説明

手提げ包装容器

【課題】ごく簡単な構造にして取扱い容易で、しかも美的効果の高い個別包装された物品を収納して需要者の持ち帰りを容易にした手提げ包装容器を提供する。
【解決手段】片面ダンボール2を用いてそのフルート2aを外面に配し、所要内法で四面を取り囲むサック状に主体部3が形成され、前記主体部3の両開口部4で底板5の縁部とそれに繋がる両側板7,7の角部とが内折り可能にして被包装物の抜け止め片12とされ、天板6に一対の提げ手部片10′を所要間隔で切り起し可能に設けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として店頭販売される予め包装された食品などの物品を持ち帰るのに便利な手提げ包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、店頭販売される容器詰め(包装)された物品は、消費者に販売するに際して紙袋や一般にレジ袋と称されるプラスチックフィルム製の袋に収めて持ち運び容易な状態で販売されている。ところで、包装される物品が、例えば洋菓子ケーキのように軟弱な物品の場合には、つぶれが生じないようにするために、組立式の提げ手付き包装箱が使用されている。このような包装容器については種々の工夫がなされており、提げ手付きの紙箱へ物品(洋菓子ケーキ)を傷めずに収容することと、取り出しが容易なように開閉できる構成の手提げ包装容器が、例えば特許文献1などによって知られている。
【0003】
また、携帯に便利な構造にして装飾性を加味した包装ができる携帯用容器として、予め個別包装された包装物を内部に収容して携帯できるようにされた携帯用容器が、例えば特許文献2によって知られている。またさらに、アウトドアにおいて使用するのに便利な容器として組立簡単な提げ手付きトレー構造の容器が特許文献3によって開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−119715号公報
【特許文献2】特開2003−221027号公報
【特許文献3】特開平8−26254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、店頭販売などで用いられる先行技術の提げ手付き包装容器は、前記特許文献1で知られる形式のものでは、包装対象物を容器内に直接収容して包装するものであるから、被包装物を包み込む構造にされている。そのために、複雑な折り曲げ構造が要求されることから、容器の製作時にどうしても大きなブランクとなることが避けられない。当然製品コストが高くなる。
【0006】
また、前記特許文献2によって知られる提げ手付き容器にあっては、主に個別包装された物品を持ち帰り容易なように包装する容器であるが、その被包装容器(個別包装された包装物)を側方を残して周囲から包み込むようにして包装する構造になっているので、開放されている対称位置の側部から被包装容器が抜け出さないようにするための側片(マチ部)を予め形成しておく必要がある。そのために、前記側片形成部分を側板と天板との両端に形成して、その両者から突き出す側片形成部を相互に糊付けし、かつその繋ぎ合わせた側片を折畳み可能な構造として、流通過程で容器全体を嵩低くするために折畳める構造にされている。したがって、容器の製作に際して多くの加工工程を経なければならず、コストアップになることが避けられないという問題点がある。また、天板部分で二つ割にされているので、閉じ合わせ時のロック構造も必要となるなどの問題点がある。
【0007】
さらに、前記特許文献3によって知られる手提げ用容器では、構造的に簡単であるが容器がトレー形になっているので、上部が開放される関係で、被包装物を持ち運ぶ際に外部に落ちないように注意する必要がある。また、提げ手部分が長くなるので、被包装容器の質量が重い場合には提げ手が変形して持ち運びが困難になる虞があり、頑丈な材料を選択使用しなければならないという問題点がある。しかも、個別包装された包装容器であっても、外部から見え易い構造であるから、使用される被包装物によっては需要者に好ましくない印象を与える場合がある。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、ごく簡単な構造にして取扱い容易で、しかも美的効果の高い個別包装された物品を収納して需要者の持ち帰りを容易にした手提げ包装容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明による手提げ包装容器は、
片面ダンボールを用いてそのフルートを外面に配し、所要内法で四面を取り囲むサック状に主体部が形成され、前記主体部の両開口部で底板縁部とそれに繋がる両側板の角部とが内折り可能にして被包装物の抜け止めとされ、天板に一対の提げ手片を所要間隔で切り起し可能に設けたことを特徴とするものである。(第1発明)。
【0010】
前記発明において、前記主体部の両開口部における上角部には、天板と両側板とを跨いで一部を内折り可能とされ、この内折り可能な部分が主体部内に収容した被包装物の抜け止めを形成する構造であるのがよい(第2発明)。
【0011】
前記発明において、前記主体部を構成する片面ダンボールは、そのフルートが側板と天板および底板との折目線に直交する向きに配されるのがよい(第3発明)。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、主体部を片面ダンボールでサック状に形成され、その内側に予め包装された物品を差し込んで、両開口部で底板縁部に設けた抜け止め部位を内側に折り曲げれば、この抜け止め部位によって収容した個別包装の物品を抜け止めできるので、安定収納できる。その後に天板に設けた提げ手片を引き起こすことにより手提げ容易な包装容器となる。本発明によれば、簡単な構造であるので、物品を包装(主体部に収納)するときは、主体部を起立させて開口部から内側に被包装物を差し込むとともに、開口部の底板縁部の抜け止め部位を立て起こせば、それで収容した被包装物を収容保持できるので、操作が至極簡単になり、多忙時であっても手早く包装することができるという利点がある。しかも外装は片面ダンボールのフルートが現れているので、そのフルートによって美的効果が醸成され、カラー紙による片面ダンボールを使用すれば、より一層の美観が高められて従来にない意匠効果を奏するのである。また、製作に際しては所要内法に合わせて一定幅のブランクに仕上げられるので使用材料も少なくてすみ、コストダウンを図ることができるという効果を奏するものである。
【0013】
また、第2発明によれば、前記第1発明における開口部底板縁部の立て起しによる抜け止めに加えて、開口部上角での内折込みにより上下で抜け止めが施されて、収容物品をより安定的に保持することができる。さらに、第3発明の構成を採用することにより、片面ダンボールを使用しても、その主体部の各面を形成する折り曲げ稜線部によって外面を形成しているフルートが補強された状態を呈し、全体の剛性が高められるという効果を奏する。しかも、前述の抜け止め構造もそれぞれフルートに沿って折り曲げ形成されるので、その折り曲げ操作が損なわれることもなく取り扱いを容易にするという効果をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に本発明による手提げ包装容器の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1には本実施形態の手提げ包装容器の全体斜視図が示されている。図2には図1で示される包装容器の製函加工前の展開図が、図3には図1における中央断面図が、それぞれ示されている。
【0016】
この実施形態の手提げ包装容器1は、片面ダンボール2を使用して、主体部3を内法が包装対象となる物品を開口部4から内側に挿入することにより包装できるサック状に形成されたものである。
【0017】
前記主体部3は、図2に示されるように、所要幅寸法で包装する物品が内部に収まる内法となるように、底板5と天板6および両側板7,7と、サック状に折り曲げ形成する際の閉じ合わせ部となる糊代相当寸法のフラップ8とを合計した長さ寸法にされた帯状のブランクを、折り曲げて形成されている。この主体部3を形成する片面ダンボール2は、そのフルート2aが外面を形成するようにして組立てられる。なお、この片面ダンボール2は、フルート2aの山の流れ方向がブランクの長手方向に沿うようにして使用されている。図中符号b,c,d,eは折線である。
【0018】
天板6部分には、提げ手部片10′が天板6の長手方向(ブランクとしての幅方向)に中央線上で一対所要幅寸法分6aを残して切り抜かれ、その基端から引き起こすと提げ手10が形成されるように設けてある。また、底板5の両端部分には、所要寸法で折線f、fを介して抜け止め片12,12が形成され、この各抜け止め片12の長さ方向両端部で、前記折線fから両側板7,7の端に向かって斜め折線gがそれぞれ形成されている。そして、その天板6と底板5および両側板7,7は各連接の折線b,c,d,eに沿って内折りし、前記端部のフラップ8に糊付けして反対位置の側板7内縁に沿い貼り付けると、主体部3がサック状に形成される。
【0019】
このように形成されたこの手提げ包装容器1は、製造工場で前記端部のフラップ8と側板7との糊貼りをして、折線c、eに沿って偏平状態に畳んで供給される。使用に際しては、予め個別に包装された物品を消費者に販売するときに、偏平状態に畳まれたこの手提げ包装容器1をサック状に立て起し、開口部4から個別包装された物品(被包装物20)を主体部3の内側に差し込んで包装する。
【0020】
被包装物20を主体部3内に挿入した後は、図3に示されるように、底板5の両縁部に設けてある抜け止め片12,12を外側から押し上げると、その抜け止め片12の長さ方向両端で側板7,7に斜め折線g,gによって折り曲げ可能に形成されている三角状の連設部片13が斜め折線gに沿って、抜け止め片12とともに引き起こされて内側に折り曲げられる。すると、その両連設部片13,13が抜け止め片12に較べて小型であるから折線c′箇所で反転して側板7の内面側に引き寄せられ、その結果、連設部片13がロック機能を発揮して抜け止め片12の内折り曲げによる起立状態を固定する。
【0021】
こうして、底板5の両開口部4,4縁に連接する抜け止め片12,12が起立状態を維持されるので、この抜け止め片12により主体部3内に挿入されている被包装物20が外側へ移動するのが防止される。また、こうして被包装物20を主体部3内に受入れた手提げ包装容器1は、片面ダンボール2を、フルート2aの山の流れ方向がブランクの長手方向に沿うようにして形成されるので、組みあがった状態では、図1に示されるように各部位を形成する稜線部分(折線位置)に対して直交しているので、片面ダンボール2で形成されていても、そのフルート2aを外向き直角に折り曲げることにより剛性が高められ、縦方向(フルート2aの山の流れ方向)に対しての圧縮応力が高まるので、収容した被包装物20を安定して保持することができるのである。したがって、天板6に設けられている提げ手部片10′,10′を引き起こすと、提げ手10を持つて安定状態で持ち運ぶことができる。
【0022】
この手提げ包装容器1に収納された被包装物20を取出すには、開口部4の抜け止め片12を、手前側に倒すようにすれば、両側のロック機能が解除されて抜け止め片12が底板5と同じレベルに戻されるので内部から被包装物20を簡単に取出すことができるのである。
【0023】
また、本実施形態の手提げ包装容器1は、前述のようにフルート2aを外面側に配して形成されているので、従来の包装容器のように表面が平坦ではなく、フルート2aによって多数の突条が立体的な縞模様となり、特異な外装を呈する。その結果、従来にない美観を呈し、意匠効果の高い製品が得られる。特にカラー紙を使用した片面ダンボール2を使用すれば、より美的効果の高い製品が得ることができる。
【0024】
図4には抜け止め構造が付加された他の実施形態の要部を表わす斜視図(a)と係止部の操作前の態様を表わす図(b)が示されている。
【0025】
この実施形態では、主体部3内に収納した被包装物の抜け止め構造として、前記実施形態で示す底板5に付設された抜け止め片12に加えて天板6側に係止部15を設けたものである。この係止部15は、図4(a)で示されるように、天板6とそれに連接する両側板7,7との連設部位の開口端に適宜寸法(好ましくは、底板5付設の抜け止め片12の長さ寸法とほぼ同様)で、折線d、d′を跨いで切線jが付され、この切線jから開口端までの連設部位15aを外側から内側に押し込むようにすることで、当該部位15aを反転させると、天板5と側板7との折線d,d′による屈曲稜線に対して逆に屈曲して開口部4の内側にコーナ部分で突出した係止部15が形成されるようになされている。なお、前記係止部15は主体部3の開口部4側における角部分の一部を切線jによって細幅に切開いて天板6および側板7に内面側で前記切線jの終端から開口部4端に向けて折線を付しておくことにより、その折線を基準にして角部を内向きに押し込めば、簡単に弾性変位して反転させることができるようにされている。
【0026】
このような係止部15は主体部3の内側に被包装物20を挿入した後、前記実施形態で説明したように抜け止め片12を立て起した操作を行ってから、前述のように係止部15を内向きに形成することにより、主体部3内に受入れた被包装物20が底部を抜け止め片12により、上部をこの係止部15,15により、それぞれ開口部4端側に移動するのを阻止されて主体部3内で安定保持されるのである。
【0027】
主体部3内に収納された被包装物20を取出すときには、前記係止部15,15をそれぞれ逆方向に押し上げることにより、その連設部位15aが逆反転して開口部4を復元するので,抜け止め片12の復元とで元に戻されて開口部4からの取出しを容易にする。
【0028】
本実施形態の手提げ包装容器1は、前述のように、至極簡単な構造にされているので、その主体部3の内法を予め包装しようとする個別包装された物品が収納できる寸法に設定しておけば、消費者にその物品を販売して持ち帰りできるようにするに際して、前述のように開口部4から内側にその被包装物20を差し込んで、抜け止め片12や係止部15を抜け出し防止の方向に手指で操作するだけで、簡単に包装することができる。そして、手提げ包装容器1は内部に被包装物20を収納した状態で剛性を備えているので、持ち運び中に型崩れすることがなく安定状態で携行できるのである。しかも、外装が美観を呈する形状にされているので包装物の価値の向上にも資するという効果が合わせ得られる。
【0029】
したがって、本実施形態の手提げ包装容器は、例えば持ち帰り弁当の包装や菓子店などでの持ち帰り包装など、予め寸法設定された包装容器を携帯する外装として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態の手提げ包装容器の全体斜視図
【図2】図1で示される手提げ包装容器の展開図
【図3】図1における中央断面図
【図4】抜け止め構造が付加された他の実施形態の要部を表わす斜視図(a)と係止部の操作前の態様を表わす図(b)
【符号の説明】
【0031】
1 手提げ包装容器
2 片面ダンボール
2a フルート
3 主体部
4 開口部
5 底板
6 天板
10 提げ手
12 抜け止め片
15 係止部
20 被包装物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面ダンボールを用いてそのフルートを外面に配し、所要内法で四面を取り囲むサック状に主体部が形成され、前記主体部の両開口部で底板縁部とそれに繋がる両側板の角部とが内折り可能にして被包装物の抜け止めとされ、天板に一対の提げ手片を所要間隔で切り起し可能に設けたことを特徴とする手提げ包装容器。
【請求項2】
前記主体部の両開口部における上角部には、天板と両側板とを跨いで一部を内折り可能とされ、この内折り可能な部分が主体部内に収容した被包装物の抜け止めを形成する構造である請求項1に記載の手提げ包装容器。
【請求項3】
前記主体部を構成する片面ダンボールは、そのフルートが側板と天板および底板との折目線に直交する向きに配されている請求項1または2に記載の手提げ包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−302324(P2007−302324A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134962(P2006−134962)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(599148570)タマヤ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】