説明

払い出し装置

【課題】本発明は、単一の動力源によって移載手段の昇降および移動が可能な装置構成の払い出し装置の提供を課題とする。
【解決手段】上記課題を解決するため、本発明は、主搬送経路1から被搬送物を主搬送経路1の側方にある保管位置に払い出し可能な払い出し装置Aであって、被搬送物が積載されて移動する移載手段60と、前記移載手段の移動経路となる軌道51と、前記搬送方向と交差する方向に前記移載手段60を移動させる駆動装置101とを備え、前記軌道51には高低差が設けられ、移載手段60が主搬送経路1内で待機する状態では、移載手段60の移載搬送面63が主搬送経路1の搬送面70よりも低くなり、駆動装置101の動力が前記移載手段60に伝達されて前記移載手段60が保管位置側に移動すると、移載手段60の移載搬送面63が主搬送経路1の搬送面70よりも高くなることを特徴とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の搬送ラインによって搬送される被搬送物を搬送ラインから払い出す払い出し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ローラコンベア等の搬送装置において一定方向に被搬送物を搬送する搬送ラインからその側方に配された配送ラインや保管位置に被搬送物を払い出したいという要望に応えるべく、下記特許文献1に示すような払い出し装置等が提供されている。
【特許文献1】特開2003−285925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されている搬送設備の払い出し装置では、被搬送物を所定の搬送方向に搬送するために設けられたローラの間にベルト駆動体を移載手段として配置しておき、この移載手段を必要に応じて昇降装置を用いて昇降させる構成とされていた。そのため、特許文献1に開示されている払い出し装置は、ベルト駆動体を駆動させる動力源と、昇降装置を動作させる動力源とを別々に用意する必要があり、その分だけ装置構成が大がかりなものとなってしまい、コストが高くなるという問題があった。
【0004】
そこで本発明は、上記問題点を鑑み、単一の動力源によって移載手段の昇降および移動が可能な装置構成の払い出し装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1の発明では、所定の搬送方向に沿って被搬送物を搬送可能な主搬送経路から被搬送物を主搬送経路の側方にある保管位置に払い出し可能な払い出し装置であって、被搬送物が積載されて移動する移載手段と、前記移載手段の移動経路となる軌道と、前記搬送方向と交差する方向に前記移載手段を移動させる駆動装置とを備え、前記軌道には高低差が設けられ、移載手段が主搬送経路内で待機する状態では、移載手段の移載搬送面が主搬送経路の搬送面よりも低くなり、駆動装置の動力が前記移載手段に伝達されて前記移載手段が保管位置側に移動すると、移載手段の移載搬送面が主搬送経路の搬送面よりも高くなることを特徴とした。
【0006】
これにより、駆動装置の動力を移載手段に作用させて、移載手段の移載搬送面を主搬送経路の搬送面よりも上昇させ、移載手段の移載搬送面に被搬送物を積載し、被搬送物を保管位置側に移動させることができる。その結果、単一の動力源によって移載手段の昇降および移動をさせることができる簡単な装置構成の払い出し装置を提供することができ、製造コストも安く抑えることができる。
【0007】
上記請求項1に記載の払い出し装置は、前記軌道の所定の位置に窪みが設けられ、前記移載手段は車輪を有し、前記移載手段が主搬送経路内で待機する状態では、前記移載手段の車輪が前記軌道にある窪みに嵌まることにより移載手段の移載搬送面が主搬送経路の搬送面よりも低くなり、駆動装置の動力が前記移載手段に伝達されて前記移載手段の車輪が前記窪みから抜け出すと、移載手段の移載搬送面が主搬送経路の搬送面よりも高くなるものであってもよい(請求項2)。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、主搬送経路の搬送方向を基準として左右両側に前記移載手段があることを特徴とした。
【0009】
これにより、主搬送経路から払い出して保管することができる被搬送物の数を増やすことができる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、前記主搬送経路の少なくとも一部は、複数のローラが並べられて構成され、前記移載手段は、被搬送物を積載する積載フレームが対向して配置され、前記積載フレームは、前記主搬送経路のローラ間に位置することを特徴とした。
【0011】
これにより、請求項4の発明に係る払い出し装置の移載手段は、主搬送経路を構成するローラに邪魔されることなく昇降することができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記移載手段は、対向して配置された積載フレームの一方の端部が連結フレームで連結されることにより「コ」字状に形成されていることを特徴とした。
【0013】
これにより、移載手段の連結フレームと対向する部分にある開口部から他の移載手段の積載フレームを挿入することができ、主搬送経路内の略同一の位置に2つの移載手段を対向して設置することができる。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明において、前記移載手段が主搬送経路の搬送方向に沿って複数並べられたことを特徴とした。
【0015】
これにより、主搬送経路から払い出して保管することができる被搬送物の数を自在に調整することができ、一つの払い出し装置によって、主搬送経路を流れる被搬送物の順番を自在に並び替えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、単一の動力源によって移載手段の昇降および移動をさせることができる簡単な装置構成の払い出し装置を提供することができ、製造コストも安く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
続いて、本発明の一実施形態である払い出し装置Aについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、特に断りのない限り上下の位置関係については、図示するような通常の設置状態を基準とし、左右の位置関係については、払い出し装置Aの主搬送経路1を流れる被搬送物の流れ方向を基準とする。
【0018】
図1は、本実施形態に係る払い出し装置Aを示す斜視図であり、図2は、本実施形態に係る払い出し装置Aの要部を示す要部斜視図であり、図3は、本実施形態に係る払い出し装置Aの1ユニットBを示す斜視図であり、図4は、本実施形態に係る払い出し装置Aの1ユニットBを示す分解斜視図である。
図1に示すように、払い出し装置Aの搬送経路は、矢印で示す所定の搬送方向に沿って被搬送物を搬送可能な主搬送経路1と、主搬送経路1によって搬送されてきた被搬送物を主搬送経路1の側方に払い出す払い出し経路2とに大別される。払い出し装置Aは、払い出し経路2よりも上流側から下流側に向けて被搬送物を搬送でき、必要に応じて主搬送経路1上を流れる被搬送物を払い出し経路2に払い出すことができる。
【0019】
本実施形態に係る払い出し装置Aは、主搬送経路1の搬送方向に沿って払い出し装置が4ユニット並べられており、前記払い出し装置Aの1ユニットBに移載手段60が2基ずつ組み付けられている。
【0020】
主搬送経路1の一部は、平行に配された二本のサイドフレーム12,12間にモータ内蔵ローラ10やフリーローラ11を所定の間隔毎に設置された主搬送装置Cによって構成される。
【0021】
モータ内蔵ローラ10は、金属製の筒体13の内部にモータ(図示せず)と減速機(図示せず)とを内蔵したものである。筒体13は、両端の開口部分が閉塞部材(図示せず)により閉塞されている。筒体13の両端からは、固定軸20,21が突出している。筒体13は、閉塞部材の内側に装着された軸受を介して固定軸20,21に対して自由に相対回転できるものである。モータ内蔵ローラ10は、内部のモータの回転によって筒体13を回転させるものである。
【0022】
フリーローラ11は、上記したモータ内蔵ローラ10からモータおよび減速機からなる駆動ユニットを取り除いた構成とされている。すなわち、フリーローラ11の筒体13は、中空になっていて、両端の開口部分が閉塞部材により閉塞されている。筒体13の両端からは、固定軸20,21が突出している。筒体13は、閉塞部材の内側に装着された軸受を介して固定軸20,21に対して自由に相対回転できるものである。
【0023】
主搬送装置Cは、図1に示すようにモータ内蔵ローラ10と1又は複数のフリーローラ11に渡ってベルト35を架け、ベルト35を介してモータ内蔵ローラ10の回転力をフリーローラ11側に伝播する構成とされている。主搬送経路1の搬送経路の中途には、主搬送経路1上を流れる被搬送物を隣接する払い出し経路2に払い出すための払い出し装置Aの分岐部41が設けられている。即ち、主搬送経路1は、主搬送装置Cおよび払い出し装置Aの分岐部41によって構成されている。
【0024】
図1に示すように、主搬送経路1を構成する主搬送装置Cのサイドフレーム12,12は、被搬送物の搬送方向の中途において払い出し装置のフレーム40によって分断されている。一方、払い出し経路2は、主搬送経路1のサイドフレーム12,12に対して略直交する方向に延伸するフレーム40によって構成され、フレーム40には駆動装置101に連結された移載手段60が組み付けられている。払い出し経路2は、主搬送経路1を流れる被搬送物の流れとの交差部分に形成される分岐部41と、主搬送経路1を流れる被搬送物の流れ方向に対して右方側に物品を払い出す右方払出部42と、左方側に物品を払い出す左方払出部43とに大別される。
【0025】
フレーム40は、図4に示すように2本のサイドフレーム45(以下、必要に応じてサイドフレーム45a,45bと称す)を所定の間隔で対向するように配して構成され、フレーム40の内部はローラ固定具50によって区画され、サイドフレーム45の長手方向中央部に形成される中央部46と、この左右に形成される右方部48、左方部47とに大別される。
【0026】
中央部46は、モータ内蔵ローラ10やフリーローラ11がサイドフレーム45の延伸方向に略平行となるように装着される部位である。中央部46と右方部48あるいは左方部47との境界部分には、モータ内蔵ローラ10やフリーローラ11を装着するためのローラ固定具50が取り付けられている。
【0027】
ローラ固定具50は、金属製の部材であり、サイドフレーム45a,45bに対して溶接により固定される。図4に示すようにサイドフレーム45a,45b間を横切る固定部50aに矩形状の切り欠き50b,50bが幅方向に2箇所設けられる。そして、2箇所の切り欠き50b,50bによって挟まれた位置に軸固定部50cがあり、サイドフレーム45a,45bと切り欠き50b,50bとに挟まれた位置に軸固定部50d,50eがある。
【0028】
軸固定部50cには、ローラ固定具50の幅方向に所定の間隔を開けて3つの軸挿通孔50fが設けられている。また、軸固定部50d,50eには、それぞれ軸挿通孔50fが1つずつ設けられている。軸挿通孔50fは、モータ内蔵ローラ10やフリーローラ11の固定軸20,21が差し込まれる孔である。
【0029】
図3や図4に示すように、所定の間隔を開けてサイドフレーム45,45に装着されたローラ固定具50,50の軸固定部50d,50d間および軸固定部50e,50eには、それぞれフリーローラ11が1本ずつ取り付けられている。
【0030】
また、図3や図4に示すようにローラ固定具50の軸固定部50c,50c間には、真ん中にモータ内蔵ローラ10が取り付けられ、その左右にフリーローラ11が一本ずつ取り付けられる。そして、モータ内蔵ローラ10とフリーローラ11に渡ってベルトが架けられ、ベルト35を介してモータ内蔵ローラ10の回転力をフリーローラ11側に伝播する構成とされている。
【0031】
フレーム40の中央部46に取り付けられているモータ内蔵ローラ10およびフリーローラ11は、いずれも筒体13の延伸方向がサイドフレーム45および主搬送装置Cに装着されているモータ内蔵ローラ10およびフリーローラ11と略平行である。そのため、中央部46は、中央部46よりも上流側の主搬送装置Cから流れてくる被搬送物を下流側の主搬送装置Cに受け渡す中継路として機能することができる。
【0032】
また、フレーム40には、図4に示すように、移載手段60を移動させるための軌道51が形成されている。軌道51は、2本のレール53から構成されており、フレーム40にはレール53の間隔が異なる二組の軌道51が形成されている。以下、レールの間隔が広い方の軌道51を幅広軌道51aと称し、間隔の狭い方の軌道51を幅狭軌道51bと称する。
【0033】
本実施形態に係るフレーム40では、長尺状のレール取付板54にレール材55を取り付けてレール53を形成し、サイドフレーム45a,45b間に渡って取り付けられた支持フレーム52に前記レール取付板54を設置することにより軌道51が形成されている。
【0034】
前記支持フレーム52は、サイドフレーム45a,45b間に渡る本体部52aと、フレーム40に対するレール53の高さを調整してレール53を支持するレール支持部52bとを備えており、レール53を支持する役割とフレーム40を補強する役割を果たしている。本実施形態に係るフレーム40において、支持フレーム52は、中央部に3本、右方払出部42及び左方払出部43にはそれぞれ2本ずつ取り付けられている。
【0035】
レール取付板54は、長尺状の金属板であり、その表面にレール材55が取り付けられてレール53が形成される。レール材55は細長い金属製の角材であり、レール53は、図6に示すように、直線状に並んだ長さの異なる3本のレール材55a,55b,55cから構成されている。レール材55の端部のうち他のレール材55と隣接する端部は、上向きに傾斜するように加工されている。このため、本実施形態に係るレール53の所定の位置(レール材の境界部分)には窪み56が形成されている。また、図4に示すように、1枚のレール取付板54には、延伸方向に沿って2本のレール53が設置されている。
【0036】
本実施形態に係るフレーム40では2枚のレール取付板54,54が、図4に示すように、ローラ固定具50,50に形成された切り欠き部50b,50bにそれぞれ一枚ずつ収まっており、それぞれ右方部48および中央部46、左方部47の全ての領域に跨るようにレール支持フレーム52のレール支持部52bに取り付けられている。レール取付板54には1枚につき2本のレール53が設置されており、フレーム40には計4本のレール53が平行に並んでいる。
【0037】
そして、4本のレール53のうち外側の2本のレール53によって幅広軌道51aが構成され、内側の2本のレール53によって幅狭軌道51bが構成されている。フレーム40に形成された軌道51は、右方部48あるいは左方部47のいずれか一方側から中央部46に跨るように形成されている。
【0038】
本実施形態に係る駆動装置101は、モータ内蔵ローラ10とフリーローラ11とチェーン105とを備えている。モータ内蔵ローラ10およびフリーローラ11は、主搬送装置Cに使用されるモータ内蔵ローラ10およびフリーローラ11とは、筒体13の構造が相違するだけであり、他の構造は同一である。
【0039】
駆動装置101に使用されるモータ内蔵ローラ10の筒体13の中央部分には駆動側スプロケット102が取り付けられ、フリーローラ11の筒体13の中央部分には従動側スプロケット103が取り付けられている。チェーン105は、従来公知のローラチェーンと同様にローラを装着したブシュで固定されたローラリンクと、ピンで固定されたピンリンクとを交互に繋いだ構成を有する。チェーン105は、後述の動力伝達部材68に両端部が接続されており、これにより環状とされ、駆動側スプロケット102および従動側スプロケット103に懸架されている。
【0040】
駆動装置101は、図2や図3、図4に示すようにフレーム40の右方部48および左方部47の双方に組み付けられている。駆動装置101は、フレーム40の右方部48あるいは左方部47のサイドフレーム45a,45bの払い出し方向下流側端部に形成された軸挿通孔57,57にモータ内蔵ローラ10の固定軸20,21が差し込まれ、中央部46との境界近傍である上流側に形成された軸挿通孔58,58にフリーローラ11の固定軸20,21が差し込まれた状態でフレーム40に組み付けられている。そして、モータ内蔵ローラ10の駆動側スプロケット102およびフリーローラ11の従動側スプロケット103に渡ってチェーン105が懸架される。
【0041】
図5に示すように、本実施形態において被搬送物を移載する移載手段60は、被搬送物が積載される本体部61に車輪62を有する台車である。本体部61は、2本のサイドフレーム(積載フレーム)65,65と動力伝達フレーム(連結フレーム)66により「コ」字状に形成されており、対向して配置された2本のサイドフレーム65,65の一方の端部が動力伝達フレーム66によって接合されている。サイドフレーム65の所定の位置には車輪62が取り付けられており、本体部61の強度を補強するため、サイドフレーム65によって構成される本体部61の上面の動力伝達フレーム66側には補強板67が取り付けられている。
【0042】
また、対向するサイドフレーム65,65の間隔は、移載手段60が載せられる軌道51のレール53間隔と対応しており、軌道51と同様にサイドフレーム65,65の間隔が広い幅広台車60aと、間隔が狭い幅狭台車60bとがある。そして、図4に示すように、幅広台車60aのサイドフレーム65,65の間に、幅狭台車60bをそっくり収めることができる構成になっている。
【0043】
動力伝達フレーム66は駆動装置101の動力が伝達される部分であり、動力伝達フレーム66の下端部中央には動力伝達部材68が溶接により取り付けられており、前記動力伝達部材68を介して移載手段60と駆動装置101を構成するチェーン105とが連結されている。
【0044】
図2〜図4に示すように、本実施形態に係るフレーム40には2基の移載手段60が組み込まれている。すなわち、フレーム40には、被搬送物を右方払出部42側に払い出すための幅広台車60aと、左方払出部43側に払い出すための幅狭台車60bが組み込まれている。また、幅広台車60aおよび幅狭台車60bが載せられる幅広軌道51aおよび幅狭軌道51bは、それぞれ右方部48および左方部47のいずれか一方側から中央部46に跨るように設置されている。
【0045】
そして、通常、移載手段60は、フレーム40の中央部46に配置され、中央部46においては、移載手段60の車輪62がレール53の所定位置に設けられた窪み56に嵌まり込んでいる。このとき、移載手段60のサイドフレーム65によって構成される移載搬送面63は、主搬送経路1の搬送面70よりも低くなる。
【0046】
移載手段60のサイドフレーム65は、図4に示すように、ローラ固定具50,50に形成された切り欠き部50b,50bにそれぞれ1本ずつ収まっている。このとき、サイドフレーム65の一方は、軸固定部50d,50dに取り付けられたフリーローラ11と、これと隣り合って軸固定部50c,50cに取り付けられたフリーローラ11との間に位置し、他方のサイドフレーム65は、軸固定部50e,50eに取り付けられたフリーローラ11と、これと隣り合って軸固定部50c,50cに取り付けられたフリーローラ11との間に位置している。
【0047】
また、幅狭台車60bは、図4に示すように幅広台車60aのサイドフレーム65の間に収められている。
【0048】
払い出し装置Aは、主搬送経路1を構成する分岐部41の動力源として機能するモータ内蔵ローラ10および移載手段60の動力源として機能する駆動装置101の動作を制御する制御装置(図示せず)を有する。
【0049】
続いて、本実施例の払い出し装置Aの動作について詳細に説明する。主搬送経路1上に被搬送物が搭載されると、図示しない制御装置による制御に基づいてモータ内蔵ローラ10に電力が供給される。モータ内蔵ローラ10に電力が供給されると、モータ内蔵ローラ10が回転を開始する。これに連動して、モータ内蔵ローラ10の動力がベルト35を介してフリーローラ11に伝播され、フリーローラ11も回転を開始する。これにより、主搬送経路1上に搭載された被搬送物が図1に矢印で示すように下流側に向けて搬送される。
【0050】
主搬送経路1上を流れてきた被搬送物が分岐部41に差し掛かる前に、図示しない制御装置は、被搬送物を分岐部41よりも下流側に搬送すべきか、払い出し経路2を動作させて右方払出部42あるいは左方払出部43に払い出すべきかを確認する。ここで、被搬送物を分岐部41よりも下流側に搬送すべきであると判断した場合、制御装置は、分岐部41およびこれよりも下流側の主搬送経路1に設置されたモータ内蔵ローラ10を順次動作させ、被搬送物を分岐部41に引き込み、さらに下流側の主搬送装置Cへと送り出す。
【0051】
一方、制御装置が主搬送経路1を流れてきた被搬送物を右方払出部42あるいは左方払出部43に払い出すべきであると判断した場合、制御装置は、分岐部41に設けられたモータ内蔵ローラ10を動作させて被搬送物を分岐部41に引き込んだ後、フレーム40に対して組み付けられた幅広台車60aあるいは幅狭台車60bのいずれかを動作させる。
【0052】
さらに具体的に説明すると、例えば主搬送経路1によって搬送されてきた被搬送物を右方払出部42に払い出す場合、分岐部41に設置された図4に示す在荷センサ49aによって分岐部41に被搬送物が到来したことが検知されると、制御装置は、分岐部41に設置されたモータ内蔵ローラ10への通電を停止して被搬送物を分岐部41に停止させる。その後、制御装置は、幅広台車60aと連結された駆動装置101(以下、必要に応じて駆動装置101Rと称す)に対して電力を供給する。
【0053】
駆動装置101Rに対して電力が供給されると、駆動装置101Rを構成するモータ内蔵ローラ10が回転することにより駆動側スプロケット102が回転を始める。これにより、チェーン105が駆動され、チェーン105に連結された幅広台車60aに動力が伝達される。
【0054】
このとき、幅広台車60aは、図6(a)に示すように、車輪62がレール53の窪み56に嵌まり込んでおり、幅広台車60aのサイドフレーム65によって構成される移載搬送面63が、主搬送経路1の搬送面70よりも低い。このため、被搬送物は主搬送経路1の搬送面70上に積載されている。
【0055】
一方、駆動装置101Rの動力が作用することにより幅広台車60aは右方部48側に引っ張られ、図6(b)に示すように、車輪62がレール53の窪み56から抜け出される。幅広台車60aの車輪62が窪み56から抜け出されると、幅広台車60aのサイドフレーム65によって構成される移載搬送面63が、主搬送経路1の搬送面70よりも高くなる。その結果、図6(b)に示すように主搬送経路1の搬送面70に積載されていた被搬送物は、幅広台車60aのサイドフレーム65によって持ち上げられ、幅広台車60aの移載搬送面63上に積載される。このとき、幅広台車60aのサイドフレーム65は、中央部46に取り付けられたフリーローラ11,11の間に位置しており、幅広台車60aは中央部46に取り付けられたフリーローラ11に邪魔されることなく移載搬送面63を上昇させることができる。
【0056】
その後、幅広台車60aには駆動装置101Rからの動力が作用し続け、幅広台車60aは被搬送物を積載したまま吐き出し経路2の下流に向かって移動する。そして、往路センサ49bによって右方部48に幅広台車60aが到来したことが探知されると、制御装置は、駆動装置101Rを構成するモータ内蔵ローラ10への通電を停止して幅広台車60aの移動を停止させる。これにより、被搬送物は主搬送経路1の側方に位置する保管位置である右方払出部42に保管される。
【0057】
また、右方払出部42に保管された被搬送物を主搬送経路1に戻す場合、制御装置は、駆動装置101Rを構成するモータ内蔵ローラ10に対して電力を供給する。このとき、モータ内蔵ローラ10は、被搬送物を払い出す場合とは逆方向に回転される。そしてモータ内蔵ローラ10の回転が駆動側スプロケット102を介してチェーン105に伝えられると、チェーン105は、被搬送物を払い出す場合とは逆方向に駆動され、その動力がチェーンに連結された幅広台車60aに伝達される。
【0058】
駆動装置101Rの動力が作用することにより幅広台車60aは払い出し経路2の上流に向かって移動する。そして、復路センサ49cによって中央部46に幅広台車60aが到来したことが探知されると、制御装置は、駆動装置101Rを構成するモータ内蔵ローラ10への通電を停止して幅広台車60aの移動を停止させる。このとき、幅広台車60aの車輪62はレール53の所定の位置に設けられた窪み56に嵌まり込んだ状態となる。これにより幅広台車60aの移載搬送面63が主搬送経路1の搬送面70よりも低くなり幅広台車60aに積載されていた被搬送物は主搬送経路1を構成する分岐部41の搬送面70に搭載される。
【0059】
そして、分岐部41に設置された在荷センサ49aによって分岐部41に被搬送物が戻されたことが探知されると、制御装置は、分岐部41に設置されたモータ内蔵ローラ10に電力が供給され、モータ内蔵ローラ10が回転を開始する。これに連動してモータ内蔵ローラ10の動力がベルト35を介してフリーローラ11に伝播され、フリーローラ10も回転を開始する。これにより、分岐部41に搭載された被搬送物は、下流側の主搬送装置Cに受け渡され、主搬送経路1を搬送方向に沿って搬送される。
【0060】
上記実施形態では、主搬送経路1の搬送方向に沿って払い出し装置を構成するユニットBを4ユニット並べて移載手段60を8基設置する構成としたが、本発明はこのような構成に限られるわけではない。例えば、主搬送経路1の搬送方向に沿って移載手段60を1基のみ設置する構成であってもよく、8基以上設置する構成でもよい。主搬送経路1に沿って設置される移載手段60の数に制限はなく、設置スペースや目的に応じて設置される移載手段60の数を自在に調整することができる。
【0061】
これにより、主搬送経路1から払い出して保管することができる被搬送物の数を自在に調整することができ、一つの払い出し装置によって、主搬送経路1を流れる被搬送物の順番を自在に並び替えることができる。
【0062】
また、上記実施形態において移載手段60の本体部61は、2本のサイドフレーム65,65と動力伝達フレーム66によって「コ」字状に形成されたが、本発明はこのような構成に限られるわけではない。例えば、対向して配置された2本のサイドフレーム65,65の両方の端部をそれぞれ連結フレームで連結して矩形の本体部61を形成してもよい。この場合、移載手段60を上昇させたときに、連結フレームが主搬送経路1を構成する分岐部41のモータ内蔵ローラ10やフリーローラ11に引っ掛かって上昇が邪魔されないよう、少なくとも一方の連結フレームは、サイドフレーム65,65の低い位置若しくは高い位置に取り付けられる。
【0063】
上記実施形態において、移載手段60の移動経路となる軌道51は、レール53によって構成されたが、本発明はこのような構成に限られるわけではない。面状の軌道面をフレーム40に設置し、前記軌道面に溝や窪みを設けてもよい。
【0064】
上記実施形態において、駆動装置101の動力を移載手段60に伝達するための手段としてスプロケット102,103およびチェーン105が使用されたが、本発明はこのような構成に限られるわけではない。例えば、チェーン105の代わりにロープやワイヤーを用い、スプロケット102,103の代わりにプーリやドラムを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態に係る払い出し装置を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る払い出し装置の要部を示す要部斜視図である。
【図3】本実施形態に係る払い出し装置の1ユニットを示す斜視図である。
【図4】本実施形態に係る払い出し装置の1ユニットを示す分解斜視図である。
【図5】本実施形態に係る移載手段を示す斜視図である。
【図6】本実施形態に係る払い出し装置の移載手段の昇降を示す説明図である。
【符号の説明】
【0066】
1 主搬送経路
2 払い出し経路
10 モータ内蔵ローラ
11 フリーローラ
51 軌道
56 窪み
60 移載手段
62 車輪
63 移載搬送面
65 サイドフレーム
66 動力伝達フレーム
70 搬送面
101 駆動装置
A 払い出し装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送方向に沿って被搬送物を搬送可能な主搬送経路から被搬送物を主搬送経路の側方にある保管位置に払い出し可能な払い出し装置であって、
被搬送物が積載されて移動する移載手段と、
前記移載手段の移動経路となる軌道と、
前記搬送方向と交差する方向に前記移載手段を移動させる駆動装置とを備え、
前記軌道には高低差が設けられ、移載手段が主搬送経路内で待機する状態では、移載手段の移載搬送面が主搬送経路の搬送面よりも低くなり、
駆動装置の動力が前記移載手段に伝達されて前記移載手段が保管位置側に移動すると、移載手段の移載搬送面が主搬送経路の搬送面よりも高くなることを特徴とする払い出し装置。
【請求項2】
前記軌道の所定の位置に窪みが設けられ、
前記移載手段は車輪を有し、
前記移載手段が主搬送経路内で待機する状態では、前記移載手段の車輪が前記軌道にある窪みに嵌まることにより移載手段の移載搬送面が主搬送経路の搬送面よりも低くなり、
駆動装置の動力が前記移載手段に伝達されて前記移載手段の車輪が前記窪みから抜け出すと、移載手段の移載搬送面が主搬送経路の搬送面よりも高くなることを特徴とする請求項1に記載の払い出し装置。
【請求項3】
主搬送経路の搬送方向を基準として左右両側に前記移載手段があることを特徴とする請求項1又は2に記載の払い出し装置。
【請求項4】
前記主搬送経路の少なくとも一部は、複数のローラが並べられて構成され、
前記移載手段は、被搬送物を積載する積載フレームが対向して配置され、
前記積載フレームは、前記主搬送経路のローラ間に位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の払い出し装置。
【請求項5】
前記移載手段は、対向して配置された積載フレームの一方の端部が連結フレームで連結されることにより「コ」字状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の払い出し装置。
【請求項6】
前記移載手段が主搬送経路の搬送方向に沿って複数並べられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の払い出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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