説明

投影式静電容量タッチパネル

【課題】投影式静電容量タッチパネルの薄型化を可能とする。
【解決手段】投影式静電容量タッチパネル2では、電極11(a),(b)がパターニングされるのは、強化スクリーン90ではなく、フィルム12である。このため、投影式静電容量タッチパネル2では、電極11(a),(b)がパターニングされたフィルム12を、強化スクリーン90へ貼り付けるという製造工程を行うことができる。これにより、強化スクリーン90については、個片加工後に強化処理を全面に施したものを使用することができる。また、投影式静電容量タッチパネル2では、フィルム12の裏面に電極11をパターニングし、更に、表示装置70による放熱から電極11を保護するための部材を、保護層87にしている。よって、透明基板81を不要とすることができる。従って、投影式静電容量タッチパネル2は、薄型化を可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影式静電容量タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)、或いは、携帯型ゲーム等の電子機器には、表示装置に表示される各種情報の操作(選択等)を、指等を接近させることで行うことができる投影式静電容量タッチパネルにて行うものがある。
【0003】
投影式静電容量タッチパネルを用いた電子機器では、投影式静電容量タッチパネルに設けられた電極と誘電体である指等との間で発生する静電容量の変化を検出し、その変化が検出された電極の位置を座標として特定する。そして、上述の電子機器では、特定した座標に位置する各種情報が操作(選択等)されたとして、表示装置に表示される情報の切り換え等が行われる。このように、投影式静電容量タッチパネルは、指等が接近している座標を特定するセンサの役割を果たすことから、静電容量の変化を安定的に検出することが重要となる。
【0004】
このため、特許文献1では、電極を、互いに直交する2方向に伸びる列電極(一方向に伸びる列電極および他方向に伸びる列電極)で構成した場合、列電極同士が交差する位置に絶縁層を設けることで、列電極同士の短絡を防止し、静電容量の変化を安定的に検出できる投影式静電容量タッチパネルが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−140369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載の投影式静電容量タッチパネルを利用して、表示装置と一体化した投影式静電容量タッチパネル装置を製造する場合、投影式静電容量タッチパネルの構造が複雑化することから、薄型化が困難であるという問題点があった。
【0007】
この問題点について、図2および図3を参照して詳細に説明する。まず、特許文献1に記載の投影式静電容量タッチパネルを利用した投影式静電容量タッチパネル装置100の外観について、図2を用いて説明する。
【0008】
投影式静電容量タッチパネル装置100は、外観から視認できる構成として、電極82と、フレキシブル基板85と、タッチパネルドライバIC(Integrated Circuit)86と、スクリーン加飾88と、強化スクリーン90と、を備えている。
【0009】
電極82は、誘電体である指等が接近した場合、その指等との間に静電容量を発生させ、指等が接近した位置のタッチパネルドライバIC86による特定に利用される視認性を確保した透明の電極である。この電極82は、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)により構成され、互いに交差する2方向に伸びる列電極82(a),(b)から構成されている。具体的には、電極82は、上下方向(一方向)に伸びる列電極82(a)と、左右方向(他方向)に伸びる列電極82(b)とをマトリックス状に配置した複数の列電極82(a),(b)から構成されている。
【0010】
フレキシブル基板85は、タッチパネルドライバIC86およびタッチパネルドライバIC86の動作に必要となる抵抗等を搭載した柔軟性のある基板である。
【0011】
タッチパネルドライバIC86は、誘電体(指等)と電極82との間で発生する静電容量の変化を検出し、変化が検出された電極の位置を座標として特定する。
【0012】
スクリーン加飾88は、強化スクリーン90に対して装飾を行うものであり、強化スクリーン90の裏面(視認側とは反対側の面)に印刷により形成される。
【0013】
強化スクリーン90は、指等が接触することにより発生する外圧から、投影式静電容量タッチパネル装置100内のデバイス等(後述する表示装置70等)を保護する、表示装置70に表示される各種情報の視認性を確保したスクリーンである。なお、強化スクリーン90は、外圧に対する強度を増大する処理が全面に施されている。
【0014】
投影式静電容量タッチパネル装置100の内部の構成例を図3(a)の断面図を用いて説明する。なお、図3(a)は、投影式静電容量タッチパネル装置100の符号f−f(図2参照)における断面を、矢印方向へ見た図である。
【0015】
この投影式静電容量タッチパネル装置100では、表示装置70と、その上側(視認側)に配置される静電容量タッチパネル80と、その上側(視認側)に配置される強化スクリーン90と、を備えている。以後の説明においては、図2と同一の符号が付されたものは、図2で説明したものと同一の構成であるので、その説明を省略する。また、静電容量タッチパネル80と強化スクリーン90との組み合わせを投影式静電容量タッチパネル60とする。
【0016】
表示装置70は、各種情報する表示する液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを用いた表示装置である。静電容量タッチパネル80は、視認性を確保したパネルであり、誘電体である指等が接近した座標を特定するためのセンサの役割を果たす。
【0017】
静電容量タッチパネル80は、透明基板81と、電極82と、絶縁層83と、配線84と、フレキシブル基板85、タッチパネルドライバIC86と、保護層87と、スクリーン加飾88と、接着層89と、を備えている。
【0018】
透明基板81は、電極82(b)、絶縁層83および配線84が形成される土台となると共に、表示装置70による放熱から電極82を保護する基板である。電極82は、前述の通り、視認性を確保した電極であり、一方向(上下方向)に伸びる列電極82(a)と他方の(左右方向)に伸びる列電極82(b)とを絶縁層83で絶縁した2層構造の電極として形成されている。
【0019】
絶縁層83は、列電極82(a),(b)間を絶縁状態にする視認性を確保した層である。配線84は、金属製のプリント配線であり、列電極82(a),(b)のそれぞれに独立に接続される。
【0020】
なお、図2(a)では、列電極82(a),(b)のうち、一方向に伸びる列電極82(a)に接続された配線84を図示しており、他方向に伸びる列電極82(b)に接続された配線84は図示していない。この配線84は、視認性が確保されていないため、強化スクリーン90を介して視認できないよう、スクリーン加飾88により目隠しされている。
【0021】
保護層87は、表示装置70に表示される各種情報の視認性を確保した上で、電極82を保護する。
【0022】
このような投影式静電容量タッチパネル装置100では、携帯電話やPDA等の薄型化に伴い、可能な限りの薄型化が求められている。この薄型化においては、特に、表示装置70を他社から購入して利用するセットメーカの場合、表示装置70の薄型化が困難なことから、問題となるのは、静電容量タッチパネル80の厚みh1と、強化スクリーン90の厚みh2との両方の厚み、即ち、投影式静電容量タッチパネル60の厚みとなる。
【0023】
この問題を解決する一つの構成例として、図3(b)に示す投影式静電容量タッチパネル装置200がある。この投影式静電容量タッチパネル装置200では、投影式静電容量タッチパネル装置100で用いられていた透明基板81、接着層89を不要とした構造である。なお、図3(b)は、投影式静電容量タッチパネル装置200の符号f−f(図2参照)における断面を、矢印方向へ見た図である。
【0024】
この投影式静電容量タッチパネル装置200は、表示装置70と、その上側(視認側)に配置される静電容量タッチパネル180と、その上側(視認側)に配置される強化スクリーン190と、を備えている。
【0025】
なお、以後の説明においては、図3(a)と同一の符号が付されたものは、投影式静電容量タッチパネル装置100で説明したものと同一の構成であるので、その説明を省略する。また、静電容量タッチパネル80と強化スクリーン90との組み合わせを投影式静電容量タッチパネル160とする。
【0026】
静電容量タッチパネル180は、電極182と、絶縁層183と、配線84と、フレキシブル基板85、タッチパネルドライバIC86と、保護層87と、スクリーン加飾88と、を備えている。
【0027】
電極182は、誘電体である指等が接近した場合、その指等との間に静電容量を発生させ、指等が接近した位置のタッチパネルドライバIC86による特定に利用される。この電極182は、強化スクリーン190の裏面(視認側とは反対側の面)にITOをパターニングすることで視認性を確保した透明の電極である。
【0028】
電極182は、図3(a)で示した電極82と同様、一方向(上下方向)に伸びる列電極182(a)と他方向(左右方向)に伸びる列電極182(b)とから構成されている。一方で、電極182は、図3(a)で示した電極82と異なり、列電極182(a),(b)同士が交差する箇所のみに絶縁層183を設けることで、列電極182(a),(b)同士を絶縁状態にした構成としている。
【0029】
このように、電極182は、強化スクリーン190に直接パターニングされる。よって、静電容量タッチパネル180は、静電容量タッチパネル80で用いられた接着層89を不要にすることができる。従って、静電容量タッチパネル180は、静電容量タッチパネル80と比較して、厚みh2における薄型化を実現している。
【0030】
また、静電容量タッチパネル180は、列電極(a),(b)同士が交差する箇所のみに絶縁層183を設けている。これにより、開いたスペース(静電容量タッチパネル80で絶縁層83が必要だったスペース)に、保護層87を設けることができる。この保護層87を、表示装置70による放熱から電極182を保護するための部材として利用することができる。よって、静電容量タッチパネル180は、静電容量タッチパネル80で用いられた透明基板81を不要とすることができる。従って、静電容量タッチパネル180は、静電容量タッチパネル80と比較して、厚みh2における更なる薄型化を実現している。
【0031】
しかし、投影式静電容量タッチパネル装置200(図3(b)参照)では、強化スクリーン190に直接、電極182をパターニングしている。このため、静電容量タッチパネル180と強化スクリーン190との組み立て工程は次の通りとなる。
【0032】
即ち、まず、大判のスクリーンに強化処理を施して強化スクリーン190とする。次に、強化スクリーン190に電極182をパターニングする。最後に、電極182をパターニングした強化スクリーン190を必要な大きさにカットする(個片加工する)という工程となる。このため、投影式静電容量タッチパネル装置200では、強化スクリーン190は、カット面に対して強化処理が施されていない状態となる。
【0033】
一方で、投影式静電容量タッチパネル装置100(図3(a)参照)では、静電容量タッチパネル80と強化スクリーン90との組み立て工程は次の通りとなる。
【0034】
即ち、まず、大判のスクリーンを必要な大きさにカットする(個片加工する)。次に、個片加工したスクリーンに強化処理を施して強化スクリーン90とする。最後に、強化スクリーン90へ、完成した静電容量タッチパネル80を接着層89にて接着するという工程となる。このように、静電容量タッチパネル80を強化スクリーン90に接着層89で接着できるので、投影式静電容量タッチパネル装置100では、強化スクリーン90は、全面に強化処理が施された状態となる。
【0035】
従って、強化スクリーン90(図3(a)参照)と同じ厚みの強化スクリーン190(図3(b)参照)を、投影式静電容量タッチパネル160で使用した場合、外圧に対する強度が低下する。これを解消するには、強化スクリーン90と同様の強度の強化スクリーン190を使用する必要があるが、これには、強化スクリーン190の厚みh1の増加が必要となる。
【0036】
このため、投影式静電容量タッチパネル装置160では、投影式静電容量タッチパネル60と比較して、厚みh2は減少するが、厚みh1は増加する。よって、投影式静電容量タッチパネル装置160では、その全体の厚み(厚みh1およびh2の合計の厚み)は、投影式静電容量タッチパネル装置60よりも薄型化ができるものの、その度合いは低いものであった。
【0037】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、投影式静電容量タッチパネルの薄型化を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る投影式静電容量タッチパネルは、
表示装置に表示される各種情報の視認性を確保した上で前記表示装置を外圧から保護する、前記外圧に対する強度を増大する処理が全面に施された平板状のスクリーンと、
前記スクリーンと前記表示装置との間に設けられ、第1の電極と第2の電極とを交互且つマトリックス状に配置した複数の電極によって、前記スクリーンへ誘電体が接近した場合に前記接近による静電容量の変化を発生させて、前記誘電体が接近した位置の特定に利用される前記各種情報の視認性を確保した電極群と、
前記電極群と前記スクリーンとの間に設けられる平板状のフィルムであり、少なくとも一方の幅広面に前記スクリーンを貼り付ける粘着層が形成され、前記一方の幅広面と対向する他方の幅広面に前記電極群を形成した、前記各種情報の視認性を確保した粘着フィルムと、
前記粘着フィルムに形成された前記電極群を保護する、前記各種情報の視認性を確保した保護層と、
を備えている。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、外圧に対する強度を増大する処理が全面に施されたスクリーンを用いることができ、更には、透明基板を不要にできるので、従来の投影式静電容量タッチパネルと比較して、薄型化を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に係る投影式静電容量タッチパネル装置の断面図である。
【図2】投影式静電容量タッチパネル装置の外観図である。
【図3】(a),(b)共に、従来の投影式静電容量タッチパネル装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態に係る投影式静電容量タッチパネル装置1を、図1を参照して説明する。なお、投影式静電容量タッチパネル装置1の説明においては、図3(a),(b)と同一の符号が付されたものは、投影式静電容量タッチパネル装置100,200で用いられたものと同一であるので、その説明を省略する。
【0042】
投影式静電容量タッチパネル装置1は、表示装置70と、静電容量タッチパネル10と、強化スクリーン90と、を備えている。なお、静電容量タッチパネル80と強化スクリーン90との組み合わせを投影式静電容量タッチパネル2とする。
【0043】
静電容量タッチパネル10は、電極11と、フィルム12と、接着層13と、配線84と、フレキシブル基板85、タッチパネルドライバIC86と、保護層87と、スクリーン加飾88と、を備えている。
【0044】
電極11は、表示装置70に表示される各種情報の視認性を確保した透明の電極である。電極11は、誘電体である指等が接近した場合、その指等との間に静電容量を発生させ、指等が接近した位置のタッチパネルドライバIC86による特定に利用される。電極11は、フィルム12の幅広面における裏面(視認側と反対側の面)にITOをパターニング(印刷)して形成される。この電極11は、強化スクリーン90と表示装置70との間に設けられ、一方向(上下方向)に伸びる列電極11(a)と他方向(左右方向)に伸びる列電極11(b)とを交互且つマトリックス状に配置した複数の電極によって構成されている。なお、電極11は、フィルム12の裏面に直接パターニングされる以外は、電極182と同一の構成である。
【0045】
フィルム12は、電極11とスクリーン加飾88との間に設けられる平板状のフィルムであり、少なくとも一方の幅広面(視認側の面)に強化スクリーン90を貼り付ける粘着層13が形成され、一方の幅広面と対向する他方の幅広面(視認側と反対側の面)に電極11が形成される。フィルム12は、表示装置70に表示される各種情報の視認性を確保している。
【0046】
接着層13は、スクリーン加飾88を強化スクリーン90との間に挟んだ状態で、フィルム12の幅広面の表面(視認側の面)と強化スクリーン90とを接着する部材である。なお、粘着層13によって、フィルム12は、幅広面の表面の一部に、具体的には表面の周辺部分に、スクリーン加飾88を有した状態となる。また、フィルム12は、幅広面の表面の残部に、具体的には表面のスクリーン加飾88が存在しない部分に、強化スクリーン90が貼り付けられた状態となる。
【0047】
次に、投影式静電容量タッチパネル2を製造する大まかな工程について説明する。この工程は、まず、フィルム12の裏面(視認側と反対側の面)に電極11(a)をパターニングし、電極11(a)が電極11(b)と交差する位置に絶縁層183をパターニングして、フィルム12の裏面に電極11(b)をパターニングする。次に、電極11(b)に配線84を接続し、配線84、電極11(a),(b)および絶縁層183を保護層87で覆う。そして、フィルム12の表面と強化スクリーン90との間にスクリーン加飾88を配置する。最後に、フィルム12の表面およびスクリーン加飾88を強化スクリーン90へ接着層13で接着するという工程となる。
【0048】
このように、電極11(a),(b)がパターニングされるのは、静電容量タッチパネル180(図3(b)参照)のように強化スクリーン90ではなく、フィルム12である。このため、投影式静電容量タッチパネル2では、電極11(a),(b)がパターニングされたフィルム12を、強化スクリーン90へ貼り付けるという、静電容量タッチパネル80(図3(a))と同様の製造工程を行うことができる。
【0049】
これにより、強化スクリーン90については、影式静電容量タッチパネル60(図3(a)参照)と同様、個片加工後に強化処理を全面に施したものを使用することができる。
【0050】
従って、投影式静電容量タッチパネル2では、投影式静電容量タッチパネル60(図3(a)参照)と同じ厚みh1の強化スクリーン90を使用することができる。即ち、投影式静電容量タッチパネル2では、投影式静電容量タッチパネル160(図3(b)参照)よりも薄い強化スクリーン90を使用することができる。
【0051】
ここで、投影式静電容量タッチパネル2では、投影式静電容量タッチパネル160(図3(b)参照)と比較して、フィルム12および接着層13が増えた分、厚みh2が増加している。
【0052】
しかし、投影式静電容量タッチパネル160(図3(b)参照)では、前述の通り、全体へ強化処理が施されていない強化スクリーン190を使用しなければならない。このため、強化スクリーン190で強化スクリーン90と同様の強度を実現するためには、強化スクリーン190の厚みh1を、投影式静電容量タッチパネル2で増加した厚み分(フィルム12および接着層13の厚み分)よりも、更に増加しなければならない。
【0053】
具体的には、投影式静電容量タッチパネル2の厚みの増加(フィルム12および接着層13の厚み分)は、μm単位であるのに対し、強化スクリーン190の厚みの増加は、mm単位となる。
【0054】
これにより、投影式静電容量タッチパネル2の厚み(強化スクリーン90の厚みh1+静電容量タッチパネル10の厚みh2)は、投影式静電容量タッチパネル160の厚み(強化スクリーン190の厚みh1+静電容量タッチパネル180の厚みh2)よりも薄くなる。
【0055】
また、投影式静電容量タッチパネル2では、フィルム12の裏面に電極11をパターニングし、更に、表示装置70による放熱から電極11を保護するための部材を、保護層87にしている。これにより、表示装置70による放熱から電極11を保護することができる。よって、投影式静電容量タッチパネル2では、透明基板81(図3(a)参照)を不要とすることができる。従って、投影式静電容量タッチパネル2は、投影式静電容量タッチパネル60(図3(a)参照)と比較して、厚みh2における薄型化を実現している。
【0056】
上述の通り、本実施形態に係る投影式静電容量タッチパネル装置1によれば、投影式静電容量タッチパネル2を、従来の投影式静電容量タッチパネル60,160よりも更に薄くできる。従って、投影式静電容量タッチパネル装置1は、投影式静電容量タッチパネル60,160と比較して、薄型化を実現できる。
【0057】
より詳細に説明すれば、投影式静電容量タッチパネル装置1のフィルム12は、一方の幅広面に強化スクリーン90を貼り付け、一方の幅広面と対向する他方の幅広面に電極11を形成した構成である。この構成により、投影式静電容量タッチパネル2の製造では、電極11が形成されたフィルム12を強化スクリーン90に貼り付けるという工程を採用することができる(電極11が形成された強化スクリーン90を個片加工する工程を不要にできる)。よって、スクリーンに、外圧に対する強度を増大する処理が全面に施された強化スクリーン90を用いることができる。また、フィルム12に形成された電極11には、保護層87が設けられる。これにより、表示装置70による放熱から電極11を保護することができる。よって、保護層87よりも厚みのある、電極11を保護するために従来使用されていた透明基板81を不要にできる。上述のように、投影式静電容量タッチパネル装置によれば、外圧に対する強度を増大する処理が全面に施された強化スクリーン90を用いることができ、更には、透明基板81を不要にできるので、従来の投影式静電容量タッチパネル60,160と比較して、薄型化を実現できる。
【0058】
また、本実施形態に係る投影式静電容量タッチパネル装置1によれば、投影式静電容量タッチパネル装置100で使用された透明基板81を、前述の通り不要としている。よって、投影式静電容量タッチパネル2を、従来の投影式静電容量タッチパネル60よりも軽量化することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る投影式静電容量タッチパネル2によれば、電極11(a),(b)をフィルム12に形成している。一方で、従来の投影式静電容量タッチパネル60は、電極82を透明基板81に形成しており、また、従来の投影式静電容量タッチパネル160は、電極182を強化スクリーン190に形成している。ここで、投影式静電容量タッチパネル2で用いたフィルム12は、電極11(a),(b)形成後も、透明基板81や強化スクリーン190と比べて薄いため、保管場所が少なくて済む。
【0060】
以上この発明の実施形態を説明したが、この発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変形および応用が可能である。例えば、上記実施形態の投影式静電容量タッチパネル2では、強化スクリーン90として強化ガラスを使用したがこれに限られるものではない。投影式静電容量タッチパネル2では、強化ガラスに代えて、アクリル板を用いてもよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、スクリーン加飾88を、強化スクリーン90の裏面(視認側とは反対側の面)に印刷により形成したが、これに限られるものではない。即ち、スクリーン加飾88を印刷ではなく、有色(例えば、黒色)のフィルムで構成してもよい。
【0062】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0063】
(付記1)表示装置に表示される各種情報の視認性を確保した上で前記表示装置を外圧から保護する、前記外圧に対する強度を増大する処理が全面に施された平板状のスクリーンと、
前記スクリーンと前記表示装置との間に設けられ、第1の電極と第2の電極とを交互且つマトリックス状に配置した複数の電極によって、前記スクリーンへ誘電体が接近した場合に前記接近による静電容量の変化を発生させて、前記誘電体が接近した位置の特定に利用される前記各種情報の視認性を確保した電極群と、
前記電極群と前記スクリーンとの間に設けられる平板状のフィルムであり、少なくとも一方の幅広面に前記スクリーンを貼り付ける粘着層が形成され、前記一方の幅広面と対向する他方の幅広面に前記電極群を形成した、前記各種情報の視認性を確保した粘着フィルムと、
前記粘着フィルムに形成された前記電極群を保護する、前記各種情報の視認性を確保した保護層と、
を備えていることを特徴とする投影式静電容量タッチパネル。
【0064】
(付記2)前記電極群は、
前記粘着フィルムの他方の幅広面に印刷によって形成されていることを特徴とする付記1に記載の投影式静電容量タッチパネル。
【0065】
(付記3)前記粘着フィルムは、
前記一方の幅広面の一部に、前記スクリーンの加飾を行う加飾部を有し、前記一方の幅広面の残部に、前記スクリーンを貼り付けた構成であることを特徴とする付記1または2に記載の投影式静電容量タッチパネル。
【0066】
(付記4)前記加飾部は、
前記フィルムの一方の幅広面の一部に、印刷によって形成されていることを特徴とする付記1から3のいずれか一つに記載の投影式静電容量タッチパネル。
【0067】
(付記5)前記加飾部は、
前記加飾をフィルムに形成した加飾フィルムから構成され、その加飾フィルムが、前記粘着フィルムの前記一方の幅広面の一部に貼り付けられた構成であることを特徴とする付記1から3のいずれか一つに記載の投影式静電容量タッチパネル。
【符号の説明】
【0068】
1 投影式静電容量タッチパネル装置
2 投影式静電容量タッチパネル
10 静電容量タッチパネル
11(a),(b) 電極
12 フィルム
13 接着層
70 表示装置
84 配線
85 フレキシブル基板
86 タッチパネルドライバIC
87 保護層
88 スクリーン加飾
90 強化スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に表示される各種情報の視認性を確保した上で前記表示装置を外圧から保護する、前記外圧に対する強度を増大する処理が全面に施された平板状のスクリーンと、
前記スクリーンと前記表示装置との間に設けられ、第1の電極と第2の電極とを交互且つマトリックス状に配置した複数の電極によって、前記スクリーンへ誘電体が接近した場合に前記接近による静電容量の変化を発生させて、前記誘電体が接近した位置の特定に利用される前記各種情報の視認性を確保した電極群と、
前記電極群と前記スクリーンとの間に設けられる平板状のフィルムであり、少なくとも一方の幅広面に前記スクリーンを貼り付ける粘着層が形成され、前記一方の幅広面と対向する他方の幅広面に前記電極群を形成した、前記各種情報の視認性を確保した粘着フィルムと、
前記粘着フィルムに形成された前記電極群を保護する、前記各種情報の視認性を確保した保護層と、
を備えていることを特徴とする投影式静電容量タッチパネル。
【請求項2】
前記電極群は、
前記粘着フィルムの他方の幅広面に印刷によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の投影式静電容量タッチパネル。
【請求項3】
前記粘着フィルムは、
前記一方の幅広面の一部に、前記スクリーンの加飾を行う加飾部を有し、前記一方の幅広面の残部に、前記スクリーンを貼り付けた構成であることを特徴とする請求項1または2に記載の投影式静電容量タッチパネル。
【請求項4】
前記加飾部は、
前記フィルムの一方の幅広面の一部に、印刷によって形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の投影式静電容量タッチパネル。
【請求項5】
前記加飾部は、
前記加飾をフィルムに形成した加飾フィルムから構成され、その加飾フィルムが、前記粘着フィルムの前記一方の幅広面の一部に貼り付けられた構成であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の投影式静電容量タッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−69242(P2013−69242A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209187(P2011−209187)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】