手振れ補正ユニット
【課題】撮像素子あるいは撮像素子制御用電子部品からの熱が十分に放熱され、良好な撮像信号が得られる手振れ補正ユニットを提供する。
【解決手段】撮像素子を変位させて手振れ補正動作を行なう手振れ補正ユニット3において、固定部材5と、撮像素子16と、上記撮像素子12の受光面に平行な面内におけるY方向に沿って固定部材5に対して変位可能に支持されるY可動枠8と、Y可動枠8を駆動するY駆動部7と、Y可動枠8と共にY方向に沿って変位可能であり、撮像素子16の受光面と平行な面内にて上記第一の方向と交差交するX方向に沿ってY可動枠8に対して変位可能に支持され、撮像素子16を支持するX可動枠10と、X可動枠10を駆動するX駆動部9と、固定部材5に形状記憶合金からなる貫通部材12を介して固定された状態でX可動枠10と対向する位置に配置される放熱板11とを具備する。
【解決手段】撮像素子を変位させて手振れ補正動作を行なう手振れ補正ユニット3において、固定部材5と、撮像素子16と、上記撮像素子12の受光面に平行な面内におけるY方向に沿って固定部材5に対して変位可能に支持されるY可動枠8と、Y可動枠8を駆動するY駆動部7と、Y可動枠8と共にY方向に沿って変位可能であり、撮像素子16の受光面と平行な面内にて上記第一の方向と交差交するX方向に沿ってY可動枠8に対して変位可能に支持され、撮像素子16を支持するX可動枠10と、X可動枠10を駆動するX駆動部9と、固定部材5に形状記憶合金からなる貫通部材12を介して固定された状態でX可動枠10と対向する位置に配置される放熱板11とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手振れ補正ユニットの放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像素子を使用する撮像装置において、撮像動作が頻繁に繰り返された場合、撮像素子および撮像制御基板が高温になり、撮像信号にノイズ成分が増大する可能性がある。そのため、放熱構造を必要するが、特に上記撮像素子および撮像制御基板が可動である手振れ補正機構が組み込まれた撮像装置においては、可動体に対する放熱構造が必要となる。
【0003】
そこで、特許文献1に開示された撮像装置は、撮像素子を適用する可動の撮像ユニットを備えた手振れ補正機構が組み込まれた装置に関するものである。図23に示すように該撮像装置の撮像ユニット18Aは、装置外装体に固定支持される固定部材22Aに対して2次元駆動装置を介して変位可能に支持されており、カバーガラス50Aと、撮像素子42Aと、放熱板44Aと、信号処理回路基板46Aと、放熱シート52Aとを具備している。
【0004】
放熱板44Aは、撮像素子42Aの背面側に密着して配されている。放熱板44Aと信号処理回路基板46Aとの間には、所定のスペースSAを設けるためにスペーサ48Aが配されている。放熱シート52Aは、信号処理回路基板46Aの各制御素子に密着した配されてる。撮像素子42Aの熱は、主に放熱板44Aを経て、さらに、信号処理回路基板46Aの制御素子の熱は、主に放熱シート52Aを経て空気を介して装置外に放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−147685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に開示された撮像装置においては、撮像素子42Aおよび信号処理回路基板46Aの各制御素子の熱が主に一定隙間の空気を介して放熱されることから、必ずしも十分な放熱が期待できないといった問題があった。
【0007】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、撮像素子および撮像素子制御用電子部品からの熱が十分に放熱され、雑音のない良好な撮像信号が得られる手振れ補正ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の手振れ補正ユニットは、撮影光学系により結像される被写体像を受けて画像データを生成するための撮像素子を変位させて手振れ補正動作を行なう手振れ補正ユニットにおいて、固定部材と、上記撮像素子、および、または、該撮像素子の受光面に平行に配置された電子部品が固着されたプリント基板との少なくとも一方と、上記撮像素子の受光面に平行な面内における第1の方向に沿って上記固定部材に対して変位可能に支持される第一の可動部材と、上記第一の可動部材を駆動するための第一の駆動手段と、上記第一の可動部材と共に上記第一の方向に沿って変位可能であり、上記撮像素子の受光面、および、または、上記プリント基板の平面と平行な面内において、上記第一の方向に交差する第二の方向に沿って上記第一の可動部材に対して変位可能に支持され、上記撮像素子を支持する第二の可動部材と、上記第二の可動部材を駆動するための第二の駆動手段と、上記第二の可動部材と対向する位置に配される放熱部材と、上記固定部材と上記放熱部材とを連結し、固定する形状記憶合金からなる貫通部材とを具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、撮像素子あるいは撮像素子制御用電子部品からの熱が十分に放熱され、雑音のない良好な撮像信号が得られる手振れ補正ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一実施形態としての手振れ補正ユニットを内蔵するデジタルカメラの要部縦断面図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】図1のデジタルカメラに内蔵される手振れ補正ユニットにて放熱板と固定部材とを結合する貫通部材の結合部断面図
【図4】図1のデジタルカメラに内蔵される手振れ補正ユニットの撮像素子非動作状態における模式的断面図
【図5】図1のデジタルカメラに内蔵される手振れ補正ユニットの撮像素子動作状態における模式的断面図
【図6】図1のデジタルカメラに内蔵される手振れ補正ユニットの撮像素子動作状態にて該撮像素子が高温に達した状態における模式的断面図
【図7】図4の手振れ補正ユニットに組み込まれる適用される貫通部材の素材である形状記憶合金の温度に対する伸び率の変化を示す図
【図8】図4の手振れ補正ユニットにおける熱伝達経路図
【図9】図4の手振れ補正ユニットおよび従来の手振れ補正ユニットにおける外気温度に対する撮像素子と外気との温度差の変化を示す図
【図10】図4の手振れ補正ユニットおよび従来の手振れ補正ユニットにおける撮像素子発熱量に対する撮像素子と外気との温度差の変化を示す図
【図11】図4の手振れ補正ユニットにおける貫通部材が形状記憶合金である場合と、他種の金属である場合との各構造部材と外気との温度差を示す図
【図12】本発明の第二実施形態としての手振れ補正ユニットの撮像素子非動作状態における模式的断面図
【図13】図12の手振れ補正ユニットの撮像素子動作状態における模式的断面図
【図14】図12の手振れ補正ユニットにおける熱伝達経路図
【図15】図12の手振れ補正ユニットおよび従来の手振れ補正ユニットにおける外気温度に対する撮像素子と外気との温度差の変化を示す図
【図16】図12の手振れ補正ユニットおよび従来の手振れ補正ユニットにおける外気温度に対する制御基板ユニットと外気との温度差の変化を示す図
【図17】図12の手振れ補正ユニットおよび従来の手振れ補正ユニットにおける撮像素子発熱量に対する撮像素子と外気との温度差の変化を示す図
【図18】図12の手振れ補正ユニットおよび従来の手振れ補正ユニットにおける制御基板ユニット発熱量に対する制御基板ユニットと外気との温度差の変化を示す図
【図19】図12の手振れ補正ユニットにおける貫通部材が形状記憶合金である場合と、他の金属で或る場合との各構造部材と外気との温度差を示す図
【図20】本発明の第三実施形態としての手振れ補正ユニットの撮像素子動作状態における模式的断面図
【図21】図20の手振れ補正ユニットの撮像素子高温状態における模式的断面図
【図22】図20の手振れ補正ユニットにおける熱伝達経路図
【図23】従来の手振れ補正ユニットの要部縦断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。
本発明の一実施形態としての手振れ補正ユニットを内蔵する撮像装置であるデジタルカメラ1について、図1,2を用いて説明する。
【0012】
デジタルカメラ1は、手振れ補正ユニット3および撮像制御部(図示せず)を内蔵するカメラ外装体2と、撮影光学系である撮影レンズ31を内蔵する鏡筒部30とからなる。
【0013】
なお、図中、撮影レンズ31の光軸をOで示し、光軸O方向の被写体側を前方とし、光軸Oの結像側を後方(背面側)とする。また、光軸Oに対して垂直方向であって、通常のカメラ撮影姿勢にて左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とする。
【0014】
上記撮像制御部は、撮像素子16より出力される画像データ(撮像信号)を取り込み、画像処理を行って、記憶媒体(図示せず)に記録するための電気制御部であり、さらに、カメラ外装体2の手振れを検出するための手振れセンサを備えている。
【0015】
手振れ補正ユニット3は、カメラ外装体2に固定支持される固定部材5と、固定部材5に支持され、固定部材5に対して第一の方向であるY方向に変位な第一の可動部材としてのY可動枠8と、固定部材に配置され、Y可動枠8をY方向に駆動するための第一の駆動手段としてのY駆動部7と、Y可動枠8に支持され、Y可動枠8に対して第二の方向であるX方向に変位な第二の可動部材としてのX可動枠10と、Y可動枠8に支持され、X可動枠10をX方向に駆動するための第二の駆動手段としてのX駆動部9と、X可動枠10に固定支持される部材として光学フィルタ17、撮像素子支持板15および撮像素子16と、固定部材5に貫通部材12を介して支持され、撮像素子支持板15と光軸O方向に対向する状態で配置される放熱部材としての放熱板11とを備えている。
【0016】
固定部材5は、熱拡散性のよいアルミニウム合金、ステンレス鋼や銅合金、あるいは、高熱伝導性樹脂で形成され、カメラ外装体2に支持部6を介して固定されて配されている。
【0017】
Y駆動部7およびX駆動部9は、ステッピングモータやボイスコイルモータなどのアクチュエータからなり、それぞれY可動枠8、または、X可動枠10をY方向、または、X方向に沿って変位駆動する。
【0018】
Y可動枠8およびX可動枠10は、それぞれアルミニウム合金、あるいは、高熱伝導性樹脂で形成されている。
【0019】
撮像素子16は、撮影レンズ31により結像される被写体像を受けて画像データを生成するためのものであって、撮像素子受光面がXY平面に沿った状態で撮像素子支持板15に固着され、フレキシブル回路基板19を介して上記撮影制御部に接続されている。
【0020】
撮像素子支持板15は、アルミニウム合金で形成される平板形状の部材であり、該支持板の平面部が上記撮像素子受光面に平行、すなわち、XY平面に沿った状態でX可動枠10に固着されている。
【0021】
放熱板11は、熱拡散性のよいステンレス鋼板、銅板、高熱伝導性樹脂等からなる平板部材であり、該放熱板の平面部が撮像素子支持板15と平行であって、通常の撮像素子非動作および動作状態で離間した状態で配置される。そして、放熱板11の背面と固定部材5の前面の間には、Y可動枠8のY方向長孔8aを貫通する状態で複数本の貫通部材12が密着して固着される。
【0022】
貫通部材12は、形状記憶合金からなる部材であり、温度によってマルテンサイトからオーステナイトへの相変態中に生じる長さの変化を利用する。そして、XY平面上の断面積が大きく、かつ、熱伝導率が高いもの、少なくとも熱伝導率1W/mK以上のものが望ましい。本実施形態においては、総断面積20mm×20mm、長さ4mm、熱伝導率16W/mKのものを適用する。但し、貫通部材12の上記断面積は、放熱板11の平面部面積より小さいものとする。なお、貫通部材12の素材の温度に対する伸び率は図7に示される。貫通部材12は、後述するように放熱板11および固定部材5に対して接着、ネジ締結、あるいは、かしめにより固着される。
【0023】
貫通部材12の放熱板11および固定部材5との結合構造について、図3の結合部断面図を用いて説明する。貫通部材12の放熱板11側の端部は、放熱板11の凹部11aに嵌入し、接着固定される。一方、貫通部材12の固定部材5側の端部にはナット部材12aが接着固定されている。ナット部材12に固定部材5を当て付け、ビス18を螺着して、固定部材5に貫通部材12の端部が固定される。組み立て時には、予め、放熱板11に固着された貫通部材12をY可動枠8のY方向長孔8aに挿通させ、貫通部材12のナット部材12aに背面側から固定部材5を当て付け、ビス18により固定部材5に固定する。
【0024】
上述した構成を有するデジタルカメラ1にて、手振れ補正モードでの撮影を行う場合の動作について説明する。レリーズスイッチが押圧操作されてとき、上記手振れセンサによりカメラ外装体2の手振れが検出された場合、手振れユニット3にてカメラ外装体2の手振れ状態を補正するべく、Y駆動部7およびX駆動部9が駆動され、Y可動枠8、または、X可動枠10がY方向、または、X方向に変位駆動される。該変位動作中に撮像素子16の露光が行われる。撮像素子16より手振れ補正がなされた撮像信号が上記撮像制御部に出力され、撮影画像データが上記記憶媒体に記録される。
【0025】
ここで、上述した撮影動作が繰り返し行われ、撮像素子16の温度が上昇したときの放熱状態について、図4〜6,8を用いて説明すると、デジタルカメラ1の撮影開始直後状態、あるいは、撮影待機状態では、撮像素子16、あるいは、放熱板11を支持する貫通部材12の温度は、常温に近く、貫通部材12の光軸O方向の長さは、図7に示した伸び率特性上、比較的に短い状態となっている。従って、図4に示すように撮像素子支持板15と放熱板11との間は、比較的に大きい離間距離C0だけ離間している。
【0026】
その後、撮影が繰り返され、撮像素子16の温度が上昇すると、放熱板11を支持する貫通部材12の温度も上昇し、光軸O方向に伸びる。この貫通部材12の伸びにより撮像素子支持板15と放熱板11との間が接近し、図5に示すようにより狭い離間距離C1となる。このように撮像素子支持板15と放熱板11との間が接近すると、撮像素子16の熱は、撮像素子支持板15から放熱板11に伝熱しやすくなり、さらに、放熱板11の熱は、貫通部材12を通して固定部材5に伝熱され、外気に向けて放熱される。これによって撮像素子16の温度上昇は抑えられ、雑音のない良好な撮像信号が撮像素子16から出力される。
【0027】
また、長時間撮影が繰り返され、加えて外気温度も高いようなとき、撮像素子16が異常高温状態になり、雑音のない良好な撮像信号が出力できない状態、撮像不能状態になると、貫通部材12がさらに光軸O方向に伸び、図6に示すように放熱板11が撮像素子支持板15に接触する。この接触状態では、撮像素子16の熱は、撮像素子支持板15から放熱板11に伝熱されやすくなり、撮像素子16の温度が急速に低下する。そして、撮像素子16は、速やかに雑音のない良好な撮像信号を出力できる状態に戻される。
【0028】
本実施形態の手振れ補正ユニット3の撮像素子16の熱が外気に放熱される経路を図8の熱伝達経路図を用いて説明する。撮像素子16の熱は、撮像素子支持板15からX可動枠10、X駆動部9、Y可動枠8、Y駆動部7、固定部材5へ伝わり、一方、撮像素子支持板15から空気を介して、または、接触熱抵抗状態にて放熱板11、貫通部材12、固定部材5へ伝熱され、さらに、固定部材5から支持部6を介してカメラ外装体2へ、さらに、外気へ直接、または、空気を介して放熱される。
【0029】
本実施形態の手振れ補正ユニット3と従来の手振れ補正ユニットにおける外気温度に対する撮像素子と外気との温度差の変化について、パーソナルコンピュータ(以下、PCと記載)を用いたシミュレーションにより求めた結果を図9により説明する。
【0030】
図9において、特性線Eaは、従来の手振れ補正ユニットにて放熱板11なしの構造における外気温度に対する撮像素子と外気との温度差を示す。特性線Ebは、手振れ補正ユニットにて放熱板11を撮像素子支持板15に対して一定の離間距離を保って配置する構造における外気温度に対する撮像素子と外気との温度差を示す。特性線Ecは、本実施形態の手振れ補正ユニット3にて上述した放熱板11と撮像素子支持板15との離間距離が温度によって変化する構造を採用したときの外気温度に対する撮像素子と外気との温度差を示す。それぞれ撮像素子16の発熱量0.5Wの場合を示している。
【0031】
本実施形態の手振れ補正ユニット3では、上記従来のユニットに比較して撮像素子16と外気との温度差が少なく、かつ、外気温度が高くなった場合、撮像素子と外気との温度差は、上記従来のユニットでは略一定、すなわち、外気と共に撮像素子の温度が高くなるが、本実施形態の手振れ補正ユニット3の場合は下がっていく。すなわち、撮像素子16の温度が高くなる度合いが低い。
【0032】
また、本実施形態の手振れ補正ユニット3と従来の手振れ補正ユニットにおける撮像素子発熱量に対する撮像素子と外気との温度差の変化について、PCを用いたシミュレーションにより求めた結果を図10により説明する。
【0033】
図10において、特性線Faは、従来の手振れ補正ユニットにて放熱板11なしの構造における撮像素子発熱量に対する撮像素子16と外気との温度差を示す。特性線Fbは、従来の手振れ補正ユニットにて放熱板11を撮像素子支持板15に対して一定の離間距離を保って配置する構造における撮像素子発熱量に対する撮像素子16と外気との温度差を示す。特性線Fcは、本実施形態の手振れ補正ユニット3にて上述した放熱板11と撮像素子支持板15との離間距離が温度によって変化する構造を採用したときの撮像素子発熱量に対する撮像素子16と外気との温度差を示す。それぞれ外気温度40°Cの場合を示している。
【0034】
本実施形態の手振れ補正ユニット3では、上記従来のユニットの場合と同様に撮像素子発熱量が多いほど、撮像素子16と外気との温度差も大きくなるが、所定の撮像素子発熱量の範囲で、特に発熱量の高いところでの撮像素子16と外気との温度差は、上記従来のユニットよりも、本実施形態の手振れ補正ユニット3では少ない。すなわち、撮像素子16の温度がより低く抑えられる。
【0035】
次に形状記憶合金製の貫通部材を適用する本実施形態の手振れ補正ユニット3と形状記憶合金製ではない貫通部材を適用する手振れ補正ユニットとにおける各構成部材と外気との温度差について、PCを用いたシミュレーションにより求めた結果を図11により説明する。
【0036】
図11において、特性線Gdは、形状記憶合金ではない金属製の貫通部材を適用する手振れ補正ユニットの構造における各構成部材と外気との温度差を示す。特性線Gcは、形状記憶合金製の貫通部材を適用する本実施形態の手振れ補正ユニット3における各構成部材と外気との温度差を示す。それぞれ外気温度40°Cであって、撮像素子16の発熱量0.5Wである場合を示している。
【0037】
本実施形態の手振れ補正ユニット3の特性線Gcにおける撮像素子16と固定部材5との温度差mcは、外気との温度差で示される特性線Gdにおける撮像素子16と固定部材5との温度差mdよりも低く、本実施形態の手振れ補正ユニット3における撮像素子16の温度は、低く抑えられる。
【0038】
以上、説明したように本実施形態の手振れユニット3を内蔵するデジタルカメラ1によれば、撮像素子支持板15に対向して配される放熱板11を形状記憶合金製の貫通部材12で支える構造を採用して撮像素子16の作動温度により撮像素子支持板15と放熱板11との隙間を変化させ、撮像素子16の作動状態での伝熱性を向上させて撮像素子16を高温状態になりにくくする。また、万一、撮像素子16が異常高温状態に達したときには撮像素子支持板15に放熱板11を接触させ、撮像素子16を急速冷却することで速やかに撮像可能な状態に戻すことができる。
【0039】
なお、上述した第一実施形態の手振れ補正ユニット3において、貫通部材12を挿通させるためにY方向長孔8aを設けたY可動枠8を適用し、前述したように組み立て時に貫通部材12と固定部材5との結合をY可動枠8装着後に行う必要があって、組み立て性がよくない。
【0040】
そこで、上記Y可動枠8に替えて、Y駆動部としてリニアアクチュエータを適用することで枠形状ではないY方向に移動する直進のY可動部材を適用する変形例が考えられる。このY可動枠8にX駆動枠10を駆動するX駆動部9が支持されている。
【0041】
本変形例では第一実施形態における貫通部材挿通用のY方向長孔8aを設けたY可動枠8が不要である。そして、貫通部材12と固定部材5との結合を必ずしもナット部材12aを用いることなく、直接、接着固定する構造を採用することができ、手振れ補正ユニットの組み立て時に放熱板11、貫通部材12、固定部材5が一体化された状態でも組み付け可能となり、組立性が向上する。
【0042】
また、第一実施形態の別の変形例として放熱板11の撮像素子支持板15との接触可能な平面部に接触センサを配する構成のものを提案することも可能である。この変形例では、撮像素子16が異常高温状態になり、図6に示すように放熱板11が撮像素子支持板15に接触したことが上記接触センサで検出されたとき、撮像動作および手振れ補正動作を禁止するように制御する。
【0043】
従って、本変形例によれば、撮像素子16が異常高温状態に達したとき、放熱板11が撮像素子支持板15をさらに加圧することによる手振れ補正ユニット3の不具合発生を防止し、同時に不完全な手振れ補正処理動作を行わせないようにすることができる。
【0044】
次に、本発明の第二の実施形態としての手振れ補正ユニットについて、図12〜19を用いて説明する。
本実施形態の手振れ補正ユニット3Aは、第一の実施形態の場合と同様に撮像装置であるデジタルカメラに内蔵される。第一の実施形態の手振れ補正ユニット3に対して異なる構成として、図12,13に示すように撮像素子支持板15の背面側に近接した状態で撮像素子16の制御を行う電子部品22が固着されたプリント基板である制御基板ユニット20が支持され、該制御基板ユニット20に対向し、隙間を有する状態で貫通部材12に支持された放熱板11が配置される。その他の固定部材5からY可動部8,X可動部10,撮像素子16等の構成は、第一の実施形態の手振れ補正ユニット3と同様であり、同一の符号を付す。以下、異なる部分について説明する。
【0045】
手振れ補正ユニット3Aにおいて、放熱板11は、制御基板ユニット20のプリント基板21上に実装される制御素子等の電子部品22に対向し、光軸O方向の隙間をもって配置され、固定部材5に貫通部材12を介して支持される。
【0046】
撮影が開始された状態、あるいは、撮影待機状態では、撮像素子16、電子部品22、あるいは、貫通部材12の温度は、常温に近く、図12に示すように制御基板ユニット20の電子部品22表面と放熱板11との間は、比較的に大きい離間距離P0だけ離間している。
【0047】
撮影が繰り返された状態で撮像素子16、電子部品22とともに貫通部材12の温度が上昇すると、貫通部材12の光軸O方向の長さが伸びる。この貫通部材12の伸びにより制御基板ユニット20の電子部品22の表面と放熱板11との間が接近し、図13に示すようにより狭い離間距離P1となる。このように電子部品22と放熱板11との間が接近すると、撮像素子16および電子部品22の熱は、撮像素子支持板15、あるいは、制御基板ユニット20を経て放熱板11へより伝熱しやすい状態になる。そして、放熱板11の熱は、貫通部材12を通して固定部材5に伝熱され、外気に向けて放熱される。これによって撮像素子16および電子部品22の温度上昇はともに抑えられ、雑音の乗らない良好な撮像信号、撮影画像信号が撮像素子16および制御基板ユニット20から出力されることになる。
【0048】
手振れ補正ユニット3Aにおける撮像素子16および制御基板ユニット20の熱が外気に放熱される経路を図14の熱伝達経路図を用いて説明する。撮像素子16の熱は、撮像素子支持板15からX可動枠10、X駆動部9、Y可動枠8、Y駆動部7、固定部材5へ伝熱される。一方、撮像素子支持板15から制御基板ユニット20、放熱板11に空気を介して伝熱され、さらに、貫通部材12、固定部材5へ伝熱され、さらに、固定部材5から支持部6を介してカメラ外装体2へ、さらに、外気へ直接、または、空気を介して放熱される。
【0049】
制御基板ユニット20から放熱板11への伝熱は、通常の撮影状態にあっては、制御基板ユニット20と放熱板11の間が上述したように比較的狭い離間距離P1に保たれることから、撮像素子16や制御基板ユニット20の電子部品22が高温になることを防止することができる。
【0050】
本実施形態の手振れ補正ユニット3Aと従来の手振れ補正ユニットにおける外気温度に対する撮像素子および制御基板ユニットと外気との温度差の変化について、PCを用いたシミュレーションにより求めた結果を図15,16により説明する。
【0051】
図15において、特性線Haは、従来の手振れ補正ユニットにて放熱板11なしの構造における外気温度に対する撮像素子16と外気との温度差を示す。特性線Hbは、手振れ補正ユニットにて放熱板11を制御基板ユニット20に対して一定の離間距離を保って配置する構造における外気温度に対する撮像素子16と外気との温度差を示す。特性線Hcは、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aにて上述した放熱板11と制御基板ユニット20との離間距離が温度によって変化する構造を採用したときの外気温度に対する撮像素子16と外気との温度差を示す。それぞれ撮像素子16および制御基板ユニット20の発熱量0.5Wの場合を示している。
【0052】
本実施形態の手振れ補正ユニット3Aでは、上記従来のユニットに比較して撮像素子16と外気との温度差が少なく、かつ、外気温度が高くなった場合、撮像素子16と外気との温度差は、上記従来のユニットでは略一定、すなわち、外気と共に撮像素子16の温度が高くなるが、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aでは下がっていく。すなわち、撮像素子16の温度が高くなる度合いが低い。
【0053】
図16において、特性線Iaは、従来の手振れ補正ユニットにて放熱板11なしの構造における外気温度に対する制御基板ユニットと外気との温度差を示す。特性線Ibは、手振れ補正ユニットにて放熱板11を制御基板ユニット20に対して一定の離間距離を保って配置する構造における外気温度に対する制御基板ユニット20と外気との温度差を示す。特性線Icは、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aにて上述した放熱板11と制御基板ユニット20との離間距離が温度によって変化する構造を採用したときの外気温度に対する制御基板ユニット20と外気との温度差を示す。それぞれ撮像素子16および制御基板ユニットの発熱量0.5Wの場合を示している。
【0054】
本実施形態の手振れ補正ユニット3Aでは、上記従来のユニットに比較して制御基板ユニット20と外気との温度差が少なく、かつ、外気温度が高くなった場合、制御基板ユニット20と外気との温度差は、上記従来のユニットでは略一定、すなわち、外気と共に制御基板ユニット20の温度が高くなるが、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aでは下がっていく。すなわち、制御基板ユニット20の温度が高くなる度合いが低い。
【0055】
また、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aと従来の手振れ補正ユニットにおける撮像素子および制御基板ユニットの発熱量に対する撮像素子、または、制御基板ユニットと外気との温度差の変化について、PCを用いたシミュレーションにより求めた結果を図17,18により説明する。
【0056】
図17において、特性線Jaは、従来の手振れ補正ユニットにて放熱板11なしの構造における撮像素子発熱量に対する撮像素子と外気との温度差を示す。特性線Jbは、従来の手振れ補正ユニットにて放熱板11を制御基板ユニット20に対して一定の離間距離を保って配置する構造における撮像素子発熱量に対する撮像素子と外気との温度差を示す。特性線Jcは、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aにて上述した放熱板11と制御基板ユニットとの離間距離が温度によって変化する構造を採用したときの撮像素子発熱量に対する撮像素子16と外気との温度差を示す。それぞれ外気温度40°Cの場合を示している。
【0057】
本実施形態の手振れ補正ユニット3Aでは、上記従来のユニットの場合と同様に撮像素子発熱量が多いほど、撮像素子16と外気との温度差も大きくなるが、所定の撮像素子発熱量の範囲で、特に発熱量の高いところでの撮像素子16と外気との温度差は、上記従来のユニットよりも、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aでは少ない。すなわち、撮像素子16の温度がより低く抑えられる。
【0058】
図18において、特性線Kaは、従来の手振れ補正ユニットにて放熱板11なしの構造における制御基板ユニット発熱量に対する制御基板ユニット20と外気との温度差を示す。特性線Kbは、手振れ補正ユニットにて放熱板11を制御基板ユニット20に対して一定の離間距離を保って配置する構造における制御基板ユニット発熱量に対する制御基板ユニット20と外気との温度差を示す。特性線Kcは、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aにて上述した放熱板11と制御基板ユニットとの離間距離が温度によって変化する構造を採用したときの制御基板ユニット発熱量に対する制御基板ユニット20と外気との温度差を示す。それぞれ外気温度40°Cの場合を示している。
【0059】
本実施形態の手振れ補正ユニット3Aでは、上記従来のユニットの場合と同様に制御基板ユニット発熱量が多いほど、制御基板ユニット20と外気との温度差も大きくなるが、所定の制御基板ユニット発熱量の範囲で、特に発熱量の高いところでの制御基板ユニット20と外気との温度差は、上記従来のユニットよりも、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aでは少ない。すなわち、制御基板ユニット20の温度がより低く抑えられる。
【0060】
次に形状記憶合金製の貫通部材を適用する本実施形態の手振れ補正ユニット3Aと形状記憶合金製ではない貫通部材を適用する手振れ補正ユニットとにおける各構成部材と外気との温度差について、PCを用いたシミュレーションにより求めた結果を図19により説明する。
【0061】
図19において、特性線Ldは、形状記憶合金製ではない貫通部材を適用する手振れ補正ユニットの構造における各構成部材と外気との温度差を示す。特性線Lcは、形状記憶合金製の貫通部材を適用する本実施形態の手振れ補正ユニット3Aにおける各構成部材と外気との温度差を示す。それぞれ外気温度40°Cであって、撮像素子16および制御基板ユニット20のそれぞれ発熱量0.5Wである場合を示している。
【0062】
本実施形態の手振れ補正ユニット3Aの特性線Lcにおける制御基板ユニット20と固定部材5との温度差ncは、特性線Ldにおける制御基板ユニット20と固定部材5との温度差ndよりも低くなるため、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aにおける撮像素子16、制御基板ユニット20を含む周辺の温度は、低く抑えられる。
【0063】
以上、説明したように本実施形態の手振れユニット3Aを内蔵するデジタルカメラ1によれば、制御基板ユニット20に対向して配される放熱板11を形状記憶合金製の貫通部材12で支える構造を採用することにより、撮像素子16および制御基板ユニット20の作動温度により制御基板ユニット20と放熱板11との隙間を変化させることで撮像素子16および制御基板ユニット20の高温状態での伝熱性をよくし、撮像素子16および制御基板ユニット20をともに高温になる状態を防止することができる。
【0064】
本発明の第三の実施形態としての手振れ補正ユニットについて図20〜22を用いて説明する。
本実施形態の手振れ補正ユニット3Bは、撮像装置であるデジタルカメラに内蔵され、第一の実施形態の手振れ補正ユニット3に対して異なる構成として、図20,21に示すように撮像素子支持板15に光軸O方向に対向して配される放熱板25に対して撮像素子支持板15背面側である放熱板25の前面に放熱シート26を貼り付ける構造を採用する。放熱板25の背面側には固定部材5との間に第一の実施形態の場合と同様に形状記憶合金製の貫通部材12が固着される。その他の固定部材5からY可動部8,X可動部10,撮像素子16等の構成は、第一の実施形態の手振れ補正ユニット3と同様であり、同一の符号を付す。以下、異なる部分について説明する。
【0065】
放熱板25に貼付される放熱シート26は、熱伝導性のよい弾性変形可能な材料からなり、撮像素子支持板15に接触したときの応力緩和部材として作用し、例えば、シリコンゴム、アクリル製エラストマ等で形成される。
【0066】
手振れ補正ユニット3Bにおいて、撮影開始直後状態、あるいは、撮影待機状態、あるいは、撮影状態では、図20に示すように撮像素子支持板15と放熱板25側の放熱シート26との間の隙間Qは、貫通部材12の温度によって変化し、該温度が高い程、隙間Qが減少し、撮像素子16の熱が放熱板25側により伝熱しやすい状態となり、撮像素子16の放熱が行われる。
【0067】
万一、撮像素子16が異常な高温状態になると貫通部材12が光軸O方向に伸び、図21に示すように隙間Qがなくなり、撮像素子支持板15と放熱シート26が接触する状態になる。放熱シート接触状態は、撮像素子支持板15から放熱シート26、放熱板25への高熱伝達可能状態であり、急速な冷却がなされ、撮像素子16は、速やかに撮像可能な状態に戻される。また、この放熱シート接触状態では放熱シート26が光軸O方向に圧縮変形するため、撮像素子支持板15および該支持板に固着されている撮像素子16やX可動枠10に無理な力が作用しない。すなわち、放熱シート26が応力緩和材として機能する。
【0068】
本実施形態の手振れ補正ユニット3Bの撮像素子16の熱が外気に放熱される経路を図22の熱伝達経路図を用いて説明する。撮像素子16の熱は、撮像素子支持板15からX可動枠10、X駆動部9、Y可動枠8、Y駆動部7、固定部材5へ伝わり、一方、撮像素子支持板15から空気、または、接触熱抵抗状態にて放熱シート26、放熱板11、貫通部材12、固定部材5へ伝熱され、さらに、固定部材5から支持部6を介してカメラ外装体2へ、さらに、外気へ直接、または、空気を介して放熱される。
【0069】
撮像素子支持板15から放熱シート26、放熱板11への伝熱は、通常の撮影状態にあっては、撮像素子支持板15と放熱シート26の間が上述したように比較的狭い離間距離Qに保たれるので、撮像素子16が高温になることを防止できる。さらに、万一、撮像素子16が異常高温状態になったときは、撮像素子支持板15と放熱シート26とが接触することから両者の間には接触熱抵抗が作用し、伝熱しやすい状態になる。従って、撮像素子16は異常高温状態状態から速やかに温度が低下して良好な撮像信号が出力可能な状態になる。
【0070】
以上、説明したように本実施形態の手振れ補正ユニット3Bを内蔵するデジタルカメラによれば、前述した第一実施形態による効果に加えて、さらに、撮像素子16が異常高温になった場合、撮像素子支持板15に放熱板25側の放熱シート26が接触することで急速冷却が可能である。さらに、放熱シート26が撮像素子支持板15に接触したとき、撮像素子支持板15、撮像素子16、X可動枠10等に異常な当接力が作用することが阻止され、手振れ補正ユニット3Bに動作不良、破損等が発生することがない。
【0071】
本実施形態の手振れ補正ユニット3Bの変形例として放熱シート26の撮像素子支持板15との接触可能な平面部に接触センサを配する構成のものを提案することが可能である。この変形例では、撮像素子16が異常高温状態になり、図21に示すように放熱シート26が撮像素子支持板15に接触したことが上記接触センサで検出されたとき、撮像動作および手振れ補正動作を禁止するように制御する。
【0072】
従って、本変形例によれば、撮像素子16が異常高温状態に達したとき、放熱板11により放熱シート26を介して撮像素子支持板15が加圧されることによる手振れ補正ユニット3の不具合発生を防止するとともに不完全な手振れ補正処理動作を禁止することができる。
【0073】
この発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の手振れ補正ユニットは、撮像素子あるいは撮像素子制御用電子部品からの熱が十分に放熱され、良好な撮像信号が得られる手振れ補正ユニットとしての利用が可能である。
【符号の説明】
【0075】
5…固定部材
7…Y駆動部(第一の駆動手段)
8…Y可動枠(第一の可動部材)
9…X駆動枠(第二の駆動手段)
10…X可動枠(第二の可動部材)
11,25…放熱板(放熱部材)
12…貫通部材
16…撮像素子
20…制御基板ユニット(電子部品が固着されたプリント基板)
22…電子部品
31…撮影レンズ(撮影光学系)
【技術分野】
【0001】
本発明は、手振れ補正ユニットの放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像素子を使用する撮像装置において、撮像動作が頻繁に繰り返された場合、撮像素子および撮像制御基板が高温になり、撮像信号にノイズ成分が増大する可能性がある。そのため、放熱構造を必要するが、特に上記撮像素子および撮像制御基板が可動である手振れ補正機構が組み込まれた撮像装置においては、可動体に対する放熱構造が必要となる。
【0003】
そこで、特許文献1に開示された撮像装置は、撮像素子を適用する可動の撮像ユニットを備えた手振れ補正機構が組み込まれた装置に関するものである。図23に示すように該撮像装置の撮像ユニット18Aは、装置外装体に固定支持される固定部材22Aに対して2次元駆動装置を介して変位可能に支持されており、カバーガラス50Aと、撮像素子42Aと、放熱板44Aと、信号処理回路基板46Aと、放熱シート52Aとを具備している。
【0004】
放熱板44Aは、撮像素子42Aの背面側に密着して配されている。放熱板44Aと信号処理回路基板46Aとの間には、所定のスペースSAを設けるためにスペーサ48Aが配されている。放熱シート52Aは、信号処理回路基板46Aの各制御素子に密着した配されてる。撮像素子42Aの熱は、主に放熱板44Aを経て、さらに、信号処理回路基板46Aの制御素子の熱は、主に放熱シート52Aを経て空気を介して装置外に放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−147685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に開示された撮像装置においては、撮像素子42Aおよび信号処理回路基板46Aの各制御素子の熱が主に一定隙間の空気を介して放熱されることから、必ずしも十分な放熱が期待できないといった問題があった。
【0007】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、撮像素子および撮像素子制御用電子部品からの熱が十分に放熱され、雑音のない良好な撮像信号が得られる手振れ補正ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の手振れ補正ユニットは、撮影光学系により結像される被写体像を受けて画像データを生成するための撮像素子を変位させて手振れ補正動作を行なう手振れ補正ユニットにおいて、固定部材と、上記撮像素子、および、または、該撮像素子の受光面に平行に配置された電子部品が固着されたプリント基板との少なくとも一方と、上記撮像素子の受光面に平行な面内における第1の方向に沿って上記固定部材に対して変位可能に支持される第一の可動部材と、上記第一の可動部材を駆動するための第一の駆動手段と、上記第一の可動部材と共に上記第一の方向に沿って変位可能であり、上記撮像素子の受光面、および、または、上記プリント基板の平面と平行な面内において、上記第一の方向に交差する第二の方向に沿って上記第一の可動部材に対して変位可能に支持され、上記撮像素子を支持する第二の可動部材と、上記第二の可動部材を駆動するための第二の駆動手段と、上記第二の可動部材と対向する位置に配される放熱部材と、上記固定部材と上記放熱部材とを連結し、固定する形状記憶合金からなる貫通部材とを具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、撮像素子あるいは撮像素子制御用電子部品からの熱が十分に放熱され、雑音のない良好な撮像信号が得られる手振れ補正ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一実施形態としての手振れ補正ユニットを内蔵するデジタルカメラの要部縦断面図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】図1のデジタルカメラに内蔵される手振れ補正ユニットにて放熱板と固定部材とを結合する貫通部材の結合部断面図
【図4】図1のデジタルカメラに内蔵される手振れ補正ユニットの撮像素子非動作状態における模式的断面図
【図5】図1のデジタルカメラに内蔵される手振れ補正ユニットの撮像素子動作状態における模式的断面図
【図6】図1のデジタルカメラに内蔵される手振れ補正ユニットの撮像素子動作状態にて該撮像素子が高温に達した状態における模式的断面図
【図7】図4の手振れ補正ユニットに組み込まれる適用される貫通部材の素材である形状記憶合金の温度に対する伸び率の変化を示す図
【図8】図4の手振れ補正ユニットにおける熱伝達経路図
【図9】図4の手振れ補正ユニットおよび従来の手振れ補正ユニットにおける外気温度に対する撮像素子と外気との温度差の変化を示す図
【図10】図4の手振れ補正ユニットおよび従来の手振れ補正ユニットにおける撮像素子発熱量に対する撮像素子と外気との温度差の変化を示す図
【図11】図4の手振れ補正ユニットにおける貫通部材が形状記憶合金である場合と、他種の金属である場合との各構造部材と外気との温度差を示す図
【図12】本発明の第二実施形態としての手振れ補正ユニットの撮像素子非動作状態における模式的断面図
【図13】図12の手振れ補正ユニットの撮像素子動作状態における模式的断面図
【図14】図12の手振れ補正ユニットにおける熱伝達経路図
【図15】図12の手振れ補正ユニットおよび従来の手振れ補正ユニットにおける外気温度に対する撮像素子と外気との温度差の変化を示す図
【図16】図12の手振れ補正ユニットおよび従来の手振れ補正ユニットにおける外気温度に対する制御基板ユニットと外気との温度差の変化を示す図
【図17】図12の手振れ補正ユニットおよび従来の手振れ補正ユニットにおける撮像素子発熱量に対する撮像素子と外気との温度差の変化を示す図
【図18】図12の手振れ補正ユニットおよび従来の手振れ補正ユニットにおける制御基板ユニット発熱量に対する制御基板ユニットと外気との温度差の変化を示す図
【図19】図12の手振れ補正ユニットにおける貫通部材が形状記憶合金である場合と、他の金属で或る場合との各構造部材と外気との温度差を示す図
【図20】本発明の第三実施形態としての手振れ補正ユニットの撮像素子動作状態における模式的断面図
【図21】図20の手振れ補正ユニットの撮像素子高温状態における模式的断面図
【図22】図20の手振れ補正ユニットにおける熱伝達経路図
【図23】従来の手振れ補正ユニットの要部縦断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。
本発明の一実施形態としての手振れ補正ユニットを内蔵する撮像装置であるデジタルカメラ1について、図1,2を用いて説明する。
【0012】
デジタルカメラ1は、手振れ補正ユニット3および撮像制御部(図示せず)を内蔵するカメラ外装体2と、撮影光学系である撮影レンズ31を内蔵する鏡筒部30とからなる。
【0013】
なお、図中、撮影レンズ31の光軸をOで示し、光軸O方向の被写体側を前方とし、光軸Oの結像側を後方(背面側)とする。また、光軸Oに対して垂直方向であって、通常のカメラ撮影姿勢にて左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とする。
【0014】
上記撮像制御部は、撮像素子16より出力される画像データ(撮像信号)を取り込み、画像処理を行って、記憶媒体(図示せず)に記録するための電気制御部であり、さらに、カメラ外装体2の手振れを検出するための手振れセンサを備えている。
【0015】
手振れ補正ユニット3は、カメラ外装体2に固定支持される固定部材5と、固定部材5に支持され、固定部材5に対して第一の方向であるY方向に変位な第一の可動部材としてのY可動枠8と、固定部材に配置され、Y可動枠8をY方向に駆動するための第一の駆動手段としてのY駆動部7と、Y可動枠8に支持され、Y可動枠8に対して第二の方向であるX方向に変位な第二の可動部材としてのX可動枠10と、Y可動枠8に支持され、X可動枠10をX方向に駆動するための第二の駆動手段としてのX駆動部9と、X可動枠10に固定支持される部材として光学フィルタ17、撮像素子支持板15および撮像素子16と、固定部材5に貫通部材12を介して支持され、撮像素子支持板15と光軸O方向に対向する状態で配置される放熱部材としての放熱板11とを備えている。
【0016】
固定部材5は、熱拡散性のよいアルミニウム合金、ステンレス鋼や銅合金、あるいは、高熱伝導性樹脂で形成され、カメラ外装体2に支持部6を介して固定されて配されている。
【0017】
Y駆動部7およびX駆動部9は、ステッピングモータやボイスコイルモータなどのアクチュエータからなり、それぞれY可動枠8、または、X可動枠10をY方向、または、X方向に沿って変位駆動する。
【0018】
Y可動枠8およびX可動枠10は、それぞれアルミニウム合金、あるいは、高熱伝導性樹脂で形成されている。
【0019】
撮像素子16は、撮影レンズ31により結像される被写体像を受けて画像データを生成するためのものであって、撮像素子受光面がXY平面に沿った状態で撮像素子支持板15に固着され、フレキシブル回路基板19を介して上記撮影制御部に接続されている。
【0020】
撮像素子支持板15は、アルミニウム合金で形成される平板形状の部材であり、該支持板の平面部が上記撮像素子受光面に平行、すなわち、XY平面に沿った状態でX可動枠10に固着されている。
【0021】
放熱板11は、熱拡散性のよいステンレス鋼板、銅板、高熱伝導性樹脂等からなる平板部材であり、該放熱板の平面部が撮像素子支持板15と平行であって、通常の撮像素子非動作および動作状態で離間した状態で配置される。そして、放熱板11の背面と固定部材5の前面の間には、Y可動枠8のY方向長孔8aを貫通する状態で複数本の貫通部材12が密着して固着される。
【0022】
貫通部材12は、形状記憶合金からなる部材であり、温度によってマルテンサイトからオーステナイトへの相変態中に生じる長さの変化を利用する。そして、XY平面上の断面積が大きく、かつ、熱伝導率が高いもの、少なくとも熱伝導率1W/mK以上のものが望ましい。本実施形態においては、総断面積20mm×20mm、長さ4mm、熱伝導率16W/mKのものを適用する。但し、貫通部材12の上記断面積は、放熱板11の平面部面積より小さいものとする。なお、貫通部材12の素材の温度に対する伸び率は図7に示される。貫通部材12は、後述するように放熱板11および固定部材5に対して接着、ネジ締結、あるいは、かしめにより固着される。
【0023】
貫通部材12の放熱板11および固定部材5との結合構造について、図3の結合部断面図を用いて説明する。貫通部材12の放熱板11側の端部は、放熱板11の凹部11aに嵌入し、接着固定される。一方、貫通部材12の固定部材5側の端部にはナット部材12aが接着固定されている。ナット部材12に固定部材5を当て付け、ビス18を螺着して、固定部材5に貫通部材12の端部が固定される。組み立て時には、予め、放熱板11に固着された貫通部材12をY可動枠8のY方向長孔8aに挿通させ、貫通部材12のナット部材12aに背面側から固定部材5を当て付け、ビス18により固定部材5に固定する。
【0024】
上述した構成を有するデジタルカメラ1にて、手振れ補正モードでの撮影を行う場合の動作について説明する。レリーズスイッチが押圧操作されてとき、上記手振れセンサによりカメラ外装体2の手振れが検出された場合、手振れユニット3にてカメラ外装体2の手振れ状態を補正するべく、Y駆動部7およびX駆動部9が駆動され、Y可動枠8、または、X可動枠10がY方向、または、X方向に変位駆動される。該変位動作中に撮像素子16の露光が行われる。撮像素子16より手振れ補正がなされた撮像信号が上記撮像制御部に出力され、撮影画像データが上記記憶媒体に記録される。
【0025】
ここで、上述した撮影動作が繰り返し行われ、撮像素子16の温度が上昇したときの放熱状態について、図4〜6,8を用いて説明すると、デジタルカメラ1の撮影開始直後状態、あるいは、撮影待機状態では、撮像素子16、あるいは、放熱板11を支持する貫通部材12の温度は、常温に近く、貫通部材12の光軸O方向の長さは、図7に示した伸び率特性上、比較的に短い状態となっている。従って、図4に示すように撮像素子支持板15と放熱板11との間は、比較的に大きい離間距離C0だけ離間している。
【0026】
その後、撮影が繰り返され、撮像素子16の温度が上昇すると、放熱板11を支持する貫通部材12の温度も上昇し、光軸O方向に伸びる。この貫通部材12の伸びにより撮像素子支持板15と放熱板11との間が接近し、図5に示すようにより狭い離間距離C1となる。このように撮像素子支持板15と放熱板11との間が接近すると、撮像素子16の熱は、撮像素子支持板15から放熱板11に伝熱しやすくなり、さらに、放熱板11の熱は、貫通部材12を通して固定部材5に伝熱され、外気に向けて放熱される。これによって撮像素子16の温度上昇は抑えられ、雑音のない良好な撮像信号が撮像素子16から出力される。
【0027】
また、長時間撮影が繰り返され、加えて外気温度も高いようなとき、撮像素子16が異常高温状態になり、雑音のない良好な撮像信号が出力できない状態、撮像不能状態になると、貫通部材12がさらに光軸O方向に伸び、図6に示すように放熱板11が撮像素子支持板15に接触する。この接触状態では、撮像素子16の熱は、撮像素子支持板15から放熱板11に伝熱されやすくなり、撮像素子16の温度が急速に低下する。そして、撮像素子16は、速やかに雑音のない良好な撮像信号を出力できる状態に戻される。
【0028】
本実施形態の手振れ補正ユニット3の撮像素子16の熱が外気に放熱される経路を図8の熱伝達経路図を用いて説明する。撮像素子16の熱は、撮像素子支持板15からX可動枠10、X駆動部9、Y可動枠8、Y駆動部7、固定部材5へ伝わり、一方、撮像素子支持板15から空気を介して、または、接触熱抵抗状態にて放熱板11、貫通部材12、固定部材5へ伝熱され、さらに、固定部材5から支持部6を介してカメラ外装体2へ、さらに、外気へ直接、または、空気を介して放熱される。
【0029】
本実施形態の手振れ補正ユニット3と従来の手振れ補正ユニットにおける外気温度に対する撮像素子と外気との温度差の変化について、パーソナルコンピュータ(以下、PCと記載)を用いたシミュレーションにより求めた結果を図9により説明する。
【0030】
図9において、特性線Eaは、従来の手振れ補正ユニットにて放熱板11なしの構造における外気温度に対する撮像素子と外気との温度差を示す。特性線Ebは、手振れ補正ユニットにて放熱板11を撮像素子支持板15に対して一定の離間距離を保って配置する構造における外気温度に対する撮像素子と外気との温度差を示す。特性線Ecは、本実施形態の手振れ補正ユニット3にて上述した放熱板11と撮像素子支持板15との離間距離が温度によって変化する構造を採用したときの外気温度に対する撮像素子と外気との温度差を示す。それぞれ撮像素子16の発熱量0.5Wの場合を示している。
【0031】
本実施形態の手振れ補正ユニット3では、上記従来のユニットに比較して撮像素子16と外気との温度差が少なく、かつ、外気温度が高くなった場合、撮像素子と外気との温度差は、上記従来のユニットでは略一定、すなわち、外気と共に撮像素子の温度が高くなるが、本実施形態の手振れ補正ユニット3の場合は下がっていく。すなわち、撮像素子16の温度が高くなる度合いが低い。
【0032】
また、本実施形態の手振れ補正ユニット3と従来の手振れ補正ユニットにおける撮像素子発熱量に対する撮像素子と外気との温度差の変化について、PCを用いたシミュレーションにより求めた結果を図10により説明する。
【0033】
図10において、特性線Faは、従来の手振れ補正ユニットにて放熱板11なしの構造における撮像素子発熱量に対する撮像素子16と外気との温度差を示す。特性線Fbは、従来の手振れ補正ユニットにて放熱板11を撮像素子支持板15に対して一定の離間距離を保って配置する構造における撮像素子発熱量に対する撮像素子16と外気との温度差を示す。特性線Fcは、本実施形態の手振れ補正ユニット3にて上述した放熱板11と撮像素子支持板15との離間距離が温度によって変化する構造を採用したときの撮像素子発熱量に対する撮像素子16と外気との温度差を示す。それぞれ外気温度40°Cの場合を示している。
【0034】
本実施形態の手振れ補正ユニット3では、上記従来のユニットの場合と同様に撮像素子発熱量が多いほど、撮像素子16と外気との温度差も大きくなるが、所定の撮像素子発熱量の範囲で、特に発熱量の高いところでの撮像素子16と外気との温度差は、上記従来のユニットよりも、本実施形態の手振れ補正ユニット3では少ない。すなわち、撮像素子16の温度がより低く抑えられる。
【0035】
次に形状記憶合金製の貫通部材を適用する本実施形態の手振れ補正ユニット3と形状記憶合金製ではない貫通部材を適用する手振れ補正ユニットとにおける各構成部材と外気との温度差について、PCを用いたシミュレーションにより求めた結果を図11により説明する。
【0036】
図11において、特性線Gdは、形状記憶合金ではない金属製の貫通部材を適用する手振れ補正ユニットの構造における各構成部材と外気との温度差を示す。特性線Gcは、形状記憶合金製の貫通部材を適用する本実施形態の手振れ補正ユニット3における各構成部材と外気との温度差を示す。それぞれ外気温度40°Cであって、撮像素子16の発熱量0.5Wである場合を示している。
【0037】
本実施形態の手振れ補正ユニット3の特性線Gcにおける撮像素子16と固定部材5との温度差mcは、外気との温度差で示される特性線Gdにおける撮像素子16と固定部材5との温度差mdよりも低く、本実施形態の手振れ補正ユニット3における撮像素子16の温度は、低く抑えられる。
【0038】
以上、説明したように本実施形態の手振れユニット3を内蔵するデジタルカメラ1によれば、撮像素子支持板15に対向して配される放熱板11を形状記憶合金製の貫通部材12で支える構造を採用して撮像素子16の作動温度により撮像素子支持板15と放熱板11との隙間を変化させ、撮像素子16の作動状態での伝熱性を向上させて撮像素子16を高温状態になりにくくする。また、万一、撮像素子16が異常高温状態に達したときには撮像素子支持板15に放熱板11を接触させ、撮像素子16を急速冷却することで速やかに撮像可能な状態に戻すことができる。
【0039】
なお、上述した第一実施形態の手振れ補正ユニット3において、貫通部材12を挿通させるためにY方向長孔8aを設けたY可動枠8を適用し、前述したように組み立て時に貫通部材12と固定部材5との結合をY可動枠8装着後に行う必要があって、組み立て性がよくない。
【0040】
そこで、上記Y可動枠8に替えて、Y駆動部としてリニアアクチュエータを適用することで枠形状ではないY方向に移動する直進のY可動部材を適用する変形例が考えられる。このY可動枠8にX駆動枠10を駆動するX駆動部9が支持されている。
【0041】
本変形例では第一実施形態における貫通部材挿通用のY方向長孔8aを設けたY可動枠8が不要である。そして、貫通部材12と固定部材5との結合を必ずしもナット部材12aを用いることなく、直接、接着固定する構造を採用することができ、手振れ補正ユニットの組み立て時に放熱板11、貫通部材12、固定部材5が一体化された状態でも組み付け可能となり、組立性が向上する。
【0042】
また、第一実施形態の別の変形例として放熱板11の撮像素子支持板15との接触可能な平面部に接触センサを配する構成のものを提案することも可能である。この変形例では、撮像素子16が異常高温状態になり、図6に示すように放熱板11が撮像素子支持板15に接触したことが上記接触センサで検出されたとき、撮像動作および手振れ補正動作を禁止するように制御する。
【0043】
従って、本変形例によれば、撮像素子16が異常高温状態に達したとき、放熱板11が撮像素子支持板15をさらに加圧することによる手振れ補正ユニット3の不具合発生を防止し、同時に不完全な手振れ補正処理動作を行わせないようにすることができる。
【0044】
次に、本発明の第二の実施形態としての手振れ補正ユニットについて、図12〜19を用いて説明する。
本実施形態の手振れ補正ユニット3Aは、第一の実施形態の場合と同様に撮像装置であるデジタルカメラに内蔵される。第一の実施形態の手振れ補正ユニット3に対して異なる構成として、図12,13に示すように撮像素子支持板15の背面側に近接した状態で撮像素子16の制御を行う電子部品22が固着されたプリント基板である制御基板ユニット20が支持され、該制御基板ユニット20に対向し、隙間を有する状態で貫通部材12に支持された放熱板11が配置される。その他の固定部材5からY可動部8,X可動部10,撮像素子16等の構成は、第一の実施形態の手振れ補正ユニット3と同様であり、同一の符号を付す。以下、異なる部分について説明する。
【0045】
手振れ補正ユニット3Aにおいて、放熱板11は、制御基板ユニット20のプリント基板21上に実装される制御素子等の電子部品22に対向し、光軸O方向の隙間をもって配置され、固定部材5に貫通部材12を介して支持される。
【0046】
撮影が開始された状態、あるいは、撮影待機状態では、撮像素子16、電子部品22、あるいは、貫通部材12の温度は、常温に近く、図12に示すように制御基板ユニット20の電子部品22表面と放熱板11との間は、比較的に大きい離間距離P0だけ離間している。
【0047】
撮影が繰り返された状態で撮像素子16、電子部品22とともに貫通部材12の温度が上昇すると、貫通部材12の光軸O方向の長さが伸びる。この貫通部材12の伸びにより制御基板ユニット20の電子部品22の表面と放熱板11との間が接近し、図13に示すようにより狭い離間距離P1となる。このように電子部品22と放熱板11との間が接近すると、撮像素子16および電子部品22の熱は、撮像素子支持板15、あるいは、制御基板ユニット20を経て放熱板11へより伝熱しやすい状態になる。そして、放熱板11の熱は、貫通部材12を通して固定部材5に伝熱され、外気に向けて放熱される。これによって撮像素子16および電子部品22の温度上昇はともに抑えられ、雑音の乗らない良好な撮像信号、撮影画像信号が撮像素子16および制御基板ユニット20から出力されることになる。
【0048】
手振れ補正ユニット3Aにおける撮像素子16および制御基板ユニット20の熱が外気に放熱される経路を図14の熱伝達経路図を用いて説明する。撮像素子16の熱は、撮像素子支持板15からX可動枠10、X駆動部9、Y可動枠8、Y駆動部7、固定部材5へ伝熱される。一方、撮像素子支持板15から制御基板ユニット20、放熱板11に空気を介して伝熱され、さらに、貫通部材12、固定部材5へ伝熱され、さらに、固定部材5から支持部6を介してカメラ外装体2へ、さらに、外気へ直接、または、空気を介して放熱される。
【0049】
制御基板ユニット20から放熱板11への伝熱は、通常の撮影状態にあっては、制御基板ユニット20と放熱板11の間が上述したように比較的狭い離間距離P1に保たれることから、撮像素子16や制御基板ユニット20の電子部品22が高温になることを防止することができる。
【0050】
本実施形態の手振れ補正ユニット3Aと従来の手振れ補正ユニットにおける外気温度に対する撮像素子および制御基板ユニットと外気との温度差の変化について、PCを用いたシミュレーションにより求めた結果を図15,16により説明する。
【0051】
図15において、特性線Haは、従来の手振れ補正ユニットにて放熱板11なしの構造における外気温度に対する撮像素子16と外気との温度差を示す。特性線Hbは、手振れ補正ユニットにて放熱板11を制御基板ユニット20に対して一定の離間距離を保って配置する構造における外気温度に対する撮像素子16と外気との温度差を示す。特性線Hcは、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aにて上述した放熱板11と制御基板ユニット20との離間距離が温度によって変化する構造を採用したときの外気温度に対する撮像素子16と外気との温度差を示す。それぞれ撮像素子16および制御基板ユニット20の発熱量0.5Wの場合を示している。
【0052】
本実施形態の手振れ補正ユニット3Aでは、上記従来のユニットに比較して撮像素子16と外気との温度差が少なく、かつ、外気温度が高くなった場合、撮像素子16と外気との温度差は、上記従来のユニットでは略一定、すなわち、外気と共に撮像素子16の温度が高くなるが、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aでは下がっていく。すなわち、撮像素子16の温度が高くなる度合いが低い。
【0053】
図16において、特性線Iaは、従来の手振れ補正ユニットにて放熱板11なしの構造における外気温度に対する制御基板ユニットと外気との温度差を示す。特性線Ibは、手振れ補正ユニットにて放熱板11を制御基板ユニット20に対して一定の離間距離を保って配置する構造における外気温度に対する制御基板ユニット20と外気との温度差を示す。特性線Icは、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aにて上述した放熱板11と制御基板ユニット20との離間距離が温度によって変化する構造を採用したときの外気温度に対する制御基板ユニット20と外気との温度差を示す。それぞれ撮像素子16および制御基板ユニットの発熱量0.5Wの場合を示している。
【0054】
本実施形態の手振れ補正ユニット3Aでは、上記従来のユニットに比較して制御基板ユニット20と外気との温度差が少なく、かつ、外気温度が高くなった場合、制御基板ユニット20と外気との温度差は、上記従来のユニットでは略一定、すなわち、外気と共に制御基板ユニット20の温度が高くなるが、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aでは下がっていく。すなわち、制御基板ユニット20の温度が高くなる度合いが低い。
【0055】
また、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aと従来の手振れ補正ユニットにおける撮像素子および制御基板ユニットの発熱量に対する撮像素子、または、制御基板ユニットと外気との温度差の変化について、PCを用いたシミュレーションにより求めた結果を図17,18により説明する。
【0056】
図17において、特性線Jaは、従来の手振れ補正ユニットにて放熱板11なしの構造における撮像素子発熱量に対する撮像素子と外気との温度差を示す。特性線Jbは、従来の手振れ補正ユニットにて放熱板11を制御基板ユニット20に対して一定の離間距離を保って配置する構造における撮像素子発熱量に対する撮像素子と外気との温度差を示す。特性線Jcは、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aにて上述した放熱板11と制御基板ユニットとの離間距離が温度によって変化する構造を採用したときの撮像素子発熱量に対する撮像素子16と外気との温度差を示す。それぞれ外気温度40°Cの場合を示している。
【0057】
本実施形態の手振れ補正ユニット3Aでは、上記従来のユニットの場合と同様に撮像素子発熱量が多いほど、撮像素子16と外気との温度差も大きくなるが、所定の撮像素子発熱量の範囲で、特に発熱量の高いところでの撮像素子16と外気との温度差は、上記従来のユニットよりも、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aでは少ない。すなわち、撮像素子16の温度がより低く抑えられる。
【0058】
図18において、特性線Kaは、従来の手振れ補正ユニットにて放熱板11なしの構造における制御基板ユニット発熱量に対する制御基板ユニット20と外気との温度差を示す。特性線Kbは、手振れ補正ユニットにて放熱板11を制御基板ユニット20に対して一定の離間距離を保って配置する構造における制御基板ユニット発熱量に対する制御基板ユニット20と外気との温度差を示す。特性線Kcは、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aにて上述した放熱板11と制御基板ユニットとの離間距離が温度によって変化する構造を採用したときの制御基板ユニット発熱量に対する制御基板ユニット20と外気との温度差を示す。それぞれ外気温度40°Cの場合を示している。
【0059】
本実施形態の手振れ補正ユニット3Aでは、上記従来のユニットの場合と同様に制御基板ユニット発熱量が多いほど、制御基板ユニット20と外気との温度差も大きくなるが、所定の制御基板ユニット発熱量の範囲で、特に発熱量の高いところでの制御基板ユニット20と外気との温度差は、上記従来のユニットよりも、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aでは少ない。すなわち、制御基板ユニット20の温度がより低く抑えられる。
【0060】
次に形状記憶合金製の貫通部材を適用する本実施形態の手振れ補正ユニット3Aと形状記憶合金製ではない貫通部材を適用する手振れ補正ユニットとにおける各構成部材と外気との温度差について、PCを用いたシミュレーションにより求めた結果を図19により説明する。
【0061】
図19において、特性線Ldは、形状記憶合金製ではない貫通部材を適用する手振れ補正ユニットの構造における各構成部材と外気との温度差を示す。特性線Lcは、形状記憶合金製の貫通部材を適用する本実施形態の手振れ補正ユニット3Aにおける各構成部材と外気との温度差を示す。それぞれ外気温度40°Cであって、撮像素子16および制御基板ユニット20のそれぞれ発熱量0.5Wである場合を示している。
【0062】
本実施形態の手振れ補正ユニット3Aの特性線Lcにおける制御基板ユニット20と固定部材5との温度差ncは、特性線Ldにおける制御基板ユニット20と固定部材5との温度差ndよりも低くなるため、本実施形態の手振れ補正ユニット3Aにおける撮像素子16、制御基板ユニット20を含む周辺の温度は、低く抑えられる。
【0063】
以上、説明したように本実施形態の手振れユニット3Aを内蔵するデジタルカメラ1によれば、制御基板ユニット20に対向して配される放熱板11を形状記憶合金製の貫通部材12で支える構造を採用することにより、撮像素子16および制御基板ユニット20の作動温度により制御基板ユニット20と放熱板11との隙間を変化させることで撮像素子16および制御基板ユニット20の高温状態での伝熱性をよくし、撮像素子16および制御基板ユニット20をともに高温になる状態を防止することができる。
【0064】
本発明の第三の実施形態としての手振れ補正ユニットについて図20〜22を用いて説明する。
本実施形態の手振れ補正ユニット3Bは、撮像装置であるデジタルカメラに内蔵され、第一の実施形態の手振れ補正ユニット3に対して異なる構成として、図20,21に示すように撮像素子支持板15に光軸O方向に対向して配される放熱板25に対して撮像素子支持板15背面側である放熱板25の前面に放熱シート26を貼り付ける構造を採用する。放熱板25の背面側には固定部材5との間に第一の実施形態の場合と同様に形状記憶合金製の貫通部材12が固着される。その他の固定部材5からY可動部8,X可動部10,撮像素子16等の構成は、第一の実施形態の手振れ補正ユニット3と同様であり、同一の符号を付す。以下、異なる部分について説明する。
【0065】
放熱板25に貼付される放熱シート26は、熱伝導性のよい弾性変形可能な材料からなり、撮像素子支持板15に接触したときの応力緩和部材として作用し、例えば、シリコンゴム、アクリル製エラストマ等で形成される。
【0066】
手振れ補正ユニット3Bにおいて、撮影開始直後状態、あるいは、撮影待機状態、あるいは、撮影状態では、図20に示すように撮像素子支持板15と放熱板25側の放熱シート26との間の隙間Qは、貫通部材12の温度によって変化し、該温度が高い程、隙間Qが減少し、撮像素子16の熱が放熱板25側により伝熱しやすい状態となり、撮像素子16の放熱が行われる。
【0067】
万一、撮像素子16が異常な高温状態になると貫通部材12が光軸O方向に伸び、図21に示すように隙間Qがなくなり、撮像素子支持板15と放熱シート26が接触する状態になる。放熱シート接触状態は、撮像素子支持板15から放熱シート26、放熱板25への高熱伝達可能状態であり、急速な冷却がなされ、撮像素子16は、速やかに撮像可能な状態に戻される。また、この放熱シート接触状態では放熱シート26が光軸O方向に圧縮変形するため、撮像素子支持板15および該支持板に固着されている撮像素子16やX可動枠10に無理な力が作用しない。すなわち、放熱シート26が応力緩和材として機能する。
【0068】
本実施形態の手振れ補正ユニット3Bの撮像素子16の熱が外気に放熱される経路を図22の熱伝達経路図を用いて説明する。撮像素子16の熱は、撮像素子支持板15からX可動枠10、X駆動部9、Y可動枠8、Y駆動部7、固定部材5へ伝わり、一方、撮像素子支持板15から空気、または、接触熱抵抗状態にて放熱シート26、放熱板11、貫通部材12、固定部材5へ伝熱され、さらに、固定部材5から支持部6を介してカメラ外装体2へ、さらに、外気へ直接、または、空気を介して放熱される。
【0069】
撮像素子支持板15から放熱シート26、放熱板11への伝熱は、通常の撮影状態にあっては、撮像素子支持板15と放熱シート26の間が上述したように比較的狭い離間距離Qに保たれるので、撮像素子16が高温になることを防止できる。さらに、万一、撮像素子16が異常高温状態になったときは、撮像素子支持板15と放熱シート26とが接触することから両者の間には接触熱抵抗が作用し、伝熱しやすい状態になる。従って、撮像素子16は異常高温状態状態から速やかに温度が低下して良好な撮像信号が出力可能な状態になる。
【0070】
以上、説明したように本実施形態の手振れ補正ユニット3Bを内蔵するデジタルカメラによれば、前述した第一実施形態による効果に加えて、さらに、撮像素子16が異常高温になった場合、撮像素子支持板15に放熱板25側の放熱シート26が接触することで急速冷却が可能である。さらに、放熱シート26が撮像素子支持板15に接触したとき、撮像素子支持板15、撮像素子16、X可動枠10等に異常な当接力が作用することが阻止され、手振れ補正ユニット3Bに動作不良、破損等が発生することがない。
【0071】
本実施形態の手振れ補正ユニット3Bの変形例として放熱シート26の撮像素子支持板15との接触可能な平面部に接触センサを配する構成のものを提案することが可能である。この変形例では、撮像素子16が異常高温状態になり、図21に示すように放熱シート26が撮像素子支持板15に接触したことが上記接触センサで検出されたとき、撮像動作および手振れ補正動作を禁止するように制御する。
【0072】
従って、本変形例によれば、撮像素子16が異常高温状態に達したとき、放熱板11により放熱シート26を介して撮像素子支持板15が加圧されることによる手振れ補正ユニット3の不具合発生を防止するとともに不完全な手振れ補正処理動作を禁止することができる。
【0073】
この発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の手振れ補正ユニットは、撮像素子あるいは撮像素子制御用電子部品からの熱が十分に放熱され、良好な撮像信号が得られる手振れ補正ユニットとしての利用が可能である。
【符号の説明】
【0075】
5…固定部材
7…Y駆動部(第一の駆動手段)
8…Y可動枠(第一の可動部材)
9…X駆動枠(第二の駆動手段)
10…X可動枠(第二の可動部材)
11,25…放熱板(放熱部材)
12…貫通部材
16…撮像素子
20…制御基板ユニット(電子部品が固着されたプリント基板)
22…電子部品
31…撮影レンズ(撮影光学系)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系により結像される被写体像を受けて画像データを生成するための撮像素子を変位させて手振れ補正動作を行なう手振れ補正ユニットにおいて、
固定部材と、
上記撮像素子、および、または、該撮像素子の受光面に平行に配置された電子部品が固着されたプリント基板との少なくとも一方と、
上記撮像素子の受光面に平行な面内における第一の方向に沿って上記固定部材に対して変位可能に支持される第一の可動部材と、
上記第一の可動部材を駆動するための第一の駆動手段と、
上記第一の可動部材と共に上記第一の方向に沿って変位可能であり、上記撮像素子の受光面、および、または、上記プリント基板の平面と平行な面内において、上記第一の方向に対して交差する第二の方向に沿って上記第一の可動部材に対して変位可能に支持され、上記撮像素子を支持する第二の可動部材と、
上記第二の可動部材を駆動するための第二の駆動手段と、
上記第二の可動部材と対向する位置に配される放熱部材と、
上記放熱部材を上記固定部材に連結し、固定する形状記憶合金からなる貫通部材と、
を具備することを特徴とする手振れ補正ユニット。
【請求項2】
上記貫通部材の断面積に対して上記第二の可動部材に対向する上記放熱部材の平板面積を大きくしたことを特徴とする請求項1記載の手振れ補正ユニット。
【請求項3】
上記貫通部材は、複数個とし、上記固定部材に雌ネジ部材を介在して固定することを特徴とする請求項1記載の手振れ補正ユニット。
【請求項4】
上記貫通部材は、周囲温度が上昇すると、上記撮像素子と上記放熱部材との離間距離が減少する方向に変形することを特徴とする請求項1記載の手振れ補正ユニット。
【請求項1】
撮影光学系により結像される被写体像を受けて画像データを生成するための撮像素子を変位させて手振れ補正動作を行なう手振れ補正ユニットにおいて、
固定部材と、
上記撮像素子、および、または、該撮像素子の受光面に平行に配置された電子部品が固着されたプリント基板との少なくとも一方と、
上記撮像素子の受光面に平行な面内における第一の方向に沿って上記固定部材に対して変位可能に支持される第一の可動部材と、
上記第一の可動部材を駆動するための第一の駆動手段と、
上記第一の可動部材と共に上記第一の方向に沿って変位可能であり、上記撮像素子の受光面、および、または、上記プリント基板の平面と平行な面内において、上記第一の方向に対して交差する第二の方向に沿って上記第一の可動部材に対して変位可能に支持され、上記撮像素子を支持する第二の可動部材と、
上記第二の可動部材を駆動するための第二の駆動手段と、
上記第二の可動部材と対向する位置に配される放熱部材と、
上記放熱部材を上記固定部材に連結し、固定する形状記憶合金からなる貫通部材と、
を具備することを特徴とする手振れ補正ユニット。
【請求項2】
上記貫通部材の断面積に対して上記第二の可動部材に対向する上記放熱部材の平板面積を大きくしたことを特徴とする請求項1記載の手振れ補正ユニット。
【請求項3】
上記貫通部材は、複数個とし、上記固定部材に雌ネジ部材を介在して固定することを特徴とする請求項1記載の手振れ補正ユニット。
【請求項4】
上記貫通部材は、周囲温度が上昇すると、上記撮像素子と上記放熱部材との離間距離が減少する方向に変形することを特徴とする請求項1記載の手振れ補正ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−254261(P2011−254261A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126206(P2010−126206)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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