設けられているものがある。この手振れ補正機構を有する撮像装置では、手振れを検出する手振れセンサ(例えばジャイロ)により角速度を検出し、検出された角速度により撮像装置の振れ量を求める。そして、この振れ量から撮像素子または補正光学系の移動量を算出し、算出された移動量に応じて撮像素子又は補正光学系を移動させることによって手振れ補正が行われる。
【0003】
上記のジャイロにおいては、電圧の印加によって振動する圧電素子に角速度が作用すると振動方向に対して働くコリオリ力により振動の軸対称性が崩れて歪みが生じるが、この歪みが圧電素子に生じることで電荷が発生するメカニズムを利用して角速度が測定される(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−344344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のジャイロのように振動するメカニズムを有する手振れ検知センサでは、手振れ検知センサの電源オンからメカニズムの振動が安定するまでに一定の時間が必要となるため、振動が安定した後に手振れ検知に必要な前処理を行うのでは、手振れ検知開始までに長時間を費やすこととなる。すなわち、手振れ検知に必要な角速度のゼロレベルなどを求める処理をメカニズムの安定後に行ってから手振れ検知動作に移行したのでは、シャッターチャンスを逸する場合も生じてしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、手振れ検知センサを起動してから手振れ検知開始までの時間を短縮できる手振れ検知装置の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、手振れ信号を出力する手振れ検知装置であって、(a)特定部材の振動が可能な振動機構と、(b)前記振動機構から得られる手振れ情報に基づき前記手振れ信号を生成する手振れ検知手段とを備え、前記手振れ検知手段は、(b-1)前記特定部材を駆動して振動制御を行う駆動手段と、(b-2)前記特定部材の振動から得られる手振れ情報に対して所定の処理を施し、前記手振れ信号を生成する処理手段と、(b-3)前記駆動手段を能動化させるとともに前記処理手段を不能化させる待機状態に設定する待機状態設定手段と、(b-4)前記駆動手段を能動化して前記特定部材の振動が開始されると、前記待機状態設定手段により前記待機状態に設定し、前記手振れ検出に必要な所定の前処理を行う前処理手段を有する。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る手振れ検知装置において、前記所定の前処理は、前記手振れ信号の基準レベルを決定する処理である。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る手振れ検知装置において、前記手振れ検知手段は、(b-5)前記所定の前処理が完了した後には、前記待機状態を解除する手段を有する。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る手振れ検知装置において、(c)前記手振れ信号に対して所定の信号処理を施し、前記手振れ検知装置から出力する信号処理手段をさらに備える。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係る手振れ検知装置において、前記信号処理手段は、(c-1)ハイパス・フィルタを介さずに前記手振れ信号に対し信号増幅処理を施して出力する増幅回路を有する。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項5の発明に係る手振れ検知装置において、前記増幅回路は、前記手振れ信号の直流成分に関する信号レベルの調整が可能である。
【0013】
また、請求項7の発明は、請求項5の発明に係る手振れ検知装置において、(d)前記手振れ信号の基準レベルに対応する基準信号を生成する基準信号生成手段をさらに備え、前記増幅回路は、前記基準信号を基準とした信号増幅処理を施す。
【0014】
また、請求項8の発明は、請求項4の発明に係る手振れ検知装置において、前記信号処理手段は、(c-2)ハイパス・フィルタを介して前記手振れ信号に対し信号増幅処理を施して出力する増幅回路を有する。
【0015】
また、請求項9の発明は、請求項8の発明に係る手振れ検知装置において、前記ハイパス・フィルタは、前記ハイパス・フィルタに設けられたコンデンサを充電するための充電回路を有しており、前記所定の前処理は、前記充電回路による前記コンデンサの充電動作を行い、充電完了後に前記充電動作を停止する処理である。
【0016】
また、請求項10の発明は、請求項8または請求項9の発明に係る手振れ検知装置において、前記増幅回路は、前記ハイパス・フィルタの前段に設けられ、前記手振れ信号の直流成分に関する信号レベルの調整が可能な第1増幅回路と、前記ハイパス・フィルタの後段に設けられた第2増幅回路とを有する。
【0017】
また、請求項11の発明は、請求項8または請求項9の発明に係る手振れ検知装置において、(d)前記手振れ信号の基準レベルに対応する基準信号を生成する基準信号生成手段をさらに備え、前記増幅回路は、前記ハイパス・フィルタの前段に設けられ、前記基準信号を基準とした信号増幅処理を施す第1増幅回路と、前記ハイパス・フィルタの後段に設けられた第2増幅回路とを有する。
【0018】
また、請求項12の発明は、手振れ信号を出力端子から出力する手振れ検知装置であって、(a)特定部材の振動が可能な振動機構と、(b)前記特定部材を駆動して振動制御を行うとともに、前記特定部材の振動から得られる手振れ情報に対して所定の処理を施し、前記手振れ信号を生成する手振れ検知手段と、(c)前記手振れ信号の基準レベルに対応する基準信号を生成する基準信号生成手段と、(d)前記特定部材の振動開始からの経過時間を計測する計時手段とを備え、前記手振れ検知手段は、(b-1)前記振動開始からの経過時間が所定の時間内である場合には、前記基準信号を前記出力端子から出力する出力手段を有する。
【0019】
また、請求項13の発明は、特定部材の振動が可能な振動機構と、前記振動機構から得られる手振れ情報に基づき前記手振れ信号を出力端子から出力する手振れ検知手段とを備える手振れ検知装置の調整方法であって、(a)前記手振れ検知装置を静止状態に保持する保持工程と、(b)前記静止状態に対応する前記手振れ信号の基準レベルの情報を記憶する記憶工程とを備え、前記手振れ検知装置は、前記手振れ信号の基準レベルに対応する基準信号を生成する基準信号生成手段、をさらに備えるとともに、前記手振れ検知手段は、前記特定部材を駆動して振動制御を行う駆動手段と、前記特定部材の振動から得られる手振れ情報に対して所定の処理を施し、前記手振れ信号を生成する処理手段と、前記駆動手段を能動化させ前記処理手段を不能化させるとともに、前記基準信号を前記出力端子から出力する待機状態に設定する待機制御手段とを有しており、前記保持工程は、(a-1)前記静止状態において、前記待機状態に設定し前記出力端子から出力される基準信号の信号レベルを検出する第1検出工程と、(a-2)前記静止状態において、前記待機状態を解除し前記出力端子から出力される手振れ信号の信号レベルを検出する第2検出工程とを有するとともに、前記記憶工程において記憶する基準レベルの情報は、前記第1検出工程で検出した基準信号の信号レベルと、前記第2検出工程で検出した手振れ信号の信号レベルとのレベル差に関する情報である。
【発明の効果】
【0020】
請求項1ないし請求項11の発明によれば、特定部材の振動が開始されると、特定部材を駆動して振動制御を行う駆動手段を能動化させるとともに、特定部材の振動から得られる手振れ情報に対して所定の処理を施して手振れ信号を生成する処理手段を不能化させる待機状態に設定し、手振れ検出に必要な所定の前処理を行う。その結果、手振れ検知センサを起動してから手振れ検知開始までの時間を短縮できる。
【0021】
特に、請求項2の発明においては、所定の前処理が手振れ信号の基準レベルを決定する処理であるため、手振れ検知に必要な手振れ信号の基準レベルを事前に決定できる。
【0022】
また、請求項3の発明においては、所定の前処理が完了した後には待機状態を解除するため、手振れ検知動作を適切に行える。
【0023】
また、請求項4の発明においては、手振れ信号に対して所定の信号処理を施し手振れ検知装置から出力するため、手振れ検知信号を受取る外部装置では、適切な手振れ信号を取得できる。
【0024】
また、請求項5の発明においては、ハイパス・フィルタを介さずに手振れ信号に対し信号増幅処理を施して出力するため、信号処理手段を短時間で安定化できる。
【0025】
また、請求項6の発明においては、増幅回路が手振れ信号の直流成分に関する信号レベルの調整が可能であるため、手振れ信号の基準レベルの補正が容易となる。
【0026】
また、請求項7の発明においては、増幅回路は、手振れ信号の基準レベルに対応する基準信号を基準とした信号増幅処理を施すため、手振れ信号の基準レベルの補正が容易となる。
【0027】
また、請求項8の発明においては、ハイパス・フィルタを介して手振れ信号に対し信号増幅処理を施して出力するため、手振れ信号の基準レベルの補正が容易となる。
【0028】
また、請求項9の発明においては、所定の前処理は、充電回路によりハイパス・フィルタに設けられたコンデンサの充電動作を行い、充電完了後に充電動作を停止する処理であるため、手振れ検知に必要なハイパス・フィルタのコンデンサの充電を事前に実施できる。
【0029】
また、請求項10の発明においては、増幅回路は、ハイパス・フィルタの前段に設けられ手振れ信号の直流成分に関する信号レベルの調整が可能な第1増幅回路と、ハイパス・フィルタの後段に設けられた第2増幅回路とを有するため、手振れ信号の基準レベルの補正が容易となるとともに、適切な信号増幅を行える。
【0030】
また、請求項11の発明においては、増幅回路は、ハイパス・フィルタの前段に設けられ手振れ信号の基準レベルに対応する基準信号を基準とした信号増幅処理を施す第1増幅回路と、ハイパス・フィルタの後段に設けられた第2増幅回路とを有するため、手振れ信号の基準レベルの補正が容易となるとともに、適切な信号増幅を行える。
【0031】
また、請求項12の発明によれば、振動開始からの経過時間が所定の時間内である場合には、手振れ信号の基準レベルに対応する基準信号を出力端子から出力するため、手振れ検知が正常となるまでの誤検知を防止して、手振れ検知センサを起動してから手振れ検知開始までの時間を短縮できる。
【0032】
また、請求項13の発明によれば、静止状態において待機状態に設定し出力端子から出力される基準信号の信号レベルを検出するとともに、静止状態において待機状態を解除し出力端子から出力される手振れ信号の信号レベルを検出し、これらの基準信号の信号レベルと手振れ信号の信号レベルとのレベル差に関する基準レベルの情報を記憶するため、手振れ検知に必要な手振れ信号の基準レベルを精度良く事前に把握でき、手振れ検知センサを起動してから手振れ検知開始までの時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
<第1実施形態>
<撮像装置の要部構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る撮像装置1Aの機能構成を示すブロック図である。
【0034】
撮像装置1Aは、例えばデジタルカメラとして構成されており、手振れ補正機能を有している。
【0035】
この撮像装置1Aは、撮影光学系10とイメージセンサ11とを備えるとともに、イメージセンサ11を駆動するためのセンサ駆動部12と、センサ駆動部12を制御するデジタル制御部19とを備えている。また、撮像装置1Aは、手振れを検出して手振れ信号を出力する手振れ検出部(手振れ検知装置)13と、撮像装置1Aの筐体内に設けられている温度センサ14と、撮影指示を行うために撮影者が操作するレリーズ釦15とを備えている。
【0036】
撮影光学系10は、例えば複数のレンズからなり、撮影する被写体をイメージセンサ11の撮像面に結像させるための部位である。
【0037】
イメージセンサ11は、例えばCCDとして構成されており、撮影光学系10によって結像されれた被写体光像を光電変換して画像信号を生成する。このイメージセンサ11は、後述のY・P駆動アクチュエータ121、122で保持されており、水平方向および垂直方向に駆動可能となっている。
【0038】
センサ駆動部12は、イメージセンサ11を移動させるY駆動アクチュエータ121およびP駆動アクチュエータ122と、イメージセンサ11の位置を検出する2次元位置センサ123と、Y・P駆動アクチュエータ121、122を駆動させるための駆動回路124とを有している。
【0039】
Y駆動アクチュエータ121は、例えば圧電素子を使用するインパクトアクチュエータとして構成されており、イメージセンサ11をYaw方向に駆動する。
【0040】
P駆動アクチュエータ122も、例えば圧電素子を使用するインパクトアクチュエータとして構成されており、イメージセンサ11をPitch方向に駆動する。
【0041】
2次元位置センサ123は、マグネットおよび2次元のホール素子を有しており、Y・P駆動アクチュエータ121、122で駆動されるイメージセンサ11の位置を検出する。
【0042】
駆動回路部124は、デジタル制御部19からの制御信号に基づきY・P駆動アクチュエータ121、122に駆動電力を供給するドライバ回路と、2次元位置センサ123からの計測信号を電圧値に変換する位置センサ回路と有している。この駆動回路部124により、手振れ検出部13で検出される撮像装置1Aの揺れに応じてY・P駆動アクチュエータ121、122の駆動を行い、イメージセンサ11を移動させることによって、被写体光像の結像位置をシフトできるため、撮像装置1Aの手振れ補正が可能となる。
【0043】
手振れ検出部13は、撮像装置1Aの揺れを検出する2個のジャイロ130(Y振れ検出ジャイロ131、P振れ検出ジャイロ132)と、ジャイロ130からの信号を処理する信号処理回路133Aとを備えている。
【0044】
Y振れ検出ジャイロ131は、揺れ検出を行えるジャイロセンサとして構成されており、撮像装置1Aが手振れによってYaw方向(水平方向)に回転する場合の回転振れを検出して、その角速度信号を出力する。
【0045】
P振れ検出ジャイロ132も、揺れ検出を行えるジャイロセンサとして構成されており、撮像装置1Aが手振れによってPitch方向(垂直方向)に回転する場合の回転振れを検出して、その角速度信号を出力する。
【0046】
信号処理回路133Aは、主に各ジャイロ130から出力される角速度信号を増幅するための部位である。
【0047】
温度センサ14は、撮像装置1Aの特定部位について温度変化による性能変化を補正するために設けられている。具体的には、2次元位置センサ123の補正や、Y・P駆動アクチュエータ121、122の駆動周波数、駆動電圧等を必要に応じて補正し最適な手振れ補正を行えるようにする。
【0048】
デジタル制御部19は、例えばCPUおよびメモリを有し、撮像装置1Aの各部を統括的に制御する部位である。このデジタル制御部19は、撮像装置1A上に設けられた操作ボタン(不図示)への操作入力により、被写体の撮影を行うカメラモード(撮影モード)や撮影画像を再生するための再生モードなどの機能モードの切替えが可能となっている。また、撮影モードにおいては、撮影時に手振れ補正を行うための手振れ補正モードへの設定が可能である。
【0049】
また、デジタル制御部19は、信号処理回路133Aからの出力信号に基づき手振れを検出する振れ量検出部191と、係数変換部192と、駆動制御部193と、シーケンスコンロトール部194とを備えている。
【0050】
振れ量検出部191は、信号処理回路133Aから出力される撮像装置1AのY方向およびP方向の回転振れ(角速度)を一定の時間間隔で取り込み、角速度信号を角度信号に変換する積分処理を行う。これにより、撮像装置1AにおけるYaw方向の振れ量detyとPitch方向の振れ量detpとが算出されることとなる。
【0051】
係数変換部192は、振れ量検出部191で検出された振れ量dety、detpを移動量py、ppに変換する部位である。
【0052】
駆動制御部193は、係数変換部192から出力された移動量py、ppに基づき、駆動回路部124に制御信号を送る部位である。この駆動制御部193においては、最適制御値を演算してフィードバック制御を行うことにより、イメージセンサ11の高性能な駆動が実現できることとなる。
【0053】
シーケンスコントロール部194は、撮像装置1Aの撮影や手振れ補正に関するシーケンスを制御する。例えば、撮影制御においては、撮影者によるレリーズ釦15の半押し(S1オン)が行われると測光や測距などの撮影準備動作を開始し、レリーズ釦15の全押し(S2オン)が行われると本撮影の撮影状態に移行する。そして、本撮影時において手振れ補正モードに設定されている場合には、手振れ補正動作が実施されることとなる。この手振れ補正動作では、次の順番でシーケンスが制御される。
【0054】
(1)振れ量検出部191において、信号処理回路133Aからの角速度信号を取り込んで、上記の振れ量(dety、detp)を検出する。
【0055】
(2)係数変換部192において、振れ量(dety、detp)を移動量(py、pp)に変換する。
【0056】
(3)駆動制御部124において、移動量(py、pp)を最適な駆動制御量に変換する。
【0057】
以上のような処理をシーケンスコントロール部194で行うことにより、適切な手振れ補正が実施できることとなる。
【0058】
図2は、ジャイロ130の構成を示すブロック図である。
【0059】
ジャイロ130は、スタンバイ(手振れ検出機能停止)機能を有するジャイロセンサとして構成されており、角速度検知メカニズム134と、VREF回路135と、角速度検知回路136とを備えている。これらのジャイロ130の各部には、電源供給(GVDD)端子13aから、例えば3Vの電圧が供給される。なお、ジャイロ130には、グラウンド(GND)端子13bが設けられている。
【0060】
角速度検知メカニズム134は、特定部材の振動が可能な振動機構として構成されており、例えば水晶や圧電素子のメカニズム共振を利用し、そのコリオリ力を検出することで角速度の検出が可能となっている。
【0061】
VREF回路135は、ジャイロ130の内部回路の基準電位(VREF)を提供するための回路である。このVREF回路135において角速度のゼロレベル(基準レベル)に対応する基準信号として生成されたVREF信号(例えば1.2Vの電圧信号)は、VREF端子13cからジャイロ130外部に出力される。
【0062】
角速度検知回路136は、角速度検知メカニズム134を駆動して共振状態に制御(振動制御)するとともに、その差分出力等を演算して角速度信号を生成する。
【0063】
この角速度検知回路136では、電源供給端子13aに電源が供給された状態で、ジャイロ130からの角速度の信号出力を停止状態に制御するためのスタンバイ(STBY)端子13eにH(High)信号が入力される場合には、ジャイロ130をスタンバイ状態(待機状態)に移行して、VREF回路135で生成されたVREF信号を出力端子13dから出力させる。
【0064】
一方、角速度検知回路136に、スタンバイ端子13eを介してL(Low)信号が入力される場合には、角速度検知メカニズム134から得られるコリオリ力の情報(手振れ情報)に対して信号処理を行うことで生成された角速度信号(手振れ信号)を出力端子13dから出力する。この出力端子13dから出力される角速度信号については、VREF端子13cから出力されるVREF信号の電圧値を基準レベル(角速度ゼロレベル)として、角速度の方向が決定することとなる。
【0065】
以上のような構成のジャイロ130において、スタンバイ端子13eにH信号またはL信号が入力された場合の各状態を、次の表1に整理する。
【0066】
【表1】

【0067】
スタンバイ端子13eにH信号が入力される場合には、ジャイロ130がスタンバイ状態となり、出力端子VOからVREF信号が出力される。すなわち、角速度検知メカニズム134は能動化されて動作状態であるものの、角速度検知回路136は不能化されて不動作状態であるため、ジャイロ130の消費電力を削減できる。
【0068】
一方、スタンバイ端子13eにL信号が入力される場合には、ジャイロ130が通常動作状態となり、出力端子VOから角速度信号が出力される。この場合、角速度検知メカニズム134および角速度検知回路136が動作状態であるため、上記のスタンバイ状態よりジャイロ130の消費電力は大きくなる。
【0069】
図3は、ジャイロ130と信号処理回路133Aとデジタル制御部19との関係を説明するための図である。
【0070】
デジタル制御部19は、信号処理回路133の出力信号(GVOUT信号)が入力される端子(ADC端子)と、データの出力ポートとして働く2つのIO端子19b、19cとを有している。
【0071】
デジタル制御部19のIO端子19bからの出力信号は、ジャイロ130のスタンバイ端子13eに入力される。すなわち、IO端子19bでH(High)信号が出力される場合には、ジャイロ130がスタンバイ状態に移行され、L(Low)信号が出力される場合にはスタンバイ状態を解除しジャイロ130が通常動作状態に移行される。
【0072】
なお、デジタル制御部19のIO端子19cからH信号が出力される場合には、例えば3Vの電源GVCCから、ジャイロ130の電源供給端子13aに電力供給が行われる。
【0073】
図4は、ジャイロ130の出力変化を説明するためのタイミングチャートである。
【0074】
スタンバイ端子13eにH信号が入力される状態で、ジャイロ130の電源供給端子13aに電源GVCCから電力供給が開始される場合には、状態ST1のように最初は出力信号のオーバーシュートが多少あるもののVREF信号の信号レベルがジャイロ130の出力端子VOから出力される。このスタンバイ状態ST1においてスタンバイ端子13eにL信号が入力される場合にはスタンバイ状態が解除されるため、状態ST2のように撮像装置1Aの揺れに応じた角速度信号がジャイロ130の出力端子VOから出力されることとなる。
【0075】
一方、スタンバイ端子13eにL信号が入力される状態で、ジャイロ130の電源供給端子13aに電源GVCCから電力供給が開始される場合には、角速度検知メカニズム134の共振状態が安定するまでの間(0.4秒程度)、状態ST3にようにジャイロ130の出力信号が発振して不安定となる。そして、角速度検知メカニズム134が安定すると、状態ST4のように撮像装置1Aの揺れに応じた角速度信号がジャイロ130の出力端子VOから出力されることとなる。
【0076】
<信号処理回路133Aの構成および動作>
図5は、信号処理回路133Aの構成を示す図である。
【0077】
信号処理回路133Aは、オペアンプを有する増幅回路AP1を備えており、ジャイロ130からの角速度信号に対して、後述の第3・第4実施形態のようなハイパス・フィルタを介さずに信号増幅処理を施してデジタル制御部19に出力する。この増幅回路AP1は、ジャイロ130の出力端子13dからの出力信号を例えば75倍の増幅率(ゲイン)で増幅するとともに、カットオフ周波数fc=100Hzの特性を有するローパス・フィルタ(LPF)として機能する。
【0078】
このように増幅回路AP1は、ジャイロ130の出力信号を75倍に増幅するため、常温での個体のバラツキや温度変動に起因するオフセットの電圧変化も75倍に増幅されることとなる。また、角速度のDCレベル誤差が大きければブレ検出の低周波成分誤差となってしまう。
【0079】
そこで、上記のようなオフセット変化を補正するため、デジタル制御部19内のD/Aコンバータで生成された電圧を、DAC端子19dを介して増幅回路AP1のオペアンプの+端子に入力する。そして、信号処理回路133Aの出力GVOUTがADC端子19aを介して入力されるA/Dコンバータの入力レンジの略中央レベルになるように、DAC端子19dの出力電圧の調整(ゼロレベル調整)を行って、ジャイロ130の手振れ検出動作に移行する。このように増幅回路AP1は角速度信号(手振れ信号)の直流成分に関する信号レベルの調整が可能であるため、高精度な手振れ検出を行えることとなる。
【0080】
なお、75倍の増幅率に対してDAC端子19dの出力信号の分解能が不足する場合には、例えば出力縮小回路をDAC端子19dと増幅回路AP1のオペアンプの+端子との間に介挿して分解能をアップするようにしても良い。
【0081】
以上の構成を有する手振れ検知部13の処理手順を、図6を参照して順に説明する。
【0082】
(1)デジタル制御部19のIO端子19bからジャイロ130のスタンバイ端子13eにH信号を入力したスタンバイ状態で、ジャイロ130の電源供給端子13aに電源供給を開始する。
【0083】
(2)ジャイロ130のスタンバイ状態を維持しつつ、ジャイロ130の出力端子VOから出力されるVREF信号が安定するのを待つ(処理SQ1)。
【0084】
(3)信号処理回路133Aの出力GVOUTについてゼロレベル補正を行う(処理SQ2)。すなわち、上述したようにデジタル制御部19のDAC端子19dの出力電圧を調整して、ADC端子19aに入力される信号処理回路133Aの出力GVOUTが、A/Dコンバータの入力レンジのセンター値付近になるようにする。これにより、手振れ信号の基準レベルに相当する角速度のゼロレベルを決定できる。そして、このゼロレベル補正が完了した後に、次の動作(4)のようにジャイロ130のスタンバイ状態が解除されることとなる。
【0085】
(4)ジャイロ130の角速度検知メカニズム134が安定する(ジャイロ130の電源オンから一定時間が経過すれば安定したものとする)のを待って、デジタル制御部19のIO端子19bからジャイロ130のスタンバイ端子13eにL信号を入力し、スタンバイ状態を解除する。
【0086】
(5)ジャイロ130の内部回路の切替わり時間を待って、ジャイロ130の通常の振れ検出状態で撮像装置1Aの振れ検出を行う(処理SQ3〜4)。
【0087】
以上のような信号処理回路133A他の動作により、ジャイロ130の電源がオンされ角度速度検知メカニズム134の振動が開始されると、スタンバイ状態に設定して手振れ検出に必要な角速度のゼロレベル補正が行われるため、角度速度検知メカニズムの振動が定常状態となって安定するまでの間に、手振れ検知に必要な前処理を行えることとなる。その結果、手振れセンサを起動してから手振れ検知開始までの時間を短縮できる。
【0088】
<撮像装置1Aの動作>
図7および図8は、撮像装置1Aの基本的な動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、撮像装置1Aにおいては、撮影時に手振れ補正を行う手振れ補正モードに設定されているものとする。
【0089】
図7に示すように再生モードなどの他の機能モードからカメラモードにモード切替えが行われる際には、撮像装置1Aにおいて次の動作(a1)〜(a4)を順次に行う。
【0090】
(a1)他の機能モードからカメラモード(撮影モード)に切替えられると、ジャイロ130のスタンバイ端子13eにはデジタル制御部19のIO端子19bからH信号が入力されているため、ジャイロ130をスタンバイ状態に設定してジャイロ130の電源をオンするとともに、信号処理回路133Aの電源をオンして角速度のゼロレベル補正を行う(処理SE1)。すなわち、ジャイロ130の電源がオンされて角速度検知メカニズム134の振動が開始されると角速度信号の基準レベルを決定する処理が行われる。ここで、ジャイロ130の電源をオンした後に、角速度検知メカニズム134の共振が安定する時間(0.5秒程度)が経過すると、角速度信号は正常状態に移行することとなる。
【0091】
(a2)ゼロレベル補正が完了すれば、信号処理回路133Aの電源をオフにする(処理SE2)。この場合、信号処理回路133Aは第3・第4実施形態のようなHPFを有していないため、信号処理回路133Aの起動時間は非常に短い時間となり、電源オフを行っても問題がない。
【0092】
(a3)レリーズ釦15の全押し(S2オン)が行われると、この撮影指示に応答して信号処理回路133Aの電源をオンにするとともに、デジタル制御部19のIO端子19bからジャイロ130のスタンバイ端子13eにL信号を入力して、ジャイロ130を通常の手振れ検知状態に移行させる。
【0093】
(a4)ジャイロ130および信号処理回路133Aが安定化する時間(例えば20ms程度)を待って、手振れ検出動作を開始する(処理SE3〜4)。これにより、レリーズのタイムラグなしでの手振れ補正が行えることとなる。
【0094】
図8に示すように撮影終了時やカメラモードから再生モードなどの他の機能モードにモード切替えが行われる際には、次の動作(b1)〜(b4)を順次に行う。
【0095】
(b1)S2オフが行われて撮影が終了する際には、信号処理回路133Aの電源をオフする(処理SE5)。
【0096】
(b2)S2オフが行なわれてから例えば2秒の時間(所定の時間)Tpが経過する場合には、次の連続撮影はないと考えられるため、ジャイロ130をスタンバイ状態に設定する。すなわち、次の撮影時においてジャイロ130の高速起動を行うために、ジャイロ130の電源はオン状態としてスタンバイ状態に移行させる。
【0097】
(b3)次にS2オンが行われると、即座に信号処理回路133Aの電源オンを行うとともにジャイロ130のスタンバイを解除し、安定化時間(例えば20ms)が経過するのを待って、手振れ補正動作に移行する(処理SE6〜7)。すなわち、撮影モードにおいて信号処理回路133Aの電源オフが行われジャイロ130のスタンバイ状態に設定された後に撮影指示が行われる場合には、信号処理回路133Aの電源をオンにした後に、ジャイロ130のスタンバイ状態を解除して手振れ補正を行う。
【0098】
(b4)カメラモードから他の機能モードに切替えられる際には、スタンバイ端子13eにH信号を入力しスタンバイ状態に設定してジャイロ130の電源をオフするとともに、信号処理回路133Aの電源をオフする。これにより、次にジャイロ130が起動される場合には、スタンバイ状態で起動されることとなる。
【0099】
以上のような撮像装置1Aの動作により、カメラモードに切替えられる際にはスタンバイ状態でジャイロを起動し角速度のゼロレベル補正を行って撮影に備えるため、手振れセンサの制御を適切に行える。また、S2がオフ(撮影終了状態)された場合には、まずは起動時間の短い信号処理回路133Aの電源をカットし、その後ジャイロをスタンバイ状態にして待機するというシーケンスを実施するため、再びS2オン状態となった場合にも、ジャイロの発振安定待ちを行わずとも直ぐに手振れ補正を実行でき、また消費電流も少ない最適制御が可能となる。
【0100】
この撮像装置1Aの信号処理回路133Aについては、低周波の出力ドリフトが小さく低周波振れが可能で、オフセットのバラツキや変動が多少あるジャイロの信号処理に適している。また、信号処理回路133Aは、第3・第4実施形態のようなハイパス・フィルタ(HPF)を備えないため、安定化時間が短く、低周波の振れやパンニング(撮影の構図変更を目的としたカメラの移動動作)、流し撮りへの対応が容易となる。
【0101】
以上の撮像装置1Aにおいては、工場出荷時などに角速度のゼロ補正を行うのが好ましいが、この補正の処理手順を、図9を参照して順に説明する。
【0102】
(1)撮像装置1Aを振動がない状態にセットする。すなわち、手振れ検知部13を静止状態として保持する。
【0103】
(2)デジタル制御部19のIO端子19bからジャイロ130のスタンバイ端子13eにH信号を入力した状態で、ジャイロ130の電源供給端子13aに電源供給を開始する。
【0104】
(3)ジャイロ130をスタンバイ状態に維持しつつ、ジャイロ130の出力端子VOから出力されるVREF信号が安定するのを待つ(処理SQ11)。
【0105】
(4)ジャイロ130のスタンバイ端子13eに、H信号、L信号を交互に入力して信号処理回路133Aの出力GVOUTにおける各電圧レベルを検出する(処理SQ12)。具体的には、例えば温度T=25℃の環境においてP1時点での信号処理回路133Aの出力値ωostと、P2時点での信号処理回路133Aの出力値ωonmとを検出する。なお、L信号によるジャイロ130のスタンバイ解除は、角速度検知メカニズム134が安定してから行う。
【0106】
(5)H/L信号によるスタンバイ状態およびスタンバイ解除状態における信号処理回路133Aの各出力値ωost、ωonmのレベル差Δωoを求めて、撮像装置1Aのデジタル制御部19内のメモリに記憶する(処理SQ13)。
【0107】
以上のように撮像装置1Aの工場出荷時にΔωoを記憶すれば、撮影者が実際に撮影する場合には、ジャイロ130のスタンバイ状態における信号処理回路133Aの出力値ωostを検出することにより、角速度ゼロレベルωoが、以下の(式1)で算出できることとなる。
【0108】
ωo=ωost+Δωo・・・・・・・・・(式1):
このように、撮像装置1Aにおいてスタンバイ状態・解除状態におけるレベル差Δωoを記憶すると、HPFが設けられていない回路構成の信号処理回路133Aでも、正確な角速度ゼロレベルを精度良く求められ、非常に低周波数からの手振れ補正が可能となる。
【0109】
すなわち、ジャイロ130のスタンバイ状態に設定して出力端子VOから出力されるVREF信号の信号レベルを検出するとともに、スタンバイ状態を解除して出力端子VOから出力される角速度信号の信号レベルを検出し、これらのレベル差を、手振れ検知部13の静止状態に対応した角速度信号のゼロレベル(基準レベル)の情報として記憶するため、手振れ検知部13の調整を高精度に行えることとなる。
【0110】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る撮像装置1Bについては、図1に示す第1実施形態の撮像装置1Aと類似の構成を有しているが、信号処理回路の構成が異なっている。
【0111】
すなわち、撮像装置1Bの信号処理回路133Bは、第1実施形態の信号処理回路133Aに対して、デジタル制御部19によるオフセット調整が省略された構成となっている。この信号処理回路133Bの構成について、以下で詳しく説明する。
【0112】
図10は、信号処理回路133Bの構成を示す図である。
【0113】
信号処理回路133Bは、オペアンプを有する増幅回路AP2を備えている。この増幅回路AP1は、ジャイロ130の出力端子13dからの出力信号を例えば75倍の増幅率(ゲイン)で増幅するとともに、カットオフ周波数fc=100Hzの特性を有するローパス・フィルタ(LPF)として機能する。なお、信号処理回路133Bで信号処理の対象となるジャイロ130は、低周波出力ドリフトが小さく低周波の振れ検出が可能で、オフセットのバラツキや変動が非常に小さいジャイロであるのが好ましい。
【0114】
このように増幅回路AP2は、ジャイロ130の出力信号を75倍に増幅するため、オフセットの電圧変化も75倍に増幅されることとなる。ここで、ジャイロ130のオフセット変動が非常に小さい場合には、VREF信号を基準として信号増幅処理を施せば、信号処理回路133Bの出力GVOUTのオフセット電圧もADC端子19aを介して入力されるA/Dコンバータの入力レンジの略中央レベルとなる。
【0115】
そこで、増幅回路AP2のオペアンプの+端子にジャイロ130のVREF端子13cを介してVREF信号を入力することとし、VREF信号に相当する角速度ゼロレベルが安定した後に、ジャイロ130の手振れ検出動作に移行する。
【0116】
以上の構成を有する手振れ検知部13の処理手順を、図11を参照して順に説明する。
【0117】
(1)デジタル制御部19のIO端子19bからジャイロ130のスタンバイ端子13eにH信号を入力したスタンバイ状態で、ジャイロ130の電源供給端子13aに電源供給を開始する。
【0118】
(2)ジャイロ130のスタンバイ状態を維持しつつ、ジャイロ130の出力端子VOから出力されるVREF信号が安定するのを待つ(処理SQ21)。
【0119】
(3)信号処理回路133Bの出力GVOUTについてゼロレベルの補正を行う(処理SQ22)。すなわち、ジャイロ130の個体のバラツキや温度変動に起因して多少変動するオフセット電圧について、デジタル制御部19のADC端子19aを介して検出し、角速度ゼロレベル(ωo)として撮像装置1Bのデジタル制御部19内のメモリに記憶する。
【0120】
(4)ジャイロ130の角速度検知メカニズム134が安定するのを待って、デジタル制御部19のIO端子19bからジャイロ130のスタンバイ端子13eにL信号を入力し通常角速度検出状態に移行させる。
【0121】
(5)ジャイロ130の内部回路の切替わり時間を待って、撮像装置1Bの振れ検出を行う(処理SQ23〜24)。
【0122】
以上のような信号処理回路133B他の動作により、ジャイロ130の電源がオンされるとスタンバイ状態に設定して角速度のゼロレベル補正が行われるため、角度速度検知メカニズムの振動が定常状態となって安定するまでの間に、手振れ検知に必要な前処理を行えることとなる。その結果、手振れセンサを起動してから手振れ検知開始までの時間を短縮できる。
【0123】
また、撮像装置1Bの基本的な動作については、第1実施形態の撮像装置1Aと同様の動作を行う。すなわち、撮像装置1Bにおいては、図7および図8に示す動作が行われることとなる。
【0124】
以上のような撮像装置1Bの動作により、第1実施形態の撮像装置1Aと同様に、カメラモードに切替えられる際にはスタンバイ状態でジャイロを起動し角速度のゼロレベル補正を行って撮影に備えるとともに、撮影完了から所定時間経過すればジャイロのスタンバイ状態に移行させて待機するため、起動時間の高速化を確保しつつ消費電力の低電力化が図れるという手振れ検知センサについての最適な制御を実現できる。
【0125】
この撮像装置1Bの信号処理回路133Bについては、第1実施形態と同様に、ハイパス・フィルタ(HPF)を備えないため、安定化時間が短く、低周波の振れやパンニング(撮影の構図変更を目的としたカメラの移動動作)、流し撮りへの対応が容易となる。
【0126】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る撮像装置1Cについては、図1に示す第1実施形態の撮像装置1Aと類似の構成を有しているが、信号処理回路の構成が異なっている。
【0127】
すなわち、撮像装置1Cの信号処理回路133Cは、第1実施形態の信号処理回路133Aに対して、ハイパス・フィルタ(HPF)および増幅回路が1つ追加されている。この信号処理回路133Cでは、HPFを介して信号増幅処理を施せるが、信号処理回路133Cの構成について以下で詳しく説明する。
【0128】
図12は、信号処理回路133Cの構成を示す図である。
【0129】
信号処理回路133Cは、オペアンプを有する2つの増幅回路AP11、AP12と、フィルタ回路FLとを備えている。
【0130】
増幅回路AP11は、HPFの前段に設けられており、ジャイロ130の出力端子13dからの出力信号を例えば3倍の増幅率(ゲイン)で増幅するとともに、カットオフ周波数fc=1kHzの特性を有するローパス・フィルタ(LPF)として機能する。また、増幅回路AP11は、第1実施形態の増幅回路AP1と同様に、デジタル制御部19のDAC端子19dからの電圧を調整して角速度信号の直流成分に関する信号レベルの調整が可能な構成となっている。
【0131】
増幅回路AP12は、HPFの後段に設けられており、ハイパス・フィルタFLの出力信号を例えば25倍の増幅率で増幅するとともに、カットオフ周波数fc=100Hzの特性を有するローパス・フィルタ(LPF)として機能する。
【0132】
フィルタ回路FLは、コンデンサCNおよび抵抗R1からなり、カットオフ周波数fc=0.3Hzの特性を有するHPFとして構成されており、抵抗R2およびスイッチSWからなる急速充電回路の接続が可能となっている。
【0133】
急速充電回路は、HPFの抵抗R1に対して約1/100程度の抵抗値を有する抵抗R2が設けられており、信号処理回路133Cの起動時にはデジタル制御部19のIO端子19eからの出力信号(/CHPF信号のL信号)によりスイッチSWがオンされる。このようにスイッチSWをオンにして急速充電回路をHPFに接続することにより、コンデンサCNに対して電荷を急速に供給できる。そして、コンデンサCNに対する電荷供給終了(チャージ終了)後には、IO端子19eからの出力信号(/CHPF信号のH信号)によりスイッチSWがオフされて、コンデンサCNおよび抵抗R1からなるHPFを正規状態(正常状態)にする。なお、スイッチSWのオフによるフィルタ回路FLの出力変動を抑制するため、コンデンサCNの両端の電位を一定にすることを目的として、コンデンサCNの電位をADC端子19fを介してデジタル制御部19で検出してDAC端子19dからの電圧調整にフィードバックさせている。
【0134】
このようなフィルタ回路FLの構成により、回路の安定化に必要な時間を大幅に短縮できることとなる。
【0135】
以上のような構成を有する信号処理回路133Cにおいては、ジャイロ130の出力端子13dにおける直流成分の信号(DC信号)が多少変動しても、HPFを有するフィルタ回路FLによってDC変動が吸収できる。
【0136】
以上の構成を有する手振れ検知部13の処理手順を、図13を参照して順に説明する。
【0137】
(1)デジタル制御部19のIO端子19bからジャイロ130のスタンバイ端子13eにH信号を入力したスタンバイ状態で、ジャイロ130の電源供給端子13aに電源供給を開始する。また、デジタル制御部19のIO端子19eから/CHPF信号のL(Low)信号を出力し、フィルタ回路FLの急速充電を開始する。
【0138】
(2)ジャイロ130のスタンバイ状態を維持しつつ、ジャイロ130の出力端子VOから出力されるVREF信号が安定するのを待つ(処理SQ31)。
【0139】
(3)フィルタ回路FLのコンデンサCNの入力電圧を、信号処理回路133Cの回路基準電圧ICVrefのレベル付近に調整する(処理SQ32)。具体的には、コンデンサCNの入力電圧をデジタル制御部19のADC端子19fでモニタしつつデジタル制御部19のDAC端子19dの出力電圧を調整して、コンデンサCNの入力電圧を回路基準電圧ICVrefのレベル付近に制御する。
【0140】
(4)デジタル制御部19のIO端子19eから出力される/CHPF信号をH(High)信号に切替えて、HPFから急速充電回路を電気的に切離し標準状態のHPFに移行させる。そして、/CHPF信号の切替え後には、回路の電位変動が安定化する一定時間(例えば0.5秒)が経過してから、デジタル制御部19のADC端子19aを介して検出される信号処理回路133Cの出力レベルを角速度ゼロ(ωo)としてデジタル制御部19内のメモリに記憶する。
【0141】
(5)ジャイロ130の角速度検知メカニズム134が安定するのを待って、デジタル制御部19のIO端子19bからジャイロ130のスタンバイ端子13eにL信号を入力しジャイロ130のスタンバイ状態を解除して通常の角速度検出状態に移行させる。
【0142】
(6)ジャイロ130のスタンバイ解除から回路の安定化時間(例えば10ms)が経過した後に、振れ検出を開始する(処理SQ33〜34)。なお、スタンバイ状態の解除によって出力端子VOの出力電圧においてDCレベルが変動しても、フィルタ回路FLのHPFによりDC変動を吸収できるため、信号処理回路133Cの出力GVOUTに与える影響が小さい。
【0143】
以上のような信号処理回路133C他の動作により、ジャイロ130の電源がオンされ角度速度検知メカニズム134の振動が開始されると、スタンバイ状態に設定するとともに、急速充電回路によるコンデンサCNの充電動作を行い充電完了後に充電動作を停止する処理(前処理)を行うため、角度速度検知メカニズムの振動が定常状態となって安定するまでの間に、手振れ検知に必要な前処理を行えることとなる。その結果、手振れセンサを起動してから手振れ検知開始までの時間を短縮できる。
【0144】
<撮像装置1Cの動作>
図14および図15は、撮像装置1Cの基本的な動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、撮像装置1Cにおいては、手振れ補正モードに設定されているものとする。
【0145】
図14に示すように再生モードなどの他の機能モードからカメラモードにモード切替えが行われる際には、撮像装置1Cにおいて次の動作(a1)〜(a4)を順次に行う。
【0146】
(a1)他の機能モードからカメラモードに切替えられると、ジャイロ130のスタンバイ端子13eにはデジタル制御部19のIO端子19bからH信号が入力されているため、ジャイロ130をスタンバイ状態に設定して、ジャイロ130の電源をオンするとともに、信号処理回路133Aの電源をオンして角速度信号の基準レベルを決定する処理である角速度のゼロレベル補正を行う(処理SE11)。このように手振れ補正モードに設定されている場合において、撮影指示の前には処理時間を要するゼロレベル補正が完了しており、またジャイロ130は消費電力の少ないスタンバイ状態に設定されているため、電力消費を抑えつつ撮影時の手振れ補正を迅速に開始できることとなる。
【0147】
ここで、フィルタ回路FLの処理については、まずデジタル制御部19のIO端子19eから/CHPF信号のL信号を出力してフィルタ回路FLの急速充電(チャージ)状態とし、次に充電完了時間が経過してから/CHPF信号をH信号に切替えて、フィルタ回路FLをHPFとする標準状態に移行させる。すなわち、他の機能モードから撮影モードに切替えられる際には、ジャイロ130をスタンバイ状態に設定し、急速充電回路によるコンデンサCNの充電動作を行うとともに、コンデンサCNの充電が完了した後には充電動作が停止されることとなる。
【0148】
(a2)回路の安定化時間を待つ(処理SE12)。すなわち、ジャイロ130の電源をオンした後に、角速度検知メカニズム134の発振が安定する時間(0.5秒程度)が経過するのを待つ。なお、信号処理回路133Cについては、第1・第2実施形態と異なるコンデンサCNのチャージ状態を維持する必要があるため、回路が安定化しても電源オンの状態を保持することとする。
【0149】
(a3)レリーズ釦15の全押し(S2オン)が行われると、デジタル制御部19のIO端子19bからジャイロ130のスタンバイ端子13eにL信号を入力して、ジャイロ130を通常の手振れ検知状態に移行させる。
【0150】
(a4)ジャイロ130および信号処理回路133Aが安定化する時間(例えば20ms程度)を待って、手振れ検出動作を開始する(処理SE13〜14)。これにより、レリーズのタイムラグなしでの手振れ補正が行えることとなる。
【0151】
図15に示すように撮影終了時やカメラモードから再生モードなどの他の機能モードにモード切替えが行われる際には、次の動作(b1)〜(b4)を順次に行う。
【0152】
(b1)S2オフが行われて撮影が終了してから例えば2秒の時間Tgが経過する場合には、次の連続撮影がないと考えられるため、ジャイロ130を起動時間の短いスタンバイ状態に設定する。すなわち、次の撮影時においてジャイロ130の高速起動を行うために、ジャイロ130の電源はオン状態としてスタンバイ状態に移行させる。
【0153】
(b2)S2オフが行われた後に、例えば10秒の時間Tgが経過する場合には、撮影がほぼ終了したと判断できるため、デジタル制御部19のIO端子の/CHPF信号をL信号に切替えるとともにジャイロ130および信号処理回路133Cの電源をオフにする。このように、スタンバイ状態に設定されてから例えば8秒の時間が経過する場合には、急速充電回路をコンデンサCNに接続する状態に設定して信号処理回路133Cの電源をオフすることにより、省電力を図れるとともに、次の回路起動に備えた状態に設定できる。
【0154】
なお、S2オフから10秒以内に、再度S2オンが行われた場合には、回路電源がオフされていないため手振れ検出部13の起動を高速に行える。
【0155】
(b3)S2オフから10秒以上経過した後にS2オン動作が行われる場合には、即座にジャイロ130および信号処理回路133Cの電源オンを行ってから、信号処理回路133CのコンデンサCNのチャージ制御、つまり/CHPF信号のL信号からH信号への切替え制御を行い、ジャイロ130のスタンバイ解除を行う。すなわち、信号処理回路133Cの電源オン動作、急速充電回路によるコンデンサCNの充電動作、スタンバイ状態の解除の順に処理が実行される。この一連の処理により、S2オンから約0.5秒で、手振れ補正が行える状態に移行できることとなる。
【0156】
(b4)カメラモードから他の機能モードに移行する場合には、ジャイロ130の電源をオフするとともに、信号処理回路133Aの電源をオフする。そして、次の手振れ検知部13の起動に備えて、デジタル制御部19からジャイロ130のスタンバイ端子13eにH信号を出力するとともに、/CHPF信号をL(Low)信号として出力する。すなわち、撮影モードから他の機能モードに切替えられる際には、スタンバイ状態に設定してジャイロ130の電源をオフするとともに、急速充電回路をコンデンサCNに接続する状態に設定して信号処理回路133Cの電源がオフされることとなる。
【0157】
以上のような撮像装置1Cの動作により、カメラモードに切替えられる際にはスタンバイ状態でジャイロを起動しHPFのコンデンサを急速充電するとともに、撮影完了から所定時間経過すればジャイロをスタンバイ状態に移行させるため、撮影モードにおける手振れ検知センサの制御として高速起動と消費電力の低減との両立が実現できる。
【0158】
この撮像装置1Cの信号処理回路133Cについては、オフセットのバラツキや変動が大きいジャイロの信号処理に適している。また、信号処理回路133Cは、フィルタ回路FLには急速充電回路が設けられているため、HPFの急速充電を行え、手振れ検出開始までの起動時間を短縮できる。
【0159】
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態に係る撮像装置1Dについては、図1に示す第3実施形態の撮像装置1Cと類似の構成を有しているが、信号処理回路の構成が異なっている。
【0160】
すなわち、撮像装置1Dの信号処理回路133Dは、第3実施形態の信号処理回路133Cに対して、デジタル制御部19による増幅回路のオフセット調整が省略された構成となっている。この信号処理回路133Dの構成について、以下で詳しく説明する。
【0161】
図16は、信号処理回路133Dの構成を示す図である。
【0162】
信号処理回路133Dは、増幅回路AP21と、第3実施形態と同様の構成を有する増幅回路AP12およびフィルタ回路FLとを備えている。
【0163】
増幅回路AP21は、HPFの前段に設けられており、ジャイロ130の出力端子13dからの出力信号を例えば3倍の増幅率(ゲイン)で増幅するとともに、カットオフ周波数fc=1kHzの特性を有するローパス・フィルタ(LPF)として機能する。また、増幅回路AP21は、第2実施形態の増幅回路AP2と同様に、ジャイロ130のVREF信号を基準とした信号増幅処理を施せる構成となっている。
【0164】
信号処理回路133Bで信号処理の対象となるジャイロ130は、オフセットの変動があるがVREF信号の変動にはリンクしているジャイロであるのが好ましいが、このようなジャイロでは、ジャイロの出力端子VOのDCレベルとVREF端子との電位差があまり大きくないため、信号処理回路133Dにおいて第3実施形態のように初段の増幅回路AP21でのDCレベル調整は不要となる。また、増幅回路AP21のオペアンプの+端子の入力電位が一定であれば、フィルタ回路FLのコンデンサCNの両端の電位も略一定にできるため、スイッチSWのオフによるフィルタ回路FLの出力変動を抑制できることとなる。
【0165】
以上の構成を有する手振れ検知部13の処理手順を、図17を参照して順に説明する。
【0166】
(1)デジタル制御部19のIO端子19bからジャイロ130のスタンバイ端子13eにH信号を入力したスタンバイ状態で、ジャイロ130の電源供給端子13aに電源供給を開始する。また、デジタル制御部19のIO端子19eから/CHPF信号のL(Low)信号を出力し、フィルタ回路FLの急速充電を開始する。
【0167】
(2)ジャイロ130のスタンバイ状態を維持しつつ、ジャイロ130の出力端子VOから出力されるVREF信号が安定するのを待つ(処理SQ41)。なお、この待ち時間については非常に短い時間であり、ほとんど時間待ちなしでも良い。
【0168】
(3)デジタル制御部19のIO端子19eから出力される/CHPF信号をH(High)信号に切替えて、標準状態のHPFに移行させる(処理SQ42)。そして、/CHPF信号の切替え後には、回路の電位変動が安定化する一定時間(例えば0.5秒)が経過してから、デジタル制御部19のADC端子19aを介して検出される信号処理回路133Cの出力レベルを、角速度ゼロ(ωo)として撮像装置1C内に記憶する角速度のゼロレベル補正を行う。
【0169】
(4)ジャイロ130の角速度検知メカニズム134が安定するのを待って、デジタル制御部19のIO端子19bからジャイロ130のスタンバイ端子13eにL信号を入力しジャイロ130を通常の角速度検出状態に移行させる。
【0170】
(5)ジャイロ130のスタンバイ解除から回路安定化時間(例えば10ms)が経過した後に、振れ検出を開始する(処理SQ43〜44)。なお、スタンバイ状態の解除によって出力端子VOの出力電圧においてDCレベルが変動しても、フィルタ回路FLのHPFによりDC変動を吸収できるため、信号処理回路133Dによって出力GVOUTに与える影響を小さくできる。
【0171】
以上のような信号処理回路133D他の動作により、ジャイロ130の電源がオンされ角度速度検知メカニズム134の振動が開始されると、スタンバイ状態に設定するとともに、急速充電回路によるコンデンサCNの充電動作を行い充電完了後に充電動作を停止する処理(前処理)を行うため、角度速度検知メカニズムの振動が定常状態となって安定するまでの間に、手振れ検知に必要な前処理を行えることとなる。その結果、手振れセンサを起動してから手振れ検知開始までの時間を短縮できる。
【0172】
また、撮像装置1Dの基本的な動作については、第3実施形態の撮像装置1Cと同様の動作を行う。すなわち、撮像装置1Dにおいては、図14および図15に示す動作が行われることとなる。
【0173】
以上のような撮像装置1Dの動作により、第3実施形態の撮像装置1Cと同様に、カメラモードに切替えられる際にはスタンバイ状態でジャイロを起動しHPFのコンデンサを急速充電するとともに、撮影完了から所定時間経過すればジャイロをスタンバイ状態に移行させるため、撮影モードにおける手振れ検知センサの制御として高速起動と消費電力の低減との両立が実現できる。
【0174】
この撮像装置1Dの信号処理回路133Dについては、フィルタ回路FLには急速充電回路が設けられているため、HPFの急速充電を行え、手振れ検出開始までの起動時間を短縮できる。
【0175】
<変形例>
◎上記の各実施形態におけるジャイロにおいては、図18に示すタイマを有するものでも良い。
【0176】
図18は、本発明の変形例に係るジャイロ130Aの構成を示すブロック図である。
【0177】
ジャイロ130Aについては、図2に示すジャイロ130と類似の構成を有しているが、タイマ137が付加されている点が異なっている。
【0178】
このタイマ137は、電源供給端子13aに電力供給が開始されてからの時間を計測するためのものである。このタイマ137により、ジャイロ130の電源がオンされて角速度検知メカニズム134の振動が開始されてからの経過時間を計測できるため、角速度検知メカニズム134が安定するまでの安定化時間(例えば1秒)を過ぎたか否かを判定できることとなる。そして、振動開始からの経過時間が安定化時間内である場合には、ジャイロ130AにおいてVREF回路135で生成されたVREF信号を強制的に出力端子13dから出力する。
【0179】
以上のようなジャイロ130Aにより、角速度メカニズム134が不安定な時期におけるイレギュラーな角速度信号を出力端子13dから出力することを防止でき、角速度信号の誤検知に基づく手振れ補正のミスを回避できることとなる。
【0180】
◎上記の各実施形態においては、デジタルカメラに適用するのみでなく、撮像機能を有し撮影時に手振れ補正を行える携帯電話などに適用するようにしても良い。この場合には、図7に示す他のモードとは、通話モード等が相当することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】本発明の第1実施形態に係る撮像装置1Aの機能構成を示すブロック図である。
【図2】ジャイロ130の構成を示すブロック図である。
【図3】ジャイロ130と信号処理回路133Aとデジタル制御部19との関係を説明するための図である。
【図4】ジャイロ130の出力変化を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】信号処理回路133Aの構成を示す図である。
【図6】手振れ検知部13の処理手順を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】撮像装置1Aの基本的な動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】撮像装置1Aの基本的な動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】手振れ検知部13における角速度のゼロ補正の手順を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】本発明の第2実施形態に係る撮像装置1Bの信号処理回路133Bの構成を示す図である。
【図11】手振れ検知部13の処理手順を説明するためのタイミングチャートである。
【図12】本発明の第3実施形態に係る撮像装置1Cの信号処理回路133Cの構成を示す図である。
【図13】手振れ検知部13の処理手順を説明するためのタイミングチャートである。
【図14】撮像装置1Cの基本的な動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図15】撮像装置1Cの基本的な動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図16】本発明の第4実施形態に係る撮像装置1Dの信号処理回路133Dの構成を示す図である。
【図17】手振れ検知部13の処理手順を説明するためのタイミングチャートである。
【図18】本発明の変形例に係るジャイロ130Aの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0182】
1A〜1D 撮像装置
11 イメージセンサ
13 手振れ検出部
15 レリーズ釦
19 デジタル制御部
130 ジャイロ
133A〜133D 信号処理回路
134 角速度検知メカニズム
135 VREF回路
136 角速度検知回路
137 タイマ
13a 電源供給(GVDD)端子
13c VREF端子
13d 出力(VO)端子
13e スタンバイ(STBY)端子
AP1、AP2、AP11、AP12、AP21 増幅回路
CN コンデンサ
FL フィルタ回路
R1、R2 抵抗
SW スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手振れ信号を出力する手振れ検知装置であって、
(a)特定部材の振動が可能な振動機構と、
(b)前記振動機構から得られる手振れ情報に基づき前記手振れ信号を生成する手振れ検知手段と、
を備え、
前記手振れ検知手段は、
(b-1)前記特定部材を駆動して振動制御を行う駆動手段と、
(b-2)前記特定部材の振動から得られる手振れ情報に対して所定の処理を施し、前記手振れ信号を生成する処理手段と、
(b-3)前記駆動手段を能動化させるとともに前記処理手段を不能化させる待機状態に設定する待機状態設定手段と、
(b-4)前記駆動手段を能動化して前記特定部材の振動が開始されると、前記待機状態設定手段により前記待機状態に設定し、前記手振れ検出に必要な所定の前処理を行う前処理手段、
を有することを特徴とする手振れ検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の手振れ検知装置において、
前記所定の前処理は、前記手振れ信号の基準レベルを決定する処理であることを特徴とする手振れ検知装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の手振れ検知装置において、
前記手振れ検知手段は、
(b-5)前記所定の前処理が完了した後には、前記待機状態を解除する手段、
を有することを特徴とする手振れ検知装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の手振れ検知装置において、
(c)前記手振れ信号に対して所定の信号処理を施し、前記手振れ検知装置から出力する信号処理手段、
をさらに備えることを特徴とする手振れ検知装置。
【請求項5】
請求項4に記載の手振れ検知装置において、
前記信号処理手段は、
(c-1)ハイパス・フィルタを介さずに前記手振れ信号に対し信号増幅処理を施して出力する増幅回路、
を有することを特徴とする手振れ検知装置。
【請求項6】
請求項5に記載の手振れ検知装置において、
前記増幅回路は、前記手振れ信号の直流成分に関する信号レベルの調整が可能であることを特徴とする手振れ検知装置。
【請求項7】
請求項5に記載の手振れ検知装置において、
(d)前記手振れ信号の基準レベルに対応する基準信号を生成する基準信号生成手段、
をさらに備え、
前記増幅回路は、前記基準信号を基準とした信号増幅処理を施すことを特徴とする手振れ検知装置。
【請求項8】
請求項4に記載の手振れ検知装置において、
前記信号処理手段は、
(c-2)ハイパス・フィルタを介して前記手振れ信号に対し信号増幅処理を施して出力する増幅回路、
を有することを特徴とする手振れ検知装置。
【請求項9】
請求項8に記載の手振れ検知装置において、
前記ハイパス・フィルタは、前記ハイパス・フィルタに設けられたコンデンサを充電するための充電回路を有しており、
前記所定の前処理は、前記充電回路による前記コンデンサの充電動作を行い、充電完了後に前記充電動作を停止する処理であることを特徴とする手振れ検知装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の手振れ検知装置において、
前記増幅回路は、
前記ハイパス・フィルタの前段に設けられ、前記手振れ信号の直流成分に関する信号レベルの調整が可能な第1増幅回路と、
前記ハイパス・フィルタの後段に設けられた第2増幅回路と、
を有することを特徴とする手振れ検知装置。
【請求項11】
請求項8または請求項9に記載の手振れ検知装置において、
(d)前記手振れ信号の基準レベルに対応する基準信号を生成する基準信号生成手段、
をさらに備え、
前記増幅回路は、
前記ハイパス・フィルタの前段に設けられ、前記基準信号を基準とした信号増幅処理を施す第1増幅回路と、
前記ハイパス・フィルタの後段に設けられた第2増幅回路と、
を有することを特徴とする手振れ検知装置。
【請求項12】
手振れ信号を出力端子から出力する手振れ検知装置であって、
(a)特定部材の振動が可能な振動機構と、
(b)前記特定部材を駆動して振動制御を行うとともに、前記特定部材の振動から得られる手振れ情報に対して所定の処理を施し、前記手振れ信号を生成する手振れ検知手段と、
(c)前記手振れ信号の基準レベルに対応する基準信号を生成する基準信号生成手段と、
(d)前記特定部材の振動開始からの経過時間を計測する計時手段と、
を備え、
前記手振れ検知手段は、
(b-1)前記振動開始からの経過時間が所定の時間内である場合には、前記基準信号を前記出力端子から出力する出力手段、
を有することを特徴とする手振れ検知装置。
【請求項13】
特定部材の振動が可能な振動機構と、前記振動機構から得られる手振れ情報に基づき前記手振れ信号を出力端子から出力する手振れ検知手段とを備える手振れ検知装置の調整方法であって、
(a)前記手振れ検知装置を静止状態に保持する保持工程と、
(b)前記静止状態に対応する前記手振れ信号の基準レベルの情報を記憶する記憶工程と、
を備え、
前記手振れ検知装置は、
前記手振れ信号の基準レベルに対応する基準信号を生成する基準信号生成手段、
をさらに備えるとともに、
前記手振れ検知手段は、
前記特定部材を駆動して振動制御を行う駆動手段と、
前記特定部材の振動から得られる手振れ情報に対して所定の処理を施し、前記手振れ信号を生成する処理手段と、
前記駆動手段を能動化させ前記処理手段を不能化させるとともに、前記基準信号を前記出力端子から出力する待機状態に設定する待機制御手段と、
を有しており、
前記保持工程は、
(a-1)前記静止状態において、前記待機状態に設定し前記出力端子から出力される基準信号の信号レベルを検出する第1検出工程と、
(a-2)前記静止状態において、前記待機状態を解除し前記出力端子から出力される手振れ信号の信号レベルを検出する第2検出工程と、
を有するとともに、
前記記憶工程において記憶する基準レベルの情報は、前記第1検出工程で検出した基準信号の信号レベルと、前記第2検出工程で検出した手振れ信号の信号レベルとのレベル差に関する情報であることを特徴とする手振れ検知装置の調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−145990(P2006−145990A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337881(P2004−337881)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】