説明

手摺

【課題】精神病院、刑務所又は警察の留置場等向けに、紐を用いた自殺を防止できるような手摺を提供する。
【解決手段】手摺1は壁面に取り付けられるベース板部2と、該ベース板部2から間隔を存して配置されている握り部3と、前記ベース板部2より突設し該握り部3を支持し該握り部3の全長にわたる連結板部4と、これら握り部3と連結板部4の両端部と前記ベース板部2に結着しこれら握り部3と連結板部4とベース板部2により形成される空間部6の両端を閉塞する蓋部5、5とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精神病院、刑務所又は警察の留置場等において使用に安全な手摺に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、階段、廊下、トイレ、浴室等の壁面に取り付けられる手摺として、表面側に開口し、所定の幅及び深さを有する収容部を長手方向に形成すると共に、適宜前記開口の縁部が壁面と略面一になるように埋設固定する構造を有する長尺の筐体と、この筐体の前記収容部の形成方向に添って配設固定されると共に、横断面形状における内側部分の略半分が前記収容部内に収まるように支持してなる手摺本体とからなるものが知られている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−314221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手摺が人体に当るようなことを防ぐ安全性を考慮したこの従来の手摺であっても、精神病院や刑務所等において、着衣等をほどいて紐状体にして該紐状体を、前記長尺の筐体内に支持した手摺本体に係止し、この紐状体を首に巻付けて自殺を図るおそれがる問題点があった。
【0005】
本発明はこのような問題点を解消し安全で構造簡単な手摺を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのの目的を達成すべく、壁面に取り付けられるベース板部と、該ベース板部から間隔を存して配置されている握り部と、前記ベース板部より突設して該握り部を支持し該握り部の全長にわたる連結板部と、これら握り部と連結板部の両端部と前記ベース板部に結着しこれら握り部と連結板部とベース板部により形成される空間部の両端を閉塞する蓋部とからなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、手摺に紐状体を係止しようとしても該紐状体が係止不能で外れてしまうので、該紐状体を利用して自殺を図るおそれがなく安全であり、又構造が簡単である効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1の手摺の縦断面図である。
【図2】同上手摺の一部を省略して示した平面図である。
【図3】同上手摺の一部を省略して示した正面図である。
【図4】本発明の実施例2の手摺の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0010】
本発明の実施例1を図1乃至図3により説明する。
【0011】
図1は本実施例1の手摺1の縦断面図である。
【0012】
手摺1は、該手摺1を壁面に取り付けるベース板部2と、該ベース板部2から手が入るだけの間隔を存して該ベース板部2に平行に配置されている円管状の握り部3と、前記ベース板部2より突設し該握り部3の全長に渡って該握り部3を支持する連結板部4と、これら握り部3及び連結板部4の両端の各端部と前記ベース板部2とに結着しこれらベース板部2と握り部3と連結板部4とにより形成される空間部6の両端部を閉塞する蓋部5、5とからなる。
【0013】
図2は、手摺1の一部を省略して示した平面図であり、図3は手摺1の一部を省略して示した正面図である。尚、2aは取付け用のねじ孔である。
【0014】
又、図2は図1のA矢視図に相当し、図3は図1のB矢視図に相当する。
【0015】
図2の平面図上において、前記連結板部4は、前部の握り部3側の辺よりも後部のベース板部2側の辺の方が長い台形に形成しており、前記蓋部5の外表面を傾斜面に形成して、表面に紐を掛けるような凹凸がない構造としている。
【0016】
又、前記握り部3や連結板部4も途中に欠落部や切り欠き部や孔などを有しないようにして、手摺1には紐等の紐状体を掛けたり又は紐状体を結び付けたりできない構造としている。
【0017】
次に本実施例の手摺1の使用方法及びその効果について説明する。
【0018】
本発明の手摺1は、精神病院、刑務所又は警察の留置場等において、階段や廊下に沿って取り付けたり、又はトイレや浴室に取り付けたりする。
【0019】
手摺1の取り付けにおいては、ベース板部2に多数設けたねじ孔2aに木ねじ等を挿通して、壁面に螺着し、該ベース板部2を該壁面に固定する。
【0020】
そして利用者が、ベース板部2と握り部3との間の開口部より空間部6に指を差し込んで握り部3を握ることにより手摺1を使用できる。
【0021】
又、手摺1には紐状体を掛けたり又は紐状体を結び付けたりすることができないので、自殺を図る者がいても手摺を自殺に使用することができず、自殺者の出るおそれのある精神病院や刑務所又は警察の留置場等での使用に適している。
【0022】
尚、本実施例では握り部3を円管状としたが、これは円管状の代りに棒状体の断面を有するもの又は方形の断面を有するもの等のいずれの断面形状であってもよい。
【実施例2】
【0023】
本発明の実施例2を図4により説明する。
【0024】
図4は本実施例の手摺11の平面図である。
【0025】
手摺11の縦断面図は前記実施例1の図1と同様であり、ベース板部2、握り部3及び連結板部4を有している。
【0026】
手摺11の一方の端部は前記ベース板部2と握り部3と連結板部4とにより形成される空間部6を蓋部5で閉塞している。
【0027】
手摺11の他方の端部4aは側壁面a又は床面に隙間を開けずに結着するように形成されており、該手摺11の背面は前記ベース板部2を背壁面bに木ねじで螺着して固定するように形成されている。
【0028】
本実施例の手摺11も前記実施例1の手摺1と同様に、外側から紐等の紐状体を掛けたり又は紐状体を結び付けたりすることができないので、自殺防止用の手摺に適している。
【0029】
尚、本実施例では手摺11の一方の端部を蓋部5で閉塞し、他方の端部4aは側壁面aに結着するとしたが、これは両端部とも側壁面又は床面及び天井面に結着するようにして、蓋部の無い構造としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の手摺は、精神病院、刑務所又は警察の留置場等において主として自殺防止の目的で利用される。
【符号の説明】
【0031】
1、11 手摺
2 ベース板部
3 握り部
4 連結板部
5 蓋部
6 空間部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取り付けられるベース板部と、該ベース板部から間隔を存して配置されている握り部と、前記ベース板部より突設して該握り部を支持し該握り部の全長にわたる連結板部と、これら握り部と連結板部の両端部と前記ベース板部に結着しこれら握り部と連結板部とベース板部により形成される空間部の両端を閉塞する蓋部とからなる手摺。
【請求項2】
前記連結板部は、前記握り部側の辺より前記ベース板部側の長い台形に形成されていると共に、前記蓋部の外表面を傾斜面に形成した請求項1に記載の手摺。
【請求項3】
前記蓋部で閉塞する両端の内の少なくとも一方の端部は蓋を取り付ける代りに該端部に存する前記連結板部の一端部及び前記握り部の一端部を側壁面又は床面及び又は天井面に結着するように形成した請求項1に記載の手摺。
【請求項4】
前記握り部は棒状体に形成されている請求項1又は請求項3に記載の手摺。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−256595(P2011−256595A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131831(P2010−131831)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(391005813)株式会社神田製作所 (8)
【Fターム(参考)】