手摺ブラケット用カバー
【課題】笠木を手で把持しながら進行する使用者に対して金属が露出した手摺ブラケットに接触することによる手の違和感を排除し、手摺ブラケットの曲成腕部の突出部への接触による怪我を防止する手摺ブラケット用カバーを提供することにある。
【解決手段】設置壁面Wへの固定部3から設置壁面を離れるように突出して上向きに延長し笠木1に下方より止着される止着部5に至る曲成腕部4を有する金属製の手摺ブラケット2の曲成腕部に対して、少なくとも笠木の下面に近接する箇所から突出する曲成腕部を内部に収容する縦方向空洞部10を有するブロック状に形作られると共に、手摺ブラケットを外方から縦方向空洞部に通過させるための通過用縦溝を有し、且つ少なくとも外側面は軟質材料で形成されているカバー本体よりなる手摺ブラケット用カバー。
【解決手段】設置壁面Wへの固定部3から設置壁面を離れるように突出して上向きに延長し笠木1に下方より止着される止着部5に至る曲成腕部4を有する金属製の手摺ブラケット2の曲成腕部に対して、少なくとも笠木の下面に近接する箇所から突出する曲成腕部を内部に収容する縦方向空洞部10を有するブロック状に形作られると共に、手摺ブラケットを外方から縦方向空洞部に通過させるための通過用縦溝を有し、且つ少なくとも外側面は軟質材料で形成されているカバー本体よりなる手摺ブラケット用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺のブラケットを被覆する手摺ブラケット用カバー、特に手摺のブラケットを被覆して手摺利用の安全性を確保する手摺ブラケット用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
手摺の設置方法に於いて、建物の設置壁面への固定部から設置壁面を離れるように突出して上向きに延長し手摺笠木に下方より止着される止着部に至る曲成腕部を有する金属製の手摺ブラケットを使用して設置される例は多い。このような手摺では、笠木を手で把持しながら進行する使用者は、笠木の手摺ブラケット設置位置に於いて笠木固定箇所の手摺ブラケットの上部に手が接触してしまう可能性が大きい。特に笠木表面が合成樹脂等の軟質材で被覆されているときに、笠木に連続している金属が露出した手摺ブラケットに接触することは、手に違和感を与えるのみでなく、手摺ブラケットの曲成腕部の角部への接触によって手が負傷をしたり、さらに知覚過敏者にとっては金属接触による障害を発生させる虞が生じる。そしてこのような欠点を除く手段は今まで開発されていない。尤も手摺ブラケットを設置壁面に固定した際に、固定部から突出するアンカーボルト頭が露出する不体裁を防止するために当該箇所を被覆するような硬質のカバーを設置した例は知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。しかしながらこのような従来技術は、あくまでアンカーボルト頭の被覆が主眼であって、笠木との接続部分において金属製ブラケットとの直接接触を防止する技術は開示されていない。
【0003】
【特許文献1】特開2004−143831号公報
【特許文献2】特開2006−219883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、笠木を手で把持しながら進行する使用者に対して笠木に連続している金属が露出した手摺ブラケットに接触することによる手の違和感を排除し、手摺ブラケットの曲成腕部の突出部への接触による怪我を防止し、さらに知覚過敏者にとっての金属接触による障害を発生を防止する手摺ブラケット用カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明にかかる手摺ブラケット用カバーは、設置壁面への固定部から該設置壁面を離れるように突出して上向きに延長し笠木に下方より止着される止着部に至る曲成腕部を有する金属製の手摺ブラケットの該曲成腕部に対して、少なくとも該笠木の下面に近接する箇所から突出する該曲成腕部を内部に収容する縦方向空洞部を有するブロック状に形作られると共に、該手摺ブラケットを外方から該縦方向空洞部に通過させるための通過用縦溝を有し、且つ少なくとも外側面は軟質材料で形成されているカバー本体よりなることを主な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、次のような効果を奏する。
A.少なくとも笠木の下面に近接する箇所から突出する曲成腕部が、少なくとも外側面は軟質材料で形成されている手摺ブラケット用カバーに内包されるので、笠木を手で把持しながら進行する使用者に対して、笠木に連続している金属が露出した手摺ブラケットに手が接触することによる違和感を排除する。特に知覚過敏者にとって笠木に連続している金属が露出した手摺ブラケットに接触することによる障害を発生を防止する。
B.少なくとも笠木の下面に近接する箇所から突出する曲成腕部が、少なくとも外側面は軟質材料で形成されている手摺ブラケット用カバーに内包されるので、手摺ブラケットによる負傷の内、最も起りやすい硬い手摺ブラケットの設置壁面を離れるように外方に突出する曲成腕部への打撲や擦過による負傷を防止する。
C.手摺ブラケット用カバーの手摺ブラケットへの取付は容易であり、既存手摺の手摺ブラケットに対しても簡単に取付が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を実施するための最良の形態について、以下実施例において、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
【実施例】
【0008】
図1乃至図5には第1実施例が示されている。図2及び図3において、手摺の笠木1は手摺を設置する設置壁面Wに固定された金属製の手摺ブラケット2の上向き端に止着されることによって支持されている。即ち手摺ブラケット2は設置壁面Wに沿う固定部3が設置壁面WにアンカーボルトBによって固定され、手摺ブラケット2の曲成腕部4が固定部3から設置壁面Wを離れるように上向きに笠木1の下方に向って延長し、曲成腕部4の上端は笠木1への止着部5となっていて笠木1内部に縦通する金属製の笠木芯体6に嵌合止着され、笠木1が手摺ブラケット2により支持されている。笠木1の表面には軟質合成樹脂や半硬質合成樹脂等で製造された比較的に軟質な笠木被覆層7が装着されており、使用者の手触りを良好にしている。本発明においてすべての実施例における手摺ブラケット2や笠木1の構造は、その形状が多少異なる場合があるとしてもほぼ同様とされる。
【0009】
図1乃至図5において、第1実施例における手摺ブラケット用カバー8のカバー本体9は、全体が軟質合成樹脂等の軟質材料で製造され、前方及び上方からは略長方形、側方からは略三角形のブロック状をなし、手摺ブラケット2の曲成腕部4における笠木1下面に近接する箇所から固定部3迄を収容する縦方向空洞部10を有する。そしてカバー本体9には先に設置壁面Wに固定された手摺ブラケット2に後から装着することができるように、手摺ブラケット2を外方から縦方向空洞部9に通過させるための通過用縦溝11が形成されると共に、通過用縦溝11を拡開することができるようにカバー本体9の縦方向空洞部10を挟む通過用縦溝11の対向側は折曲げ可能な薄肉連結部12とされている。またカバー本体9の中央上方には通過用縦溝11を挟んで横切る通孔13が設けられ、通過用縦溝11を通じて縦方向空洞部10に曲成腕部4を収容した後に、通孔13を通じて取付用ボルト14を締付けて取付を完了することになる。取付用ボルト14に代えてリベットを使用することもあり、さらにカバー本体9に充分な弾力性があるときには、弾力による嵌合のみで取付を行うこともできる。
【0010】
このように、カバー付の手摺ブラケットとしてはじめから製品とすることも、手摺ブラケット用カバー8を既存の手摺ブラケット2に後から装着することも可能である。手摺ブラケット用カバー8を取付けることによって、笠木1を手で把持しながら進行する使用者は、笠木1の手摺ブラケット2設置個所に於いて軟質の手摺ブラケット用カバー8に手が触れるので、金属製のブラケットに接触するのと異なって、接触の違和感を与えることがなく、また手を含む身体が怪我をすることもなく、さらに知覚過敏者にとって金属接触による障害を発生させることがない。またカバー本体9に適切な色彩を施すことや蓄光顔料を添加させて表示効果を高めることも可能である。
【0011】
第1実施例では、手摺ブラケット用カバー8は、手摺ブラケット2の曲成腕部4の笠木1の下面に近接する箇所から固定部3迄を収容する縦方向空洞部10を有し、固定部3におけるアンカーボルトBのボルト頭迄を被覆するものであるが、実際上手摺ブラケット2における露出したアンカーボルトBのボルト頭を備える固定部3に接触して使用者が怪我を負うことは少なく、固定部3から設置壁面Wを離れるように上向きに突出して延長する露出した曲成腕部4に身体が接触して怪我をする頻度が高い。このような理由から本発明での主要な特徴は手摺ブラケット2の曲成腕部4の笠木1の下面に近接する箇所を含む曲成腕部4の突出部分の被覆に向けられている。図6乃至図10にはこの点を重要視した第2実施例が示されている。図7及び図8において、手摺の笠木1、手摺ブラケット2、固定部3、曲成腕部4、止着部5、笠木芯体6、笠木被覆層7、設置壁面W、アンカーボルトB等は第1実施例で説明した態様と同様である。
【0012】
図6乃至図10において、第2実施例における手摺ブラケット用カバー8のカバー本体9は、全体が軟質合成樹脂等の軟質材料で製造され、前方及び上方からは略長方形、側方からは略倒台形のブロック状をなし、手摺ブラケット2の曲成腕部4の笠木1の下面に近接する箇所から突出している部分迄を収容する縦方向空洞部10を有する。したがってアンカーボルトBのボルト頭を含む固定部3の大半は被覆されない。そして第1実施例と同様に、カバー本体9には先に設置壁面Wに固定された手摺ブラケット2に後から装着することができるように、手摺ブラケット2を外方から縦方向空洞部9に通過させるための通過用縦溝11が形成されると共に、通過用縦溝11を拡開することができるようにカバー本体9の縦方向空洞部10を挟む通過用縦溝11の対向側は折曲げ可能な薄肉連結部12とされている。またカバー本体9の中央上方には通過用縦溝11を挟んで横切る通孔13が設けられ、通過用縦溝11を通じて縦方向空洞部10に曲成腕部4を収容した後に、通孔13を通じて取付用ボルト14を締付けて取付を完了することになる。このような方法で取付が行われるから既存手摺の手摺ブラケット2に対しても容易に取付が行われる。取付用ボルト14に代えてリベットを使用することもあり、さらにカバー本体9に充分な弾力性があるときには、弾力による嵌合のみで取付を行うこともできる。またカバー本体9に適切な色彩を施すことや蓄光顔料を添加させて表示効果を高めることができることも第1実施例と同様である。
【0013】
第1実施例及び第2実施例の手摺ブラケットカバー8では、そのカバー本体9はいずれも手摺ブラケット2の外形に沿った外形が形成されているが、さらにカバー本体9の外形を卵形に形成して意匠的な効果を高めるようにした態様が第3実施例として図11乃至図15に示される。一般的に手摺を設置する場合に、手摺ブラケット2の存在を隠してしまう傾向があるが、第3実施例では逆に手摺ブラケット2の存在を主張する態様とされている。図12及び図13において、手摺の笠木1、手摺ブラケット2、固定部3、曲成腕部4、止着部5、笠木芯体6、笠木被覆層7、設置壁面W、アンカーボルトB等は第1実施例で説明した態様と同様である。
【0014】
図11乃至図15において、第3実施例における手摺ブラケット用カバー8のカバー本体9は、全体が軟質合成樹脂等の軟質材料で製造され、外形が起立した卵形のブロック状をなし、手摺ブラケット2の曲成腕部4の笠木1の下面に近接する箇所から突出している部分迄を収容する縦方向空洞部10を有する。したがって第2実施例と同様にアンカーボルトBのボルト頭を含む固定部3の大半は被覆されない。そして第1実施例および第2実施例と同様に、カバー本体9には先に設置壁面Wに固定された手摺ブラケット2に後から装着することができるように、手摺ブラケット2を外方から縦方向空洞部9に通過させるための通過用縦溝11が形成されると共に、通過用縦溝11を拡開することができるようにカバー本体9の縦方向空洞部10を挟む通過用縦溝11の対向側は折曲げ可能な薄肉連結部12とされている。またカバー本体9の中央上方には通過用縦溝11を挟んで横切る通孔13が設けられ、通過用縦溝11を通じて縦方向空洞部10に曲成腕部4を収容した後に、通孔13を通じて取付用ボルト14を締付けて取付を完了することになる。このような方法で取付が行われるから既存手摺の手摺ブラケット2に対しても容易に取付が行われる。取付用ボルト14に代えてリベットを使用することもあり、さらにカバー本体9に充分な弾力性があるときには、弾力による嵌合のみで取付を行うこともできる。またカバー本体9に適切な色彩を施すことや蓄光顔料を添加させて表示効果を高めることができることも第1実施例および第2実施例と同様である。
【0015】
図16乃至図21には、第1実施例乃至第3実施例と異なってカバー本体9の通過用縦溝11を拡開させない形式の手摺ブラケット用カバー8を使用した第4実施例とその僅かな変形例が示されている。図17及び図18において、手摺の笠木1、手摺ブラケット2、固定部3、曲成腕部4、止着部5、笠木芯体6、笠木被覆層7、設置壁面W、アンカーボルトB等は第1実施例で説明した態様と同様である。
【0016】
図16乃至図19には第4実施例が示されているが、第4実施例における手摺ブラケット用カバー8のカバー本体9は、芯材としての金属製溝形材15外面に軟質合成樹脂等の軟質被覆材18が積層されて形成され、前面、上面、側面が長方形状のブロック状をなし、溝形材15の内部が縦方向空洞部10を形成し、また溝形材15の開口が通過用縦溝11を形成している。カバー本体9の中央上方には通過用縦溝11である溝形材15の開口を挟んで横切る通孔13が設けられ、通過用縦溝11を通じて縦方向空洞部10に曲成腕部4を収容すると、溝形材15のウェブ16が手摺ブラケット2における曲成腕部4の外周前面と対面すると共に、溝形材15の両フランジ17,17が手摺ブラケット2における曲成腕部4の外周両横面と対面して配置される。縦方向空洞部10に曲成腕部4を収容した後に通孔13を通じて取付用ボルト14を締付けて取付を完了することになる。このような方法で取付が行われるから既存手摺の手摺ブラケット2に対しても容易に取付が行われる。この取付には取付用ボルト14に代えてリベットを使用することもあり、またカバー本体9の外面に適切な色彩を施すことや軟質被覆材18蓄光顔料を添加させて表示効果を高めることができる。
【0017】
図20には第4実施例の変形例が示されている。第4実施例では、カバー本体9内に広い縦方向空洞部10が形成されるから、第1実施例乃至第3実施例のように特定形状の手摺ブラケット2に対して特定形状の手摺ブラケット用カバー8を用意する必要がない。図20には第1実施例乃至第3実施例とは異なった形状の手摺ブラケット2が示されているが、第4実施例では異なった形状の手摺ブラケット2に対して汎用的に使用することができる。
【0018】
図21には第4実施例の他の変形例が示されている。第4実施例について前記した説明では、手摺ブラケット用カバー8は、手摺ブラケット2の曲成腕部4の笠木1の下面に近接する箇所から固定部3迄を収容する縦方向空洞部10を有し、固定部3におけるアンカーボルトBのボルト頭迄被覆するものであるが、第2実施例について説明したとおり、実際上手摺ブラケット2におけるアンカーボルトBのボルト頭を備える固定部3に接触して使用者が怪我を負うことは少なく、固定部3から設置壁面Wを離れるように上向きに突出して延長する露出した曲成腕部4に身体が接触して怪我をする頻度が高い。このような理由から、図21に示す変形例では、手摺ブラケット用カバー8のカバー本体9は、手摺ブラケット2の曲成腕部4の笠木1の下面に近接する箇所から突出している部分迄を収容する縦方向空洞部10を有し裾が短く形成されている。
【0019】
図22乃至図27には、第1実施例乃至第3実施例と異なってカバー本体9の通過用縦溝11を拡開させない形式の手摺ブラケット用カバー8を使用した第5実施例とその僅かな変形例が示されている。さらに第5実施例は、取付用ボルト14を使用しない点で第4実施例と異なる。図23及び図24において、手摺の笠木1、手摺ブラケット2、固定部3、曲成腕部4、止着部5、笠木芯体6、笠木被覆層7、設置壁面W、アンカーボルトB等は第1実施例で説明した態様と同様である。
【0020】
図22乃至図25には第5実施例が示されているが、第5実施例における手摺ブラケット用カバー8のカバー本体9は、芯材としての金属製リップ付溝形材19のウェブ16外面および両フランジ17,17外面に軟質合成樹脂等の軟質被覆材18が積層されて形成され、前面、上面、側面が長方形状のブロック状をなし、リップ付溝形材19の内部が縦方向空洞部10を形成し、またリップ付溝形材19の開口が通過用縦溝11を形成している。通過用縦溝11を通じて縦方向空洞部10に曲成腕部4を収容すると、リップ付溝形材19のウェブ16が手摺ブラケット2における曲成腕部4の外周前面と対面すると共に、リップ付溝形材19の両フランジ17,17が手摺ブラケット2における曲成腕部4の外周両横面と対面して配置される。第5実施例では手摺ブラケット用カバー8の手摺ブラケット2への取付手段にも特徴がある。即ち手摺ブラケット用カバー8の手摺ブラケット2への取付は、手摺ブラケット2の設置壁面Wへの固定の際に、カバー本体9におけるリップ付溝形材19の両リップ20,20を手摺ブラケット2の固定部3と設置壁面Wとの間に介在させ、固定部3からアンカーボルトBを締付けると、両リップ20,20は固定部2と設置壁面Wとの間に挟着され、間接的に手摺ブラケット2に取付けられることとなる。第5実施例の取付手段によれば、第1実施例乃至第4実施例における取付用ボルト14のような別体の取付手段を必要としない。既存手摺の手摺ブラケット2に対して取付けるには、アンカーボルトBを少し緩めて、設置壁面Wと手摺ブラケット2の固定部3との間に空隙を設け、この空隙に両リップ20,20を挿入してアンカーボルトBを締直せばよい。また両リップ20,20の面積は手摺ブラケット2の固定部3の面積よりも広いので、アンカーボルトBを締付ける際に、締付け応力は固定部3よりも面積の広い両リップ20,20に分散され、設置壁面Wを形成するボード類の潰れを生じさせない。
【0021】
図26には第5実施例の変形例が示されている。第5実施例では、カバー本体9内に広い縦方向空洞部10が形成されるから、第1実施例乃至第3実施例のように特定の手摺ブラケット2に対して特定の手摺ブラケット用カバー8を用意する必要がない点で第4実施例と同様である。図26には第1実施例乃至第3実施例とは異なった形状の手摺ブラケット2が示されているが、第5実施例では異なった形状の手摺ブラケット2に対して汎用的に使用することができる。
【0022】
図27には第5実施例の他の変形例が示されている。第5実施例について前記した説明では、手摺ブラケット用カバー8は、手摺ブラケット2の曲成腕部4の笠木1の下面に近接する箇所から固定部3迄を収容する縦方向空洞部10を有し、固定部3におけるアンカーボルトBのボルト頭迄被覆するものであるが、第2実施例について説明したとおり、実際上手摺ブラケット2におけるアンカーボルトBのボルト頭を備える固定部3に接触して使用者が怪我を負うことは少なく、固定部3から設置壁面Wを離れるように上向きに突出して延長する露出した曲成腕部4に身体が接触して怪我をする頻度が高い。このような理由から、図27に示す変形例では、手摺ブラケット用カバー8のカバー本体9は、手摺ブラケット2の曲成腕部4の笠木1の下面に近接する箇所から突出している部分迄を収容する縦方向空洞部10を有し裾が短く形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す斜視図である。
【図2】第1実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す側面図である。
【図3】第1実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【図4】第1実施例における手摺ブラケット用カバーの上面図である。
【図5】第1実施例における手摺ブラケット用カバーの横断面図である。
【図6】第2実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す斜視図である。
【図7】第2実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す側面図である。
【図8】第2実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【図9】第2実施例における手摺ブラケット用カバーの上面図である。
【図10】第2実施例における手摺ブラケット用カバーの横断面図である。
【図11】第3実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す斜視図である。
【図12】第3実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す側面図である。
【図13】第3実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【図14】第3実施例における手摺ブラケット用カバーの上面図である。
【図15】第3実施例における手摺ブラケット用カバーの横断面図である。
【図16】第4実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す斜視図である。
【図17】第4実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す側面図である。
【図18】第4実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【図19】第4実施例における手摺ブラケット用カバー横断面図である。
【図20】第4実施例の変形例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【図21】第4実施例の他の変形例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【図22】第5実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す斜視図である。
【図23】第5実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す側面図である。
【図24】第5実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【図25】第5実施例における手摺ブラケット用カバー横断面図である。
【図26】第5実施例の変形例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【図27】第5実施例の他の変形例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 笠木
2 手摺ブラケット
3 固定部
4 曲成腕部
5 止着部
8 手摺ブラケット用カバー
9 カバー本体
10 縦方向空洞部
11 通過用縦溝
12 薄肉連結部
13 通孔
14 取付用ボルト
15 溝形材
16 ウェブ
17 フランジ
18 軟質被覆材
19 リップ付溝形材
20 リップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺のブラケットを被覆する手摺ブラケット用カバー、特に手摺のブラケットを被覆して手摺利用の安全性を確保する手摺ブラケット用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
手摺の設置方法に於いて、建物の設置壁面への固定部から設置壁面を離れるように突出して上向きに延長し手摺笠木に下方より止着される止着部に至る曲成腕部を有する金属製の手摺ブラケットを使用して設置される例は多い。このような手摺では、笠木を手で把持しながら進行する使用者は、笠木の手摺ブラケット設置位置に於いて笠木固定箇所の手摺ブラケットの上部に手が接触してしまう可能性が大きい。特に笠木表面が合成樹脂等の軟質材で被覆されているときに、笠木に連続している金属が露出した手摺ブラケットに接触することは、手に違和感を与えるのみでなく、手摺ブラケットの曲成腕部の角部への接触によって手が負傷をしたり、さらに知覚過敏者にとっては金属接触による障害を発生させる虞が生じる。そしてこのような欠点を除く手段は今まで開発されていない。尤も手摺ブラケットを設置壁面に固定した際に、固定部から突出するアンカーボルト頭が露出する不体裁を防止するために当該箇所を被覆するような硬質のカバーを設置した例は知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。しかしながらこのような従来技術は、あくまでアンカーボルト頭の被覆が主眼であって、笠木との接続部分において金属製ブラケットとの直接接触を防止する技術は開示されていない。
【0003】
【特許文献1】特開2004−143831号公報
【特許文献2】特開2006−219883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、笠木を手で把持しながら進行する使用者に対して笠木に連続している金属が露出した手摺ブラケットに接触することによる手の違和感を排除し、手摺ブラケットの曲成腕部の突出部への接触による怪我を防止し、さらに知覚過敏者にとっての金属接触による障害を発生を防止する手摺ブラケット用カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明にかかる手摺ブラケット用カバーは、設置壁面への固定部から該設置壁面を離れるように突出して上向きに延長し笠木に下方より止着される止着部に至る曲成腕部を有する金属製の手摺ブラケットの該曲成腕部に対して、少なくとも該笠木の下面に近接する箇所から突出する該曲成腕部を内部に収容する縦方向空洞部を有するブロック状に形作られると共に、該手摺ブラケットを外方から該縦方向空洞部に通過させるための通過用縦溝を有し、且つ少なくとも外側面は軟質材料で形成されているカバー本体よりなることを主な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、次のような効果を奏する。
A.少なくとも笠木の下面に近接する箇所から突出する曲成腕部が、少なくとも外側面は軟質材料で形成されている手摺ブラケット用カバーに内包されるので、笠木を手で把持しながら進行する使用者に対して、笠木に連続している金属が露出した手摺ブラケットに手が接触することによる違和感を排除する。特に知覚過敏者にとって笠木に連続している金属が露出した手摺ブラケットに接触することによる障害を発生を防止する。
B.少なくとも笠木の下面に近接する箇所から突出する曲成腕部が、少なくとも外側面は軟質材料で形成されている手摺ブラケット用カバーに内包されるので、手摺ブラケットによる負傷の内、最も起りやすい硬い手摺ブラケットの設置壁面を離れるように外方に突出する曲成腕部への打撲や擦過による負傷を防止する。
C.手摺ブラケット用カバーの手摺ブラケットへの取付は容易であり、既存手摺の手摺ブラケットに対しても簡単に取付が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を実施するための最良の形態について、以下実施例において、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
【実施例】
【0008】
図1乃至図5には第1実施例が示されている。図2及び図3において、手摺の笠木1は手摺を設置する設置壁面Wに固定された金属製の手摺ブラケット2の上向き端に止着されることによって支持されている。即ち手摺ブラケット2は設置壁面Wに沿う固定部3が設置壁面WにアンカーボルトBによって固定され、手摺ブラケット2の曲成腕部4が固定部3から設置壁面Wを離れるように上向きに笠木1の下方に向って延長し、曲成腕部4の上端は笠木1への止着部5となっていて笠木1内部に縦通する金属製の笠木芯体6に嵌合止着され、笠木1が手摺ブラケット2により支持されている。笠木1の表面には軟質合成樹脂や半硬質合成樹脂等で製造された比較的に軟質な笠木被覆層7が装着されており、使用者の手触りを良好にしている。本発明においてすべての実施例における手摺ブラケット2や笠木1の構造は、その形状が多少異なる場合があるとしてもほぼ同様とされる。
【0009】
図1乃至図5において、第1実施例における手摺ブラケット用カバー8のカバー本体9は、全体が軟質合成樹脂等の軟質材料で製造され、前方及び上方からは略長方形、側方からは略三角形のブロック状をなし、手摺ブラケット2の曲成腕部4における笠木1下面に近接する箇所から固定部3迄を収容する縦方向空洞部10を有する。そしてカバー本体9には先に設置壁面Wに固定された手摺ブラケット2に後から装着することができるように、手摺ブラケット2を外方から縦方向空洞部9に通過させるための通過用縦溝11が形成されると共に、通過用縦溝11を拡開することができるようにカバー本体9の縦方向空洞部10を挟む通過用縦溝11の対向側は折曲げ可能な薄肉連結部12とされている。またカバー本体9の中央上方には通過用縦溝11を挟んで横切る通孔13が設けられ、通過用縦溝11を通じて縦方向空洞部10に曲成腕部4を収容した後に、通孔13を通じて取付用ボルト14を締付けて取付を完了することになる。取付用ボルト14に代えてリベットを使用することもあり、さらにカバー本体9に充分な弾力性があるときには、弾力による嵌合のみで取付を行うこともできる。
【0010】
このように、カバー付の手摺ブラケットとしてはじめから製品とすることも、手摺ブラケット用カバー8を既存の手摺ブラケット2に後から装着することも可能である。手摺ブラケット用カバー8を取付けることによって、笠木1を手で把持しながら進行する使用者は、笠木1の手摺ブラケット2設置個所に於いて軟質の手摺ブラケット用カバー8に手が触れるので、金属製のブラケットに接触するのと異なって、接触の違和感を与えることがなく、また手を含む身体が怪我をすることもなく、さらに知覚過敏者にとって金属接触による障害を発生させることがない。またカバー本体9に適切な色彩を施すことや蓄光顔料を添加させて表示効果を高めることも可能である。
【0011】
第1実施例では、手摺ブラケット用カバー8は、手摺ブラケット2の曲成腕部4の笠木1の下面に近接する箇所から固定部3迄を収容する縦方向空洞部10を有し、固定部3におけるアンカーボルトBのボルト頭迄を被覆するものであるが、実際上手摺ブラケット2における露出したアンカーボルトBのボルト頭を備える固定部3に接触して使用者が怪我を負うことは少なく、固定部3から設置壁面Wを離れるように上向きに突出して延長する露出した曲成腕部4に身体が接触して怪我をする頻度が高い。このような理由から本発明での主要な特徴は手摺ブラケット2の曲成腕部4の笠木1の下面に近接する箇所を含む曲成腕部4の突出部分の被覆に向けられている。図6乃至図10にはこの点を重要視した第2実施例が示されている。図7及び図8において、手摺の笠木1、手摺ブラケット2、固定部3、曲成腕部4、止着部5、笠木芯体6、笠木被覆層7、設置壁面W、アンカーボルトB等は第1実施例で説明した態様と同様である。
【0012】
図6乃至図10において、第2実施例における手摺ブラケット用カバー8のカバー本体9は、全体が軟質合成樹脂等の軟質材料で製造され、前方及び上方からは略長方形、側方からは略倒台形のブロック状をなし、手摺ブラケット2の曲成腕部4の笠木1の下面に近接する箇所から突出している部分迄を収容する縦方向空洞部10を有する。したがってアンカーボルトBのボルト頭を含む固定部3の大半は被覆されない。そして第1実施例と同様に、カバー本体9には先に設置壁面Wに固定された手摺ブラケット2に後から装着することができるように、手摺ブラケット2を外方から縦方向空洞部9に通過させるための通過用縦溝11が形成されると共に、通過用縦溝11を拡開することができるようにカバー本体9の縦方向空洞部10を挟む通過用縦溝11の対向側は折曲げ可能な薄肉連結部12とされている。またカバー本体9の中央上方には通過用縦溝11を挟んで横切る通孔13が設けられ、通過用縦溝11を通じて縦方向空洞部10に曲成腕部4を収容した後に、通孔13を通じて取付用ボルト14を締付けて取付を完了することになる。このような方法で取付が行われるから既存手摺の手摺ブラケット2に対しても容易に取付が行われる。取付用ボルト14に代えてリベットを使用することもあり、さらにカバー本体9に充分な弾力性があるときには、弾力による嵌合のみで取付を行うこともできる。またカバー本体9に適切な色彩を施すことや蓄光顔料を添加させて表示効果を高めることができることも第1実施例と同様である。
【0013】
第1実施例及び第2実施例の手摺ブラケットカバー8では、そのカバー本体9はいずれも手摺ブラケット2の外形に沿った外形が形成されているが、さらにカバー本体9の外形を卵形に形成して意匠的な効果を高めるようにした態様が第3実施例として図11乃至図15に示される。一般的に手摺を設置する場合に、手摺ブラケット2の存在を隠してしまう傾向があるが、第3実施例では逆に手摺ブラケット2の存在を主張する態様とされている。図12及び図13において、手摺の笠木1、手摺ブラケット2、固定部3、曲成腕部4、止着部5、笠木芯体6、笠木被覆層7、設置壁面W、アンカーボルトB等は第1実施例で説明した態様と同様である。
【0014】
図11乃至図15において、第3実施例における手摺ブラケット用カバー8のカバー本体9は、全体が軟質合成樹脂等の軟質材料で製造され、外形が起立した卵形のブロック状をなし、手摺ブラケット2の曲成腕部4の笠木1の下面に近接する箇所から突出している部分迄を収容する縦方向空洞部10を有する。したがって第2実施例と同様にアンカーボルトBのボルト頭を含む固定部3の大半は被覆されない。そして第1実施例および第2実施例と同様に、カバー本体9には先に設置壁面Wに固定された手摺ブラケット2に後から装着することができるように、手摺ブラケット2を外方から縦方向空洞部9に通過させるための通過用縦溝11が形成されると共に、通過用縦溝11を拡開することができるようにカバー本体9の縦方向空洞部10を挟む通過用縦溝11の対向側は折曲げ可能な薄肉連結部12とされている。またカバー本体9の中央上方には通過用縦溝11を挟んで横切る通孔13が設けられ、通過用縦溝11を通じて縦方向空洞部10に曲成腕部4を収容した後に、通孔13を通じて取付用ボルト14を締付けて取付を完了することになる。このような方法で取付が行われるから既存手摺の手摺ブラケット2に対しても容易に取付が行われる。取付用ボルト14に代えてリベットを使用することもあり、さらにカバー本体9に充分な弾力性があるときには、弾力による嵌合のみで取付を行うこともできる。またカバー本体9に適切な色彩を施すことや蓄光顔料を添加させて表示効果を高めることができることも第1実施例および第2実施例と同様である。
【0015】
図16乃至図21には、第1実施例乃至第3実施例と異なってカバー本体9の通過用縦溝11を拡開させない形式の手摺ブラケット用カバー8を使用した第4実施例とその僅かな変形例が示されている。図17及び図18において、手摺の笠木1、手摺ブラケット2、固定部3、曲成腕部4、止着部5、笠木芯体6、笠木被覆層7、設置壁面W、アンカーボルトB等は第1実施例で説明した態様と同様である。
【0016】
図16乃至図19には第4実施例が示されているが、第4実施例における手摺ブラケット用カバー8のカバー本体9は、芯材としての金属製溝形材15外面に軟質合成樹脂等の軟質被覆材18が積層されて形成され、前面、上面、側面が長方形状のブロック状をなし、溝形材15の内部が縦方向空洞部10を形成し、また溝形材15の開口が通過用縦溝11を形成している。カバー本体9の中央上方には通過用縦溝11である溝形材15の開口を挟んで横切る通孔13が設けられ、通過用縦溝11を通じて縦方向空洞部10に曲成腕部4を収容すると、溝形材15のウェブ16が手摺ブラケット2における曲成腕部4の外周前面と対面すると共に、溝形材15の両フランジ17,17が手摺ブラケット2における曲成腕部4の外周両横面と対面して配置される。縦方向空洞部10に曲成腕部4を収容した後に通孔13を通じて取付用ボルト14を締付けて取付を完了することになる。このような方法で取付が行われるから既存手摺の手摺ブラケット2に対しても容易に取付が行われる。この取付には取付用ボルト14に代えてリベットを使用することもあり、またカバー本体9の外面に適切な色彩を施すことや軟質被覆材18蓄光顔料を添加させて表示効果を高めることができる。
【0017】
図20には第4実施例の変形例が示されている。第4実施例では、カバー本体9内に広い縦方向空洞部10が形成されるから、第1実施例乃至第3実施例のように特定形状の手摺ブラケット2に対して特定形状の手摺ブラケット用カバー8を用意する必要がない。図20には第1実施例乃至第3実施例とは異なった形状の手摺ブラケット2が示されているが、第4実施例では異なった形状の手摺ブラケット2に対して汎用的に使用することができる。
【0018】
図21には第4実施例の他の変形例が示されている。第4実施例について前記した説明では、手摺ブラケット用カバー8は、手摺ブラケット2の曲成腕部4の笠木1の下面に近接する箇所から固定部3迄を収容する縦方向空洞部10を有し、固定部3におけるアンカーボルトBのボルト頭迄被覆するものであるが、第2実施例について説明したとおり、実際上手摺ブラケット2におけるアンカーボルトBのボルト頭を備える固定部3に接触して使用者が怪我を負うことは少なく、固定部3から設置壁面Wを離れるように上向きに突出して延長する露出した曲成腕部4に身体が接触して怪我をする頻度が高い。このような理由から、図21に示す変形例では、手摺ブラケット用カバー8のカバー本体9は、手摺ブラケット2の曲成腕部4の笠木1の下面に近接する箇所から突出している部分迄を収容する縦方向空洞部10を有し裾が短く形成されている。
【0019】
図22乃至図27には、第1実施例乃至第3実施例と異なってカバー本体9の通過用縦溝11を拡開させない形式の手摺ブラケット用カバー8を使用した第5実施例とその僅かな変形例が示されている。さらに第5実施例は、取付用ボルト14を使用しない点で第4実施例と異なる。図23及び図24において、手摺の笠木1、手摺ブラケット2、固定部3、曲成腕部4、止着部5、笠木芯体6、笠木被覆層7、設置壁面W、アンカーボルトB等は第1実施例で説明した態様と同様である。
【0020】
図22乃至図25には第5実施例が示されているが、第5実施例における手摺ブラケット用カバー8のカバー本体9は、芯材としての金属製リップ付溝形材19のウェブ16外面および両フランジ17,17外面に軟質合成樹脂等の軟質被覆材18が積層されて形成され、前面、上面、側面が長方形状のブロック状をなし、リップ付溝形材19の内部が縦方向空洞部10を形成し、またリップ付溝形材19の開口が通過用縦溝11を形成している。通過用縦溝11を通じて縦方向空洞部10に曲成腕部4を収容すると、リップ付溝形材19のウェブ16が手摺ブラケット2における曲成腕部4の外周前面と対面すると共に、リップ付溝形材19の両フランジ17,17が手摺ブラケット2における曲成腕部4の外周両横面と対面して配置される。第5実施例では手摺ブラケット用カバー8の手摺ブラケット2への取付手段にも特徴がある。即ち手摺ブラケット用カバー8の手摺ブラケット2への取付は、手摺ブラケット2の設置壁面Wへの固定の際に、カバー本体9におけるリップ付溝形材19の両リップ20,20を手摺ブラケット2の固定部3と設置壁面Wとの間に介在させ、固定部3からアンカーボルトBを締付けると、両リップ20,20は固定部2と設置壁面Wとの間に挟着され、間接的に手摺ブラケット2に取付けられることとなる。第5実施例の取付手段によれば、第1実施例乃至第4実施例における取付用ボルト14のような別体の取付手段を必要としない。既存手摺の手摺ブラケット2に対して取付けるには、アンカーボルトBを少し緩めて、設置壁面Wと手摺ブラケット2の固定部3との間に空隙を設け、この空隙に両リップ20,20を挿入してアンカーボルトBを締直せばよい。また両リップ20,20の面積は手摺ブラケット2の固定部3の面積よりも広いので、アンカーボルトBを締付ける際に、締付け応力は固定部3よりも面積の広い両リップ20,20に分散され、設置壁面Wを形成するボード類の潰れを生じさせない。
【0021】
図26には第5実施例の変形例が示されている。第5実施例では、カバー本体9内に広い縦方向空洞部10が形成されるから、第1実施例乃至第3実施例のように特定の手摺ブラケット2に対して特定の手摺ブラケット用カバー8を用意する必要がない点で第4実施例と同様である。図26には第1実施例乃至第3実施例とは異なった形状の手摺ブラケット2が示されているが、第5実施例では異なった形状の手摺ブラケット2に対して汎用的に使用することができる。
【0022】
図27には第5実施例の他の変形例が示されている。第5実施例について前記した説明では、手摺ブラケット用カバー8は、手摺ブラケット2の曲成腕部4の笠木1の下面に近接する箇所から固定部3迄を収容する縦方向空洞部10を有し、固定部3におけるアンカーボルトBのボルト頭迄被覆するものであるが、第2実施例について説明したとおり、実際上手摺ブラケット2におけるアンカーボルトBのボルト頭を備える固定部3に接触して使用者が怪我を負うことは少なく、固定部3から設置壁面Wを離れるように上向きに突出して延長する露出した曲成腕部4に身体が接触して怪我をする頻度が高い。このような理由から、図27に示す変形例では、手摺ブラケット用カバー8のカバー本体9は、手摺ブラケット2の曲成腕部4の笠木1の下面に近接する箇所から突出している部分迄を収容する縦方向空洞部10を有し裾が短く形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す斜視図である。
【図2】第1実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す側面図である。
【図3】第1実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【図4】第1実施例における手摺ブラケット用カバーの上面図である。
【図5】第1実施例における手摺ブラケット用カバーの横断面図である。
【図6】第2実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す斜視図である。
【図7】第2実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す側面図である。
【図8】第2実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【図9】第2実施例における手摺ブラケット用カバーの上面図である。
【図10】第2実施例における手摺ブラケット用カバーの横断面図である。
【図11】第3実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す斜視図である。
【図12】第3実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す側面図である。
【図13】第3実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【図14】第3実施例における手摺ブラケット用カバーの上面図である。
【図15】第3実施例における手摺ブラケット用カバーの横断面図である。
【図16】第4実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す斜視図である。
【図17】第4実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す側面図である。
【図18】第4実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【図19】第4実施例における手摺ブラケット用カバー横断面図である。
【図20】第4実施例の変形例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【図21】第4実施例の他の変形例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【図22】第5実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す斜視図である。
【図23】第5実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す側面図である。
【図24】第5実施例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【図25】第5実施例における手摺ブラケット用カバー横断面図である。
【図26】第5実施例の変形例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【図27】第5実施例の他の変形例における手摺ブラケット用カバーの装着状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 笠木
2 手摺ブラケット
3 固定部
4 曲成腕部
5 止着部
8 手摺ブラケット用カバー
9 カバー本体
10 縦方向空洞部
11 通過用縦溝
12 薄肉連結部
13 通孔
14 取付用ボルト
15 溝形材
16 ウェブ
17 フランジ
18 軟質被覆材
19 リップ付溝形材
20 リップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置壁面への固定部から該設置壁面を離れるように突出して上向きに延長し笠木に下方より止着される止着部に至る曲成腕部を有する金属製の手摺ブラケットの該曲成腕部に対して、少なくとも該笠木の下面に近接する箇所から突出する該曲成腕部を内部に収容する縦方向空洞部を有するブロック状に形作られると共に、該手摺ブラケットを外方から該縦方向空洞部に通過させるための通過用縦溝を有し、且つ少なくとも外側面は軟質材料で形成されているカバー本体よりなることを特徴とする手摺ブラケット用カバー。
【請求項2】
前記カバー本体には、前記通過用縦溝を通じて前記縦方向空洞部に前記曲成腕部を収容した後に、該通過用縦溝を挟んで取付用ボルトが挿通され、該取付用ボルトのボルト接合により前記手摺ブラケットに取付けられることを特徴とする請求項1記載の手摺ブラケット用カバー。
【請求項3】
前記カバー本体は、全体が軟質材料で形成されると共に、前記カバー本体の前記縦方向空洞部を挟む前記通過用縦溝の対向側は折曲げ可能な薄肉連結部とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の手摺ブラケット用カバー。
【請求項4】
前記カバー本体は、その外形が卵形に形成されていることを特徴とする請求項3記載の手摺ブラケット用カバー。
【請求項5】
前記カバー本体は、芯材としての溝形材外面に軟質被覆材が積層されて形成され、該溝形材の内部が前記縦方向空洞部を形成し、該溝形材のウェブが前記手摺ブラケットにおける前記曲成腕部の外周前面と対面すると共に、該溝形材の両フランジが該手摺ブラケットにおける該曲成腕部の外周両横面と対面して該手摺ブラケットに取付けられることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の手摺ブラケット用カバー。
【請求項6】
前記カバー本体は、芯材としてのリップ付溝形材のウェブ外面および両フランジ外面に軟質被覆材が積層されて形成され、該リップ付溝形材の内部が前記縦方向空洞部を形成し、該リップ付溝形材のウェブが前記手摺ブラケットにおける前記曲成腕部の外周前面と対面すると共に、該リップ付溝形材の両フランジが該手摺ブラケットにおける該曲成腕部の外周両横面と対面して配置され、両リップが前記設置壁面と該手摺ブラケットの前記固定部との間に挟着されて該手摺ブラケットに取付けられることを特徴とする請求項1記載の手摺ブラケット用カバー。
【請求項1】
設置壁面への固定部から該設置壁面を離れるように突出して上向きに延長し笠木に下方より止着される止着部に至る曲成腕部を有する金属製の手摺ブラケットの該曲成腕部に対して、少なくとも該笠木の下面に近接する箇所から突出する該曲成腕部を内部に収容する縦方向空洞部を有するブロック状に形作られると共に、該手摺ブラケットを外方から該縦方向空洞部に通過させるための通過用縦溝を有し、且つ少なくとも外側面は軟質材料で形成されているカバー本体よりなることを特徴とする手摺ブラケット用カバー。
【請求項2】
前記カバー本体には、前記通過用縦溝を通じて前記縦方向空洞部に前記曲成腕部を収容した後に、該通過用縦溝を挟んで取付用ボルトが挿通され、該取付用ボルトのボルト接合により前記手摺ブラケットに取付けられることを特徴とする請求項1記載の手摺ブラケット用カバー。
【請求項3】
前記カバー本体は、全体が軟質材料で形成されると共に、前記カバー本体の前記縦方向空洞部を挟む前記通過用縦溝の対向側は折曲げ可能な薄肉連結部とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の手摺ブラケット用カバー。
【請求項4】
前記カバー本体は、その外形が卵形に形成されていることを特徴とする請求項3記載の手摺ブラケット用カバー。
【請求項5】
前記カバー本体は、芯材としての溝形材外面に軟質被覆材が積層されて形成され、該溝形材の内部が前記縦方向空洞部を形成し、該溝形材のウェブが前記手摺ブラケットにおける前記曲成腕部の外周前面と対面すると共に、該溝形材の両フランジが該手摺ブラケットにおける該曲成腕部の外周両横面と対面して該手摺ブラケットに取付けられることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の手摺ブラケット用カバー。
【請求項6】
前記カバー本体は、芯材としてのリップ付溝形材のウェブ外面および両フランジ外面に軟質被覆材が積層されて形成され、該リップ付溝形材の内部が前記縦方向空洞部を形成し、該リップ付溝形材のウェブが前記手摺ブラケットにおける前記曲成腕部の外周前面と対面すると共に、該リップ付溝形材の両フランジが該手摺ブラケットにおける該曲成腕部の外周両横面と対面して配置され、両リップが前記設置壁面と該手摺ブラケットの前記固定部との間に挟着されて該手摺ブラケットに取付けられることを特徴とする請求項1記載の手摺ブラケット用カバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2008−163553(P2008−163553A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350822(P2006−350822)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】
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