説明

投影装置

【課題】
2台の投影装置で同じ画像を投影面に重畳投影する投影システムで、調整又は設定を容易にする。
【解決手段】
制御部(109)は、光源(103)、液晶パネル(102)及び投影光学系(101)により、設定又は調整のためのメニューを投影する。操作部(112)による調整メニューの選択に対し、制御部(109)は、選択された調整メニューに割当てられた投影パターンに従い、自投影装置及び他の投影装置の投影状態を、映像停止、映像一部出力及び映像全出力の何れかに制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影装置に関し、特に複数の投影装置が同じ映像を出力し、それらをオーバーラップさせて投影する際のメニュー等による映像調整・本体設定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、投影装置においては、輝度向上を目的として複数の装置から投影される同じ投影画像をオーバーラップさせて投影するスタック投影システムが知られている。
【0003】
従来、投影装置においては、画質調整や画角調整を行う場合には、投影画面上にメニュー画面を表示して、ユーザの選択した項目を調整していた。
【0004】
特許文献1には、スタック投影システムにおいて画質調整や画角調整を行う場合に、ユーザによる調整内容を全プロジェクタに反映するか、メニューを表示しているプロジェクタのみに反映するかを区別する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−70397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、例えばフォーカス調整等の調整項目については単体に調整値が反映されるが、他方の投影装置はこの調整中においても投影を継続している。従って、本来、単体での投影の様子を観察しながら調整を行なう調整の際は、調整内容、調整結果が認識しづらくなってしまうという問題があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、調整内容(項目)や設定内容(項目)に応じて、投影画像を構成する各投影装置の映像出力方法を制御することを可能にした投影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る投影装置は、同じ画像を投影面に重畳して投影する投影システムに使用される投影装置であって、調整または設定を行なう設定手段と、他の投影装置と接続する接続手段と、前記設定手段の調整または設定の内容に応じて、前記他の投影装置及び自装置の映像出力状態を、映像停止、映像一部出力及び映像全出力の何れかに制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、調整内容や設定内容に応じて、複数台の投影装置による投影画像の状態を切り替えできるので、ユーザに対して設定又は調整が容易な環境を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例における投影システムの外観斜視図である。
【図2】本実施例におけるプロジェクタの概略構成ブロック図である。
【図3】本実施例のマスタープロジェクタの動作フローチャートである。
【図4】調整項目に応じた投影パターンテーブル例を示す図である。
【図5】本実施例におけるスレーブプロジェクタの動作フローチャートである。
【図6】投影パターンBの際の調整メニュー表示状態例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
同じ画像を投影面に重畳して投影する投影システムに適用した本発明の一実施例を説明する。本発明の一実施例では、投影装置の一例として液晶プロジェクタを使用する。液晶プロジェクタには、単板式、3板式などが一般に知られているが、どちらの方式であっても良い。本実施例で使用する液晶プロジェクタは、表示するべき画像に応じて液晶素子の光の透過率を制御し、液晶素子を透過した光源からの光をスクリーンに投影することで、画像をユーザに提示する。
【0013】
図1は、2台のプロジェクタを使用し、各プロジェクタに同じ画像を投影画面上でオーバーラップさせて投影するスタック投影を行なっている状態を示す外観図である。2台のプロジェクタのうち、ユーザの操作により調整が行なわれるプロジェクタをマスタープロジェクタ100と定義し、調整内容に応じて映像出力制御を受けるプロジェクタをスレーブプロジェクタ200と定義する。マスタープロジェクタ100は特許請求の範囲の自投影装置又は自装置に相当し、スレーブプロジェクタ200は、他の投影装置又は外部投影装置に相当する。
【0014】
各プロジェクタ100,200は同じ画像を示す映像信号を受け、同じ画像300をスクリーン上に投影する。マスタープロジェクタ100は、設置台400の下に配置され、スレーブプロジェクタ200は設置台400の上に配置されている。
【0015】
図2は、マスタープロジェクタ100の内部構成図を示す。マスタープロジェクタ100は投影光学系101、液晶パネル102、光源103、光源制御部104、液晶駆動部105及び光学系制御部106を具備する。マスタープロジェクタ100はまた、接続部107、制御部108、画像処理部109、ROM110、RAM111及び操作部112を具備する。スレーブプロジェクタ200も、マスタープロジェクタ100と同様の構成及び同等の機能を有する。
【0016】
投影光学系101は、表示すべき画像をスクリーンに投影するためのものであり、複数のレンズ、レンズ駆動用のアクチュエータからなる。投影光学系101のレンズをアクチュエータにより駆動することで、投影画像の拡大縮小及び焦点調整などを行うことができる。液晶パネル102は、光源103から出射され、ミラー(不図示)で分離された各色の光(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))から各色の画像、すなわちR画像、G画像及びB画像を生成する。光源制御部104は、制御部108から送られる制御命令に基づいて、光源103の光量の調整、出射のON/OFFの制御等を行なう。液晶駆動部105は、入力される映像信号に基づきRGB各色を再現するように液晶パネル102の透過率を調整する。光学系制御部106は制御部108から送られる制御命令に基づいて、ズーム率、シフト量、フォーカス等の様々な調整を行う。
【0017】
接続部107は、映像出力装置等と接続するためのインターフェースであり、映像信号、音声信号及び各種コントロール信号の送受信に使用される。接続部107は映像信号受信インターフェースとして、コンポジット端子、S映像端子、D端子、コンポーネント端子、アナログRGB端子、DVI−I端子、DVI−D端子、HDMI端子又はDisplayPort端子等を含む。また、接続部107は、アナログ映像信号を受信した場合には、受信したアナログ映像信号をデジタル映像信号に変換する。
【0018】
接続部107に接続するケーブルを介して、マスタープロジェクタ100は、スレーブプロジェクタ200の動作状態を知ることができ、スレーブプロジェクタ200を制御できる。又は、映像音声信号以外の補助データの送受信が可能なケーブルで分配機を介して、マスタープロジェクタ100とスレーブプロジェクタ200を接続しても良い。映像音声信号以外の制御信号等を伝送可能なケーブルを使える場合、マスタープロジェクタ100とスレーブプロジェクタ200を映像出力機器とカスケード接続してもよい。例えば、HDMI−CEC(High Definition Multimedia Interface−Consumer Electronics Control)の様な補助情報送受信可能なHDMIケーブルが利用できる。または、カスケード接続が可能であり、且つAUX−CH(Auxiliary−Channel)のようなコントロール指示情報が送受信可能なDisplayPortを用いても良い。プロジェクタ100,200間の通信のための通信装置をマスタープロジェクタ100とスレーブプロジェクタ200に設け、通信ケーブル又は無線LAN等の通信媒体を介して通信可能としても良い。
【0019】
制御部108はROM110に格納されているプログラムに基づいて各部への指示、マスタープロジェクタ100内部の状態管理及び投影モード管理等を行う。画像処理部109は、入力画像の解像度、フレームレート、画像の形状変形、色調変換、及びメニュー等のOSD画像のオーバーラップ処理といった、入力画像に対する各種変更処理を行う。画像処理部109は、例えば画像処理用のマイクロプロセッサからなる。また、画像処理部109は、ROM110に記憶され、制御部108上で動作するプログラムとして実現されても良い。
【0020】
ROM110は、プロジェクタ内部を制御するプログラム及び常に保持しておくべきテーブルデータを記憶する。RAM111は、接続部107より入力される画像データ及び画像処理部109により画像処理を行なう際の画像データの一時保存等に使用される。
【0021】
操作部112は、マスタープロジェクタ100の筺体に備え付けられている各種操作釦であり、マスタープロジェクタ100の機能制御及びメニュー操作を行うための操作インターフェースである。
【0022】
マスタープロジェクタ100の基本的な動作を説明する。操作部112(または制御用のリモコン(不図示))でユーザによる電源ONの指示を受けると、制御部108は、電源部からマスタープロジェクタ100の各部へ電源を供給するよう指示を出す。接続部107は、外部の映像出力装置から受信した映像信号を画像処理部109に送信する。映像出力装置は、映像信号を出力できるものであれば、パーソナルコンピュータ、カメラ、携帯電話、スマートフォン、ハードディスクレコーダ又はゲーム機など、どのようなものであってもよい。
【0023】
画像処理部109は、映像出力装置から受信した映像信号にフレーム数、画素数及び画像形状などの変更処理を施して、液晶駆動部105に送信する。画像処理部109は、フレーム間引き処理、フレーム補間処理、解像度変換処理、歪曲収差補正処理、キーストーン補正処理、といった機能を実行できる。更には、OSD画像を投影画像にオーバーラップして表示させる処理も実行可能である。液晶駆動部105は、入力映像信号に基づきRGB各色を再現するように液晶パネル102の透過率を調整する。
【0024】
制御部108は、接続部107に映像信号が外部から入力されているか否かを監視し、接続部107に映像信号が入力すると、各部に投影処理を実行させる。具体的には、接続部107は、入力映像信号を画像処理部109に供給する。画像処理部109は、接続部107からの映像信号に前述した各種処理を施し、液晶駆動部105に供給する。液晶駆動部105は、画像処理部109からの画像信号のRGB各色の成分の階調レベルに応じて、液晶パネル102の透過率を制御する。
【0025】
光源制御部104は、光源103を発光させ、又は、その光量を制御する。光源103から出力された光は赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)に分離されて、液晶パネル102に供給される。液晶パネル102に供給された各色の光は、対応する色成分の液晶パネルの画素毎に光強度変調される。液晶パネル102を透過した赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光はプリズム(不図示)により再び1つの画像に合成され、投影光学系101により図示しないスクリーンに投影される。
【0026】
以上のように、マスタープロジェクタ100は、外部の映像出力装置等から出力された映像信号の画像をスクリーンに投影する。スレーブプロジェクタ200も、同様の動作により、入力映像信号の画像を投影する。
【0027】
図3は、マスタープロジェクタ100がスレーブプロジェクタ200を制御する動作のフローチャートを示す。マスタープロジェクタ100及びスレーブプロジェクタ200は、図1に示すように、全画像領域がオーバーラップした状態に投影位置を設定されているとする。マスタープロジェクタ100がメニューを投影表示し、マスタープロジェクタ100に対し各種調整を行なう際の動作を説明する。マスタープロジェクタ100及びスレーブプロジェクタ200は夫々、画像の投影を開始しているものとする。
【0028】
S101で、ユーザが操作部112によりメニュー表示を指示すると、マスタープロジェクタ100の制御部108は、入力映像信号にメニュー画像を重畳する処理を画像処理部109に実行させる。これにより、投影画像中にメニューが表示される。
【0029】
S102で、制御部108は、ユーザによる操作部112への再度のメニュー操作指示に応じて、選択された調整項目を判定する。ここで、マスタープロジェクタ100の投影画像とスレーブプロジェクタ200の投影画像が正確に重なるように調整されていない状態であり、ユーザが、そのオーバーラップ調整動作を選択したとする。このとき、S102で、ユーザはレンズシフト調整メニューを選択することになる。
【0030】
S103で、マスタープロジェクタ100の制御部108は内部のROM110に保持しているメニュー項目別テーブルを参照する。図4は、メニュー項目別テーブルの一例を示す。マスタープロジェクタ100の制御部108は、ユーザにより選択された調整項目とメニュー項目別テーブルとを比較し、調整項目に応じた投影パターンを決定する。
【0031】
図4に示すテーブルに予め用意されている投影パターンを簡単に説明する。本実施例では、各調整項目に3つのパターンの何れか1つを割り当てている。
【0032】
パターンAは、マスタープロジェクタ100及びスレーブプロジェクタ200が同時に画像を投影しつつ調整すると調整効果がより分かり易い項目に割り当てられる。例えば、画角や投影画像サイズの調整である。位置調整のキーストーン補正やレンズシフト調整は、他方のプロジェクタの投影画像を見ながら調整することが好ましい。操作部112は、これらの調整又は設定のための設定手段として機能する。
【0033】
パターンBは、図6に示すような、プロジェクタ100,200が左右半分の領域に横に並べて画像を投影するパターンである。301は、調整を行おうとするプロジェクタの投影画像を示し、302は、他方のプロジェクタの投影画像を示す。実際は投影画像のサイズに変化は無いが、夫々互いに異なる側の半面を黒画像に置き換えて投影を行なうことでこの投影パターンを実現する。パターンBでは、比較参照する対象を表示しつつ自装置の調整を行う項目を割り当てる。図4に示すテーブルでは、例えば色相、明るさ、シャープネス、ランプ設定、壁色補正等である。スタック投影画像がユーザの意図した画質となるよう、予めプロジェクタ100,200に対し前述の項目を調整し、事前に見映えを合わせておくことも考えられる。また、画質を調整する際、一般的にテストパターン、いわゆる調整用テストパターンを表示することがある。図6に示すように、より調整が容易となるよう左右対称な形のテストパターン600をパターンBの投影状態に遷移した際に表示するようにしてもよい。さらに、ユーザが左右どちらの投影画像を調整しているかを認識し易くなるように、調整メニューOSD500を調整対象側にオーバーラップ表示しても良い。
【0034】
パターンCでは、プロジェクタ100,200の投影画像をオーバーラップさせない。パターンCは、プロジェクタ単体の投影画像を見ながら調整することが好ましい調整項目に割り当てる。図4に示すテーブルでは、フォーカス調整、入力切替え、ネットワーク設定、機器情報表示及び工場出荷時設定である。例えばフォーカス調整は他方のプロジェクタの投影状態や画質に依存しないので、1台のプロジェクタのみが投影している状態で調整する方が調整結果又は効果を認識し易い。マスタープロジェクタ100を調整する際には、スレーブプロジェクタ200を消灯するか、黒画像の投影状態にする。スレーブプロジェクタ200を調整する際には、逆にする。スレーブプロジェクタ200を消灯するとき、これをユーザに通知するのが好ましい。例えば、マスタープロジェクタ100の制御部108は、画像処理部109を制御して、マスタープロジェクタ100の投影画像内にスレーブプロジェクタ200が非表示状態である旨を表示させる。
【0035】
図3に示すフローでは、パターンAに属する調整項目が選択された場合、制御部108は、ステップS109に従って動作する。パターンBに属する調整項目が選択された場合、制御部108は、ステップS106,S107に従って動作する。パターンCに属する調整項目が選択された場合、制御部108は、ステップS108に従って動作する。
【0036】
例えば、S102でユーザがレンズシフト調整を選択した場合、制御部108は、S103でメニュー項目別テーブルを参照し、その結果として、S104でパターンAに属する調整項目が選択されたと判断する。パターンAに属する調整項目が選択された場合、S109で、マスタープロジェクタ100の制御部108は、HDMI−CECライン又はAUX−CHを介してスレーブプロジェクタ200に対し映像出力を指示する。ここでの動作説明例では、既にマスタープロジェクタ100及びスレーブプロジェクタ200は投影状態にある。従って、スレーブプロジェクタ200側の制御部108は、マスタープロジェクタ100からの映像出力指示に指示を破棄しても良い。
【0037】
例えば、S102でユーザが例えば事前に色相調整メニューが選択した場合、制御部108は、S104でNoに遷移し、ステップS105で色相メニューがパターンBに属するか否か判断する。色相調整メニューはメニュー項目別テーブルによりパターンBに属する調整項目と定義されているので、マスタープロジェクタ100の制御部108は、S106に移行する。そして、S106で、マスタープロジェクタ100の制御部108は、パターンBの投影形状となるような半面投影指示を、接続部107を介してスレーブプロジェクタ200に送出する。
【0038】
この半面投影指示を伝達する方法は特定の形態に限定されない。例えば、DisplayPortのAUX−CHやHDMIにおけるCECを使用し、ベンダーコマンドを独自に定義し通信することで実現しても良い。また、左右どちらの半面を黒画像として投影するかを、通信内容にオプションとして含めて指示を送出しても良い。上下のどちらに黒画像を投影するかを示す情報、及び、より詳細にどの位置を黒画像として投影するかを示す情報を指示に含めて送出しても良い。
【0039】
HDMI−CECでは、通信パケットは、スタートビット、ヘッダーブロックとオペレーション内容及び詳細情報を含む複数のデータブロックで構成される。データブロックに半面投影を示すオペレーションコードを定義し、オプションデータとして左右の何れに投影画像を表示するかを示すパラメータを定義することで実現できる。また、HDMI−CECに則った具体的な通信手段及び通信シーケンスについては、本実施例の理解に必須でないので、詳細な説明は省略する。
【0040】
S107で、マスタープロジェクタ100の制御部108は、自装置も半面投影となるように画像処理部109を制御する。すなわち、制御部108は、スレーブプロジェクタ200で半面投影する側に黒画像を重畳するように画像処理部109を制御する。又は、スレーブプロジェクタ200で半面投影する側の投影画像を物理的なシャッタ(図示せず)により投影されないように遮蔽してもよい。制御部108は、スレーブプロジェクタ200で半面投影する側の投影画像を黒画像と入れ替えるように画像処理部109を制御してもよい。
【0041】
S107では、制御部108は、S106でスレーブプロジェクタ200に指示した半面の投影方向とは逆の方向の投影及び該方向の投影面上に対し調整メニューOSDを表示するよう画像処理部109を制御してもよい。これにより、ユーザに調整対象としている画像を視覚的に認識させることができる。
【0042】
S105でフォーカス調整のようなパターンCに該当する調整項目が予め選択されていた場合、マスタープロジェクタ100の制御部108は、S108に遷移する。S108で、マスタープロジェクタ100の制御部108は、スレーブプロジェクタ200に映像出力を全て停止する指示を送出する。
【0043】
このように、マスタープロジェクタ100はスレーブプロジェクタ200に指令を送って、映像停止(黒画像出力又は非投影)、映像一部出力(半面投影)及び映像全出力の何れかに制御できる。
【0044】
図5は、スレーブプロジェクタ200側の制御部108による処理のフローチャートを示す。図5を参照して、スレーブプロジェクタ200側の処理を説明する。本実施例では、スレーブプロジェクタ200はマスタープロジェクタ100から指示を受けることを前提としているので、投影開始後、常時、指示待ち受け状態にある。
【0045】
S201で、スレーブプロジェクタ200の制御部108は、マスタープロジェクタ100からの指示を待機する。マスタープロジェクタ100から何かの指示を受け付けると、スレーブプロジェクタ200の制御部108は、S202に移行する。
【0046】
S202で、制御部108は、受け付けた指示が映像全出力停止指示か否かを判定し、全出力停止指示であった場合は、S203で、自装置の映像出力を停止し処理を終了する。自装置の映像出力を停止させるには、例えば、次のようにする。スレーブプロジェクタ200の制御部108は、画像処理部109に保持している出力用の画像の大半を黒画像に置換するように画像処理部109を制御するか、光源103からの出力を停止するように光源制御部104を制御する。または、スレーブプロジェクタ200の制御部108は、不図示のシャッタにより投影画像の大半を遮るように制御しても良い。
【0047】
S202で、受け付けた指示が映像全出力停止指示でない場合、スレーブプロジェクタ200の制御部108は、S204に遷移する。S204で、スレーブプロジェクタ200の制御部108は、半面投影指示か否かを判定する。半面投影指示である場合、S205で、スレーブプロジェクタ200の制御部108は、半面への投影を停止する処理を行う。具体的には、スレーブプロジェクタ200の制御部108は、マスタープロジェクタ100からの半面投影指示を解析し、画面上のどの位置を画像投影状態とし、どの位置を黒画像状態とするかを決定する。そして、制御部108は、指定された位置(範囲)に黒画像が重畳されるように画像処理部109を制御するか、投影画像の指定された位置(範囲)を物理的なシャッタ(図示せず)により遮蔽する。または、制御部108は、指定された位置(範囲)の投影画像を黒画像と入れ替えるように画像処理部109を制御する。
【0048】
S205で、受け付けた指示が半面投影指示でもない場合、スレーブプロジェクタ200の制御部108は、黒画像投影を停止するように画像処理部109を制御する。すなわち、制約の無い映像出力(投影)を有効化する。既に映像出力状態である場合は、特別の処理は不要である。しかし、ユーザが別の操作手段によりスレーブプロジェクタ200の映像出力を制御していたときには、映像出力を再開することになる。また、ユーザが調整項目を選択したことで投影形状が変化した後にメニューを閉じる操作を行なうなどで調整を終了することも想定できる。そのような場合、再度、マスタープロジェクタ100とスレーブプロジェクタ200間で制御指示通信を行なうことで、投影形状を通常のスタック投影状態に復帰させればよい。
【0049】
以上のように、マスタープロジェクタ100及びスレーブプロジェクタ200を制御することで、ユーザが選択した調整項目に対し適切な投影形状の画像を投影できるようになる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明は上記した実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ画像を投影面に重畳して投影する投影システムに使用される投影装置であって、
調整または設定を行なう設定手段と、
他の投影装置と接続する接続手段と、
前記設定手段の調整または設定の内容に応じて、前記他の投影装置及び自装置の映像出力状態を、映像停止、映像一部出力及び映像全出力の何れかに制御する制御手段
とを備えることを特徴とする投影装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記他の投影装置及び前記自装置の前記映像一部出力の制御に対し、前記他の投影装置及び前記自装置に調整用テストパターンを投影させることを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記設定手段によるフォーカス調整、入力切替え及び機器情報表示の何れかに対して、前記他の投影装置及び前記自装置を前記映像停止に制御することを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記設定手段による色相調整、明るさ調整、シャープネス、壁色補正及びランプ設定の何れかに対して、前記他の投影装置及び前記自装置を前記映像一部出力に制御することを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記設定手段によるキーストーン補正及びレンズシフト調整の何れかに対して、前記他の投影装置及び前記自装置を前記映像全出力に制御することを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記設定手段による設定が終了した際、前記他の投影装置及び前記自装置の投影状態を映像全出力の状態に復帰させることを特徴とする請求項1に記載の投影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−55505(P2013−55505A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192324(P2011−192324)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】