説明

把持装置、およびそれを備えた電子機器

【課題】簡単かつ低コストな構成でハンドグリップとグリップベルトとを搭載する。
【解決手段】ハンドグリップ11とグリップベルト12とを連結部13で連結して一体形成したことにより、部品点数を削減することができ、部品の管理が容易になる。また、ハンドグリップ11とグリップベルト12と連結部13とを一体形成したことにより、把持部材10の成型時の金型費用や部品代を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示は、ハンドグリップとグリップベルトとを備えた把持装置に関する。また、把持装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型パソコン(以下ノートPCと称する)やタブレット型パソコン(以下タブレットPCと称する)は、ユーザーが手で把持して容易に運搬可能なようにハンドグリップを備えたものが登場してきている。また、近年のノートPCやタブレットPCは、ユーザーが手で把持したまま操作ができるようにグリップベルトを備えたものが登場してきている。
【0003】
特許文献1は、ハンドグリップとして機能するハンドルを備えたコンピュータ用キャリングケースを開示している。特許文献2は、グリップベルトとして機能するハンドルを備えたコンピュータを開示している。特許文献3は、グリップベルトとして機能するベルトを備えたコンピュータ本体を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−87351号公報
【特許文献2】特開平10−91281号公報
【特許文献3】特開平6−289992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1乃至3に開示されている構成では、ノートPC等にハンドグリップとグリップベルトとを搭載する場合、ハンドグリップとグリップベルトの部品を各々独立して成形製造しなければならず、金型費用等の製造コストが上昇してしまう。また、ハンドグリップとグリップベルトとをノートPC等に搭載する場合、ハンドグリップとグリップベルトとのそれぞれについてノートPCに対して正確に位置決めしなければならず、組立作業性を低下させてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示する把持装置は、ユーザーの手を挿通可能な凹部または開口部を備えた複数の把持部と、前記複数の把持部を互いに連結する連結部とを備えたものである。
【0007】
本願に開示する電子機器は、筐体と、前記筐体の第1面に配され、映像を表示可能な表示部とを備えた電子機器であって、前記筐体に把持装置が固定され、前記把持装置は、ユーザーの手を挿通可能な凹部または開口部を備えた複数の把持部と、前記複数の把持部を互いに連結する連結部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示によれば、簡単かつ低コストの構成でハンドグリップとグリップベルトとを搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態にかかる把持装置を備えた電子機器の正面図
【図2】実施の形態にかかる把持装置を備えた電子機器の背面図
【図3】実施の形態にかかる把持装置を備えた電子機器の側面図
【図4】実施の形態にかかる把持装置を備えた電子機器の上面図
【図5】実施の形態にかかる把持装置の斜視図
【図6】ハンドグリップ保護部材の斜視図
【図7】グリップベルト保護部材の斜視図
【図8】把持装置の分解斜視図
【図9A】把持装置の分解側面図
【図9B】把持装置の分解側面図
【図9C】把持装置の分解側面図
【図10】電子機器を手で把持した状態を示す背面図
【図11】電子機器を手で把持した状態を示す側面図
【図12】電子機器を手で把持した状態を示す斜視図
【図13】電子装置を載置平面に載置した状態を示す側面図
【図14】実施の形態にかかる把持装置を備えた電子機器の正面図
【図15】実施の形態にかかる把持装置を備えた電子機器の背面図
【図16】実施の形態にかかる把持装置を備えた電子機器の斜視図
【図17】実施の形態にかかる把持装置を備えた電子機器の側面図
【図18】実施の形態にかかる把持装置を備えた電子機器の側面図
【図19】実施の形態にかかる把持装置を備えた電子機器の要部拡大側面図
【図20】把持装置の変形例を示す斜視図
【図21】把持装置の変形例を示す側面図
【図22】把持装置の変形例を電子機器に装着した要部側面図
【図23】把持装置の変形例を示す斜視図
【図24】把持装置の変形例を備えた電子機器の背面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
〔1.電子機器及び把持装置の概略構成〕
図1は、本実施の形態にかかる把持部材10を備えたコンピューター装置1の正面図である。図2は、本実施の形態にかかる把持部材10を備えたコンピューター装置1の背面図である。図3は、本実施の形態にかかる把持部材10を備えたコンピューター装置1の側面図である。図4は、本実施の形態にかかる把持部材10を備えたコンピューター装置1の上面図である。コンピューター装置1は、電子機器の一例である。把持部材10は、把持装置の一例である。本実施の形態にかかる電子機器は、一例として単一筐体からなる携帯型のコンピューター装置1を挙げたが、少なくともユーザーが手で把持して運搬及び操作可能な電子機器であれば、コンピューター装置以外の電子機器であってもよいし、後述するように単一筐体にも限定されない。
【0011】
コンピューター装置1は、前面1a、背面1b、上面1c、下面1d、側面1e、および側面1fを有する略直方体の筐体で外郭が覆われている。コンピューター装置1は、ユーザーが片手で把持可能な大きさとすることが好ましく、例えば縦寸法H1が約20cm、横寸法W1が約30cm、厚さ寸法D1が約3cmの大きさとすることができる。なお、上記したコンピューター装置1の寸法は一例である。コンピューター装置1は、筐体内に中央処理装置(CPU)や記憶媒体等の電子部品が配されている。コンピューター装置1は、前面1aにディスプレイパネル2を備えている。ディスプレイパネル2は、様々な映像を表示可能であり、例えば液晶ディスプレイパネルで構成することができる。ディスプレイパネル2は、指やスタイラスペン等による接触を検出することができるタッチパネルを備えていてもよい。
【0012】
コンピューター装置1の上面1cには、ハンドグリップ11を固定するためのネジ16(図4参照)が螺合するネジ穴(後述)が形成されている。また、コンピューター装置1の背面1bには、グリップベルト12を固定するためのネジ16(図2参照)が螺合するネジ穴(後述)が形成されている。
【0013】
把持部材10は、ハンドグリップ11、グリップベルト12、および連結部13を備えている。ハンドグリップ11は、コンピューター装置1の上面1cに固定されている。ハンドグリップ11は、略「C」形状に形成されているため、コンピューター装置1の上面1cに固定されている状態において、コンピューター装置1との間に空隙111が形成される。空隙111は、幅寸法W2、高さ寸法H2、および奥行き寸法D2が、ユーザーの手(例えば第2指、第3指、第4指、および第5指)を挿通可能な大きさとしている。グリップベルト12は、コンピューター装置1の背面1bに固定されている。グリップベルト12は、略「C」形状に形成されているため、コンピューター装置1の背面1bに固定されている状態において、コンピューター装置1との間に空隙112が形成される。空隙112は、幅寸法W3、高さ寸法H3、および奥行き寸法D3が、ユーザーの手を挿通可能な大きさとしている。連結部13は、ハンドグリップ11とグリップベルト12とを連結している。連結部13は、ハンドグリップ11がコンピューター装置1の上面1cに固定され、グリップベルト12がコンピューター装置1の背面1bに固定されている状態において、屈曲または湾曲変形している。
【0014】
〔2.把持部材10の具体構成〕
図5は、把持部材10の斜視図である。
【0015】
把持部材10は、ハンドグリップ11、グリップベルト12、および連結部13が一体結合して構成されている。把持部材10は、伸縮および圧縮変形すると共にこの伸縮や圧縮から元の形状に復帰する復元性(以下、これらを弾性変形可能と称する)を有する軟質材料で形成することが好ましく、本実施の形態では一例としてシリコーンゴムで形成した。なお、把持部材10は、本実施の形態では単一材料により一体形成したが、ハンドグリップ11、グリップベルト12、および連結部13をそれぞれ異なる材料を用いて形成してもよい。
【0016】
ハンドグリップ11は、把持部11a、凹部11b、凹部11c、孔部11d、および孔部11eを備えている。把持部11aは、ユーザーが手で把持する部位である。把持部11aは、ハンドグリップ11がコンピューター装置1の上面1cに固定されている状態において、コンピューター装置1の上面1cに対して空隙111(図1参照)を挟んで対向配置している。把持部11aは、ユーザーが手で握りやすくするとともに剛性を確保するために、断面形状が円形、楕円形、半円形または半楕円形の他、ユーザーの手や指の形状に沿う凹凸を形成する等が好ましい。凹部11bは、把持部11aの長手方向における一方の端部側に形成されている。凹部11cは、把持部11aの長手方向における他方の端部側に形成されている。凹部11b及び11cは、ハンドグリップ保護部材14(後述)を嵌合可能な大きさを有する。孔部11dは、凹部11b内において、下面11fに到るまで貫通形成されている。孔部11eは、凹部11c内において、下面11gに到るまで貫通形成されている。下面11f及び11gは、ハンドグリップ11がコンピューター装置1の上面1cに固定されている状態において、上面1cに当接する面である。
【0017】
グリップベルト12は、ベルト部12a、凹部12b、凹部12c、および孔部12d乃至12gを備えている。ベルト部12aは、グリップベルト12がコンピューター装置1の背面1bに固定されている状態において、コンピューター装置1の背面1bに対して空隙112(図4参照)を挟んで対向配置している。ベルト部12aは、空隙112(図4参照)にユーザーの手が挿通されている状態において、ユーザーの手の甲に隙間を挟んで対向するかまたは当接する。ベルト部12aは、柔軟性を確保するために薄肉に形成されていることが好ましい。ベルト部12aを薄肉に形成することで、ベルト部12aが空隙112(図4参照)に挿通されているユーザーの手の甲に対して、弾性変形可能に接触するので、ユーザーの手がベルト部12aに好適にフィットしやすくなる。凹部12bは、ベルト部12aの長手方向における一方の端部側に形成されている。凹部12cは、ベルト部12aの長手方向における他方の端部側に形成されている。凹部12b及び12cは、グリップベルト保護部材15を嵌合できる大きさを有する。孔部12d及び12eは、凹部12b内において、下面12mに到るまで貫通形成されている。孔部12f及び12gは、凹部12c内において、下面12hに到るまで貫通形成されている。下面12m及び12hは、グリップベルト12がコンピューター装置1の背面1bに固定されている状態において、背面1bに当接する面である。
【0018】
連結部13は、第1の連結部13aと第2の連結部13bとを備えている。第1の連結部13aは、一方の端部がハンドグリップ11の長手方向における一方の端部に一体結合され、他方の端部がグリップベルト12の長手方向における一方の端部に一体結合されている。第2の連結部13bは、一方の端部がハンドグリップ11の長手方向における他方の端部に一体結合され、他方の端部がグリップベルト12の長手方向における他方の端部に一体結合されている。第1の連結部13aは、薄肉部13cが形成されている。第2の連結部13bは、薄肉部13dが形成されている。薄肉部13c及び13dは、第1の連結部13a及び第2の連結部13bにおける他の部位の厚さよりも薄く形成されている。連結部13は、薄肉部13c及び13dを備えることにより、連結部13を曲げた際に生じる圧縮力と張力とを、薄肉部を備えない連結部に比べて低くすることができるため、亀裂等の損傷が生じにくい。
【0019】
図6は、ハンドグリップ保護部材14の斜視図である。ハンドグリップ保護部材14は、孔部14aを備え、2つの角と1つの円弧とを有する外形形状を端面14dとする柱状に形成されている。ハンドグリップ保護部材14は、ハンドグリップ11よりも硬い材料で形成され、本実施の形態では一例としてポリアセタール樹脂で形成した。ハンドグリップ保護部材14は、ハンドグリップ11をコンピューター装置1にネジ(後述)で固定する際に、ネジ(後述)の頭部からハンドグリップ11を保護するための部材である。ハンドグリップ保護部材14は、孔部14aを備える端面14d、および端面14dの反対側の端面14eには内部に孔部14cを有する突起部14bが形成されている。なお、ハンドグリップ保護部材14は、少なくともハンドグリップ11の凹部11b及び11cに嵌合しているときに、凹部11b及び11c内において回転しない形状であればよく、端面14dおよび14eの形状以外の形状であってもよい。このような構成とすることにより、ネジ(後述)を螺結し易く、ハンドグリップ保護部材14でネジの緩みを防止することができる。
【0020】
孔部14aは、少なくともネジ(後述)の頭部を挿通する内径を有する。突起部14bは、円筒形状に形成されている。突起部14bは、グリップベルト11に形成した孔部11d及び11eに嵌合する外径を有する。孔部14cは、突起部14bを貫通形成している。孔部14cは、少なくともネジ(後述)の雄ネジ部の外径よりも大きく、ネジ(後述)の頭部の外径よりも小さい内径を有する。孔部14aと孔部14cとは、中心が互いに一致し、連続的に設けられている。
【0021】
図7は、グリップベルト保護部材15の斜視図である。グリップベルト保護部材15は、基本的に四角柱形状に形成されている。グリップベルト保護部材15は、グリップベルト12よりも硬い材料で形成され、本実施の形態では一例としてポリアセタール樹脂で形成した。グリップベルト保護部材15は、グリップベルト12をコンピューター装置1にネジ(後述)で固定する際に、ネジ(後述)の頭部からグリップベルト12を保護するための部材である。グリップベルト保護部材15は、孔部15a、孔部15b、突起部15c、突起部15d、孔部15e、および孔部15fが形成されている。なお、グリップベルト保護部材15は、グリップベルト12の凹部12b及び12cに嵌合しているときに、ネジ(後述)で螺結する際に凹部12b及び12c内において少なくとも回転しない形状であればよい。このような構成とすることにより、ネジ(後述)を螺結し易く、グリップベルト保護部材15内でのネジの緩みを防止することができる。
【0022】
孔部15a及び15bは、少なくともネジ(後述)の頭部を挿通する内径を有する。突起部15c及び15dは、円筒形状に形成されている。なお、後述するが、グリップベルト保護部材15は穴部12bと12cの両方に嵌合させることができる構成のため、突起部15c及び15dは、ハンドグリップ12に形成した孔部12d乃至12gに嵌合する外径を有する。孔部15e及び15fは、突起部15c及び15dに貫通形成されている。孔部15e及び15fは、少なくともネジ(後述)の雄ネジ部の外径よりも大きく、ネジ(後述)の頭部の外径よりも小さい内径を有する。孔部15aと孔部15eとは、中心が互いに一致し、連続的に設けられている。孔部15bと孔部15fとは、中心が互いに一致し、連続的に設けられている。
【0023】
〔3.把持部材10の取付方法〕
図8は、ハンドグリップ保護部材14、グリップベルト保護部材15、連結部13およびネジ16で構成される把持部材10の分解斜視図である。図9A、図9B、および図9Cは、把持部材10をコンピューター装置1へ取り付ける際の遷移を示す側面図である。なお、図8、図9A、図9B、および図9Cに示すハンドグリップ保護部材141及び142は、図6に示すハンドグリップ保護部材14と同一である。また、図8、図9B、および図9Cに示すグリップベルト保護部材151及び152は、図7に示すグリップベルト保護部材15と同一である。
【0024】
まず、図8に示すように、ハンドグリップ保護部材141をハンドグリップ11の凹部11bに嵌合させ、ハンドグリップ保護部材142をハンドグリップ11の凹部11cに嵌合させる。嵌合の際、ハンドグリップ保護部材141に備わる突起部(図6に示す突起部14b)を、ハンドグリップ11に備わる孔部11d及び11eに嵌合させる。なお、ハンドグリップ保護部材141及び142は、いずれも図6に示す構成を有し、互いに同一形状である。したがって、ハンドグリップ保護部材141をハンドグリップ11の凹部11cに嵌合させることもできる。
【0025】
次に、図9Aに示すように、ネジ16でハンドグリップ11をコンピューター装置1の上面1cに固定する。具体的には、ハンドグリップ保護部材141及び142が嵌合されたハンドグリップ11の下面11f及び11gを、コンピューター装置1の上面1cに当接させる。このとき、ハンドグリップ11の孔部11dと、ハンドグリップ保護部材141の孔部14cと、コンピューター装置1の一方のネジ穴1gとの位置を合わせる。また、ハンドグリップ11の孔部11eと、ハンドグリップ保護部材142の孔部14cと、コンピューター装置1の他方のネジ穴(不図示)との位置を合わせる。次に、ネジ16を、ハンドグリップ保護部材141の孔部14a及び14cに挿通させ、一方のネジ穴1gに螺合させる。また、他のネジ16を、ハンドグリップ保護部材142の孔部14a及び14cに挿通させ、他方のネジ穴(不図示)に螺合させる。これにより、ハンドグリップ11をコンピューター装置1の上面1cに固定することができる。
【0026】
次に、図8に示すように、グリップベルト保護部材151をグリップベルト12の凹部12bに嵌合させ、グリップベルト保護部材152をグリップベルト12の凹部12cに嵌合させる。嵌合の際、グリップベルト保護部材151に備わる突起部(図7に示す突起部15c及び15d)を、グリップベルト12に備わる孔部12d及び12eに嵌合させる。また、グリップベルト保護部材152に備わる突起部(図7に示す突起部15c及び15d)を、グリップベルト12に備わる孔部12f及び12gに嵌合させる。なお、グリップベルト保護部材151及び152は、いずれも図7に示す構成を有し、互いに同一形状である。したがって、グリップベルト保護部材151をグリップベルト12の凹部12cに嵌合させることもできる。また、グリップベルト保護部材151および152は、その外形形状を長細い四角柱形状としているため、グリップベルト12に備える凹部12bや12cの中で回転することがなく、ネジ16とネジ穴1mおよび1nとの螺結関係が損なわれない。さらに、グリップベルト保護部材151および152は、ネジ16が螺結する方向の反対面に凹溝部15g(図5参照)を備えたことで、この凹溝部15gが凹部12bや12c中でグリップベルト12に嵌合させることができ、ネジ16による螺結を確実にできる。
【0027】
次に、図9Bに示すように、ネジ16でグリップベルト12をコンピューター装置1の背面1bに固定する。具体的には、グリップベルト保護部材151及び152が嵌合されたグリップベルト12の下面12m及び12hを、コンピューター装置1の背面1bに当接させる。このとき、把持部材10は、図9Aに示す状態から、連結部13を矢印Aに示す方向へ湾曲変形させながら、グリップベルト12を矢印Aに示す方向へ変位させる。この湾曲変形の際、連結部13は薄肉部13cで優先的に変形させることができる。また、グリップベルト12の孔部12d及び12e(図5参照)と、グリップベルト保護部材151の孔部15a及び15b(図7参照)と、コンピューター装置1の一方のネジ穴1m及び1nとの位置を合わせる。また、グリップベルト12の孔部12f及び12g(図5参照)と、グリップベルト保護部材152の孔部15a及び15b(図7参照)と、コンピューター装置1の他方のネジ穴(不図示)との位置を合わせる。次に、図9Bに示すように、ネジ16を、グリップベルト保護部材151の孔部15a及び突起部15cに挿通させ、ネジ穴1mに螺合させる。また、他のネジ16を、グリップベルト保護部材151の孔部15b及び突起部15dに挿通させ、ネジ穴1nに螺合させる。また、他のネジ16を、グリップベルト保護部材152の孔部15a及び15cに挿通させ、他方のネジ穴(不図示)に螺合させる。また、他のネジ16を、グリップベルト保護部材152の孔部15b及び15dに挿通させ、他方のネジ穴(不図示)に螺合させる。これにより、グリップベルト12をコンピューター装置1の背面1bに固定することができる。
【0028】
以上により、図9Cに示すように、把持部材10をコンピューター装置1に固定することができる。
【0029】
〔4.把持部材10の使用形態〕
ユーザーは、把持部材10のハンドグリップ11を片手で把持することによって、片手でコンピューター装置1を運搬することができる。
【0030】
ユーザーは、図10及び図11に示すように、グリップベルト12とコンピューター装置1との間の空隙112(図4参照)に手101(例えば左手)を配置することができる。また、手101の第2指102、第3指103、第4指104、および第5指105を、コンピューター装置1の背面1bとグリップベルト12との間の空隙112に挿入し、コンピューター装置1の上面1cに掛けることで、手101に対するコンピューター装置1の姿勢が安定する。また、図11に示すように、ユーザーの腕106にコンピューター装置1の背面1bを当接させ、ユーザーの腕106の手の甲をベルト部12aの背面1b側に当接させることで、腕106に対するコンピューター装置1の姿勢が安定する。
【0031】
これにより、図12に示すように、ユーザーは片手(例えば左手)でコンピューター装置1を支持することができる。また、図12に示すように、ユーザーは片手(例えば左手)でコンピューター装置1を支持しながら、右手でスタイラスペン21を持つことができる。ユーザーは、スタイラスペン21の先端をディスプレイパネル2(タッチパネルを備えている場合)に接触させることで、各種情報を入力することができる。なお、図12に示した構成では、コンピューター装置1を操作するユーザーが右利きの場合であるが、左利きのユーザーでも、左右が逆転するだけで、コンピューター装置1の操作は同じである。
【0032】
また、本実施の形態のコンピューター装置1は、図13に示すように載置平面200に載置することができる。コンピューター装置1は、背面1bにグリップベルト12を備えていることにより、図13に示すように背面1bが載置平面200に対向する姿勢で載置した際に、背面1bと下面1dとの境界近傍とグリップベルト12とが載置平面200に当接する。したがって、コンピューター装置1は、載置平面200に対して角度Q1を持って傾斜して配置されることとなり、ディスプレイパネル2の表示面2aを載置平面200に対して傾斜させることができる。これにより、ユーザーは、ディスプレイパネル2を視認しやすくなる。
【0033】
(実施の形態2)
〔1.電子機器及び把持装置の概略構成〕
図14は、本実施の形態にかかる把持部材10を備えたコンピューター装置300の正面図である。図15は、本実施の形態にかかる把持部材10を備えたコンピューター装置300の背面図である。図16は、本実施の形態にかかる把持部材10を備えたコンピューター装置300の斜視図である。図17および図18は、本実施の形態にかかる把持部材10を備えたコンピューター装置300の側面図であり、表示筐体301と本体筐体302とを閉じた状態と開いた状態である。コンピューター装置300は、2つの筐体を開閉自在にヒンジ部で支持する電子機器の一例である。把持部材10は、把持装置の一例である。
【0034】
コンピューター装置300は、表示筐体301と本体筐体302とを、ヒンジ部303で開閉自在に支持する構成を備える。
【0035】
表示筐体301は、表面301a、裏面301b、表示上面301c、表示下面301d、および表示側面301e(左側面)と301f(右側面)を有する略直方体の筐体で外郭が覆われている。表示筐体301は、ディスプレイパネル311が表面301aに、その表示面を配している。
【0036】
また、本体筐体302は、前面302a、背面302b、上面302c、下面302d、および側面302e(左側面)と302f(右側面)を有する略直方体の筐体で外郭が覆われている。また、本体筐体302の前面301aは、ディスプレイパネル311に視認情報を入力するキーボード321、ディスプレイパネル311に表示されている視認情報を操作等する操作パッド322を備える。なお、前面301aには、機種によってはドライブ本体323bの蓋をする蓋体324aを有するドライブ部323を備えている。さらに、本体筐体302の背面302bは、機種によっては不図示の二次電池を内蔵する電池蓋324が、係止部材324aおよび324bで背面302bに対して係止している。なお、本体筐体302の内部には、ディスプレイパネル311に表示される映像信号にキーボード321から入力された情報を変換等する中央処理装置(CPU)やハードディスクドライブ等の電子部品が配されている。
【0037】
本体筐体302の上面302cには、ハンドグリップ11を固定するためのネジ16(不図示)を螺合可能なネジ穴(不図示)が、実施の形態1と同様に形成されている。また、本体筐体302の背面302bには、グリップベルト12を固定するためのネジ16(不図示)を螺合可能なネジ穴(不図示)が形成されている。
【0038】
把持部材10は、ハンドグリップ11、グリップベルト12、および連結部13を備えている。ハンドグリップ11は、本体筐体302の上面302cに固定されている。ハンドグリップ11は、略「C」形状に形成されているため、本体筐体302の上面302cに固定されている状態において、コンピューター装置300との間に空隙111が形成される。グリップベルト12は、コンピューター装置1の背面1bに固定されている。連結部13は、ハンドグリップ11とグリップベルト12とを連結している。連結部13は、ハンドグリップ11が本体筐体302の上面302cに固定され、グリップベルト12が本体筐体302の背面302bに固定されている状態において、屈曲または湾曲変形している。なお、本実施の形態は、把持部材10として実施の形態1で適用した部材を適用したため、把持部材10の具体的構成は省略する。また、コンピューター装置300に対する取付方法も、基本的には実施の形態1と同じであるため、相違する点のみを説明する。
【0039】
〔2.把持部材10の取付方法〕
把持部材10は、コンピューター装置300に対し、図14乃至図16に示した構成で取り付ける。ハンドグリップ11は、本体筐体302の上面302cに固定される。上面302cは、図14および図15に示したように、本体筐体302と表示筐体301とがヒンジ部303を介して支持する側、すなわち本体筐体302と表示筐体301との開閉中心側であり、不図示のネジ16でハンドグリップ12を螺結する。また、グリップベルト12は、本体筐体302の背面302bの面に、ネジ16で螺結する。したがって、コンピューター装置300は、例えば非動作状態等で持ち運びする場合等には、ヒンジ部303側の上面302cに固定したハンドグリップ11を手で把持する。また、コンピューター装置300は、例えば動作状態等においてユーザーの手で支持する場合等には、グリップベルト12と背面302bとの空隙(不図示)にユーザーの手を挿入し、手の甲をグリップベルト12側として操作する。
【0040】
〔3.把持部材10の使用形態〕
ユーザーは、把持部材10のハンドグリップ11を片手で把持することによって、片手でコンピューター装置300を運搬することができる。
【0041】
また、ユーザーは、コンピューター装置300を、例えば机上等の平坦面220(図18参照)に載置して操作することができる。その際、図17に示すように、背面302bに対してグリップベルト12を固定している箇所を利用して、グリップベルト12で空隙201を形成することができる。なお、ユーザーが平坦面220上にコンピューター装置300を載置して操作するとき、図18に示したように、ユーザーが上側として視認するのは表示筐体301における表示筐体下面301dとなる。グリップベルト12は空隙201を平坦面との間に有しているので、コンピューター装置300をチルトさせることができる。このため、コンピューター装置300は、図18に示したように、そのキーボード321(図16参照)の打鍵性、および操作パッド322(図16参照)の操作性を向上させることができる。しかも、ユーザーは、蓋体323aを下向きとして把持するため、例えばコンピューター装置300の操作中に誤って飲み物等を零しドライブ部323に飲み物が侵入する可能性がある場合、ハンドグリップ11を手で把持してコンピューター装置300を持ち上げるだけで、飲み物等の液体がドライブ本体323bに入り込むことを抑制できる。
【0042】
また、ハンドグリップ11は、上面302cに固定された状態において、コンピューター装置300内における位置が、図19に示した関係にある。すなわち、ハンドグリップ11は、上面302cの面に対して固着している。上面302cと固着する下面11fにおいて中心線Lから表示筐体301側までの距離をL1とし、把持部11a側で下面11fに対向する中心点Pから凹部11bの開口側における表示筐体301側の距離をL2とすると、上面302cの面に立設するハンドグリップ11は、図19に示したように、L1がL2よりも長く構成されている。したがって、表示筐体301を本体筐体302に対してヒンジ部303(図16参照)で開いたとき、図18に示したように、ユーザーは、ディスプレイパネル311を視認し易い内角Cに設定できる。しかも、コンピューター装置300は、図19に示したように、上面302cの表示筐体301側で、本体筐体302に段差L3を備える。したがって、表示筐体301は、この段差L3を備えるため、本体筐体302に対し開き角度Cをさらに大きくすることができる。
【0043】
なお、表示筐体301が、本体筐体302の上面302cやハンドグリップ11と当接することで、開き角度Cが制限される可能性がある。しかしながら、この開き角度Cは、上述の距離L1とL2との差および/または段差L3により調整することができ、図18に示した構成を達成することができる。開き角度Cは、本体筐体302における表示上面301cおよび表示下面301dの厚みに対してハンドグリップ11を薄くする構成、段差L3を長くする構成、ヒンジ部303の開閉半径を大きくする構成等があり、必要に応じて単独または組み合わせることができる。
【0044】
把持装置10を備えるコンピューター装置300におけるその他の使用形態は、上述した実施の形態1と同様である。
【0045】
なお、コンピューター装置300は、駆動する電池を収納する電池ボックス(不図示)が、背面302bのヒンジ部303近傍に備える場合もある。図15に示したコンピューター装置300は、電池ボックス(不図示)を覆う電池蓋324に、グリップベルト12がネジ16で螺結している。電池蓋324は、係止部材324aおよび324bで背面302bに係止している。ユーザーは、係止部材324aおよび324bの係止を解除することで、不図示の電池を交換できる。また、ユーザーは、電池交換に際して係止部材324aおよび324bを解除した後、連結部13を変形して電池蓋324を背面302bから取り外し、電池を交換することができる。なお、上記説明は、表示筐体301と本体筐体302とを開閉自在に支持するヒンジ部303に沿って電池ボックスを形成した場合であり、把持装置10が電池蓋324に対して係合しない部位に形成されている場合には、把持装置10と電池蓋324とは相独立した挙動を示す。
【0046】
〔実施の形態の効果、他〕
実施の形態1および2で記載した効果および変形例として、以下が挙げられる。なお、下記で実施の形態の番号を特定しない記載については、実施の形態1および2で共通である。
【0047】
本実施の形態によれば、把持部材10にハンドグリップ11を備えたことにより、ユーザーが片手でコンピューター装置1を運搬することができる。
【0048】
また、実施の形態1によれば、把持部材10にグリップベルト12を備えたことにより、ユーザーは、ディスプレイパネル2に表示される映像を視認可能な姿勢で、片手でコンピューター装置1を把持することができる。
【0049】
また、実施の形態2によれば、把持部材10のグリップベルト12を背面302とハンドグリップ11とをヒンジ部303近傍に備えたことにより、ユーザーは、表示筐体301および本体筐体302をヒンジ部303で支持することができ、片手でコンピューター装置300の保持安定性を確保しながら、他方の手でキーボード321や操作パッド322を操作することができる。
【0050】
また、実施の形態2によれば、最も強度が高いヒンジ部303を配置する上面302cにハンドグリップ11を備えることで、把持部材10は、コンピューター装置300に対して確実に固定することができる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、ハンドグリップ11とグリップベルト12とを連結部13で連結して一体形成したことにより、把持部材10の部品点数を削減することができ、部品の管理が容易になる。また、ハンドグリップ11とグリップベルト12と連結部13とを一体形成したことにより、把持部材10の成型時の金型費用や部品代を低減することができる。なお、本実施の形態ではハンドグリップ11とグリップベルト12と連結部13とを一体成形した例で説明したが、ハンドグリップ11やグリップベルト12における手が触れる位置に弾性変形可能な部材を、二色成形法等で力学的強度に優れる金属材料を中核とし、ユーザーの手が触れる表面にエラストマー性の樹脂材料を施すこともできる。
【0052】
また、実施の形態1によれば、グリップベルト12をコンピューター装置1の背面1bにおける上面1cに近い位置に配置したことにより、コンピューター装置1を傾斜させた姿勢で載置平面に載置することができる。これにより、ディスプレイパネル2の表示面2aが、コンピューター装置1に対峙するユーザー側を向くので、ユーザーはディスプレイパネル2の表示面2aを視認しやすくなる。
【0053】
また、実施の形態2によれば、表示筐体301および本体筐体302が回動係合するヒンジ部303のヒンジ軸に対し平行に把持部材10を配置したことにより、コンピューター装置300を平面上に載置すると、グリップベルト12の背面1bとの固定部が本体筐体302をチルトさせ、ユーザーは、例えば本体筐体302に配置するキーボード321の打鍵等を容易に行うことができる。
【0054】
また、実施の形態2によれば、コンピューター装置300が例えばドライブ部323を備える場合、ユーザーは、ハンドグリップ11でドライブ本体323b側を上にして把持することとなるため、不注意や雨中での操作等での水滴がドライブ本体303bに入り込むことを抑止することができる。
【0055】
また、本実施の形態によれば、ハンドグリップ11の凹部11b及び11cにハンドグリップ保護部材14を配置する構成としたことにより、ハンドグリップ11をコンピューター装置1や300に固定するネジ16とハンドグリップ11とを離間させることができる。したがって、ネジ16の頭部が例えばハンドグリップ11の凹部11b及び11cや孔部11d及び11eの内面に食い込むことによる損傷を防止することができ、ネジ16の頭部からハンドグリップ11を保護することができる。但し、上述したように、ハンドグリップ11を二色成形で製造した場合には、凹部11bおよび11cに備える孔部11dおよび11eだけで、ハンドクリップ保護部材14自体を省くこともできる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、グリップベルト12の凹部12b及び12cにグリップベルト保護部材15を配置する構成としたことにより、グリップベルト12をコンピューター装置1や300に固定するネジ16とグリップベルト12とを離間させることができる。したがって、ネジ16の頭部が例えばグリップベルト12の凹部12b及び12cや孔部12d及び12eの内面に食い込むことによる損傷を防止することができ、ネジ16の頭部がコンピューター装置1の背面1bに備えるネジ穴1mおよび1nに螺結することで、グリップベルト12を支持することができる。さらに、グリップベルト保護部材15の外形形状は基本的に四角柱であるため、例えばネジ16を孔部15aで螺結する場合であっても、グリップベルト保護部材15が背面1bまたは302bに沿って回転することはない。また、グリップベルト保護部材15に凹溝部15gを備えているため、下面12mに備える凸状部が凹溝部15gに嵌合しているため、例えばネジ16を孔部15aで螺結する場合であっても、グリップベルト保護部材15が背面1bまたは302bに沿って回転することはない。さらに、本実施の形態では、グリップベルト保護部材15を、2本のネジ16で螺結するため、グリップベルト保護部材15の外形形状の関わらず回転を抑制することもできる。なお、上述したように、グリップベルト12を二色成形で製造した場合には、把持部材10は、グリップベルト保護部材15省くこともできる。
【0057】
なお、本実施の形態では、把持部材10を単一材料で一体形成する構成としたが、複数の材料で一体形成する構成としてもよい。例えば、ハンドグリップ11とグリップベルト12とをポリアセタール樹脂等の硬質樹脂で形成し、連結部13をシリコーンゴム等で形成してもよい。
【0058】
また、本実施の形態では、ハンドグリップ11をコンピューター装置1や300の上面1cや301cに固定する構成としたが、他の面に固定する構成であってもよい。また、グリップベルト12をコンピューター装置1や300の背面1bや301bに固定する構成としたが、例えばコンピューター装置300の場合における表示筐体301の裏面301b等のように、他の面に固定する構成であってもよい。把持部材10は、少なくともハンドグリップ11とグリップベルト12とが一体形成され、コンピューター装置1や300等の電子機器に固定される構成であればよい。
【0059】
また、本実施の形態では、ハンドグリップ11とグリップベルト12とを、コンピューター装置1や300における相隣接する二面それぞれに近接して固定する構成としたが、連結部13は長くなるが、図17におけるグリップベルト12と背面302bとの固定方向を逆方向にして、ハンドグリップ11の固定を下面302dで固定する構成であってもよい。
【0060】
また、本実施の形態では、ハンドグリップ11及びグリップベルト12は、略「C」形状に形成したが、コンピューター装置1に対向する部分が開放していない「O」形状や中空四角形状のような閉空間であってもよい。
【0061】
また、本実施の形態では、ハンドグリップ11をコンピューター装置1や300の運搬時に使用し、グリップベルト12をコンピューター装置1や300の操作時に使用する使用例について挙げたが、これらの使用例は任意である。例えば、ハンドグリップ11を把持しながらコンピューター装置1や300を操作することもできるし、グリップベルト12をユーザーが手で把持してコンピューター装置1や300を運搬することもできる。
【0062】
また、コンピューター装置1や300の上面1cや301cにおけるネジ穴1gが形成されている領域に、ハンドグリップ11の下面11f及び11gが嵌合する凹部を備えてもよい。このような構成とすることにより、コンピューター装置1や300に対してハンドグリップ11を確実に位置決めすることができる。また、コンピューター装置1や300の上面1cや301cにおけるネジ穴1gが形成されている領域に凸部を備え、ハンドグリップ11の下面11f及び11gに前記凸部が嵌合する凹部を備えても同様の効果が得られる。
【0063】
また、コンピューター装置1や300の背面1bや301bにおけるネジ穴1m及び1nが形成されている領域に、グリップベルト12の下面12m及び12hが嵌合可能な凹部を備えてもよい。このような構成とすることにより、コンピューター装置1や300に対してグリップベルト12を確実に位置決めすることができる。また、コンピューター装置1や300の背面1b301bにおけるネジ穴1m及び1nが形成されている領域に凸部を備え、グリップベルト12の下面12m及び12hに前記凸部が嵌合可能な凹部を備えても同様の効果が得られる。
【0064】
また、本実施の形態では、把持部材10をネジ16でコンピューター装置1や300に固定する構成としたが、固定方法はネジによる螺結に限らない。例えば、ハンドグリップ保護部材14の突起部14bを、ハンドグリップ11の孔部11d及び11eに挿通可能な形状とし、先端に爪部を設ける。この爪部を例えばコンピューター装置1や300の上面1cに形成した孔部に係合させる構成とすることで、ネジ16を用いずにハンドグリップ11をコンピューター装置1の上面1cに固定することができる。なお、グリップベルト12の固定方法についても、同様に爪係合による方法を採用することができる。また、把持部材10とコンピューター装置1や300とを接着固定してもよい。
【0065】
また、本実施の形態によれば、ハンドグリップ11とグリップベルト12とを一体的に備えた把持部材10をコンピューター装置1や300に固定する構成としたが、ハンドグリップ11及びグリップベルト12のうちいずれか一方のみをコンピューター装置1や300に備える場合は、例えば作製後の把持部材10において連結部13の薄肉部13cを切断することで、ハンドグリップ11及びグリップベルト12の単品を作製することができる。本実施の形態では、把持部材10はシリコーンゴム等の柔らかい材料で形成されているため、カッターナイフ等で容易に切断することができる。
【0066】
次に、上記本実施の形態についての変形連について説明する。なお、本変形例では、電子機器の一例としてコンピューター装置1で説明するが、コンピューター装置300を始め、他の電子機器であっても同様である。
【0067】
また、図20に示すように、グリップベルト12のベルト部12aに孔部12p及び12sを備えてもよい。これにより、パッド部材31をグリップベルト12に装着することができる。具体的には、パッド部材31の主平面に形成されている突起部32aをベルト部12aの孔部12pに嵌合させ、突起部32bを孔部12sに嵌合させることにより、パッド部材31をベルト部12aに装着することができる。このような構成とすることにより、ベルト部12aとコンピューター装置1の背面1bとの空隙112の幅寸法H3(図4参照)を任意の寸法に調整することができる。すなわち、パッド部31は、ユーザーの手の厚さに応じて、装着または非装着を選択することができる。例えば、手の厚さが薄いユーザーの場合は、空隙112に手を配置した際に手の甲とベルト部12aとの間に大きな隙間が生じることがあり、空隙112から容易に手が抜けてしまうことがある。このような場合に、パッド部材31をベルト部12aに装着して使用することにより、手の甲とベルト部12aとの間の隙間を小さくまたは無くすことができ、空隙112から容易に手が抜けてしまうことを防止することができる。なお、パッド部材31は、厚さT1が異なる複数種類を用意しておくことで、パッド部12aとコンピューター装置1の背面1bとの空隙112の幅寸法H3(図4参照)を任意の寸法に調整することができる。また、パッド部材31は、挿入するユーザーの手の甲に応じ、例えば低反発ウレタンと称される自在に可逆的な塑性変形する素材も適用することができる。
【0068】
なお、コンピューター装置1に把持部材10を装着するとき、把持部材10を正しく位置決めし難い場合がある。例えば、コンピューター装置1が備えるネジ穴1gにネジ16を係合させハンドグリップ11を螺結する場合、ハンドグリップ11の孔部11dとコンピューター装置1の上面1cに備えるネジ穴1gとを、凹部11bから見なければならなく、位置決めが困難である。このような場合は、連結部とハンドグリップとの境界部に、コンピューター装置1の上面1cと背面1bとが成す角部と係合する突出部を備える構成とすることができる。
【0069】
具体的な一例として、図21および図22を参照して説明する。図21はコンピューター装置1に装着する前の把持部材40の側面図、図22はコンピューター装置1に装着後の把持部材40の要部側面図である。同図において、ハンドグリップ41は凹部41bと孔部41dとを備え、グリップベルト42は孔部42dおよび42eを内部に有する凹部42bを備え、連結部43はハンドグリップ41から薄肉部43cへ突出部43eが突出する傾斜面43gを備える。なお、同図ではハンドグリップ41、グリップベルト42および連結部43における片側だけを示したが、もう一方の片側も同じ構成を備える。さらに、図面を簡略化するため例えば孔部41dや孔部42dおよび42eに関する図示は省略したが、図5と同様に孔部も備え、連結部43も図5と同様に第1の連結部を示している。
【0070】
把持部材40は、コンピューター装置1の上面1cと背面1bとが成す角部に、突出部43eの傾斜面43gをあてがうことで、図22に図示した図の紙面右側の位置決めができる。位置決めされたハンドグリップ41は、孔部41dとネジ穴1gとにネジ16(不図示)を螺合し、コンピューター装置1に螺結する。コンピューター装置1に螺結した把持部材40は、グリップベルト42を背面1bに連結部43の薄肉部43cで折り曲げ、背面1bと下面42mとを螺結することで装着する。すなわち、コンピューター装置1に装着した連結部43は、突出部43eのハンドグリップ41側で突出する傾斜面43gが、コンピューター装置1の上面1cと背面1bとが成す角部に沿って変形する。なお、連結部43は、突出部43eを備えた分だけ厚みが増加するため、突出部43eでは変形がし難い。したがって、傾斜面43gの面形状は、当接するコンピューター装置1の角部の外形形状に適合することが好ましい。このように、突出部43eは、ネジ16の孔部41d中とネジ穴1gとの位置決め精度だけではなく、連結部43の剛性が向上できる効果もある。また、同図における突出部43eは、薄肉部43cの凹形状に連続して配置した構成で説明したが、突出部43eは装着するコンピューター装置1の角部に当接すればよく、薄肉部43cは離隔してもよい。また、突出部43eは、連結部43における背面1b側だけに配した構成で説明したが、ハンドグリップ41に関して連結部43の反対側であっても、両側であっても何れでも適用可能である。なお、ハンドグリップ41における連結部43を配した方向と反対側に突出部を備える場合は、その突出部は、ハンドグリップ41と結合させる結合部を備える必要がある。
【0071】
なお、上述では、グリップベルト42の位置決めだけを説明したが、突出部43eは、ハンドグリップ41と上面1cとの位置決めをするときにも効果を生じる。すなわち、上面1cと背面1bとが成す角部に突出部43eの傾斜面43gをあてがうことで、ハンドグリップ41は、上面1cのネジ穴1gに位置決めすることもできる。
【0072】
上述の実施の形態におけるグリップベルト12は、手の甲における指延伸方向の幅に比べよりも狭い例を示したが、例えば装着する電子機器の重量によっては支えることが困難な場合や、例えば図12に示したように装着した電子機器をユーザーが手で支えて視認する際に実際的には画面と腕とを傾斜させる場合もある。したがって、グリップベルト12は、幅が広い方が好都合である。図23および図24は、幅が広いグリップベルト52の一例を示した斜視図と、コンピューター装置1に装着した図面である。
把持部材50は、同図に示したように、ハンドグリップ51、グリップベルト52および連結部53で構成する。ハンドグリップ52は、把持部51a、凹部51bおよび51c、孔部51dおよび51e、下面51fおよび51gを備え、これらは図5に示したハンドグリップ11と同じ構成である。また、連結部53は、薄肉部53cを備える第1の連結部53aと、薄肉部53dを備える第2の連結部53bとを備え、これらも図5に示した薄肉部13と同じ構成である。グリップベルト52は、コンピューター装置1の背面1bとの間隙にユーザーの手を挿入して支える機能自体は、図5におけるグリップベルト12と同じ機能である。しかしながら、グリップベルト52のベルト部52aは、コンピューター装置1の背面1bに対するグリップベルト52の固着方向に直行する向きの幅のみが、ベルト部12bとは異なる。すなわち、グリップベルト52は、ベルト部52a、凹部52bおよび52c、孔部52dと52eと52fと52g、下面52mおよび52hで構成されるが、ベルト部52a以外は図5のグリップベルト12と同じ構成である。したがって、保護部材14や15等も同様に装着することができる。
【0073】
ベルト部52aは、前述したようにベルト部12aよりも幅を広く構成しているため、ユーザーが片手で手の甲に沿わせてコンピューター装置1を支持するとき、グリップベルト12に比べユーザーの手を保護することができる。したがって、図12に示したようなコンピューター装置1の画面を横置きで視認するだけではなく、縦置きでの視認も自在にできる。また、ベルト部52aは、ユーザーの手の甲を覆うことができるため、装着するコンピューター装置1の背面1bにおけるベルト部52部分の形状の変更だけで、背面1bとの間隙に挿入した手の痛みの緩和、ユーザーが手で支持する際の安心感の向上、高重量の電子機器にも対応することができる。
【0074】
なお、ベルト部52aの形状は、同図に限定されるものではなく、背面1bに対する装着方向に対し片側だけ凸状に迫り出した構成、ユーザーの手全体をほぼ覆う構成等その形状は自由に変えることができる。但し、ユーザーは右利きだけとは限らないため、左右両利きに対応できるように、幅広に迫り出した部分は、グリップベルト52の固着方向に対して左右対称な形状が好ましい。さらに、ベルト部52aの厚みは図23に示したように背面1bへの装着部に比べて薄く構成しているため、把持部材50を装着した状態でコンピューター装置1の背面1bを載置平面に設置すると、ベルト部52aは変形し、2カ所の固着部だけでコンピューター装置1を支持することができる点は、グリップベルト12と同じである。
【0075】
上述の本実施形態における把持部材10や40は、ハンドグリップ11や41とグリップベルト12や42とを連結する連結部13や43を備えている。このため、連結部13や43は、グリップベルト12や42と連結しているため、コンピューター装置1や300に装着した状態で、例えば上面1cや302cとハンドグリップ11や41との結合が外れた場合の落下を抑制することができ、コンピューター装置1や300が破損することを抑制できる。また、逆に背面1bや301bとグリップベルト12や42との結合が外れた場合であっても同様である。
【0076】
また、本実施の形態におけるコンピューター装置1や300は、電子機器の一例である。把持部材10は、把持装置の一例である。ハンドグリップ11や41や51は、第1の把持部の一例である.グリップベルト12や42や52は、第2の把持部の一例である。ハンドグリップ11や41や51及びグリップベルト12や42や52は、複数の把持部の一例である。連結部13や43や53は、連結部の一例である。薄肉部13cや43cや53cは、薄肉部の一例である。凹部11b、11c、41b、51b、12b、12c、42b、52bは、凹部の一例である。ハンドグリップ保護部材14は、第1の保護部材の一例である。グリップベルト保護部材15は、第2の保護部材の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本願の開示は、把持装置、およびそれを備えた電子機器に有用である。
【符号の説明】
【0078】
1 コンピューター装置
10 把持部材
11 ハンドグリップ
12 グリップベルト
13 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの手を挿通可能な凹部または開口部を備えた複数の把持部と、
前記複数の把持部を互いに連結する連結部とを備えた、把持装置。
【請求項2】
前記複数の把持部と前記連結部とは、同一材料で形成されている、請求項1記載の把持装置。
【請求項3】
前記複数の把持部は、
ユーザーが手で掴める第1の把持部と、
ユーザーの手の甲側を支持する第2の把持部とを備えた、請求項1または2記載の把持装置。
【請求項4】
前記第1の把持部は、長手方向の両端に凹部が形成され、
前記凹部に嵌合する第1の保護部材を、さらに備えた、請求項3記載の把持装置。
【請求項5】
前記第2の把持部は、長手方向の両端に凹部が形成され、
前記凹部に嵌合する第2の保護部材を、さらに備えた、請求項3記載の把持装置。
【請求項6】
前記連結部は、薄肉部を備えた、請求項1記載の把持装置。
【請求項7】
前記第1の把持部は、前記連結部を前記第1の把持部から形成した境界領域における境界面に対し、前記第1の把持部を立設形成した突出方向とは反対側に突起する突起部を備える、請求項3記載の把持装置。
【請求項8】
筐体と、
前記筐体の第1面に配され、映像を表示可能な表示部とを備えた電子機器であって、
前記筐体に把持装置が固定され、
前記把持装置は、
ユーザーの手が挿通する凹部または開口部を備えた複数の把持部と、
前記複数の把持部を互いに連結する連結部とを備えた、電子機器。
【請求項9】
前記筐体は、前記第1面、前記第1面の裏面である第2面および前記第1面と前記第2面との間隙を規定する第3面とを備え、
前記複数の把持部のうち第1の把持部は、前記筐体における前記第3面に固定され、
前記複数の把持部のうち第2の把持部は、前記第2面に固定されている、請求項8記載の電子機器。
【請求項10】
前記第2の把持部は、前記第2面および前記第3面の境界を構成する縁部の近傍に固定されている、請求項9記載の電子機器。
【請求項11】
前記表示部は、表示される映像を視認する向きに設置された際、前記第2の把持部と前記第2面とを固定する部位が前記筐体を傾斜する、請求項9記載の電子機器。
【請求項12】
前記第1の把持部は、前記第3面に固定した状態において、前記連結部を前記第1の把持部から形成した境界領域における境界面に対し、前記第1の把持部を立設形成した突出方向とは反対側に突起する突起部を備える、請求項9記載の電子機器。
【請求項13】
前記筐体は、
映像を表示する表示部を第1面には位置した表示筐体と、
前記表示部に表示する映像信号を操作する操作部とを配した本体筐体と、
前記表示筐体および前記本体筐体を回動支持する回動軸を有するヒンジ部と、
を備え、
前記本体筐体は、
前記第1面、前記第1面の裏面である第2面および前記第1面と前記第2面との間隙を規定する第3面とを備え、
前記複数の把持部は、
前記第3面に内の前記回動軸が存在する側に配され、ユーザーが手で掴める第1の把持部と、
前記第2面に配され、ユーザーの手の甲を支持する第2の把持部と、
前記回動軸の方向で前記第1の把持部および前記第2の把持部を連結する連結部とを有する、請求項8記載の電子機器。
【請求項14】
前記第2の把持部は、前記第2面および前記第3面の境界を構成する縁部の近傍に固定されている、請求項13記載の電子機器。
【請求項15】
前記表示部は、表示される映像を視認する向きに配置された際、前記第2の把持部と前記第2面とを固定する部位が前記本体筐体を傾斜する、請求項13記載の電子機器。
【請求項16】
前記第1の把持部は、前記第3面に固定した状態において、前記連結部を前記第2の把持部から形成した境界領域における境界面に対し、前記第1の把持部を立設形成した突出方向とは反対側に突起する突起部を備える、請求項13記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−216199(P2012−216199A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−64305(P2012−64305)
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】