手摺チェーン伸び率測定治具及びそれを用いたチェーン伸び率測定方法
【課題】手摺チェーンに当てるだけでチェーンの伸び率が一目で判断することができる手摺チェーン伸び率測定治具及びそれを用いたチェーン伸び率測定方法を得る。
【解決手段】手摺チェーン伸び率測定治具1は、測定治具の一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴2と、測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴3と、測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛10〜19とを備える。
【解決手段】手摺チェーン伸び率測定治具1は、測定治具の一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴2と、測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴3と、測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛10〜19とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び率を測定する手摺チェーン伸び率測定治具及びそれを用いたチェーン伸び率測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び量を確認する作業は、数ピッチ分の軸部分の外−外の寸法と内−内の寸法を測定した後、測定した寸法を加算して2で割った寸法、すなわち、(外−外の寸法)+(内−内の寸法)/2を新品の規格値と比較して伸び量を算出しているため、その確認作業には長い時間がかかっていた。
【0003】
また、チェーンの伸び量を測定する治具が市販されているが、この市販の治具では摩耗限界に達しているかどうかが判るのみであった。
【0004】
また、従来技術として、リンクチェーンからなるロードチェーンの伸びを測定するチェーンゲージであって、測定すべきロードチェーンの線径に応じて異なる外径を有する複数の測定部が先端に向けて除々に外径が小さくなるように設けられ、ロードチェーンの線径に応じて該当する一つの測定部を一つのリンクに連結される二つのリンクの間に直角方向挿入してこれら二リンク間の間隔を測定することによってロードチェーンの伸びを測定するチェーンゲージが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−74604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のチェーンの伸び量を測定する市販治具では、摩耗限界に達しているかどうかが判るのみであり、今、チェーンが何%伸びているかまでは判らなかった。また、従来技術のチェーンゲージは、リンクチェーンからなるロードチェーンの伸びを測定するものであって、乗客コンベア用の手摺チェーン(ローラーチェーン)の伸び率を簡単に測定できるようにしたものではなかった。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、手摺チェーンに当てるだけでチェーンの伸び率を一目で判断することができる手摺チェーン伸び率測定治具及びそれを用いたチェーン伸び率測定方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る手摺チェーン伸び率測定治具においては、乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具であって、測定治具は、測定治具の一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴と、測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴と、測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛とを備えたものである。
【0009】
また、測定治具は、測定治具の一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴と、測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成されて他端部端縁が開放され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴と、測定用窓穴の他端部寄りに設けられ、他端部側の上下部分を橋架状に連結する補強用橋架部と、測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛とを備えたものである。
【0010】
また、測定用窓穴の一端部における上側部及び下側部の表面に被測定チェーンの種類に対応する識別記号を設け、測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面には被測定チェーンの種類に対応する各伸び率が記載された複数の目盛を別々に設けたものである。
【0011】
また、測定用窓穴の上側部の表面に設けられる被測定チェーンの種類に対応する識別記号及び被測定チェーンの種類に対応する各伸び率が記載された目盛は、被測定チェーンのピン径の細い方を上側に設けたものである。
【0012】
また、測定治具は、鋼板製の長尺体からなり、隅部に落下防止用治具穴を備えたものである。
【0013】
また、この発明に係る手摺チェーン伸び率測定治具を用いたチェーン伸び率測定方法においては、保守現場にて測定治具を用い、スプロケットに装着されてテンションを張った状態の被測定チェーンの一端部側に位置するローラーピンを測定治具の測定用基準穴に嵌入してピンの左端を測定用基準穴の一端部に接触させるとともに、測定治具の細長状の測定用窓穴に複数ピッチ分の被測定チェーンのローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入するステップと、ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認し、ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むステップとを備えたものである。
【0014】
また、保守現場にてスプロケットから被測定チェーンを取り外すステップと、前記測定治具を用い、取り外された被測定チェーンの一端部側に位置するローラーピンを前記測定治具の測定用基準穴に嵌入してピンの右端を測定用基準穴の右端部に接触させるとともに、測定治具の細長状の測定用窓穴に複数ピッチ分の被測定チェーンのローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入するステップと、前記測定治具を左方向に押しながら被測定チェーンを右方向へ引いて測定するステップと、ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認し、ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むステップとを備えたものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、手摺チェーンに当てるだけでチェーンの伸び率が一目で判断することができるので、手摺チェーンの伸び量を簡単に確認することができ、従来と比べて大幅な時間短縮を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す正面図、図2はこの発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す側面図、図3はこの発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具の基準穴部分から各目盛部分までの寸法関係を示す参考正面図、図4はこの発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具を用いて被測定チェーンを引っ張り方向で測定する場合の計算例を異なる被測定チェーン別に表わした参考表、図5はこの発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具を用いて被測定チェーンの伸び率を測定している状態を示す参考斜視図である。
【0017】
図において、1はエスカレータ等の乗客コンベアに使用されている手摺チェーン(ローラーチェーン)の伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具である。この測定治具1は、鋼板製の長尺体からなる鋼尺状の構成である。2は手摺チェーン伸び率測定治具1の左側端部(一端部)中央に形成された矩形状の測定用基準穴で、ローラーチェーンの伸び率を測定する時、左側最端部側に位置するローラーピンが嵌入する。3は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用基準穴2の直ぐ隣から中央部を経て右側端部(他端部)側の端縁に向かって水平方向に形成された細長状の測定用窓穴で、ローラーチェーンの伸び率を測定する時、複数ピッチ分のローラーチェーンのローラーピンが水平方向に一列となって嵌入されるので、手摺チェーン伸び率測定治具1は手で軽く押えるだけで支持される。この測定用窓穴3の右側端部側の端縁は開放されている。4、5は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部寄りの二箇所の部分をそれぞれ橋架状に連結している補強用橋架部で、測定用窓穴3の右側端部側の端縁が開放されていることにより、測定治具1の強度が低下するのを防止している。6は手摺チェーン伸び率測定治具1の左側端部の上隅部に形成された落下防止用治具穴、7は手摺チェーン伸び率測定治具1の右側端部の下隅部に形成された落下防止用治具穴である。これら落下防止用治具穴6、7を利用して吊下げ紐や吊下げリング等で作業者が吊下げ保持することにより、狭い場所での作業であっても落下するのを防止することができる。8は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の左側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの種類に対応する識別記号で、椿本チェーン製に対応するRS50及び大同チェーン製に対応するDID50が併記されている。9は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の左側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの種類に対応する識別記号で、椿本チェーン製に対応するRS40及び大同チェーン製に対応するDID40が併記されている。10〜14は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛である。この椿本チェーン製に対応するRS50、大同チェーン製に対応するDID50の場合における複数の目盛10〜14は、左側から右側に向かって順番に伸び率0%を示す目盛10、伸び率0.4%を示す目盛11、伸び率0.7%を示す目盛12、伸び率1.0%を示す目盛13及び伸び率1.3%を示す目盛14がそれぞれ間隔を置いて併記されている。15〜19は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛である。この椿本チェーン製に対応するRS40、大同チェーン製に対応するDID40の場合における複数の目盛15〜19は、左側から右側に向かって順番に伸び率0%を示す目盛15、伸び率0.4%を示す目盛16、伸び率0.7%を示す目盛17、伸び率1.0%を示す目盛18及び伸び率1.3%を示す目盛19がそれぞれ間隔を置いて併記されている。
【0018】
次に、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用基準穴2の部分から各目盛部分10〜19までの寸法関係を図3により説明する。通常の使用では、チェーンのテンションを張った状態で測定する。
先ず、手摺チェーン伸び率測定治具1の全体寸法は、縦35mm、横240mm、厚さ1mmである。測定用基準穴2は、縦6mm、横6mmである。測定用窓穴3は高さ6mmである。そして、測定用基準穴2の左端部(基準位置)から測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛10〜14までの寸法は、次のとおりである。すなわち、目盛10(0%)までの寸法が161.30mm、目盛11(0.4%)までの寸法が177.87mm、目盛12(0.7%)までの寸法が194.83mm、目盛13(1.0%)までの寸法が210.98mm、目盛14(1.3%)までの寸法が227.68mmとなっている。また、測定用基準穴2の左端部(基準位置)から測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛15〜19までの寸法は、次のとおりである。すなわち、目盛15(0%)までの寸法が167.09mm、目盛16(0.4%)までの寸法が180.50mm、目盛17(0.7%)までの寸法が193.82mm、目盛18(1.0%)までの寸法が207.22mm、目盛19(1.3%)までの寸法が220.69mmとなっている。
【0019】
次に、図4により、手摺チェーン伸び率測定治具1を用いて被測定チェーンを引っ張り方向で測定する場合の計算例を異なる被測定チェーン別に表わした参考表について説明する。
図4において、上表はRS50の場合を示す。ローラーチェーンの1ピッチは15.875mm、ピン径は5.09とする。1行目はピッチ数10、規格値158.75(=15.875×10)、伸び係数1.000、ピン径5.09、メモリ寸法詳細161.295(=158.75×1.000+5.09/2)、実メモリ寸法161.30、伸び率0.0%である。同様に2行目は、ピッチ数11、規格値174.625(=15.875×11)、伸び係数1.004、ピン径5.09、メモリ寸法詳細177.8685(=174.625×1.004+5.09/2)、実メモリ寸法177.87、伸び率0.4%である。同様に3行目は、ピッチ数12、規格値190.5(=15.875×12)、伸び係数1.007、ピン径5.09、メモリ寸法詳細194.3785(=190.5×1.007+5.09/2)、実メモリ寸法194.38、伸び率0.7%である。同様に4行目は、ピッチ数13、規格値206.375(=15.875×13)、伸び係数1.010、ピン径5.09、メモリ寸法詳細210.98375(=206.375×1.010+5.09/2)、実メモリ寸法210.98、伸び率1.0%である。同様に5行目は、ピッチ数14、規格値222.25(=15.875×14)、伸び係数1.013、ピン径5.09、メモリ寸法詳細227.68425(=222.25×1.013+5.09/2)、実メモリ寸法227.68、伸び率1.3%である。
図4において、下表はRS40の場合を示す。ローラーチェーンの1ピッチは12.7mm、ピン径は3.97とする。1行目はピッチ数13、規格値165.1(=12.7×13)、伸び係数1.000、ピン径3.97、メモリ寸法詳細167.085(=165.1×1.000+3.97/2)、実メモリ寸法167.09、伸び率0.0%である。同様に2行目は、ピッチ数14、規格値177.8(=12.7×14)、伸び係数1.004、ピン径3.97、メモリ寸法詳細180.4962(=177.8×1.004+3.97/2)、実メモリ寸法180.50、伸び率0.4%である。同様に3行目は、ピッチ数15、規格値190.5(=12.7×15)、伸び係数1.007、ピン径3.97、メモリ寸法詳細193.8185(=190.5×1.007+3.97/2)、実メモリ寸法193.82、伸び率0.7%である。同様に4行目は、ピッチ数16、規格値203.2(=12.7×16)、伸び係数1.010、ピン径3.97、メモリ寸法詳細207.217(=203.2×1.010+3.97/2)、実メモリ寸法207.22、伸び率1.0%である。同様に5行目は、ピッチ数17、規格値215.9(=12.7×17)、伸び係数1.013、ピン径3.97、メモリ寸法詳細220.6917(=215.9×1.013+3.97/2)、実メモリ寸法220.69、伸び率1.3%である。
【0020】
したがって、エスカレータ等の乗客コンベアに使用されている手摺チェーン(ローラーチェーン)の伸び率を測定するためには、図5に示すように、先ず、保守現場にて手摺チェーン伸び率測定治具1を用いて、被測定チェーンの左側最端部側に位置するローラーピンを手摺チェーン伸び率測定治具1の矩形状の測定用基準穴2に嵌入してピンの左端を測定用基準穴2の左端部に接触させるとともに、手摺チェーン伸び率測定治具1の細長状の測定用窓穴3に複数ピッチ分のローラーチェーンの複数のローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入する。手摺チェーン伸び率測定治具1は手で軽く押えるだけでピンにより支持されるので、落下することは無い。次に、ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認する。ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むことにより、手摺チェーンの伸び率を簡単に確認することができる。そして、この時、被測定チェーンがRS50又はDID50の場合は、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛10〜14を用いて確認する。また、被測定チェーンがRS40又はDID40の場合は、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛15〜19を用いて確認する。例えば、ピンの中心位置が0.7%の目盛12又は17で合致している場合は、手摺チェーンの伸び率は0.7%であることを示している。なお、保守現場では、上記手摺チェーン伸び率測定治具1を用いた測定方法を手摺チェーンの数箇所において実施することにより、手摺チェーンの伸び量を簡単に確認することができる。これにより、従来と比べて大幅な時間短縮を図ることができる。
【0021】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す正面図、図7はこの発明の実施の形態2における手摺チェーン伸び率測定治具の基準穴部分から各目盛部分までの寸法関係を示す参考正面図である。なお、図中、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付してある。
【0022】
上記実施の形態1では、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の左側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの種類に対応する識別記号8に、椿本チェーン製に対応するRS50及び大同チェーン製に対応するDID50を併記し、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の左側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの種類に対応する識別記号9に、椿本チェーン製に対応するRS40及び大同チェーン製に対応するDID40を併記しているが、この場合、実際にRS40チェーンを測定する際、ピン径がRS50チェーンと比べて細いため、手摺チェーン伸び率測定治具1をピンに自然に当てると、下側の目盛から離れてしまうから読みにくいという問題がある。この実施の形態2においては、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の左側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの種類に対応する識別記号8に、椿本チェーン製に対応するRS40及び大同チェーン製に対応するDID40を併記し、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の左側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの種類に対応する識別記号9に、椿本チェーン製に対応するRS50及び大同チェーン製に対応するDID50を併記したものである。RS50チェーンの場合は、ピン径が大きく、測定する際に測定用基準穴3にほぼぴったりと入るため、目盛が下側にあっても離れることがなく問題がないのである。10〜14は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛である。この椿本チェーン製に対応するRS40、大同チェーン製に対応するDID40の場合における複数の目盛10〜14は、左側から右側に向かって順番に伸び率0%を示す目盛10、伸び率0.4%を示す目盛11、伸び率0.7%を示す目盛12、伸び率1.0%を示す目盛13及び伸び率1.3%を示す目盛14がそれぞれ間隔を置いて併記されている。15〜19は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛である。この椿本チェーン製に対応するRS50、大同チェーン製に対応するDID50の場合における複数の目盛15〜19は、左側から右側に向かって順番に伸び率0%を示す目盛15、伸び率0.4%を示す目盛16、伸び率0.7%を示す目盛17、伸び率1.0%を示す目盛18及び伸び率1.3%を示す目盛19がそれぞれ間隔を置いて併記されている。
【0023】
次に、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用基準穴2の部分から各目盛部分10〜19までの寸法関係を図7により説明する。
先ず、手摺チェーン伸び率測定治具1の全体寸法は、縦35mm、横240mm、厚さ1mmである。測定用基準穴2は、縦6mm、横6mmである。測定用窓穴3は高さ6mmである。そして、測定用基準穴2の左端部(基準位置)から測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛10〜14までの寸法は、次のとおりである。すなわち、目盛10(0%)までの寸法が167.09mm、目盛11(0.4%)までの寸法が180.50mm、目盛12(0.7%)までの寸法が193.82mm、目盛13(1.0%)までの寸法が207.22mm、目盛14(1.3%)までの寸法が220.69mmとなっている。また、測定用基準穴2の左端部(基準位置)から測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛15〜19までの寸法は、次のとおりである。すなわち、目盛15(0%)までの寸法が161.30mm、目盛16(0.4%)までの寸法が177.87mm、目盛17(0.7%)までの寸法が194.83mm、目盛18(1.0%)までの寸法が210.98mm、目盛19(1.3%)までの寸法が227.68mmとなっている。
【0024】
したがって、エスカレータ等の乗客コンベアに使用されている手摺チェーン(ローラーチェーン)の伸び率を測定するためには、図5に示すように、先ず、保守現場にて手摺チェーン伸び率測定治具1を用いて、被測定チェーンの左側最端部側に位置するローラーピンを手摺チェーン伸び率測定治具1の矩形状の測定用基準穴2に嵌入してピンの左端を測定用基準穴2の左端部に接触させるとともに、手摺チェーン伸び率測定治具1の細長状の測定用窓穴3に複数ピッチ分のローラーチェーンの複数のローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入する。手摺チェーン伸び率測定治具1は手で軽く押えるだけでピンにより支持されるので、落下することは無い。次に、ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認する。ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むことにより、手摺チェーンの伸び率を簡単に確認することができる。そして、この時、被測定チェーンがRS40又はDID40の場合は、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛10〜14を用いて確認する。この場合、RS40チェーンのピン径はRS50チェーンと比べて細いが、手摺チェーン伸び率測定治具1をピンに自然に当てて上側の目盛10〜14を読めば良いだけであるので、問題がない。また、被測定チェーンがRS50又はDID50の場合は、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛15〜19を用いて確認する。RS50チェーンの場合は、ピン径が大きく、測定する際に測定用基準穴3にほぼぴったりと入るため、目盛が下側にあっても離れることがなく問題はない。
【0025】
実施の形態3.
図8はこの発明の実施の形態3における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す正面図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0026】
上記実施の形態1では、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用基準穴2の直ぐ隣から中央部を経て右側端部側の端縁に向かって水平方向に形成される細長状の測定用窓穴3は、その右側端部側の端縁を開放しているが、この実施の形態3においては、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部側の端縁にも橋架状に連結する補強用橋架部20を形成したものである。
【0027】
この実施の形態3によれば、実施の形態1とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0028】
実施の形態4.
図9はこの発明の実施の形態4における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す正面図、図10はこの発明の実施の形態4における手摺チェーン伸び率測定治具の基準穴部分から各目盛部分までの寸法関係を示す参考正面図、図11はこの発明の実施の形態4における手摺チェーン伸び率測定治具を用いて被測定チェーンを押し付け方向で測定する場合の計算例を異なる被測定チェーン別に表わした参考表である。なお、図中、実施の形態2と同一又は相当部分には同一符号を付してある。
【0029】
図において、1はエスカレータ等の乗客コンベアに使用されている手摺チェーン(ローラーチェーン)の伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具であり、手摺チェーンをスプロケットから外した状態でチェーンを張るために、測定治具を押し付けてチェーンを引っ張る方向(引っ張り方向)で測定するものである。この測定治具1は、鋼板製の長尺体からなる鋼尺状の構成である。2は手摺チェーン伸び率測定治具1の左側端部(一端部)中央に形成された矩形状の測定用基準穴で、ローラーチェーンの伸び率を測定する時、左側最端部側に位置するローラーピンが嵌入する。3は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用基準穴2の直ぐ隣から中央部を経て右側端部(他端部)側の端縁に向かって水平方向に形成された細長状の測定用窓穴で、ローラーチェーンの伸び率を測定する時、複数ピッチ分のローラーチェーンのローラーピンが水平方向に一列となって嵌入されるので、手摺チェーン伸び率測定治具1は手で軽く押えるだけで支持される。この測定用窓穴3の右側端部側の端縁は開放されている。4、5は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部寄りの二箇所の部分をそれぞれ橋架状に連結している補強用橋架部で、測定用窓穴3の右側端部側の端縁が開放されていることにより、測定治具1の強度が低下するのを防止している。6は手摺チェーン伸び率測定治具1の左側端部の下隅部に形成された落下防止用治具穴、7は手摺チェーン伸び率測定治具1の右側端部の上隅部に形成された落下防止用治具穴である。これら落下防止用治具穴6、7を利用して吊下げ紐や吊下げリング等で作業者が吊下げ保持することにより、狭い場所での作業であっても落下するのを防止することができる。8は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の左側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの種類に対応する識別記号で、椿本チェーン製に対応するRS40及び大同チェーン製に対応するDID40が併記されている。9は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の左側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの種類に対応する識別記号で、椿本チェーン製に対応するRS50及び大同チェーン製に対応するDID50が併記されている。10〜14は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛である。この椿本チェーン製に対応するRS40、大同チェーン製に対応するDID40の場合における複数の目盛10〜14は、左側から右側に向かって順番に伸び率0%を示す目盛10、伸び率0.4%を示す目盛11、伸び率0.7%を示す目盛12、伸び率1.0%を示す目盛13及び伸び率1.3%を示す目盛14がそれぞれ間隔を置いて併記されている。15〜19は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛である。この椿本チェーン製に対応するRS50、大同チェーン製に対応するDID50の場合における複数の目盛15〜19は、左側から右側に向かって順番に伸び率0%を示す目盛15、伸び率0.4%を示す目盛16、伸び率0.7%を示す目盛17、伸び率1.0%を示す目盛18及び伸び率1.3%を示す目盛19がそれぞれ間隔を置いて併記されている。
【0030】
次に、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用基準穴2の部分から各目盛部分10〜19までの寸法関係を図10により説明する。この場合の使用では、手摺チェーンをスプロケットから外した状態でチェーンを張るために、測定治具を押し付けてチェーンを引っ張る方向で測定する。
先ず、手摺チェーン伸び率測定治具1の全体寸法は、縦35mm、横240mm、厚さ1mmである。測定用基準穴2は、縦6mm、横6mmである。測定用窓穴3は高さ6mmである。そして、測定用基準穴2の右端部(基準位置)から測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛10〜14までの寸法は、次のとおりである。すなわち、目盛10(0%)までの寸法が163.12mm、目盛11(0.4%)までの寸法が176.53mm、目盛12(0.7%)までの寸法が189.85mm、目盛13(1.0%)までの寸法が203.25mm、目盛14(1.3%)までの寸法が216.72mmとなっている。また、測定用基準穴2の右端部(基準位置)から測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛15〜19までの寸法は、次のとおりである。すなわち、目盛15(0%)までの寸法が156.21mm、目盛16(0.4%)までの寸法が172.78mm、目盛17(0.7%)までの寸法が189.29mm、目盛18(1.0%)までの寸法が205.89mm、目盛19(1.3%)までの寸法が222.59mmとなっている。
【0031】
次に、図11により、手摺チェーン伸び率測定治具1を用いて被測定チェーンを押し付け方向で測定する場合の計算例を異なる被測定チェーン別に表わした参考表について説明する。
図11において、上表はRS50の場合を示す。ローラーチェーンの1ピッチは15.875mm、ピン径は5.09とする。1行目はピッチ数10、規格値158.75(=15.875×10)、伸び係数1.000、ピン径5.09、メモリ寸法詳細156.205(=158.75×1.000−5.09/2)、実メモリ寸法156.21、伸び率0.0%である。同様に2行目は、ピッチ数11、規格値174.625(=15.875×11)、伸び係数1.004、ピン径5.09、メモリ寸法詳細172.7785(=174.625×1.004−5.09/2)、実メモリ寸法172.78、伸び率0.4%である。同様に3行目は、ピッチ数12、規格値190.5(=15.875×12)、伸び係数1.007、ピン径5.09、メモリ寸法詳細189.2885(=190.5×1.007−5.09/2)、実メモリ寸法189.29、伸び率0.7%である。同様に4行目は、ピッチ数13、規格値206.375(=15.875×13)、伸び係数1.010、ピン径5.09、メモリ寸法詳細205.89375(=206.375×1.010−5.09/2)、実メモリ寸法205.89、伸び率1.0%である。同様に5行目は、ピッチ数14、規格値222.25(=15.875×14)、伸び係数1.013、ピン径5.09、メモリ寸法詳細222.59425(=222.25×1.013−5.09/2)、実メモリ寸法222.59、伸び率1.3%である。
図11において、下表はRS40の場合を示す。ローラーチェーンの1ピッチは12.7mm、ピン径は3.97とする。1行目はピッチ数13、規格値165.1(=12.7×13)、伸び係数1.000、ピン径3.97、メモリ寸法詳細163.115(=165.1×1.000−3.97/2)、実メモリ寸法163.12、伸び率0.0%である。同様に2行目は、ピッチ数14、規格値177.8(=12.7×14)、伸び係数1.004、ピン径3.97、メモリ寸法詳細176.5262(=177.8×1.004−3.97/2)、実メモリ寸法176.53、伸び率0.4%である。同様に3行目は、ピッチ数15、規格値190.5(=12.7×15)、伸び係数1.007、ピン径3.97、メモリ寸法詳細189.8485(=190.5×1.007−3.97/2)、実メモリ寸法189.85、伸び率0.7%である。同様に4行目は、ピッチ数16、規格値203.2(=12.7×16)、伸び係数1.010、ピン径3.97、メモリ寸法詳細203.247(=203.2×1.010−3.97/2)、実メモリ寸法203.25、伸び率1.0%である。同様に5行目は、ピッチ数17、規格値215.9(=12.7×17)、伸び係数1.013、ピン径3.97、メモリ寸法詳細216.7217(=215.9×1.013−3.97/2)、実メモリ寸法216.72、伸び率1.3%である。
【0032】
したがって、エスカレータ等の乗客コンベアに使用されている手摺チェーン(ローラーチェーン)をスプロケットから外した状態でチェーンを張るために、測定治具を押し付けてチェーンを引っ張る方向で伸び率を測定するためには、保守現場にて手摺チェーンを取り外し、手摺チェーン伸び率測定治具1を用いて、被測定チェーンの左側最端部側に位置するローラーピンを手摺チェーン伸び率測定治具1の矩形状の測定用基準穴2に嵌入してピンの右端を測定用基準穴2の右端部に接触させるとともに、手摺チェーン伸び率測定治具1の細長状の測定用窓穴3に複数ピッチ分のローラーチェーンの複数のローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入する。そして、手摺チェーン伸び率測定治具1を左方向に押しながらチェーンを右方向へ引いて測定することにより、正確な測定が可能となる。ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認し、ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むことにより、手摺チェーンの伸び率を簡単に確認することができる点は、実施の形態1、2と同様である。この時、被測定チェーンがRS40又はDID40の場合は、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛10〜14を用いて確認する。また、被測定チェーンがRS50又はDID50の場合は、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛15〜19を用いて確認する。保守現場で、スプロケットからチェーンを外した状態では、チェーンを縮める方向になるため、正確に測定しにくい。しかし、この実施の形態4によれば、押し付け方向での測定が可能となるため、正確な測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す正面図である。
【図2】この発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す側面図である。
【図3】この発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具の基準穴部分から各目盛部分までの寸法関係を示す参考正面図である。
【図4】この発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具を用いて被測定チェーンを引っ張り方向で測定する場合の計算例を異なる被測定チェーン別に表わした参考表である。
【図5】この発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具を用いて被測定チェーンの伸び率を測定している状態を示す参考斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態2における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す正面図である。
【図7】この発明の実施の形態2における手摺チェーン伸び率測定治具の基準穴部分から各目盛部分までの寸法関係を示す参考正面図である。
【図8】この発明の実施の形態3における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す正面図である。
【図9】この発明の実施の形態4における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す正面図である。
【図10】この発明の実施の形態4における手摺チェーン伸び率測定治具の基準穴部分から各目盛部分までの寸法関係を示す参考正面図である。
【図11】この発明の実施の形態4における手摺チェーン伸び率測定治具を用いて被測定チェーンを押し付け方向で測定する場合の計算例を異なる被測定チェーン別に表わした参考表である。
【符号の説明】
【0034】
1 手摺チェーン伸び率測定治具
2 測定用基準穴
3 細長状の測定用窓穴
4、5、20 補強用橋架部
6、7 落下防止用治具穴
8、9 識別記号
10〜19 目盛
【技術分野】
【0001】
この発明は、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び率を測定する手摺チェーン伸び率測定治具及びそれを用いたチェーン伸び率測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び量を確認する作業は、数ピッチ分の軸部分の外−外の寸法と内−内の寸法を測定した後、測定した寸法を加算して2で割った寸法、すなわち、(外−外の寸法)+(内−内の寸法)/2を新品の規格値と比較して伸び量を算出しているため、その確認作業には長い時間がかかっていた。
【0003】
また、チェーンの伸び量を測定する治具が市販されているが、この市販の治具では摩耗限界に達しているかどうかが判るのみであった。
【0004】
また、従来技術として、リンクチェーンからなるロードチェーンの伸びを測定するチェーンゲージであって、測定すべきロードチェーンの線径に応じて異なる外径を有する複数の測定部が先端に向けて除々に外径が小さくなるように設けられ、ロードチェーンの線径に応じて該当する一つの測定部を一つのリンクに連結される二つのリンクの間に直角方向挿入してこれら二リンク間の間隔を測定することによってロードチェーンの伸びを測定するチェーンゲージが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−74604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のチェーンの伸び量を測定する市販治具では、摩耗限界に達しているかどうかが判るのみであり、今、チェーンが何%伸びているかまでは判らなかった。また、従来技術のチェーンゲージは、リンクチェーンからなるロードチェーンの伸びを測定するものであって、乗客コンベア用の手摺チェーン(ローラーチェーン)の伸び率を簡単に測定できるようにしたものではなかった。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、手摺チェーンに当てるだけでチェーンの伸び率を一目で判断することができる手摺チェーン伸び率測定治具及びそれを用いたチェーン伸び率測定方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る手摺チェーン伸び率測定治具においては、乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具であって、測定治具は、測定治具の一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴と、測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴と、測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛とを備えたものである。
【0009】
また、測定治具は、測定治具の一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴と、測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成されて他端部端縁が開放され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴と、測定用窓穴の他端部寄りに設けられ、他端部側の上下部分を橋架状に連結する補強用橋架部と、測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛とを備えたものである。
【0010】
また、測定用窓穴の一端部における上側部及び下側部の表面に被測定チェーンの種類に対応する識別記号を設け、測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面には被測定チェーンの種類に対応する各伸び率が記載された複数の目盛を別々に設けたものである。
【0011】
また、測定用窓穴の上側部の表面に設けられる被測定チェーンの種類に対応する識別記号及び被測定チェーンの種類に対応する各伸び率が記載された目盛は、被測定チェーンのピン径の細い方を上側に設けたものである。
【0012】
また、測定治具は、鋼板製の長尺体からなり、隅部に落下防止用治具穴を備えたものである。
【0013】
また、この発明に係る手摺チェーン伸び率測定治具を用いたチェーン伸び率測定方法においては、保守現場にて測定治具を用い、スプロケットに装着されてテンションを張った状態の被測定チェーンの一端部側に位置するローラーピンを測定治具の測定用基準穴に嵌入してピンの左端を測定用基準穴の一端部に接触させるとともに、測定治具の細長状の測定用窓穴に複数ピッチ分の被測定チェーンのローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入するステップと、ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認し、ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むステップとを備えたものである。
【0014】
また、保守現場にてスプロケットから被測定チェーンを取り外すステップと、前記測定治具を用い、取り外された被測定チェーンの一端部側に位置するローラーピンを前記測定治具の測定用基準穴に嵌入してピンの右端を測定用基準穴の右端部に接触させるとともに、測定治具の細長状の測定用窓穴に複数ピッチ分の被測定チェーンのローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入するステップと、前記測定治具を左方向に押しながら被測定チェーンを右方向へ引いて測定するステップと、ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認し、ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むステップとを備えたものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、手摺チェーンに当てるだけでチェーンの伸び率が一目で判断することができるので、手摺チェーンの伸び量を簡単に確認することができ、従来と比べて大幅な時間短縮を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す正面図、図2はこの発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す側面図、図3はこの発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具の基準穴部分から各目盛部分までの寸法関係を示す参考正面図、図4はこの発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具を用いて被測定チェーンを引っ張り方向で測定する場合の計算例を異なる被測定チェーン別に表わした参考表、図5はこの発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具を用いて被測定チェーンの伸び率を測定している状態を示す参考斜視図である。
【0017】
図において、1はエスカレータ等の乗客コンベアに使用されている手摺チェーン(ローラーチェーン)の伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具である。この測定治具1は、鋼板製の長尺体からなる鋼尺状の構成である。2は手摺チェーン伸び率測定治具1の左側端部(一端部)中央に形成された矩形状の測定用基準穴で、ローラーチェーンの伸び率を測定する時、左側最端部側に位置するローラーピンが嵌入する。3は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用基準穴2の直ぐ隣から中央部を経て右側端部(他端部)側の端縁に向かって水平方向に形成された細長状の測定用窓穴で、ローラーチェーンの伸び率を測定する時、複数ピッチ分のローラーチェーンのローラーピンが水平方向に一列となって嵌入されるので、手摺チェーン伸び率測定治具1は手で軽く押えるだけで支持される。この測定用窓穴3の右側端部側の端縁は開放されている。4、5は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部寄りの二箇所の部分をそれぞれ橋架状に連結している補強用橋架部で、測定用窓穴3の右側端部側の端縁が開放されていることにより、測定治具1の強度が低下するのを防止している。6は手摺チェーン伸び率測定治具1の左側端部の上隅部に形成された落下防止用治具穴、7は手摺チェーン伸び率測定治具1の右側端部の下隅部に形成された落下防止用治具穴である。これら落下防止用治具穴6、7を利用して吊下げ紐や吊下げリング等で作業者が吊下げ保持することにより、狭い場所での作業であっても落下するのを防止することができる。8は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の左側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの種類に対応する識別記号で、椿本チェーン製に対応するRS50及び大同チェーン製に対応するDID50が併記されている。9は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の左側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの種類に対応する識別記号で、椿本チェーン製に対応するRS40及び大同チェーン製に対応するDID40が併記されている。10〜14は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛である。この椿本チェーン製に対応するRS50、大同チェーン製に対応するDID50の場合における複数の目盛10〜14は、左側から右側に向かって順番に伸び率0%を示す目盛10、伸び率0.4%を示す目盛11、伸び率0.7%を示す目盛12、伸び率1.0%を示す目盛13及び伸び率1.3%を示す目盛14がそれぞれ間隔を置いて併記されている。15〜19は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛である。この椿本チェーン製に対応するRS40、大同チェーン製に対応するDID40の場合における複数の目盛15〜19は、左側から右側に向かって順番に伸び率0%を示す目盛15、伸び率0.4%を示す目盛16、伸び率0.7%を示す目盛17、伸び率1.0%を示す目盛18及び伸び率1.3%を示す目盛19がそれぞれ間隔を置いて併記されている。
【0018】
次に、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用基準穴2の部分から各目盛部分10〜19までの寸法関係を図3により説明する。通常の使用では、チェーンのテンションを張った状態で測定する。
先ず、手摺チェーン伸び率測定治具1の全体寸法は、縦35mm、横240mm、厚さ1mmである。測定用基準穴2は、縦6mm、横6mmである。測定用窓穴3は高さ6mmである。そして、測定用基準穴2の左端部(基準位置)から測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛10〜14までの寸法は、次のとおりである。すなわち、目盛10(0%)までの寸法が161.30mm、目盛11(0.4%)までの寸法が177.87mm、目盛12(0.7%)までの寸法が194.83mm、目盛13(1.0%)までの寸法が210.98mm、目盛14(1.3%)までの寸法が227.68mmとなっている。また、測定用基準穴2の左端部(基準位置)から測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛15〜19までの寸法は、次のとおりである。すなわち、目盛15(0%)までの寸法が167.09mm、目盛16(0.4%)までの寸法が180.50mm、目盛17(0.7%)までの寸法が193.82mm、目盛18(1.0%)までの寸法が207.22mm、目盛19(1.3%)までの寸法が220.69mmとなっている。
【0019】
次に、図4により、手摺チェーン伸び率測定治具1を用いて被測定チェーンを引っ張り方向で測定する場合の計算例を異なる被測定チェーン別に表わした参考表について説明する。
図4において、上表はRS50の場合を示す。ローラーチェーンの1ピッチは15.875mm、ピン径は5.09とする。1行目はピッチ数10、規格値158.75(=15.875×10)、伸び係数1.000、ピン径5.09、メモリ寸法詳細161.295(=158.75×1.000+5.09/2)、実メモリ寸法161.30、伸び率0.0%である。同様に2行目は、ピッチ数11、規格値174.625(=15.875×11)、伸び係数1.004、ピン径5.09、メモリ寸法詳細177.8685(=174.625×1.004+5.09/2)、実メモリ寸法177.87、伸び率0.4%である。同様に3行目は、ピッチ数12、規格値190.5(=15.875×12)、伸び係数1.007、ピン径5.09、メモリ寸法詳細194.3785(=190.5×1.007+5.09/2)、実メモリ寸法194.38、伸び率0.7%である。同様に4行目は、ピッチ数13、規格値206.375(=15.875×13)、伸び係数1.010、ピン径5.09、メモリ寸法詳細210.98375(=206.375×1.010+5.09/2)、実メモリ寸法210.98、伸び率1.0%である。同様に5行目は、ピッチ数14、規格値222.25(=15.875×14)、伸び係数1.013、ピン径5.09、メモリ寸法詳細227.68425(=222.25×1.013+5.09/2)、実メモリ寸法227.68、伸び率1.3%である。
図4において、下表はRS40の場合を示す。ローラーチェーンの1ピッチは12.7mm、ピン径は3.97とする。1行目はピッチ数13、規格値165.1(=12.7×13)、伸び係数1.000、ピン径3.97、メモリ寸法詳細167.085(=165.1×1.000+3.97/2)、実メモリ寸法167.09、伸び率0.0%である。同様に2行目は、ピッチ数14、規格値177.8(=12.7×14)、伸び係数1.004、ピン径3.97、メモリ寸法詳細180.4962(=177.8×1.004+3.97/2)、実メモリ寸法180.50、伸び率0.4%である。同様に3行目は、ピッチ数15、規格値190.5(=12.7×15)、伸び係数1.007、ピン径3.97、メモリ寸法詳細193.8185(=190.5×1.007+3.97/2)、実メモリ寸法193.82、伸び率0.7%である。同様に4行目は、ピッチ数16、規格値203.2(=12.7×16)、伸び係数1.010、ピン径3.97、メモリ寸法詳細207.217(=203.2×1.010+3.97/2)、実メモリ寸法207.22、伸び率1.0%である。同様に5行目は、ピッチ数17、規格値215.9(=12.7×17)、伸び係数1.013、ピン径3.97、メモリ寸法詳細220.6917(=215.9×1.013+3.97/2)、実メモリ寸法220.69、伸び率1.3%である。
【0020】
したがって、エスカレータ等の乗客コンベアに使用されている手摺チェーン(ローラーチェーン)の伸び率を測定するためには、図5に示すように、先ず、保守現場にて手摺チェーン伸び率測定治具1を用いて、被測定チェーンの左側最端部側に位置するローラーピンを手摺チェーン伸び率測定治具1の矩形状の測定用基準穴2に嵌入してピンの左端を測定用基準穴2の左端部に接触させるとともに、手摺チェーン伸び率測定治具1の細長状の測定用窓穴3に複数ピッチ分のローラーチェーンの複数のローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入する。手摺チェーン伸び率測定治具1は手で軽く押えるだけでピンにより支持されるので、落下することは無い。次に、ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認する。ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むことにより、手摺チェーンの伸び率を簡単に確認することができる。そして、この時、被測定チェーンがRS50又はDID50の場合は、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛10〜14を用いて確認する。また、被測定チェーンがRS40又はDID40の場合は、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛15〜19を用いて確認する。例えば、ピンの中心位置が0.7%の目盛12又は17で合致している場合は、手摺チェーンの伸び率は0.7%であることを示している。なお、保守現場では、上記手摺チェーン伸び率測定治具1を用いた測定方法を手摺チェーンの数箇所において実施することにより、手摺チェーンの伸び量を簡単に確認することができる。これにより、従来と比べて大幅な時間短縮を図ることができる。
【0021】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す正面図、図7はこの発明の実施の形態2における手摺チェーン伸び率測定治具の基準穴部分から各目盛部分までの寸法関係を示す参考正面図である。なお、図中、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付してある。
【0022】
上記実施の形態1では、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の左側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの種類に対応する識別記号8に、椿本チェーン製に対応するRS50及び大同チェーン製に対応するDID50を併記し、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の左側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの種類に対応する識別記号9に、椿本チェーン製に対応するRS40及び大同チェーン製に対応するDID40を併記しているが、この場合、実際にRS40チェーンを測定する際、ピン径がRS50チェーンと比べて細いため、手摺チェーン伸び率測定治具1をピンに自然に当てると、下側の目盛から離れてしまうから読みにくいという問題がある。この実施の形態2においては、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の左側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの種類に対応する識別記号8に、椿本チェーン製に対応するRS40及び大同チェーン製に対応するDID40を併記し、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の左側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの種類に対応する識別記号9に、椿本チェーン製に対応するRS50及び大同チェーン製に対応するDID50を併記したものである。RS50チェーンの場合は、ピン径が大きく、測定する際に測定用基準穴3にほぼぴったりと入るため、目盛が下側にあっても離れることがなく問題がないのである。10〜14は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛である。この椿本チェーン製に対応するRS40、大同チェーン製に対応するDID40の場合における複数の目盛10〜14は、左側から右側に向かって順番に伸び率0%を示す目盛10、伸び率0.4%を示す目盛11、伸び率0.7%を示す目盛12、伸び率1.0%を示す目盛13及び伸び率1.3%を示す目盛14がそれぞれ間隔を置いて併記されている。15〜19は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛である。この椿本チェーン製に対応するRS50、大同チェーン製に対応するDID50の場合における複数の目盛15〜19は、左側から右側に向かって順番に伸び率0%を示す目盛15、伸び率0.4%を示す目盛16、伸び率0.7%を示す目盛17、伸び率1.0%を示す目盛18及び伸び率1.3%を示す目盛19がそれぞれ間隔を置いて併記されている。
【0023】
次に、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用基準穴2の部分から各目盛部分10〜19までの寸法関係を図7により説明する。
先ず、手摺チェーン伸び率測定治具1の全体寸法は、縦35mm、横240mm、厚さ1mmである。測定用基準穴2は、縦6mm、横6mmである。測定用窓穴3は高さ6mmである。そして、測定用基準穴2の左端部(基準位置)から測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛10〜14までの寸法は、次のとおりである。すなわち、目盛10(0%)までの寸法が167.09mm、目盛11(0.4%)までの寸法が180.50mm、目盛12(0.7%)までの寸法が193.82mm、目盛13(1.0%)までの寸法が207.22mm、目盛14(1.3%)までの寸法が220.69mmとなっている。また、測定用基準穴2の左端部(基準位置)から測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛15〜19までの寸法は、次のとおりである。すなわち、目盛15(0%)までの寸法が161.30mm、目盛16(0.4%)までの寸法が177.87mm、目盛17(0.7%)までの寸法が194.83mm、目盛18(1.0%)までの寸法が210.98mm、目盛19(1.3%)までの寸法が227.68mmとなっている。
【0024】
したがって、エスカレータ等の乗客コンベアに使用されている手摺チェーン(ローラーチェーン)の伸び率を測定するためには、図5に示すように、先ず、保守現場にて手摺チェーン伸び率測定治具1を用いて、被測定チェーンの左側最端部側に位置するローラーピンを手摺チェーン伸び率測定治具1の矩形状の測定用基準穴2に嵌入してピンの左端を測定用基準穴2の左端部に接触させるとともに、手摺チェーン伸び率測定治具1の細長状の測定用窓穴3に複数ピッチ分のローラーチェーンの複数のローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入する。手摺チェーン伸び率測定治具1は手で軽く押えるだけでピンにより支持されるので、落下することは無い。次に、ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認する。ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むことにより、手摺チェーンの伸び率を簡単に確認することができる。そして、この時、被測定チェーンがRS40又はDID40の場合は、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛10〜14を用いて確認する。この場合、RS40チェーンのピン径はRS50チェーンと比べて細いが、手摺チェーン伸び率測定治具1をピンに自然に当てて上側の目盛10〜14を読めば良いだけであるので、問題がない。また、被測定チェーンがRS50又はDID50の場合は、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛15〜19を用いて確認する。RS50チェーンの場合は、ピン径が大きく、測定する際に測定用基準穴3にほぼぴったりと入るため、目盛が下側にあっても離れることがなく問題はない。
【0025】
実施の形態3.
図8はこの発明の実施の形態3における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す正面図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0026】
上記実施の形態1では、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用基準穴2の直ぐ隣から中央部を経て右側端部側の端縁に向かって水平方向に形成される細長状の測定用窓穴3は、その右側端部側の端縁を開放しているが、この実施の形態3においては、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部側の端縁にも橋架状に連結する補強用橋架部20を形成したものである。
【0027】
この実施の形態3によれば、実施の形態1とほぼ同様の作用、効果を奏することができる。
【0028】
実施の形態4.
図9はこの発明の実施の形態4における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す正面図、図10はこの発明の実施の形態4における手摺チェーン伸び率測定治具の基準穴部分から各目盛部分までの寸法関係を示す参考正面図、図11はこの発明の実施の形態4における手摺チェーン伸び率測定治具を用いて被測定チェーンを押し付け方向で測定する場合の計算例を異なる被測定チェーン別に表わした参考表である。なお、図中、実施の形態2と同一又は相当部分には同一符号を付してある。
【0029】
図において、1はエスカレータ等の乗客コンベアに使用されている手摺チェーン(ローラーチェーン)の伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具であり、手摺チェーンをスプロケットから外した状態でチェーンを張るために、測定治具を押し付けてチェーンを引っ張る方向(引っ張り方向)で測定するものである。この測定治具1は、鋼板製の長尺体からなる鋼尺状の構成である。2は手摺チェーン伸び率測定治具1の左側端部(一端部)中央に形成された矩形状の測定用基準穴で、ローラーチェーンの伸び率を測定する時、左側最端部側に位置するローラーピンが嵌入する。3は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用基準穴2の直ぐ隣から中央部を経て右側端部(他端部)側の端縁に向かって水平方向に形成された細長状の測定用窓穴で、ローラーチェーンの伸び率を測定する時、複数ピッチ分のローラーチェーンのローラーピンが水平方向に一列となって嵌入されるので、手摺チェーン伸び率測定治具1は手で軽く押えるだけで支持される。この測定用窓穴3の右側端部側の端縁は開放されている。4、5は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部寄りの二箇所の部分をそれぞれ橋架状に連結している補強用橋架部で、測定用窓穴3の右側端部側の端縁が開放されていることにより、測定治具1の強度が低下するのを防止している。6は手摺チェーン伸び率測定治具1の左側端部の下隅部に形成された落下防止用治具穴、7は手摺チェーン伸び率測定治具1の右側端部の上隅部に形成された落下防止用治具穴である。これら落下防止用治具穴6、7を利用して吊下げ紐や吊下げリング等で作業者が吊下げ保持することにより、狭い場所での作業であっても落下するのを防止することができる。8は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の左側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの種類に対応する識別記号で、椿本チェーン製に対応するRS40及び大同チェーン製に対応するDID40が併記されている。9は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の左側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの種類に対応する識別記号で、椿本チェーン製に対応するRS50及び大同チェーン製に対応するDID50が併記されている。10〜14は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛である。この椿本チェーン製に対応するRS40、大同チェーン製に対応するDID40の場合における複数の目盛10〜14は、左側から右側に向かって順番に伸び率0%を示す目盛10、伸び率0.4%を示す目盛11、伸び率0.7%を示す目盛12、伸び率1.0%を示す目盛13及び伸び率1.3%を示す目盛14がそれぞれ間隔を置いて併記されている。15〜19は手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛である。この椿本チェーン製に対応するRS50、大同チェーン製に対応するDID50の場合における複数の目盛15〜19は、左側から右側に向かって順番に伸び率0%を示す目盛15、伸び率0.4%を示す目盛16、伸び率0.7%を示す目盛17、伸び率1.0%を示す目盛18及び伸び率1.3%を示す目盛19がそれぞれ間隔を置いて併記されている。
【0030】
次に、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用基準穴2の部分から各目盛部分10〜19までの寸法関係を図10により説明する。この場合の使用では、手摺チェーンをスプロケットから外した状態でチェーンを張るために、測定治具を押し付けてチェーンを引っ張る方向で測定する。
先ず、手摺チェーン伸び率測定治具1の全体寸法は、縦35mm、横240mm、厚さ1mmである。測定用基準穴2は、縦6mm、横6mmである。測定用窓穴3は高さ6mmである。そして、測定用基準穴2の右端部(基準位置)から測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛10〜14までの寸法は、次のとおりである。すなわち、目盛10(0%)までの寸法が163.12mm、目盛11(0.4%)までの寸法が176.53mm、目盛12(0.7%)までの寸法が189.85mm、目盛13(1.0%)までの寸法が203.25mm、目盛14(1.3%)までの寸法が216.72mmとなっている。また、測定用基準穴2の右端部(基準位置)から測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛15〜19までの寸法は、次のとおりである。すなわち、目盛15(0%)までの寸法が156.21mm、目盛16(0.4%)までの寸法が172.78mm、目盛17(0.7%)までの寸法が189.29mm、目盛18(1.0%)までの寸法が205.89mm、目盛19(1.3%)までの寸法が222.59mmとなっている。
【0031】
次に、図11により、手摺チェーン伸び率測定治具1を用いて被測定チェーンを押し付け方向で測定する場合の計算例を異なる被測定チェーン別に表わした参考表について説明する。
図11において、上表はRS50の場合を示す。ローラーチェーンの1ピッチは15.875mm、ピン径は5.09とする。1行目はピッチ数10、規格値158.75(=15.875×10)、伸び係数1.000、ピン径5.09、メモリ寸法詳細156.205(=158.75×1.000−5.09/2)、実メモリ寸法156.21、伸び率0.0%である。同様に2行目は、ピッチ数11、規格値174.625(=15.875×11)、伸び係数1.004、ピン径5.09、メモリ寸法詳細172.7785(=174.625×1.004−5.09/2)、実メモリ寸法172.78、伸び率0.4%である。同様に3行目は、ピッチ数12、規格値190.5(=15.875×12)、伸び係数1.007、ピン径5.09、メモリ寸法詳細189.2885(=190.5×1.007−5.09/2)、実メモリ寸法189.29、伸び率0.7%である。同様に4行目は、ピッチ数13、規格値206.375(=15.875×13)、伸び係数1.010、ピン径5.09、メモリ寸法詳細205.89375(=206.375×1.010−5.09/2)、実メモリ寸法205.89、伸び率1.0%である。同様に5行目は、ピッチ数14、規格値222.25(=15.875×14)、伸び係数1.013、ピン径5.09、メモリ寸法詳細222.59425(=222.25×1.013−5.09/2)、実メモリ寸法222.59、伸び率1.3%である。
図11において、下表はRS40の場合を示す。ローラーチェーンの1ピッチは12.7mm、ピン径は3.97とする。1行目はピッチ数13、規格値165.1(=12.7×13)、伸び係数1.000、ピン径3.97、メモリ寸法詳細163.115(=165.1×1.000−3.97/2)、実メモリ寸法163.12、伸び率0.0%である。同様に2行目は、ピッチ数14、規格値177.8(=12.7×14)、伸び係数1.004、ピン径3.97、メモリ寸法詳細176.5262(=177.8×1.004−3.97/2)、実メモリ寸法176.53、伸び率0.4%である。同様に3行目は、ピッチ数15、規格値190.5(=12.7×15)、伸び係数1.007、ピン径3.97、メモリ寸法詳細189.8485(=190.5×1.007−3.97/2)、実メモリ寸法189.85、伸び率0.7%である。同様に4行目は、ピッチ数16、規格値203.2(=12.7×16)、伸び係数1.010、ピン径3.97、メモリ寸法詳細203.247(=203.2×1.010−3.97/2)、実メモリ寸法203.25、伸び率1.0%である。同様に5行目は、ピッチ数17、規格値215.9(=12.7×17)、伸び係数1.013、ピン径3.97、メモリ寸法詳細216.7217(=215.9×1.013−3.97/2)、実メモリ寸法216.72、伸び率1.3%である。
【0032】
したがって、エスカレータ等の乗客コンベアに使用されている手摺チェーン(ローラーチェーン)をスプロケットから外した状態でチェーンを張るために、測定治具を押し付けてチェーンを引っ張る方向で伸び率を測定するためには、保守現場にて手摺チェーンを取り外し、手摺チェーン伸び率測定治具1を用いて、被測定チェーンの左側最端部側に位置するローラーピンを手摺チェーン伸び率測定治具1の矩形状の測定用基準穴2に嵌入してピンの右端を測定用基準穴2の右端部に接触させるとともに、手摺チェーン伸び率測定治具1の細長状の測定用窓穴3に複数ピッチ分のローラーチェーンの複数のローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入する。そして、手摺チェーン伸び率測定治具1を左方向に押しながらチェーンを右方向へ引いて測定することにより、正確な測定が可能となる。ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認し、ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むことにより、手摺チェーンの伸び率を簡単に確認することができる点は、実施の形態1、2と同様である。この時、被測定チェーンがRS40又はDID40の場合は、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における上側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛10〜14を用いて確認する。また、被測定チェーンがRS50又はDID50の場合は、手摺チェーン伸び率測定治具1の測定用窓穴3の右側端部における下側部表面に記載された手摺チェーンの各伸び率に対応する複数の目盛15〜19を用いて確認する。保守現場で、スプロケットからチェーンを外した状態では、チェーンを縮める方向になるため、正確に測定しにくい。しかし、この実施の形態4によれば、押し付け方向での測定が可能となるため、正確な測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す正面図である。
【図2】この発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す側面図である。
【図3】この発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具の基準穴部分から各目盛部分までの寸法関係を示す参考正面図である。
【図4】この発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具を用いて被測定チェーンを引っ張り方向で測定する場合の計算例を異なる被測定チェーン別に表わした参考表である。
【図5】この発明の実施の形態1における手摺チェーン伸び率測定治具を用いて被測定チェーンの伸び率を測定している状態を示す参考斜視図である。
【図6】この発明の実施の形態2における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す正面図である。
【図7】この発明の実施の形態2における手摺チェーン伸び率測定治具の基準穴部分から各目盛部分までの寸法関係を示す参考正面図である。
【図8】この発明の実施の形態3における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す正面図である。
【図9】この発明の実施の形態4における手摺チェーン伸び率測定治具の構成を示す正面図である。
【図10】この発明の実施の形態4における手摺チェーン伸び率測定治具の基準穴部分から各目盛部分までの寸法関係を示す参考正面図である。
【図11】この発明の実施の形態4における手摺チェーン伸び率測定治具を用いて被測定チェーンを押し付け方向で測定する場合の計算例を異なる被測定チェーン別に表わした参考表である。
【符号の説明】
【0034】
1 手摺チェーン伸び率測定治具
2 測定用基準穴
3 細長状の測定用窓穴
4、5、20 補強用橋架部
6、7 落下防止用治具穴
8、9 識別記号
10〜19 目盛
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具であって、前記測定治具は、
測定治具の一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴と、
前記測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴と、
前記測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛と、
を備えたことを特徴とする手摺チェーン伸び率測定治具。
【請求項2】
乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具であって、前記測定治具は、
測定治具の一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴と、
前記測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成されて他端部端縁が開放され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴と、
前記測定用窓穴の他端部寄りに設けられ、他端部側の上下部分を橋架状に連結する補強用橋架部と、
前記測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛と、
を備えたことを特徴とする手摺チェーン伸び率測定治具。
【請求項3】
測定用窓穴の一端部における上側部及び下側部の表面に被測定チェーンの種類に対応する識別記号を設け、測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面には被測定チェーンの種類に対応する各伸び率が記載された複数の目盛を別々に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の手摺チェーン伸び率測定治具。
【請求項4】
測定用窓穴の上側部の表面に設けられる被測定チェーンの種類に対応する識別記号及び被測定チェーンの種類に対応する各伸び率が記載された目盛は、被測定チェーンのピン径の細い方を上側に設けたことを特徴とする請求項3記載の手摺チェーン伸び率測定治具。
【請求項5】
測定治具は、鋼板製の長尺体からなり、隅部に落下防止用治具穴を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の手摺チェーン伸び率測定治具。
【請求項6】
乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具は、その一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴と、前記測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴と、前記測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛とを備え、
保守現場にて前記測定治具を用い、スプロケットに装着されてテンションを張った状態の被測定チェーンの一端部側に位置するローラーピンを前記測定治具の測定用基準穴に嵌入してピンの左端を測定用基準穴の一端部に接触させるとともに、測定治具の細長状の測定用窓穴に複数ピッチ分の被測定チェーンのローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入するステップと、ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認し、ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むステップとを備えたことを特徴とする手摺チェーン伸び率測定治具を用いたチェーン伸び率測定方法。
【請求項7】
乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具は、その一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴と、前記測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成されて他端部端縁が開放され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴と、前記測定用窓穴の他端部寄りに設けられ、他端部側の上下部分を橋架状に連結する補強用橋架部と、前記測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛とを備え、
保守現場にて前記測定治具を用い、スプロケットに装着されてテンションを張った状態の被測定チェーンの一端部側に位置するローラーピンを前記測定治具の測定用基準穴に嵌入してピンの左端を測定用基準穴の一端部に接触させるとともに、測定治具の細長状の測定用窓穴に複数ピッチ分の被測定チェーンのローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入するステップと、ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認し、ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むステップとを備えたことを特徴とする手摺チェーン伸び率測定治具を用いたチェーン伸び率測定方法。
【請求項8】
乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具は、その一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴と、前記測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴と、前記測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛とを備え、
保守現場にてスプロケットから被測定チェーンを取り外すステップと、前記測定治具を用い、取り外された被測定チェーンの一端部側に位置するローラーピンを前記測定治具の測定用基準穴に嵌入してピンの右端を測定用基準穴の右端部に接触させるとともに、測定治具の細長状の測定用窓穴に複数ピッチ分の被測定チェーンのローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入するステップと、前記測定治具を左方向に押しながら被測定チェーンを右方向へ引いて測定するステップと、ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認し、ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むステップとを備えたことを特徴とする手摺チェーン伸び率測定治具を用いたチェーン伸び率測定方法。
【請求項9】
乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具は、その一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴と、前記測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成されて他端部端縁が開放され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴と、前記測定用窓穴の他端部寄りに設けられ、他端部側の上下部分を橋架状に連結する補強用橋架部と、前記測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛とを備え、
保守現場にてスプロケットから被測定チェーンを取り外すステップと、前記測定治具を用い、取り外された被測定チェーンの一端部側に位置するローラーピンを前記測定治具の測定用基準穴に嵌入してピンの右端を測定用基準穴の右端部に接触させるとともに、測定治具の細長状の測定用窓穴に複数ピッチ分の被測定チェーンのローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入するステップと、前記測定治具を左方向に押しながら被測定チェーンを右方向へ引いて測定するステップと、ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認し、ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むステップとを備えたことを特徴とする手摺チェーン伸び率測定治具を用いたチェーン伸び率測定方法。
【請求項1】
乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具であって、前記測定治具は、
測定治具の一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴と、
前記測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴と、
前記測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛と、
を備えたことを特徴とする手摺チェーン伸び率測定治具。
【請求項2】
乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具であって、前記測定治具は、
測定治具の一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴と、
前記測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成されて他端部端縁が開放され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴と、
前記測定用窓穴の他端部寄りに設けられ、他端部側の上下部分を橋架状に連結する補強用橋架部と、
前記測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛と、
を備えたことを特徴とする手摺チェーン伸び率測定治具。
【請求項3】
測定用窓穴の一端部における上側部及び下側部の表面に被測定チェーンの種類に対応する識別記号を設け、測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面には被測定チェーンの種類に対応する各伸び率が記載された複数の目盛を別々に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の手摺チェーン伸び率測定治具。
【請求項4】
測定用窓穴の上側部の表面に設けられる被測定チェーンの種類に対応する識別記号及び被測定チェーンの種類に対応する各伸び率が記載された目盛は、被測定チェーンのピン径の細い方を上側に設けたことを特徴とする請求項3記載の手摺チェーン伸び率測定治具。
【請求項5】
測定治具は、鋼板製の長尺体からなり、隅部に落下防止用治具穴を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の手摺チェーン伸び率測定治具。
【請求項6】
乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具は、その一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴と、前記測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴と、前記測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛とを備え、
保守現場にて前記測定治具を用い、スプロケットに装着されてテンションを張った状態の被測定チェーンの一端部側に位置するローラーピンを前記測定治具の測定用基準穴に嵌入してピンの左端を測定用基準穴の一端部に接触させるとともに、測定治具の細長状の測定用窓穴に複数ピッチ分の被測定チェーンのローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入するステップと、ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認し、ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むステップとを備えたことを特徴とする手摺チェーン伸び率測定治具を用いたチェーン伸び率測定方法。
【請求項7】
乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具は、その一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴と、前記測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成されて他端部端縁が開放され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴と、前記測定用窓穴の他端部寄りに設けられ、他端部側の上下部分を橋架状に連結する補強用橋架部と、前記測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛とを備え、
保守現場にて前記測定治具を用い、スプロケットに装着されてテンションを張った状態の被測定チェーンの一端部側に位置するローラーピンを前記測定治具の測定用基準穴に嵌入してピンの左端を測定用基準穴の一端部に接触させるとともに、測定治具の細長状の測定用窓穴に複数ピッチ分の被測定チェーンのローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入するステップと、ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認し、ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むステップとを備えたことを特徴とする手摺チェーン伸び率測定治具を用いたチェーン伸び率測定方法。
【請求項8】
乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具は、その一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴と、前記測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴と、前記測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛とを備え、
保守現場にてスプロケットから被測定チェーンを取り外すステップと、前記測定治具を用い、取り外された被測定チェーンの一端部側に位置するローラーピンを前記測定治具の測定用基準穴に嵌入してピンの右端を測定用基準穴の右端部に接触させるとともに、測定治具の細長状の測定用窓穴に複数ピッチ分の被測定チェーンのローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入するステップと、前記測定治具を左方向に押しながら被測定チェーンを右方向へ引いて測定するステップと、ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認し、ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むステップとを備えたことを特徴とする手摺チェーン伸び率測定治具を用いたチェーン伸び率測定方法。
【請求項9】
乗客コンベアに使用されている手摺チェーンの伸び率を測定するための手摺チェーン伸び率測定治具は、その一端部に形成され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンのローラーピンが嵌入される測定用基準穴と、前記測定用基準穴の隣から中央部を経て他端部に向かって水平方向に形成されて他端部端縁が開放され、手摺チェーンの伸び率を測定する時に被測定チェーンの複数ピッチ分のローラーピンが水平方向に一列となって嵌入される細長状の測定用窓穴と、前記測定用窓穴の他端部寄りに設けられ、他端部側の上下部分を橋架状に連結する補強用橋架部と、前記測定用窓穴の他端部における上側部及び下側部の表面の少なくとも一方にそれぞれ間隔を置いて設けられ、被測定チェーンの各伸び率に対応する数字が記載された複数の目盛とを備え、
保守現場にてスプロケットから被測定チェーンを取り外すステップと、前記測定治具を用い、取り外された被測定チェーンの一端部側に位置するローラーピンを前記測定治具の測定用基準穴に嵌入してピンの右端を測定用基準穴の右端部に接触させるとともに、測定治具の細長状の測定用窓穴に複数ピッチ分の被測定チェーンのローラーピンが水平方向に一列となるように嵌入するステップと、前記測定治具を左方向に押しながら被測定チェーンを右方向へ引いて測定するステップと、ピンの中心の位置と目盛の位置が合致している箇所を確認し、ピンの中心位置と目盛の位置が合致している箇所の目盛を読むステップとを備えたことを特徴とする手摺チェーン伸び率測定治具を用いたチェーン伸び率測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−74882(P2009−74882A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243268(P2007−243268)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]