説明

投写型表示装置

【課題】光変調素子に対する冷却効果を高めることができる投写型表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】プロジェクタは、変調すべき波長帯の光に対応して配された3つの液晶パネル209、214、222と、各液晶パネル209、214、222に対応する吹出口611、615、619を有し、外部から取り込んだ空気を各吹出口611、615、619から各液晶パネル209、214、222に吹き付ける冷却ユニット60と、各液晶パネル209、214、222を通った後の空気を、排気通路EWを通じて外部に排出する第1排気ファン701と、プロジェクタの各種駆動部を制御する回路基板801とを備える。ここで、回路基板801は、青色用の液晶パネル209の上方に重ならず、緑色用および赤色用の液晶パネル214、222の上方に重なるように配されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調素子によって変調された光を被投写面に拡大投写する投写型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投写型表示装置(以下、「プロジェクタ」という)では、液晶パネルなどの光変調素子よって変調された光が、投写レンズによって被投写面に投写される。いわゆる3板式のプロジェクタでは、赤色、緑色および青色の波長帯の光にそれぞれ対応する3つの光変調素子が配され、これら光変調素子によって変調された光が、ダイクロイックプリズムなどの光合成素子によって合成され、投写レンズへ入射される。
【0003】
かかるプロジェクタでは、光が変調される際に各光変調素子が発熱する。このため、プロジェクタでは、これら光変調素子を冷却するための構成が用いられる(特許文献1参照)。
【0004】
たとえば、本体キャビネットの底面と各光変調素子との間に、各光変調素子に対応する吹出口が配される。吸気ファンによって外部から取り込まれた空気が、各吹出口から、対応する光変調素子に吹き付けられる。その後、光変調素子から熱を奪って温まった空気は、排気ファンに取り込まれ、外部に排出される。光変調素子の近傍の空気の流れが良いと、光変調素子を効率的に冷却できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−257176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本体キャビネット内には、プロジェクタの各種駆動部品を制御するための回路基板が配される。このとき、プロジェクタ本体の小型化を図るため、平たい形状である回路基板は、他の構成部品の上方に比較的小さな隙間をもって重なるように配置される。よって、通常、3つの光変調素子の直ぐ上には、回路基板が存在する。
【0007】
しかしながら、このように光変調素子が回路基板によって覆われていると、回路基板が、吹出口から吹き出された空気の流れの障壁となって、空気の流れが悪くなる。このため、光変調素子の熱が効率的に取り除かれにくくなってしまう。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、光変調素子に対する冷却効果を高めることができる投写型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の投写型表示装置は、光変調素子と、外部から取り込んだ空気を吹出口から前記光変調素子に吹き付ける冷却部と、前記光変調素子を通った空気を外部に排出する排気部と、前記光変調素子に対して前記吹出口と反対側に配された回路基板とを備える。ここで、前記回路基板は、前記吹出口と前記光変調素子の並び方向から見て、前記光変調素子に重ならないようになっている。
【0010】
本発明の投写型表示装置によれば、回路基板が、吹出口から光変調素子に吹き付けられ
た空気の流れの障壁とならないため、光変調素子の熱を奪って温まった空気を、排気部へと円滑に流すことができる。これにより、光変調素子の熱を効率的に取り除くことができる。
【0011】
本発明の投写型表示装置では、複数の前記光変調素子と各光変調素子に対応する複数の前記吹出口が、前記並び方向に垂直な方向に配置された構成とされ得る。この場合、前記回路基板は、前記並び方向から見て、前記複数の光変調素子の少なくとも一つに重ならないようになっている。この構成によれば、回路基板が重ならない光変調素子を、効果的に冷却することができる。
【0012】
なお、前記複数の光変調素子が、赤色、緑色および青色の波長帯の光をそれぞれ変調する3つの光変調素子である場合、前記回路基板は、前記3つの光変調素子のうち、前記並び方向から見て、少なくとも青色の波長帯の光を変調する光変調素子に重ならないようになっているのが好ましい。こうすると、特に発熱しやすい青色波長帯用の光変調素子を効率的に冷却することができる。
【0013】
本発明の投写型表示装置において、前記回路基板は、前記並び方向から見て、前記複数の光変調素子のうち一つにのみ重ならないような構成とされ得る。こうすると、装置本体内において、回路基板が配置上の制約を受けにくいため、不所望な回路基板の配置による装置本体の大型化が抑制され得る。
【0014】
本発明の投写型表示装置において、前記回路基板が重ならない光変調素子が、前記複数の光変調素子から前記排気部へと向かう空気の流れの最も下流側に配置され得る。こうすると、最も下流側の光変調素子の近傍の空気の流れが良くなるため、この空気の流れに他の光変調素子に吹き付けられた空気が引き込まれ易くなる。このため、他の光変調素子の近傍の空気も排気部へと導かれ易くなり、結果、3つの光変調素子に対する冷却効果を総合的に高めることができる。
【0015】
この場合、前記排気部は、排気ファンと、前記複数の光変調素子と前記排気ファンとの間に設けられた排気風路とを備える構成とされ得る。このとき、前記回路基板が重ならない光変調素子が、前記排気風路を通って前記複数の光変調素子から前記排気ファンへと向かう空気の流れの最も下流側に位置するように、前記排気風路と前記排気ファンが配置される。このような構成とすれば、光変調素子に吹き付けられた空気を、排気風路を通じて、さらに円滑に外部へ排出することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のとおり、本発明によれば、光変調素子に対する冷却効果を高めることができる投写型表示装置を提供することができる。
【0017】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態に係るプロジェクタの外観構成を示す斜視図である。
【図2】実施の形態に係るプロジェクタの内部構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態に係る光学エンジンおよび投写レンズユニットの構成を示す図である。
【図4】実施の形態に係るプリズムユニットの構成を示す図である。
【図5】実施の形態に係る制御回路ユニットの周辺を拡大した平面図である。
【図6】実施の形態に係る冷却ユニットの構成を示す図である。
【図7】実施の形態に係る冷却ユニットの構成を示す図である。
【図8】実施の形態に係る液晶パネル、入射側偏光板および出射側偏光板を冷却した後の冷却空気の流れについて説明するための図である。
【図9】吹出口の上方に回路基板が存在する場合と存在しない場合の冷却空気の流れの違いについて説明するための図である。
【図10】回路基板の配置に関する変更例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、プロジェクタの外観構成を示す斜視図である。図1(a)は、前方から見たプロジェクタの斜視図であり、図1(b)は、後方から見たプロジェクタの斜視図である。
【0021】
図1を参照して、プロジェクタは、本体キャビネット10を備えている。本体キャビネット10は、下部キャビネット11と、下部キャビネット11に上方から被せられる上部キャビネット12により構成されている。
【0022】
下部キャビネット11は、上面が開放された底の浅い箱状に形成されている。下部キャビネット11は、その前面11Fが左右の側面11L、11Rおよび後面11Bよりも高くなるように形成されている。左右の側面11L、11Rは、前端部分で緩やかに高くなり、前面11Fにつながっている。
【0023】
下部キャビネット11の前面11Fには、吸気口111が形成されている。吸気口111は、多数のスリット状の孔によって構成されている。また、下部キャビネット11の前面11Fには、出音口112が形成されている。出音口112からは、投写時に映像に対応する音声が出力される。
【0024】
上部キャビネット12は下面が開放された箱状に形成されている。上部キャビネット12の前部は、左右全体に亘って緩やかに上方に反っており、その前面12Fが、わずかに斜め上方を向いている。上部キャビネット12の前面12Fは、横方向から見て、緩やかに湾曲しているとともに、下部キャビネット11の前面11Fよりも斜め上方に突出している。
【0025】
上部キャビネット12の前面12Fには、中央よりも左側面側に寄った位置に、四角形状の投写口121が形成されている。投写口121の奥には、投写レンズユニット30の前端部分のレンズ311が収容される収容部122が形成されている。
【0026】
上部キャビネット12の上面12Uには、インジケータ部123と操作部124が設けられている。インジケータ部123には、複数のLEDが配されている。ユーザは、各LEDの点灯状態によって、プロジェクタが運転中であるかスタンバイ状態であるかを確認することができる。また、各種のエラー状態を確認することができる。操作部124には、複数の操作キーが配されている。
【0027】
上部キャビネット12の左側面12Lには、AV端子部125が設けられており、各種AV端子が外部に臨んでいる。AV端子部125を通じて、プロジェクタにAV(Audio Visual)信号が入出力される。
【0028】
上部キャビネット12の後面12Bは、着脱可能な後面カバー126によって構成されている。後面カバー126には、吸気口127が設けられている。吸気口127は、多数
のスリット状の孔によって構成されている。また、上部キャビネット12の右側面12Rには、排気口128が設けられている。排気口128は、多数のスリット状の孔によって構成されている。吸気口127や下部キャビネット11の吸気口111から本体キャビネット10内に取り込まれた外気は、液晶パネルや光源ランプなど、本体キャビネット10内の発熱部品を冷却した後に排気口128から排出される。
【0029】
図2は、プロジェクタ内部構成を示す斜視図である。図2(a)は、上部キャビネット12および制御回路ユニット80が取り外された状態を示すプロジェクタの後方から見た斜視図である。また、図2(b)は、制御回路ユニット80が装着され、上部キャビネット12のみが取り外された状態を示すプロジェクタの後方から見た斜視図である。
【0030】
図2(a)を参照して、下部キャビネット11には、光学エンジン20、投写レンズユニット30、メイン電源ユニット40、サブ電源ユニット50、冷却ユニット60および排気ファンユニット70が配されている。
【0031】
光学エンジン20は、光源ランプを有する光源部21と、光源部21からの光を変調して映像光を生成する光学系22とを備えており、下部キャビネット11の中央よりやや後ろ側に配されている。光学系22は、光源部21から投写レンズユニット30に至るようにL字状を有するとともに、投写レンズユニット30側の端部に配されたプリズムユニット23を含む。投写レンズユニット30は、光学系22の前方であって、下部キャビネット11の中央よりやや左側面寄りに配されている。投写レンズユニット30は、レンズホルダ31を介して下部キャビネット11に固定されている。
【0032】
図3は、光学エンジン20および投写レンズユニット30の構成を示す図である。
【0033】
光源ランプ201から出射された白色光は、コンデンサレンズ202、フライアイインテグレータ203、PBSアレイ204を通過する。フライアイインテグレータ203は、液晶パネル(後述する)に照射される各色光の光量分布を均一化させ、PBSアレイ204は、ダイクロイックミラー206に向かう光の偏光方向を一方向に揃える。
【0034】
PBSアレイ204を通過した光は、コンデンサレンズ205を通過してダイクロイックミラー206に入射する。
【0035】
ダイクロイックミラー206は、入射した光のうち、青色波長帯の光(以下、「B光」という)のみを反射し、緑色波長帯の光(以下、「G光」という)と赤色波長帯の光(以下、「R光」という)を透過する。
【0036】
ダイクロイックミラー206により反射されたB光は、コンデンサレンズ205、207によるレンズ作用と反射ミラー208による反射によって、適正な照射状態にて青色用の液晶パネル209に照射される。液晶パネル209は、青色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてB光を変調する。なお、液晶パネル209の入射側には1枚の入射側偏光板210が配されており、入射側偏光板210を介して液晶パネル209にB光が照射される。また、液晶パネル209の出射側には2枚の出射側偏光板211が配されており、液晶パネル209から出射されたB光が出射側偏光板211に入射する。
【0037】
ダイクロイックミラー206を透過したG光およびR光は、ダイクロイックミラー212に入射する。ダイクロイックミラー212は、G光を反射するとともにR光を透過する。
【0038】
ダイクロイックミラー212により反射されたG光は、コンデンサレンズ205、21
3によるレンズ作用によって、適正な照射状態にて緑色用の液晶パネル214に照射される。液晶パネル214は、緑色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてG光を変調する。なお、液晶パネル214の入射側には1枚の入射側偏光板215が配されており、入射側偏光板215を介して液晶パネル214にG光が照射される。また、液晶パネル214の出射側には2枚の出射側偏光板216が配されており、液晶パネル214から出射されたG光が出射側偏光板216に入射する。
【0039】
ダイクロイックミラー212を透過したR光は、コンデンサレンズ205、217およびリレーレンズ218、219によるレンズ作用と反射ミラー220、221による反射によって、適正な照射状態にて赤色用の液晶パネル222に照射される。液晶パネル222は、赤色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてR光を変調する。なお、液晶パネル222の入射側には1枚の入射側偏光板223が配されており、入射側偏光板223を介して液晶パネル222にR光が照射される。また、液晶パネル222の出射側には1枚の出射側偏光板224が配されており、液晶パネル222から出射されたR光が出射側偏光板224に入射する。
【0040】
液晶パネル209、214、222によって変調されたB光、G光、R光は、出射側偏光板211、216、224を通過してダイクロイックプリズム225に入射する。ダイクロイックプリズム225は、B光、G光およびR光のうち、B光とR光を反射するとともにG光を透過し、これにより、B光、G光およびR光を色合成する。こうして、色合成された映像光が、ダイクロイックプリズム225から投写レンズユニット3に向けて出射される。
【0041】
投写レンズユニット30は、複数のレンズを備えており、入射した映像光を拡大してスクリーンに投写する。投写レンズユニット30は、短焦点タイプのレンズであり、前端部に大きなレンズ311を有する。映像光は、レンズ311からやや斜め上方に向けて出射される。
【0042】
また、投写レンズユニット30には、フォーカスリング312が設けられている。フォーカスリング312には、フォーカスレバー313が形成されている。フォーカスレバー313が操作されると、フォーカスリング312が回動し、これに伴って、投写レンズユニット30内部のフォーカスレンズ(図示せず)が移動する。こうして、フォーカスレバー313が操作されることにより、投写画像のフォーカスが調整される。
【0043】
図4は、プリズムユニット23の構成を示す図である。
【0044】
液晶パネル209、214、222、出射側偏光板211、216、224およびダイクロイックプリズム225は、プリズムホルダ226に組み付けられることによって、プリズムユニット23を構成している。
【0045】
液晶パネル209、214、222は、それぞれ、立方体形状のダイクロイックプリズム225の3つの側面に対向するように、ブラケット227、228、229を介してプリズムホルダ226に固定されている。液晶パネル209、214、222からは、それぞれ、各種の信号線が実装されたフレキシブルプリント基板209a、214a、222aが上方へ延びている。
【0046】
図2(a)に戻り、投写レンズユニット30の右方には、メイン電源ユニット40が配されており、左方には、サブ電源ユニット50が配されている。メイン電源ユニット40は、ハウジング401内に電源回路を備えており、プロジェクタの各電装部品に電源の供給を行う。ハウジング401には、投写レンズユニット30側の側面に、多数の孔からな
る通気口402が形成されている。また、反対側の側面にも図示しない通気口が形成されている。
【0047】
サブ電源ユニット50は、ノイズフィルタや平滑回路などを備えており、入力された商用交流電源からノイズを除去してメイン電源ユニット40に供給する。
【0048】
光学エンジン20の後方には、冷却ユニット60が配されている。冷却ユニット60は複数の吸気ファンを備えている。下部キャビネット11の後端部には、冷却ユニット60の吸気口部601が配されている。吸気口部601には、着脱可能なフィルタユニット90が配される。フィルタユニット90は、目の粗さが異なる複数のフィルタを有し、吸気口127から取り込まれる外気中の塵や埃を、その大きさに応じて、それぞれのフィルタにて段階的に除去する。
【0049】
冷却ユニット60は、本体キャビネット10の吸気口127から取り込んだ外気を、液晶パネル209、214、222など、光学エンジン20の主要な発熱部品に供給して、これら発熱部品を冷却する。冷却ユニット60の詳細な構成については、追って説明する。
【0050】
メイン電源ユニット40の右方であって、下部キャビネット11の右側端部には、排気ファンユニット70が配されている。排気ファンユニット70は、第1排気ファン701と、第2排気ファン702と、これらの排気ファン701、702を下部キャビネット11に固定するためのファンホルダ703とにより構成されている。
【0051】
第1排気ファン701は、その吸気面が、本体キャビネット10の左側面よりもやや斜め後方に向いている。第1排気ファン701は、光学エンジン20内の発熱部品(液晶パネル209、214、222や光源ランプ201)を冷却することにより温まった空気を外部に排出する。また、吸気口111から取り込まれ、投写レンズユニット30を冷却することにより温まった空気を外部に排出する。
【0052】
第2排気ファン702は、その吸気面が、メイン電源ユニット40に向いている。第2排気ファン702は、メイン電源ユニット40を冷却することにより温まった空気を外部に排出する。
【0053】
図中に破線で示すように、光学エンジン20と、その前方に配されたメイン電源ユニット40との間には、これら2つ部品の間隔を広く開けることにより、液晶パネル209の周辺から第1排気ファン701に向けて排気通路EWが形成されている。
【0054】
次に、図2(b)を参照して、下部キャビネット11の左側面側には、制御回路ユニット80が配される。制御回路ユニット80は、回路基板801と、回路基板801の左端部に装着されたAV端子基板802とにより構成されている。回路基板801は、前後が長手方向となる長方形状を有している。回路基板801には、液晶パネル209、214、222、光源ランプ201等の各種駆動部品を制御するための制御回路が配されている。回路基板801は、投写レンズユニット30、光学エンジン20および冷却ユニット60の上方に、これらと比較的小さな隙間をもって配されている。
【0055】
また、回路基板801には、液晶パネル214のフレキシブル基板214aを回路基板801の表側に取り出すための開口部803と、液晶パネル222のフレキシブル基板222aを回路基板801の表側に取り出すための開口部804とが形成されている。さらに、回路基板801には、3つのコネクタ805が配されている。回路基板801の表側に取り出されたフレキシブル基板214a、222aは、それぞれ、対応するコネクタ8
05に接続される。また、回路基板801の外側からの回路基板801の表側に取り出された液晶パネル209のフレキシブル基板209aも、対応するコネクタ805に接続される。
【0056】
AV端子基板802には、各種AV端子が装着されている。上述のように、上部キャビネット12が下部キャビネット11に装着されると、各種AV端子がAV端子部125において外部に臨む。
【0057】
図5は、制御回路ユニット80の周辺を拡大した平面図である。
【0058】
図5に示すように、制御回路ユニット80は、青色用の液晶パネル209よりも左側に配されている。即ち、回路基板801の右側端部801aは、青色用の液晶パネル209の少し左側に位置している。このため、上方から見て、3つの液晶パネル209、214、222のうち、赤色用の液晶パネル222と緑色用の液晶パネル214は、その上方を回路基板801に覆われているが、青色用の液晶パネル209は、その上方を回路基板801に覆われていない。なお、本実施の形態では、青色用の液晶パネル209の出射側にある2枚の出射側偏光板211が、回路基板801の右端部に覆われている。しかしながら、2枚の出射側偏光板211も、青色用の液晶パネル20と同様に、回路基板801に覆われなくすることもできる。
【0059】
図6および図7は、冷却ユニット60の構成を示す図である。図6(a)、(b)は、冷却ユニット60の斜視図である。図6(a)には、便宜上、光学エンジン20の構成のうちプリズムユニット23のみが、冷却ユニット60とともに示されている。また、図7は、冷却ユニット60の底面図である。
【0060】
図6を参照して、吸気口部601は、フィルタユニット90を収容する収容部602を有している。収容部602の後壁には、吸気口603が形成されている。吸気口603には、格子部603aが形成されている。フィルタユニット90によって埃等が除去された外気は、冷却用の空気(以下、「冷却空気」という)として、吸気口603からファンケーシング604内に取り込まれる。
【0061】
図7を参照して、に示すように、ファンケーシング604内には、4つの吸気ファン(第1ファン605、第2吸気ファン606、第3吸気ファン607、第4吸気ファン608)が配されている。ファンケーシング604内に取り込まれた冷却空気は、各吸気ファン605〜608に取り込まれる。
【0062】
第1吸気ファン605には、第1ダクト609が接続されている。第1ダクト609の先端部には、2つの吹出口610、611が形成されている。第2吸気ファン606には、第2ダクト612が接続されている。第2ダクト612の先端部には、吹出口613が形成されている。
【0063】
第3吸気ファン607には、第3ダクト614および第4ダクト616が接続されている。第3ダクト614の先端部には、吹出口615が形成されている。また、第4ダクト616の先端部には、吹出口617が形成されている。第4吸気ファン608には、第5ダクト618および第6ダクト620が接続されている。第5ダクト618の先端部には、吹出口619が形成されている。また、第6ダクト620の先端部には、吹出口621が形成されている。
【0064】
図6に戻り、吹出口610および吹出口611は、赤色用の液晶パネル222の下方に位置している。また、吹出口613および吹出口615は、緑色用の液晶パネル214の
下方に位置している。さらに、吹出口617および吹出口619は、青色用の液晶パネル209の下方に位置している。さらに、吹出口621は、図6には示されていないPBS204(図6には図示せず)の下方に位置している。
【0065】
4つの冷却ファン605、606、607、608が駆動されると、吹出口610からは、出射側偏光板224(図6には図示せず)に向けて冷却空気が吹き出され、吹出口611からは、赤色用の入射側偏光板223(図6には図示せず)および液晶パネル222に向けて冷却空気が吹き出される。また、吹出口613からは、出射側偏光板216(図6には図示せず)に向けて冷却空気が吹き出され、吹出口611からは、緑色用の入射側偏光板215(図6には図示せず)および液晶パネル214に向けて冷却空気が吹き出される。さらに、吹出口617からは、出射側偏光板211(図6には図示せず)に向けて冷却空気が吹き出され、吹出口619からは、青色用の入射側偏光板210(図6には図示せず)および液晶パネル209に向けて冷却空気が吹き出される。さらに、吹出口621からは、PBSアレイ204に向けて冷却空気が吹き出される。
【0066】
こうして、各液晶パネル209、214、222、入射側偏光板210、215、223および出射側偏光板211、216、224が冷却空気によって冷却される。また、PBSアレイ204も冷却空気によって冷却される。なお、以降、各色光に対応する液晶パネル、入射側偏光板および出射側偏光板の組をまとめて称する場合は、特に、「液晶パネル209等」、「液晶パネル214等」および「液晶パネル222等」と称する。
【0067】
図8は、液晶パネル209、214、222等を冷却した後の冷却空気の流れについて説明するための図である。
【0068】
第1排気ファン701が駆動されると、プリズムユニット23の周囲の空気が、主として、排気通路EWを通じて第1排気ファン701に吸い込まれる。これに伴って、図8の矢印に示すように、各液晶パネル209、214、222等を冷却した後の冷却空気が、排気通路EWを通って第1排気ファン701に吸い込まれ、外部に排出される。なお、一部の冷却空気については、メイン電源ユニット40や光学エンジン20の上面と上部キャビネット12との間を流れて第1排気ファン701へ向かうものものある。
【0069】
図9(a)は、出射口619から吹き出された冷却空気の流れを模式的に示す図である。なお、図9(b)には、出射口619の上方に回路基板801が存在するときの冷却空気の流れが比較例として模式的に示されている。
【0070】
図9(b)に示すように、吹出口619の上方に回路基板801が存在する場合には、吹出口619から回路基板801までの距離が比較的に短いため、図の矢印のように、液晶パネル209を冷却した冷却空気は、回路基板801の裏面に比較的に勢いよく当たり、方々に分散する。このため、温まった空気が液晶パネル209の周りに滞留しやすく、これにより、液晶パネル209の冷却効率が低下する。
【0071】
一方、図9(a)に示すように、吹出口619の上方に回路基板801がない場合には、吹出口619から上部キャビネット12までの距離は比較的に長いため、図の矢印のように、液晶パネル209を冷却した冷却空気は、上部キャビネット12に達するまでに、勢いが弱くなりつつ、次第に、第1排気ファン701による気流に引き込まれる。このため、冷却空気は、第1排気ファン701の方向へと流れ、一部が上部キャビネット12の裏面に当たっても、方々へは分散しにくくなる。したがって、冷却空気は、液晶パネル209の周りに滞留しにくく、第1排気ファン701からの吸引を受けて第1排気ファン701側へと円滑に流れやすくなる。結果、液晶パネル209の冷却効率が向上する。
【0072】
このように、本実施の形態では、特に発熱しやすい青色用の液晶パネル209の冷却効率が高められるため、液晶パネル209の特性の劣化を効果的に抑制することができる。
【0073】
なお、本実施の形態では、青色用の出射側偏光板211の上方に回路基板801が重なっているが、上記のように、そのすぐ近くの液晶パネル209の上方が開放されていれば、吹出口617から吹き出されて出射側偏光板211を通った冷却空気は、回路基板801のない方、すなわち、液晶パネル209の上方へと流れやすくなる。このため、出射側偏光板211の冷却効率も比較的良好なものとなる。ただし、青色用の出射側偏光板211は発熱しやすいため、より冷却効率を高めるには、出射側偏光板211の上方もまた、液晶パネル209の場合と同様、回路基板801が重ならないようにして、冷却空気の流れを良くするのが望ましい。
【0074】
本実施の形態では、緑色用の液晶パネル214と赤色用の液晶パネル222の上方には、回路基板801が配されている。このため、液晶パネル214、222を冷却した冷却空気は、回路基板801に当たって分散し、液晶パネル214、222の周りに滞留しやすい。
【0075】
しかしながら、本実施の形態によれば、上記のように、排気通路EWを通って第1排気ファン701へと向かう冷却空気の流れの下流側にある青色用の液晶パネル209の周りの冷却空気の流れが良好であるため、この流れに引っ張られて、液晶パネル214、222の周りの空気も流れやすくなる。また、青色用の液晶パネル209を通った冷却空気が回路基板801に当たって緑色用の液晶パネル214と赤色用の液晶パネル222の方に向かうことがないため、緑色用の液晶パネル214と赤色用の液晶パネル222を通った冷却空気の流れが、青色用の液晶パネル209を通り回路基板801により分散された冷却空気によって邪魔されることもない。
【0076】
このように、本実施の形態では、青色用の液晶パネル209の他、緑色用および赤色用の液晶パネル214、222を通った冷却空気もまた、円滑に流れるようになる。これにより、各液晶パネル209、214、222に対する冷却効率を総合的に高めることができる。また、このように冷却空気の流れが良くなることにより、各液晶パネル209、214、222の周囲の内圧が下がるため、各吹出口610、611、613、615、617、619からの冷却空気の吹出量も増加する。したがって、各液晶パネル209、214、222等に対する冷却効果を高めることができる。また、冷却効果が高まる分、第1排気ファン701の回転数を低減することも可能となり、プロジェクタの静音化も図られ得る。
【0077】
なお、冷却空気の排気効率だけを考えれば、全ての液晶パネル209、214、222の上方に回路基板801が配されないようにすればよい。しかし、こうすると、たとえば、全ての液晶パネル209、214、222に掛からないように回路基板801をずらして配置する等、回路基板801の配置スペースを確保するための構成の変更が必要となり、これに起因して、本体キャビネット10が大きくなってしまう惧れがある。また、各液晶パネル209、214、222と回路基板801との距離が大きくなるため、各液晶パネル209、214、222から出た各種信号線(本実施例では、フレキシブル基板209a、214a、222a)を長くする必要が生じるなど、信号線の効率的な接続が行えなくなる惧れがある。
【0078】
本実施の形態では、第1排気ファン701に最も近い青色用の液晶パネル209のみが回路基板801に覆われない構成としているので、回路基板801が配置上の制約を受けにくく、不所望な回路基板801の配置による装置本体の大型化が抑制され得る。
【0079】
さらに、本実施の形態では、第1排気ファン701側から液晶パネル209側に向けて排気通路EWが設けられているので、液晶パネル209、214、222等を冷却した冷却空気を、吸気通路EW通じて、さらに円滑に外部へ排出することができる。
【0080】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記実施の形態に以外に、種々の変更が可能である。
【0081】
たとえば、上記実施の形態では、図5に示すように、回路基板801全体を青色用の液晶パネル209よりも左側に配置することにより、青色用の液晶パネル209に回路基板801が重ならないようにしている。しかしながら、これに限らず、図10に示すように回路基板801自身は、右端部801aが青色用の液晶パネル209より右側に位置するように配置し、青色用の液晶パネル209に対応する回路基板801の部分を一部切り欠くことにより、青色用の液晶パネル209が回路基板801に重ならないようにしても良い。このようにすれば、回路基板801を大きくすることができる。さらに、回路基板801の、緑色用の液晶パネル214および/または赤色用の液晶パネル222の上方に対応する領域を切り抜いて、空気の流れを良くするようにしても良い。
【0082】
また、上記実施の形態では、青色用の液晶パネル209が、第1排気ファン701の最も近く、即ち、第1排気ファン701への空気の流れの最も下流側に配され、回路基板801と重ならないようになされている。しかしながら、これに限らず、たとえば、赤色用の液晶パネル222が第1排気ファン701への空気の流れの最も下流側に配され、回路基板801と重ならないようになされても良い。
【0083】
ただし、青色用の液晶パネル209は、赤色用の液晶パネル222に比べて発熱しやすい。よって、本実施の形態のように、青色用の液晶パネル209に回路基板801が重ならないようにして、青色用の液晶パネル209の冷却効果を高めるのが望ましい。
【0084】
さらに、上記実施の形態では、1つの液晶パネルのみに回路基板801が重ならないようになされているが、2つあるいは全ての液晶パネルに回路基板801が重ならないようにされても良い。ただし、上述したように、回路基板801の配置上の制約を考慮すれば、第1排気ファン701への空気の流れの最も下流にある液晶パネルのみに回路基板801が重ならないようにされることが望ましい。
【0085】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0086】
20 光学エンジン
209 青色用の液晶パネル(光変調素子)
214 緑色用の液晶パネル(光変調素子)
222 赤色用の液晶パネル(光変調素子)
60 冷却ユニット(冷却部)
611、615、619 吹出口
70 排気ファンユニット
701 第1排気ファン(排気部、排気ファン)
80 制御回路ユニット
801 回路基板
EW 排気通路(排気部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投写型表示装置において、
光変調素子と、
外部から取り込んだ空気を吹出口から前記光変調素子に吹き付ける冷却部と、
前記光変調素子を通った空気を外部に排出する排気部と、
前記光変調素子に対して前記吹出口と反対側に配された回路基板と、を備え、
前記回路基板は、前記吹出口と前記光変調素子の並び方向から見て、前記光変調素子に重ならないようになっている、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投写型表示装置において、
複数の前記光変調素子と各光変調素子に対応する複数の前記吹出口が前記並び方向に垂直な方向に配置され、
前記回路基板は、前記並び方向から見て、前記複数の光変調素子の少なくとも一つに重ならないようになっている、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の投写型表示装置において、
前記複数の光変調素子は、赤色、緑色および青色の波長帯の光をそれぞれ変調する3つの光変調素子であり、
前記回路基板は、前記3つの光変調素子のうち、前記並び方向から見て、少なくとも青色の波長帯の光を変調する光変調素子に重ならないようになっている、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の投写型表示装置において、
前記回路基板は、前記並び方向から見て、前記複数の光変調素子のうち一つにのみ重ならないようになっている、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の投写型表示装置において、
前記回路基板が重ならない光変調素子が、前記複数の光変調素子から前記排気部へと向かう空気の流れの最も下流側に配置されている、
ことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の投写型表示装置において、
前記排気部は、排気ファンと、前記複数の光変調素子と前記排気ファンとの間に設けられた排気風路とを備え、
前記回路基板が重ならない光変調素子が、前記排気風路を通って前記複数の光変調素子から前記排気ファンへと向かう空気の流れの最も下流側に位置するように、前記排気風路と前記排気ファンが配置されている、
ことを特徴とする投写型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−164419(P2011−164419A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28048(P2010−28048)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】