説明

把持機構およびそれを備えたロボットハンド

【課題】把持対象物を安定的に把持可能であり、かつ、制御性に優れた把持機構およびそれを備えたロボットハンドを提供する。
【解決手段】ロボットハンド1は、把持機構2,3を備えている。把持機構2,3は、線状に延び可撓性を有する弾性収縮体4と、弾性収縮体4の軸方向に倣う様に設けられた伸縮不能な規制部材5とを備えている。弾性収縮体4は、筒状のチューブ11と、チューブ11の外周を覆う編組部材12とを備えている。規制部材5は、複数のリンク部材6と各リンク部材6を連結する複数のピン7とを備えている。規制部材5には、伸縮不能なカバー26が取り付けられており、弾性収縮体4の軸方向における少なくとも一部分は、規制部材5とカバー26とにより包囲されている。圧力調整装置20により、チューブ11内部に加圧流体が供給されると、弾性収縮体4は収縮し、把持機構2,3が所定の方向に湾曲する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持機構およびそれを備えたロボットハンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、重量物の運搬やレスキュー等の現場において作業員に代わって作業を行うため、または、医療の現場において義手等として使用するために、ロボットハンドの開発が進められている。ロボットハンドは、例えば、前者のような重量物を取り扱うような際には、堅固で大型のロボットハンドが作業員に代わって重量物を把持し、運搬等を行う。また、後者の義手等においては、例えば、小型で柔軟性の高いロボットハンドが人に代わって対象物を柔軟に把持し、目的の位置に移動させることが可能となる。
【0003】
ところで、図10(a),(b)に示すように、大型のロボットハンド110は、板状体101と、板状体101に取り付けられた一対の棒状体または板状体102により形成されることが多い(例えば、特許文献1参照)。この種のロボットハンド110では、一対の棒状体または板状体102の一方または両方を板状体101に対してスライド移動させ、両者の距離を縮めることにより把持対象物100を把持する(図10(b)参照)。また、小型のロボットハンドとしては、図10(c),(d)に示すように、弾性体103を用いたものがある(例えば、特許文献2参照)。当該ロボットハンド111は、弾性体103を予めJ字状に形成し、内部に可撓性を有するチューブ104が配されている。当該チューブ104の内部に液体を供給するとチューブ104が直線状に変形し(図10(c)参照)、弾性体103も直線状に変形する。一方、チューブ104内部の液体を排出するとJ字状の弾性体103の弾性力により元のJ字状に復元する。これにより、把持対象物100を把持することが可能となる。
【特許文献1】特開平7−136960号公報
【特許文献2】特開2004−90193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すようなロボットハンド110では、板状体102が把持対象物100に沿わず、把持対象物100は板状体102により二点で支持されることとなる。そのため、例えば、把持対象物100が球形状の物体等である場合、安定的に把持することができないという問題があった。また、当該ロボットハンド110では支持点が少ないために荷重が分散しにくい。そのため、把持に際して大きな力が必要となるという問題もあった。
【0005】
一方、特許文献2に示すようなロボットハンド111では、弾性体103を把持対象物100に沿わせながら把持することが可能であるため、把持対象物100を安定的に把持できるという利点がある。
【0006】
ところで、上記ロボットハンド111では、弾性体103を直線状に変形する際には液体の圧力を利用し、一方、把持対象物100を把持する際には、弾性体103が有する弾性力のみによって弾性体103を湾曲状態に復元させることとしている。ところが、弾性体103は使用により摩耗しやすく、経年の使用により弾性力の働く方向にばらつきが生じる場合がある。上記ロボットハンド111では、このような場合、弾性体103を所定の湾曲状態に復元させることができなくなり、把持対象物100を上手く把持できなくなるという問題があった。また、弾性力のみによって把持させることとしているため、弾性力が低下すると弾性体103全体が湾曲し難くなる。このことによっても把持対象物100を上手く把持できなくなるという問題があった。そのため、上記ロボットハンド111では、常時、画一的な動作をさせることが困難であり、制御性に欠けていた。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、把持対象物を安定的に把持可能であり、かつ、制御性に優れた把持機構およびそれを備えたロボットハンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る把持機構は、内部に流体が封入される筒状の弾性体と、前記弾性体の外周を覆い、前記弾性体の幅方向に伸張すると軸方向に収縮する網目状の編組部材とを有する弾性収縮体と、前記弾性体内部の流体の圧力を調整する圧力調整装置と、前記弾性収縮体の軸方向に倣う様に設けられ、前記弾性収縮体の軸方向の一端側および他端側に連結されており、伸縮不能かつ前記弾性収縮体の側が凹む様に屈曲可能または湾曲可能に構成された規制部材と、を備えたものである。
【0009】
ここで、倣うとは、規制部材と弾性収縮体との幅方向における距離が所定の範囲内にあることを指す。また、「軸方向の一端側および他端側に連結され」は、それぞれの端部から中央部に向かってずれた位置に連結される場合を含む。
【0010】
上記把持機構では、圧力調整装置を介した流体により弾性体内部が加圧されると、弾性体が幅方向に膨張し、これに伴い編組部材が幅方向に伸張する。編組部材は、幅方向に伸張すると軸方向に収縮力を発生させるように網目状に編み込まれている。そのため、弾性体は編組部材から軸方向に収縮する向きに力を受け収縮する。これにより、弾性収縮体全体が収縮することとなる。このとき、弾性収縮体の一端側および他端側に連結された規制部材は、伸縮不能であるため、弾性収縮体の収縮に伴い、弾性収縮体の側が凹む様に屈曲または湾曲する。また、規制部材は弾性収縮体に倣う様に設けられている。そのため、規制部材が弾性収縮体の側が凹む様に屈曲または湾曲すると、弾性収縮体は規制部材に従動し、弾性収縮体は規制部材と同方向へ湾曲することとなる。
【0011】
このような動作により、上記把持機構によれば、弾性収縮体および規制部材を屈曲または湾曲させることができる。そのため、例えば、湾曲面を有する把持対象物に対し、弾性収縮体および規制部材を沿わせることができる。したがって、上記把持機構によれば、把持対象物を安定的に把持することができる。
【0012】
また、上記把持機構によれば、圧力調整装置を用いて弾性体内部の流体の圧力を調整することにより、弾性収縮体および規制部材の湾曲度合を制御することができる。したがって、上記把持機構によれば、従来の弾性体の弾性力のみによって把持対象物を把持する把持機構のように、弾性体の摩耗により制御性が低下することがない。そのため、制御性に優れた把持機構を提供することができる。
【0013】
前記把持機構は、前記弾性収縮体の前記規制部材と反対側の少なくとも一部分を覆うカバーを備えていることが好ましい。
【0014】
ここで、上述の「覆う」には、カバーが弾性収縮体に接している状態だけでなく、離れている状態も含まれる。また、「少なくとも一部分を覆う」には、少なくとも一部分を一体的に覆っている状態だけでなく、断続的に覆っている状態も含まれる。
【0015】
上記把持機構では、弾性収縮体が凹む側に上記カバーが設けられている。そのため、例えば、把持対象物が鋭利な物体である場合に、弾性収縮体が把持対象物により破損することを防止することができる。また、カバーを備えることにより把持機構としての強度が増すため、大重量の把持対象物を取り扱うことが可能となる。したがって、上記把持機構によれば、鋭利な物体や大重量の物体を取り扱うような場合においても、弾性収縮体を保護することができ、耐久性の向上を図ることができる。
【0016】
前記カバーは複数のカバー部材を備えており、前記複数のカバー部材は、前記弾性収縮体が収縮していない状態において、前記弾性収縮体の軸方向に間隔を空けて配置されていることが好ましい。
【0017】
上記把持機構では、複数のカバー部材によりカバーが構成され、複数のカバー部材は弾性収縮体の軸方向に間隔を空けて配置されている。そのため、上記把持機構によれば、カバーにより弾性収縮体を一体的に覆う場合に比べ、軽量化を図ることができる。したがって、上記把持機構によれば、カバーを設けて弾性収縮体を保護することとしても、把持機構全体の重量の著しい増加を防止することができる。
【0018】
ところで、弾性収縮体が収縮すると、規制部材は弾性収縮体の側が凹む様に屈曲または湾曲し、これにより、弾性収縮体も規制部材と反対側が凹む様に湾曲する。このように湾曲することにより、弾性収縮体の規制部材と反対側の部分は、規制部材側よりも軸方向長さが短くなる。そのため、弾性収縮体が収縮していない状態において、上記複数のカバー部材が弾性収縮体の軸方向に間隔を空けて配置されていても、弾性収縮体が収縮するにつれて、その間隔は狭くなる。つまり、カバー部材は、弾性収縮体が湾曲するにつれて、弾性収縮体の軸方向に密に配置されることとなる。したがって、弾性収縮体が収縮していない状態において、カバー部材が間隔を空けて配置されていても、弾性収縮体の湾曲に伴ってカバー部材は密に配置されるため、弾性収縮体を保護することができる。
【0019】
前記規制部材は、複数のリンク部材と前記複数のリンク部材を鎖状に連結する複数のピンとからなることが好ましい。
【0020】
このことにより、上記規制部材は複数の屈曲点または湾曲点を有することとなる。そのため、上記把持機構によれば、把持機構と把持対象物とが複数点において接触した状態で把持対象物が把持されることとなる。これにより、把持対象物を把持する際、把持機構にかかる荷重が分散される。したがって、上記把持機構によれば、把持対象物をより安定的に把持することが可能となり、また、把持に際して必要とされる動力を軽減することができる。
【0021】
前記カバーは前記規制部材に連結されており、前記規制部材と前記カバーとは、前記弾性収縮体の軸方向における少なくとも一部分を包囲していることが好ましい。
【0022】
このことにより、弾性収縮体の少なくとも一部分は、規制部材とカバーとにより包囲されることとなる。そのため、弾性収縮体を保護することができ、耐久性の向上を図ることができる。
【0023】
また、上記把持機構によれば、弾性収縮体の一部分が規制部材とカバーとにより包囲されているため、規制部材と弾性収縮体との幅方向における距離が所定の範囲内に規制されることとなる。このことにより、弾性収縮体は、規制部材の屈曲または湾曲に伴い、規制部材から所定距離以上離れることなく、規制部材と同方向に湾曲することとなる。したがって、上記把持機構によれば、規制部材とカバーとにより、弾性収縮体の湾曲方向を所定の方向に規制することができる。そのため、把持機構の制御性の向上を図ることができる。
【0024】
前記規制部材は、複数のリンク部材と前記複数のリンク部材を鎖状に連結する複数のピンとからなり、前記複数のカバー部材はそれぞれ、前記複数のリンク部材に個別に連結されており、前記複数のリンク部材と前記複数のカバー部材とは、前記弾性収縮体の軸方向における少なくとも一部分を包囲していることが好ましい。
【0025】
このことにより、弾性収縮体は、軸方向の複数箇所において、リンク部材とカバー部材とにより包囲されることとなる。そのため、弾性収縮体をより保護することができ、耐久性のさらなる向上を図ることができる。また、弾性収縮体の複数箇所がリンク部材とカバー部材とにより包囲されている。そのため、弾性収縮体と規制部材との距離は、軸方向の広範囲に渡って所定の範囲内に規制される。これにより、上記把持機構では、規制部材とカバーとにより、弾性収縮体の湾曲方向を所定の方向(規制部材が屈曲または湾曲する方向)に規制することができる。そのため、上記把持機構によれば、把持機構の制御性の向上を図ることができる。
【0026】
前記把持機構は、前記弾性収縮体を複数備えており、独立して圧力制御ができるものであることが好ましい。
【0027】
上記把持機構によれば、弾性収縮体を複数備えているため、把持力を高めることができる。また、複数の弾性収縮体のそれぞれに荷重を分散させることが可能となるため、弾性収縮体の摩耗を抑制することができる。さらに、上記把持機構では、弾性収縮体の動作を所定の方向に規制する規制部材を備えている。そのため、弾性収縮体を複数備えた場合であっても制御性の低下を招くことなく、把持対象物を安定的に把持することができる。
【0028】
本発明に係るロボットハンドは、前記把持機構を複数備えたものである。
【0029】
上記ロボットハンドによれば、前記把持機構を複数備えているため、より安定的に把持対象物を把持することが可能となる。また、例えば、第1の把持機構と第2の把持機構とを、屈曲または湾曲時に互いに対峙する側が凹む様に配置することで、把持対象物を2方向から支持することができる。そのため、このようなロボットハンドによれば、さらに安定的に把持対象物を把持させることができる。さらに、本発明に係る把持機構は制御性に優れたものであるため、上記把持機構を把持対象物に精度よく倣わせることが可能となる。したがって、上記ロボットハンドによれば、上記把持機構の倣い特性を活かして精度良く制御することが可能となる。
【0030】
本発明に係るロボットハンドは、前記把持機構からなる一または二以上の第1把持機構と、前記把持機構からなり、前記第1把持機構よりも設置個数の多い第2把持機構と、を備え、前記第1把持機構は所定の第1の直線上に並ぶ二以上の前記弾性収縮体を備え、前記第2把持機構は、前記第1把持機構の前記弾性収縮体の本数よりも少ない本数の前記弾性収縮体を備え、前記第1把持機構は、前記第1の直線上に配置され、前記第2把持機構は、前記第1の直線に対して平行に延びる第2の直線上に配置され、前記第1把持機構は、屈曲または湾曲する際、前記第2の直線側が凹む様に配置され、前記第2把持機構は、屈曲または湾曲する際、前記第1の直線側が凹む様に配置されている。
【0031】
上記ロボットハンドでは、第1の直線上に弾性収縮体の本数の多い第1把持機構を設置し、第2の直線上に弾性収縮体の本数が第1把持機構よりも少ない第2把持機構を、第1把持機構よりも多く設置することとしている。これにより、上記ロボットハンドによれば、把持対象物を把持する際、把持対象物にバランスよく力を付与することができる。したがって、把持対象物を安定的に把持することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明によれば、把持対象物を安定的に把持可能であり、かつ、制御性に優れた把持機構およびそれを備えたロボットハンドを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0034】
図1に示すように、本実施形態に係るロボットハンド1は、把持機構2および把持機構3を備えている。把持機構2および把持機構3は板状のベース10に固定されている。
【0035】
把持機構2および把持機構3はそれぞれ、線状に延び可撓性を有する弾性収縮体4と、弾性収縮体4の軸方向に倣う様に設けられた伸縮不能な規制部材5とを備えている。把持機構2は弾性収縮体4を3本備えており、一方、把持機構3は弾性収縮体4を2本備えている。なお、把持機構2と把持機構3とは、弾性収縮体4の本数以外の構成については同様であるため、以下、把持機構2の構成についてのみ説明し、把持機構3については省略する。
【0036】
図2は把持機構2の正面図、図3は把持機構2の背面図、図4は把持機構2の側面図である。図2および図3に示すように、把持機構2は弾性収縮体4を3本備えている。3本の弾性収縮体4は、鉛直方向に線状に延びている。
【0037】
図5は弾性収縮体4を軸方向に切断した断面図である。図5に示すように、弾性収縮体4は、ゴム等の弾性体によって形成された筒状のチューブ11と、ナイロン等によって形成された網目状の編組部材12(図2〜図4参照)とを備えている。編組部材12は、筒状に形成されており、チューブ11の外周を覆っている。なお、本実施形態では、筒状のチューブ11は円筒状に形成されているが、当該形状に限定されない。筒状のチューブは、外周面が角形状に形成されていてもよく、例えば、断面が五角形や六角形等であってもよい。
【0038】
図6は、弾性収縮体4の側面図であり、図7(a),(b)は編組部材12の変化の様子を示す図である。図6および図7(a),(b)に示すように、編組部材12はナイロン等の糸状体を格子状に編み込むことにより形成されている。また、編組部材12の各格子部では、4つの格子点12aにより菱形の隙間12bが形成されている。そして、編組部材12は、隙間12bを形成する4つの格子点12aのうち、向かい合う2点がそれぞれチューブ11の幅方向または軸方向に配列される様に、チューブ11に巻き付けられている。
【0039】
このような構成により、編組部材12は、チューブ11が径方向に膨張すると、チューブ11から径方向外側向きの力を受けて、チューブ11の幅方向に伸張する。編組部材12は格子状に編み込まれているため、幅方向への伸張に伴い、軸方向に関して収縮する。このとき、隙間12bの菱形(図7(a)参照)は、鉛直方向に押しつぶされた形状となる(図7(b)参照)。このような編組部材12の変形により、編組部材12に覆われたチューブ11は、編組部材12から軸方向において収縮する向きの力を受けることとなる。
【0040】
図3および図4に示すように、規制部材5は、複数の伸縮不能なリンク部材6を備えている。複数のリンク部材6は鉛直方向に配置され、上下に隣り合うリンク部材6どうしが互いに回動自在に鎖状に連結されている。鎖状に連結されたリンク部材6は規制部材5の左右側面を形成しており、弾性収縮体4の後方かつ左右側方に配置されている。また、規制部材5は、左側方に配置された鎖状の各リンク部材6と右側方に配置された鎖状の各リンク部材6とを連結する複数のピン7を備えている。このように、規制部材5は、複数のリンク部材6と複数のピン7とによりリンク機構を形成している。なお、本実施形態では、リンク部材6は、板状体によって形成されているが、リンク部材6の形状および数は何ら限定されない。例えば、棒状体や筺状体であってもよい。また、リンク部材6の数は本実施形態のものに限定されず、2以上であればいくつ用いてもよい。
【0041】
また、図4に示すように、各リンク部材6の連結部には、リンク部材6の回転を所定の角度範囲に規制するストッパ6aが設けられている。ストッパ6aは、矩形の板状体からなり、各リンク部材6の連結部であって背面側(弾性収縮体4と反対側)に取り付けられている。これにより、ストッパ6aは、鎖状のリンク部材6が、正面側(弾性収縮体4側)が凹形状となる様に、各々のリンク部材6の回転角度範囲を規制する。これにより、規制部材5は、弾性収縮体4側が凹む様にのみ屈曲可能または湾曲可能に構成される。なお、ストッパ6aは、回転方向を規制するものであれば別部材ではなく、規制部材5やリンク部材6と一体化したものであってもよい。
【0042】
また、規制部材5には、カバー26が取り付けられている。カバー26は、複数の平面視コの字状のカバー部材16により形成されている。図2に示すように、カバー部材16の一端側は弾性収縮体4の左側方に配置されたリンク部材6に固定され、カバー部材16の他端側は弾性収縮体4の右側方に配置されたリンク部材6に固定されている。また、カバー部材16は伸縮不能な部材により形成されており、規制部材5とカバー部材16とは、弾性収縮体4の軸方向における少なくとも一部分を包囲している(図1参照)。そのため、弾性収縮体4は所定の距離以上規制部材5から離れることができない。つまり、規制部材5と弾性収縮体4との距離は、カバー部材16により所定の範囲内に規制される。これにより、規制部材5が湾曲または屈曲すると、弾性収縮体4も共に湾曲することとなる。
【0043】
図4に示すように、規制部材5は連結部材8と土台9を介して弾性収縮体4の両端部(上端および下端)に連結されている。本実施形態では、規制部材5の上端部と弾性収縮体4の上端部とは、規制部材5の上端部とチューブ11の上端部とがそれぞれ連結部材8に固定されることにより連結されている。また、規制部材5の下端部と弾性収縮体4の下端部とは、規制部材5の下端部とチューブ11の下端部とがそれぞれ土台9に固定されることにより連結されている。
【0044】
上記構成により、規制部材5は、連結部材8および土台9を介して弾性収縮体4の両端部に連結されている。これにより、規制部材5は、弾性収縮体4の収縮動に連動して屈曲または湾曲することとなる。なお、規制部材5は連結部材8および土台9を介さずに直接弾性収縮体4と連結してもよく、また、他の部材を用いて連結することとしてもよい。さらに、規制部材5と弾性収縮体4とは両端部からそれぞれ中央側にずれた位置において連結されていてもよい。
【0045】
図2に示すように、弾性収縮体4の上端部は、閉塞部材14によって閉塞されている。一方、弾性収縮体4の下端部には、チューブ11(図5参照)の内部に流体(例えば、水、空気、油等)を供給するための供給チューブ15が接続されている。供給チューブ15の他端部には、チューブ11内部の流体の圧力を調整する圧力調整装置20が接続されている。
【0046】
圧力調整装置20は、加圧した流体をチューブ11内部に供給することにより、チューブ11内部の流体の圧力を上昇させる。逆に、圧力調整装置20は、チューブ11内部の流体を供給チューブ15を介して圧力調整装置20側に排出させることにより、チューブ11内部の流体の圧力を降下させる。
【0047】
以上がロボットハンド1の構成である。次に、ロボットハンド1および各部の動作について説明する。
【0048】
−弾性収縮体の動作−
まず、弾性収縮体4の動作について説明する。前述したように、圧力調整装置20からチューブ11内部に加圧された流体が供給されると、弾性体等により形成されたチューブ11は径方向に膨張する。これにより、チューブ11を覆う編組部材12がチューブ11の幅方向に引っ張られて伸張すると共に、軸方向に収縮する。このとき、編組部材12はチューブ11に対して軸方向に関して収縮する向きに力を加える。そのため、チューブ11も軸方向に収縮し、弾性収縮体4全体が軸方向に収縮することとなる。
【0049】
一方、圧力調整装置20により、チューブ11内部の流体が排出されると、チューブ11内部の圧力が低下し、編組部材12から縮径する方向に力を受けてチューブ11は径方向に膨張した状態からもとの形状に復元される。このとき、編組部材12の幅方向における長さも元の長さに戻り、それと共に、編組部材12の軸方向における長さも元の長さに戻る。これにより、編組部材12がチューブ11に対して付勢していた軸方向に収縮する向きの力が消滅し、弾性収縮体4全体の軸方向長さも元の長さに戻ることとなる。
【0050】
−把持機構の動作−
次に把持機構2の動作について図8を参照しつつ説明する。なお、把持機構3の動作は把持機構2の動作と同様であるため、説明を省略する。また、図8(a),(b),(c)は、把持機構2の動作を模式的に示した図である。
【0051】
前述のように、圧力調整装置20からチューブ11内部に加圧された流体が供給されることにより弾性収縮体4が収縮すると、連結部材8は弾性収縮体4に引っ張られる。これにより、連結部材8と土台9との距離が縮まる。このとき、規制部材5は伸縮不能であるため、複数のリンク部材6をそれぞれ回動させて屈曲する。また、このとき、規制部材5の各リンク部材の連結部にはストッパ6aが設けられているため、規制部材5は、弾性収縮体4側が凹む様に屈曲する。
【0052】
規制部材5が屈曲すると、弾性収縮体4も規制部材5に押されて湾曲する(図8(b)参照)。なお、規制部材5と弾性収縮体4とは別素材によって形成されている。そのため、必ずしも同様に屈曲または湾曲する訳ではなく、例えば、弾性収縮体4が規制部材5から離れてしまうこと考えられる。しかし、把持機構2の規制部材5には、カバー部材16が取り付けられている。そのため、弾性収縮体4が規制部材5から所定距離だけ離れると、弾性収縮体4はカバー部材16に当接してそれ以上規制部材5から離れない様に規制される。したがって、規制部材5は弾性収縮体4に沿いつつ屈曲または湾曲することとなる。
【0053】
このようにして、圧力調整装置20により、弾性収縮体4のチューブ11内部に加圧流体が供給されると、弾性収縮体4と規制部材5とを備えた把持機構2は、所定の方向に湾曲する(図8(b)参照)。また、圧力調整装置20により、さらに、チューブ11内部に加圧流体を供給すると、弾性収縮体4はさらに収縮し、把持機構2はさらに湾曲することとなる(図8(c)参照)。
【0054】
なお、カバー部材16は、弾性収縮体4が収縮していない状態において、軸方向に間隔を空けて配置されている(図8(a)参照)。しかし、弾性収縮体4が収縮すると、規制部材5は弾性収縮体4の側が凹む様に屈曲または湾曲し、これにより、弾性収縮体4も規制部材5と反対側が凹む様に湾曲する。このように湾曲することにより、弾性収縮体4の規制部材5と反対側の部分は、規制部材5側よりも軸方向長さが短くなる。そのため、弾性収縮体4が収縮するにつれて、カバー部材16どうしの間隔は狭くなる。つまり、カバー部材16は、弾性収縮体4が湾曲するにつれて、弾性収縮体4の軸方向に密に配置されることとなる(図8(c)参照)。
【0055】
一方、圧力調整装置20により、チューブ11内部の加圧流体を排出させると、弾性収縮体4の形状が復元する。これに伴い、連結部材8と土台9との距離は元の長さに戻る。これにより、屈曲していた規制部材5も元の直線形状に戻ることとなる(図8(a)参照)。
【0056】
−ロボットハンドの動作−
次に、ロボットハンド1の動作について説明する。図9(a),(b)は、ロボットハンド1が把持対象物100を把持する際の動作の状態を模式的に示した図である。なお、図9では、ベース10には把持対象物100の形状にあわせて半円柱形状の溝10aが加工されているが、ベース10の形状はいかなるものであってもよい。また、把持機構2,3は、それぞれの弾性収縮体4が規制部材5よりもベース10の中央側に位置するように配置されていることとする。
【0057】
図9(a)に示すように、圧力調整装置20から把持機構2,3の各チューブ11内部に流体が供給されていない場合、把持機構2,3は湾曲せず、直線形状に保たれる。
【0058】
そして、例えば、上記の溝10aに把持対象物100が挿入された後、圧力調整装置20によって把持機構2,3の各チューブ11内部に加圧流体を供給する。すると、把持機構2,3のそれぞれの弾性収縮体4が軸方向に収縮し、図9(b)に示すように、把持機構2,3はそれぞれベース10の中央側に向かって傾斜しつつ、把持対象物100に倣うように湾曲する。これにより、把持対象物100は、ベース10および把持機構2,3によって安定的に把持される。
【0059】
そして、例えば、ロボットハンド1全体を別の場所に移動させた後、圧力調整装置20によって把持機構2,3の各チューブ11内部に供給された加圧流体を外部へ排出する。これにより、各弾性収縮体4の軸方向長さは元の長さに戻り、把持機構2,3は直線形状に戻る。これにより、把持対象物100は、ロボットハンド1から解放される。そのため、例えば、ベース10を上下反転させる等の動作により、把持対象物100をロボットハンド1から離脱させることができる。
【0060】
以上のように、本ロボットハンド1の把持機構2,3では、圧力調整装置20によりチューブ11内部が加圧されると、チューブ11が膨張し、これに伴い編組部材12が幅方向に伸張する。編組部材12は、幅方向に伸張すると軸方向に収縮力を発生させるように網目状に編み込まれている。そのため、チューブ11は編組部材12から軸方向に収縮する向きに力を受けて収縮する。これにより、弾性収縮体4全体が収縮する。このとき、弾性収縮体4の両端部に連結された規制部材5は、伸縮不能であるため、弾性収縮体4の収縮に伴い、弾性収縮体4側が凹む様に湾曲することとなる。また、規制部材5は弾性収縮体4に倣う様に設けられている。そのため、規制部材5が弾性収縮体4の側が凹む様に屈曲または湾曲すると、弾性収縮体4は規制部材5に従動し、弾性収縮体4は規制部材5と同方向へ湾曲することとなる。
【0061】
このような動作により、上記把持機構2,3によれば、弾性収縮体4および規制部材5を屈曲または湾曲させることができる。そのため、例えば、湾曲面を有する把持対象物100に対し、弾性収縮体4および規制部材5を沿わせることができる。したがって、本把持機構2,3によれば、把持対象物100を安定的に把持することが可能となる。
【0062】
また、上記把持機構2,3によれば、圧力調整装置20を用いてチューブ11内部の流体の圧力を調整することにより、弾性収縮体4および規制部材5の湾曲度合を制御することができる。したがって、本把持機構2,3によれば、従来のような弾性体の弾性力のみによって把持対象物100を把持する把持機構のように、弾性体の摩耗により制御性が低下することがない。そのため、制御性に優れた把持機構2,3を提供することができる。
【0063】
また、本ロボットハンド1の把持機構2,3は複数のカバー部材16からなるカバー26を備えている。そのため、例えば、把持対象物100が鋭利な物体である場合に、弾性収縮体4が把持対象物100により破損することを防止することができる。また、カバー26を備えることにより把持機構としての強度が増すため、大重量の把持対象物100を取り扱うことが可能となる。したがって、上記把持機構2,3によれば、鋭利な物体や大重量の物体を取り扱うような場合においても、弾性収縮体4を保護することができ、耐久性の向上を図ることができる。
【0064】
また、カバー26は、複数の平面視コの字状のカバー部材16により形成されている。複数のカバー部材16は、弾性収縮体4が収縮していない状態において、弾性収縮体4の軸方向に間隔を空けて配置されている。そのため、本把持機構2,3によれば、カバー26により弾性収縮体4を一体的に覆う場合に比べ、軽量化を図ることができる。したがって、本把持機構2,3によれば、カバー26を設けて弾性収縮体4を保護することとしても、把持機構2,3全体の重量の著しい増加を防止することができる。
【0065】
弾性収縮体4が収縮する際、規制部材5と弾性収縮体4との距離の変動が所定の範囲内に規制される。つまり、弾性収縮体4は、規制部材5の湾曲と同方向に規制部材5の湾曲に従って湾曲することとなる。これにより、本把持機構2,3の規制部材5によれば、弾性収縮体4の湾曲方向を所定の方向に規制することができる。したがって、本発明によれば、制御性に優れた把持機構2,3を提供することができる。
【0066】
ところで、弾性収縮体4が収縮すると、規制部材5は弾性収縮体4の側が凹む様に屈曲または湾曲し、これにより、弾性収縮体4も規制部材5と反対側が凹む様に湾曲する。このように湾曲することにより、弾性収縮体4の規制部材5と反対側の部分は、規制部材5側よりも軸方向長さが短くなる。そのため、弾性収縮体4が収縮していない状態において、複数のカバー部材16が弾性収縮体4の軸方向に間隔を空けて配置されていても、弾性収縮体4が収縮するにつれて、その間隔は狭くなる。つまり、カバー部材16は、弾性収縮体4が湾曲するにつれて、弾性収縮体4の軸方向に密に配置されることとなる。したがって、本実施形態のように、弾性収縮体4が収縮していない状態において、カバー部材16が間隔を空けて配置されていても、弾性収縮体4の湾曲に伴ってカバー部材16は密に配置されるため、弾性収縮体4を保護することができる。
【0067】
本実施形態では、規制部材5は、複数のリンク部材6と複数のリンク部材6を鎖状に連結する複数のピン7とにより構成されている。このことにより、規制部材5は複数の屈曲点または湾曲点を有することとなる。そのため、本把持機構2,3によれば、把持機構2,3と把持対象物100とが複数箇所において接触した状態で把持対象物100が把持されることとなる。これにより、把持対象物100を把持する際、把持機構2,3にかかる荷重が分散される。したがって、本把持機構2,3によれば、把持対象物100をより安定的に把持することが可能となり、また、把持に際して必要とされる動力を軽減することができる。
【0068】
また、本実施形態では、複数のリンク部材6と複数のカバー部材16とは、弾性収縮体4の軸方向における少なくとも一部分を包囲している。このことにより、弾性収縮体4の少なくとも一部分は、リンク部材6とカバー部材16とにより包囲されることとなる。そのため、弾性収縮体4を保護することができ、耐久性の向上を図ることができる。
【0069】
さらに、本把持機構2,3によれば、弾性収縮体4は、軸方向の複数箇所においてリンク部材6とピン7とカバー部材16とにより包囲されている。そのため、規制部材5と弾性収縮体4との幅方向における距離は、所定の範囲内に規制されることとなる。このことにより、弾性収縮体4は、規制部材5の屈曲または湾曲に伴い、規制部材5から所定距離以上離れることなく、規制部材5と同方向に湾曲することとなる。したがって、本把持機構2,3によれば、複数のリンク部材6と複数のピン7と複数のカバー部材16とにより(規制部材5とカバー26とにより)、弾性収縮体4の湾曲方向を所定の方向に規制することができる。そのため、把持機構2,3の制御性の向上を図ることができる。
【0070】
本ロボットハンド1の把持機構2,3は、それぞれ弾性収縮体4を複数備えている。そのため、本把持機構2,3によれば、把持力を高めることができる。また、複数の弾性収縮体4のそれぞれに荷重を分散させることが可能となるため、弾性収縮体4の摩耗を抑制することができる。さらに、本把持機構2,3では、弾性収縮体4を複数備えているため、弾性収縮体4の一つが破損等した場合であっても、把持機構2,3を機能させることが可能となる。
【0071】
ところで、本把持機構2,3は、弾性収縮体4の動作を所定の方向に規制する規制部材5を備えている。そのため、弾性収縮体4を複数備えた場合であっても、規制部材5によって複数の弾性収縮体4に所定の動作をさせることが可能となる。したがって、本把持機構2,3によれば、弾性収縮体4を複数備えていても、画一的な動作をさせることができ、把持対象物100を安定的に把持することができる。
【0072】
以上のような把持機構2,3を複数有するロボットハンド1によれば、より安定的に把持対象物100を把持することが可能となる。また、本実施形態のように、把持機構2と把持機構3とを、屈曲または湾曲時に互いに対峙する側が凹むように配置することで、さらに安定的に把持対象物100を把持させることができる。さらに、把持機構2,3は制御性に優れたものであるため、本ロボットハンド1を精度良く制御することが可能となる。
【0073】
なお、本実施形態では、ロボットハンド1は把持機構2,3のような把持機構を複数備えている。そのため、例えば、把持機構の一つが故障した場合であっても、その他の把持機構によりロボットハンド1の把持機能を確保することができる。
【0074】
また、把持機構の数は本実施形態のものに限定されない。例えば、1つでもよく、4つ以上備えていてもよい。また、把持機構2,3の配置に関しても、上記のものに限られず、例えば、全て同一の方向に湾曲するように配置してもよい。
【0075】
さらに、本実施形態のロボットハンド1では、一方側に弾性収縮体4を3本備えた把持機構2を1つ設け、他方側に弾性収縮体4を2本備えた把持機構3を2つ設けている。そのため、把持対象物100は、3箇所において支持されることとなる。したがって、本ロボットハンド1によれば、把持対象物100を安定的に把持することが可能となる。
【0076】
また、本実施形態のロボットハンド1では、一方側に弾性収縮体4の本数が多い把持機構2を設置し、他方側に弾性収縮体4の本数の少ない把持機構3を、弾性収縮体4の本数が多い把持機構2よりも多く設置することとしている。これにより、本ロボットハンド1によれば、把持対象物100を把持する際、把持対象物100にバランスよく力を付与することができる。したがって、把持対象物100を安定的に把持することができる。
【0077】
さらに、本実施形態では、把持機構2と把持機構3とは互いの湾曲方向に略直行する方向にずらして配置されていた。しかし、把持機構2と把持機構3とは湾曲方向に略直行する方向において同位置に配置されていてもよい。また、把持機構2どうし、または、把持機構3どうしを互いに対峙させ、互いの湾曲方向に略直行する方向において同位置に配置することとしてもよい。このように配置することによっても、上記効果と同様の効果を奏することができる。また、このような配置によれば、把持対象物100にバランスよく力を付与することができるため、把持対象物100をより安定的に把持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上説明したように、本発明は、弾性収縮体を用いた把持機構およびそれを備えたロボットハンドについて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施形態に係るロボットハンドの斜視図である。
【図2】把持機構の正面図である。
【図3】把持機構の背面図である。
【図4】把持機構の右側面図である。
【図5】弾性収縮体の側面断面図である。
【図6】弾性収縮体の側面図である。
【図7】(a),(b)は編組部材の変化を示す図面である。
【図8】(a),(b),(c)は把持機構の動作の様子を示す図面である。
【図9】(a),(b)はロボットハンドの動作の様子を示す図面である。
【図10】(a),(b),(c),(d)は従来のロボットハンドの動作の様子を示す図面である。
【符号の説明】
【0080】
1 ロボットハンド
2、3 把持機構
4 弾性収縮体
5 規制部材
6 リンク部材
7 ピン
8 連結部材
9 土台
10 ベース
11 チューブ(弾性体)
12 編組部材
16 カバー部材
20 圧力調整装置
26 カバー
100 把持対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体が封入される筒状の弾性体と、前記弾性体の外周を覆い、前記弾性体の幅方向に伸張すると軸方向に収縮する網目状の編組部材とを有する弾性収縮体と、
前記弾性体内部の流体の圧力を調整する圧力調整装置と、
前記弾性収縮体の軸方向に倣う様に設けられ、前記弾性収縮体の軸方向の一端側および他端側に連結されており、伸縮不能かつ前記弾性収縮体の側が凹む様に屈曲可能または湾曲可能に構成された規制部材と、を備えた把持機構。
【請求項2】
前記弾性収縮体の前記規制部材と反対側の少なくとも一部分を覆うカバーを備えている、請求項1に記載の把持機構。
【請求項3】
前記カバーは複数のカバー部材を備えており、
前記複数のカバー部材は、前記弾性収縮体が収縮していない状態において、前記弾性収縮体の軸方向に間隔を空けて配置されている、請求項2に記載の把持機構。
【請求項4】
前記規制部材は、複数のリンク部材と前記複数のリンク部材を鎖状に連結する複数のピンとからなる、請求項1〜3のいずれか一つに記載の把持機構。
【請求項5】
前記カバーは前記規制部材に連結されており、
前記規制部材と前記カバーとは、前記弾性収縮体の軸方向における少なくとも一部分を包囲している、請求項2または3に記載の把持機構。
【請求項6】
前記規制部材は、複数のリンク部材と前記複数のリンク部材を鎖状に連結する複数のピンとからなり、
前記複数のカバー部材はそれぞれ、前記複数のリンク部材に個別に連結されており、
前記複数のリンク部材と前記複数のカバー部材とは、前記弾性収縮体の軸方向における少なくとも一部分を包囲している、請求項3に記載の把持機構。
【請求項7】
前記弾性収縮体を複数備えており、独立して圧力制御ができる、請求項1〜6のいずれか一つに記載の把持機構。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の把持機構を複数備えた、ロボットハンド。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の把持機構からなる一または二以上の第1把持機構と、
請求項1〜6のいずれか一つに記載の把持機構からなり、前記第1把持機構よりも設置個数の多い第2把持機構と、を備え、
前記第1把持機構は所定の第1の直線上に並ぶ二以上の前記弾性収縮体を備え、
前記第2把持機構は、前記第1把持機構の前記弾性収縮体の本数よりも少ない本数の前記弾性収縮体を備え、
前記第1把持機構は、前記第1の直線上に配置され、
前記第2把持機構は、前記第1の直線に対して平行に延びる第2の直線上に配置され、
前記第1把持機構は、屈曲または湾曲する際、前記第2の直線側が凹む様に配置され、
前記第2把持機構は、屈曲または湾曲する際、前記第1の直線側が凹む様に配置されている、ロボットハンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−194788(P2008−194788A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33252(P2007−33252)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【Fターム(参考)】