説明

投写型映像表示装置

【課題】視聴者の映像コンテンツの視聴を妨げないようにすることが可能な投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】プロジェクタ1は、映像を表示するための光学部品を収納する筐体10と、筐体10の内部へ流入しようとする塵埃を捕捉するエアフィルタ32と、エアフィルタ32を掃除するフィルタ掃除機構4とを備えている。そして、プロジェクタ1は、フィルタ掃除機構4を制御する制御部53を備え、制御部53が、人の存在を検出する人感センサ61により出力された検出結果に基づいて、フィルタ掃除機構4を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を表示するための光学部品を収納する筐体と、筐体の内部へ流入しようとする塵埃を捕捉するエアフィルタと、このエアフィルタを掃除するフィルタ掃除機構とを備えた投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、液晶プロジェクタ等の投写型映像表示装置は、筐体の外部から内部に空気を取り込んで、空冷により高温となる光学部品及び電子部品を冷却する。また、空気中の塵埃が筐体の内部に流入しないために、筐体の内部に流入しようとする塵埃をエアフィルタにより捕捉することが一般的に知られている。
【0003】
また、エアフィルタを備える投写型映像表示装置において、エアフィルタの目詰まりを解消するために、エアフィルタを掃除するフィルタ掃除機構を備えるものが開示されている(例えば特許文献1参照)。フィルタ掃除機構は、例えば、エアフィルタに接触して回転する回転ブラシ、及び回転ブラシを回転させながらエアフィルタの表面に沿って移動させる電動モータ等により構成される。
【0004】
大きな映像を表示可能な投写型映像表示装置は、デジタルサイネージ等において多数の視聴者に映像コンテンツを提示する際に、天井や壁等に設けて有効に活用できる。このようなとき、フィルタ掃除機構を備える投写型映像表示装置においては、投写型映像表示装置が手の届きにくい場所に設けられている場合であっても、エアフィルタの目詰まりを容易に解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−156186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、フィルタ掃除機構を備える投写型映像表示装置においては、エアフィルタの掃除に伴って騒音が発生するという問題がある。例えば、回転ブラシを回転させるときに動作する電動モータに起因する音や、回転ブラシとエアフィルタとが接触して相対的に移動することに起因する音が発生する。このような場合、投写型映像表示装置の周囲に存在する視聴者による映像コンテンツの視聴が、エアフィルタの掃除に伴って発生する騒音により妨げられるおそれがある。
【0007】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、視聴者の映像コンテンツの視聴を妨げないようにすることが可能な投写型映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、映像を表示するための光学部品を収納する筐体と、この筐体の内部へ流入しようとする塵埃を捕捉するエアフィルタと、このエアフィルタを掃除するフィルタ掃除機構とを備えた投写型映像表示装置であって、前記フィルタ掃除機構を制御する制御部を備え、前記制御部が、人の存在を検出する人感センサにより出力された検出結果に基づいて、前記フィルタ掃除機構を制御することを特徴とする。
【0009】
上記発明によれば、フィルタ掃除機構を制御する制御部が、人の存在を検出する人感センサにより出力された検出結果に基づいて、エアフィルタを掃除するフィルタ掃除機構を制御する。このため、例えば、投写型映像表示装置の周囲に人が存在していることを人感センサで検出したときに、フィルタ掃除機構によるエアフィルタの掃除を禁止することにより、エアフィルタの掃除に伴う騒音を発生させないようにすることができる。また、例えば、投写型映像表示装置の周囲に人が存在していることを人感センサで検出したときに、フィルタ掃除機構によるエアフィルタの掃除を、人が存在していることを人感センサで検出していないときに比べて静かに行わせることにより、エアフィルタの掃除に伴う騒音を抑制することができる。よって、投写型映像表示装置の周囲に映像コンテンツの視聴者が存在している場合には、その視聴を妨げないようにすることが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の投写型映像表示装置において、前記筐体に前記人感センサを内蔵していることを特徴とする。
上記発明によれば、投写型映像表示装置の筐体に人感センサを内蔵しているため、投写型映像表示装置の筐体の外部に人感センサを設けずに、投写型映像表示装置の周囲に人が存在していることを検出することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の投写型映像表示装置において、前記制御部は、前記人感センサにより人の存在を検出したときに、前記フィルタ掃除機構による前記エアフィルタの掃除を禁止することを特徴とする。
【0012】
上記発明によれば、制御部は、人感センサにより人の存在を検出したときに、フィルタ掃除機構によるエアフィルタの掃除を禁止するため、エアフィルタの掃除に伴う騒音を発生させないようにすることによって、映像コンテンツの視聴を妨げないようにすることを確実に行うことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の投写型映像表示装置において、前記エアフィルタの目詰まりを検出する目詰まり検出部を備え、前記制御部は、前記目詰まり検出部により前記エアフィルタの目詰まりを検出したとき、かつ、前記人感センサにより人の存在を検出したときに、前記フィルタ掃除機構による前記エアフィルタの掃除を一定時間禁止することを特徴とする。
【0014】
上記発明によれば、制御部は、目詰まり検出部によりエアフィルタの目詰まりを検出したとき、かつ、人感センサにより人の存在を検出したときに、フィルタ掃除機構によるエアフィルタの掃除を一定時間禁止する。このため、エアフィルタの目詰まりが検出されたときであっても、直ちにエアフィルタの掃除がされないため、エアフィルタの目詰まりを解消することに比べて、映像コンテンツの視聴を妨げないことを優先することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の投写型映像表示装置において、前記人感センサにより人の存在を検出していないときの前記フィルタ掃除機構による前記エアフィルタの掃除態様を通常掃除モードとし、前記フィルタ掃除機構が前記通常掃除モードに比べて静かに前記エアフィルタを掃除する掃除態様を静音掃除モードとしたとき、前記制御部は、前記人感センサにより人の存在を検出したときに、前記静音掃除モードで前記フィルタ掃除機構に前記エアフィルタを掃除させることを特徴とする。
【0016】
上記発明によれば、制御部は、人感センサにより人の存在を検出したときに、静音掃除モードでフィルタ掃除機構にエアフィルタを掃除させる。即ち、制御部は、フィルタ掃除機構によるエアフィルタの掃除を、人が存在していることを人感センサで検出していないときに比べて静かに行わせる。このため、エアフィルタを掃除しながらも映像コンテンツの視聴を妨げないようにすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、投写型映像表示装置の周囲に映像コンテンツの視聴者が存在している場合には、その視聴を妨げないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る投写型映像表示装置を示す斜視図。
【図2】同実施形態の投写型映像表示装置が備えるエアフィルタ装置の斜視図。
【図3】同実施形態の投写型映像表示装置の概略構成を示す構成図。
【図4】同実施形態の投写型映像表示装置が実行する「クリーニング処理」の動作の流れを示すフローチャート。
【図5】変形例に係る投写型映像表示装置が実行する「クリーニング処理」の動作の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る投写型映像表示装置は、映像信号に基づいて映像を表示するビデオプロジェクタ1(以下、「プロジェクタ1」)である。プロジェクタ1は、液晶パネル(図示略)を用いて生成された映像の光を、投射部23を用いて投射する液晶プロジェクタである。
【0020】
プロジェクタ1は、映像を表示するための光学部品及び電子部品を収納する筐体10を備えている。筐体10は、プロジェクタ1を水平面(図示略)に設置したときに、その水平面と対向する底面11を有している。底面11には、筐体10の外部から内部へ空気を吸い込むための長方形状の吸気口12が設けられている。なお、吸気口12には、空気中の塵埃よりも大きな異物が筐体10内に侵入することを抑制するために、格子(不図示)が設けられていることが好ましい。
【0021】
また、プロジェクタ1は、空気中の塵埃を捕捉するエアフィルタ32を有するエアフィルタ装置3を備えている。エアフィルタ装置3は、プロジェクタ1に対して着脱可能であって、図1はエアフィルタ装置3がプロジェクタ1に装着されている状態を示している。エアフィルタ装置3がプロジェクタ1に装着されている状態においては、吸気口12はエアフィルタ32により覆われている。プロジェクタ1に装着されているエアフィルタ装置3は、前方にスライドさせることによりプロジェクタ1から脱着可能に構成されている。
【0022】
図2は、図1に示す状態のプロジェクタ1から脱着させたエアフィルタ装置3を示す図である。以下、筐体10の内部へ向かう方向を内方とするとともに、この内方と反対側の方向であって筐体10の外部へ向かう方向を外方とする。
【0023】
エアフィルタ装置3は、樹脂材料からなる基材31を備えている。基材31には、吸気口12と同様に長方形状の開口が形成されるとともに、この開口を覆うようにエアフィルタ32が基材31に設けられている。塵埃を捕捉するエアフィルタ32は、格子状に形成された枠部材32Aに接着または融着されて設けられている。枠部材32Aが基材31にねじ止めされることによって、エアフィルタ32は基材31に対して固定されている。
【0024】
また、基材31におけるエアフィルタ32を挟む位置には、一対のラック33がねじ止めにより固定されて設けられている。ラック33は、直線状に形成されるとともに外方に向けられた歯を有している。また、基材31の前側端部には、エアフィルタ装置3がプロジェクタ1に装着されたときに、プロジェクタ1が備えるコネクタ(図示略)と接続されるコネクタ34が設けられている。
【0025】
また、エアフィルタ装置3は、エアフィルタ32を掃除するフィルタ掃除機構4を備えている。略直方体状のフィルタ掃除機構4は、図2に示す待機位置からラック33が延びる方向に沿って移動して、エアフィルタ32を掃除する。待機位置は、外方及び内方から見て吸気口12とフィルタ掃除機構4とが重ならない位置である。
【0026】
図3を参照して、プロジェクタ1の内部構成及びフィルタ掃除機構4の構成についてより詳しく説明する。
プロジェクタ1は、映像を表示するための光学部品として、映像表示用の光源であるランプ21と、ランプ21が発した光を用いて映像を生成する映像生成部22と、生成された映像の光を投射する投射部23とを備えている。
【0027】
ランプ21は、白色光を発する放電ランプである。ランプ21は、例えば超高圧水銀ランプやメタルハライドランプである。ランプ21は、ランプ電源部51からの電力供給を受けて光を発する。ランプ21が発する光は、映像生成部22に入射する。
【0028】
映像生成部22は、ドットマトリクス型のライトバルブである液晶パネルを備えた電気光学装置である。映像生成部22には映像信号が入力され、この映像信号に基づいて液晶パネルが駆動される。そして、ランプ21から映像生成部22に入射した光が、液晶パネルを透過することによって、映像信号に基づいた映像が生成される。
【0029】
投射部23は、映像生成部22により生成された映像の光を投射するレンズ群を有したレンズ装置により構成されている。投射部23は、プロジェクタ1の外部に向けて光を投射する。映像の光が投射されることにより、プロジェクタ1はスクリーンや壁等の平面上に映像を表示する。このようにして、プロジェクタ1は、視聴者に映像コンテンツを提示する。
【0030】
また、プロジェクタ1は、プロジェクタ1の外部から映像信号が入力される映像信号入力部24と、映像信号に対して信号処理を施す映像信号処理部25と、吸気口12を通して筐体10の外部から内部に空気を吸入する吸気ファン26と、エアフィルタ32の目詰まりを検出する目詰まり検出部27とを備えている。
【0031】
映像信号入力部24は、映像ケーブル(不図示)が接続される映像信号入力端子により構成されている。プロジェクタ1には、映像信号入力部24を介して、PC(Personal Computer)または映像再生装置等の外部機器から映像信号が入力される。そして、プロジェクタ1に入力された映像信号に対して、映像信号処理部25でスケーリング処理等の信号処理が施されて、信号処理が施された映像信号が、映像生成部22に入力される。なお、映像信号入力部24は、無線により送信された映像信号を受信する無線モジュールにより構成されていてもよい。
【0032】
吸気ファン26は、吸気口12及びエアフィルタ32を通して筐体10内に吸入するとともに、筐体10の内部に吸入した空気をランプ21及び映像生成部22及びランプ電源部51等の高温となる部品に送風する送風機である。
【0033】
目詰まり検出部27は、エアフィルタ32に目詰まりが生じたことを検出するセンサである。目詰まり検出部27は、例えば、エアフィルタ32を通過した空気の風量を検出する風量センサにより構成されている。目詰まり検出部27は、エアフィルタ32の目詰まりの度合いを示す目詰まり検出結果を制御部53に出力する。
【0034】
フィルタ掃除機構4は、直方体状のケース41と、電動モータ42と、電動モータ42により駆動させられる駆動軸43と、ラック33と噛み合いながら駆動軸43とともに回転するピニオン44と、駆動軸43の回転が伝達される回転ブラシ45と、塵埃を溜めるダストボックス46とを備えている。
【0035】
ケース41は、電動モータ42と駆動軸43と回転ブラシ45とを収容している。ケース41の内部は、ダストボックス46により覆われている。また、ピニオン44は、ケース41外に設けられている。
【0036】
電動モータ42は、回転ブラシ45を回転させながらフィルタ掃除機構4をエアフィルタ32の表面に沿って移動させる動力源である。電動モータ42には、プロジェクタ1に設けられている電源回路(図示略)から電力供給を受ける。
【0037】
駆動軸43は、電動モータ42の出力をピニオン44及び回転ブラシ45に伝達する。駆動軸43が回転することによって、駆動軸43の両端に設けられたピニオン44が回転するとともに、回転ブラシ45が回転する。
【0038】
ピニオン44はラック33に噛み合うギアであって、ピニオン44が回転することによりフィルタ掃除機構4がラック33に沿って移動する。駆動軸43の回転方向を反転させることにより、フィルタ掃除機構4は往復移動する。
【0039】
回転ブラシ45は、エアフィルタ32の表面に沿って移動する。回転ブラシ45は、エアフィルタ32に当接しながら移動することにより、エアフィルタ32を掃除する。回転ブラシ45は、エアフィルタ32に捕捉されていた塵埃を、ダストボックス46に運搬する。
【0040】
フィルタ掃除機構4の位置は、基材31に設けられている位置検出センサ35A,35Bにより検出される。位置検出センサ35Aは、フィルタ掃除機構4が待機位置に存在することを検出する。また、位置検出センサ35Bは、ラック33に沿って移動するフィルタ掃除機構4が折り返す位置に存在することを検出する。位置検出センサ35A,35Bは、フィルタ掃除機構4の位置を示す位置検出結果を制御部53に出力する。
【0041】
また、プロジェクタ1は、ランプ21用の電源回路を備えるランプ電源部51と、電動モータ42用の駆動回路を備えるモータ駆動部52と、各部を制御する制御部53と、ユーザにより操作される操作部54と、情報を記憶する記憶部55と、時間を計測する計時部56とを備えている。
【0042】
ランプ電源部51は、ランプ21を点灯させるための回路を備えた点灯装置により構成されている。ランプ電源部51は、制御部53から入力される制御信号に基づき、プロジェクタ1が備える電源回路(図示略)からランプ電源部51に供給された電力を、ランプ21の点灯に必要な電力に変換してランプ21に供給する。
【0043】
モータ駆動部52は、フィルタ掃除機構4の電動モータ42を駆動するモータドライバにより構成されている。モータ駆動部52は、エアフィルタ装置3がプロジェクタ1に装着されることにより、コネクタ34を介して電動モータ42に接続される。モータ駆動部52は、制御部53から入力される制御信号に基づいて、プロジェクタ1が備える電源回路(図示略)からモータ駆動部52に供給された電力を適宜変換して電動モータ42に供給する。
【0044】
制御部53は、映像信号処理部25の制御、吸気ファン26の制御、ランプ電源部51の制御、モータ駆動部52の制御等を行う集積回路により構成されている。制御部53は、映像を表示するためにランプ21を点灯させる制御信号をランプ電源部51に出力する。また、制御部53は、ランプ21を冷却するために吸気ファン26を駆動させる制御信号を吸気ファン26に出力する。
【0045】
さらに、制御部53は、エアフィルタ32を掃除するために、フィルタ掃除機構4の電動モータ42を駆動させる制御信号をモータ駆動部52に出力する。制御部53は、目詰まり検出部27により出力された目詰まり検出結果に基づいて、エアフィルタ32の目詰まり度合いが所定以上であることが検出されたとき、電動モータ42を駆動させる制御信号を出力する。
【0046】
また、制御部53は、エアフィルタ装置3がプロジェクタ1に装着されることにより、コネクタ34を介して位置検出センサ35A,35Bに接続される。制御部53は、位置検出センサ35A,35Bによる出力された位置検出結果に基づいて、フィルタ掃除機構4の駆動を制御する。制御部53は、待機位置から移動したフィルタ掃除機構4が折り返し位置に到達したことを位置検出センサ35Bにより検出したとき、電動モータ42を逆回転させる制御信号をモータ駆動部52に出力して、フィルタ掃除機構4を往復移動させる。また、制御部53は、往復移動するフィルタ掃除機構4が待機位置に到達したことを位置検出センサ35Aにより検出したとき、電動モータ42の駆動を停止させる制御信号をモータ駆動部52に出力して、フィルタ掃除機構4の移動を停止させる。
【0047】
操作部54は、プロジェクタ1のユーザによって操作される押しボタン等のマンマシンインタフェースにより構成されている。この操作部54が操作されることによって、映像を表示させる指示、及びエアフィルタ32を掃除させる指示がユーザにより制御部53に入力される。
【0048】
記憶部55は、プログラム等の情報を記憶するメモリにより構成されている。記憶部55には、制御部53が実行するプログラムとして「クリーニング処理」のプログラムが記憶されている。
【0049】
計時部56は、時間を計測するタイマにより構成されている。計時部56は、エアフィルタ32の累積使用時間を計測し、エアフィルタ32の使用時間を示す計測結果を制御部53に出力する。
【0050】
また、本実施形態のプロジェクタ1は、人感センサ61を備えている。人感センサ61は、筐体10に内蔵されている。人感センサ61は、プロジェクタ1の周囲の人の存在を検出するセンサであって、例えば、赤外線センサにより構成されている。人感センサ61は、プロジェクタ1の周囲の人の存在を示す人検出結果を制御部53に出力する。
【0051】
図4を参照して、プロジェクタ1が実行する「クリーニング処理」について説明する。クリーニング処理は、プロジェクタ1の使用中において繰り返し実行される。
まず、制御部53が、目詰まり検出部27により出力された目詰まり検出結果に基づいて、目詰まりを検出したか否かを判断する(ステップS1)。目詰まり検出結果が、所定以上の目詰まりを示しているときには、目詰まりを検出したと判断される。目詰まりを検出したと判断されない場合には、ステップS1が繰り返し行われる。
【0052】
目詰まりを検出したとステップS1で判断された場合、制御部53が、人感センサ61により出力された人検出結果に基づいて、プロジェクタ1の周囲における人の存在を検出しているか否かを判断する(ステップS2)。人の存在を検出していると判断される場合には、ステップS2が繰り返し行われる。
【0053】
目詰まりを検出したとステップS1で判断され、かつ、周囲の人の存在を検出しているとステップS2で判断されなかった場合、制御部53がフィルタ掃除機構4を駆動させて、フィルタ掃除機構4がエアフィルタ32の掃除を開始する(ステップS3)。エアフィルタ32を掃除しているときには、モータ駆動部52から電動モータ42に電力が供給され続けられる。
【0054】
エアフィルタ32の掃除開始後、制御部53は、位置検出センサ35A,35Bにより出力された位置検出結果に基づいて、エアフィルタ32の掃除が完了したか否かを判断する(ステップS4)。即ち、待機位置から移動したフィルタ掃除機構4が、折り返し位置で折り返して、待機位置まで往復移動したか否かが判断される。このようにフィルタ掃除機構4が待機位置から折り返し位置までの間を往復移動したと判断されたとき、制御部53は、エアフィルタ32の掃除が完了したと判断する。
【0055】
エアフィルタ32の掃除が完了したとステップS4で判断された場合、制御部53がフィルタ掃除機構4の駆動を停止させて、エアフィルタ32の掃除を完了する(ステップS5)。
【0056】
一方、エアフィルタ32の掃除が完了したとステップS4で判断されなかった場合、制御部53が、人感センサ61により出力された人検出結果に基づいて、プロジェクタ1の周囲における人の存在を検出しているか否かを判断する(ステップS6)。人の存在を検出していると判断されなかった場合には、ステップS4以降が繰り返し行われる。
【0057】
周囲の人の存在を検出していると、エアフィルタ32の掃除中であるステップS6で判断された場合には、制御部53が、フィルタ掃除機構4の駆動を停止させて、エアフィルタ32の掃除を一時停止する(ステップS7)。そして、ステップS2以降が繰り返し行われる。即ち、周囲の人の存在を検出しているとステップS2で判断されなかった場合には、ステップS7で一時停止されたエアフィルタ32の掃除が、ステップS3で再開される。
【0058】
本発明のプロジェクタ1の作用について説明する。
上記クリーニング処理を実行することにより、プロジェクタ1は、目詰まり検出部27によりエアフィルタ32の目詰まりを検出したとき、かつ、人感センサ61により人の存在を検出しなかったときには、制御部53はフィルタ掃除機構4を駆動させ、エアフィルタ32が掃除される。
【0059】
また、プロジェクタ1は、目詰まり検出部27によりエアフィルタ32の目詰まりを検出したとき、かつ、人感センサ61により人の存在を検出しなかったときには、人の存在が検出されなくなるまでの一定時間、フィルタ掃除機構4によるエアフィルタ32の掃除が禁止される。
【0060】
本実施形態のプロジェクタ1によれば、以下の作用効果を得ることができる。
(1)エアフィルタ装置3が装着されているプロジェクタ1は、エアフィルタ32と、エアフィルタ32を掃除するフィルタ掃除機構4と、フィルタ掃除機構4を制御する制御部53とを備えている。そして、制御部53が、人の存在を検出する人感センサ61により出力された検出結果に基づいて、フィルタ掃除機構4を制御する。このため、プロジェクタ1の周囲に人が存在していることを人感センサ61で検出したときに、フィルタ掃除機構4によるエアフィルタ32の掃除を禁止することにより、エアフィルタ32の掃除に伴う騒音を発生させないようにすることができる。よって、プロジェクタ1の周囲に映像コンテンツの視聴者が存在している場合には、その視聴を妨げないようにすることが可能となる。
【0061】
(2)プロジェクタ1の筐体10に人感センサ61を内蔵している。このため、プロジェクタ1の筐体10の外部に人感センサ61を設けずに、プロジェクタ1の周囲に人が存在していることを検出することができる。
【0062】
(3)制御部53は、人感センサ61により人の存在を検出したときに、フィルタ掃除機構4によるエアフィルタ32の掃除を禁止する。このため、エアフィルタ32の掃除に伴う騒音を発生させないようにすることによって、映像コンテンツの視聴を妨げないようにすることを確実に行うことができる。
【0063】
(4)プロジェクタ1は、エアフィルタ32の目詰まりを検出する目詰まり検出部27を備え、制御部53は、目詰まり検出部27によりエアフィルタ32の目詰まりを検出したとき、かつ、人感センサ61により人の存在を検出したときに、フィルタ掃除機構4によるエアフィルタ32の掃除を一定時間禁止する。このため、エアフィルタ32の目詰まりが検出されたときであっても、直ちにエアフィルタ32の掃除がされないため、エアフィルタ32の目詰まりを解消することに比べて、映像コンテンツの視聴を妨げないことを優先することができる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限られず、本発明の趣旨に基づいて種々の設計変更をすることが可能であって、それらを本発明の範囲から除外するものではない。例えば、上記実施形態を以下のように変更してもよく、以下の変更を組み合わせて実施してもよい。
【0065】
・上記実施形態では、人感センサ61により人の存在を検出したときに、フィルタ掃除機構4によるエアフィルタ32の掃除を禁止する構成であるが、フィルタ掃除機構4を駆動させながらも上記(1)の効果を得ることもできる。人感センサ61により人の存在を検出したときにもフィルタ掃除機構4を駆動させる変形例(以下、第1変形例)を、図5を参照しながら説明する。図5は、第1変形例のプロジェクタが実行する「クリーニング処理」の流れを示している。
【0066】
第1変形例に係るプロジェクタ1は、通常掃除モードまたは静音掃除モードでエアフィルタ32を掃除する。通常掃除モード及び静音掃除モードは、フィルタ掃除機構4によるエアフィルタ32の掃除態様であって、次のように定義される。
「通常掃除モード」:エアフィルタ32の掃除を短時間で確実に完了するために、静音掃除モードに比べて、フィルタ掃除機構4を速く移動させ、かつ、回転ブラシ45の回転を速くして、エアフィルタ32を掃除する態様。
「静音掃除モード」:エアフィルタ32の掃除に伴う騒音の発生を抑制するために、通常掃除モードに比べて、フィルタ掃除機構4を遅く移動させ、かつ、回転ブラシ45の回転を遅くして、エアフィルタ32を掃除する態様。
【0067】
図5を参照して、第1変形例のプロジェクタ1が実行する「クリーニング処理」について説明する。
まず、制御部53が、ステップS1と同様に、目詰まり検出部27により出力された目詰まり検出結果に基づいて、目詰まりを検出したか否かを判断する(ステップS11)。目詰まりを検出したと判断されない場合には、ステップS11が繰り返し行われる。
【0068】
目詰まりを検出したとステップS11で判断された場合、制御部53が、ステップS2と同様に、プロジェクタ1の周囲における人の存在を検出しているか否かを判断する(ステップS12)。
【0069】
目詰まりを検出したとステップS11で判断され、かつ、周囲の人の存在を検出しているとステップS12で判断されなかった場合、制御部53がフィルタ掃除機構4を駆動させて、通常掃除モードでフィルタ掃除機構4がエアフィルタ32の掃除を開始する(ステップS13)。
【0070】
一方、目詰まりを検出したとステップS11で判断され、かつ、周囲の人の存在を検出しているとステップS12で判断された場合、制御部53がフィルタ掃除機構4を駆動させて、静音掃除モードでフィルタ掃除機構4がエアフィルタ32の掃除を開始する(ステップS14)。
【0071】
そして、エアフィルタ32の掃除開始後、制御部53は、ステップS4と同様に、エアフィルタ32の掃除が完了したか否かを判断する(ステップS15)。エアフィルタ32の掃除が完了したと判断されない場合には、ステップS15が繰り返し行われる。
【0072】
エアフィルタ32の掃除が完了したとステップS15で判断された場合、制御部53がフィルタ掃除機構4の駆動を停止させて、エアフィルタ32の掃除を完了する(ステップS16)。
【0073】
上記変形例においては、プロジェクタ1の周囲に人が存在していることを人感センサ61で検出したときに、フィルタ掃除機構4によるエアフィルタ32の掃除を、人が存在していることを人感センサ61で検出していないときに比べて静かに行わせることにより、エアフィルタ32の掃除に伴う騒音を抑制することができる。よって、上記実施形態と同様に、プロジェクタ1の周囲に映像コンテンツの視聴者が存在している場合には、その視聴を妨げないようにすることが可能となる。
【0074】
また、上記変形例によれば、制御部53は、人感センサ61により人の存在を検出したときに、静音掃除モードでフィルタ掃除機構4にエアフィルタ32を掃除させる。このため、エアフィルタ32を掃除しながらも映像コンテンツの視聴を妨げないようにすることができる。
【0075】
・上記変形例では、エアフィルタ32の掃除が開始されてから完了するまでの間、通常掃除モード及び静音掃除モードの一方でエアフィルタ32が掃除されるが、エアフィルタ32の掃除が開始されてから完了するまでの間に、人感センサ61による周囲の人の検出結果に応じて、通常掃除モードと静音掃除モードとを切り替えることもできる。
【0076】
・上記実施形態及び第1変形例では、目詰まり検出部27によりエアフィルタ32の目詰まりを検出したときにエアフィルタ32が掃除される構成であるが、ユーザにより、エアフィルタ32を掃除させる指示が操作部54を用いて制御部53に入力されたときに、エアフィルタ32が掃除される構成を採用することもできる。即ち、ステップS1及びステップS11において、制御部53が、エアフィルタ32を掃除させる指示が操作部54を用いて入力されたか否かを判断して、エアフィルタ32を掃除させる指示が操作部54を用いて入力されたと判断されたときに、ステップS2及びステップS12が行われる構成を採用することもできる。この場合、プロジェクタ1は、操作部54によりエアフィルタ32を掃除する指示が入力されたとき、かつ、人感センサ61により人の存在を検出しなかったときに、制御部53はフィルタ掃除機構4を駆動させ、エアフィルタ32が掃除される。
【0077】
・上記実施形態及び第1変形例では、目詰まり検出部27によりエアフィルタ32の目詰まりを検出したときにエアフィルタ32が掃除される構成であるが、エアフィルタ32の使用時間が所定時間を超えたときに、エアフィルタ32が掃除される構成を採用することもできる。即ち、ステップS1及びステップS11において、制御部53が、計時部56による計測結果に基づいてエアフィルタ32の使用時間が所定時間を超えたか否かを判断して、エアフィルタ32の使用時間が所定時間を超えたと判断されたときに、ステップS2及びステップS12が行われる構成を採用することもできる。この場合、計時部56により出力された計測結果が所定時間を超えていることを示しているとき、かつ、人感センサ61により人の存在を検出しなかったときに、制御部53はフィルタ掃除機構4を駆動させ、エアフィルタ32が掃除される。
【0078】
・上記実施形態では、筐体10に人感センサ61を内蔵しているが、プロジェクタ1の外部に人感センサ61を設けることもできる。即ち、制御部53は、プロジェクタ1の外部から入力される人感センサ61の検出結果に基づいて、フィルタ掃除機構4を制御することもできる。
【0079】
・上記実施形態では、本発明を液晶プロジェクタに適用しているが、液晶プロジェクタ以外の投写型映像表示装置に本発明を適用することもできる。即ち、上記実施形態では、映像生成部22は、液晶パネルを備えた電気光学装置であるが、例えば、微小鏡を格子状に配列したDMD(Digital Micromirror Device)を備えた電気光学装置により映像生成部22を構成することもできる。この場合、映像生成部22に入力された映像信号に基づいてDMDが駆動され、そして、ランプ21から映像生成部22に入射した光が、DMDで反射されることによって、映像信号に基づいた映像が生成される。
【符号の説明】
【0080】
1…ビデオプロジェクタ(投写型映像表示装置)、3…エアフィルタ装置、4…フィルタ掃除機構、10…筐体、11…底面、12…吸気口、21…ランプ、22…映像生成部、23…投射部、24…映像信号入力部、25…映像信号処理部、26…吸気ファン、27…目詰まり検出部、31…基材、32…エアフィルタ、32A…枠部材、33…ラック、34…コネクタ、35A,35B…位置検出センサ、41…ケース、42…電動モータ、43…駆動軸、44…ピニオン、45…回転ブラシ、46…ダストボックス、51…ランプ電源部、52…モータ駆動部、53…制御部、54…操作部、55…記憶部、56…計時部、61…人感センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示するための光学部品を収納する筐体と、この筐体の内部へ流入しようとする塵埃を捕捉するエアフィルタと、このエアフィルタを掃除するフィルタ掃除機構とを備えた投写型映像表示装置であって、
前記フィルタ掃除機構を制御する制御部を備え、
前記制御部が、人の存在を検出する人感センサにより出力された検出結果に基づいて、前記フィルタ掃除機構を制御する
ことを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記筐体に前記人感センサを内蔵している
ことを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記人感センサにより人の存在を検出したときに、前記フィルタ掃除機構による前記エアフィルタの掃除を禁止する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記エアフィルタの目詰まりを検出する目詰まり検出部を備え、
前記制御部は、前記目詰まり検出部により前記エアフィルタの目詰まりを検出したとき、かつ、前記人感センサにより人の存在を検出したときに、前記フィルタ掃除機構による前記エアフィルタの掃除を一定時間禁止する
ことを特徴とする請求項3に記載の投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記人感センサにより人の存在を検出していないときの前記フィルタ掃除機構による前記エアフィルタの掃除態様を通常掃除モードとし、前記フィルタ掃除機構が前記通常掃除モードに比べて静かに前記エアフィルタを掃除する掃除態様を静音掃除モードとしたとき、
前記制御部は、前記人感センサにより人の存在を検出したときに、前記静音掃除モードで前記フィルタ掃除機構に前記エアフィルタを掃除させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−7973(P2013−7973A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142174(P2011−142174)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】