説明

投写型表示装置

【課題】簡素な構成にて、吸気口からの電磁波の漏れを効果的に抑制することが可能な投写型表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】プロジェクタは、本体キャビネット10と、本体キャビネット10に配され、電磁波を遮蔽するシールド板13、14と、本体キャビネット10に設けられた吸気口127と、吸気口127から取り込まれた空気から不要物を除去するフィルタユニット90とを備える。ここで、フィルタユニット90は、金属製の第1フィルタ91を含む。フィルタユニット90が本体キャビネット10に装着されると、金属製の第1フィルタ91とシールド板13、14とが電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調素子によって変調された光を被投写面に拡大投写する投写型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投写型表示装置(以下、「プロジェクタ」という)では、液晶パネルなどの光変調素子よって変調された光が、投写レンズによって被投写面に投写される。かかるプロジェクタでは、電源ユニットや光源において発熱が生じる。このため、プロジェクタでは、内部で発生した熱を外部に放出するための構成が用いられる(たとえば、特許文献1参照)。本体キャビネットには、外部の空気を取り込むための吸気口と、内部の空気を排出するための排気口が設けられる。吸気口から取り込まれた空気は、発熱部品の周囲を通った後、排気口から排出される。これにより、本体キャビネット内部の熱が取り除かれる。
【0003】
また、プロジェクタでは、本体キャビネットの内部で発生した電磁波を遮蔽するためのシールド部材が配される。内部で発生した電磁波は、上記吸気口や排気口から外部に放出され易い。このため、シールド部材は、吸気口や排気口にも配されるのが望ましい(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−156748号公報
【特許文献2】特開2009−054643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、吸気口には、通常、取り込まれた空気から不要物を除去するためのフィルタ装置が装着される。このため、吸気口にシールド部材を簡単に配置することはできない。吸気口は、本来、空気を取り込むためのものである。このため、吸気口にシールド部材を配する場合には、空気の流れを阻害しないように、開口等の通風手段が形成される。しかし、このように開口が形成されると、開口から電磁波が外部に漏れ易くなり、シールド効果が低下する。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、簡素な構成にて、吸気口からの電磁波の漏れを効果的に抑制することが可能な投写型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の投写型表示装置は、本体キャビネットと、前記本体キャビネットに配され、電磁波を遮蔽するシールド部材と、前記本体キャビネットに設けられた吸気口と、前記吸気口から取り込まれた空気から不要物を除去するフィルタ装置とを備える。ここで、前記フィルタ装置は、金属製のフィルタを含む。前記フィルタ装置が前記本体キャビネットに装着されると、前記金属製のフィルタと前記シールド部材とが電気的に接続される。たとえば、前記シールド部材に配されるとともに、前記フィルタ装置が前記本体キャビネットに装着されると前記金属製のフィルタと接触する接触部が設けられている。
【0008】
本発明の投写型表示装置によれば、金属製のフィルタがシールド部材として機能するため、吸気口における電磁波のシールド効果を、極めて簡素な構成により実現することがで
きる。また、金属製のフィルタは、目が細かいため、シールド部材として共用されることにより、電磁波が漏れにくく、優れたシールド効果を発揮し得る。このように、本発明の投写型表示装置によれば、簡素な構成にて、吸気口からの電磁波の漏れを効果的に抑制することができる。
【0009】
本発明に係る投写型表示装置において、前記シールド部材は、前記本体キャビネットの上面および底面にそれぞれ設けられる第1のシールド部材および第2のシールド部材を含み得る。この場合、第1のシールド部材および第2のシールド部材に、それぞれ、前記接触部が設けられる。
【0010】
この構成によれば、本体キャビネットの内部が、上面および底面と、前記金属製のフィルタが配された側面とによって、シールド部材により囲まれるため、電磁波の漏れを一層効果的に抑制することができる。
【0011】
本発明に係る投写型表示装置において、前記フィルタ装置は、目の粗さが異なる複数のフィルタを含み、外側のフィルタほど目が粗くなるような構成とされ得る。この場合、前記複数のフィルタのうち、最も外側のフィルタが前記金属製のフィルタとされ得る。
【0012】
この構成によれば、複数のフィルタにより大きさの異なる不要物を段階的に除去することができる。また、最も外側のフィルタが前記金属製のフィルタとされると、金属製のフィルタを簡素なものにすることができ、金属製のフィルタを容易に形成することができる。
【0013】
本発明の投写型表示装置において、前記フィルタ装置は、空気の流れる方向に並べられた複数のフィルタを含み、隣接する2つの前記フィルタの間に隙間が形成された構成とされ得る。
【0014】
この構成によれば、隙間を空気が通り得るため、何れかのフィルタが部分的に目詰まりを起こしても、空気を次のフィルタへと円滑に導くことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のとおり、本発明によれば、簡素な構成にて、吸気口からの電磁波の漏れを効果的に抑制することが可能な投写型表示装置を提供することができる。
【0016】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態に係るプロジェクタの外観構成を示す斜視図である。
【図2】実施の形態に係るプロジェクタの内部構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態に係る光学エンジンおよび投写レンズユニットの構成を示す図である。
【図4】実施の形態に係る後面カバーが取り外された状態と、さらにフィルタユニットが取り外された状態とを示すプロジェクタの斜視図である。
【図5】実施の形態に係る上部キャビネットを裏側から見た斜視図である。
【図6】実施の形態に係るフィルタユニットの構成を示す図である。
【図7】実施の形態に係る吸気口部にフィルタユニットが装着された状態を示す要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
図1は、プロジェクタの外観構成を示す斜視図である。図1(a)は、前方から見たプロジェクタの斜視図であり、図1(b)は、後方から見たプロジェクタの斜視図である。
【0020】
図1を参照して、プロジェクタは、本体キャビネット10を備えている。本体キャビネット10は、下部キャビネット11と、下部キャビネット11に上方から被せられる上部キャビネット12により構成されている。
【0021】
下部キャビネット11は、上面が開放された底の浅い箱状に形成されている。下部キャビネット11は、その前面11Fが左右の側面11L、11Rおよび後面11Bよりも高くなるように形成されている。左右の側面11L、11Rは、前端部分で緩やかに高くなり、前面11Fにつながっている。
【0022】
下部キャビネット11の前面11Fには、吸気口111が形成されている。吸気口111は、多数のスリット状の孔によって構成されている。また、下部キャビネット11の前面11Fには、出音口112が形成されている。出音口112からは、投写時に映像に対応する音声が出力される。
【0023】
上部キャビネット12は下面が開放された箱状に形成されている。上部キャビネット12の前部は、左右全体に亘って緩やかに上方に反っており、その前面12Fが、わずかに斜め上方を向いている。上部キャビネット12の前面12Fは、横方向から見て、緩やかに湾曲しているとともに、下部キャビネット11の前面11Fよりも斜め上方に突出している。
【0024】
上部キャビネット12の前面12Fには、中央よりも左側面側に寄った位置に、四角形状の投写口121が形成されている。投写口121の奥には、投写レンズユニット30の前端部分のレンズ311が収容される収容部122が形成されている。
【0025】
上部キャビネット12の上面12Uには、インジケータ部123と操作部124が設けられている。インジケータ部123には、複数のLEDが配されている。ユーザは、各LEDの点灯状態によって、プロジェクタが運転中であるかスタンバイ状態であるかを確認することができる。また、各種のエラー状態を確認することができる。操作部124には、複数の操作キーが配されている。
【0026】
上部キャビネット12の左側面12Lには、AV端子部125が設けられており、各種AV端子が外部に臨んでいる。AV端子部125を通じて、プロジェクタにAV(Audio Visual)信号が入出力される。
【0027】
上部キャビネット12の後面12Bは、着脱可能な後面カバー126によって構成されている。後面カバー126には、吸気口127が設けられている。吸気口127は、多数のスリット状の孔によって構成されている。また、上部キャビネット12の右側面12Rには、排気口128が設けられている。排気口128は、多数のスリット状の孔によって構成されている。吸気口127や下部キャビネット11の吸気口111から本体キャビネット10内に取り込まれた外気は、液晶パネルや光源ランプなど、本体キャビネット10内の発熱部品を冷却した後に排気口128から排出される。
【0028】
図2は、プロジェクタ内部構成を示す斜視図である。
【0029】
図2に示すように、下部キャビネット11には、光学エンジン20、投写レンズユニット30、メイン電源ユニット40、サブ電源ユニット50、冷却ユニット60、スピーカー70および排気ファンユニット80が配されている。なお、下部キャビネット11には、この他、制御回路ユニットが配されているが、同図では、図示省略されている。
【0030】
光学エンジン20は、光源ランプを有する光源部21と、光源部21からの光を変調して映像光を生成する光学系22とを備えており、下部キャビネット11の中央よりやや後ろ側に配されている。投写レンズユニット30は、光学エンジン20の光学系22の前方であって、下部キャビネット11の中央よりやや左側面寄りに配されている。投写レンズユニット30は、レンズホルダ31を介して下部キャビネット11に固定されている。
【0031】
図3は、光学エンジン20および投写レンズユニット30の構成を示す図である。
【0032】
光源ランプ201から出射された白色光は、コンデンサレンズ202、フライアイインテグレータ203、PBSアレイ204を通過する。フライアイインテグレータ203は、液晶パネル(後述する)に照射される各色光の光量分布を均一化させ、PBSアレイ204は、ダイクロイックミラー206に向かう光の偏光方向を一方向に揃える。
【0033】
PBSアレイ204を通過した光は、コンデンサレンズ205を通過してダイクロイックミラー206に入射する。
【0034】
ダイクロイックミラー206は、入射した光のうち、青色波長帯の光(以下、「B光」という)のみを反射し、緑色波長帯の光(以下、「G光」という)と赤色波長帯の光(以下、「R光」という)を透過する。
【0035】
ダイクロイックミラー206により反射されたB光は、コンデンサレンズ205、207によるレンズ作用と反射ミラー208による反射によって、適正な照射状態にて青色用の液晶パネル209に照射される。液晶パネル209は、青色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてB光を変調する。なお、液晶パネル209の入射側には1枚の入射側偏光板210が配されており、入射側偏光板210を介して液晶パネル209にB光が照射される。また、液晶パネル209の出射側には2枚の出射側偏光板211が配されており、液晶パネル209から出射されたB光が出射側偏光板211に入射する。
【0036】
ダイクロイックミラー206を透過したG光およびR光は、ダイクロイックミラー212に入射する。ダイクロイックミラー212は、G光を反射するとともにR光を透過する。
【0037】
ダイクロイックミラー212により反射されたG光は、コンデンサレンズ205、213によるレンズ作用によって、適正な照射状態にて緑色用の液晶パネル214に照射される。液晶パネル214は、緑色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてG光を変調する。なお、液晶パネル214の入射側には1枚の入射側偏光板215が配されており、入射側偏光板215を介して液晶パネル214にG光が照射される。また、液晶パネル214の出射側には2枚の出射側偏光板216が配されており、液晶パネル214から出射されたG光が出射側偏光板216に入射する。
【0038】
ダイクロイックミラー212を透過したR光は、コンデンサレンズ205、217およびリレーレンズ218、219によるレンズ作用と反射ミラー220、221による反射によって、適正な照射状態にて赤色用の液晶パネル222に照射される。液晶パネル222は、赤色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてR光を変調する。なお、液晶パネル222の入射側には1枚の入射側偏光板223が配されており、入射側偏光
板223を介して液晶パネル222にR光が照射される。また、液晶パネル222の出射側には1枚の出射側偏光板224が配されており、液晶パネル222から出射されたR光が出射側偏光板224に入射する。
【0039】
液晶パネル209、214、222によって変調されたB光、G光、R光は、出射側偏光板211、216、224を通過してダイクロイックプリズム225に入射する。ダイクロイックプリズム225は、B光、G光およびR光のうち、B光とR光を反射するとともにG光を透過し、これにより、B光、G光およびR光を色合成する。こうして、色合成された映像光が、ダイクロイックプリズム225から投写レンズユニット3に向けて出射される。
【0040】
投写レンズユニット30は、複数のレンズを備えており、入射した映像光を拡大してスクリーンに投写する。投写レンズユニット30は、短焦点タイプのレンズであり、前端部に大きなレンズ311を有する。映像光は、レンズ311からやや斜め上方に向けて出射される。
【0041】
また、投写レンズユニット30には、フォーカスリング312が設けられている。フォーカスリング312には、フォーカスレバー313が形成されている。フォーカスレバー313が操作されると、フォーカスリング312が回動し、これに伴って、投写レンズユニット30内部のフォーカスレンズ(図示せず)が移動する。こうして、フォーカスレバー313が操作されることにより、投写画像のフォーカスが調整される。
【0042】
図2に戻り、投写レンズユニット30の右方には、メイン電源ユニット40が配されており、左方には、サブ電源ユニット50が配されている。メイン電源ユニット40は、ハウジング401内に電源回路を備えており、プロジェクタの各電装部品に電源の供給を行う。ハウジング401には、投写レンズユニット30側の側面に、多数の孔からなる通気口402が形成されている。また、反対側の側面にも図示しない通気口が形成されている。
【0043】
サブ電源ユニット50は、ノイズフィルタや平滑回路などを備えており、入力された商用交流電源からノイズを除去してメイン電源ユニット40に供給する。
【0044】
光学エンジン20の後方には、冷却ユニット60が配されている。冷却ユニット60は吸気ファン(図示せず)を備えている。下部キャビネット11の後端部には、冷却ユニット60の吸気口部601が配されている。冷却ユニット60は、吸気口部601により本体キャビネット10の後方から取り込んだ外気を、液晶パネル209、214、222など、光学エンジン20の主要な発熱部品に供給して、これら発熱部品を冷却する。
【0045】
メイン電源ユニット40の前方には、スピーカー70が配されている。スピーカー70から出力された音声は、出音口112より外部に放出される。
【0046】
メイン電源ユニット40の右方であって、下部キャビネット11の右側端部には、排気ファンユニット80が配されている。排気ファンユニット80は、第1排気ファン801と、第2排気ファン802と、これらの排気ファン801、802を下部キャビネット11に固定するためのファンホルダ803とにより構成されている。
【0047】
第1排気ファン801は、その吸気面が、本体キャビネット10の左側面よりもやや斜め後方に向いている。第1排気ファン801は、光学エンジン20内の発熱部品(液晶パネル209、214、222や光源ランプ201)を冷却することにより温まった空気を外部に排出する。また、吸気口111から取り込まれ、投写レンズユニット30を冷却す
ることにより温まった空気を外部に排出する。
【0048】
第2排気ファン802は、その吸気面が、メイン電源ユニット40に向いている。第2排気ファン802は、メイン電源ユニット40を冷却することにより温まった空気を外部に排出する。
【0049】
図4(a)は、後面カバー126が取り外された状態を示すプロジェクタの斜視図である。
【0050】
図4(a)に示すように、冷却ユニット60の吸気口部601には、着脱可能なフィルタユニット90が配される。フィルタユニット90は、後述するように、目の粗さが異なる3つのフィルタを有し、吸気口127から取り込まれる外気中の塵や埃を、その大きさに応じて、それぞれのフィルタにて段階的に除去する。
【0051】
図4(b)は、後面カバー126およびフィルタユニット90が取り外された状態を示すプロジェクタの斜視図である。
【0052】
図4(b)に示すように、吸気口部601は、フィルタユニット90を収容する収容部602を有している。収容部602の後壁には、冷却ユニット60内部につながる吸気口603が形成されている。吸気口603には、格子部603aが形成されている。フィルタユニット90によって埃等が除去された外気は、吸気口603から冷却ユニット60の内部へ取り込まれる。
【0053】
図5は、上部キャビネット12を裏側から見た斜視図である。
【0054】
図5に示すように、上部キャビネット12の上面12Uの裏側には、金属製のシールド板13が装着されている。シールド板13は、商用電源の電源コードに含まれるアース線に接続されている。電源コードが商用電源に接続されると、シールド板13がアース線を介して接地される。シールド板13は、本体キャビネット10内の電子部品から発生し、外部へ漏れようとする電磁波を遮蔽する。また、外部からの電磁波が本体キャビネット10へ侵入するのを遮蔽する。
【0055】
シールド板13の後端部には、断面台形状の2つの突出部131が形成されている。図4(b)に示すように、上部キャビネット12と下部キャビネット11とが組み立てられた状態において、2つの突出部131は、収容部602内に臨んでいる(図7参照)。
【0056】
また、下部キャビネット11の内底面にも、上部キャビネットと同様に、シールド板14(図7参照)が装着されている。シールド板14も、商用電源の電源コードに含まれるアース線に接続されており、本体キャビネット10内から外部へ漏れようとする電磁波や外部から本体キャビネット10内へ侵入しようとする電磁波を遮蔽する。シールド板14の後端部にも、断面台形上の2つの突出部141が形成されており、図4(b)に示すように、これら接続部141も収容部602内に臨んでいる。
【0057】
図6は、フィルタユニット90の構成を示す図である。図6(a)は、フィルタの分解斜視図であり、図6(b)は、第1フィルタ91とフィルタケース92とが一体化された状態を示す斜視図である。なお、図6(a)には、第1フィルタ91のパンチ孔911aが一部のみ描かれており、図6(b)では、パンチ孔911aが図示省略されている。
【0058】
図6を参照して、フィルタユニット90は、第1フィルタ91と、フィルタケース92と、第2フィルタ93と、第1支持部材94と、第3フィルタ95と、第2支持部材96
とによって構成されている。
【0059】
第1フィルタ91は、鉄板など金属製の板を加工することにより作られており、長方形状の前面板911と、前面板911の上端および下端から、それぞれ後方へ延びる上面板912および下面板913とによって構成されている。
【0060】
前面板911には、ほぼ全面に亘って小さなパンチ孔911aが多数形成されている。たとえば、パンチ孔911aの大きさは、1mmないし2mm程度とされている。また、上面板912および下面板913の後端には、それぞれ、6つの差込部914が形成されている。第1フィルタ91は、3つのフィルタの中で最も目が粗くなるよう構成されている。
【0061】
フィルタケース92は、前面および後面が開口する長方形状の容器であり、前面側の開口には、縦方向に延びる複数のリブ921が格子状に形成されている。各リブ921は、上端部と中央部との間が後方から切り欠かれており、中央部と下端部との間も後方から切り欠かれている。即ち、各リブ921は、E字形状を有している。
【0062】
フィルタケース92の上面および下面には、それぞれ、第1フィルタ91の差込部914が差し込まれる6つのスリット孔922が形成されている。また、フィルタケース92の上面および下面には、それぞれ、3つの第1係合孔923および3つの第2係合孔924が形成されている。さらに、フィルタケース92の前面には、左右両端部に持ち手部925が形成されている。ユーザは、フィルタユニット92を収容部601に装着する際、持ち手部925を持つ。なお、図6(a)には、フィルタケース92の上面側のスリット孔922、第1係合孔923および第2係合孔924のみが図示されている。
【0063】
図6(b)に示すように、第1フィルタ91はフィルタケース92の前面に固定される。これにより、第1フィルタ91とフィルタケース92とが一体化される。この際、第1フィルタ91の差込部914がフィルタケース92のスリット孔922に差し込まれ、前方へ折り折り返される。こうして、第1フィルタ91が固定されたフィルタケース92内に、後方から第2フィルタ93、第1支持部材94、第3フィルタ95および第2支持部材が収容される。
【0064】
第2フィルタ93および第3フィルタ95は、ともに長方形状を有するウレタン製のフィルタである。第2フィルタ93は、第1フィルタ91よりも目が細かくされており、第3フィルタ95は、第2フィルタ93よりも目が細かくされている。
【0065】
第1支持部材94は、一定間隔で配列された、縦方向に延びる複数のリブ941を、上面板942と下面板943とで連結した梯子形状を有する。各リブ941は、上端部と中央部との間が後方から切り欠かれており、中央部と下端部との間も後方から切り欠かれている。即ち、各リブ941は、E字形状を有している。上面板942および下面板943には、それぞれ、3つの爪部944が形成されている。第1支持部材94がフィルタケース92に収容されると、各爪部944が対応する第1係合孔923に係合する。これにより、第1支持部材94がフィルタケース92内に保持される。
【0066】
第2支持部材96は、第1支持部材94と同じ形状であり、一定間隔で配列された、縦方向に延びる複数のリブ961を、上面板962と下面板963とで連結した梯子形状を有する。各リブ961も、リブ941と同様、E字形状を有している。上面板962および下面板963にも、それぞれ、3つの爪部964が形成されている。第2支持部材96がフィルタケース92に収容されると、各爪部964が対応する第2係合孔924に係合する。これにより、第2支持部材96がフィルタケース92内に保持される。
【0067】
図7は、吸気口部601にフィルタユニット90が装着された状態を示す要部の断面図である。
【0068】
第2フィルタ93は、フィルタケース92の各リブ921の後端と第1支持部材941の前端とで挟まれることにより、フィルタケース92内に保持されている。第2フィルタ93は、破線で示すように、リブ921とリブ941との間隔よりも大きな厚みを有するが、これらリブ921、941に対応する部分は、これらリブ921、941によって押しつつぶされる。
【0069】
第3フィルタ95は、第1支持部材94の各リブ941の後端と第2支持部材961の前端とで挟まれることにより、フィルタケース92内に保持されている。第3フィルタ94は、破線で示すように、リブ941とリブ961との間隔よりも大きな厚みを有するが、これらリブ941、961に対応する部分は、これらリブ941、961によって押しつつぶされる。
【0070】
冷却ユニット60内の吸気ファンが駆動されると、吸気口部601に外気が取り込まれる。取り込まれた外気は、まず、第1フィルタ91を通過する。外気中に含まれる第1フィルタ91の目(パンチ孔911a)より大きな埃等は、ここで除去される。第1フィルタ91を通過した外気は、第2フィルタ93、第2フィルタ95を順次通過し、これらフィルタ93、95の目より大きな埃等が、これらフィルタ93、95により除去される。こうして、3つのフィルタ91、93、95により埃等が除去された外気は、吸気口603から冷却ユニット60内に取り込まれる。
【0071】
ここで、第1フィルタ91と第2フィルタ93の間には、フィルタケース92の各リブ921によって、ある程度の隙間S1が確保されている。また、第2フィルタ93と第3フィルタ95の間には、第1支持部材94の各リブ941によって、ある程度の隙間S2が確保されている。
【0072】
前段のフィルタと後段のフィルタが密着している場合、前段のフィルタが部分的に目詰まりを起こすと、目詰まりを起こした部分の真後ろとなる後段のフィルタの部分には空気が流れず、目詰まりを起こしていなくても、その部分では埃等が除去できない。
【0073】
本実施の形態では、各フィルタ91、93、95の間に、隙間S1、S2が形成されているため、前段のフィルタの一部が目詰まりを起こしても、目詰まりした部分の真後ろとなる後段のフィルタの部分にも十分に空気が流れ、その部分で埃等の除去を行うことができる。よって、後段のフィルタを十分に機能させることができる。
【0074】
また、各リブ921、941には切り欠きが設けられ、これにより、第2フィルタ93および第3フィルタ95の前面へのリブ921、941の接触部分が少なくなるようにされている。これにより、リブ921、941で覆われることによって機能できなくなるフィルタ部分を少なくでき、第2フィルタ93、第3フィルタ95の機能低下を抑制することができる。
【0075】
さて、吸気口部601にフィルタユニット90が装着されると、第1フィルタ91の上面板912が、シールド板13の2つの突出部131に接触する。また、下面板913が、シールド板14の2つの突出部141に接触する。これにより、第1フィルタ91が、シールド板13、14と電気的に接続され、シールド板13、14を介して接地される。よって、本体キャビネット10後面側(吸気口127の領域)を通じて外部へ漏れようとする、あるいは外部から侵入しようとする電磁波が、第1フィルタ91により遮蔽される

【0076】
以上、本実施の形態によれば、第1フィルタ91を、金属製のフィルタとするとともに、本体キャビネット10内の他のシールド部材(シールド板13、14)に接触させるようにしたので、吸気口部601に、別途、シールド部材を配することなく、本体キャビネット10の後面側を通じて漏出または侵入しようとする電磁波を遮蔽することができる。よって、EMC(Electro-Magnetic Compatibility)の対策のために費やすコストの削減や部品点数の削減を図ることができる。
【0077】
また、第1フィルタ91は、大きな埃等を除去するための目の細かさを持っている。よって、第1フィルタ91を大きな埃の除去とともにシールド部材として共用することにより、簡易な構成にて高いシールド効果を得ることができる。
【0078】
また、本実施の形態では、外側ほど目の粗い複数のフィルタによりフィルタユニット90を構成するとともに、最も外側に配される第1フィルタ91を金属製のフィルタとしている。このため、フィルタの目をあまり細かくしなくてよく、フィルタ面に多数の孔(パンチ孔)を形成する構成など、金属製の第1フィルタ91を簡素な構成により実現することができる。よって、製造コストの低減を図ることができる。
【0079】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記実施の形態に以外に、種々の変更が可能である。
【0080】
たとえば、上記実施の形態では、フィルタユニット90が、金属製のフィルタ(第1フィルタ91)と他の2つのフィルタ(第2フィルタ93および第3フィルタ95)とにより構成されている。しかしこれに限らず、フィルタユニット90が金属製のフィルタと他の1つのフィルタとにより構成されてもよく、また、金属製のフィルタと他の3つ以上のフィルタとにより構成されてもよい。
【0081】
また、上記実施の形態では、第1フィルタ91が本体キャビネット10の上面側のシールド板13と底面側のシールド板14の双方に接触するよう構成されているが、どちらか一方のみに接触するような構成とされてもよい。ただし、上記実施の形態のように、第1フィルタを双方のシールド板13、14に接触させれば、より強固に電磁波を遮蔽することができる。また、本体キャビネット10の上面側あるいは下面側以外にシールド部材が配されている場合には、このシールド部材に第1フィルタ91が接触するような構成とされてもよい。
【0082】
さらに、上記実施の形態では、前面板911に多数のパンチ孔911aを形成することにより第1フィルタ91のフィルタ面が構成されている。しかし、金属製のフィルタの構成については、上記構成に限られない。たとえば、第1フィルタ91を、フィルタ面が金網により構成された金属製のフィルタとすることもできる。また、他のフィルタ(第2フィルタ93や第3フィルタ95)も、ウレタン製のフィルタに限られるもではなく、たとえば、不織布からなるフィルタであってもよい。
【0083】
また、上記実施の形態では、本体キャビネット10の後面側に、吸気口127とそれに対応するフィルタユニット90が配されているが、これに限らず、たとえば、本体キャビネット10の左右どちらかの側面に吸気口127およびフィルタユニット90が配されもよい。
【0084】
さらに、上記実施の形態では、シールド板13、14に2つの突出部131、141が
設けられているが、突出部131、141の数は2つに限られない。第1フィルタ91がシールド板13、14に適正に接触されるのであれば、突出部131、141は1つでもよい。ただし、より十分に第1フィルタ91をシールド板13、14に接触させるためには、突出部131、141が複数個設けられることが望ましい。
【0085】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0086】
10 本体キャビネット
127 吸気口
13 シールド板(シールド部材、第1のシールド部材)
131 突出部(接触部)
14 シールド板(シールド部材、第2のシールド部材)
141 突出部(接触部)
90 フィルタユニット(フィルタ装置)
91 第1フィルタ(金属製のフィルタ)
93 第2フィルタ
95 第3フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投写型表示装置において、
本体キャビネットと、
前記本体キャビネットに配され、電磁波を遮蔽するシールド部材と、
前記本体キャビネットに設けられた吸気口と、
前記吸気口から取り込まれた空気から不要物を除去するフィルタ装置と、を備え、
前記フィルタ装置は、金属製のフィルタを含み、
前記フィルタ装置が前記本体キャビネットに装着されると前記金属製のフィルタと前記シールド部材とが電気的に接続される、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投写型表示装置において、
前記シールド部材に配されるとともに、前記フィルタ装置が前記本体キャビネットに装着されると前記金属製のフィルタと接触する接触部が設けられている、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の投写型表示装置において、
前記シールド部材は、前記本体キャビネットの上面および底面にそれぞれ設けられる第1のシールド部材および第2のシールド部材を含み、
第1のシールド部材および第2のシールド部材に、それぞれ、前記接触部が設けられている、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の投写型表示装置において、
前記フィルタ装置は、目の粗さが異なる複数のフィルタを含み、外側のフィルタほど目が粗くなっている、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の投写型表示装置において、
前記複数のフィルタのうち、最も外側のフィルタを前記金属製のフィルタとした、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載の投写型表示装置において、
前記フィルタ装置は、空気の流れる方向に並べられた複数のフィルタを含み、
隣接する2つの前記フィルタの間に隙間が形成されている、
ことを特徴とする投写型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−154165(P2011−154165A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15209(P2010−15209)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】