説明

投写型表示装置及び画像表示方法

【課題】スペックルノイズを効率良く低減することのできる投写型表示装置を得る。
【解決手段】後段投写光学系27のF値を前段投写光学系24のF値より小さくする。また、前段投写光学系24によって形成される中間像の位置に配置される角度変換手段25は、表示面26と共役の関係にあり、かつ、前段投写光学系24から出射した光に角度の広がりを与えるよう設定される。後段投写光学系27の瞳位置またはその前後の空間に設置される空間透過率変換手段28の光の透過率分布は光軸中心から外側に向かって大きくなるよう設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を画像としてスクリーンに表示する投写型表示装置及びその画像表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
投写型表示装置は光源からの光を画像としてスクリーンに映像表示を行うもので、CRT(Cathode Ray Tube)やPDP(Plasma Display Panel)とは異なり、非発光型の表示装置である。このような投写型表示装置は、一般に、画像信号に応じて光量を調整するライトバルブと、光源からの照明光によりライトバルブを照明する照明光学系と、ライトバルブで作られた小さな画像を大きなスクリーンに拡大投影する投写光学系とを備えている。
【0003】
投写型表示装置は小さな画像を大きなスクリーンに拡大投影するため、光源の元々の空間的なコヒーレンス(光の持つ性質で干渉のしやすさを表す)が小さくても、光学系で画像光が拡大されるにつれ、空間的なコヒーレンスが大きくなり、投影されたスクリーン上の、光の波長より大きな微細な凹凸により無数の明暗の干渉パターンが作られる。この明暗のパターンはスペックルと呼ばれ、画像のノイズとなり、観察者に不快感を与える。特に、レーザのような発光点が小さく平行度の高い光源、つまりコヒーレンスの大きな光源ではスペックルノイズは大きな問題となる。
【0004】
このスペックルノイズを低減する方法として、従来、例えば特許文献1に示された投写型表示装置があった。この投写型表示装置は、レーザ光源とコリメート光学系と、走査デバイスと、第一の光学系と光発散角変換素子と第二の光学系から順に配置されている。この構成では、コリメート光学系にて並行にされた光源からの光が走査デバイスで強度分布を与えられ画像を構成し、第一の光学系を経由して中間像が作られる。中間像付近に配置される光拡散角変換素子は、マイクロレンズアレイによって構成され、入射した光束を回折作用にて離散的に拡大する。拡大された画像光は第二の光学系にてスクリーンに投影される。スクリーン上の凹凸でスペックルノイズが発生するが、複数の異なる回折角の光によって形成された互いに異なる複数のスペックルパターンが重畳されて観測者に観察されるため、スペックルノイズを低減させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−53495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の投写型表示装置は、光拡散角変換素子によりレーザ光の広がり角が大きくなり、複数の異なる回折角光が第二の光学系を経由してスクリーンに投影されるが、回折光の角度に対する強度分布は角度が小さい光が相対的に多く、角度が大きい光が相対的少ない。このためスペックルパターンを重畳しても、角度の小さい光で作られる明暗のパターン1に対して角度の大きい光で作られる明暗のパターン2が相対的に少ないため、角度の大・小でパターンが異なるものの、互いの明暗を打ち消し合う効果が十分でないという問題点があった。
【0007】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、スペックルノイズを効率良く低減することのできる投写型表示装置及び画像表示方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る投写型表示装置は、少なくとも赤、緑、青色光をそれぞれ放射する複数の変調光源と、複数の変調光源からの光を合成する合成光学系と、合成光学系で合成された複数の変調光源からの光を映像信号に基づき変調するライトバルブと、ライトバルブが作る画像を所定の倍率で投影して中間像を形成する前段投写光学系と、前段投写光学系によって形成される中間像の位置に配置される角度変換手段と、中間像からの光を所定の倍率で表示面まで投影する後段投写光学系と、後段投写光学系の瞳位置またはその前後の空間に設置された空間透過率変換手段とを備え、後段投写光学系のF値は前段投写光学系のF値より小さく、角度変換手段は、表示面と共役の関係にあり、かつ、前段投写光学系から出射した光に角度の広がりを与えるよう設定されると共に、空間透過率変換手段の光の透過率分布が光軸中心から外側に向かって大きくなるよう設定されたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の投写型表示装置は、後段投写光学系のF値を前段投写光学系のF値より小さくし、角度変換手段を、表示面と共役の関係とし、かつ、前段投写光学系から出射した光に角度の広がりを与えるよう設定すると共に、空間透過率変換手段の光の透過率分布を光軸中心から外側に向かって大きくなるよう設定したので、角度の小さい光に対して相対的に少ない角度の大きい光の割合を増やし、スペックルノイズを効率良く低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1による投写型表示装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による投写型表示装置の時間に対する赤、緑、青色光の相対強度を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1による投写型表示装置の角度変換手段が無い場合の動作を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による投写型表示装置の空間透過率変換手段が無い場合の動作を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1による投写型表示装置の空間透過率変換手段を備えた場合の動作を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態1による監投写型表示装置の空間透過率変換手段における角度に対する透過率の関係を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態1による投写型表示装置のライトバルブを3つ設けた場合の構成図である。
【図8】この発明の実施の形態1による投写型表示装置の間隔dのスリットと、有限の大きさDのインコヒーレントな単色光源がある場合の干渉縞の説明図である。
【図9】光学的不変量の模式図である。
【図10】この発明の実施の形態2による投写型表示装置の説明図である。
【図11】この発明の実施の形態3による投写型表示装置の説明図である。
【図12】この発明の実施の形態4による投写型表示装置の説明図である。
【図13】この発明の実施の形態5による投写型表示装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による投写型表示装置を示す構成図である。
図1に示す投写型表示装置(プロジェクタ)100は、複数の可視光の波長(380−780nm)を放射する光源モジュール112と、光源モジュール112からの照明光を被照面であるライトバルブ22に導く照明光学系111と、照明光学系111により導かれた照明光を映像信号に応じて光量を調整し、空間的に変調するライトバルブ22と、ライトバルブ22で作られる小さな画像を表示面26に拡大投影する投写光学系110から構成される。さらに詳細には、光源モジュール112は、複数の変調光源20(20a〜20i)と、複数の変調光源20からの照明光をビーム形状に成形し、複数を混合して合成する合成光学系21(21a〜21c)から構成される。
【0012】
また、光源モジュール112からの照明光を被照面であるライトバルブ22に導く照明光学系111において、例えば、ロッドインテグレータや光ファイバに代表される、空間を伝搬している間に照明光の光強度分布を空間的に平均化する均一化要素10が配置されている。また、投写光学系110は、前段投写光学系24と後段投写光学系27から構成され、光路の途中、中間像を作る位置に、拡散板やマイクロレンズアレー、回折格子等に代表される角度変換手段25が配置されている。さらに、後段投写光学系27は、その瞳位置、またはその前後のレンズなどの無い自由空間に、画像光の透過率が空間で異なる空間透過率変換手段28が配置される。さらに、画像入力などに代表される外部信号31に応じて画像を形成すると共に、赤緑青の3原色以上の光の組み合わせで画像を作るために光源モジュール112の点灯を制御する制御装置29を有する。また、照明光学系111には、照明光の光束の量を調整する可動絞り(図示せず)を持つ場合もある。なお、外部電源30は、光源モジュール112に電源供給を行うための電源である。
【0013】
次に、図1に示された投写型表示装置100の動作について説明する。この発明の投写型表示装置100は、複数の変調光源20からの照明光を成形し、強度分布を均一化しながら被照面であるライトバルブ22に導き、ライトバルブ22で作られた画像を表示面26まで拡大投影するものである。複数配置された変調光源20の光は合成光学系21で合成され1つにまとめられる。図1に示す例では3つの合成光学系21a〜21cからの光を1つの均一化要素10に導く例を示しており、具体的には、後述する実施の形態5の図13に示すように各色の変調光源20a〜20iからの光を光ファイバで合成光学系21a〜21cまで導いているが、空間伝搬で合成光学系まで導いても良い。なお、図1では9つの変調光源20a〜20iから構成されている光源モジュール112を示しているが、特定の数に限定されるものではない。
【0014】
また、一般にCRTやPDP、投写型表示装置は波長の異なる3種以上の光の組み合わせで色を作るため、波長の異なる変調光源を3種類、もしくはそれ以上用意し、例えば、変調光源20a〜20cを赤色、変調光源20d〜20fを青色、変調光源20g〜20iを緑色といったように構成してもよい。
【0015】
変調光源20は、レーザ光源、例えば半導体レーザと、レーザ媒質と非線形材料からなるレーザ光源等で良い。レーザ媒質としては、一般的な固体レーザ材料として、例えば、Nd:YAG、Nd:YLF、Nd:Glass、Nd:YVO4、Nd:GdVO4、Yb:YAG、Yb:YLF、Yb:KGW、Yb:KYW、Er:Glass、Er:YAG、Tm:YAG、Tm:YLF、Ho:YAG、Ho:YLF、Tm、Ho:YAG、Tm、Ho:YLF、Ti:Sapphire、Cr:LiSAFなどを用いるものがある。また、非線形材料としては、一般的な波長変換用材料、例えば、KTP、KN、BBO、LBO、CLBO、LiNbO3、LiTaO3などを用いることができる。
【0016】
また、光量は変調光源20のピーク電流を調節(電流制御)したり、PWM(Pulse Width Modulation)のデューティ比を変化させることによって調節(PWM制御)したり、照明光学系111の可動絞り(図示せず)を開閉することで調節したり、ライトバルブ22により光を投写光学系方向(ON光)・非投写光学系方向(OFF光)へ偏向することで、その量を調節することができる。
【0017】
合成光学系21でまとめられた各色の照明光束は均一化要素10に導かれる。この均一化要素10の中を伝搬する間に光束が空間で混ざり合い、面内で均一化される。均一化要素10が、例えば、図13に示すように矩形状であれば、出光面では均一な矩形の光に成形される。なお、均一化要素10は、ロットインテグレータ、ライトトンネル、光ファイバ等で構成されるが、これらに特定するものではない。
【0018】
均一化要素10からの照明光は被照面であるライトバルブ22を均一に照明する。均一化要素10の出光面は均一な矩形の光となるため、均一化要素10の出光面側とライトバルブ22を光学的に共役(conjugate)関係にするとライトバルブ22も均一に照明される。この複数の変調光源20からの光を合成する合成光学系21から、ライトバルブ22を照明するために用いられる光学系を照明光学系111とする。
【0019】
なお、実施の形態1では映像信号に代表される外部信号31に基づいて画像を生成するライトバルブ22が1つしかないため、光源モジュール112は、例えば図2に示すように、一般に30Hz程度とされる目の応答速度より高速に、時間的に赤緑青の3原色、もしくはそれ以上の光のON/OFFを切り替えるように制御装置29にて光源の点灯を制御することで、ライトバルブ22上で時系列に各色毎の画像を生成することができる。
【0020】
また、このライトバルブ22で生成された画像は、投写光学系110により画像光113として任意の表示面26に拡大投影される。表示面26は、一般に白色の壁やスクリーンが用いられる。この表示面26とライトバルブ22も光学的に共役(conjugate)関係にすることで表示面に均一で鮮明な画像を形成することができる。
【0021】
次に、図3〜図5を用いて、本発明における2つのポイントについて説明する。
この発明の1つ目のポイントは、ライトバルブ22の画像光を表示面26に投影する際に、後段投写光学系27に角度の広がりが大きな画像光を導き、その瞳上の空間分布を均一にすることで、表示面26に配置されるスクリーンの表面の凹凸を照明する画像光のコヒーレンスを低減させ、結果として明暗の斑点であるスペックルノイズを低減するものである。よって、ここでは、本発明の特徴であるライトバルブ22以降の動作について説明する。ライトバルブ22は、外部の入力信号、主に画像信号に応じて照明光の空間分布に変調を与えて画像を形成する、透過型液晶、反射型液晶、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)などであるが、これに特定するものではない。
【0022】
ライトバルブ22の画像を投写光学系110で投影する際に、途中で一度像を結ぶ光学系がある。これを中間結像と呼ぶ。この時の投写光学系110は、ライトバルブ22の画像光を所定の倍率で投影し中間像23を作る前段投写光学系24と、中間像23を表示面26に所定の倍率(一般に前段投写光学系24の倍率より大きい)で投影する後段投写光学系27から構成される。物体面であるライトバルブ22の像が表示面26に作られるためには、ライトバルブ22と中間像23、中間像23と表示面26が光学的に共役(conjugate)な関係にある必要がある。なお、前段投写光学系24から後段投写光学系27に像を転写するレンズ系、リレーレンズ系が必要となるが、図3〜5ではその図示を省略している。また、図3〜5において、200は観測者を示している。
【0023】
実施の形態1ではこの中間像23の位置に角度変換手段25が配置されるが、図3は角度変換手段25が無い場合を例示している(角度変換手段25を破線で示している)。この場合、前段投写光学系24からの画像光の広がりは変わらずに後段投写光学系27に入射し、表示面26に到達するため、表示面26に配置されるスクリーンの表面の凹凸を照明する光束の広がりは前段投写光学系24で決定される大きさとなる。
【0024】
ここで、図4及び図5のように、前段投写光学系24によって形成される中間像23の位置に角度変換手段25を配置すると、前段投写光学系24からの画像光が角度変換手段25、例えば拡散板やマイクロレンズアレー、回折格子等で、出射した光に角度の広がりを与えられ、後段投写光学系27に入射する。
さらに、後段投写光学系27のF値が前段投写光学系24のF値より小さい、つまり後段投写光学系27の方が広い角度の光を透過できる明るいレンズ系になっているとする。この場合、前段投写光学系24の光が角度変換手段25で広げられ、広がった光が後段投写光学系27を透過することで、前段投写光学系24で決定された光束の広がりより広がった画像光で表示面26に配置されるスクリーンの表面の凹凸を照明できることになる。表面の凹凸を異なる角度の光で照明できると、凹凸でできる明暗のパターンが角度で異なることから、その明暗、光強度の和が平均化されて、明暗の差が小さくなる。このためぎらつき、すなわちスペックルノイズが小さくなる。
【0025】
但し、角度変換手段25を用いると、スクリーンを照明する光束の角度の広がりは確かに広がるが、図4に示すように、広がりの小さい光束と広がりの大きい光束の量は異なり、一般に広がりの小さい光束に比べて広がりの大きな光束が少ない。つまり、表面の凹凸を異なる角度の光で照明できると、凹凸でできる明暗のパターンが角度で異なるため、光強度の和を取ると平均化されるが、仮に広がりの小さい光束が多く、広がりの大きな光束が少ない場合、平均化でパターンは打ち消し合うものの、効率が悪いことになる。例えば、図4では広がりの小さい光束が4単位、広がりの大きな光束が2単位のため、平均化でパターンは4:2で打ち消し合うため、低減効果が十分でない。
【0026】
そこで、本発明の2つ目のポイントは、図5に示すように、後段投写光学系27の瞳位置またはその前後の空いた空間に、空間透過率変換手段28、例えば中心から半径方向に、その透過率が場所で異なる半透明なガラス板を配置する。なお、透過率の空間分布は例えば図6に示すように、光軸中心から外側に向かって大きくなるのが望ましいが、このような構成に限定するものではない。周辺部の光束に対して中央部の光束を相対的に減らせばよく、具体的には透明な硝子板の開口に、吸収を中央部、もしくは同心円状、放射状に与えればよい。このように空間透過率変換手段28を後段投写光学系27の瞳位置またはその前後の空いた空間に配置すると、そこを透過する光束の量が場所に依存して吸収されて現象することになる。これにより、広がりの大きな光束と比べて相対的に多かった広がりの小さい光束が吸収される。例えば、図5では空間透過率変換手段28を透過すると広がりの小さい光束は2単位、広がりの大きな光束が2単位のため、平均化でパターンは2:2で打ち消し合うことになる。これによりスペックルノイズを効率良く低減することができる。
【0027】
なお、上記例ではライトバルブ22を1つだけ用いる例を示したが、図7の投写型表示装置100aに示すように、光の3原色、赤緑青に対応したライトバルブを3つ(ライトバルブ22a〜22c)備えた系であってもよい。なお、3つのライトバルブ22a〜22cに対応して均一化要素10a〜10cも3つとなる。この場合、時間的に赤緑青の3原色の光のON/OFFを切り替える必要はなくなるが、明るさを増やすために3原色を同時に点灯する等、光源の点灯を制御で明るさの改善ができるメリットがある。また、異なる波長の光を同時に表示面26に照明できるため、ライトバルブ22が1つの場合に比べてスペックルノイズの低減効果をさらに高めることもできるようになる。
【0028】
次に、光束の広がりと光波のコヒーレンスとスペックルノイズの関係について数式および数値を用いて説明する。
一般にスペックル、もしくはシンチレーションと呼ばれる現象が透過型スクリーンで見られる原因について説明する。物体の表面が光の波長のスケールに対して粗い凹凸を持つ場合、表面で散乱、透過、反射したコヒーレント照明光の像に現れる。これは異なる散乱点から発生した、多数の振幅分布(強度分布ではない)の重畳からなされるもので、光源のもつコヒーレンスによる干渉で説明できる。
【0029】
説明を簡略化するため、単色波
(r,t)=Re[Ejkexpi(kr−ωt+δjk)] (1)
の重ね合わせを考える。2つの単色波がある点で重なり合う、つまり、
E=E+E (2)
の状態を考えると、その強度の時間平均は、

で表される。これは各々の強度の和に加えて干渉項

が付加されていることから、各々の偏光や位相差によって強度が変化することになる。
【0030】
一方で、例えば遠方にある天体からの光を地上から観測する場合もスペックルを観測することがある。天体からの光とレーザ光源の違いについて説明すると、天体からの光のスペクトルは連続でインコヒーレントであり、レーザ光源のスペクトルは単色でコヒーレントである。
【0031】
これについて図8を用いて説明する。
間隔dのスリットと、有限の大きさDのインコヒーレントな単色光源があり、この両端、第一の光源と第二の光源から光が出る場合を考える。第一の光源からの光が異なる光路を通るため実線の干渉縞を作り、第二の光源からの光も同様に破線の干渉縞を作る。それぞれの干渉縞の原点は、光源の位置の差Dが小さければ干渉縞の原点のずれも小さくなる。
【0032】
この第一の光源と第二の光源には互いに相関がないので、実線の干渉縞と破線の干渉縞の重ね合わせは、(振幅でなく)単純に強度の重ね合わせとなる。ここで考えているスリット間隔dが小さい場合(干渉縞の周期は逆に大きくなるので)、干渉縞の原点のずれは周期に比べて小さく、強度が足し合わさった結果、一点鎖線の縞のように強め合うことになる。反対にスリット間隔dが大きい場合(干渉縞の周期は逆に小さくなるので)、干渉縞の原点のずれは周期に比べて大きく、強度が足し合わさった結果、山と谷が打ち消し合って均一化されることになる。
【0033】
有限の大きさDを持つ光源からの波面は、その見込む大きさD/zの傾きを持つ。スリット間隔d離れた位置で光路長差が1λと同等以下であれば干渉性を保つ、つまり、

と考えられる。この干渉性を保つ長さdは、

となる。FはF値で光束の広がり(の逆数)F〜z/Dを表す。従って光束の広がりが狭いほど(F値が大きいほど)干渉性を保つ長さdが大きくなる。
【0034】
ここで光学的不変量について説明する。図9に模式図を示す。物体の大きさyがレンズにより大きさyの像を形成するとする。このとき見込み角θとの関係について証明は省略するが、
θ=yθ (7)
となる。この関係式は、像の大きさと見込み角θの積は光学系の中で不変であることを示し、Helmholz−Lagrangeの不変量と呼ばれ、厳密には近軸理論で成り立つ。
【0035】
例えば図9を見ると、像の大きさをy<y<yと大きくすると、見込み角θは順にθ>θ>θとなることがわかる。つまり光束の広がり(ここでは見込み角θで表す)は、光学系の横倍率
β=y/y (8)
に反比例して小さくなることがわかる。プロジェクタ光学系の倍率は一般に50〜100倍といった高倍率なものが多いため、光束の広がりはそれに反比例して小さくなる。
【0036】
次に、投写型表示装置の光学系、および表示面の関係について説明する。
像は投写光学系110の横倍率β=y/yで拡大されるので、光束の広がりθは、1/β倍となり、干渉性を保つ長さdは、

となる。例えば、投写光学系の倍率β=100倍、照明光学系のF値、F=3.5、波長λ=530nmとすると、d<186ミクロンとなる。距離dは倍率βやF値に比例するため、F値とβが大きいほど(光束の広がりが狭いほど)dも大きくなる。
【0037】
表示面26に配置されるスクリーンは、例えば表面の凹凸で光を拡散させるもの(表面拡散)、または媒質と異なる屈折率の様々な粒径のビーズが混在して光を拡散させるもの(体積拡散)等がある。この凹凸やビーズの特徴的な長さは可視光の波長(およそ380〜780nm)より大きく、せいぜい1〜50ミクロン、実際には5〜20ミクロン程度が主流である。
【0038】
照明される面(被照面)の表面等のゆらぎの特徴的な長さが、干渉性を保つ長さdに比べて十分小さい場合、空間的なコヒーレンスから、この光束は部分的にコヒーレントな照明光となるため、明暗の斑点、つまりスペックルノイズが発生することになる。
【0039】
なお、証明は省略するが、上記の単色光に関する説明は(振幅でなく)強度の重ね合わせであることから、準単色光等の帯域幅をもつ光源に適応することも可能である。以上から、インコヒーレント光源であっても、有限の大きさを持つ光源の空間的なコヒーレンスから、部分的にコヒーレントな照明になり、(振幅でなく)強度の重ね合わせでスペックル現象を説明することができる。
【0040】
レーザ光源は狭い帯域幅をもつ準単色光源のため、仮にレーザ光源の持つ高いコヒーレンスをなんらかの手段で低減したとしても、上述したようにスペックルが観測される。
【0041】
以上のことから、F値を小さくすると、干渉性を保つ長さdも小さくなることから、投写光学系110を前段投写光学系24と後段投写光学系27に分けて、かつ角度変換手段25により後段投写光学系27への光束を広げることで、干渉性を保つ長さdを小さくできる。表示面26に配置されるスクリーンなどの光拡散要素の凹凸、微粒子の粒径と比較して、干渉性を保つ長さdが小さくなることで、スペックルノイズが減少する。
【0042】
以上説明したように、実施の形態1の投写型表示装置によれば、少なくとも赤、緑、青色光をそれぞれ放射する複数の変調光源と、複数の変調光源からの光を合成する合成光学系と、合成光学系で合成された複数の変調光源からの光を映像信号に基づき変調するライトバルブと、ライトバルブが作る画像を所定の倍率で投影して中間像を形成する前段投写光学系と、前段投写光学系によって形成される中間像の位置に配置される角度変換手段と、中間像からの光を所定の倍率で表示面まで投影する後段投写光学系と、後段投写光学系の瞳位置またはその前後の空間に設置された空間透過率変換手段とを備え、後段投写光学系のF値は前段投写光学系のF値より小さく、角度変換手段は、表示面と共役の関係にあり、かつ、前段投写光学系から出射した光に角度の広がりを与えるよう設定されると共に、空間透過率変換手段の光の透過率分布が光軸中心から外側に向かって大きくなるよう設定したので、スペックルノイズを効率良く低減することができる。
【0043】
また、実施の形態1の画像表示方法によれば、少なくとも赤、緑、青色光をそれぞれ放射する複数の変調光源と、複数の変調光源からの光を合成する合成光学系と、合成光学系で合成された複数の変調光源からの光を映像信号に基づき変調するライトバルブと、ライトバルブが作る画像を所定の倍率で投影して中間像を形成する前段投写光学系と、前段投写光学系によって形成される中間像の位置に配置される角度変換手段と、中間像からの光を所定の倍率で表示面まで投影する後段投写光学系と、後段投写光学系の瞳位置またはその前後の空間に設置された空間透過率変換手段とを備えた投写型表示装置の画像表示方法であって、後段投写光学系のF値を前段投写光学系のF値より小さくし、かつ、角度変換手段を表示面と共役の関係とすると共に、角度変換手段は、前段投写光学系から出射した光に角度の広がりを与え、かつ、空間透過率変換手段は、光の透過率分布が光軸中心から外側に向かって大きくなるよう設定したので、投写型表示装置においてスペックルノイズを効率良く低減することができる。
【0044】
実施の形態2.
図10は、実施の形態2の投写型表示装置を示す構成図である。実施の形態2における投写型表示装置は、空間透過率変換手段28の設置位置を、実施の形態1の後段投写光学系27の瞳位置またはその前後の空間の設置に代えて、前段投写光学系24の瞳位置またはその前後に設置するようにしたものである。他の構成については、実施の形態1と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0045】
次に、実施の形態2における投写型表示装置の動作について説明する。
空間透過率変換手段28は、実施の形態1で説明したように、F値が大きい後段投写光学系27に配置することが望ましいが、レンズ系やその他部品等の隙間の関係から、配置が困難な場合も考えられる。この場合、次善の例として、空間透過率変換手段28を前段投写光学系24の瞳位置またはその近傍に配置しておくことで、前段投写光学系24の瞳面上の空間分布を均一に近づけておくことができるので、仮に角度変換手段25がなければ後段投写光学系27の瞳も均一に近づくことになる。但し、角度変換手段25により後段投写光学系27へ入射する光束を広げる必要があるので、その効果を考慮して瞳面上の空間分布に多少の分布を残しておくことが望ましい。
【0046】
以上説明したように、実施の形態2の投写型表示装置によれば、空間透過率変換手段は、後段投写光学系の瞳位置またはその前後の空間の設置に代えて、前段投写光学系の瞳位置またはその前後に設置したので、後段投写光学系に配置するのが困難であるような場合でも、スペックルノイズを効率良く低減することができる。
【0047】
実施の形態3.
実施の形態3は、ライトバルブ22に入射する光の配光分布を、角度に対して中心強度が小さく周辺強度が大きくなるようにしたものであり、図11に実施の形態3の投写型表示装置の構成を示す。
図11に示すように、実施の形態3では、ライトバルブ22に入射される光の配光分布が、角度に対して中心強度が小さく周辺強度が大きくなるよう設定され、また、実施の形態1、2における空間透過率変換手段28が省かれている。なお、図示のような光源の配光分布を得るには、照明光学系111によって行う。その他の構成は実施の形態1、2と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0048】
次に、実施の形態3の投写型表示装置の動作について説明する。
これまで実施の形態1、2では空間透過率変換手段28にて瞳面上の光束の空間分布を均一にしてきた。一方、実施の形態3では、照明光の起源である光源モジュール112からの照明光の配光分布を、中心が少なく、周辺が多くなるように事前に調整しておくものである。このように調整すると、起源の光源の配光分布にて周辺光量が多くなるため、後段投写光学系27の瞳まで光学系を伝搬した光束の光量分布も均一に近づくことになる。これによりスペックルノイズが効率良く低減できる。
【0049】
以上説明したように、実施の形態3の投写型表示装置によれば、少なくとも赤、緑、青色光をそれぞれ放射する複数の変調光源と、複数の変調光源からの光を合成する合成光学系と、合成光学系で合成された複数の変調光源からの光を映像信号に基づき変調するライトバルブと、ライトバルブが作る画像を所定の倍率で投影して中間像を形成する前段投写光学系と、前段投写光学系によって形成される中間像の位置に配置される角度変換手段と、中間像からの光を所定の倍率で表示面まで投影する後段投写光学系とを備え、後段投写光学系のF値は前段投写光学系のF値より小さく、角度変換手段は、表示面と共役の関係にあり、かつ、前段投写光学系から出射した光に角度の広がりを与えるよう設定されると共に、ライトバルブに入射する光の配光分布を、角度に対して中心強度が小さく周辺強度が大きくなるようにしたので、スペックルノイズを効率良く低減することができる。
【0050】
実施の形態4.
図12は実施の形態4の投写型表示装置を示す構成図である。
図示の投写型表示装置は、実施の形態3におけるライトバルブ22に入射する光の配光分布を角度に対して中心強度が小さく周辺強度が大きくなるようにした構成を実施の形態1に適用したものである。すなわち、ライトバルブ22以降の構成は図5に示した実施の形態1の構成と同様である。
【0051】
このように、実施の形態4では、ライトバルブ22に入射する光の配光分布を角度に対して中心強度が小さく周辺強度が大きくなるようにすると共に、空間透過率変換手段28を設けたので、スペックルノイズをさらに効率良く低減することができる。
【0052】
なお、実施の形態4では、実施の形態3の構成を実施の形態1に適用した場合を説明したが、実施の形態2に適用しても良い。
【0053】
以上説明したように、実施の形態4の投写型表示装置によれば、実施の形態1または2の投写型表示装置において、ライトバルブに入射する光の配光分布を、角度に対して中心強度が小さく周辺強度が大きくなるようにしたので、スペックルノイズをさらに効率良く低減することができる。
【0054】
実施の形態5.
実施の形態5は、複数の変調光源からの光の偏光方向を変化させる複屈折層を設け、合成光学系は、前記複屈折層を介して前記複数の変調光源からの光を受け取ることにより、当該複数の変調光源からの光の位相をずらして合成するようにしたものである。
【0055】
図13は、実施の形態5の投写型表示装置を示す構成図である。
図において、複屈折層120a〜120cは、複数の変調光源20a〜20iからの光の偏光方向を変化させるものであり、それぞれの出力は合成光学系21a〜21cに入力されるようになっている。その他の構成は、実施の形態1〜4のいずれかに記載の投写型表示装置と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。なお、均一化要素10は、図中、破線円の拡大部分に示すように矩形状の均一化要素10である。
【0056】
次に、実施の形態5の投写型表示装置の動作について説明する。
まず、光波のコヒーレンスについて簡単に説明する。一般にコヒーレンスは位相・振幅に一定の関係がある波とされているが、初期位相、周波数(スペクトル)、波数(ベクトル量のため方向を示す)のひとまとめ(モード)が似ている状態にあるとコヒーレンスが高いとされる。反対にこれらのモードがばらばらな状態にあるとコヒーレンスが低くなる。つまり位相が揃った光であったり、光の周波数が揃った光であったり、方向が揃った光であるとコヒーレンスが高くなる。例えば、レーザ光は初期位相が揃っていて、周波数幅が狭く(周波数が揃った光)、広がりの小さい(方向の揃った)光であるため、コヒーレンスが高い。反対に、白色光は初期位相がばらばらで、周波数幅が広く(例えば黒体放射スペクトルなど)、広がりも大きいため、コヒーレンスが低い(インコヒーレントな)光となる。
【0057】
ここで、方向がそろった光、偏光について考える。光は電磁波であり、直交する二方向の成分で表される。また、量子力学的には光はスピンの自由度を2つもっている。コヒーレンスは状態が同じであると高く、異なる状態にあると低くなることから、異なる偏光方向(異なるスピンの状態)を持つとコヒーレンスは低く、偏光方向がそろっていると(スピンの状態がそろっていると)コヒーレンスが高くなる。エネルギでいうと基底状態に落ちこんで縮退するとコヒーレンスが高く、縮退が解けるとコヒーレンスが低くなる。そこでコヒーレンスを低減させるにはそろっている偏光方向を様々な向きにして、混ぜればよい。
【0058】
光源は無偏光であることが好ましいが、そのようなことは難しく、現実には多からず偏光を持つことが予想される。そこで、変調光源20に偏光依存性が残っている場合を考える。合成光学系21で変調光源20を混合する際に、例えば半量の光を波長板を透過させることで偏光方向を例えば90度回転させ、その後残り半量の光と混合させると、光源毎の個体差は除いて半量の光の偏光方向は直交することから、平均化すると偏光が様々な向きで混ざることになる。つまり状態が異なる光をまぜることで、合成された照明光束のコヒーレンスを低減することができる。
【0059】
ここで、複屈折層120a〜120cは、複屈折の光学軸の方向がそろっている波長板、たとえば1/4波長板などでもよいが、単純に押し出し成形にて作られた薄いシート状の樹脂、例えばPET(PolyEthylene Terephthalate)でもよい。押し出し成形では樹脂をロールにて押しつぶして薄く引き延ばすが、この際に樹脂(高分子)の分子配列が空間的に対称で無い場合、応力によりある方向に並びやすくなる。この方向により光の位相がずれて偏光方向が変えられるが、単純に押し出し成形にて作られた薄いシート状の樹脂の場合、光学軸の方向は残留応力に応じて面内でバラバラな方向を向いている。つまり特定の位相差を与えるように設計された波長板などをわざわざ用いなくても、薄いシート状の(押し出し成形などで残留応力の残った)樹脂を用いるだけでコヒーレンスを低減させることができる。
なお、同じシート状の樹脂でもTAC(TriAcetylCellulose)フィルムは押し出し成形で作られることがないため、上記のような効果は有しない。
【0060】
照明光束のコヒーレンスが低減すると、被照面であるライトバルブ22上の光束のコヒーレンスも低減する。光束は最終的に表示面26まで光学系を伝搬するため、厳密に言うと光学系と照明光束の関係でコヒーレンスが増減するが、元のコヒーレンスが低減するのであれば、表示面26に配置されるスクリーンを照明する光束のコヒーレンスも低減しやすいことになる。以上のことから、スクリーン上で発生するスペックルノイズが減少する。この方法では光路の途中に回折格子や拡散層を用いないため、拡散による波長依存性も小さく(色温度も高く)、解像力も高い画像表示が可能となる。なお、実施の形態5は、上記の実施の形態1〜4と組み合わせても良いことは言うまでもない。
【0061】
以上説明したように、実施の形態5の投写型表示装置によれば、少なくとも赤、緑、青色光をそれぞれ放射する複数の変調光源と、複数の変調光源からの光の偏光方向を変化させる複屈折層と、複屈折層を介して複数の変調光源からの光を受け取ることにより、複数の変調光源からの光の位相をずらして合成する合成光学系と、合成光学系で合成された複数の変調光源からの光を映像信号に基づき変調するライトバルブと、ライトバルブが作る画像を所定の倍率で投影して表示面まで投影する投写光学系とを備えたので、スペックルノイズを効率良く低減することができる。
【0062】
また、実施の形態5の投写型表示装置によれば、実施の形態1〜4の投写型表示装置において、複数の変調光源からの光の偏光方向を変化させる複屈折層を設け、合成光学系は、複屈折層を介して複数の変調光源からの光を受け取ることにより、複数の変調光源からの光の位相をずらして合成するようにしたので、スペックルノイズをさらに効率良く低減することができる。
【0063】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0064】
10,10a〜10c 均一化要素、20,20a〜20i 変調光源、21,21a〜21c 合成光学系、22,22a〜22c ライトバルブ、23 中間像、24 前段投写光学系、25 角度変換手段、26 表示面、27 後段投写光学系、28 空間透過率変換手段、29 制御装置、30 外部電源、31 外部信号、100,100a 投写型表示装置、110 投写光学系、111 照明光学系、112 光源モジュール、113 画像光、120a〜120c 複屈折層、200 観測者、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも赤、緑、青色光をそれぞれ放射する複数の変調光源と、
前記複数の変調光源からの光を合成する合成光学系と、
前記合成光学系で合成された前記複数の変調光源からの光を映像信号に基づき変調するライトバルブと、
前記ライトバルブが作る画像を所定の倍率で投影して中間像を形成する前段投写光学系と、
前記前段投写光学系によって形成される中間像の位置に配置される角度変換手段と、
前記中間像からの光を所定の倍率で表示面まで投影する後段投写光学系と、
前記後段投写光学系の瞳位置またはその前後の空間に設置された空間透過率変換手段とを備え、
前記後段投写光学系のF値は前記前段投写光学系のF値より小さく、
前記角度変換手段は、表示面と共役の関係にあり、かつ、前記前段投写光学系から出射した光に角度の広がりを与えるよう設定されると共に、前記空間透過率変換手段の光の透過率分布が光軸中心から外側に向かって大きくなるよう設定されたことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項2】
空間透過率変換手段は、後段投写光学系の瞳位置またはその前後の空間の設置に代えて、前段投写光学系の瞳位置またはその前後の空間に設置されたこと特徴とする請求項1記載の投写型表示装置。
【請求項3】
少なくとも赤、緑、青色光をそれぞれ放射する複数の変調光源と、
前記複数の変調光源からの光を合成する合成光学系と、
前記合成光学系で合成された前記複数の変調光源からの光を映像信号に基づき変調するライトバルブと、
前記ライトバルブが作る画像を所定の倍率で投影して中間像を形成する前段投写光学系と、
前記前段投写光学系によって形成される中間像の位置に配置される角度変換手段と、
前記中間像からの光を所定の倍率で表示面まで投影する後段投写光学系とを備え、
前記後段投写光学系のF値は前記前段投写光学系のF値より小さく、
前記角度変換手段は、表示面と共役の関係にあり、かつ、前記前段投写光学系から出射した光に角度の広がりを与えるよう設定されると共に、前記ライトバルブに入射する光の配光分布を、角度に対して中心強度が小さく周辺強度が大きくなるようにしたことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項4】
ライトバルブに入射する光の配光分布を、角度に対して中心強度が小さく周辺強度が大きくなるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の投写型表示装置。
【請求項5】
少なくとも赤、緑、青色光をそれぞれ放射する複数の変調光源と、
複数の変調光源からの光の偏光方向を変化させる複屈折層と、
前記複屈折層を介して前記複数の変調光源からの光を受け取ることにより、当該複数の変調光源からの光の位相をずらして合成する合成光学系と、
前記合成光学系で合成された前記複数の変調光源からの光を映像信号に基づき変調するライトバルブと、
前記ライトバルブが作る画像を所定の倍率で投影して表示面まで投影する投写光学系とを備えたことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項6】
複数の変調光源からの光の偏光方向を変化させる複屈折層を設け、合成光学系は、前記複屈折層を介して前記複数の変調光源からの光を受け取ることにより、当該複数の変調光源からの光の位相をずらして合成することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の投写型表示装置。
【請求項7】
少なくとも赤、緑、青色光をそれぞれ放射する複数の変調光源と、
前記複数の変調光源からの光を合成する合成光学系と、
前記合成光学系で合成された前記複数の変調光源からの光を映像信号に基づき変調するライトバルブと、
前記ライトバルブが作る画像を所定の倍率で投影して中間像を形成する前段投写光学系と、
前記前段投写光学系によって形成される中間像の位置に配置される角度変換手段と、
前記中間像からの光を所定の倍率で表示面まで投影する後段投写光学系と、
前記後段投写光学系の瞳位置またはその前後の空間に設置された空間透過率変換手段とを備えた投写型表示装置の画像表示方法であって、
前記後段投写光学系のF値を前記前段投写光学系のF値より小さくし、かつ、前記角度変換手段を表示面と共役の関係とすると共に、前記角度変換手段は、前記前段投写光学系から出射した光に角度の広がりを与え、かつ、前記空間透過率変換手段は、光の透過率分布が光軸中心から外側に向かって大きくなるよう設定されていることを特徴とする画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−101173(P2013−101173A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243480(P2011−243480)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】